12
-1' 74 ゴシ ック・ロマンスの 河原 |にかけて大流行 l した「ゴシッ ク ・ロマ ンスJ l ζ 「恐怖小説J (novel ofterror) とも呼ばれて 'を与える乙 l とをもって主目的 と してし A 手の狙いはこれら |の物沼 i ,の大ブ f が知放) t j. IGoth:ic rlOlllanα) ーと 一〒- ζ とは山知の ここ;二 1'1 』ーー - - 司' "" 司' 司・・ー のす r rr 禿 :k_ r ι レベ J るものへの マン ' 吻圃' 絹" .... ーいして涜れてい Z コシヲク ・ロマンスの恐怖と の四点から コシザク 噂ロ うのが乙の小論 1 の狙いである iO その ζ みえる仮面の下から,新しい来顔を ンス 切圃・・・醐・ くれないでお 担い吃ろう ゴシ .J 1 ・ロマンスのー.. . . . Ito......_坤山 河 川町 の問医であ 6_ ili 宝ゴシフク 1 ・ロマンスへの らの物語にうつつを e つ乞圃 h つ[d:ら i からかっているのであるの彼ら! ーを起 乙し :!O" ip _ 緬唱L " 、ー孟 l 4 rli ld では日く .Men E たおかつ時臨む持;コ容 マ 点りう としての抗者の ortlzo n ger ... ‘- 'Til :n句 7 うな 泣 者 を 想 定 し て み 介 y 4 M a - V -aF e y atiJ ¥"I.. Cld '1 : 、副司‘} 』町 J ゎ卜白 ' ' 『』 . - 47 v - H a- E t MM . 4 . - 1- I !・唱

