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新倫理指針概要 1 人を対象とする医学系研究倫理指針

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新倫理指針概要

1

人を対象とする医学系研究倫理指針

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目次

1. 医学研究の倫理指針のきっかけ

2. 日本の臨床研究ルール

3. 倫理指針の見直し

4. ディオバン事件の反省

5. 主な改正点

6. 言葉の定義

2

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3

ニュルンベルク綱領 (Nuremberg Code)

1947年に、ナチス・ドイツの虐殺、人体実験に対する

ニュルンベルク裁判の結果として提示された研究目的の医療行為

(臨床試験及び臨床研究) をおこなうにあたって厳守すべき

10項目の基本原則

ヘルシンキ宣言 (Declaration of Helsinki)

1964年にヘルシンキで開催された世界医師会で採択。

正式名称:ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則

現在のものは、2013年に修正された37項目からなる。

医学研究の倫理指針のきっかけ

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1989年 旧 GCP (新薬の治験の実施基準)

- 行政指導 (通知)によるもの、我が国独自

1998年 現在の GCP (Good Clinical Practice ;臨床試験の実施基準)

- 薬事法に基づく省令

- 日米 EU の ICH 合意に基づくもの

† : ICH;日米 EU 医薬品規制調和会議

International Conference on Harmonization of Regulation of Pharmaceuticals for Human Use

2002年 疫学研究に関する倫理指針 (2007年改正)

- 文部科学省および厚生労働省の告示

2003年 臨床研究に関する倫理指針 (2008年改正)

- 厚生労働省の告示

日本の臨床研究のルール

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「疫学研究」と「臨床研究」の対象に重複する部分あり

→ 複数の規定が併存するため、研究者にわかりにくい

→ 規定の内容が微妙にずれていて、研究者を困惑させる

倫理指針の見直し

指針を一体化「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」

→ 適用範囲は、医学系研究全般

→ 他の指針が対象とする研究にも新しい指針を一部適用

→ 内容も大幅に変更

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ディオバン事件

- 高血圧治療薬:ディオバン (成分名 バルサルタン)

- 医師主導臨床研究にノバルティス日本法人の社員が統計解析者として

関与した利益相反問題 (COI : Conflict of Interest)

- 臨床研究の結果を発表した論文のデータに問題があったとして

一連の論文が撤回

投げかけられた問題

- 研究不正対策

- アカデミア臨床試験データの信頼性の確保

- 製薬企業による臨床研究支援のありかた

- 医療者向け広告

ディオバン事件の反省

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① 研究機関の長に総括的な監督義務、

研究責任者の責務の明確化、

研究者への教育・研修の充実等を規定

② 試料・情報を収集し、他の研究機関に提供する

バンク・アーカイブに関して規定

③ 介入を伴う研究の事前登録および終了時の公表の義務

④ 倫理審査委員会の機能強化と審査の透明性確保に関して規定

⑤ インフォームド・コンセント等に関する規定の強化

主な改正点(その 1)

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⑥ 個人情報等に関する規定の充実

⑦ 利益相反の管理に関する明確化

⑧ 研究に関する試料・情報等の保管義務に関して規定

⑨ 侵襲 (軽微な侵襲を除く)を伴い、

介入を行う研究のモニタリングおよび監査の義務化

→ この部分は本年10月から実施

主な改正点(その 2)

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ディオバン問題では、組織としての研究管理の欠如が露呈と指摘された

• 研究機関の長(病院長)に研究に関する総括的監督義務

• 許可した研究を監督し、最終責任を負う(新しく規定)

• 研究責任者の責務

• 他の研究者を指導・管理する義務

• 共同研究の際、他施設研究責任者との必要な情報の共有義務

• 倫理研修の義務

• 研究者は開始前だけでなく、継続して研修を受ける義務

• 1年1回を目安

• 研究機関の長にも、自ら研修する義務

• 倫理審査委員会委員、事務局にも、研修義務

① 研究関係者の義務の強化

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これまで、明確な規定はなかった。

• 「試料・情報を収集し、他の研究機関に反復継続して研究

用に提供する機関」= バンク・アーカイブ

• 倫理指針の対象であることを明確化

• 収集・提供業務の研究計画書の記載事項を新たに規定

② バンク、アーカイブの規定

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介入を行う研究を実施する場合の研究責任者の責務

• 研究開始前に、当該研究の概要を公開データベースに登録

• 研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて適宜登録内容を

更新

• 研究を終了したときは、遅滞なく、当該研究の結果を登録

• 研究が中断、失敗したときであっても、結果の登録義

務は免れない (publication bias 対策)

