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関数の話やりたいこと:��物体の運動を調べる
物体の位置と速度を調べる これらを時間の関数として表したい
関数とは?ある⼊⼒された変数に対して,出⼒の値が決まる対応関係のこと。
input関数�(函数)
output
時々刻々と変化していく物体の位置をその時刻とともに記録する
物体の位置を時間の関数として表す
任意の時刻tにおける位置ベクトル
例:�y(x)=x2 x=2をinputするとy=4が得られる
位置の記録実⽤的には,こんな表ができる
t[s] x (x成分)[m] y (y成分)[m] z (z成分)[m]0 0.2 0.5 -0.30.1 0.21 0.49 -0.310.2 0.22 0.47 -2.90.3 0.24 0.45 -2.70.4 0.26 0.46 -2.60.5 0.28 0.47 -2.50.6 0.30 0.45 -2.40.7 0.31 0.44 -2.3… … … …
各成分の単位はm(⻑さの単位)
⼀次元の運動話を簡単にするために,1次元の運動を考える
時刻tにおける物体の位置
この物体の速度を考える
速度とは?�単位時間あたりの位置の変化。
素朴には 位置の変化
かかった時間v =
x(t)� x(t0)
t� t0
距離
時間 速さ
思い出してみよう
⼀定速度の運動⼀定の速度で運動している場合を考える
x(t) = v(t � t0) + x(t0) = vt + x(t0) � vt0
定数x(t)はtの1次関数になる!
t0
x(t0)
x-tグラフの傾きがv
�t�x
t
x
x(t)� x(t0)
t� t0= v ⼀定(時間によらない定数)
1次関数の復習
x
y y = f(x) = ax + b
b
傾き 切⽚
最も簡単で分かりやすい関数
「傾き」とは?�xが1変化する間にyがいくら変化するかを表す量。
a1
�x
a � �x
どのxの値に対しても,どんなΔxの値に対しても,yの値はxの変化のa倍変化する(1次関数の特徴) �y = a�x
x
y
傾きがゆるやか
傾きが急
マイナスの傾きx-tグラフの傾きはまさに速度に対応!
⽐例関係
例題⼀定の速度で動いている物体を考える。�時刻t=0にx=0にいた物体が,時刻t=5sにx=10mへ移動した。�この物体の速度はいくらか?
時刻t=2sにx=15mにいた物体が,時刻t=5sにx=‒30mへ移動した。�この物体の速度はいくらか?
v =10m � 0
5s � 0= 2m/s
v =�30m � 15m
5s � 2s= �15m/s
速度は⽅向も重要(マイナス⽅向へ位置が変化したらマイナスの速度)
速度再考(位置の変化/かかった時間)という計算は⾮現実的�
全く無意味というわけではない�
例:⾼速道路を使って100km先まで移動するのにどれくらいの時間を⾒込めば良いか?�
例:徒歩で移動する際の速度はだいたいどれくらいか?�
上記のようなことを考える際に使う「速度」の正確な意味とはなんだろうか?
平均の速度と瞬間の速度時刻t〜t+Δtにおける平均の速度
平均の速度の概念を出発点として,瞬間の速度を定義する
v̄ =x(t+�t)� x(t)
�t
時刻tから時間Δt経つ間の平均の速さを考える。
Δtを限りなく0に近づけたものを瞬間の速度(速度)という
数学で登場する微分の定義そのもの
ある特定の時刻の情報だけでは速度は決まらない。�微⼩に時間が経ったところで再び位置を測定する必要がある。
v(t) = lim�t!0
x(t+�t)� x(t)
�t=
dx(t)
dt
⼀般の場合x
t
�x
�t(かかった時間)
(位置の変化)
x0
v =�x
�t傾きが速度
x(t) = vt + x0 y = ax + b
先程の1次関数の話と対応xがtの1次関数であれば,�速度vはどこでも同じ
x
t
複雑な形の関数の場合地形だと思えば,�場所によって傾きが違う
時刻によって速度vが異なる
例題x(t)=at2のように動く物体を考える。この物体の速度を時間tの関数として表せ。
ある時刻tのときの物体の位置は,x(t)=at2である。�この時刻から,Δtだけ時間が経過したとき,すなわち,時刻t+Δtにおける物体の位置はx(t+Δt)=a(t+Δt)2となる。�よって,
�t � 0 の極限ではv(t) = lim
�t�0v̄ = 2at
v̄ =x(t + �t) � x(t)
�t=
a(t + �t)2 � at2
�t
=a(t2 + 2t�t + �t2) � at2
�t= a(2t + �t)
微分法の意味
t
x
1
1
O
0.8 0.9 1 1.1 1.2 t
0.8
0.9
1
1.1
1.2
x
1
x(t) = t2
t
x
1
1
O
0.8 0.9 1 1.1 1.2 t
0.8
0.9
1
1.1
1.2
x
1
拡⼤
⾚い線(曲線)を⻘い線(直線)で近似できる!
