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FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

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FACTORY AUTOMATION

テンション制御コンプリートガイド

三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ三菱電機テンションコントローラ

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テンション制御コンプリートガイド

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CONTENTS

4

Chapter.1 張力制御の概要1-1 張力制御とは? 6

1-2 張力制御はこんなところで使われています 8

1-3 張力制御が応用される製品 9

1-4 製造工程での張力制御 10

1-5 身のまわりで探してみよう 14

1-6 張力制御導入による効果 16

Chapter.2 張力制御の基礎2-1 張力とは 20

2-2トルクとは 21

2-3 張力に影響する力 21

Chapter.3 トルク制御と速度制御3-1トルク制御と速度制御 26

3-2トルク制御と速度制御の使い分け 30

3-3 速度制御の例 30

3-4システム設計フロー 32

Chapter.4 張力制御(トルク制御)の種類4-1 手動制御 34

4-2 オープンループ制御 37

4-3フィードバック制御 40

Chapter.5 張力検出器とは5-1 張力検出器とは 44

5-2 張力検出器の種類と特徴 45

5-3 張力検出器の選定 46

5-4 張力と荷重 48

5-5 張力検出器取付時の注意 49

Chapter.6 アクチュエータ6-1アクチュエータの種類と特徴 54

6-2 パウダクラッチ・ブレーキ 55

6-3 ACサーボモータ、インバータ/モータ 58

6-4 エアクラッチ・ブレーキについて(他社) 60

6-5 モータ制御とパウダ制御の違い 61

6-6アクチュエータの選定フロー 62

6-7アクチュエータの選定 63

Chapter.7 張力制御システム構築の基礎7-1 基本の張力制御システム 78

7-2 張力制御システムの構成 83

7-3 テーパテンション制御 90

Chapter.8 用途例8-1 ビジネスフォーム印刷機 92

8-2 オフセット印刷機 93

8-3 グラビア印刷機 94

8-4 スクリーン印刷機 95

8-5 アンワインダ 96

8-6 打抜機 97

8-7 インフレ押出し機+2軸フィルム巻取り機 98

8-8 多連カッタ 99

8-9 スリッタ① 100

8-10 ラミネータ 101

8-11 圧延機 102

8-12 フィルム洗浄装置 103

8-13 メッキ装置 104

8-14 巻取り機 105

8-15 厚み測定機 106

8-16 鋼板メッキ処理ライン 107

8-17 静電除去装置 108

8-18 スリッタ② 109

8-19 ラミネータ 110

8-20 フィルム加工機 111

Chapter.9 トラブル事例と対処法

Chapter.10 Q&A10-1 パウダクラッチ・ブレーキのよくある質問 118

10-2 テンションコントローラのよくある質問 125

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Chapter.1

張力制御の概要

1-1 張力制御とは?1-2 張力制御はこんなところで使われています1-3 張力制御が応用される製品1-4 製造工程での張力制御1-5 身のまわりで探してみよう1-6 張力制御導入による効果

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6

Chapter.1 張力制御の概要

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

巻取り

巻出し

パウダブレーキ

主軸モータ

張力検出器

張力検出器■材料 紙、金属箔、フィルム、線材、糸など

主軸モータで主軸を駆動し、長尺材を左から右へ送っています。モータの速度により送り速度(ラインスピード)が決定されますが、張力には関係がありません。ただし、張力が大きくなると出力の大きなモータが必要になります。

主軸モータ

材料のたるみをなくし張力を発生させるには、巻取りモータの回転速度を制御する必要があります。インバータでモータをベクトル制御することで、正確に巻取り速度を調整できます。

巻取り部

送りモータで送りロールを駆動します。モータは速度制御される場合と、トルク制御される場合があり、主軸や他の送りロールとの間で、速度の同期や張力が制御されます。

送りモータ

巻出し張力は、巻出し部に設けたパウダブレーキのブレーキトルクによって決定されます。一定の張力を保つためには、巻径の減少に伴ってブレーキトルクを小さくする必要があります。

巻出し部

張力制御に必要な機器

張力制御のメリット

… 加工精度向上

… 時間効率向上

… 材料効率向上

早く

正確に

ムダなく

インバータ、モータ

送りモータ

張力制御の概要Chapter

1-1 張力制御とは?

テンション制御ともよばれ、紙やフィルムなどの長尺材に印刷・塗工・スリットなどのさまざまな加工をロール to ロール方式で施します。このとき、安定した加工をするには、材料の張力を適正でかつ精度よく制御することが重要です。

1

パウダクラッチ パウダブレーキ 張力検出器

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Chapter.1張力制御の概要

7

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

巻取り

巻出し

パウダブレーキ

主軸モータ

張力検出器

張力検出器■材料 紙、金属箔、フィルム、線材、糸など

主軸モータで主軸を駆動し、長尺材を左から右へ送っています。モータの速度により送り速度(ラインスピード)が決定されますが、張力には関係がありません。ただし、張力が大きくなると出力の大きなモータが必要になります。

主軸モータ

材料のたるみをなくし張力を発生させるには、巻取りモータの回転速度を制御する必要があります。インバータでモータをベクトル制御することで、正確に巻取り速度を調整できます。

巻取り部

送りモータで送りロールを駆動します。モータは速度制御される場合と、トルク制御される場合があり、主軸や他の送りロールとの間で、速度の同期や張力が制御されます。

送りモータ

巻出し張力は、巻出し部に設けたパウダブレーキのブレーキトルクによって決定されます。一定の張力を保つためには、巻径の減少に伴ってブレーキトルクを小さくする必要があります。

巻出し部

張力制御に必要な機器

張力制御のメリット

… 加工精度向上

… 時間効率向上

… 材料効率向上

早く

正確に

ムダなく

インバータ、モータ

送りモータ

テンションコントローラ AC サーボ インバータ ベクトル制御用モータ ギヤードモータ

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8

Chapter.1 張力制御の概要

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

1-2 張力制御はこんなところで使われています

●検査する

品質管理

●材料を作る

フィルム、紙、箔、電線、繊維

●加工する

印刷 スリット

コーティング ラミネート

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Chapter.1張力制御の概要

9

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

1-3 張力制御が応用される製品

●スーパーマーケットのレジ袋の製造工程

レジ袋やゴミ袋などはインフレーション式押出機で製造します。加熱して融解したポリエチレンやポリプロピレンなどの材料を筒状にしてエアブローで押し出します。押し出された筒状の材料は冷却されてから中の空気を抜いて平らな袋状のシートにしてから巻き取ります。

●紙やフィルム材料の張力が低い場合

紙やフィルム材料の張力が低い場合は印刷時に材料が弛 ん だ り し わ が 入 る こ とが あ り、 張 力 が 大 き す ぎる 場 合 に は 印 刷 後 に 縮 んだりすることがあります。 また張力が安定していないと印刷時に色ずれの原因にもなります。

電子デバイス材料電子デバイス材料 光学フィルム光学フィルム

紙・プラスチック紙・プラスチック ハイテク繊維ハイテク繊維

電子デバイス材料電子デバイス材料 光学フィルム光学フィルム

紙・プラスチック紙・プラスチック ハイテク繊維ハイテク繊維

紙類 プラスチックシート フィルム ラミネート品

アルミ箔 銅箔 金属箔 電線類

ハイテク繊維電子デバイス 光学フィルム

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10

Chapter.1 張力制御の概要

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

2345

6

1

ポリプロピレン印刷

DES蒸着

スリット

ラミネート

フィルム断面図

製袋

CPP製造

DPP製造DES製造

234

56

1

DES(2軸延伸ポリエチレン)

ポリエチレンCPP(キャストポリプロピレン)

4

56

インクポリエチレンアルミ

DPP(2軸延伸ポリプロピレン)

23

1

1-4 製造工程での張力制御

■1-4-1 例えば…スナック菓子の袋の製造工程ここではスナック菓子の袋の製造工程を例に、張力制御が応用されるさまざまな産業機械を見てみましょう。

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Chapter.1張力制御の概要

11

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

2345

6

1

ポリプロピレン印刷

DES蒸着

スリット

ラミネート

フィルム断面図

製袋

CPP製造

DPP製造DES製造

234

56

1

DES(2軸延伸ポリエチレン)

ポリエチレンCPP(キャストポリプロピレン)

4

56

インクポリエチレンアルミ

DPP(2軸延伸ポリプロピレン)

23

1

スナック菓子の袋も張力制御の技術を用いて製造されます。この袋はアルミ層も含めると6層構造となっています。その理由は、スナック菓子を紫外線、酸素、水、油などから遮断して(保存性・安全性)、風味も逃がさないようにするためです。

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12

Chapter.1 張力制御の概要

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■1-4-2 例えば…リチウムイオン電池の生産ラインここでは、リチウムイオン電池の生産ラインの中に張力制御が応用されている工程の例をご紹介します。

材料加工ラインで製造した正極材と負極材を、セパレータで絶縁された状態に巻き取ります。

捲回

材料加工ライン

乾燥

捲回

材料の加工をした後、スリッターで、電池容器内に収まるように切り分けます。

スリット

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Chapter.1張力制御の概要

13

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

正極材(アルミ箔)、負極材(銅箔)それぞれにスラリー(合剤塗料)を塗布します。

塗工

材料の大きさや捲回枚数を変更して、さまざまな大きさの製品を製造することができます。

様々な用途に使用されるリチウムイオン電池

セルモジュール化ライン

スラリー

電極材

塗工

ラミネート

電解液注入 エージング

容量測定

モジュール組立

検査

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14

Chapter.1 張力制御の概要

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

主翼前縁

水平尾翼

垂直尾翼

1-5 身のまわりで探してみよう

●例えば…燃費と航続距離の向上およびCO2の排出削減を目的として炭素繊維が注目されています。炭素繊維の生成や炭素繊維を使った成型品の加工にも、張力制御の技術が用いられています。

●例えば…航空機と同じ目的で炭素繊維の成型品の加工に張力制御の技術が用いられています。

ドア補強材

ボンネット

リチウムイオン電池

天井

航空機

自動車部品

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Chapter.1張力制御の概要

15

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

●例えば…●例えば…液晶テレビには、液晶の高機能シートやフィルムコンデンサなどに、張力制御の技術が用いられています。

携帯電話などのバッテリーはアルミなどの薄い金属箔を積層して作られます。薄い金属箔を均等に積層するには高度な張力制御を必要とします。

●例えば…携帯電話には電子回路が内蔵されており、回路はプリント基板上に実装されています。電子部品の中のセラミックコンデンサという1〜2mmサイズの直方体の部品の製造にも、張力制御が応用されています。

ホイルフィルム

リチウムイオン電池 偏光板、保護材

セラミックコンデンサ

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16

Chapter.1 張力制御の概要

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

1-6 張力制御導入による効果

●張力制御をしないと…

張力制御をしない巻取りは、トイレットペーパーをほどいた後に手で巻き戻した姿や、おもりのついてない状態でリールを巻き戻した姿を想像してください。きれいに巻き取れない姿が容易に想像できると思います。

■1-6-1 巻取り姿の改善

材料を加工して巻き取る段階では、張力制御を用いることにより良好な巻姿にすることができますが、適切に張力制御がされなければ、次のように不具合が発生することになります。

菊模様:巻締まりにより中心部が潰れる陥没:巻取り後に陥没する湾弧・竹の子:巻取り時に材料がずれる肩落ち:巻取り時に両サイドが欠ける

菊模様 陥没ロール

湾弧 竹の子 肩落ちロール

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Chapter.1張力制御の概要

17

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■1-6-2 印刷品質の向上

過大張力過小張力 張力が弱いと、しわのある状態で印刷することになり、印刷パターンが途切れたりすることがあります。張力が強すぎると、材料を伸ばした状態で印刷することになり、張力がなくなると材料が縮んで、印刷も変形します。適正な張力を保つことによってきれいな多色刷りに仕上がります。各印刷ユニットの張力が不揃いであったり、変動があったりすると、色のはみ出し・にじみ・変形などが発生します。

張力制御不良

色ズレ

M

■1-6-3 スリッタの加工品質の向上

しわ

たるみ

不揃い

各巻取軸の張力制御だけではなく、上下の張力が同じでないと、幅が不均一となり、しわ・たるみなどが発生します。

Page 18: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

18

Chapter.1 張力制御の概要

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■1-6-4 ラミネータの加工品質の向上

カール

しわ

上下の張力を制御しないと、材料の伸縮の影響を受け、しわやカールなどが発生します。

■1-6-5 コータの加工品質の向上

不均一な厚み

丸にならない

塗工前後の張力が不均一であれば、厚みが不均一になり、製品に影響を及ぼします。

ポイント! 張力制御はなぜ必要か?

張力を制御する目的は材料や機械によってさまざまです。張力を制御することで、ちょうど良い張力を保ちながら材料を次の工程(印刷、貼り合わせ、機械加工など)へ送ることができるため、材料走行の安定化、寸法精度の確保、巻上がり状態を良くすることにつながります。

Page 19: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

Chapter.2

張力制御の基礎

2-1 張力とは2-2 トルクとは2-3 張力に影響する力

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20

Chapter.2 張力制御の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

張力制御の基礎

2Chapter

2-1 張力とは

長尺材料を加工する機械ではいろいろな物理現象が発生しています。しかしこれが私たちの身のまわりで発生している現象となかなか結びつかないものです。

●引っ張る力と引っ張られる力

FF

ff

両者が引っ張り合っていると、ロープに張力がかかります。静止した状態では、引っ張る力(F)と引っ張られる力(F)は釣り合っており同じ張力がかかることは簡単に理解できます。

それでは、ロープが動く場合の張力はどうなるでしょう?一方が固定されていない場合は、ロープは右側に移動します。ロープには、先ほどよりも弱い力(f)しかかかりません。つまり、ロープが移動する場合は、引っ張る側の力では張力は決まりません。引っ張られる側の力に影響されます。

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21

Chapter.2張力制御の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

外径( D )

送りモータ

モータトルク

ブレーキトルク半径(   )

トルク( T )

張力( f )

D2

2-2 トルクとは

長尺材料を送り出すときの張力とトルクの関係について示します。トルクとは回転軸に作用する力のことです。長尺材料を送り出す場合、巻軸の制動トルク(ブレーキトルク)がモータトルクよりも弱いため、材料は右側に送り出されます。この場合、材料が受ける張力(f)は弱い側の制動トルク(T)で決まり、そのときのトルク(T)と張力(f)の関係は下記となります。

張力 ( f ) = トルク (T)半径 (D / 2)

2-3 張力に影響する力

張力:F

慣性モーメント(イナーシャ:I )

角加速度:α

負荷トルク:Tb

摩擦抵抗(メカロス)

Tn

D2

次に、実際の機械で張力に影響する力の例を考えてみます。長尺材料を送り出すときにどのような力が働くでしょうか?

◆ 引っ張ることによる張力 :F

◆ 慣性モーメント:I

◆ 角加速度:α

◆ 加減速時の角加速度が変化するときに発生するトルク:I × α

◆ 軸の摩擦による摩擦抵抗:Tn

◆ 負荷トルク:Tb(ブレーキトルクに相当)

  などがあります。

回転運動の運動方程式は

F ×  = I ×α+ T n + T b張力 半径 慣性モーメント 角加速度 摩擦抵抗 負荷トルク

D2

I × αは、加減速時の角加速度が変化するときに発生し、等速時には影響がなくなります。摩擦抵抗 Tn は、軸を支える軸受けやギヤ、ベルト駆動により発生する摩擦抵抗(メカロス)によるものです。Tn は、温度や回転速度により変化します。また軸受けは、隙間精度やシールの種類によっても変化し、その値は一定ではありません。Tb はブレーキなどによる負荷トルクです。よって、張力を制御するにはこれらの3つのトルクをうまく制御しなければなりません。

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22

Chapter.2 張力制御の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■2-3-1 慣性モーメント(イナーシャ)

慣性モーメントとは、回転体における回りにくさを表す指標です。直線運動の場合の質量は、力を加えられたときの「動きにくさ」や「止まりにくさ」を表しています。回転運動の場合の慣性モーメントは、回転させようとする力が加わったときの「回転のしやすさ」や「回転の止まりにくさ」を表しています。例えば巻軸では、外径の大きいものや質量の大きいものは回すまでは大変なのですが、一度回り始めると、回り続ける性質を持っています。これが「慣性モーメントが大きい」ということです。式で表すと次のようになります。

( 慣性モーメント )= Σ [(回転の中心からの距離 ) × ( 質量 )]

慣性モーメント (イナーシャ )が大きい

慣性モーメント (イナーシャ )が小さい

減速

等速

加速

回転体を加減速させる場合には、イナーシャの考慮が必要です。イナーシャ:I の回転体を加速するために必要なトルク:T は

よって、回転体を引っ張って加速させる場合には、+側(張る側)のテンションとなって現れ、逆に減速させる場合には、−側(ゆるむ側)になることを考慮する必要があります。一定速の定常運転時は、角加速度α =0 のため、発生しません。

T = I × α

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23

張力制御の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Chapter.2

■2-3-2 摩擦抵抗(メカロス)による力

ギヤ ベアリング

軸を回転させる場合には、摩擦抵抗が発生します。軸を支える軸受けやギヤ、プーリなどに発生します。この摩擦抵抗も張力に影響します。低張力の制御を行う場合は、摩擦抵抗の影響が無視できないので、対策が必要です。

ポイント! 張力、トルク、慣性モーメント(イナーシャ)、摩擦抵抗(メカロス)の考え方の基本を理解しよう!

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24

Chapter.2 張力制御の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

MEMO

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Chapter.3

トルク制御と速度制御

3-1 トルク制御と速度制御3-2 トルク制御と速度制御の使い分け3-3 速度制御の例3-4 システム設計フロー

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26

Chapter.3 トルク制御と速度制御

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

トルク制御と速度制御Chapter

33-1 トルク制御と速度制御

張力制御の方法は大きく分けてトルク制御と速度制御の2つがあります。

トルク制御

ブレーキ

送りロール

送りモータ

パウダブレーキ

速度制御

送りロール

材料の速度を検出

送りモータ

ベクトル制御モータ

ダンサロール動

同調

トルク制御の場合、長尺材料に働く 2-3 で述べた 3 つのトルクのうち張力を制御するために必要なトルクを制御し、あとの摩擦抵抗やイナーシャ(慣性)を制御するトルクは必要に応じて補正制御します。

一方速度制御は材料が流れる速度を制御することで、張力を安定化させるものです。張力は重りやダンサロールの加圧により付加されるために、成行きで決まってしまいます。したがって、速度制御の場合は張力を制御するためのトルクだけを操作するには、ダンサロールの加圧を変化させたり、材料の送り速度の差を利用した制御(ドロー制御)をしなければなりません。

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27

Chapter.3トルク制御と速度制御

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■3-1-1 トルク制御のしくみ

送りロール

送りモータ

パウダブレーキ

左図は巻出しを例にしたトルク制御を模式化した図です。トルク制御では、材料の移動速度が一定の場合、加減速によるイナーシャの影響や摩擦抵抗がほぼ一定になるので一定のブレーキトルクを与えるだけで簡単に張力が制御できます。巻軸の回転速度については、送り速度と巻軸材料巻径により成行きで決まります。回転速度が変化しても一定トルクを発生するアクチュエータ※

を採用すれば、巻軸の回転速度変化に関係なく張力を制御するためのトルクを可変するだけで簡単に目的の張力に制御できます。

※アクチュエータとは… 巻取軸、巻出軸などに設けられるクラッチ、ブレーキ、モータなどの駆動機器のことをいいます。

慣性が大きいと大変!

一方、トルク制御は加減速時のイナーシャ(慣性モーメント)の影響や機械摩擦の変化が大きい場合は、これらの影響による張力の変動を完全に抑えることは困難です。巻軸材料の巻径が大きくなると巻軸材料のイナーシャもそれに従い大きくなり、慣性を補償するためのトルクが大きくなります。したがって、慣性が大きいほど、また加減速が速いほどトルク制御は不利になります。

対応する機器

パウダクラッチZKB-BN形

パウダブレーキZKB-XN形

ベクトル制御用モータSF-V5RU

ACサーボモータMELSERVO-J4

インバータ(ベクトル制御対応 )

FREQROL-A800

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28

Chapter.3 トルク制御と速度制御

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■3-1-2 速度制御のしくみ

送りロール

材料の速度を検出

送りモータ

ベクトル制御モータ

ダンサロール

同調

ついていくのが大変!