③ 介入研究の事前登録、終了時公表

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• 委員構成

• ①自然科学の有識者、②人文・社会科学の有識者

③一般の立場から意見を述べる者、

④当該機関に属さない者が複数名、

⑤男女双方から構成、⑥5名以上

を全て満たす。

• 成立要件 (①~⑥を満たすと委員会が成立)

• 委員・事務局の教育・研修の規定

• 倫理審査委員会の情報公開に関する規定を充実

④ 倫理審査委員会の強化、透明性確保

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• インフォームド・コンセントの手続を整理

• 研究対象者に生じる負担・リスクに応じて整理

• 文書又は口頭による説明・同意等

• 新たにインフォームドアセントを規定

• 未成年者等を研究対象者とする場合、親権者等のイ

ンフォームド・コンセントに加えて実施

• 研究対象者本人にも理解力に応じた分かりやすい説

明を行い、研究についての賛意(インフォームド・

アセント)を得る努力義務

⑤ インフォームド・コンセントの強化

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⑥ 個人情報に関する規定

• 死者について特定の個人を識別することができる情報

→ 研究者等及び研究機関の長の責務規定を充実

• 研究の実施に伴って取得される個人情報等を

広く指針の対象

→ 研究対象者(患者)の個人情報に限らない

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• 研究者等の報告

• 研究者等は、研究を実施するときは、個人の収益等、当該研究に係る利益相反に関する状況について、その状況を研究責任者に報告し、透明性を確保

• 研究責任者による研究計画書記載

• 研究責任者は、医薬品又は医療機器の有効性又は安全性に関する研究等、商業活動に関連し得る研究を実施する場合には、当該研究に係る利益相反に関する状況を把握し、研究計画書に記載

• 研究者等のインフォームドコンセント

• 研究者等は、研究計画書に記載された利益相反に関する状況をインフォームド・コンセントを受ける手続において研究対象者等に説明

⑦ 利益相反

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• 侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴い、

介入を行う研究に係る情報等

• 研究終了後5年又は結果の最終公表後3年の

いずれか遅い日までの保管の義務

• 研究責任者は、保管について、研究計画書に記載し、

研究者等を指導・管理

• 研究機関の長は、保管の手順書を作成し、監督

⑧ 研究試料、情報の保管義務

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• 研究責任者に、研究の信頼性確保の義務

• 侵襲(軽微な侵襲を除く) を伴い、介入を行う研究につ

いて、研究責任者に対し、モニタリングや必要に応じた

監査の実施

• これまで、GCP省令では規定されていたが、倫理指針

には全くなかった。

⑨ モニタリングと監査の義務化

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試料

人体から取得された試料

「試料」・「情報」の定義

(研究に用いられる) 情報

研究対象者の診断および治療を通じて得られた傷病名、

投薬内容、検査または測定の結果等、

人の健康に関する情報

その他の情報であって研究に用いられるもの

(死者に係るものを含む)