微分法の本質は,曲線を接線で近似することにある
微分法の意味なめらかな関数であれば,ある点の近傍で曲線のグラフを直線で近似できる!
これが微分法の基本概念
難しい複雑な関数を,簡単で理解しやすい1次関数で近似して扱う
地球
普段の⽣活では�地球は平らだと思って不都合はない
これと同じことをやっているにすぎない
等速度運動による近似x
t思いきり拡⼤
�t�x
Δt�を限りなく⼩さくする�t � 0
限りなく⼩さくとったΔtをdtと表す
tの微分
もし,関数がとがっていたら,そこはいくら拡⼤しても接線で近似できない
微分不可能微分する=微分係数を求めること�微分=微⼩変化分
• •
v(t) =dx(t)
dt
限りなく⼩さな�xの変化
限りなく⼩さな�tの変化
複雑な運動も,微分可能な部分は微⼩時間の等速度運動をつなげたもので表せる。
3次元の場合
�v(t) =
�
���
dx(t)dt
dy(t)dt
dz(t)dt
�
���
成分で表す
�r(t0) + d�r
d�r
微⼩時間の運動は�真っ直ぐな⼀定速度�の運動と近似できる
を変位ベクトルという��r
物体の位置を位置ベクトルで表す
速度と速さ「速度」(velocity)は単位時間あたりの位置の変化なので,⽅向も重要
「速さ」(speed)は速度の⼤きさを表す
ベクトル量
スカラー
1次元運動の場合はプラス・マイナスの符号つきで表す
v = |�v|
加速度と2階微分単位時間あたりの速度の変化を加速度という
※たとえ減速していても「加速度」
�a(t) = lim�t�0
�v(t + �t) � �v(t)
�t=
d�v(t)
dt
速度の場合と同様に考えればよい。
ここで,速度と位置の関係に注⽬すると
1次元の運動であればa(t) = lim
�t�0
v(t + �t) � v(t)
�t=
dv(t)
dt
�a(t) =d�v(t)
dt=
d
dt
�d�r(t)
dt
�=
d2�r(t)
dt2
a(t) =dv(t)
dt=
d2x(t)
dt2(1次元の場合)
関数を2回連続微分することを2階微分するという
2階微分
a(t) =dv(t)
dt=
d2x(t)
dt2
2の位置に注意
分⺟はdtが2乗されているが,分⼦はdが2乗されている�(xの微⼩変化(dx)のさらに微⼩な変化)
d2x
dt2=
d(dx)
(dt)2
⼒学では,原則として2階微分までが登場する。�3階微分以上はほとんど出てこない。
2階微分の意義全ての2階微分可能な関数は,微⼩区間では2次関数もしくは1次関数(2階微分係数が0の場合)で近似できる。
例題23次元の運動を考える。�時刻tにおける物体の位置が次で与えられるとき,この物体の速度と加速度を表す式を求めよ。�(A,Bは定数とする)
~r(t) = (A cos(2t), Be2t, 3t2 + 3)
微分法の計算ルール初等関数の微分
3.2 微分 23
表 3.2 基本的な関数の導関数。
f(x) df(x)dx
xα αxα−1
sinx cosx
cosx − sinx
tanx 1cos2 x
ex ex
lnx 1x
■微分と連続 f(x)が x = x0 で微分可能ならば,f(x)は x = x0 で連続である。逆に f(x)が x = x0 で連続だからといって,x = x0 で微分可能とは限らないことに注意しなくてはならない。
■微分計算の基礎公式 関数 f(x),g(x)がともに x = x0 で微分可能であるする。
• 関数の和と差の微分法: f(x)± g(x)は x = x0 で微分可能であり,
d(f(x0)± g(x0))
dx
= lim∆x→0
(f(x0 +∆x)± g(x0 +∆x))− (f(x0)± g(x0))