慣性増加

左図は巻出しを例にした速度制御を模式化した図です。実際の機械では、材料を送り出すモータの回転速度を制御することになります。一方張力は、ダンサロール※にこの図と同じように重りを吊るすか、ダンサロールにエアシリンダなどで加圧することになります。

※ダンサロールとは…           支軸が上下、または左右に移動できる従動ロールであり、ロール支軸に与えた荷重によって材料の張力が決まります。

速度制御は機械の中を移動する材料の速度を検出し、これに機械のほかの駆動部分が同期同調するように制御するので、材料移動の安定化が容易です。また、慣性や機械摩擦のトルク変動があってもトルクは成行きで決まってくれるので、材料の安定が損なわれることは少なくなります。しかし、張力を制御するためのトルクだけを可変することができないので張力の精度は劣ります。ダンサ速度制御では、ダンサロールの重りやエアシリンダにより加圧して張力を変化させるが、重りを載せるとダンサロールの慣性も増加し、これにより速度検出の応答性が鈍くなったり、張力変動を逆に発生させる原因になることもあります。エアシリンダによる加圧はエアの圧力変動が張力の変動になります。したがって、張力の絶対制御精度はトルク制御より劣ります。

■ダンサロール

ダンサロールとは上下や左右に大きく移動するローラで、ウェイトダンサやスプリングダンサなどの種類があります。

●ウェイトダンサ

モータ

モータ

重り

• 張力は重りの重さの 1/2 となる

• ダンサ位置と張力は関係ない

• ダンサ位置は入出力速度差に依存する

• 加減速でも容易に安定する

• 駆動制御軸間の材料長が長くなっても同期が取りやすい

• 張力を変えるには、重りの重さを可変する必要がある

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29

Chapter.3トルク制御と速度制御

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

●スプリングダンサ

ベクトル制御モータ

モータ

スプリング

ダンパー

• スプリングのバネ力が張力になる

• 張力によりダンサ位置が変化する

• 速度差によりダンサ位置は変化しない

• ウェイトダンサより張力の制御精度が良い

• ショックを吸収する役目もする

• スプリングを安定させる必要がある (ダンパーが必要)

対応する機器

ACサーボモータMELSERVO-J4

インバータ(ベクトル制御対応 )

FREQROL-A800

ベクトル制御用モータSF-V5RU

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30

Chapter.3 トルク制御と速度制御

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

3-3 速度制御の例

❶張力検出器※による方法

❷ダンサロールによる方法 ( エアシリンダによる加圧 )

• 加減速でも容易に安定が得られる

• パス長が長くなっても同期が取りやすい

• ショックを吸収する役目もする

• 張力の精度はエア圧と機械機構に依存する

[ダンサロールによる速度制御の特徴]

モータ

モータ

速度設定

張力設定

INV F/V

ダンサ位置設定

INV+

PLG

+CMP-

モータ

モータ

速度設定 INV

+CMP-

F/V

張力設定

INV+

PLG

張力検出器

• 簡単な構成で速度制御が行える

• 張力の精度はダンサ制御より良い

• 張力の安定性が劣る

• 材料の特性で制御性が大きく変化する

[張力検出器※による速度制御の特徴]

※張力検出器とは… 張力を一旦荷重に変換し、その荷重を電気信号

として取り出す機器のことをいいます。

3-2 トルク制御と速度制御の使い分け

どのような使用条件であっても全てトルク制御が当てはまるわけではありません。逆に速度制御が全て当てはまるわけでもありません。使用条件に応じて適切な方式を選ぶ使い分けが必要です。そのためには、それぞれの特徴を知っておく必要があります。

トルク制御 速度制御

・張力の精度

○ ×アクチュエータの発生するトルクで決まるので、きめ細かい制御が可能となる。

張力はダンサロールの重りやエアシリンダの加圧により決まるが、逆に張力の変化があったときに張力を制御するためのトルクだけを可変できない。

・加減速あり・巻径の変化大・低張力

× ○慣性の変化によるトルクの変化の影響を受けるため制御が困難。巻軸の慣性に打ち勝つ力で引っ張らないと巻軸が回転しないため、張力の下限に制約ができる。

加減速があっても、張力はダンサロールの重りやエアシリンダの加圧により決まるため、加減速の影響をあまり受けない。巻軸に駆動をかけることもできるので、積極的に材料を送り出すことで張力を低くすることができる。

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31

Chapter.3トルク制御と速度制御

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

❸ダンサロールによる方法 ( パウダクラッチによる加圧 )

左図のとおり走行材料によって多数の従動ロールを駆動させる場合、従動ロールのメカロスの影響で先頭部に行くほど張力が過大になることがあります。これを防止するために各従動ロールを駆動する場合、材料の伸縮に応じた速度制御が必要となります。

❹ドロー制御の方法

対応する機器

• 張力はパウダクラッチのトルクで可変できる

• ダンサ位置は入出力速度差に依存する

• パス長が長くなっても同期が取りやすい

• ダンサ位置と張力は関係ない

[パウダクラッチによる速度制御の特徴]

左図のとおり各ロールをサーボモータで駆動し、比率設定器によって前段モータよりも後段モータを高速で駆動することもできます。伸び率は概略 0.1 〜 5% の値となります。

このように後段ロールを高速駆動する方式をドロー制御といい、運転張力は材料の伸び率特性によって決定されます。

モータ

モータ 張力設定+CMP-

AMP

F/V

速度設定

INV

INV+PLG

ダンサ位置設定

カウンタウェイト

従動ロール

送りロール

過大張力

送りモータ

比率設定器

送りロール

送りモータ

サーボモータ

ACサーボモータMELSERVO-J4

インバータFREQROL-A800 フランジ形張力検出器

LX7-F 形

据置形張力検出器LX-TD 形

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32

Chapter.3 トルク制御と速度制御

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

3-4 システム設計フロー

①機械の要求仕様の確認

②機械仕様の決定

③テンション制御システムの 工程切分け

④主軸の決定

⑤駆動軸間の制御方式の決定

⑥アクチュエータ方式の決定

⑦アクチュエータの選定

⑧アクチュエータの見極め

⑨制御装置の決定

⑩制御装置の確認

×

×

ウェブの物性、加工工程、機械の目的など

ラインスピード、テンション、巻径、ロール径など

テンションカットの位置、制御主体(方法)など

主軸となる駆動軸を決定

機械仕様の再検討

トルク制御か速度制御かを選ぶ

使用するアクチュエータの種類を選ぶ

アクチュエータの容量(機種)を選ぶ

適切なアクチュエータが選べたか?

制御方式から制御装置を選ぶ

適切な制御装置が選べたか?

完了

テンション制御システムの構築

制御方式の再検討

ポイント!トルク制御と速度制御、ダンサロールと張力検出器との組合せを考えよう!

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Chapter.4

張力制御(トルク制御)の種類

4-1 手動制御4-2 オープンループ制御 (巻径検出式)

4-3 フィードバック制御 (別名 : クローズドループ制御)

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34

Chapter.4 張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

張力制御(トルク制御)の種類

手動制御、オープンループ制御(巻径検出式)、フィードバック制御(別名:クローズドループ制御)の3種類があります。 

■4-1-1 手動張力制御とは…

4-1 手動制御

Chapter

4

調整器内蔵の LD-40PSU形(定電圧電源装置)や、調整器を外付けして用いる LE-50PAU形(定電圧、定電流切替式パワーアンプ)、LD-10PAU形

(定電流制御方式)などがあります。これらのうち、パワーアンプは後述のテンションコントローラの出力信号を増幅して、クラッチ・ブレーキを励磁するときにも用いられます。その他、さまざまな電源装置、電源用部品も準備されています。

巻取りや巻出しにおいて、巻径の変化に伴って段階的にクラッチやブレーキの励磁電流あるいは印加電圧を調整し、ほぼ一定の張力を得る方式を手動張力制御といいます。このための電源装置としては電源電圧の変化を自動的に補償するものや、クラッチ・ブレーキの励磁コイルの温度変化に対して一定の電流を得るようにしたものなど、数々の製品が揃っています。

主軸

パワーアンプ

調整ボリューム

パウダブレーキ

巻軸

【デメリット】◆制御精度が悪い

◆人の感覚が頼り

◆段階的な制御しか行えない

【メリット】◆機械式と比較すれば◦制御安定度が高い◦調整が簡単

◆導入コストが安い

手動電源装置LD-40PSU形

パワーアンプLE-50PAU形

パワーアンプLD-10PAU形

対応する機器

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35

Chapter.4張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■4-1-2 手動電源の使用例

紙やフィルム、線材の加工機で、巻径比(最大径/最小径)が小さい場合、また巻径が変化しない中間軸の場合、また張力精度が要求されない場合に左図のように手動電源装置が用いられます。張力精度は期待できませんが電源装置のパネルのボリュームで容易に張力を変えることができます。また構造が簡単であり低コストで張力の調整が可能です。

手動電源装置

パウダブレーキ

■4-1-3 パワーアンプの使用例

制御軸が多数ありシーケンサで集中制御する場合、左図のとおりパワーアンプを使用するとパウダブレーキ・クラッチを使いやすくすることができます。

パワーアンプ

近接スイッチ

パワーアンプ

シーケンサ

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36

Chapter.4 張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■4-1-4 パワーアンプの使用例(モータ検査)

モータ

パウダブレーキ

パワーアンプ

トルク検出器

モータの負荷試験装置の負荷としてパウダブレーキが有効です。例として左図に示すとおり、出力 600W(トルク44N•m、回転速度 130r/min)の減速機付モータの特性を測定するためのパウダブレーキを選定します。

スリップ工率 P は

P = 0.105 × T × Nr = 0.105 × 44 × 130 = 600(W)

(計算結果からわかるように、モータ出力=パウダブレーキのスリップ工率(発熱量)となります。)

ZKB-5HBN 形 パ ウ ダ ブ レ ー キ( 許 容 連 続 ス リ ッ プ 工 率1100W、定格トルク 50N•m、許容回転速度 1800r/min)を選定します。パウダブレーキの励磁電流を定電流式のパワーアンプを用い変化させることで、モータへの負荷トルクを変化させ、モータ電流、回転速度の変化を記録します。また、トルク検出器からの信号をテンションコントローラに取り込めば、フィードバック制御することも可能です。

回転速度センサ

パウダブレーキ

モータ トルクセンサ

パワーアンプ記録計

トルク信号

回転速度信号 アンプ

回転速度センサ

パウダブレーキ

モータ トルクセンサ

記録計

トルク信号

回転速度信号

テンションコントローラ

アンプ

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37

Chapter.4張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

対応する機器

4-2 オープンループ制御(巻径検出式)

■4-2-1 オープンループ制御とは…

【メリット】

◆フィードバック制御より導入コストが安い

◆安定した制御が行える

◆張力検出器が不要

◆テーパ制御が容易

【デメリット】

◆メカロスやアクチュエータ特性の影響が出る

◆制御張力が把握できない

テンションコントローラ

近接スイッチ

パウダブレーキ

モータ

主軸

巻軸

フィードロール

巻取り、巻出しにおいて巻径を検出し、巻取りトルクや巻出し制動トルクを制御する方法です。この方式は張力一定で制御しようとした場合、巻径と巻軸トルクは比例する関係により制御が行われ、後述の張力検出方式(張力フィードバック方式)に比べ、急激な外乱に過敏な影響を受けず、安定した張力制御が行えます。また張力検出器が使用できない機械の制御や簡単にテーパ制御を行いたいときも対応できます。ただし、アクチュエータのトルク変化や直線性、メカロスなどの影響を受けるため張力の絶対精度はフィードバック制御よりも劣ります。

LD-30FTA形

オープンループ式テンションコントローラ

オープンループ式テンションコントローラLD-10WTB-CCLLE7-40GU-L + LE7-DCA

テンションコントローラ

(巻径演算オプション)

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38

Chapter.4 張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

超音波センサ

制御装置

A/D変換

最小径

最大径変換

~

●超音波式

超音波センサを用いて反射で返ってきた信号を読み取り、巻径を得る方式です。

◆非接触のため、材料を傷つけません。

◆超音波センサによって検出できない材料もあります。

◆巻径の増加減少方向と電圧変化方向が一致しません。

近接センサ材料厚 t (μm)

開始径ØD0 (mm)

制御装置

材料厚 巻径初期値

巻軸パルス

●積算厚み式

巻枠軸に設けられた近接スイッチにより検出された巻枠軸の回転と巻軸径の初期値と材料厚みにより巻径を計算する積算厚み検出方式です。この方式は、巻軸1回転あたり材料厚みの2倍分の巻径変化があることを利用して、巻径の初期値に対しての材料厚みの累積を計算することにより現在の巻径を求める方式です。

◆近接センサ 1 個で簡単に非接触巻径演算ができます。

◆材料の伸びや空気の巻込みで誤差が発生します。

◆材料が厚いときは、1 回転あたりのパルス数を増やして対応できます。

■4-2-2 巻径の検出および演算方法

●タッチアーム(レバー)式

制御装置

タッチアーム

ポテンショメータ

A/D変換

最小径

最大径変換

~

巻径に接触するロールの移動角をレバーの動きで検出し、巻径に比例した信号を得る方式です。

◆アーム角度検出用センサとしては、ポテンショメータ、差動トランスなどがあります。

◆材料に接触するために表面に傷がついたりするなど、注意が必要です。

◆アームの押付け圧を調整する必要があります。

材料に接触せず巻径を演算する方法材料に接触して巻径を検出する方法

材料に接触せず巻径を検出する方法

●積算厚み式

●速度厚み式

●比率演算式

●タッチアーム(レバー)式

●超音波式

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39

Chapter.4張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

材料の厚みの設定値と平均速度の値から時間の経過に伴っての巻径を算出する方式です。

左の式は、厚さ T(μm) の材料をラインスピード V(m/min)で巻取り、巻出しする場合の巻径 D(mm) を示しています。

したがって、初期値として D1(巻取り)、D4(巻出し)を設定し、材料厚さ T、平均速度 V を設定すれば、時間の経過に伴って巻径 D は左の式で自動的に算出することができます。 これを速度・厚み設定方式といいます。

●速度厚み式(センサレス方式)

巻出し 巻取り

V(m/min)

T(μm)ØD

1(mm

)

ØD

4(mm

)

D= D12+4TVt/π …… 巻取りD= D42ー4TVt/π …… 巻出し

D1 = 最小径 (mm)D4 = 最大径 (mm)t = 運転時間 (min)

タイマ

巻径演算

材料厚 巻径初期値

近接センサ エンコーダ制御装置

計数値N

カウンタ

巻径演算Zero

~

●比率演算式

巻枠軸の近接スイッチとフィードロールの回転速度を検出するロータリエンコーダの2つのセンサを用いた比率演算方式です。この方式は巻枠の回転周期が巻径の増加に従って伸びることと、径の一定なフィードロールに取り付けられたロータリエンコーダのパルス数は、速度が一定である限り変化しないことを利用し、巻枠軸1回転当たりのロータリエンコーダのパルス数をカウントすることにより、巻径を演算するものです。したがって、材料の伸びによる材料厚みの変化や空気の巻込みによる誤差もないため、フィードロールと材料のスリップがない限り積算演算厚み方式よりも精度良く巻径が演算できます。

◆精度良く巻径演算が行えます。

◆エンコーダのパルス数で巻径演算の分解能が決まります。

◆巻軸が 2 回転するまでは正確な巻径演算ができません。

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40

Chapter.4 張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

4-3 フィードバック制御(別名 : クローズドループ制御)

テンションコントローラ

モータ

巻軸

主軸

張力検出器

パウダブレーキ

フィードバック制御方式とは、張力検出器によって材料張力を直接モニタし、これが張力制御目標値になるようフィードバックする形式の制御方式でクローズドループ方式とも呼ばれます。

目標値に対して正確な張力が得られますが、短期的な外乱に対して、ハンチング現象が起こりやすい傾向がありますので、一般的に比例積分制御が行われています。

張力をフィードバックしているため、オープンループ制御と比較して張力の精度は良好です。

【メリット】◆制御精度が良好

◆制御張力が直読できる

◆アクチュエータのトルク特性も補正される

【デメリット】◆短期的な外乱に対して弱い

◆導入コストが高い

◆機械の運転操作と制御の協調が必要

対応する機器

フィードバック式テンションコントローラLE-10WTA-CCL形

テンションコントローラLE7-40GU-L形

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41

Chapter.4張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

ポイント! 張力制御方式の分類

パウダクラッチ・ブレーキの張力制御方式は大きく分けて 3 種類あります。

・手動制御   材料の張りを人間の感覚で調整・オープンループ制御   巻径に比例した制御トルクを発生させる・フィードバック制御   張力をセンサで検出し、目標張力を一致するように制御する

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42

Chapter.4 張力制御 (トルク制御 )の種類

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

MEMO

Page 43: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

Chapter.5

張力検出器とは

5-1 張力検出器とは5-2 張力検出器の種類と特徴5-3 張力検出器の選定5-4 張力と荷重5-5 張力検出器取付時の注意

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44

Chapter.5 張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

張力検出器とは

張力検出器とは、張力を一旦荷重に変換し、その荷重を電気信号として取り出す機器のことをいいます。張力検出器の上部の検出ローラと張力検出器の前後のガイドローラを設置して、それぞれのローラに材料を通します。これにより、材料にかかった張力は検出ローラを通して荷重として張力検出器にかかります。

張力検出器が受けた荷重に応じ内部の板バネがたわみ、差動トランスにより電気信号として出力されます。

5-1 張力検出器とは

Chapter

5

テンションコントローラ

据置形張力検出器LX-TD形

張力検出器にかかる荷重

入側 出側

巻出し 巻取り

フランジ形張力検出器LX7-F形

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45

Chapter.5張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

三菱電機株式会社製 LX-TD、LX7-F 形張力検出器は差動トランス式を採用しています。

5-2 張力検出器の種類と特徴

●差動トランス式

◇歪みゲージ式

・バネに直接センサを貼り付けられシンプルな構造にできる

・出力電圧が小さい

・温度変化に対する補正が必要

・湿度に弱い

◇磁歪式

・センサ部が非接触でありショックに強い

・温度変化に対する補正が必要

・応答性が遅い

・アンプの回路が複雑

◇プレスダクター®

・変位が少なくても荷重検出が可能

・どちらかといえば大張力向き

・アンプの回路が複雑

・価格が高い

●その他の形式

発振

テンションメータ

アカクロ

ミドリ

ストッパ

板バネ

シロ ZERO

張力信号出力SPAN

DC5V

荷重支点

微偏位式張力検出器

差動トランス

約 150mV

フルスケール調 整

0~5V

整流

200μm

+

【差動トランス式の特徴】

・センサ部が非接触でありショックに強い

・他のセンサと比較して出力電圧が高いので電気的ノイズに強い

・増幅の際の誤差が少ない

・温度変化に対する補正が必要

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46

Chapter.5 張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

5-3 張力検出器の選定

■5-3-1 張力検出器選定のポイント

重力

張力

取付角度

ローラの荷重

材料角度

センタハイト

張力ローラ

ローラの荷重

重力

張力検出器の選定に必要な条件としては以下があります。

◆張力検出器のタイプ

・据置形

・フランジ形

◆張力の使用範囲

◆検出ローラの重量

◆張力検出器の取付角度

◆入出力の材料角度

◆ピロー形ユニットのセンタハイト(据置形のみ)

●材料角度と張力による荷重

張力 張力

張力張力

図①は同じ張力であっても材料角度が変わると張力検出器にかかる荷重が変わることを表しています。このように同じ張力であっても張力検出器は材料角度だけでなく、いくつかの条件により張力検出器にかかる荷重が変わってしまうので、その条件に合わせて張力検出器を選定する必要があります。

●ローラによる荷重と張力による荷重

ローラローラ荷重

ローラ荷重

張力張力

張力荷重

張力検出器にかかる荷重は図②のように

・検出ローラによる荷重 : ローラ荷重

・張力による荷重    : 張力荷重

の2つに分けることができます。この2つの荷重を計算することで張力検出器を選定することができます。

●ローラによる荷重

重力の方向

センサの検出方向

支点

ローラ荷重

ローラ荷重により張力検出器が受ける荷重

また、前述したように張力検出器は支点を中心に荷重を検出するので、図③のように張力検出器の取付角度が変われば、張力検出器が検出できるローラ荷重も変わります。

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47

Chapter.5張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

●センタハイトの影響(据置形の場合)

図④のように、張力検出器と検出ローラを接続するためピロー形ユニット(軸受け)を使用します。このピロー形ユニット(軸受け)の高さのことをセンタハイトと呼び、センタハイトの高さにより張力検出器の検出できる張力荷重が変化します。

センタハイトが変化すると張力検出器の支点と検出ローラの中心との距離が変化するので、てこの原理と同じように同じ張力であっても張力検出器が検出できる張力荷重は変化します。

ピロー形ユニットのセンタハイト

支点スペーサ

ピロー形ユニットのセンタハイト

張力検出器選定ツールの紹介

三菱電機では張力検出器の選定ツールを準備しており、選定ツールを使用することで、条件を入力すれば、自動で荷重の計算、張力検出器の選定を行うことができます。

※三菱電機 FA サイトでは、メンバー登録いただくと、マニュアル、製品外形 CAD データ、パウダクラッチ / ブレーキ・張力検出器の選定ソフトウェアなどのダウンロードサービスがご利用いただけます。

三菱電機 FAサイトトップページ>ダウンロード>駆動機器>テンションコントローラ>ソフトウェア

よりダウンロードできます。

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48

Chapter.5 張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

5-4 張力と荷重

■5-4-1 荷重方向と検出方向

荷重の検出方向 荷重の検出方向

ヒンジバネ ベース支点

荷重方向 張力検出器にかかる張力と荷重の関係について、図①のように張力検出器はヒンジバネの中心を支点とし、この支点を中心にした回転方向で荷重を検出します。ただし、たわみ量は非常に小さいため、実際には、荷重の検出方向は張力検出器に対して垂直方向と考えることができます。

荷重の検出方向 荷重の検出方向

張力による荷重

検出される力

検出されない力

検出される力

図②のように張力がかかった場合、張力により図の矢印方向に荷重がかかります。しかし、張力検出器が実際に荷重として検出している力は垂直方向の力のみで、水平方向の力は検出されていません。このように、張力検出器にかかる荷重は検出される力と検出されない力の2つに分けることができます。

また、張力は図③、④のように入力側張力と出力側張力の 2方向にかかっており、両方の力の和が張力検出器に荷重としてかかります。この図のように張力検出器を2台使用する場合は、(入力側張力荷重+出力側張力荷重)÷ 2となります。

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49

Chapter.5張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

5-5 張力検出器取付時の注意

■5-5-1 張力検出器の取付方法(据置形の場合)

ピロー形ユニットt

ピロー形ユニット取付けボルト

張力検出ローラ

ピロー形ユニット取付けボルト

オプションプレート取付けボルト

オプションプレート

張力検出器は精密な加工・組立技術による高感度検出器ですので、取付けには注意が必要です。

ボルトの強度は必ず JIS B 1051 規定の 「10.9」 以上を用いてください。

①標準ピロー形ユニットによる取付けピロー形ユニットおよびピロー形ユニット取付けボルトは付属していません。ピロー形ユニット取付けボルトは張力検出器側の取付けベースの厚さ t を超えない長さとしてください。ボルト長さが tを超えるとボルトが張力検出器内部に接触して正確な検出ができなくなります。また、故障の原因となります。

②オプションプレートを用いた取付けピロー形ユニットおよびピロー形ユニット取付けボルトは付属していません。オプションプレート取付けボルトはオプションプレートに付属しています。

●自動調心式ピロー形ユニットの使用

自動調心式ピロー形ユニット

張力検出ローラのアンバランスやセンサ取付け面の不平行などの機械加工誤差、温度変化によるローラの長さの変化などが張力として検出されないように、軸受けには必ず自動調心式ピロー形ユニットを用いてください。

自動調心式ピロー形ユニットを使用することにより、張力検出ローラの傾きによるストレスや偏った材料パスや偏肉の影響を緩和できます。

張力検出ローラの傾き 偏った材料パス 張力検出器1台使い

偏った材料パス(エッジ位置制御を用いた場合)や偏肉の影響を緩和できます。

張力検出器1台使いのときの張力検出ローラの傾きの影響を緩和できます。

張力検出ローラの傾きによるストレスが緩和できます。

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50

Chapter.5 張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■5-5-2 張力検出器の取付方法(フランジ形の場合)

壁面内取付 壁面外取付

フランジ形張力検出器は、用途に合わせて以下の2通りの取付方法があります。◆機械フレームの内側に取り付ける場合◆機械フレームの外側に取り付ける場合

●機械フレームの内側に取り付ける場合

インロー

ベアリング

カバー

止め輪(A)

止め輪(B)※止め輪(B)は取り付けない

機械フレームの内側に取り付けることにより、機械フレームの外側の凸部分をなくす(減らす)ことができます。機械の設置場所などの制限を減らすことができます。また、機械フレームを狭く抑えることができます。

●機械フレームの外側に取り付ける場合ベアリング

カバー

止め輪(A)