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研究目的で、人の健康に関する様々な事象に

影響を与える要因†の有無または程度を制御する行為‡

「介入」の定義

- 従来の定義は、「割付あり」と

「未確立医療行為の研究目的での実施」だけが介入

- 介入研究でない研究は、全て観察研究

†:健康の保持増進につながる行動および医療における傷病の予防、

診断または治療のための投薬、検査等を含む

‡:通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む

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モニタリング

研究が適正に行われることを確保するため、

・研究がどの程度進捗しているか

・この指針および研究計画書に従って行われているか

について、研究責任者が指定した者に行わせる調査

「モニタリング」と「監査」の定義

- 研究と同時進行

- 指定した者 = 研究グループ内で可

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監査

研究結果の信頼性を確保するため、

・研究がこの指針および研究計画書に従って行われたか

について、研究責任者が指定した者に行わせる調査

「モニタリング」と「監査」の定義

- 研究に対して回顧的

- 指定した者 = 研究グループ外

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研究計画書の作成

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目次

1. 研究責任者の責務

2. 研究計画書の記載事項

3. 研究の目的からデザインする

4. 研究計画書作成時のポイント

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研究の実施に先立ち、

適切な研究計画書を作成しなければならない

研究の倫理的妥当性および科学的合理性を確保し、

研究計画書を作成しなければならない

研究責任者の責務

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研究計画書に記載すべき事項は、原則として次の通り

倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した

事項については、この限りでない

記載しない場合は、倫理審査委員会が納得するよう

該当しない理由を記載する必要がある

研究計画書の記載事項

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1. 研究の名称

2. 研究の実施体制

3. 研究の目的及び意義

4. 研究の方法及び期間

5. 研究対象者の選定方針

6. 研究の科学的合理性の根拠

7. 第12の規定によるインフォームド・コンセントを受ける手続等

8. 個人情報等の取り扱い

9. 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、こ

れらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策

10. 試料・情報の保管及び廃棄の方法

11. 研究機関の長への報告内容及び方法

12. 研究の資金源等、研究期間の研究に係る利益相反及び個人の収

益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

13. 研究に関する情報公開の方法

14. 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

15. 代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、

第13の規定による手続

16. インフォームド・アセントを得る場合には、第13の規定による

手続

17. 第12の5の規定による研究を実施しようとする場合には、同規

定に掲げる要件の全てを満たしていることについて判断する方

18. 研究対象者等に経済的負担又は謝礼が有る場合には、その旨及

びその内容

19. 侵襲を伴う研究の場合には、重篤な有害事象が発生した歳の対

20. 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象

者への研究実施後における医療の提供に関する対応

21. 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害

に対する補償の有無及びその内容

22. 研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る

遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合

には、研究対象者に係る研究結果の取扱い

23. 研究に関する業務の一部を委託する婆愛には、当該業務内容及

び委託先の監督方法

24. 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等

から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用

いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合

には、その旨と同意を受ける時点においてそうていされる内容

25. 第20の規定によるモニタリング及び監査を実施する場合には、

その実施体制及び実施手順

研究計画書の記載事項

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1, 2, 7 ~ 25 → 定型としてある程度埋めていける

3, 4, 5, 6 → 研究者がしっかりと考える必要がある

3. 研究の目的及び意義

4. 研究の方法及び期間

5. 研究対象者の選定方針

3. 研究の

科学的合理性

の根拠

研究計画書の記載事項

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研究の目的

仮説

評価項目

解析方法

研究デザイン

目的の単純化

仮説が決まれば、おのずと決まる

仮説が決まれば、おのずと決まる

研究の目的からデザインする

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研究デザイン

ランダム化試験

非ランダム化試験

(前向き)コホート研究

後ろ向きコホート研究

ケース・コントロール研究

介入研究

観察研究

検証的研究

探索的研究

※ 同意取得の時期に、研究デザインは依存しない

研究計画書の記載事項

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選択基準・除外基準

しっかり記載しないと

倫理的に問題

解析した結果が信用できない(バイアス大)

副作用へのリスクマネジメント

文章にしないで、箇条書きで記載する

研究計画書作成のポイント

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研究スケジュール

文章で書かないで、表を作成する

評価項目 Visit 0 Visit 2 Visit 3

身長 ●

体重 ● ● ●

HbA1c ● ●

※全ての評価項目を記載する

研究計画書作成のポイント

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評価項目

患者さんは、研究計画書・説明文書に基づき同意する

研究計画書に記載していない評価項目は

同意の対象にならない

研究で収集する評価項目は全て記載する必要がある

研究計画書作成のポイント

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! 特に検証的研究の場合

たくさん評価項目があると、

どれが研究にとって一番大事な項目か分からない

主要評価項目(プライマリーエンドポイント)を

設定する必要がある

研究計画書作成のポイント

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解析方法

目的と仮説があれば、必ず解析方法は書ける

検定する

統計解析する

比較する

研究計画書作成のポイント

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35

! 特に検証的研究の場合

たくさん解析方法があると、

どれが研究にとって一番大事な方法か分からない

主解析を設定する必要がある

研究計画書作成のポイント

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症例数(sample size)設計

設定根拠を必ず書く

過不足ある症例数は倫理的に問題

過去の研究、研究者の予想から計算する必要がある

介入研究

根拠に基づき実施可能症例数を計算(1年あたり何人)