∆x
= lim∆x→0
f(x0 +∆x)− f(x0)
∆x± lim
∆x→0
g(x0 +∆x)− g(x0)
∆x,
より,d(f(x0)± g(x0))
dx=
df(x0)
dx± dg(x0)
dx. (3.58)
• 関数の積の微分法: f(x)g(x)は微分可能である。また,
df(x0)g(x0)
dx
= lim∆x→0
f(x0 +∆x)g(x0 +∆x)− f(x0)g(x0)
∆x
= lim∆x→0
1
∆x{(f(x0 +∆x)− f(x0))(g(x0 +∆x)− g(x))
+(f(x0 +∆x)− f(x0))g(x0) + f(x0)(g(x0 +∆x)− g(x0))}
= lim∆x→0
f(x0 +∆x)− f(x0)
∆x
g(x0 +∆x)− g(x0)
∆x∆x
+
!lim
∆x→0
f(x0 +∆x)− f(x0)
∆x
"g(x0)
+ f(x0) lim∆x→0
g(x0 +∆x)− g(x0)
∆x,
となる。ここで最後の式の第一項目は f(x),g(x)の微分可能性より,∆x → 0の極限で 0になるから,
df(x0)g(x0)
dx=
!df(x0)
dx
"g(x0) + f(x0)
dg(x0)
dx, (3.59)
微分法の計算ルール
関数 af(x)+bg(x)をxで微分する。
d(af(x) + bg(x))
dx= a
df(x)
dx+ b
dg(x)
dx
関数 f(x)g(x)をxで微分する。
d(f(x)g(x))
dx=
�df(x)
dx
�g(x) + f(x)
dg(x)
dx
d(f(x)g(x))
dx=
df(x)
dx
dg(x)
dxとやってはいけない!!
下記のルールと初等関数の微分を知っていて,根性さえあれば,�初等関数の組合せでできた関数はどんな複雑なものでも微分できる
合成関数について合成関数とは:
2つの関数を合成した関数
3.2 微分 19
図 3.10 合成関数の構成
という 2段階の手順を踏んで xと z が結びつけられているのが,合成関数である。
例 (合成関数の例). f(x) = x+ sinx,g(x) = x+ x2 とすると,これらから,合成関数
g(f(x)) = (x+ sinx) + (x+ sinx)2 , (3.45)
を構成することができる。
ここで列挙したようなやり方によって,多項式関数,指数関数,対数関数,三角関数を組み合わせて作られる関数を初等関数 (elementary function)という。例えば,
sinhx ≡ ex − e−x
2, coshx ≡ ex + e−x
2, (3.46)
のような双曲線関数 (hyperbolic function)等も初等関数の一種である。
3.2 微分■微分の定義 変数 xに対する関数 f(x)を考える。この関数に対して,ある点 x = aを考える。このとき,
lim∆x→0
f(a+∆x)− f(a)
∆x, (3.47)
z=g(f(x))
まずy=f(x)を求め,�出てきた値をz=g(y)�に代⼊してzを求める
z=g(f(x))は全体として�xをinputしてzが決まる�ようになっている。
微分法の計算ルール合成関数の微分
dg(f(x))
dx=
dg(y)
dy
df(x)
dx
合成関数の微分の使い⽅x(t) = (3t � 1)3 + 2(3t � 1)2 � 3(3t � 1) + 1
の導関数を求める
y = 3t � 1 とすると,x(y) = y3 + 2y2 � 3y + 1
dx
dt=
dx
dy
dy
dt= (3y2 + 4y � 3)3
=3�3(3t � 1)2 + 4(3t � 1) � 3
�yを元に戻す