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-1'74ー

ゴシック・ロマンスの

河原|にかけて大流行 lした「ゴシッ ク ・ロマ ンスJ~IJ lζ 「恐怖小説J(novel of terror)とも呼ばれて

'を与える乙 lとをもって主目的 としてし

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コシヲク ・ロマンスの恐怖と

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コシザク 噂ロ

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ζみえる仮面の下から,新しい来顔をンス 切圃・・・醐・

くれないでお 担い吃ろう

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コザシック ・ロマンスの世界 一175-

読者が小説の世界をλ有する ことが許されるのは登場人物を通してである

が,ゴシック ・ロマンスの場合,恐怖や戦傑の伝達という問題があるために,

読者と登場人物との関係は一層緊密である必要がある。題材や描写それ自体

の性頁が刺激的であるというだけでは,必ずしも読者の心に強烈な刺激を与

えうることにはならない。そこで小説の世界の 4住民であると同時に,読者の

反応の媒体で、もある作中人物の役割が重大な問題になってくるのである。

ここではゴシック ・ロマンスに登場するいろいろな種類のに物群のなかか

ら,女主人公を読者の情緒反応にたいする媒体としての人物の役割の,ひと

つの目安として選びだして考えてみたい。彼友の作中で与えられている立場

は,作品{ζよってむろんさまざまであるが,ほとんどのゴシック ・ロマンス

においてP 女主人公は迫害されて苦難の道を歩まねばならないが,結局は窮

地を救われ平和で幸福な生活を許されるというドラ マの進行上欠かせない存

在 となっている。残虐,凄惨な出来事の被害者であり ,その証人でもあ る友

主人公たちは,みずからの意識と行動を通して読者の感覚に直肢強烈な印象

を与える役目を負わされているのである。したがって読者が彼女たちの姿か

らどの程度の印象を受け とるかは,それぞれの物語によって異っており ,そ

の差異にその物語の特徴,換言すれば作者の物語を貫く構想を窺う 乙とがで

きるのではないだろうか。

この小論では HoracevValpole: The Castle olOtrano, A Gothic 5tory

(1764), ~J\nn Radcliffe: The Mysteries 01 Udo'ρho, A Romance (17

94), 'Matthe¥v G. Lewis: The Monk(1196)を,読者と女主人公の役割との

関係、という視点を中心において考・察してみたし、。 これらの作品はゴシック・

ロマンスの例として必ず挙げられる優れた代表作であるばかり でなく,ゴシ

ック ・ロマンスにおけるそれぞれ異った傾向を代表している点で,おびただ

しい数にのぼるゴシック ・ロマンスの一斑を知るのに役立つだろう。

I

ゴシック・ロマンスの草分けとみなされている Tlze Castle 01 Otranto では,その恐怖の感覚はなりよりも視覚的イメージとして読者に印象づけら

れる点に特徴がある。 Walpoleは乙の物語の発想をえた事情を,ある手紙の

なかで次のように説明している。

「私は去る六月初旬のある朝, EFから自が醒めました。その夢で私が思い

(791 )

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-176-

だすことができたのは,自分がある古い城に居て (乙れは私のように,いつ

もゴシックの物語で頭が一杯な男にはごく自然な夢ですが), ある大きな階

段の一番上の手摺の上に具足をつけた巨大な手が出ているのを見たことでし

た。その夕方私は自分がなにを言いたいのか,物語りたいのかもわからず腰

を下ろして筆を執りました。J3)

このような夢物語から発想をえた TheCastle olOtrantoが,幻想的な

イメージに溢れているのはむしろ当然であるだろう。物語の冒頭に出現する

巨大な兜の描写は,乙 の物語の雰囲気を規定し,恐怖と不安がもっぱら奇怪

な事件の特異性に依存しているのがわかるのである。

オトラント城の纂奪者の子孫、 Manfredが,男の世嗣をえよう と, 病弱の

息子 Conradと城に謀略を用いて連れてきていた美しい姫 Isabellaとの結

婚を急がせるその式の朝,城の中庭に天から降った巨大な兜によって息子が

無残に押しつぶされているのが発見される。

Where is my son? A volley of voices replied, Oh, my lord! the

prince! the prince! the helmet! the helmet! Shocked with these

lamentable sounds, and dreading he [Manfred] knew not what, he

advanced hastily-But what a sight for a father's eyes !-He beheld

his child dashed to pieces, and almost buried under an enormous

helmet, an hundred times more large than any casque ever made for

humon being, and shaded with a proportionable quantity of blaclc

fea thers. 4)

さらに Manfredは息子の死によって挫折してしま った計画を,今度は貞

淑な妻を離縁 して, 自分が姫と一緒になる乙とよって実現しようと悪計をめ

ぐらす。 こうして Isabella を強引にわが意のままにしよう としたとき,部

屋にかけてあった肖像画から祖父が嘆患をもら して抜けだしてくる。

.. .still looking backwards on the portrait, when he saw it quit

its pannel, and descend on the floor with a grave and melancholy air.

Do 1 dream? cried Manfred returning, or are the devils themselves

in league against me? Speak, infernal spectre !5)

乙の情景は当時の挿絵画家たちの気に入りの場面で, 彼 らは原文におかま

(792 )

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ゴシック ・ロマンスの世界一1'77ー

.._ ~'c'" 1':11(を悶かせて描いたものであった6)。 もともと乙の発想は芝

'のように視位的でs 心理的なものではなかったのである。

へのI¥1anfredの大仰なしぐさは,彼を否応なしに芝居がかっ

じみた

女の凶

ζ してしまうのにたいして,女主人公 Isabel1aの場合は,

を通していきいきと描かれており,より切実な人間 |らし"、

。Isabel1aは Manfredの追跡をかわして,城に隣接

へと盤、密の地下道をただ独り逃れてゆく。'.

icholas

The lO¥¥Ter part of the castle ¥llaS hol1owed into several intricate

cloisters; and it ¥Jlas :not eaS)T for one under so Inuch anxiety to find

e door that opened into the ca¥ピrn.. .An a¥¥Tful silence reigned

oughout those :subterraneous regions.. except now and then some

ind tbat shoo'k the doors she had passed, and ¥1lhich

rating on the rusty hinges '¥ivere re-echoed through that long labyrinth

of darkness-Every mur111ur stTuck her with new terr町 ;-yetlnOre

he dreaded to hear the ,¥¥Trathful ¥1oice of IVIanfred urging his

omestiαto DUrSUe her.i)