xxxx 年 ~ yyyy 年の対象症例を調査し、記載する

観察研究

研究計画書作成のポイント

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• インフォームド・コンセントの手順

37

• 実施にあたっての手順

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目次

1. 新たに試料・情報を用いる際のIC手続き

2. 既存試料・情報を用いる際のIC手続き

3. ICの説明事項

4. インフォームド・アセント

5. 研究に関する登録・公開

6. モニタリング・監査

38

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新たに試料・情報を用いる際の I C手続き

侵襲 文書による同意

介入 文書又は口頭でのICが必要

(口頭ICの場合は記録作成)

人体から 取得された試料

文書又は口頭でのICが必要

(口頭ICの場合は記録作成)

情報公開 拒否できる機会の保障

YES

NO

YES

YES

NO

NO

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既存試料・情報を用いる際の I C手続き

人体から取得された試料 情報公開

拒否できる機会の保障

試料が連結可能匿名化

されていて院内に対比表がある

公衆衛生上に必要

IC手続きが困難

利用不可

手続き不要

(連結不可能匿名化の場合)

以前に同意が取れている

(2次利用の同意)

該当研究の目的と関連性がある

情報公開・拒否できる機会の保障

文書又は口頭でのICが必要

(口頭ICの場合は記録作成)

情報公開

拒否できる機会の保障

YES

NO

NO

YES

YES

YES

NO

NO

NO

YES

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文書によるICを受けない場合は

3の規定(P21~22)による説明事項について

口頭によりICを受け、説明の方法及び、

内容並びに受けた同意の内容に関する記録を

作成しなければならない。

研究対象者に対して、同意の内容について記憶に

留められるような措置をとる事が望ましい。

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1. 研究の名称及び当該研究の実施について研究機関の長の許可を