止め輪(B)※止め輪(B)は取り付けない

機械フレームの外側取付は、検出器の取付性やメンテナンス性に優れます。

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51

Chapter.5張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

ポイント! 張力検出器

LX-TD 形 張力検出器は、材料の幅が広い場合には、材料が片張りした場合でも全幅張力を正確に検出することができるように張力検出ローラの両端に1台ずつ計2台で使用します。片張りのおこらない材料の場合は、片側に1台の LX-TD 形張力検出器のみで張力検出を行うことも可能です。LX7-F 形張力検出器は、必ず両端に1台ずつ計2台で使用します。

■5-5-3 張力検出器取付における注意

据置形張力検出器

フランジ形張力検出器

自動調心軸受

張力検出器の取り付けは、張力検出器取付け面の高さを合わせてください。※部は張力検出誤差を少なくするため最小にしてください。※部寸法が大きい場合、材料の蛇行、ベアリングの寿命低下、ゼロ点出力の変化などの不具合の原因となります。据置形張力検出器で高さを合わせるためにスペーサを用いる場合、スペーサは取付け面の全面をカバーできる形状としてください。

フランジ形張力検出器の場合は、必ず自動調心式軸受を用いてください。自動調心式軸受を使用することにより、張力検出ローラの傾きによるストレスや偏った材料パス、偏肉の影響を緩和できます。

●温度変化の大きな環境での使用

張力検出ローラの伸び縮み

セットネジ

周囲温度変化による張力検出ローラの伸び縮みの影響が緩和できます

セットネジ

止め輪(B)※止め輪(B)は取り付けない

据置形張力検出器を温度変化の大きな環境で使用される場合、張力検出精度に影響を与えないように、張力検出ローラの温度変化による長さの変化を吸収する機構を設けてください。例えば、軸受内輪の張力検出ローラ軸固定用セットネジを片方だけ緩めることで、張力検出ローラの伸び縮みの影響が緩和できます。

フランジ形張力検出器の場合は、止め輪(B)を右側の張力検出器のみに取り付けることで、左側の張力検出器が左右方向に固定されずスライドできるようになり、周囲温度変化による張力検出ローラの伸び縮みの影響を緩和できます。

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52

Chapter.5 張力検出器とは

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

●使用上の注意張力検出器は精密機器です。特にセンサ部は衝撃や分解によって破損することがあるため、取扱いに注意してください。

落下させないでください。

(1)

センサ部(1)に触れたり、押さえたりしないでください。

(2)

センサ取付ねじ(2)を緩めないでください。

装置に取り付ける場合、ベアリングを取り付ける場合、シャフトを取り付ける場合など、叩いてはめ込まないでください。

芯出し調整する場合、叩いて位置調整をしないでください。 シャフトをこじらないでください。

設置時や調整時に、最大荷重(定格荷重の200%)を超える荷重をかけないでください。また、張力検出ローラを足場代わりにして作業しないでください。

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Chapter.6

アクチュエータ

6-1 アクチュエータの種類と特徴6-2 パウダクラッチ・ブレーキ6-3 AC サーボモータ、インバータ/モータ6-4 エアクラッチ・ブレーキについて(他社)6-5 モータ制御とパウダ制御の違い6-6 アクチュエータの選定フロー6-7 アクチュエータの選定

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54

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

アクチュエータChapter

6

6-1 アクチュエータの種類と特徴

機械を動かすモータや、クラッチ、ブレーキなどをアクチュエータといいます。

アクチュエータにはそれぞれ得意不得意があり、用途に応じて使い分ける必要があります。

項目     種類 パウダクラッチ/ブレーキ

エアクラッチ/ブレーキ AC サーボモータ インバータ

(ベクトル制御)

トルク直線性 ○ ○ ◎ ◎

トルク再現性 ○ △ ◎ ◎

トルク制御範囲 ◎ 1 〜 100% ○ 5 〜 100% ◎ 1 〜 100% ○ 2 〜 100%

寿命 ○パウダ △パッド ◎ ◎

設置コスト ◎ ◎ × △

ラインスピード 低〜中 高 高 中〜高

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55

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

6-2 パウダクラッチ・ブレーキ

■6-2-1 パウダクラッチ・ブレーキの構造

コイル

ドライブメンバドリブンメンバ

ドリブンメンバシャフト (出力 )

ドライブメンバシャフト (入力 )

ベアリングパウダ

ステータ

電流OFF時はトルクは伝達されない

張力制御に使用されるアクチュエータの種類と特徴について説明します。

張力制御用アクチュエータとしてパウダクラッチ・ブレーキは最も代表的なものです。左図はその動作原理を示したものであり、ドライブメンバとドリブンメンバの間にはパウダ(磁性鉄粉)が充填されています。励磁コイルによってこのパウダに磁気を与えると、ドライブメンバとドリブンメンバとの間にトルクが伝達され、クラッチとして動作します。ドリブンメンバを固定すると、ブレーキとして動作します。

磁束

トルク伝達経路

電流ON時は磁束に沿ってパウダが鎖状に連結→トルク伝達

【特徴】①励磁電流とトルクが比例する。②連続スリップ運転が可能で、スリップ回転速度が変わって

もトルクは変わらない。

パウダクラッチZKB-BN形

パウダブレーキZKB-XN形

対応する機器

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56

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

【ならし運転】

パウダクラッチ・ブレーキ内部のパウダは輸送中のショックなどでパウダクラッチ・ブレーキ内部で偏在していますので、正規の運転に入る前にならし運転を行ってください。パウダクラッチ・ブレーキで本来の性能を引き出すためには、パウダがパウダギャップ内で均一に分布していることが重要です。パウダが偏在しているとトルクが低くなったり、変動したり、トルクの引っかかりが発生したりするなど、本来の性能が発揮できなくなります。ならし運転をすると、偏在しているパウダをパウダギャップ内で均一に分布させることができ、励磁電流に比例した安定したトルクを発生させることができます。ならし運転の要領については、カタログまたは取扱説明書をご参照ください。

ならし運転前

ならし運転後

パウダギャップ

ドリブンメンバ

パウダ

ドライブメンバ

パウダは輸送中のショックなどで下部にたまっています。

パウダはパウダギャップ内で均一に分布しています。

パウダギャップ

ドリブンメンバ

パウダ

ドライブメンバ

■6-2-2 パウダクラッチ・ブレーキ使用上の注意

【取り付けについて】

出力入力

弾性カップリング

水平

・高速回転側を入力側とする

パウダクラッチは高速回転側が入力側になる正規の取付状態で使用してください。連続空転使用での入出力逆取付使用はトルク特性、パウダ寿命の点において好ましくないため、推奨できません。

・パウダクラッチ・ブレーキの入力軸、出力軸の連結方法

パウダクラッチ・ブレーキの軸と負荷軸の主な連結方法にはカップリングを使用した連結方法とベルトやチェーンを使用した連結方法の2つがあります。カップリング連結の場合は弾性カップリングを使用し、このときの軸同士の同芯度、直角度などは使用する弾性カップリングの許容値以内としてください。ベルトやチェーンなどを使用した連結では軸強度、ベアリング許容ラジアル荷重より、軸に作用する荷重を許容軸荷重以内に制限して使用しなければなりません。許容軸荷重はカタログまたはクラッチ・ブレーキ技術資料集をご参照ください。

弾性カップリング

ベルト

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57

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

パウダブレーキは 15r/min 以上

パウダクラッチは 入力と出力の回転速度差を15r/min 以上

【最小回転速度】

パウダクラッチ・ブレーキには運転時に必要な回転速度の最小値があります。パウダブレーキの場合は 15r/min 以上、パウダクラッチの場合は入力と出力の回転速度差を 15r/min 以上にする必要があります。

(すなわち、パウダクラッチもパウダブレーキもスリップ回転速度が 15r/min 以上必要ということです。)スリップ回転速度が低いと内部のパウダの分布が不均一になり、安定したトルク性能が得られなかったり、起動時に所定のトルクになるまでの時間が長くなったりします。なお、ZKB、ZKG、ZX 形パウダクラッチ・ブレーキは 5r/min 程度のスリップ回転速度から使用できます。

パウダギャップ

ドリブンメンバ

パウダ

ドライブメンバ

●回転速度が低いと

パウダが均一に

●回転速度が高いと

【パウダの吸湿】

パウダが湿ると性能が不安定になりますので、内部に水、油などが浸入しないように十分注意してください。特に、ギヤボックスに近づけて取り付けた場合には、シャフトを伝わって油が浸入することがありますのでシールは完全に行ってください。また、製品は密閉構造になっていませんので、オイルミストや油、水が直接かかるような環境下での使用はできません。

パウダが湿る

【空転トルク】

パウダクラッチ・ブレーキは励磁電流を完全に遮断しても、構成部品の残留磁気、パウダやベアリングの摩擦により空転トルクが発生します。したがって、空転トルク以上でないとトルクのコントロールはできません。なお、空転トルクの値についてはカタログに機種ごとに記載しておりますのでご参照ください。

空転トルク ≦ 使用可能トルク ≦ 定格トルク

ベアリングパウダ

パウダやベアリングの摩擦

【簡易的なトルク測定の方法】

左図の要領で、バネばかりを上へ一様な速度で引きながらバネばかりの値を読みます。

(ならし運転後、通電状態で回転中の値を測定してください。)

トルク (T)=W × D2 [Nm]

バネばかり (W [N] )バネばかり (W [N] )バネばかり (W [N] )

巻軸(外形 D [m])

パウダブレーキパウダブレーキパウダブレーキ

適当なひもを数回巻く適当なひもを数回巻く適当なひもを数回巻く

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58

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■6-3-1 ACサーボモータ、インバータ/モータとは

三菱電機 AC サーボ MELSERVO-J4 シリーズや、三菱電機汎用インバータFREQROL-A800 シリーズを、トルク制御モードで運転することにより、巻取り、巻出しを行うことができます。サーボモータやインバータ/モータはトルク制御モードにすることにより、指令入力に比例したトルクが得られるように制御されます。したがって、巻取径に比例した指令入力を与えることにより一定張力が得られます。

6-3 AC サーボモータ、インバータ/モータ

対応する機器

◇ACサーボモータとは? ◇インバータとは? ◇インバータ(ベクトル制御)とは?

• モータ制御用インバータとはモータ(一般的には誘導モータ)の電源周波数を変化させて、モータの回転速度を可変できるようにする装置のことをいいます。

• モータ制御機能により、各メーカで機種ランク分けされているのが一般的です。

• 位置(モータの回転速度)、回転速度、回転力(トルク)の制御ができます。

• 精度は AC サーボより劣りますが、汎用のモータ制御用インバータより格段上の制御が実現できます。

• 張力制御用としては AC サーボよりモータ内部慣性が大きいので回転速度の安定性が良好です。

• 力行トルク領域と回生トルク領域間の移行が AC サーボよりスムーズです。

• 指令とは位置(モータの回転角度)、回転速度、回転力(トルク)をいいます。

• 指令に対してモータの状態がフィードバック制御されます。

• 同期モータを用いたサーボのことを AC サーボと三菱電機ではよんでいます。

• 広い意味でインバータの仲間です。

インバータとは周波数を変換する装置のことです。

誘導モータに位置・回転速度検出用エンコーダと冷却ファンが追加されたモータを用います。

サーボモータとは指令に対してモータが忠実に従うように制御されたモータのことをいいます。

ACサーボMELSERVO-J4

インバータ(ベクトル制御対応 )

FREQROL-A800

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59

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■6-3-2 ACサーボモータ、インバータ (ベクトル制御 )/モータ使用上の注意

①モータの呼称出力は定格回転速度とこのときの連続運転出力トルクによって定まります。 巻取りや巻出しでは最大巻径のときに大きなトルクを必要とし、最小巻径のときに高速回転となりますので、巻比(最大巻径/最小巻径の比率)が大きくなると、これに応じて大容量のモータが必要となります。ただし、定出力の領域を利用することにより、モータ容量を下げられる場合もあります。巻取りや巻出しには定出力領域を広く取れるベクトルモータが有効です。

②張力制御の用途においては、モータのトルクは短時間最大トルクではなく、定格トルクで選定します。

③ AC サーボモータと比較すると、低張力、小巻径の巻取り制御時のモータの起動遅れが問題になることがあるため、トルク比(最大巻径/最小巻径 × 最大張力/最小張力)の大きな巻取り制御では容量やギヤ比の選定に注意が必要です。

④ AC サーボモータは一般的には高回転速度での使用に適しており、その出力トルクはパウダクラッチやブレーキに比べて非常に小さな値となり、巻軸の駆動に際しては減速機を必要とします。この減速機の変速比が大きすぎると、正確な張力制御ができなくなります。

⑤ AC サーボモータはトルク指令が回生⇔力行間を横切る場合、トルクの直線性が悪くなるため、精度を要求する場合の制御は困難です。

⑥ AC サーボモータは低速域ではコギングトルクが発生するので低速での使用には向きません。

⑦ AC サーボモータはモータの慣性モーメントに対し、負荷慣性モーメント比に推奨値があります。詳しくはカタログをご参照ください。

トルク(%)

●インバータ/モータ●ACサーボモータ

トルク(%)

回転速度(r/min)

短時間最大トルク(SF-V5RU□K3Y)

連続運転トルク 定出力

1500

50

150

100

75

0

短時間最大トルク

連続運転トルク

3000

回転速度(r/min)

100

300

40000 3000

トルク(%)

回転速度(r/min)

短時間最大トルク(SF-V5RU□K4Y)

短時間最大トルク(SF-V5RU□K4)

連続運転トルク

定出力

500

150

100

120

0

253037.5

2000

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60

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

テンションコントローラ

エアブレーキ(他社品)

電空変換器 (他社品)

張力検出器

エアクラッチ・ブレーキは摩擦板を空気圧で圧接してトルクを伝達するようにしたものです(他社製品)。パウダクラッチ・ブレーキに比べ、トルク、熱容量の比較的大きい巻取り、巻出し分野でエアクラッチ・ブレーキが用いられます。この場合、電空変換器を介して当社のテンションコントローラを用いることができます。

【特徴】・空気圧とトルクはほぼ比例する・キャリパーの数でトルクを変えられる・スリップ回転速度によりトルクが変化する・キャリパーやディスクから摩耗粉が発生する

6-4 エアクラッチ・ブレーキについて(他社)

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61

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

6-5 モータ制御とパウダ制御の違い

・モータ制御

モータの使い方には、負荷を回す側 ( 力行 ) と負荷により回される側 ( 回生 ) があります。

巻取り、巻出しに使用する場合は、巻取り側 … 負荷を回す側 ( 力行 )巻出し側 … 負荷により回される側 ( 回生 )

回生の場合、モータは発電機となるため電気エネルギーが発生します。この発電した電気エネルギーは AC サーボアンプやインバータへ逆戻りするため、このエネルギーを熱や電源へ戻すなどして放出する必要があります。これが回生ユニットや回生コンバータと呼ばれるものです。

モータ

モータ

インバータ 回生ユニット

回生

力行

・パウダ制御

パウダブレーキ

パウダクラッチ巻取りモータ

インバータでモータを駆動する場合、回転速度を上げて使用しないとトルクが不足するので、ギヤ比を上げて使用する傾向にあります。しかし、ギヤ比を上げすぎると、メカロスやトルク変動が大きくなる傾向にあります。AC サーボモータの場合、遅い回転速度では、モータ磁極の切替の影響が現れ、トルクリップル ( トルクむら ) が発生します。モータは万能ではなく、使用条件によりアクチュエータを使い分ける必要があります。

[回転速度]

[パウダクラッチとパウダブレーキ]

クラッチは一般的にモータと併用して巻取りに使われます。また、ラインスピードが遅い場合に、逆回転モータと併用して巻出しに使われる場合もあります。クラッチの働きは、モータの動力を負荷軸へ伝達したり、遮断したりするものです。また、パウダクラッチの特長は、動力の伝達をスリップさせながら行うことができることです。よって、負荷軸側の回転を極端に遅くすることも、更には、0にすることもできます。ここがモータ制御とは異なる特長です。しかし、このスリップは、熱エネルギーに変わり、発熱します。ブレーキの働きは、負荷軸の動力に制動をかけるものです。パウダブレーキはスリップをさせながら制動をかけるため、このスリップが熱エネルギーに変わり、発熱します。発熱はパウダの寿命低下につながり、また、発熱に対する制限 ( 許容連続スリップ工率 ) を守る必要があります。

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62

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

6-6 アクチュエータの選定フロー

アクチュエータの選定フローを上記に示します。まず、機械仕様を確認し、アクチュエータの概略容量を計算します。次に、負荷軸、トルク、回転速度から機種を仮選定します。最後に、ギヤ比を設定し、アクチュエータ軸のトルク、回転速度、容量に問題がないか確認します。

×

①機械仕様の確認

②アクチュエータ容量 概略の確認

③負荷トルク 回転速度の計算

④駆動軸トルク 回転速度範囲の確認

⑤仮機種選定

⑥ギヤ比の選定

⑦アクチュエータトルク 回転速度、回生容量 (発熱量 ) の計算

⑧アクチュエータ軸トルク 回転速度範囲の確認

⑨クラッチ・ブレーキ 入力回転速度の決定

⑩許容発熱容量の確認

材料速度・テンション・巻径・ローラ径など

発熱量、回生容量、モータ容量

巻軸、ローラのトルク、回転速度

トルク範囲の確認

回転速度範囲の確認

アクチュエータ機種の仮決定

負荷軸:アクチュエータ軸間ギヤ比の決定

ギヤ比の確認

アクチュエータ軸トルク、回転速度、発熱量

トルク範囲の確認

回転速度範囲の確認

クラッチ・ブレーキ入力回転速度

選定完了

発熱容量の確認

※クラッチ・ブレーキのみ

機械仕様の再検討

ギヤ比の再検討

ギヤ比の変更可能

アクチュエータ機種の変更

アクチュエータ機種の変更可能

×

×

×

×

×

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63

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

巻出し用パウダブレーキの計算例です。使用条件を基に、トルク、回転速度、スリップ工率を求めます。巻出し初めと終わりの所要ブレーキトルクの最大値と最小値は

Tmax = ×Fmax =Dmax

20.25

2 ×80 = 10Nm

Tmin = ×Fmin =Dmin

20.075

2 ×40 = 1.5Nm

回転速度についても最大値と最小値は

Nmax = =Vmax

(π×Dmin)15

(π×0.075) = 63.7r/min

Nmin = =Vmin

(π×Dmax)5

(π×0.25) = 6.4r/min

スリップ工率は

P = 0.105 × T × N = 0.0167 × F × V=0.0167 × 80 × 15 = 20W

と求めることができます。この計算結果を基にパウダブレーキの機種選定を行います。トルク、回転速度、スリップ工率がすべて許容値以下となる機種を選定します。この条件では、ZKB-1.2XN が使用可能です。

実際の選定計算は、パウダクラッチの選定ソフト(三菱電機FA サイトよりダウンロード)を用いることを推奨します。

■6-7-1 巻出し用パウダブレーキ

6-7 アクチュエータの選定

V

D

F

使用条件張力 (F) 40 〜 80N巻径 (D) 75 〜 250mm

ラインスピード (V) 5 〜 15m/min減速比 1

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64

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■6-7-2 巻取り用パウダクラッチ

巻取り用パウダクラッチの計算例です。使用条件を基に、トルク、回転速度、スリップ工率を求めます。巻取りの初めと終わりの所要クラッチトルクの最大値と最小値は

Tmax = ×Fmax =Dmax

20.25

2 ×80 = 10Nm

Tmin = ×Fmin =Dmin

20.075

2 ×40 = 1.5Nm

出力側回転速度についても最大値と最小値は

Nomax = =Vmax

(π×Dmin)15

(π×0.075) = 63.7r/min

Nomin = =Vmin

(π×Dmax)5

(π×0.25) = 6.4r/min

クラッチの場合、スリップ工率入力側回転速度 Ni も関係します。ここでは

Ni = Nomax+15 = 78.7r/min( 仮 )→90r/min( 減速比 1/20)

として計算します。

P = 0.105 × Tmax × (Ni-No) = 0.105 × 10 × (90-6.4) = 87.8W

と求めることができます。

なお、モータの回転速度によりスリップ工率が変わるので、使用する巻取りモータの仕様も仮選定しておく必要があります。この計算結果を基にクラッチの機種選定を行います。トルク、回転速度、スリップ工率が全て許容値以下となる機種を選定します。この条件では、ZKB-1.2BN が使用可能です。

実際の選定計算は、パウダクラッチの選定ソフト(三菱電機FA サイトよりダウンロード)を用いることを推奨します。

V

F D

使用条件張力 (F) 40 〜 80N巻径 (D) 75 〜 250mm

ラインスピード (V) 5 〜 15m/min減速比 1

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65

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

●巻取りモータの選定

出力(kW)

出力軸回転速度 (r/min) 公称減速比 実減速比

出力軸許容トルク (Nm)

50Hz 60Hz 50Hz 60Hz

0.2

500 600 1/3 1/3.07 3.5 2.9300 360 1/5 1/4.97 5.9 4.9150 180 1/10 1/9.93 12 9.8100 120 1/15 1/14.81 18 1575 90 1/20 1/20.08 24 2060 72 1/25 1/23.85 29 2550 60 1/30 1/28.88 33 2937.5 45 1/40 1/41.07 47 3930 36 1/50 1/48.96 59 49

・・・

出力 :0.2kW減速比:1/20

【ギヤードモータ選定結果】

【GM-S特性表】

回転速度 90r/min    ⇒ 減速比 1/20トルク  10.0Nm × 2 倍 ⇒ 20Nm 以上

安全率

【ギヤードモータ選定条件】

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66

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

巻出しにおいてラインスピードが非常に低速の場合、パウダブレーキの入力回転速度が最小回転速度を下回ってしまうことがあります。その場合、パウダクラッチと逆転モータを組み合わせます。モータを巻軸の回転と逆向きに回転されることにより逆転入力といいます。構成は、パウダクラッチの出力側(または入力側)を巻出し軸に連結し、入力側(または出力側)に、ギヤードモータなどを連結し、巻出し軸の回転方向とは逆方向に常に回転させます。これにより十分なスリップ回転速度を確保でき、安定したトルク制御を行うことが可能になります。パウダクラッチの入力側、出力側の取付け方向に関しては、通常、回転速度が高くなる側にパウダクラッチの入力側を連結します。すなわち、ラインスピードが遅く、常に巻出し軸の回転速度が低い場合は、パウダクラッチの入力側をモータへ連結します。巻出し開始径が大きく、巻出し開始時に一時的に回転が遅くなるだけで、ほとんどの運転時間中は、十分なスリップ回転速度が得られるような場合は、出力側をモータに連結します。

パウダクラッチ選定ソフトを利用して、実際に巻出し側のパウダクラッチと逆転用のギヤードモータの選定例を示します。

【逆転入力の選定例】

●逆転入力とは

パウダクラッチ逆回転モータ

逆転入力

パウダブレーキ

通常

■巻出し側(パウダブレーキ)

パウダブレーキの入力回転速度 < 最小回転速度の場合

この場合、パウダブレーキ → パウダクラッチ+逆回転モータ

最小回転速度 機種

・5r/min 以下 → ZKG、ZKB、ZX

・15r/min 以下 → ZA

まずは巻出しでパウダブレーキの選定を行います。上記条件の結果では、ブレーキ軸の出力側回転速度が最小回転速度の 5r/min を下回る領域が発生してしまうのでパウダブレーキは使えません。この場合、逆転入力が有効です。

パウダクラッチ逆転入力用モータ テンションコントローラ

●巻出しの場合◆ラインスピードが遅い場合

V:1~ 5m/min

◆出力側回転速度

最小値 Nmin1.3r/min < 5r/min で NG

逆転入力が有効!