......-=: ..1.の しr 下 ,ときおり強風が吹きぬけ♂ 1つ

りせゐτγセl又日させる。追いつめられた乙女はどんな

の存在がひそむかもしれぬ陪悶ム恋人の追跡との二重の不安に怯えなが

りB 矢押せんばかりの思いでやっと進んでゆく。乙のようなIl-J

したゴシック・ロマンスにとって,欠く乙とのできなL

とは周知の事実である,

物 f-

としてみると, ;女主人公の恐怖にお

・者に鞄い印役を残すほど一口して強調されてはいなし、。均面は

heodore, Isabella を部い返しに現れた謎の騎士,夫に貞節を

anfredの;&11i ppoli taや心優しく美しい娘の:rVIatildaなどの

f ).7と移助して読者はその応接にいとまがなくなってしまう。その

,巨大な甲円をつけた|幽鉱,とほうもなく大きな兜や太刀

ばかりでなく

どの,,1

|の 目 その効I

父ってしまうのである。

Otr,s.nω Tlze ICastl

(793 )

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-178-

の Theodore が城主におさま り,娘をわが手であやまって殺してしまった

Manfred は,僧院に罪を償 うために妻と隠れる 乙と になる。 このとき恨み

を抱いていた Alfonsoの亡霊は,St. Nicholas の姿に包まれて栄光の天国

に昇ってゆく情景で物語は締めくくられている。 このように作者の構想は,

おそらく不可思議な現象に満ちていたであろう遠い時代の異国の物語を,一

場の夢として展開して みせる乙と にあり, そのため主役の Manfred にし

ても Isabellaゃ Matildaにしても,読者に彼らの心の苦悩-ρ哀しみが伝っ

てくるほ どに細かく描きわけ られていないのである。

Walpoleは自分が楽しんだように,読者にもゴシック絵巻を夢みて楽しむ

以上の ことは,所詮求めようとはしていない。

E

The Mysteries 01 Udolpho は出版以来抜群の人気を保っていて, それ

故にゴシック ・ロマンスの名 とと もに必ず思いだされる作品である。財産目

当lζ結婚した妻とその姪である女主人公とを,アペニン山脈の奥深く荒城に

監禁して, 遂には妻を虐待の末死に至らしめる悪徳非道な Montoniや,こ

れに反して自然の美と人情の美にたいする溢れるばかりの感受性に恵まれた

心優しい美しい少女ながら,悪の脅迫や非道には決して屈せず,正しく生き

てゆこうとするEmilySt. Aubertの姿は,当時の読者の心を惹きつけずに

はおかなかった。

なかでも女主人公 Emilyは終始物語の焦点となっていて, 彼女のセンシ

ビリテ ィを抜きにしてはこの物語は考えられず,当然読者,特に女性の読者

は Emilyの心情に深い共感を覚えたにちがいない。彼女は恐るべき出来事

の苦難の体験者であり,むろんほとんど唯一の証人でもある。読者はEmily

の感覚を通して 眺めまた感じとり, 彼女の意識に映じた姿によって事件の

意味を掴む以外にないし,それは言葉を換えて言えば彼女の感覚を信頼する

乙とを読者はたえず強いられると いう こと になる。 このよう に読者を女主

人公の過敏なまでに繊細な感性の渦のなかに巻きこんでゆく ことこそ,The

1¥の'steries01 Udolρho における作者の狙いであった。

四巻よりなるこ の長大なゴシ ック・ロマンスの第一巻のほ とんどを占める

Emilyと父親とのピ レネ一山中の旅の,例えば次のような記述がえんえんと

続くのに退屈を感じない人はないだろう。

(794 ) •

~

.・

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-180-

features, deformed by death, were ghastly and horrible, and more

than one livid wound appeared in the face. Emily, bεnding over the

body, gazed, for a moment, with an eager, frenzied eye; but, in the

next, the lamp dropped from her hand, and she fell senseless at the

foot of the couch.10)