受けている旨

2. 研究機関の名称及び研究責任者の氏名

3. 研究の目的及び意義

4. 研究の方法及び期間

5. 研究対象者として選択された理由

6. 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益

7. 研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても随時

これを撤回できる旨

8. 研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤

回することによって研究対象者等が不利益な取扱いを受けない

9. 研究に関する情報公開の方法

10. 研究対象者等の求めに応じて、他の研究対象者等の個人情報等

の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究

計画書及び研究の方法に関する試料を入手又は閲覧できる旨並

びにその入手又は閲覧の方法

11. 個人情報等の取扱い

12. 試料・情報の保管及び廃棄の方法

13. 研究の資金源等、研究期間の研究に係る利益相反及び個人の収

益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況

14. 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応

15. 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及

びその内容

16. 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、他の治療

方法等に関する事項

17. 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象

者への研究実施後における医療の提供に関する対応

18. 研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る

遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合

には、研究対象者に係る研究結果の取扱い

19. 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害

に対する補償の有無及びその内容

20. 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等

から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用

いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合

には、その胸と同意を受ける時点において想定される内容

21. 侵襲を伴う研究であって介入を行うものの場合には、研究対象

者の秘密が保全されることを前提として、モニタリングに従事

する者及び監査に従事する者並びに倫理審査委員会が、必要な

範囲内において当該研究対象者に関する試料・情報を閲覧する

I C の説明事項

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インフォームド・アセント

インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと

客観的に判断される研究対象者が、

実施又は継続されようとする研究に関して、

その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、

当該研究を実施又は継続されることを

理解し、賛意を表すること

※一般的に「アセント」・「インフォームド・アセント」とは

小児を研究対象とする場合について用いるが、本指針では

小児に限らず、ICを与える能力がない研究対象者

が対象の場合も規定している

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インフォームド・アセント

統合指針

アセントに

関する規定

自らの意向を表すことができると判断されるときには

インフォームド・アセントを得るように努める

拒否の意思表明

に関する規定

拒否の意向を表した場合はその意向を尊重するように努める

※研究の実施又は継続されることにより研究対象者に直接の健康上の

利益が期待され、かつ、代諾者が当該研究の実施または継続に

同意する場合はこの限りではない

対象者 参加の意思を表せると判断された小児・未成年、

または IC を与える能力がない者

※ 対象者が中学校を終了している、または16歳以上の未成年であり、

十分な判断能力を有すると判断された場合は代諾者と共に本人からの

IC を得る

※ 詳しい対象についてはガイダンスに例示予定

実施計画書への記載 説明事項及び説明方法の記載

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研究に関する登録・公開

統合指針

データベース登録の義務 あり

対象となる研究 侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴い、

介入を伴うもの

登録時期 研究実施前

登録内容

研究計画の内容

研究計画の変更及び進捗に応じた研究内容

研究結果

研究結果の公表義務 あり

※ 研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の

権利利益の保護のために非公開とすることが必要な内容として、

倫理委員会の意見を受けて研究機関の長が許可したものについては、この限りではない。

登録先:①大学病院医療情報ネットワーク研究センター (UMIN-CTR)

②日本医師会治験促進センター (JMACCT)

③日本医薬情報センター (JAPIC)

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モニタリング・監査

モニタリング 監査

対象となる研究 侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究であって

介入を伴うもの

実施の有無 必須 必要に応じて実施

実施計画書

への記載

モニタリングの実施体制・手順について記載

実施しない場合は

その旨を記載

監査の実施体制・手順について記載

実施しない場合は

その旨を記載

実施者 研究責任者が指名

研究責任者が指名

当該研究・モニタリングに携わるもの以外

結果報告 研究責任者

研究機関の長

研究責任者

研究機関の長

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モニタリング・監査(院内経過措置)

申請時に実施体制、手順が未定、検討中の研究につい

ては施行日 (H27年10月1日)までに実施体制を整える

事を条件とし、実施計画書に「準備中、検討中」の旨

を記載する

実施体制、手順が整い次第、速やかに実施計画書を

改訂し、倫理委員会へ変更申請をおこなう

対象となる研究:新指針が適応となる研究

H27年8月申請分まで

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倫理委員会への申請方法について

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(病院臨床研究倫理委員会)

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目次

1. 研究計画書の問題点の例

2. 申請の流れ

3. 申請スケジュール

4. まとめ

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主要評価項目の記載がない

費用 (患者負担)に関する記載が不十分

有害事象とその対応に関する記載が不十分

申請書と研究計画書の記載内容が異なっている

侵襲あり?なし? 介入あり?なし?

研究計画書の問題点の例

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ひな形の説明文がそのまま残っている

○○の講座研究費を用いて行われる。

被験者に費用の負担は生じない

※ その他、実情に合わせて適宜作成ください

書きかけ

研究計画書の問題点の例

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申請の流れ

研究者

総務課および臨床研究センター

病院臨床研究倫理委員会

申請書の作成と提出 (CT-Portal)

申請書のチェック

必要書類が揃っているか

記載に矛盾がないか

記載すべき事が網羅されているか

研究は科学的・倫理的に問題がないか審議

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申請スケジュール

日 月 火 水 木 金 土

前月

まで

当月

1週目

2週目

3週目

4週目

チェック済

提出締切

委員へ

査読依頼

委員へ資料

(印刷物)送付

倫理

審査

委員会

研究者 総務課

臨床研究センター

随時受付

平成27年3月審査分より適用

※ 研究者から申請 → 4日以内に臨床研究センターからコメントを返信

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申請スケジュール (平成 2 7年 3月 )

日 月 火 水 木 金 土

1 2 3 4 5 6 7

8 9 10 11 12 13 14

15 16 17 18 19 20 21

22 23 24 25 26 27 28

29 30 31

倫理

委員会

委員へ 資料送付

チェック済提出締切

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とりあえず申請

まとめ

指摘事項修正・早期に開始

充分練った研究を申請

質の高い倫理審査

質の高い臨床研究の実施