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67

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

選定計算の STEP1 に戻りパウダブレーキ(逆転入力)を選択し、先ほどと同じ条件で計算します。この条件では、ZKB-1.2BN を推奨します。

【逆転入力用ギヤードモータの選定】

次に逆転入力用のギヤードモータを選定します。モータの選定で着目点は回転速度と必要トルクです。

着目点

・逆転入力回転 No 5.0~ 91.0r/min

・トルク Tc 1.500~ 10.00Nm

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68

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

回転速度は逆転入力回転(この場合 5 〜 91r/min)の範囲で、必要トルクはクラッチの最大トルク(この場合 10Nm)以上になるように選定します。モータトルクは余裕をみてクラッチの最大トルクの2倍以上を推奨します。モータの回転速度とトルクが決まれば、あとはモータの特性表と照らし合わせて出力と減速比を決めます。一例として、ギヤードモータGM-Sの特性表よりギヤードモータの選定を行います。

出力(kW)

出力軸回転速度 (r/min) 公称減速比 実減速比

出力軸許容トルク (Nm)

50Hz 60Hz 50Hz 60Hz

0.2

500 600 1/3 1/3.07 3.5 2.9300 360 1/5 1/4.97 5.9 4.9150 180 1/10 1/9.93 12 9.8100 120 1/15 1/14.81 18 1575 90 1/20 1/20.08 24 2060 72 1/25 1/23.85 29 2550 60 1/30 1/28.88 33 2937.5 45 1/40 1/41.07 47 3930 36 1/50 1/48.96 59 49

・・・

出力 :0.2kW減速比:1/20

【GM-S特性表より】

クラッチ仕様 ギヤードモータ仕様

■クラッチ入力 No5.0~ 91.0r/min ⇒ 5 <出力側< 91r/min

  回転速度

■トルク Tc1.500~ 10.00Nm ⇒ 出力軸許容トルク

  10.00 × 2 倍= 20Nm 以上安全率

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69

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

●定スリップ制御とは

■巻取り側(パウダクラッチ)

巻取り側のパウダクラッチが許容スリップ工率オーバで適合機種がない場合に有効です。各種巻取り機の張力制御用にパウダクラッチが多く使用されますが、運転時の発熱がパウダクラッチの許容連続スリップ工率以上になり、機種が選定できない場合がしばしばあります。このような場合には、インバータおよびテンションコントローラを用い、パウダクラッチの入力回転速度を低下させることによって、スリップ工率を減少させる方法があります。この方法は、速度出力信号でインバータを制御し、巻太りとともにクラッチ入力回転速度を低下させ、定スリップ制御するものです。

インバータ

巻取り軸近接センサ

パウダクラッチ

巻取りモータ

張力検出器

パルスジェネレータ

テンションコントローラ+巻径演算オプション

許容連続スリップ工率 < 運転時の連続スリップ工率の場合に有効

【定スリップ制御の選定例】

パウダクラッチ選定ソフトを利用して、定スリップ制御の選定例を示します。まずは巻取りでパウダクラッチの選定を行います。この条件の結果では、スリップ工率が許容スリップ工率を超えており、選定できません。この場合、定スリップ制御が有効です。

◆ラインスピードが速い場合

V:50~ 150m/min

◆出力側回転速度

許容スリップ工率 (2800W) < スリップ工率 (3035.8W)

定スリップ制御が有効!

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70

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

選定計算の STEP1 に戻りパウダクラッチ(定スリップ)を選択し、先ほどと同じ条件で計算します。この条件では、ZKB-5BN を推奨します。

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71

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

【定スリップ制御用モータの選定例】

回転速度とトルク

回転速度(r/min)

トル

ク(Nm

張力 minラインスピード min

張力 minラインスピード max

張力 maxラインスピード min

張力 maxラインスピード max

25

20

15

10

5

00.0 500.0 1500.01000.0 2000.0 2500.0 3000.0 3500.0

使用可能領域

90 r/min(3Hz)

20

(1) モータ容量

P = =0.0167×Vmax×Fmax×Dmax

Dmin0.0167×150×400×0.25

0.075 = 3340W

(2) 巻取り軸トルク

T = =F×D

2(200~400)×(0.075→0.25)

2 = 7.5~50Nm

(3) 巻取り軸回転速度

N = =V

(π×D)(50~150)

(3.14×(0.075→0.25)) = 63.7~637r/min

(4) モータ軸回転速度クラッチのスリップ回転を 30r/min とする

Nm = N+30 = (63.7~ 637)+30 = 93.7~ 667r/min

(5) 仮選定モータ容量:3340W →定格出力 3.7kWモータ  :SF-HRCA-3.7Kインバータ:FR-E720-3.7K定格トルク:19.6Nm回転速度 :Max. 3600r/min(定格回転速度 1800r/min)      (使用可能回転速度比 1:100)

(6) ギヤ比:R の設定①必要トルクより

Rt = =50

19.6巻取り軸トルク (max)モータの定格トルク = 2.55以上の設定が必要

②回転速度の設定より

モータ回転速度 (max)モータ軸回転速度 (max)

Rn =3600667 = 5.4以下の設定が必要

Rt<R<Rn

2.55<R<5.4 R:3 とする

(7) モータ軸トルク

T' = = (7.5~50)3

= 2.5~16.7Nm1RT ×

定格トルクの 12.8 〜 85.2%

(8) モータ軸回転速度 N' = N×R = (667 〜 93.7)×3 = 281.1 〜 2001r/min 最大回転速度の 7.8 〜 55.6%

インバータ

巻取り軸近接センサ

パウダクラッチ

巻取りモータ

張力検出器

パルスジェネレータ

テンションコントローラ+巻径演算オプション

Page 72: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

72

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■6-7-3 インバータ専用モータ(トルク制御)

回転速度とトルク

回転速度(r/min)

トルク(Nm)

張力minラインスピードmin

張力minラインスピードmax

張力maxラインスピードmin

張力maxラインスピードmax

15

10

5

00.0 500.0 1000.0 1500.0 2000.0 2500.0 3000.0

使用可能領域

(1) モータ容量

P = =0.0167×Vmax×Fmax×Dmax

Dmin0.0167×200×100×0.5

0.09 = 1856W

(2) 巻取り軸トルク

T = =F×D

2(50~100)×(0.09→0.5)

2 = 2.3~25Nm

(3) 巻取り軸回転速度

N = =V

(π×D)(100~200)

(3.14×(0.09→0.5)) = 63.6~707r/min

(4) 仮選定モータ容量:1856W →定格出力 2.2kWモータ  :SF-V5RU2K ベクトル制御インバータ:FR-A840-3.7K定格トルク:14.1Nm(使用可能トルク比 1:50)回転速度 :Max. 3000r/min(定格回転速度 1500r/min)      (使用可能回転速度比 1:1500)

(5) ギヤ比:R の設定①必要トルクより

Rt = =25

14.1巻取り軸トルク (max)モータの定格トルク = 1.77以上の設定が必要

②回転速度の設定より

モータ回転速度 (max)モータ軸回転速度 (max)

Rn = 3000707 = 4.24以下の設定が必要

Rt<R<Rn

1.77<R<4.24 R:2 とする

(6) モータ軸トルク

T' = =(2.3~25)

2 = 1.15~12.5Nm1RT ×

定格トルクの 8.2 〜 88.7%

(7) モータ軸回転速度

N' = N × R = (63.6~ 707) × 2 = 127.2~ 1414r/min

最大回転速度の 4.24 〜 47.1%

(8) 回生抵抗巻出しでの使用には、回生抵抗が必要な場合があります。回生電力

PR = 0.0167 × Vmax × Fmax = 0.0167 × 200 × 100 = 334W

抵抗器ユニット GRZG300-5 Ω(連続許容電力 600W)

V

F D

使用条件張力 (F) 50 〜 100N巻径 (D) 90 〜 500mm

ラインスピード (V) 100 〜 200m/min

Page 73: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

73

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

(6) モータ軸トルク

T' = = (2.3~25)2

= 1.15~12.5Nm1RT ×

定格トルクの 6.0 〜 65.4%

(7) モータ軸回転速度

N' = N × R = (63.6~ 707) × 2 = 127~ 1414r/min

最大回転速度の 8.4 〜 94.2%

(8) 回生抵抗巻出しでの使用には、回生抵抗が必要な場合があります。回生電力

PR = 0.0167 × Vmax × Fmax = 0.0167 × 200 × 100 = 334W

MR-J4-200A の内蔵回生抵抗 100Wよって、外付け回生抵抗 MR-RB30(許容回生電力 300W)が必要

(1) モータ容量

P = =0.0167×Vmax×Fmax×Dmax

Dmin0.0167×200×100×0.5

0.09 = 1856W

(2) 巻取り軸トルク

T = =F×D

2(50~100)×(0.09→0.5)

2 = 2.3~25Nm

(3) 巻取り軸回転速度

N = =V

(π×D)(100~200)

(3.14×(0.09→0.5)) = 63.6~707r/min

(4) 仮選定モータ容量:1856W →定格出力 2.0kWモータ  :HG-SR201アンプ  :MR-J4-200A定格トルク:19.1Nm(使用可能トルク比 1:100)回転速度 :Max. 1500r/min      (使用可能回転速度比 1:1500)

(5) ギヤ比:R の設定①必要トルクより

Rt = =25

19.1巻取り軸トルク (max)モータの定格トルク = 1.3以上の設定が必要

②回転速度の設定より

モータ回転速度 (max)モータ軸回転速度 (max)

Rn =1500707 = 2.12以下の設定が必要

Rt<R<Rn

1.3<R<2.12 R:2 とする

■6-7-4 ACサーボモータ(トルク制御)

回転速度(r/min)

トルク(Nm)

張力minラインスピードmin

張力minラインスピードmax

張力maxラインスピードmin

張力maxラインスピードmax

20

15

10

5

00.0 500.0 1000.0 1500.0

使用可能領域

回転速度とトルクV

F D

使用条件張力 (F) 50 〜 100N巻径 (D) 90 〜 500mm

ラインスピード (V) 100 〜 200m/min

Page 74: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

74

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■6-7-5 インバータ専用モータ(速度制御)

ギヤ

モータ

送りモータ

【巻出しの場合】

巻取りモータ

ギヤ

送りモータ

【巻取りの場合】

使用条件張力 (F) 100 〜 200N巻径 (D) 90 〜 500mm

ラインスピード (V) 200 〜 300m/min加減速時間 (t) 20sec

巻軸慣性モーメント max(I) 15kgm2

回転速度とトルク

トルク(Nm)

張力minラインスピードmin

50

40

30

20

10

00.0

回転速度(r/min)

張力minラインスピードmax

張力maxラインスピードmin

張力maxラインスピードmax

500.0 1000.0 1500.0 2000.0 2500.0 3000.0

使用可能領域

(1) モータ容量

P = =0.0167×Vmax×Fmax×Dmax

Dmin0.0167×300×200×0.5

0.09 = 5566W

(2) 必要トルク①軸トルク

T = =F×D

2(100~200)×(0.09→0.5)

2 = 4.5~50Nm

②加減速により発生するトルク

T2max = I ×α = 15 × 1 = 15Nm

角加速度:α 角速度:ω

α = =ωt

(2π×N/60)t =

(2π×191/60)20 = 1rad/s2

③巻軸必要トルク

T = T1max+T2max = 50+15 = 65Nm

(3) 巻取り軸回転速度

N = =V

(π×D)(200~300)

(3.14×(0.09→0.5)) = 127~1061r/min

(4) 仮選定モータ容量:5566W →定格出力 7.5kWモータ  :SF-V5RU7Kインバータ:FR-A820-11K定格トルク:47.7Nm(使用可能トルク比 1:20)回転速度 :Max. 3000r/min(定格回転速度 1500r/min)      (使用可能回転速度比 1:200)

(5) ギヤ比:R の設定①必要トルクより

Rt = =65

47.7巻取り軸トルク (max)モータの定格トルク = 1.36以上の設定が必要

②回転速度の設定より

モータ回転速度 (max)モータ軸回転速度 (max)

Rn =30001061 = 2.82以下の設定が必要

Rt<R<Rn

1.36<R<2.82 R:2.5 とする

(6) モータ軸トルク

T' = = (4.5~65)2.5

= 1.8~26Nm1RT ×

定格トルクの 3.7 〜 54.5%

(7) モータ軸回転速度

N' = N × R = (127~ 1061) × 2.5 = 318~ 2653r/min

最大回転速度の 10.6 〜 88.4%

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75

Chapter.6アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■6-7-6 ACサーボモータ(速度制御)

(1) モータ容量

P = =0.0167×Vmax×Fmax×Dmax

Dmin0.0167×300×200×0.5

0.09 = 5566W

(2) 必要トルク①軸トルク

T = =F×D

2(100~200)×(0.09→0.5)

2 = 4.5~50Nm

②加減速により発生するトルク

T2max = I ×α = 1.5 × 1 = 1.5Nm

角加速度:α 角速度:ω

α = =ωt

(2π×N/60)t =

(2π×191/60)20 = 1rad/s2

③巻軸必要トルク

T = T1max+T2max = 50+1.5 = 51.5Nm

(3) 巻取り軸回転速度

N = =V

(π×D)(200~300)

(3.14×(0.09→0.5)) = 127~1061r/min

(4) 仮選定モータ容量:5566W →定格出力 7kWモータ  :HG-SR702サーボアンプ : MR-J4-700A定格トルク:33.4Nm(使用可能トルク比 1:100)回転速度 :Max. 3000r/min(定格回転速度 2000r/min)      (使用可能回転速度比 1:50)モータ慣性モーメント  :154×10-4kgm2(0.0154kgm2)推奨負荷慣性モーメント比:15 倍以下

(5) ギヤ比:R の設定①必要トルクより

Rt = =51.533.4

巻取り軸トルク (max)モータの定格トルク = 1.54以上の設定が必要

②回転速度の設定より

モータ回転速度 (max)モータ軸回転速度 (max)

Rn =30001061 = 2.82以下の設定が必要

Rt<R<Rn

1.54<R<2.82 R:2.6 とする

(6) モータ軸トルク

T' = = (4.5~51.5)2.6

= 1.7~19.8Nm1RT ×

定格トルクの 5.2 〜 66.5%

(7) モータ軸回転速度

N' = N × R = (127~ 1061) × 2.6 =330~ 2759r/min

最大回転速度の 11 〜 92%

(8) 負荷慣性モーメント比

<R2

負荷軸慣性モーメント(モータ慣性モーメント )×(負荷慣性モーメント比 )

<1.52.62 0.0154×15

0.221<0.231 → OK

ギヤ

モータ

送りモータ

【巻出しの場合】

巻取りモータ

ギヤ

送りモータ

【巻取りの場合】

回転速度とトルク

回転速度(r/min)

トルク(Nm)

張力minラインスピードmin

張力minラインスピードmax

張力maxラインスピードmin

張力maxラインスピードmax

40

30

20

10

00.0 500.0 1000.0 1500.0 2000.0 2500.0 3000.0

使用可能領域

使用条件張力 (F) 100 〜 200N巻径 (D) 90 〜 500mm

ラインスピード (V) 200 〜 300m/min加減速時間 (t) 20sec

巻軸慣性モーメント max(I) 1.5kgm2

Page 76: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

76

Chapter.6 アクチュエータ

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

ポイント! アクチュエータの選定には…

まず各種アクチュエータの特徴を知り、機械仕様を明確にした上で、これに適したアクチュエータを選定します。続いて詳細な選定計算を行い、目的仕様を満足するかどうかのチェックを行います。機械の性能と経済性を決定する最も大きな要因がアクチュエータの選定にありますので、慎重に検討する必要があります。

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Chapter.7

張力制御システム構築の基礎

7-1 基本の張力制御システム7-2 張力制御システムの構成7-3 テーパテンション制御

Page 78: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

78

Chapter.7 張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

張力制御システム構築の基礎Chapter

7

7-1 基本の張力制御システム

実際の張力制御システムの構築にはそれぞれの材料に合った機械仕様の設定とその機械仕様を実現させるためのシステム構築が必要です。材料が変われば機械仕様も変わり、機械仕様が変わればシステム構成も大きく変化します。

材料が巻き出されてこれを巻き取るだけの機械が最も簡単な張力制御システムになります。このようなシステムの場合、必ず巻出しか巻取りの一方を速度制御して綱引きの引っ張る側をさせ、もう一方を引っ張られる側にするように制御します。この綱引きの引っ張る側になった方がこのシステムの主軸になります。

この図のシステムの場合は巻出し側はパウダブレーキで制御されています。パウダブレーキはトルク制御用アクチュエータで、引っ張られる側にしかならないので、巻出し側が張力を制御することになります。一方巻取りモータは速度制御して材料の速度が一定になるように巻径が変化しても巻取り材料の周速が一定になるようにします。

綱引きの引っ張る側になる巻取りの制御方法はトルク制御でも速度制御でもどちらでもかまいません。中間にフリーローラが何本あったとしても、このシステムの巻出しから巻取りまでの張力を決定するのは巻出し制御の結果によります。

■7-1-1 巻出しと巻取りだけのシステム

巻取りモータ

パウダブレーキ

ギヤ

ギヤ

Page 79: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

79

Chapter.7張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

●構成例

中間軸を設けない場合の構成は、巻取り、巻出し軸のいずれか一方の軸をトルク制御、他方の軸を速度制御します。①は、巻出し軸をトルク制御、巻取り軸を速度制御にした例です。②は、巻出し軸を速度制御、巻取り軸をトルク制御にした例です。トルク制御のアクチュエータとしては、パウダクラッチ・ブレーキ、サーボモータ(トルク制御モード)、インバータ/モータ(エンコーダ付)等があります。速度制御用アクチュエータとしては、サーボモータ(速度制御モード)、インバータ/モータ(エンコーダなし)等があります。なお、モータを回生側(ブレーキ)で使用する場合、別途回生ユニットが必要です。

■7-1-2 中間主軸のあるシステム

❶巻出し側:トルク制御、巻取り側:速度制御

パウダーブレーキ

モータ

モータ インバータ 回生ユニット

もしくは

巻出し側トルク制御

巻取り側速度制御

❷巻出し側:速度制御、巻取り側:トルク制御

もしくはモータ

モータ

インバータ 回生ユニット

巻出し側速度制御

巻取り側トルク制御

ギヤードモータ

パウダクラッチ

前述の機械に対して中間に主軸を設けた基本の張力制御システムです。中間のニップロールにより材料の速度が一定に制御されています。7-1-1の機械では巻取り材料の偏心により材料速度にむらが発生することがありましたが中間のニップロールの外形は変化することがないので材料速度の安定化が図れます。

このシステムの場合、巻出し軸と主軸、巻取り軸と主軸いずれの関係も主軸が綱引きの引っ張る側になるように制御します。一方、綱引きの引っ張られる側に当たる巻出し軸や主軸から送られてくる材料を巻き取る巻取り軸の制御方法は任意に決めることができます。この図の場合、巻出し制御はダンサロールによるインバータを用いた速度制御で、巻取り軸はパウダクラッチによるトルク制御になります。張力は 7-1-1の機械では巻出しから巻取りまで同じですが、このシステムの場合は、主軸を中心にして巻出し張力と巻取り張力を別々に制御することができます。

巻取りモータ

ギヤ

ギヤ

巻出し制御用インバータ

回生ユニットモータ

主軸モータ

ニップロール

パウダクラッチ

巻取り側張力

巻出し側張力

Page 80: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

80

Chapter.7 張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

主軸は速度制御しますが、そのとき主軸の駆動力が不足すると巻出しや巻取りの張力変化により材料速度を一定にすることができません。また加減速の際は機械全体の慣性の影響による力が主軸にかかります。

主軸

弱い

強い

主軸

弱い

強い

●弱々しい主軸はシステム全体が不安定になります

したがって主軸は巻出しや巻取りの張力変化や機械の加減速による影響があっても十分に安定して材料を一定速度で制御できるだけの駆動力が必要です。

主軸

●システム全体を支える力を持った主軸を設けます

Page 81: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

81

Chapter.7張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

●構成例

中間主軸ありの場合、巻き出し、巻取り軸をトルク制御もしくは速度制御、中間軸を速度制御します。組合わせは下記4通りあります。トルク制御のアクチュエータとしては、パウダクラッチ・ブレーキ、サーボモータ(トルク制御モード)、インバータ/モータ(エンコーダ付)等があります。速度制御用アクチュエータとしては、サーボモータ(速度制御モード)、インバータ/モータ(エンコーダなし)等があります。なお、モータを回生側(ブレーキ)で使用する場合、別途回生ユニットが必要です。

❶巻出し側:トルク制御、巻取り側:トルク制御

モータ インバータ 回生ユニット

もしくは

巻出し側トルク制御

巻取り側トルク制御中間軸

速度制御

パウダブレーキ

もしくは

モータ

ギヤードモータ

パウダクラッチ

❸巻出し側:速度制御、巻取り側:トルク制御

巻取り側トルク制御

もしくは

モータ

ギヤードモータ

パウダクラッチ

中間軸速度制御

ダンサロール

モータ

インバータ 回生ユニット

巻出し側速度制御

❷巻出し側:トルク制御、巻取り側:速度制御

もしくは

巻出し側トルク制御

巻取り側速度制御中間軸

速度制御 モータ

ダンサロール

パウダブレーキ

インバータ

モータ インバータ 回生ユニット

❹巻出し側:速度制御、巻取り側:速度制御

巻出し側速度制御

巻取り側速度制御中間軸

速度制御

ダンサロール

モータ

インバータ 回生ユニット

モータ

インバータ

Page 82: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

82

Chapter.7 張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

■7-1-3 中間軸のメリット、デメリット

中間軸 巻出し 巻取り メリット デメリット

なし

トルク制御 速度制御• 主軸が巻取り軸と兼ねているため、構成が簡単(主軸レス)• 材料をニップしないため、表面を傷つけない

• 巻取り、巻出しの張力を個別に設定できない• 主軸を個別に設定するものに比べ、速度変動が

大きくなる• 巻出し側がモータの場合、回生となるため、回

生コンバータが必要になる速度制御 トルク制御

あり

トルク制御 トルク制御• ライン速度の安定性が良い• 中間軸でニップしているため、巻取りと巻出し

の張力を個別に設定できる• ダンサを用いた場合、積極的にモータで材料を

送り出すことができるため、低張力に対応できる また、加減速があってもダンサで張力の変動を受けにくい

• 巻取り、巻出し、主軸のそれぞれにアクチュエータが必要になる

• 材料をニップする必要があるため、表面を傷つける可能性がある

速度制御 トルク制御

トルク制御 速度制御

速度制御 速度制御

トルク制御でライン速度が遅い場合はパウダが得意、ライン速度が速い場合はモータが得意

トルク制御用アクチュエータ : パウダクラッチ・ブレーキ、サーボモータ(トルク制御モード)、インバータ/モータ(エンコーダ付)、etc.速度制御用アクチュエータ : サーボモータ(速度制御モード)、インバータ/モータ(エンコーダなし)、etc.