Radcliffe は折角サスペンスを盛りあげて,読者の興奮を煽っておきなが

ら,結局は常識的な説明をつけて種明かしをし,読者の期待を裏切っている

という批判は,Scottをはじめとして根強く行われてきたが11〉,その批判は

サスペンスにおける女主人公の役割を考慮に入れてみると,的はずれである

か,少くとも作者の狙いを充分理解していないものといえるだろう。

作者にとっては事件そのも のの残酷,凄惨,怪奇によって惹きお こされる

恐怖や戦懐は,こ のロマ ンスでは二義的な意味しかもたなし1。この点で女主

人公の役割はずっと控目であるが,自分の娘と知らず彼女の殺害を試み,そ

の恋人を誘拐し葬りさろう として,却ってみずからも宗教裁判にかけ られる

Schedoniの恐るべき執念と,彼の仕掛る畏の恐怖に満ちている TheItalian,

or the Confessional of the Blac/~ Penitents (1797)の方が,はるかにゴシ

ック・ロマンスとして正統的であるといえるだろう。 一方 TheMysteries

01 Udolphoでは女主人公の濃密な情緒にこそ焦点があり,ユードノレフォ城

での残酷, 怪奇な事件は, ピレネ ーや アペニン山脈の壮大崇高な景観や,

Valancourt への慕情と同じように,彼女の繊細なセンシビリティを発揮さ

せる刺激の役割を担っているにすぎないのである。

このこ とをよく示す例として,The Aの'steries01 UdolPho のなかでも

っとも超自然の不思議に包まれ, 読者を思わず恐怖に引込む「フ。ロヴァンス

の物語J('The Provencal Tale')を挙げる 乙とができる。 これは Montoniの

魔手を逃れてフランスに帰り着いた Emilyが身を寄せる Chateau-le-Blanc

で,亡霊が出ると噂される聞かずの聞に,その原因を探りに出かけた召伎の

Ludovico が,不寝番のつれづれに読む物語という趣向になっている独立し

た挿話である。

ある城主が宴が果てて寝室に戻ってみると,見知 らぬ騎士が居て,城をこ

っそり抜けだして森まで同行するよう彼に求める。城主がそ乙に見出したも

のは一人の騎士の死体であった。 •

'But, what were the Baron's e:notions, ,vhen, on holding the lamp

(796 )

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ゴシック ・ロマンスの世界 一 181ー

features of the corpse, he discO¥Tered the exact resemblance

of the strantter his c∞onducto印Oぽr'itωo vvhom百1he 10∞O叫此k,“u p i泊nastonishment

and enquir~y? As he gazed, he peroeived the countenance of the

nI2'11t change" and be2in to fad巳 til1his ¥¥rhole form gradual1y

ranished fr0l11 his astonished sense:! ,̂'hile the Baron stood, fi:xed to

e soot. a voice ¥VaS heard to utter these ¥¥TOrds:-12)

vr』

-"""の怪奇などと比べものにならないほどの緊迫感

, (:'"rr~~を与えるのである。しかし作者は読者がとの

るのを恐れるか|のように,そ乙まで読

こζ!こはユー ~ )Lノフ

:) ,地主の

ーんだ LnωVicoの姿を挿入する。

L'一ndovicostarte札 and laid dO¥i¥i市町T可nthe look, for he thought he heard

a ¥7oioe in the chalnberut and he looked tov.rar,d the bed, where, '110山-

ev町.he sav~r onl'}7 the dark curtains and tbe pall,.,・.:J13)

うとうとまどろみはじめる。

」の扱いは,読者K恐怖を与えるというゴシ

かなり不自然なものといわなければなら

すでに述べたようにs 怪奇,凄惨な事件を読

う点にかかっているのではなかった。 Radcliffe

の和の恐怖が心を占有しそれを押し広げて,

F して民lみ抱えた

のような「プロヴ

ァク ・ロマンスの

ふ2ろう。だが

ζ江主紅さしく

えると

っているように,

しい間待へとお指させると セれ ζ崇高なものとなるJ(に,:aterI・o

,of this :nature, as it ωcupies and expands the mind, and elevates it to

igh expectation,. is purely sublime.. .') '14)点{ζあくまで露点が白かれてし

るので

z

1 1ζ

ζPE玄れた Emilyのような心のみが味いうる魂の

であったd Radcliffe白身「恐怖J(terr町〉と「戦探J(h町ror)を

して, r恐怖と日慢とはま ったく正反対のものであり E 前者・はJ乙

,ぺごの能力を日度の生lζ回党めさせるのにたいしてF 後者・はその

とんど圧殺しかねないほどであるJlω とも述べて

るものは, したがって女主人公の却の飛聞に

うlこ '的な刺訟にとどまるはずはなく ,そ

し広

し 乙とでのつ rick G':arber が述べてし ように16)

(797 )

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~ 182 -

Radcliffeの作品は根本的には「感傷小説J(novel of sensibility)であり ,

当時の女性の読者にたいする抜群の人気も,そのあたりにあったろうと察せ

られるのである。

E

J. M. S. Tompkinsはゴシック ・ロマ ンスを二段階に分け,前期は Rad申

cliffeの作品が代表し,後期は Matthew G. Lewis の作品が代表すると述

べて,乙れらのタイプの聞の相違の原因を,当時盛んに翻訳されていた「盗

賊小説J(Rauberroman)や「恐怖小説J(Schauerroman)などドイツの物

語の影特に帰している。17)事実 Udolphoと TheMonkは僅か二年しか隔っ

ていないにもかかわらず,両者の雰囲気は同じゴシック ・ロマンスの名で呼

ぶのがためらわれるほど異っているのである。前者は悪漢に迫害される悩め

る清純な乙女の感傷の記録であるにすぎないのにたいして,後者は悪魔に魂

を売ったカ トリックの高僧の色欲の地獄図を描いて,人間の絶ち切れない欲

望の罪の深淵をのぞかせる。

The Monk では母親殺し, 近親相姦,地下墓地での尼僧への残酷きわま

る私刑,暴徒による尼僧院長への暴行と虐殺,亡霊の恐るべき怨念など,残

虐,奇怪な事件が次から次へと読者の前に展開され,読者は最後まで息をの

む思いをさせられのるである。この意味では TheMonkはゴシック ・ロマ

ンスの辿りつくひとつの頂点をなしている といえるだろう。

The Monk でまず注目すべきは,描写の具体的なきめの細かさ,その迫

真性であって,身の毛のよだつような恐るべき出来事が,グロテスクなまで

になまなましく描かれているのを誰しも感じるだろう。

乙の物語の女主人公ともいうべき尼僧 Agnesが修道院内で密会した廉に

より,尼僧院長によって地下墓地に監禁される場面などは,作者 Lewisの

戦傑を盛りあげる好例として挙げる ことができ る。 Agnes は身重の身体を

ただひとり地下墓地の とある穴倉に閉じ込められる。 そこ は腐ちゆく死体の

毒気がこもった暗闇で, 気味の悪い艇虫類が這いずり まわるこ の世の地獄と

も思われる場所であった。

A faint glimmering of light, which streamed through the bars,

permitted me to distinguish the surrounding horrors. 1 was oppressed

(798 ) •

e・•

-『・・

J-. 4p, P

L、旬、

‘・

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ゴシ ック l・ロマンスの也・界 -183ー

noiS0111e suffocating SI11ell; and percei¥ring that the gr抗eddoor

ras unfastened, 1 thought that 1 'l11ight possibl)' effect ln'y escape..