Page 83: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

83

Chapter.7張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

7-2 張力制御システムの構成

ACサーボモータ

ACサーボモータ

ACサーボモータ送り軸パルス

テンションコントローラ+

巻径演算オプション

巻軸パルス

主軸送り速度

主軸送り速度

テンションメータ

張力検出器

張力検出器

張力検出器

巻取り軸

トルク制御信号

張力信号

張力信号

ダンサロール

巻取りモータ用速度命令

インバータ

パウダクラッチ

トルク制御信号

ACサーボアンプ

テンションコントローラ

ACサーボアンプ

ACサーボアンプ

パウダブレーキ

機械の上を流れる材料はそれぞれの加工工程において張力を変えたりします。また機械の各部分によって張力制御のための役割も異なります。したがって連続して流れる材料でも、機械の部分ごとに制御を切り替えることになります。このときは各制御部分の切分けを行うために機械の途中で駆動ロールを設けます。一般的に材料を途中で駆動するための機械機構としては、ローラで上下から挟みつけているニップロールを用います。ニップとは挟むという意味で、ローラで材料を挟みつけていることからこのように呼ばれています。このときニップロールではエアシリンダで一定の圧力で加圧して材料を挟むことが多いです。また、工程の事情などで材料をニップできない場合は、例えば駆動ロールの表面摩擦ができるだけ大きいようにゴムロールなどを用い、材料をこのロールに巻きつけて行う方法があります。

モータ

ニップロール機構 ニップロール代替機構

モータ

■7-2-1 ニップロール

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84

Chapter.7 張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

機械では、主軸を設け必ずこれを速度制御しなければなりません。主軸は機械にただひとつで機械全体の加工速度を決定するもので、他の駆動軸はすべてこの主軸に従動しなければウェブは安定して流れてくれません。さらに主軸は機械全体のリーダー的役割を果たすもので、リーダーがしっかりしないとチームが乱れるように、主軸もしっかり機械システム全体をリードする力が必要です。ここでいう力とは十分に安定した速度制御とトルクの大きさをいいます。材料には張力の力、慣性の影響による力、機械摩擦の影響による力の3種類の力(トルク)が影響しますが、これらの力が逐次変化しても主軸は安定して回転しなければなりません。特に機械の加減速時は材料を通して機械すべての回転部分の慣性の影響によるトルクが主軸にかかることになるので、主軸のアクチュエータを決めるときは、これを考慮しなければなりません。

■7-2-2 主軸の設定

■7-2-3 張力制御形式

主軸

[巻出し制御]

材料が巻き出されているリールから最初の駆動ロールまでを巻出し制御と呼びます。巻出し制御は巻径が変化する巻出し材料を一定の張力で巻き出していくことが役目です。巻出し制御では駆動ロール側が必ず綱引きの引っ張る側になり、巻出し軸が引っ張られる側になるように制御します。樹脂フィルムの成形機などの場合は樹脂が連続してフィルム状に出てくるため巻出しがない機械もあります。

[1 軸巻出し機構]

巻枠軸にはブレーキが設けてあります。巻出し張力=制動トルク/巻出し半径の関係がありますので、巻径の減少に伴って制動トルクを減らせば一定の張力が得られます。必要に応じて巻枠軸とブレーキの間にギヤ、プーリ等の増・減速機が設けられます。

ACサーボモータ

張力検出器

張力信号

トルク制御信号

パウダブレーキ

テンションコントローラ

ACサーボアンプ

●巻出し機構

ブレーキ

送りモータ

半径

張力

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85

Chapter.7張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

[同時多軸巻出し機構]

シングルカッタ(紙の重ね切り機械)やサイジングマシン(糸ののりつけ機械)、ラミネータ(フィルムを貼り合わせる機械)などでは、複数の巻枠に巻き込まれている長尺材が同時に巻き出されています。全体の張力制御を行っているとき、各ブレーキのトルクの均一性が求められます。材料の厚みや幅、強度などによって、目的とする設定張力は変更されます。また、巻径も時々刻々変化しますので、ブレーキとしては広範囲のトルク調整ができるものでなければなりません。

[モータ付き巻出し機構]

■ 積極巻出し機構

次のような場合、巻枠軸をモータで駆動して積極的に巻出しを行うことがあります。• 巻枠が重く、初期通紙操作などの手作業を容易化したい時。

• 自動紙継ぎ装置で、現在使用中の巻枠の巻出し速度と等しくなるように準備枠の周速を制御したい時。

• 目的とする巻出し張力に比べて、巻出し軸のメカロスに基づく張力が大きい場合。

• 始動時に巻枠慣性による加速張力が大きい場合なども積極巻出しを行って、メカロスの補正や慣性補償が必要。

このような場合は、一般にはダンサロール機構を用いた速度制御方式による張力制御が必要になります。

■ 逆転駆動巻出し機構

次のような場合、ブレーキではなく巻枠を逆転駆動するためのモータとクラッチを用います。• 巻返し機で、一対の巻枠間で材料の可逆巻取り、巻出しを

する場合。

• 巻出し側でブレーキの回転速度が5r/min(ZA タイプは 15r/min)以下になる場合。

ブレーキ

送りモータ

ブレーキブレーキ

ダンサロール

送りモータ

送りモータ

送りモータ

クラッチ

ギヤードモータ

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86

Chapter.7 張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

[巻取り制御]

機械で最終の駆動ロールから材料を巻き取るリールを巻取り制御といいます。巻取り制御がある機械では、次の機械で使用する材料を巻き取ることになるので、きれいな巻姿で巻き取る必要があります。そのために張力を一定にして巻き取るのではなく巻径が増加するに従い徐々に緩く巻く、テーパテンション制御が行われることもあります。また巻取り時の空気の巻込みを防ぐ機構が設けられている場合もあります。巻取り制御でも駆動ロール側が必ず綱引きの引っ張る側になり、巻取り軸が引っ張られる側になるように制御します。新聞印刷機やカッタのようにカットされた状態が最終製品の場合は巻取り制御がない機械もあります。

張力検出器

ACサーボモータ

送り軸パルス 巻軸パルス

巻取りモータ用速度命令

トルク制御信号

ACサーボアンプ

テンションコントローラ+

巻径演算オプションインバータ

パウダクラッチ

[自動紙継ぎ機構]

機械を停止させずに材料をつなぐためのシステムの一種で、旋回アーム(ターレットアーム)上に2〜3軸の巻出し枠を設け、次の手順で紙継ぎを行います。あらかじめ新軸の外周面には両面テープを貼っておきます。アームを旋回させて巻出し材料の上面近くまで新軸を移動させます。新軸をプリドライブして、機械速度と新軸の周速を一致させます。接圧ロールを当てて走行材料を新軸に押し当て、新軸材料を走行材料に接続します。カッタを作動させて、旧軸を切断します。

旋回アーム(ターレットアーム)上に2〜3軸の巻枠軸を設け、次の手順で紙継ぎを行います。アームを旋回させて巻出し材料の下面まで準備枠を移動させます。アキュムレータのストップロールにブレーキをかけて巻出しを停止させます。その後は、アキュムレータの昇降ロールが下降し給紙を継続します。この間は昇降ロール上昇用のクラッチのトルクを制御して一定張力を保ちます。新旧巻枠(停止中)の材料を圧着し、旧紙切断後ストップロールのブレーキを解除して昇降ロールを上昇させます。これが終わると、巻出しブレーキのトルクを制御して所定の張力を保ちます。

ベクトルインバータ専用モータ

旋回

ターレットアーム

接圧ロール

カッタ

パウダクラッチ ギヤード

モータ

パワーアンプ

アキュムレータ

ストップロールパウダブレーキ

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87

Chapter.7張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

[小容量巻取り機構]

材料の巻取り速度は、送りロールの回転速度によって一定に保たれています。巻取り径の増加に伴ってクラッチのトルクを増加させて一定の張力を得ます。クラッチの入力回転速度は一定であるのに対し、出力側回転速度は巻太りに伴って減少し、そのスリップ回転速度(入出力回転速度の差)は増加します。なお、クラッチの入出力軸には必要に応じて、ギヤやプーリなどの減速機構が設けられます。

クラッチやブレーキの発熱は、そのスリップ回転速度と伝達トルクの積に比例します。巻出しブレーキでは、トルクが大きい時(巻径が大きい時)スリップ回転速度が小さく、スリップ回転速度が大きい時(巻径が小さい時)はトルクが小さくなるので、常に一定の発熱量となります。しかしクラッチの場合は、トルクが大きいときにスリップ回転速度も大きくなるので、熱的に不利な現象が生じます。巻取りモータについても同様に枠番の大きなものが必要になります。巻出しの動力(W)は、0.0167× ラインスピード(m/min)× 張力(N)で概算できます。

●巻取り機構

パウダブレーキ

送りモータ

送りロールパウダクラッチ

[巻取りの定スリップ制御機構]

スリップ回転速度制御機能を有する張力制御装置を用いることにより、巻取りクラッチのスリップ回転速度が巻径によらず、一定になるように巻取りモータの回転速度を制御することができます。これにより、クラッチのスリップ工率を下げることができます。

パウダブレーキ

送りモータ

送りロール

巻取りモータロータリエンコーダ

インバータ

巻径検出

トルク制御

回転速度制御

巻径

クラッチ回転速度

入力側

出力側

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88

Chapter.7 張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

[多軸巻取り機構]

スリッタ(幅広シートを切断してテープを作る機械)やセパレータ(積層シートを分離して巻取る機械)では、左図のとおり複数の巻枠軸にクラッチが設けられ、1台の巻取りモータで駆動することがあります。

[連続巻取り機構]

自動紙継ぎ巻出しを行う時と同時に自動紙継ぎ巻取りを行う場合も、アキュムレータを設ける場合(巻取り停止中の紙継ぎ)と設けない場合(巻取り運転中の紙継ぎ)があり、後者は周速を一致させるためのプリドライブ制御が必要となります。左図は連続巻取り方式(アキュムレータなし)でアウトフィード制御を併用した2軸巻取り機構を示しています。巻取り機構には、クラッチやモータをターレットアーム上に設けるものと静止側に設けるものがあります。

[サーフェス巻取り]

巻枠軸の周辺をプレスロールでアンダロールに圧接しています。アンダロールの駆動トルクをクラッチで制御することにより定張力を得ます。

巻取りモータ

パウダクラッチ

送りモータ

巻取りモータ

送りモータ

張力検出器

パウダクラッチ

ターレットアーム旋回

アウトフィードロール

パウダブレーキパウダクラッチ

送りモータ

プレスロール送りロール

アンダロール

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89

Chapter.7張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

[中間軸制御]

機械で最初の駆動ロールから最後の駆動ロールまでを中間軸制御といいます。このとき主軸を中心に巻出し側を特にインフィード、巻取り側をアウトフィードといいます。インフィードは巻出し制御で巻き出した材料の張力を加工前により安定するためや、巻出しの材料切替え時のショックが加工部へ伝達しないようにします。一方のアウトフィードは巻取りの張力変動が加工部へ伝達しないようにするためにあります。特に巻取り制御ではテーパテンション制御により張力が変化するので、これが加工部へ影響しないようにテンションカットすることも大きな役目になります。また巻出しと同様に巻取り材料の切替え時のショックが加工部へ伝達しないようにします。

ACサーボモータ

ACサーボモータ

主軸送り速度

主軸送り速度

テンションメータ

張力検出器

張力信号

ダンサロール

ACサーボアンプ

ACサーボアンプ

ACサーボアンプ

[インフィード機構]

インフィードロール軸にクラッチとブレーキを取り付けて、トルクの可逆運転を行います。これにより、巻出し部の張力と給紙部の張力を独立して設定できます。例えばブレーキをかければ、巻出し張力<給紙張力、クラッチを駆動すれば、巻出し張力>給紙張力となります。また、巻出し部の張力変動のうち周期の長いものを補正することができます。

インフィードロールと送りロールを個別モータで駆動する場合、クラッチ・ブレーキ機構の代わりにサーボモータを用いることもできます。

インフィードロール

送りロール

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90

Chapter.7 張力制御システム構築の基礎

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

ポイント! 張力制御システムの構築

・機械のどの軸を速度基準(主軸)にするかを考える・制御区分分けをして、ニップロールを設ける・各制御区分を速度制御するか、トルク制御するか決める・ダンサロールを使用するか、張力検出器を使用するか、制御方式を決める

7-3 テーパテンション制御

定張力制御

テーパテンション制御

巻径 mmΦ

制御張力 N

O最小径 最大径

テーパ率

巻径の変化に応じて張力を変化させる制御をテーパテンション制御(テーパ制御)といいます。テーパ制御は主に巻取り制御に使用し、巻径増加に伴って張力を低減して巻取り時の材料の巻締まりや巻ずれなどの防止を目的に使用します。また、左図のとおり、定張力制御に対する低減の傾きをテーパ率といいます。

●テーパテンション制御

●折線テーパテンション制御

定張力制御

折線テーパ制御

巻径 mmΦ

制御張力 N

T1

T2

T3

C1

O最小径 最大径

C2 C3 C4

T4

テーパテンション制御において、初期径から最終径まで同じテーパ率で制御せずに、中間の巻径でテーパ率を変えるような設定としたテーパ制御を折線テーパ制御といいます。

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Chapter.8

用途例

8-1 ビジネスフォーム印刷機8-2 オフセット印刷機8-3 グラビア印刷機8-4 スクリーン印刷機8-5 アンワインダ8-6 打抜機8-7 インフレ押出し機+2軸フィルム巻取り機8-8 多連カッタ8-9 スリッタ①8-10 ラミネータ8-11 圧延機8-12 フィルム洗浄装置8-13 メッキ装置8-14 巻取り機8-15 厚み測定機8-16 鋼板メッキ処理ライン8-17 静電除去装置8-18 スリッタ②8-19 ラミネータ8-20 フィルム加工機

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92

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

8-1 ビジネスフォーム印刷機

特長

使用条件

適応機種

パウダブレーキZKB-5HBN

テンションコントローラLE7-40GU-L

巻出し

印刷部

張力検出器LX-050TD

● 印刷の色ずれ防止とプリンタ送り用のパンチ穴のピッチ精度向上のために、フィードバック式張力制御装置を用います。

● 印刷の色あわせなどの寸動運転で、ストール記憶機能が効果を発揮して、再スタート時の色ズレ・ピッチズレを少なくします。

● 原紙がなくなる寸前に減速しますが、そのときに減速ゲインを効かし、タルミによる色ズレ・ピッチズレを少なくするようにします。

● パウダブレーキは水配管が不要なサーモブロック冷却式を使っています。

巻出し張力 N 100 〜 200ライン速度 m/min 250 以下巻径 φ 95 〜 800

パウダブレーキ ZKB-5HBNテンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX-050TD

ワーク材質 プリンタ用紙

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93

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

8-2 オフセット印刷機

特長

使用条件

適応機種

加工部へ

回生ユニット

近接スイッチ

モータSF-V5RU37K

インバータFR-A820-55K

+ FR-A8AP

回生ユニット

LD-10WTB-CCL

張力検出器LX-050TD

ロータリエンコーダ

LD-10WTB-DCA

LM-10WA-TAD

テンションコントローラ

● 省力化の一環として、給紙部の全自動紙継ぎ(オートペースタ)をすることがあります。

● 張力制御は自動紙継ぎのために巻径検出を行い、フィードバック制御をします。

● 印刷の色あわせなどの寸動運転で、ストール記憶機能が効果を発揮して、再スタート時の色ズレ・ピッチズレを少なくします。

● 原紙がなくなる寸前に減速しますが、そのときに減速ゲインを効かし、タルミによる色ズレ・ピッチズレを少なくするようにします。

巻出し張力 N 200 〜 300ライン速度 m/min 500 以下巻径 φ 100 〜 1000

ベクトルインバータ FR-A820-55K + FR-A8AP( オプション )モータ SF-V5RU37K

テンションコントローラ LD-10WTB-CCL + LD-10WTB-DCA + LM-10WA-TAD もしくは LE-10WTA-CCL + LD-10WTB-DCA 2 台

張力検出器 LX-050TD

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94

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

8-3 グラビア印刷機

特長

使用条件

適応機種

印刷部

回生ユニット

近接スイッチ

モータSF-V5RU5K

回生ユニット

LD-10WTB-CCL

サーボモータ

シーケンサ

LD-10WTB-DCA

LM-10WA-TAD

張力検出器LX-030TD

インバータFR-A820-7.5K + FR-A8AP

サーボアンプ

エンコーダパルス

エンコーダパルス

サーボアンプ テンションコントローラ

● 巻出し、巻取り各2軸をベクトルインバータのトルク制御モードで駆動します。

● CC-Link に接続し、ネットワーク側で操作します。

巻出し 巻取り張力 N 30 〜 150 30 〜 150ライン速度 m/min 200 以下 200 以下巻径 φ 100 〜 700 100 〜 700

ベクトルインバータ FR-A820-7.5K + FR-A8AP( オプション )モータ SF-V5RU5K

テンションコントローラ LD-10WTB-CCL + LD-10WTB-DCA + LM-10WA-TAD もしくは LE-10WTA-CCL + LD-10WTB-DCA 2 台

張力検出器 LX-030TD

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95

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

8-4 スクリーン印刷機

特長

使用条件

適応機種

サーボモータ

加工部(印刷、乾燥)

インフィードロール

巻取り張力検出器LX7-50FN17

パウダクラッチZKB-0.3AN

ギヤードモータ0.1kw 1/50

テンションコントローラLE7-40GU-L

パワーアンプLD-10PAU-A

パウダブレーキZKG-5YN

外付けボリューム

シーケンサ

速度信号

タルミ量センサ

サーボアンプ

● 加工部に間欠送りが必要な機械に適用します。

● 加工部は間欠運転します。加工部出口で材料をたるませて加工部の間欠運転を吸収し、巻取り部は連続運転します。

● 加工部出口のタルミ量をセンサで感知し、中間ロールの速度を切り替えて所定のタルミ量の範囲に制御します。

インフィード部 巻取り張力 N 1 〜 1.5 5 〜 10ライン速度 m/min 1 1巻径 φ 100 90 〜 400

インフィードパワーアンプ LD-10PAU-Aパウダブレーキ ZKG-5YN

巻取りテンションコントローラ LE7-40GU-Lギヤードモータ 0.1kW 1/50パウダクラッチ ZKB-0.3AN張力検出器 LX7-50FN17

2s

2s

5m/min

加工部ライン速度

0m/min

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96

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

8-5 アンワインダ

特長

使用条件

適応機種

電磁クラッチなど

パウダブレーキZKB-40HBN

張力検出器LX-100TD

パウダブレーキZKB-40HBN

パワーアンプLE-50PAU

パワーアンプLE-50PAU

テンションコントローラLE7-40GU-L

● トルク制御範囲が広いため、張力の大小により2台のパウダブレーキを使用したり、単独使用したり切り替えて用います。

● 張力 F=200 〜 500N のときは 2 台のパウダブレーキ ZKB-40HBN を併用、 張力 F=50 〜 270N のときは ZKB-40HBN を 1 台のみ使用します。

(使用しない ZKB-40HBN は低張力時、空転トルクが影響しないように他のクラッチ機構で切り離す必要が あります。)

● 大容量の巻出し制御に応用できます。張力により制御するブレーキを1台、2台と切り替えて使用すれば、 ブレーキトルクの制御比率が広がるため、使用張力の差が大きい時、巻径の比率が大きい時に応用できます。

巻出し張力 N 50 〜 500ライン速度 m/min 50 〜 700巻径 φ 96 〜 1100

巻出しテンションコントローラ LE7-40GU-Lパワーアンプ LE-50PAUパウダブレーキ ZKB-40HBN張力検出器 LX-100TD

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97

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

8-6 打抜機

特長

使用条件

適応機種

ZKB-2.5BNパウダクラッチ

ギヤードモータ0.2kW 1/60

送りロール

打抜き部

近接スイッチ

オープンループ式テンションコントローラ

LD-30FTA

● 打抜きを行う時は材料の走行を止めるため、間欠送りとなります。その巻取り部の張力制御を行います。

● 間欠送りですが、巻取りギヤードモータは常に回転させておき、材料が停止していても常に張るようにします。

● 間欠運転でもあり、制御の安定な巻径検出式テンションコントローラを用いています。

● 材料厚みが 200µm ですので、巻軸パルスを 10 パルス / 回転として材料厚は 1/10 の 20 と設定します。

● ホットスタンピング・スクリーン印刷機などの間欠送りの機械に応用できます。

巻取り張力 N 50 〜 100ライン速度 m/min 6 以下巻径 φ 92 〜 500

巻取りテンションコントローラ LD-30FTAパウダクラッチ ZKB-2.5BNギヤードモータ 0.2kW 1/60

材料 紙(厚さ 200µm)間欠送りの回数 10 回 / 分

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98

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

8-7 インフレ押出し機+2軸フィルム巻取り機

特長

使用条件

適応機種

エアコンプレッサ

パウダクラッチZKB-5BN

ポリエチレン原材料

ギヤードモータ1.5kW 1/10

巻取り機 Aターレット

張力検出器LX7-F150FN17

耳部巻取り

巻取り機 B

テンションコントローラLE7-40GU-L

テンションコントローラLE7-40GU-L

● インフレ押出し機により、ポリエチレンフィルムを筒状に押し出します。この筒状フイルムを半分に折り畳んでから、両側の耳を切り取り2枚のシートにします。

● この過程で材料のフィルムは冷却され、これらの 2 枚のシートはそれぞれ2台の2軸ターレット自動巻取り機で巻き取られます。 このような用途にも張力制御装置が用いられます。

● LE7-40GU-L は、新軸プリセット機能(新軸プリドライブ出力)を内蔵しているため、パラメータ設定のみで2軸ターレット自動紙継ぎを可能にします。

● LE7-40GU-L は、カットゲイン(カットトルク)機能を内蔵しているため、フィルムの切断が簡単に行えます。

● パウダクラッチを使用した軸切替え機に応用可能です。

巻取り張力 N 15 〜 25ライン速度 m/min 50 〜 150巻径 φ 100 〜 900

巻取りテンションコントローラ LE7-40GU-L 2 台張力検出器 LX7-150FN17パウダクラッチ ZKB-5BN(強制空冷)ギヤードモータ 1.5kW 1/10

保護素子転流ダイオード 200VA 5A保護抵抗 10W 47 Ω

2軸のリールチェンジ時には外部接点でパウダクラッチを切り替えますが、このときパウダクラッチ(2台)と並列に保護用のダイオードと抵抗を必ず入れてください。

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99

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

LD-10WTB-CCL

ロータリエンコーダ

カッタ

送りロール

近接スイッチ

テンションコントローラ

パウダブレーキZA-40Y

調節ボリューム

パワーアンプLE-50PAU

● 数枚の紙を一度にカットするため、各紙の張力を一定にして、寸法ズレを少なくします。

● 巻径を代表検出し、4 台のパウダブレーキを制御します。

● 巻出し部の径が 4 台ともほぼ同一であることが条件です。

● 各軸の張力を微調整するため、調整ボリュームを使います。

● サイジングマシンなどの多軸巻出しにも応用できます。

巻出し張力 N 300 〜 500ライン速度 m/min 60 〜 100巻径 φ 100 〜 1200

8-8 多連カッタ

巻出しテンションコントローラ LD-10WTB-CCLパワーアンプ LE-50PAU 4 台パウダブレーキ ZA-40Y 4 台

材料 紙

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100

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

パウダクラッチZKB-5BN

ギヤードモータ3.7kW 1/3パウダクラッチ

ZKB-5BN

ナイフ

調節ボリューム

パワーアンプLE-50PAU

近接スイッチロータリエンコーダ

テンションコントローラ

LD-10WTB-CCL

● スリッタ(ナイフ)によりスリットを入れ多軸で巻き取りますが、それらの各軸を同時に張力制御する場合に使います。

● 巻径検出のために、代表の巻枠軸およびロール軸に近接スイッチとパルスジェネレータを直結し、これらのパルスをテンションコントローラに入力してテンションコントローラ内の演算回路で巻径を演算します。オープンループ制御のため、ハンチングはありません。

● 各軸の材料幅やクラッチトルクのばらつきなどによる張力の差をなくすため、調整ボリュームを併用します。

● 同時多軸巻取り全般に使用可能です。

巻取り張力 N 100 以下ライン速度 m/min 100 以下巻径 φ 110 〜 400

8-9 スリッタ①

巻取りテンションコントローラ LD-10WTB-CCLパワーアンプ LE-50PAU 2 台パウダクラッチ ZKB-5BN (強制空冷)ギヤードモータ 3.7kW 1/3

材料 フィルム

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101

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

ロータリエンコーダ

テンションコントローラ近接スイッチ

パウダブレーキZKB-0.6YN

パワーアンプLD-10PAU-A

LD-10WTB-CCL

LD-10WTB-DCA

パワーアンプLD-10PAU-A

● 代表して 1 軸の巻径検出を行うことで、多軸同時巻出し制御を行います。

● LD-10WTB-CCL に巻径演算アダプタ LD-10WTB-DCA を接続した一般的な 2 軸巻出し制御です。

● 同時多軸巻出し全般に使用可能です。

巻出し張力 N 20 〜 200ライン速度 m/min 2 〜 20巻径 φ 110 〜 400

8-10 ラミネータ

巻出しテンションコントローラ LD-10WTB-CCL + LD-10WTB-DCAパワーアンプ LD-10PAU-A 2 台パウダブレーキ ZKB-0.6YN

材料 フィルム

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102

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

エアブレーキ

ロードセル

送りロール

電空変換器

LE-10WTA-CCLテンションコントローラ

● 薄鋼板やアルミ板などの金属の高張力巻出し制御のためにエアブレーキとロードセルで張力を制御します。

● 張力が大きいため、検出器として市販のロードセルを用い、テンションコントローラへ入力します。

● 高張力を要求されるワインダなどにも応用できます。

巻出し張力 N 10000 以下ライン速度 m/min 70 以下巻径 φ 250 〜 1200

8-11 圧延機

巻出しテンションコントローラ LE-10WTA-CCLエアブレーキ 他社品電空変換器 他社品

材料 薄鋼板

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103

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

パウダクラッチZKB-5BN

パウダクラッチZKB-5BN

ギヤードモータ0.4kW 1/50

モータ0.4kW 1/50

ダンサロール

張力検出器LX7-300FN17

洗浄部のメカロス確認

メカロス補正用駆動モータ

張力検出器LX7-300FN17

張力検出器LX7-300FN17

洗浄部

張力検出器LX7-300FN17

テンションコントローラLE7-40GU-L

テンションメータLM-10WA-CCL

GOT

テンションコントローラLE7-40GU-L

● 低速のため、巻出しはパウダクラッチの逆転入力で張力を安定させます。

● 洗浄部のメカロスの確認用に前後の張力を監視します。(メカロスが大きい場合は、メカロス補正用の駆動モータを入れる)

● 低張力運転のため、張力はダンサロールにより付加します。

8-12 フィルム洗浄装置

巻出し 巻取り張力 N 20 〜 200 20 〜 200ライン速度 m/min 0.1 〜 6 0.1 〜 6巻径 φ max.400 max.400

厚さ 100 〜 200µm幅 max.700mm質量 250kg

巻取りテンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX7-300FN17パウダクラッチ ZKB-5BNギヤードモータ 0.4kW 1/50

巻出しテンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX7-300FN17パウダクラッチ ZKB-5BNギヤードモータ 0.4kW 1/50

インフィードテンションメータ LM-10WA-CCL張力検出器 LX-030TD

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104

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

テンションコントローラLE7-40GU-L

パウダブレーキZKB-20XN

パウダクラッチZA-20A1

パウダクラッチZA-20A1

ギヤードモータGM-D

1.5kW 1/50

アキュムレータ

ギヤードモータGM-D

2.2kW 1/40

パウダクラッチ

ZKB-40BN(強制空冷)

ギヤードモータGM-D

0.75kW 1/60

処理部

ダンサロール

サーボモータ

HG-SR2012kW 1/11

パワーアンプLE-50PAU

シーケンサ

サーボアンプ

200 ~ 500N

400 ~ 1000N

1200N

500N

カウンタウェイト

● アキュムレータとダンサロールにパウダクラッチを用い、張力はパワーアンプの設定により変更可能です。

● 巻取りは、ストップロールを働かせ2軸切替え巻取りを行い、軸切替え時でもメッキ処理は連続運転を可能としています。

ダンサ部 アウトフィード部 アキューム部 巻取り

張力 N 200 〜 500 400 〜 1000 500 1200 以下ライン速度 m/min 5 〜 20 5 〜 20 5 〜 20 5 〜 20巻径 φ 100 100 100 75 〜 300

ワーク材質 金属箔

厚さ 10µm(初期)、処理後 410µm

幅 max.700mm

8-13 メッキ装置

アウトフィード部テンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX7-500FN17サーボモータ HG-SR201サーボアンプ MR-J4-200B

巻取りテンションコントローラ LE7-40GU-Lパワーアンプ LE-50PAU張力検出器 LX7-500FN17パウダクラッチ ZKB-40BNギヤードモータ 2.2kW 1/40

アキューム部パワーアンプ LE-50PAUパウダクラッチ ZA-20A1

ギヤードモータ 1.5kW 1/50

ダンサ部パワーアンプ LE-50PAUパウダクラッチ ZA-20A1

ギヤードモータ 1.5kW 1/50

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105

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

GOT

サーボアンプMR-J4-60

サーボモータHG-SR51

パウダクラッチZKB-0.3AN

ギヤードモータ0.1kW 1/5

超音波センサ

パワーアンプLD-10PAU-A

シーケンサ

テンションコントローラLE-10WTA-CCL

ストップロールアキュムレータ

張力検出器LX-050TD

● 超音波センサから巻径信号をシーケンサに取り込み、外部テーパ制御をします。

● 巻取りは、ストップロールを働かせ軸切替え巻取りを行います。

● アキュムレータは、パウダクラッチを使った張力制御を行います。

アキュムレータ 巻取り張力 N 20 〜 50 20 〜 50ライン速度 m/min max.75 max.75巻径 φ 100 96 〜 400

8-14 巻取り機

巻取りテンションコントローラ LE-10WTA-CCL張力検出器 LX-050TDサーボモータ HG-SR51サーボアンプ MR-J4-60

アキュムレータパワーアンプ LD-10PAU-Aパウダクラッチ ZKB-0.3ANギヤードモータ 0.1kW 1/5

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106

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

サーボモータHG-SR51

パウダブレーキZKB-2.5XN

張力検出器LX-015TD

張力検出器LX-015TD

検査部

パワーアンプLE-50PAU

LE-10WTA-CCL

LM-10WA-TAD

GOT

サーボアンプMR-J4-60A

テンションコントローラ

● LE-10WTA-CCL に LM-10WA-TAD 形張力検出器入力アダプタを追加し、巻取りと巻出しの2軸の張力制御を行います。

● 巻取りと巻出しの張力の設定と表示は GOT より行い、同時に監視します。

巻出し 巻取り張力 N 44 44ライン速度 m/min 30 〜 50 30 〜 50巻径 φ 60 〜 600 60 〜 600

8-15 厚み測定器

巻出しテンションコントローラ LE-10WTA-CCL + LM-10WA-TAD(巻取り含む)張力検出器 LX-015TDパワーアンプ LE-50PAUパウダブレーキ ZKB-2.5XN

巻取りサーボアンプ MR-J4-60Aサーボモータ HG-SR51

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107

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

GOT

パワーアンプLD-10PAU-B

パウダクラッチZKB-1.2BN

ギヤードモータ0.75kW 1/25

● ロール軸の数が多いので、トータルでのメカロスが大きくなります。メカロス低減の対策として、各ロール軸にパウダクラッチを設け、メカロス相当の駆動力をかけメカロスをキャンセルします。軸数が多いにもかかわらず、低張力運転が必要な時に有効です。

● RS-485 で複数台のアンプを接続し、1 台の GOT で複数台のアンプのパラメータを一括設定します。

メカロス N 1 〜 7ライン速度 m/min 0.5 〜 5ロール径 φ 250

8-16 鋼板メッキ処理ライン

パウダクラッチ ZKB-1.2BNパワーアンプ LD-10PAU-Bギヤードモータ 0.75kW 1/25

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108

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

サーボモータ

超音波センサ

パウダクラッチZA-2.5A1

パウダクラッチZA-5A1

テンションコントローラLE7-40GU-L

オープンループ式テンションコントローラ

LD-30FTA

オープンループ式テンションコントローラ

LD-30FTA

テンションコントローラLE7-40GU-L

テンションメータLM-10PD

張力検出器LX7-150FN17

処理部

ギヤードモータ0.2kW 1/40

ギヤードモータ0.4kW 1/40

パウダクラッチZA-5A1

パウダクラッチZA-2.5A1

サーボアンプ

A 軸

A軸

B軸

B軸

ギヤードモータ0.4kW 1/40

ギヤードモータ0.2kW 1/40

● 巻軸はサーボモータでは極低速(低回転)でのハンチング現象が懸念されるため、パウダクラッチを使用します。

● ライン速度が極低速のため、巻出し部はパウダクラッチの逆転入力が効果的です。

● 処理部はローラ間の距離が短いため、ダンサを使用せずドロー制御を採用します。

巻出し 巻取り張力 N 30 〜 100 30 〜 100ライン速度 m/min 1 〜 15 1 〜 15巻径 φ 85 〜 400 85 〜 400

巻出し

A軸

テンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX7-150FN17パウダクラッチ ZA-2.5A1(逆転入力)ギヤードモータ 0.2kW 1/40

B軸

テンションコントローラ LD-30FTAパウダクラッチ ZA-2.5A1(逆転入力)ギヤードモータ 0.2kW 1/40

インフィード張力検出器 LX7-150FN17テンションメータ LM-10PD

巻取り

A軸

テンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX7-150FN17パウダクラッチ ZA-5A1

ギヤードモータ 0.4kW 1/40

B軸

テンションコントローラ LD-30FTAパウダクラッチ ZA-5A1(逆転入力)ギヤードモータ 0.4kW 1/40

8-17 静電除去装置

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109

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

パウダクラッチZA-1.2A1

定トルクモータSF-HRCA-71M

近接スイッチ

パウダクラッチZKB-1.2BN

ギヤードモータ0.2kW 1/40

張力検出器LX-015TD

スリッタ(ナイフ)

ロータリエンコーダ

耳巻取り

LD-10WTB-CCL

テンションコントローラ

LM-10WA-TAD

LM-10WA-TAD

インバータFR-A820-0.4K

パワーアンプLE-50PAU

パワーアンプLE-50PAU

● 巻取りはパウダクラッチの容量アップを抑えるため、定スリップ制御を採用します。

● 巻径によりテーパ率を可変するため、外部テーパ制御します。

● ライン速度が低速の場合もあるため、巻出し側は逆転入力します。

巻出し 巻取り張力 N 10 〜 50 10 〜 50ライン速度 m/min 5 〜 30 5 〜 30巻径 φ 96.2 〜 600 96.2 〜 600

8-18 スリッタ②

厚さ 0.2 〜 1.2mm幅 500 〜 1200mm質量 max.280kg

巻出し張力検出器 LX-015TDパワーアンプ LE-50PAUパウダクラッチ ZKB-1.2BNギヤードモータ 0.2kW 1/40

巻取り

テンションコントローラ LD-10WTB-CCL + LM-10WA-TAD 2 台またはLE-10WTA-CCL + LM-10WA-TAD + LD-10WTB-DCA

張力検出器 LX-015TDパワーアンプ LE-50PAUパウダクラッチ ZA-1.2A1

定トルクモータ SF-HRCA-71Mインバータ FR-A820-0.4K

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110

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

オープンループ式テンションコントローラ

LD-30FTA

テンションコントローラLE7-40GU-L

テンションコントローラLE7-40GU-L

テンションコントローラLE7-40GU-L

パウダブレーキZKB-0.6YN

パウダクラッチZKB-0.6AN

近接スイッチ

ギヤードモータ0.2kW 1/20

張力検出器LX7-150FN17

パウダクラッチZKB-2.5BN

ギヤードモータ0.4kW 1/40

パウダブレーキZKB-0.3YN

B巻取り

AB巻出し

AC巻取り

C巻出し

● 巻出し側の低トルク域でのトルクの安定性の向上を図るため、巻出し側はフィードバック制御を採用します。(パウダクラッチ・ブレーキのトルク 5%以下の領域はフィードバック制御を推奨)

巻出し 巻出し 巻取り 巻取りAB C B AC

張力 N 30 〜 100 20 〜 50 20 〜 50 30 〜 100ライン速度 m/min 2 〜 8 2 〜 8 2 〜 8 2 〜 8巻径 φ 75 〜 450 75 〜 250 75 〜 250 75 〜 450

巻出し

AB巻出し

テンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX7-150FN17パウダブレーキ ZKB-0.6YN

C巻出し

テンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX7-150FN17パウダブレーキ ZKB-0.3YN

巻取り

B巻取り

テンションコントローラ LD-30FTA張力検出器 LX7-150FN17パウダクラッチ ZKB-0.6ANギヤードモータ 0.2kW 1/20

AC巻取り

テンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX7-150FN17パウダクラッチ ZKB-2.5BNギヤードモータ 0.4kW 1/40

8-19 ラミネータ

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111

Chapter.8用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

特長

使用条件

適応機種

パウダブレーキZKB-1.2XN

張力検出器LX-015TD

アキュムレータ

パンチ

ギヤードモータ1.5kW 1/10

エアシリンダ

パウダクラッチZKB-5BN

(強制空冷)張力検出器LX-015TD

アキュムレータ

エアシリンダ

テンションコントローラLE7-40GU-L

テンションコントローラLE7-40GU-L

インバータ

インバータ

● フィルムをプレス加工するため間欠運転となりますが、加工は停止させないのでアキュムレータを配置しています。

● 巻取りではパウダクラッチの放熱性を高めるために、強制空冷で冷却します。

巻出し 巻取り張力 N 75 75ライン速度 m/min 10 〜 40 10 〜 40巻径 φ 90 〜 800 90 〜 800

巻出しテンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX-015TDパウダブレーキ ZKB-1.2XN

巻取りテンションコントローラ LE7-40GU-L張力検出器 LX-015TDパウダクラッチ ZKB-5BN(強制空冷)ギヤードモータ 1.5kW 1/10

8-20 フィルム加工機

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112

Chapter.8 用途例

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

MEMO

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Chapter.9

トラブル事例と対処法

トラブル事例と対処法

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114

Chapter.9 トラブル事例と対処法

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

現象 対処法

クラッチ・ブレーキ

定格トルク以下で使用しているのに、パウダクラッチ・ブレーキの温度が異常に高くなる。 表面温度が100℃以上になる。

オーバロードによるものと考えられます。 パウダクラッチ・ブレーキを選定する場合に使用トルクが定格トルク以下であっても、使用できないことがあります。 使用条件より、スリップ工率を確認する必要があります。 スリップ工率はスリップによる単位時間あたりの発熱量のことで、トルクとスリップ回転速度の積となります。 スリップ回転速度が大きい場合は、トルクを制限する必要があります。 スリップ工率の許容値は、カタログをご参照ください。

パウダブレーキが低回転時にガクガクした動きをする(滑らかに回転しない)。 巻径が大きい時にこの現象が発生しやすい。

パウダブレーキの要因として、スティックスリップ現象によることが考えられます。 スティックスリップ現象は、巻径大(負荷が大きくかつ回転速度が低い)の状態で発生しやすい傾向にあり、巻径小(負荷が小さくかつ回転速度が高くなる)になるにつれ治まる傾向になります。 発生しやすい条件は、ライン速度が低速(10m/min 以下)の場合の巻出し部(パウダブレーキ)です。この場合の改善法としては、スリップ回転を上げる必要があるため、パウダブレーキをパウダクラッチと逆回転モータの構成にすると効果的です。 パウダブレーキ以外の要因機械側では、タイミングベルトの張力、ギヤのバックラッシ等、材料側では材料の伸縮等があります。

ZAタイプのクラッチでベアリングが早期にロックする。また、空転トルクが大きい。

コイルの回り止めボルトの締めすぎによる可能性があります。 取付板にコイルの回り止めボルトをきつく締め付けると、ベアリングは過大なスラスト荷重を受けます。 コイルの回り止めボルトを取付板に固定する際、ベアリングがスラスト荷重を受けないように軸方向、回転方向ともにガタを設けてください。

テンションコントローラ

フィードバック制御でスタート時に 張力が上がりすぎている。 材料が切れる。

装置の運転/停止に応じて入力信号を ON /OFF してください。ON のままでは、再スタート時に制御出力が最大となり、過大張力となります。 また、装置停止時に入力信号を OFF するタイミングが遅い場合、制御出力が大きくなり、運転開始時に過大張力になる場合があります。 装置の停止と同時に入力信号を OFF してください。

オープンループ制御で巻径が小さくなると 巻きが緩む。

パウダクラッチ・ブレーキの電流とトルクの関係が、低電流域で直線でないこと(非線形)の影響が考えられます。 制御装置の非線形補正をご使用ください。 非線形補正を入れると巻径の変化に対して出力電圧の変化の割合が変わりますが、故障ではありません。

自動制御の巻出し部で巻径が小さくなると張力が上がる。

巻取り軸のメカロスによる影響が考えられます。 コントローラの制御出力を確認してください。 制御出力が0になっていれば、メカロスが原因です。 メカロスの主な要因は、巻軸のベアリング、ギヤ、タイミングベルト等があります。 また、メカロスはギヤ比が大きいほど大きくなる傾向にあります。 対応策としては、ベアリングの空転トルクの小さいものを選ぶ、ギヤを使わずに弾性カップリングに直結にする、タイミングベルトの張力を下げる等の見直しが必要です。

フィードバック制御で材料がハンチングする。 手動運転でハンチングするかどうか確認してください。ハンチングする場合は、機械側の振動、メカロス変動等の要因であり、機械側を点検してください。 手動運転ではハンチングせず、自動運転にするとハンチングする場合は、制御ゲインが高いことが考えられます。 制御ゲインを調整してください。

トラブル事例と対処法

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115

Chapter.9トラブル事例と対処法

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

現象 対処法

張力検出器 ゼロ/スパン調整が完了しているのに、頻繁にゼロ点がずれる。

張力検出器の取付けによる影響が考えられます。考えられる要因としては、 ・検出器取付け面が水平でない ・検出ローラを両端で支える場合、検出器取付け面の高さが不均一 ・検出ローラのアンバランス ・検出ローラの温度変化による長さの変化 等があります。

ロール荷重と張力による荷重の和が定格荷重以下にもかかわらず、スパン調整で荷重オーバとなる。

張力フルスケールの設定が適切でない可能性があります。・ 張力フルスケールの設定がデフォルトの 500N のままになっている・ 実際に制御する最大張力に対してフルスケール張力が大きすぎる等が考

えられます。フルスケール張力の推奨としては、実際に制御する張力の1.2 〜1.5 倍程度です。

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116

Chapter.9 トラブル事例と対処法

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

MEMO

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Chapter.10

Q&A

10-1 パウダクラッチ・ブレーキのよくある質問10-2テンションコントローラのよくある質問

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118

Chapter.10 Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

10-1 パウダクラッチ・ブレーキのよくある質問

Q1 パウダクラッチ・ブレーキのトルクのバラツキはどれくらいか? 119

Q2 パウダクラッチ・ブレーキの寿命(オーバホール時期)はどのようにして判断するのか? 119

Q3 パウダクラッチ・ブレーキの電源に+-はあるか? 119

Q4 パウダクラッチ・ブレーキを機械に装着後、シャフトを回すと重さにバラツキがあるのはなぜ? 120

Q5 パウダクラッチ・ブレーキの軸を垂直にして使いたい。 120

Q6 ZKB-40BN で取付板を片側だけで使用したい。 120

Q7 ZKB-10XN がないため、ZKB-10BN をブレーキとして使いたい。 120

Q8 水冷式での水温はどの程度がよいか? 121

Q9 パウダクラッチ・ブレーキの許容表面温度は? 121

Q10 パウダクラッチ・ブレーキを屋外で使いたい。 121

Q11 パウダクラッチ・ブレーキを真空中で使いたい。 122

Q12 パウダクラッチ・ブレーキをクリーンルームで使いたい。 122

Q13 パウダクラッチ・ブレーキのトルクの使用上限は? 122

Q14 パウダクラッチ・ブレーキは、回転方向の指定はあるか? 122

Q15 パウダクラッチ・ブレーキの寿命について知りたい。 123

Q16 パウダクラッチの入出力軸がどちらか分かりません。 123

Q17 パウダクラッチの入力軸と出力軸、どちらを高速回転側に接続しますか? 124

Q18 ZKG-AN の取り付けについて 124

Q19 パウダクラッチ・ブレーキの空転トルクとは? 124

Page 119: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

119

Chapter.10Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Q1. パウダクラッチ・ブレーキのトルクのバラツキはどれくらいか?

A1. カタログ記載の標準トルク特性(代表例)は新品でかつ 200r/min 時の標準値を記載しています。パウダは経時劣化しますので、この標準特性は変化していきます。トルク特性の変化は電流によって調整するようにしてください。 定格電流近辺のトルクのバラツキは、製品単体について約 ±10% あります。製品間のバラツキは標準トルク特性に対して約 ±15% あります。 したがって、パウダクラッチ・ブレーキを並列運転などされるときは個々に電流が調整できるようにすることをお勧めします。

Q3. パウダクラッチ・ブレーキの電源に+-はあるか?

A3. パウダクラッチ・ブレーキは直流電源ですが、+-の極性はありません。 24V

+ -

24V

+ -

Q2. パウダクラッチ・ブレーキの寿命(オーバホール時期)はどのようにして判断するのか?

A2. パウダクラッチ・ブレーキのパウダは長期間使用すると、酸化が進行して発生トルクが小さくなります。 寿命の目安としては、トルクが初期から 30%以上低下した時点としてください。 トルク測定が困難な場合は「成果物の仕上がり状態」「ボリュームを最大にしてもトルクが足りない」などで判断してください。 

寿命の目安定格電流

電流

-30%

トルク

定格電流

電流

±10%

トルク 定格電流

電流

±15 %

トルク 定格電流

電流

トルク 定格電流

電流

トルク

製品 A 製品 B 製品 C

製品間のトルクのバラツキ製品単体のトルクのバラツキ

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120

Chapter.10 Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Q5. パウダクラッチ・ブレーキの軸を垂直にして使いたい。

A5. パウダクラッチ・ブレーキとも軸が水平となる取付で使用することを原則としております。軸垂直での使用は、パウダの均一な分布が得られず、トルクが低くなったり、変動したり、トルクの引っかかりが発生したりするなど、本来の性能が発揮できなくなります。

自重軸荷重

Q6.ZKB-40BNで取付板を片側だけで使用したい。

A6. 取付部が軸の軸荷重や自重による荷重を受けるため、原則として ZKB-5BN 以上の機種は両面取付としてください。

Q4. パウダクラッチ・ブレーキを機械に装着後、シャフトを回すと重さにバラツキがあるのはなぜ?

A4. ならし運転前のパウダの偏在と軸径の細かいシャフトを回すために重く感じます。 また、製品間でパウダの偏在の度合いも異なるためバラツキも大きくなります。 ならし運転後に再度確認してください。

パウダ

Q7.ZKB-10XNがないため、ZKB-10BNをブレーキとして使いたい。

A7. 出力軸を固定すれば使用可能です。

固定

出力側 入力側

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121

Chapter.10Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Q10. パウダクラッチ・ブレーキを屋外で使いたい。

A10. パウダクラッチ・ブレーキは工場内で使用されることを前提として製造していますので、原則として使用できません。 万一使用するときは、水滴、油滴、砂じん、潮風などの当るおそれのある所ではカバーを取付けるなどして、屋内と同環境にする必要があります。また、結露を防止してください。

Q9. パウダクラッチ・ブレーキの許容表面温度は?

A9. 連続運転による表面温度は、下表を限度としてください。この温度を超えると耐久性が著しく低下します。

機種

・自然冷却・サーモブロック・水冷式 ZKB-WN

100℃

強制冷却70℃

コンプレッサ

限界温度(目安) 100℃以下 70℃以下

Q8. 水冷式での水温はどの程度がよいか?

A8. 常温程度の水を供給してください。 室温に対して水温が低いと温度差により結露する可能性があります。

水温 室温

30℃30℃

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122

Chapter.10 Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Q11. パウダクラッチ・ブレーキを真空中で使いたい。

A11. スリップ熱を空気中に熱放射できず、許容連続スリップ工率が極端に下がるので使用できません。

0 atm

Q12. パウダクラッチ・ブレーキをクリーンルームで使いたい。

A12. 完全な密閉構造ではなく、使用によって発生したパウダの微粉が漏れる可能性があるため、原則として使用できません。 カバーで覆う場合は、一般的にはギヤやベルトなど他の可動部分からも塵が発生しますので可動部全体を覆うなどしてご使用ください。

Q14. パウダクラッチ・ブレーキは、回転方向の指定はあるか?

A14. 回転に方向性はありませんのでどちらへ回ってもかまいません。

Q13. パウダクラッチ・ブレーキのトルクの使用上限は?

A13. 定格トルクが上限です。経時劣化を見越して、工場出荷時は定格トルクより高めにトルクが出るように設計してありますが、定格トルク以上の使用は保証外となります。 経時劣化

使用上限

定格電流電流

定格トルク

トルク

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123

Chapter.10Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Q15. パウダクラッチ・ブレーキの寿命について知りたい。

A15. パウダは長時間使用すると酸化し、それにともなってトルクが低下します。一般的には巻出し、巻取り用で許容連続スリップ工率で使用した場合、パウダの寿命は約5,000 〜 8,000 時間になります。 この時間は、定格電流において定格トルクまで低下したときをパウダの寿命とした場合のものです。定格トルク以下で使用される場合は継続して使用可能ですので、さらに寿命は延びます。 パウダの寿命(オーバホール時期)の目安としては、トルクが初期から30%以上 低下した時点としてください。トルク測定が困難な場合は「製品の仕上がり状態」 「ボリュームをいっぱい上げてもトルクが足りない」などで判断してください。 許容連続スリップ工率に対して余裕をもたせて使用すると、パウダの寿命を延ばすことができます。例えば、許容連続スリップ工率の 50%の条件で使用したとすれば、寿命は約 2 倍以上になることもあります。 逆に許容値を超えるところで使用するとパウダの酸化が急激に進み、トルク低下を促進したり、部品の損傷を引きおこす可能性がありますので注意してください。 なお、同じスリップ工率であってもスリップ回転速度が高い状態が連続している場合、寿命は短くなる傾向がありますので極力、スリップ回転速度が小さくなるように設定してください。

A16. 製品の銘板で、IN:入力側,OUT:出力側を識別することができます。 銘板は製品を管理するために必要な情報を記載しており、製品の外周に貼り付けてあります。

IN:入力側 OUT:出力側

POWDER CLUTCH

MODEL

MITSUBISHI ELECTRIC CORPORATION.MADE IN JAPAN

DC24V 0.46A 1.8kg 134011

IN

OUT

ZKB-0.06ANG

電流(A)

初期

トルク(%

) 定格電流

定格トルク

寿命5000~8000h

130

100

Q16. パウダクラッチの入出力軸がどちらか分かりません。

Page 124: FACTORY AUTOMATION...FACTORY AUTOMATION テンション制御コンプリートガイド 三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ 三菱電機テンションコントローラ

124

Chapter.10 Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

A17. 高速回転側を入力側(IN),低回転側を出力側(OUT)に接続してください。高速回転側を入力側に接続するとトルクの安定性やパウダの長寿命につながります。パウダは 2 つの回転体の間に入っています。それぞれを個別に回転させた場合のパウダの動きは次のようになります。●入力側を回転させた場合

パウダは入力側より遠心力を受け、入力側の円周の内側に張り付くことで安定したパウダの分布となります。

●出力側を回転させた場合パウダは出力側より遠心力を受け、出力側から離れるように飛散します。パウダは常に動いた状態のため、バラバラとしたパウダの分布となります。

A19. 空転トルクとは、パウダやベアリング等により発生する引きずりトルクのことで、電源を投入しなくても発生するトルクです。空転トルクは機種により異なりますが、定格トルクの 1〜 10%あり、詳細はマニュアルやカタログをご参照ください。空転トルク以下のトルク値を出力できないため、パウダクラッチ・ブレーキの選定時は空転トルクも含めた選定を行ってください。

A18. ZKG-AN 形パウダクラッチの入出力軸は他機種とは異なり注意が必要です。特に出力が左右にあるため、取り付ける装置に応じてどちらか一方を選択してください。

対象機種:ZKG-5AN,ZKG-10AN,ZKG-20AN,ZKG-50AN

出力側入力側

パウダが安定している

入力側を回転させた場合

出力側入力側

パウダがバラバラ

出力側を回転させた場合

入力側

出力側出力側

弾性カップリング

取付板

取付フランジタイミングプーリ(入力側)

出力側 出力側

Q17. パウダクラッチの入力軸と出力軸、どちらを高速回転側に接続しますか?

Q19. パウダクラッチ・ブレーキの空転トルクとは?

Q18.ZKG-ANの取り付けについて

ベアリング パウダ

パウダ摩擦抵抗

ベアリング摩擦抵抗

回転方向

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125

Chapter.10Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

10-2 テンションコントローラのよくある質問

Q1 パウダクラッチ・ブレーキの形名を変更しても電源装置は使用可能か? 126

Q2 制御装置および手動電源装置で出力端子間が短絡するとどうなる? 126

Q3 パウダクラッチ・ブレーキを1台の電源装置で同時に動かせるか? 127

Q4 手動電源・オープンループ制御装置を使用して張力の表示をしたい。 127

Q5 張力検出器の付属ケーブル(非防爆タイプ 7m,防爆タイプ 20m)では長さが足りないので、延長したい。 128

Q6 張力検出器のヒンジとは? 128

Q7 荷重を加えても張力検出器が変位しないのは何故ですか? 128

Q8トルク変動やハンチングが発生するのは何故ですか?特に低トルク域で発生します。

129

Q9パウダクラッチの巻取り制御でライン駆動開始後すぐに張力が上がらないのは何故ですか?

129

Q10巻出し側のオープンループ制御で、巻径が小さくなると張力が増加していくのは何故ですか?

130

Q11 オープンループ制御で巻径が小さい時に張力が減少しやすいのは何故ですか? 130

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126

Chapter.10 Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Q1. パウダクラッチ・ブレーキの形名を変更しても電源装置は使用可能か?

A1. パウダクラッチ・ブレーキの定格電流が電源装置の電流 容量以下であれば、使用可能です。 手動電源装置

(出力:DC24V/3.8A)

パウダクラッチ・ブレーキ

定格電流3.8A以下

Q2. 制御装置および手動電源装置で出力端子間が短絡するとどうなる?

A2. 短絡保護回路が働きます。 短絡した部分を解除し、電源 OFF → 30 秒後に再投入すれば復帰します。

手動電源装置

短絡

STOP

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127

Chapter.10Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Q3. パウダクラッチ・ブレーキを1台の電源装置で同時に動かせるか?

A3. パウダクラッチ・ブレーキの定格電流 × 台数が電源装置の電流容量以下であれば、使用可能です。 ただし、パウダクラッチ・ブレーキの個体バラツキがあるため、同じ出力でも同じトルクにはなりません。

電源装置定格出力電流 3.8A

パウダクラッチ・ブレーキ定格電流合計 3.0A <

OK

Q4. 手動電源・オープンループ制御装置を使用して張力の表示をしたい。

A4. 手動電源やオープンループ制御装置では張力表示はできません。 張力を表示するためには、別途、張力検出器とテンションメータが必要です。

張力検出器

テンションメータ

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128

Chapter.10 Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

Q5. 張力検出器の付属ケーブル(非防爆タイプ7m,防爆タイプ20m)では長さが足りないので、延長したい。

A5. 特殊品で延長ケーブル (50m) の対応が可能です。 別途お取引先へご依頼ください。

50m

Q6. 張力検出器のヒンジとは?

A6. 据置形張力検出器は、内部に片側支持の板バネがあり、そのたわみを検出しています。この板バネの支点をヒンジといいます。 また、据置型張力検出器を使用する場合、張力の合力がヒンジの方向を向いてしまうと、張力に対して板バネのたわみが小さいため、張力検出精度が悪くなります。 

板バネ

ヒンジ

張力の方向による検出精度

良い

良い

悪い悪い

A7. ピロー形ユニットの取り付けボルトがハウジングと干渉していることが考えられます。対策としては、ボルトが干渉しないようにボルトの長さを短くしてください。

ピロー形ユニット取付けボルト

張力検出用ローラ

ピロー形ユニット

長いボルト

ボルトが干渉

標準ピロー形ユニットによる取付け

Q7. 荷重を加えても張力検出器が変位しないのは何故ですか?

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129

Chapter.10Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

A9. 装置停止時に材料がたるんでいることが考えられます。対策としては、装置のメインモータより先に巻取りモータを駆動し、材料のたるみをなくした状態でテンションコントローラをスタートさせてください。

A8. メカロスの影響によることが考えられます。対策としては、メカロスを小さくする必要があります。メカロスの主な要因は、巻軸を支持しているベアリングの摺動抵抗や巻軸とブレーキ軸間のギヤなどです。ギヤ比が大きいほどメカロスも大きくなる傾向にあります。メカロスは、一定ではなく変動するため張力変動やハンチングを発生させることがあります。低トルク ( 出力電圧が低い ) 域の場合、巻軸トルクはメカロスによるトルクの影響が大きくなるためハンチングしやすくなります。

メインモータ

パウダクラッチ

巻取りモータ

先に駆動

テンションコントローラ

出力

メインモータ

パウダクラッチ

巻取りモータ

テンションコントローラ

出力

パウダブレーキ

巻径大小

巻軸トルク

A+B:巻軸トルク

ブレーキトルク

メカロス

A:ブレーキトルク

B:メカロスによるトルク

テンションコントローラ

Q9. パウダクラッチの巻取り制御でライン駆動開始後すぐに張力が上がらないのは何故ですか?

Q8. トルク変動やハンチングが発生するのは何故ですか?特に低トルク域で発生します。

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130

Chapter.10 Q&A

1

張力制御の概要

2

張力制御の基礎

3

トルク制御と

速度制御

4張力制御(

トルク制御)

の種類

5

張力検出器とは

6

アクチュエータ

7張力制御システム

構築の基礎

8

用途例

9

トラブル事例と

対処法

10

Q&A

A10. メカロスの影響によることが考えられます。パウダブレーキに印加する電圧が0になっていればメカロスが原因です。対策としては、メカロスを小さくする必要があります。メカロスの主な要因は、巻軸を支持しているベアリングの摺動抵抗や巻軸とブレーキ軸間のギヤなどです。ギヤ比が大きいほどメカロスも大きくなる傾向にあります 。

A11. パウダの特性による影響(低トルク域での非線形性)が考えられます。対策としては、パウダの非線形補正機能を使用してください。非線形補正機能は、低電流域でのトルク特性を改善します。

パウダブレーキ

巻径大小

張力(N)

張力増加

設定張力

ブレーキトルク

メカロス

テンションコントローラ

励磁電流(%)

トルク

パウダクラッチ・ブレーキ標準トルク特性(代表例)

パウダクラッチ・ブレーキ理想のトルク特性

補正値

Q10. 巻出し側のフィードバック制御で、巻径が小さくなると張力が増加していくのは何故ですか?

Q11. オープンループ制御で巻径が小さい時に張力が減少しやすいのは何故ですか?

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 あ/ア

アウトフィード 巻取り枠と送りロールの間のこと。

アウトフィードロール アウトフィードに設けるロールのこと。アウトフィードロールは、クラッチ・ブレーキやサーボモータなどによって駆動する。これにより、長尺材の加工後の張力を高精度に制御することができる。

【関連用語】アウトフィード

アキュムレータ 連続運転するラインで、巻出し / 巻取りロール交換時にラインを停止させることなく長尺材を蓄積させる機構のこと。

アクチュエータ 巻出し軸,巻取り軸などに設けられるクラッチ,ブレーキ,モータなどの駆動,制御機構のこと。

アナログ 電圧,電流,張力などのような連続量のこと。また、張力表示を指針式のメータで表示するものをアナログ表示方式という。

【関連用語】デジタル

安全保持器 防爆適合機器と非防爆対応機器との間に接続して、一般環境内に設置された非防爆対応機器で発生した異常電圧などを危険環境内に入れないようにするためのもの。

アンダロール 巻取軸 / 巻出軸を駆動 / 制動しないで、巻枠の周辺に接触したロールを駆動 / 制動する方式であって、巻枠の下部に設置されたロールのこと。

アンプ 電圧,電流,電力などを入力し、入力値より大きな値の出力信号を発生させるもの。【関連用語】サーボアンプ,パワーアンプ,ブースタアンプ

い/イ

位相制御 交流電圧を制御する方法の 1 つで、電流を流す時間を変化させることで交流波形の一部を取り出し出力の平均電圧を制御すること。

インバータ 商用交流電圧→直流電圧→可変周波数交流電圧に変換することで汎用誘導電動機の可変速駆動させる装置のこと。

インフィード 巻出し枠と送りロールの間のこと。【関連用語】 送りロール

インフィードロール インフィードに設けるロールのこと。インフィードロールは、クラッチ,ブレーキ,サーボモータなどによって駆動する。これにより、長尺材の加工処理機の上流の張力を高精度に制御することができる。

【関連用語】 インフィード

う/ウ

ウェートダンサ ダンサロールに荷重を加えて、材料に張力を与えるもの。【関連用語】 ダンサロール

え/エ

エアクラッチエアブレーキ

摩擦板を空気圧で圧接させ、トルクを伝達するようにしたクラッチやブレーキのこと。

AC サーボ 同期モータを用いたサーボのことを、三菱電機では AC サーボと呼びます。

お/オ

送りロール 長尺材を走行させるための駆動ロールのこと。送りロールは、ロールと材料間に滑りが生じない構造にする必要がある。ニップロール,ピンチロール、またはフィードロールともいう。

オートゲイン 自動制御系において、ステップ応答特性を測定することにより自動的に制御定数(積分時間や比例ゲインなど)を決定する機能のこと。

用語集

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オートスパン テンションメータやテンションコントローラのスパン調整時に、自動的に実張力と表示張力との校正を行う機能のこと。

【関連用語】 スパン調整

オートゼロ テンションメータやテンションコントローラのゼロ調整時に、自動的にゼロ調整を行う機能のこと。

【関連用語】 ゼロ調整

オートペースタ 連続運転するラインで、巻出し / 巻取りロール交換時にラインを停止させることなく自動で新旧ロールを取り替え,接着させること。自動紙継ぎや自動接着ともいう。

オープンループ制御 巻径検出によって巻枠トルクを制御し、張力を一定に保つような制御のこと。【関連用語】 クローズドループ制御

折線テーパ テーパテンション制御において、初期径から最終径まで同じテーパ率で制御せずに、中間の巻径でテーパ率を変えるような設定としたテーパ制御のこと。

【関連用語】 テーパテンション

か/カ

ガイドロール 材料走行時の横振れ防止や方向変換に用いられるロールのこと。モータで駆動されることはなく、材料の走行によって回転するので、従動ロールともいう。

【関連用語】 従動ロール

外部テーパテンション制御 巻径検出装置を用いてテーパテンション制御させること。【関連用語】 テーパテンション,内部テーパテンション制御

加速張力 機械の始動時に、巻材料やロールなどの慣性によって発生する張力のこと。巻出し側は張力が増加し、巻取り側は減少する。

慣性補償制御 巻枠の慣性により、機械の始動時は巻出し側は張力が増加し、巻取り側は張力が減少する。逆に、機械の減速時には巻出し側は張力が減少し、巻取り側は張力が増加する。このような張力の変動を抑制するために、始動や停止時に制動トルクや巻取りトルクを増減させる制御のこと。

感度 積分回路に対する偏差入力の比例定数のこと。感度が大きいとハンチングが生じやすく、小さいと定常偏差が大きくなる。

【関連用語】 ハンチング

き/キ

ギヤードモータ 減速機と一体化されたモータのこと。減速機付サーボモータは減速比が大きすぎると、トルク制御用にはあまり適さない。

旧軸急停止 自動紙継ぎ巻出し機構において、巻出しが完了した側の巻枠を急停止させること。このために短時間定格の固定電源が制御装置内に準備されているものがある。

近接スイッチ 検出体の接近時に動作する非接触形のスイッチのこと。巻枠や送りロールの回転信号として用いることがある。

【関連用語】 送りロール

く/ク

クローズドループ制御 目標値と検出値の差に応じて、自動的に出力を制御すること。張力検出器を併用するテンションコントローラがこれに該当する。

け/ケ

減速ゲイン 機械の減速中に巻枠慣性によって発生する張力変動を軽減するための制御倍率のこと。

(例)LE-40MTA 形全自動テンションコントローラの場合、現在出力の 0 〜 400%(定格出力以下)の出力を発生させることができる。

減速張力 機械の減速時に巻枠の慣性によって発生する張力のこと。巻出し側は張力が減少し、巻取り側は増加する。

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こ/コ

コーナー径 折線テーパにおいて、テーパ率が変化するコーナーポイントとなる巻径のこと。【関連用語】 折線テーパ

コントローラ 制御装置のこと。張力制御の場合、パワーアンプ,テンションコントローラなどをいう。

コンバーティング 長尺材にさまざまな加工や処理を施すこと。このための機械をコンバーティングマシンという。

さ/サ

差動トランス スプリングダンサの変位を測定して張力を検出したり、タッチレバーの動きを測定して巻径を検出するために用いる。1 次コイル,2 次コイル間に可動鉄心が設けられ、鉄心位置に応じた 2 次コイル電圧が得られるようになっている。

【関連用語】 スプリングダンサ,タッチレバー

サーボアンプ コントローラがサーボアンプを通してサーボモータの制御を行う。張力制御の場合は、テンションコントローラとサーボモータの間にサーボアンプを接続する。0 〜 5V の入力信号に対して、サーボモータは 0 〜定格トルクを発生させる。

【関連用語】 コントローラ,サーボモータ

サーボモータ 指令信号と検出部からのフィードバック信号を比較し、その差に基づいて自由に駆動制御を行うことのできるモータのこと。位置制御、速度制御、トルク制御などが行える。

し/シ

自動紙継ぎ 【関連用語】 オートペースタ

自動接着 【関連用語】 オートペースタ

自動巻径検出方式 【関連用語】 比率演算式巻径検出

従動ロール モータによって駆動されないロールのこと。【関連用語】 ガイドロール

昇降ロール アキュムレータ内の従動ロールのこと。多数の昇降ロールの支軸を上下させて、材料の蓄積、または取出しを行う。

【関連用語】 アキュムレータ,従動ロール

新軸プリセット 自動紙継ぎ制御において、切替え直後の新軸に必要なトルクの初期値を設定しておくこと。

【関連用語】 オートペースタ

す/ス

スタートタイマ 張力制御の場合、機械の始動開始後、自動張力制御モードに移行するまでの時間を設定するタイマのこと。この間は、所定のトルク(ストールトルク)で運転が行われる。

ストップゲイン 機械の停止操作開始後、ストップタイマが作動中に発生する制御出力の倍率のこと。

ストップタイマ 張力制御の場合、停止時に慣性補償制御(ストップゲイン、ストップバイアス補正)を行っている時間の設定用タイマのこと。

ストップバイアス 巻出し張力制御において、停止時の慣性によるたるみを防ぐために、一時的に所定のブレーキトルクを印加すること。

ストップロール 巻出し側アキュムレータの入口、または巻取り側アキュムレータの入口に設けられ、巻枠交換中に材料を保持しておくロールのこと。

ストールトルク 機械の始動中、または停止完了後に与えておく一定のトルクのこと。この間はフィードバック制御は行われない。

【関連用語】 フィードバック

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スパン調整 最大入力信号が与えられた時に、定格出力信号やメータのフルスケール表示出力信号が得られるように比例定数を調整すること。

スプリングダンサ ダンサロールに設けたスプリングの伸縮によって材料に張力を与えること。【関連用語】 ダンサロール

スライディングテンション 設定値が急減しても、実際の指令値は徐々に減少させて張力の急変を防止すること。このような漸減勾配は調整できるようになっている。

スリップ回転速度 クラッチでは、クラッチの入力回転速度と出力回転速度の差のこと。ブレーキでは、入力回転速度そのもののこと。

スリップ工率 スリップすることによって発生する単位時間あたりの発熱量のこと。クラッチ・ブレーキのスリップ工率 P(W)は、スリップ回転速度 Nr(r/min)と伝達トルク T(Nm)の積に比例する。P=0.105NrT(W)

スリップリング 回転体に通電するためのブラシが接触する導電リングのこと。自動紙継ぎで、旋回アーム上にパウダクラッチやパウダブレーキを設置すると、スリップリングが必要となる。

せ/セ

制御用コンポーネント トランス,ダイオードスタック,摺動電圧調整器,調整抵抗器,保護抵抗器などの部品であり、クラッチ・ブレーキ用の直流電源を構成することができる。

制動トルク 巻出し枠に与えるブレーキのトルクのこと。この値を巻出し半径で割ると巻出し張力が得られる。

積算厚み検出方式 材料の厚みの設定値と巻枠回転量の積によって巻径を検出すること。

積分時間 張力偏差が少ない時でも、これが継続すると制御出力を変化させて、より少ない張力偏差になるよう制御されている。その積分時定数のことをいう。

積極巻出し 初期通紙操作のために巻出し枠を駆動したり、自動紙継ぎ操作時に準備枠(新軸)を加速させ、周速を合わせる時などで巻出し枠をモータで駆動させること。

ゼロテンション検出 設定した張力以下になる状態を検知すること。

ゼロ調整 張力検出ローラの自重をかけた位置を 0( ゼロ ) 点と調整する操作のこと。

旋回アーム 複数の巻出し枠、または巻取り枠の位置を変更し、新軸への切替え操作を行うための巻枠支持体のこと。ターレットアームともいう。

センサ 張力制御の場合、張力検出器や近接スイッチ、パルスジェネレータなどのこと。

そ/ソ

測長機能 材料走行長の検出機能のこと。空枠(巻出し)や満貫(巻取り)の予告信号や最終信号を得ることができる。

外付け張力計 テンションメータから受信した張力信号を表示するもの。各種フルスケールの張力目盛を記入したものがある。

た/タ

竹の子巻き 巻取り材料の端面が不整で、巻心部分がはみ出たような状態をいう。これを防止するために、テーパテンション制御が行われる。

多軸配分制御 同時多軸巻取り、巻出し機構において、1 台の制御装置の信号に基づいて、各軸の制御出力を配分すること。

タッチレバー 巻枠に接触するロールの移動角をレバーの動きで検出し、巻径に比例した信号を得るためのレバーのこと。差動トランスやポテンショメータなどでレバーの動きを検出する。

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ターレットアーム 【関連用語】 旋回アーム

ダンサロール 支軸が上下、または左右に移動できる従動ロールのこと。ダンサロールは、ロール支軸に与えた荷重によって材料の張力が決まる。

ち/チ

直線テーパ テーパテンション制御において、初期径から最終径までの間を、一定の張力テーパ率で制御すること。(途中でテーパ率を変えずに制御すること。)

【関連用語】 テーパテンション

て/テ

デジタル 離散的な数量に基づき値を扱う方式。【関連用語】 アナログ

定張力制御 巻径の変化にかかわらず、一定の張力で巻出し / 巻取りを行う制御のこと。

定電圧制御装置 電源電圧の変動や負荷抵抗の変化にかかわらず、可変一定の出力電圧を得るような制御装置のこと。

定電流制御装置 電源電圧の変動や負荷抵抗の変化にかかわらず、可変一定の出力電流を得るような制御装置のこと。

定トルク制御 巻径の変化にかかわらず、一定のトルクで巻出し / 巻取りを行う制御のこと。テーパテンション制御の一種。

テーパテンション 巻取り作業において、巻太りに伴って張力を漸減させること。

テーパテンション率 張力の漸減比率のこと。(最小径張力 - 最大径張力)/ 最小径張力

テンキー 0 〜 9 の数値キーのことであり、10 個のキーがあることより、テンキーという。デジタル式の制御装置において各種の数値設定などに用いられる。

電空変換器 入力電気信号に比例した空気圧を得るためのものであり、エアクラッチ・エアブレーキの制御に用いる。電源装置 手動調整器内蔵形の直流電源であり、クラッチ・ブレーキの励磁用の装置のこと。

電子ギヤ システムで必要とされるギヤ比と実際の機械のギヤ比との間の誤差を、電子的に回路または演算処理をすることによって補うこと。

テンションメータ 張力検出器からの微弱信号(0 〜 ±150mV)を増幅して、0 〜 5V の張力信号出力を得るとともに、その値をメータで表示する。

伝達トルク クラッチの入力軸から出力軸に伝わるトルクのこと。クラッチがスリップしている時はクラッチの制御トルクに等しくなる。

と/ト

ドライブメンバ クラッチやブレーキの入力側回転体のこと。

トランジスタチョッパ 負荷と直列接続されたトランジスタの ON/OFF 比率を制御して、負荷に印加される平均電圧を制御するもの。トランジスタチョッパは、可変抵抗などで調整するのに比べて調整部の発熱が少なくなる。

ドリブンメンバ クラッチの出力側回転体のこと。

トルクテンコン トルク制御をベースにした張力制御のことで、ロールの回転トルクを調節することにより、材料の張力を制御するもの。

トルクモータ 特殊設計された交流かご形モータであり、任意の回転速度で運転できるように冷却ファンが設けられている。また、出力トルクは印加電圧によって変更できるが、回転速度の上昇に伴って出力トルクは減少する。

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ドロー制御 複数の送りロールを設け、後段の周速をわずかに速くして、一定の伸び率(ドロー率)で運転すること。

な/ナ

内部テーパテンション制御 巻径検出装置を用いずにテーパテンション制御させること。【関連用語】 テーパテンション,外部テーパテンション制御

に/ニ

ニップロール 【関連用語】 送りロール

は/ハ

パウダクラッチパウダブレーキ

入力回転体と出力回転体(または静止体)との間に微粒の鉄粉を充填し、これに磁気を与えることにより、トルクを伝達するようにした電磁式クラッチ・ブレーキのこと。

%出力メータ パウダクラッチ・パウダブレーキへの出力電流を表示する際に、負荷の定格電流(または定格トルク,定格電圧)を 100%とみなし、これを DC1mA 計のフルスケールに対応させるようにしたもの。

パルスジェネレータ 比率演算式巻径検出装置において、送りロールの回転速度を検出するためのパルス発生器のこと。ロータリエンコーダともいう。

パワーアンプ 入力信号電圧 0 〜 5V に比例して、パウダクラッチやパウダブレーキに 0 〜定格の出力電圧や出力電流を発生させるためのもの。

半自動巻径検出 【関連用語】 積算厚み検出方式

ハンチング フィードバック制御における乱調現象のこと。

ひ/ヒ

非線形補正 パウダクラッチ・パウダブレーキにおける電流対トルクの非線形を補うために、入力信号/出力電流間に補正を加えること。

微偏位張力検出器 張力荷重に基づく板バネの微小偏位(0 〜 ±200µm)を高精度の差動トランスで測定し、張力を検出するもの。

比率演算式巻径検出 送りロールの回転速度を巻枠の回転速度で割ることにより巻径を検出する方式のこと。

比例ゲイン 制御偏差に対する制御出力の直接応答分と制御偏差との比率のこと。

ピロー形ユニット 張力検出ローラを支えるベアリングの支持台のこと。取付面から支持中心までの高さをセンターハイトという。

ピンチロール 【関連用語】 送りロール

ふ/フ

フィードバック 張力検出の場合、クローズドループ制御において、張力検出値を制御系に取り込むこと。

【関連用語】 クローズドループ制御

フィードロール 【関連用語】 送りロール

不感帯 目標値と検出値の偏差に応じて、出力制御を行うクローズドループ制御において、偏差が少ない時は修正制御を行わないようにして、安定化を図るための偏差帯域のこと。

【関連用語】 クローズドループ制御

ブースタアンプ 張力制御の場合、テンションコントローラから 0 〜 5V の信号を受け取り、電空変換器へ 4 〜 20mA の出力電流を供給するための増幅器のこと。

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プリドライブ 自動紙継ぎ装置において、準備枠の周速をラインスピードに合わせておく準備運転のこと。

ブレーキトルク 【関連用語】 制動トルク

プレスロール 周面駆動(制動)形巻取り(巻出し)装置において、巻枠をアンダロールに圧接しておくためのロールのこと。

へ/ヘ

ベロフラム式エアシリンダ エアシリンダを用いてダンサロールに荷重を加える方式において、応答性改善,摩擦抵抗軽減のためのジャバラ式エアシリンダのこと。

ほ/ホ

ポテンショメータ 可変抵抗器の固定端子間に一定電圧を印加し、摺動端子の電位を測定することにより回転角を検出するようにしたもの。

ま/マ

巻軸電子ギヤ 巻軸回転検出用パルス信号(巻軸パルス)に対する電子ギヤ補正のこと。【関連用語】 電子ギヤ

め/メ

メカロス補正 巻枠に転がり抵抗がある時に、これが制御張力に影響しないようにすること。

ら/ラ

れ/レ

レベルメータ 張力の表示を直線上に並べた LED で棒グラフ状に表示するようにしたもの。

ろ/ロ

ロータリエンコーダ 【関連用語】 パルスジェネレータ

ロータリジョイント 自動紙継ぎのために旋回アーム上に設けられた水冷式パウダクラッチ・パウダブレーキに冷却水を送るための回転機構のこと。

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保証についてご使用に際しましては、以下の製品保証内容をご確認いただきますよう、よろしくお願いいたします。

無償保証期間と無償保証範囲無償保証期間中に、 製品に当社側の責任による故障や瑕疵(以下併せて「故障」と呼びます)が発生した場合、 当社はお買い上げいただきました販売店または当社サービス会社を通じて、無償で製品を修理させていただきます。ただし、 国内から海外への出張修理が必要な場合は、 技術者派遣に要する実費を申し受けます。また、 故障ユニットの取替えに伴う現地再調整,試運転は当社責務外とさせていただきます。■無償保証期間製品の無償保証期間は、お客様にてご購入後またはご指定場所に納入後1年間とさせていただきます。ただし、当社製造出荷後の流通期間を最長 6 ヵ月として、製造から18 ヵ月を無償保証期間の上限とさせていただきます。また修理品の無償保証期間は、修理前の無償保証期間を超えて長くなることはありません。■無償保証範囲

(1) 使用状態、使用方法および使用環境などが、取扱説明書、ユーザーズマニュアル、製品本体注意ラベルなどに記載された条件、注意事項などにしたがった正常な状態で使用されている場合に限定させていただきます。

(2) 無償保証期間内であっても、以下の場合には有償修理とさせていただきます。① お客様における不適切な保管や取扱い、不注意、過失などにより生じた故障およびお客様の

ハードウェアまたはソフトウェア設計内容に起因した故障。② お客様にて製品に分解,修理,改造などの手を加えたことに起因する故障。③ 当社製品がお客様の機器に組み込まれて使用された場合、お客様の機器が受けている法的

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生産中止後の有償修理期間(1)当社が有償にて製品修理を受け付けることができる期間は、その製品の生産中止後7年間です。

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補償。

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製品の適用について(1)当社電磁クラッチ・ブレーキ テンションコントローラをご使用いただくにあたりましては、

万一当社製品に故障・不具合などが発生した場合でも重大な事故にいたらない用途であること、および故障・不具合発生時にはバックアップやフェールセーフ機能が機器外部でシステム的に実施されていることを、ご使用の条件とさせていただきます。

(2)当社製品は、一般工業などへの用途を対象とした汎用品として設計・製作されています。したがいまして、各電力会社殿の原子力発電所およびその他発電所向けなどの公共への影響が大きい用途や,鉄道各社殿および官公庁殿向けの用途などで,特別品質保証体制をご要求になる用途には、当社製品の適用を除外させていただきます。また、航空,医療,燃焼・燃料装置,有人搬送装置,娯楽機械,安全機械など人命や財産に大きな影響が予測される用途へのご使用についても、 当社製品の適用を除外させていただきます。 ただし、これらの用途であっても、事前に当社窓口へご相談いただき、 用途を限定して特別な品質をご要求されないことをお客様にご承認いただいた場合には、必要な文書の取り交わしの上、 適用可能とさせていただきます。

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商標、登録商標について

サービスネットワークサービスのお問い合わせは三菱電機システムサービス株式会社がお応えします。

北日本支社 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒983-0013 仙台市宮城野区中野1-5-35 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (022)353-7814 北海道支店 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒004-0041 札幌市厚別区大谷地東 2-1-18 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (011)890-7515東京機電支社 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒108-0022 東京都港区海岸 3-9-15 LOOP-Xビル11階 ‥‥‥‥‥‥‥‥ (03)3454-5521 神奈川機器サービスステーション ‥‥ 〒224-0053 神奈川県横浜市都筑区池辺町 3963-1 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (045)938-5420 関越機器サービスステーション ‥‥‥ 〒338-0822 さいたま市桜区中島2-21-10 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (048)859-7521 新潟機器サービスステーション ‥‥‥ 〒950-8504 新潟市中央区東大通 2-4-10 日本生命ビル 6F ‥‥‥‥‥‥‥ (025)241-7261中部支社 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒461-8675 名古屋市東区矢田南5-1-14 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (052)722-7601 北陸支店 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒920-0811 金沢市小坂町北255 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (076)252-9519 静岡機器サービスステーション ‥‥‥ 〒422-8058 静岡市駿河区中原877-2 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (054)287-8866関西支社 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒531-0076 大阪市北区大淀中1-4-13 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (06)6458-9728 京滋機器サービスステーション ‥‥‥ 〒612-8444 京都市伏見区竹田田中宮町 8 番地‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (075)611-6211 姫路機器サービスステーション ‥‥‥ 〒670-0996 姫路市土山2-234-1 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (079)269-8845中四国支社 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒732-0802 広島市南区大州4-3-26 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (082)285-2111 四国支店 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒760-0072 高松市花園町1-9-38 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (087)831-3186 岡山機器サービスステーション ‥‥‥ 〒700-0951 岡山市北区田中606-8 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (086)242-1900九州支社 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒812-0007 福岡市博多区東比恵3-12-16 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (092)483-8208

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三菱電機株式会社名古屋製作所は、環境マネジメントシステムISO 14001、及び品質システムISO 9001の認証取得工場です。

三菱電機のe-F@ctoryコンセプトはFA技術とIT

技術を活用してe-F@ctory アライアンスパートナーとの

コラボレーションにより、開発費用の削減、生産性の

向上および保守の改善により“一歩先を行く”もの

づくりを目指すことです。

All trademarks acknowledged.

電話技術相談窓口  受付時間※1 月曜〜金曜 9:00〜19:00、 土曜・日曜・祝日 9:00〜17:00

対象機種 電話番号自動窓口案内 052-712-2444

エッジコンピューティング製品産業用PC MELIPC

052-712-2370※2Edgecross対応ソフトウェア (MTConnectデータコレクタを除く)

シーケンサ

MELSEC iQ-R/Q/L/QnAS/AnSシーケンサ(CPU内蔵Ethernet機能などネットワークを除く) 052-711-5111

MELSEC iQ-F/FXシーケンサ全般 052-725-2271※3

ネットワークユニット(CC-Linkファミリー/MELSECNET/Ethernet/シリアル通信) 052-712-2578

MELSOFTシーケンサエンジニアリングソフトウェア

MELSOFT GXシリーズ(MELSEC iQ-R/Q/L/QnAS/AnS)

052-711-0037

MELSOFT 統合エンジニアリング環境 MELSOFT Navigator 052-799-3591※2

iQ Sensor SolutionMELSOFT通信支援ソフトウェアツール MELSOFT MXシリーズ

052-712-2370※2MELSECパソコンボード Q80BDシリーズなどC言語コントローラMESインタフェースユニット/高速データロガーユニット 052-799-3592※2

MELSEC計装/iQ-R/Q二重化

プロセスCPU/二重化機能SIL2プロセスCPU (MELSEC iQ-Rシリーズ)

052-712-2830※2※3プロセスCPU/二重化CPU (MELSEC-Qシリーズ)MELSOFT PXシリーズ

MELSEC Safety

安全シーケンサ(MELSEC iQ-R/QSシリーズ)

052-712-3079※2※3

安全コントローラ(MELSEC-WSシリーズ)

電力計測ユニット/ 絶縁監視ユニット QEシリーズ/REシリーズ 052-719-4557※2※3

対象機種 電話番号

FAセンサ MELSENSORレーザ変位センサ

052-799-9495※2ビジョンセンサコードリーダ

表示器 GOT GOT2000/1000シリーズ 052-712-2417MELSOFT GTシリーズSCADA MC Works64 052-712-2962※2※6

サーボ/位置決めユニット/ モーションユニット/シンプルモーションユニット/ モーションコントローラ/ センシングユニット/ 組込み型サーボシステム コントローラ

MELSERVOシリーズ

052-712-6607

位置決めユニット (MELSEC iQ-R/Q/L/AnSシリーズ)モーションユニット (MELSEC iQ-Rシリーズ)シンプルモーションユニット

(MELSEC iQ-R/iQ-F/Q/Lシリーズ)モーションCPU

(MELSEC iQ-R/Q/AnSシリーズ)センシングユニット(MR-MTシリーズ)シンプルモーションボード/ポジションボードMELSOFT MTシリーズ/MRシリーズ/EMシリーズ

センサレスサーボ FR-E700EX/MM-GKR 052-722-2182インバータ FREQROLシリーズ 052-722-2182三相モータ 三相モータ225フレーム以下 0536-25-0900※2※4

産業用ロボット MELFAシリーズ 052-721-0100電磁クラッチ・ブレーキ/テンションコントローラ 052-712-5430※5

データ収集アナライザ MELQIC IU1/IU2シリーズ 052-712-5440※5

低圧開閉器 MS-Tシリーズ/MS-Nシリーズ 052-719-4170US-Nシリーズ

低圧遮断器 ノーヒューズ遮断器/漏電遮断器MDUブレーカ/気中遮断器(ACB)など 052-719-4559

電力管理用計器 電力量計/計器用変成器/指示電気計器管理用計器/タイムスイッチ 052-719-4556

省エネ支援機器 EcoServer/E-Energy/検針システム/エネルギー計測ユニット/ B/NETなど 052-719-4557※2※3

小容量UPS(5kVA以下)FW-Sシリーズ/FW-Vシリーズ/FW-Aシリーズ/FW-Fシリーズ 052-799-9489※2※6

FAX技術相談窓口  受付時間 月曜〜金曜 9:00〜16:00 (祝日・当社休日を除く)

対象機種 FAX番号電力計測ユニット/絶縁監視ユニット(QEシリーズ/REシリーズ) 084-926-8340三相モータ225フレーム以下 0536-25-1258※7

低圧開閉器 0574-61-1955低圧遮断器 084-926-8280電力管理用計器/省エネ支援機器/小容量UPS(5kVA以下) 084-926-8340

※1 : 春季・夏季・年末年始の休日を除く※2 : 土曜・日曜・祝日を除く※3 : 金曜は17:00まで※4 : 月曜〜木曜の9:00〜17:00と金曜の9:00〜16:30※5 : 受付時間9:00〜17:00(土曜・日曜・祝日・当社休日を除く)※6 : 月曜〜金曜の9:00〜17:00※7 : 月曜〜木曜の9:00〜17:00と金曜の9:00〜16:30(祝日・当社休日を除く)

三菱電機FAサイトの「仕様・機能に関するお問い合わせ」もご利用ください。

お問い合わせの際には、今一度電話番号をお確かめの上、お掛け間違いのないようお願い致します。

お問い合わせは下記へどうぞ本社(機器営業部)‥‥‥‥ 〒110-0016‥東京都台東区台東1-30-7(秋葉原アイマークビル)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(03)5812-1430北海道支社‥‥‥‥‥‥ 〒060-8693‥札幌市中央区北二条西4-1(北海道ビル)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(011)212-3793東北支社‥‥‥‥‥‥‥ 〒980-0013‥仙台市青葉区花京院1-1-20(花京院スクエア)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(022)216-4546関越支社‥‥‥‥‥‥‥ 〒330-6034‥さいたま市中央区新都心11-2(明治安田生命さいたま新都心ビル)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(048)600-5835新潟支店‥‥‥‥‥‥‥ 〒950-8504‥新潟市中央区東大通2-4-10(日本生命ビル)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(025)241-7227神奈川支社‥‥‥‥‥‥ 〒220-8118‥横浜市西区みなとみらい2-2-1(横浜ランドマークタワー)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(045)224-2623北陸支社‥‥‥‥‥‥‥ 〒920-0031‥金沢市広岡3-1-1(金沢パークビル)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(076)233-5502中部支社‥‥‥‥‥‥‥ 〒450-6423‥名古屋市中村区名駅3-28-12(大名古屋ビルヂング)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(052)565-3326‥‥豊田支店‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒471-0034‥豊田市小坂本町1-5-10(矢作豊田ビル)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(0565)34-4112関西支社‥‥‥‥‥‥‥ 〒530-8206‥大阪市北区大深町4-20(グランフロント大阪‥タワーA)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(06)6486-4120中国支社‥‥‥‥‥‥‥ 〒730-8657‥広島市中区中町7-32(ニッセイ広島ビル)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(082)248-5445四国支社‥‥‥‥‥‥‥ 〒760-8654‥高松市寿町1-1-8(日本生命高松駅前ビル)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(087)825-0055九州支社‥‥‥‥‥‥‥‥ 〒810-8686‥福岡市中央区天神2-12-1(天神ビル)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(092)721-2251

〒100-8310 東京都千代田区丸の内2-7-3(東京ビル)

三菱電機電磁クラッチ・ブレーキ三菱電機テンションコントローラ

2019年8月作成SH(名)170004-D 1908(MEE)