aised nl~yself ¥vith this design1 111y hand rested upon sOlnething

oft: 1 grasped it~ and advanced it to¥¥'ards the light. Almight~y

God I "rhat '¥vas n1"y disgust I! 111)' consternation I! 1n spite of its

putridit)九:andthe 'VOrn1S ¥VhiCh pre)red upon it 1 perceived a COf-

upted Il'u'man head~ and recognised the features ぱ a:nun who had

,died SODle months 'before. 1 thre¥v i比tf仕r,一 o∞OIlllne. and san'k a討hll0ωstliばfeless

n -.1B〉

圃凶. 司日 が乙の恐るべき場所で生み話 した嬰児の腐燭した死体を

-咽-__ . _;.-

・ての描写は, 英語において恐怖と服悪を意味する

(horror を文字通り示してお り, それはグロテスクでセンセイシ

ナJL/"'C

IOf白t

o町rmsvlhi比CC:hth 1 bh防勧br,edi加Ilt山he 0ωor口,-rupμμtedf日1民 h 0ぱfln)T i加nf臼a11叫1叫t.At SUCll

imes 1 shrieked ,,'itl1 terror and disgust; and "'lhile 1 shook off the

r1eptilel・tr印nbled¥l,1ith al1 a '¥7011an':s "leakn,ess.19

)

求しようと

ょっプチンm

'ーζI{

広乙と

の, 1H てみると,

O,g Ambr1osio

のとはいえないが,

aymon,dにとりついた血まみれの尼

ぃ.その死体は殴りつけられ路ポにじ

かっくような肉の塊」ぐat11aSS ぱ fl侭 h,

disgusting')20) 1になってしまった尼僧院長の話f

忠与える如l散を"どんな代価を払っても氾

つのために刺蹴を求めたのだろうか。たしかにその

l定できないだろう。だが,目を物活の焦点となるカ

放を一身 ~C掠めた高徳の院長 Alnbrosio の町獄の

乍者の立図はそれほど郎純なものではないことがわカ

の肉欲不仰にした法惑にlillしてE みずからそれと知り

など罪をJfi:ìd ì 迭には3恐慌に暁を記りわたして~,

(799 )

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-184一

永劫の罰を受けねばならない。 Ambrosioは心の葛藤に敗れてずるずると堕

落の淵をすべり落ちてゆく 。だが彼の堕獄にはそれを操る悪魔というこ の世

ならぬ存在が必要であり,人間の心には母を殺し妹を犯し,魂を売りわたす

ことさえ辞さぬ暗黒の深淵がひそむことを認めねばならないなら,Agnesや

Raymond の物語に,読者は超自然の不可思議な力,絶望的な事態に直面し

たときの人間の極度の戦J探と混乱を,頭だけではなく感覚で痛切に感じとる

必要があるだろう。

Robert Kielyは Ambrosio~r,社会が彼のために用意した役割よりはる

かに大きな背丈をもちながら,自我を卑少な枠組のなかに押し乙める 乙とを

強制された悲劇の英雄の姿をさえみているのである21)0 The Monk におけ

るグロテスクなまでの残虐,醜悪, 奇怪な事件の連続は, このような Am岨

brosioの深刻な悲劇を抜きにしては考えられないだろう。

このようにゴシック・ロマンスの名で総括して呼ばれている作品も,その

第一の要素である恐怖や戦』傑の取扱いにおいて,いかに大きな相違があるか

を,恐怖の媒体としての女主人公と,その受容者としての読者の立場を中心

に据えて考察してみた。ゴシック ・ロマンスはその大方が構成,表現の面で

未熟なままに終っていて,それ自体優れた傑作を残すことはできなかったが,

その大きな影響力によって,小説の領域に大きな未知の世界をつけ加えたこ

とは否定できない。新しいロマンスの「自然らしさJ(nature)に, 古代ロ

マンスの「想像力」を取戻すという Walpoleの抱負は22〉,巨視的にはゴシ

ック ・ロマンスが英国小説の流れのなかで達成するこ とができたものであっ

ナこ。

1)本稿は日本ジョンソン協会第八回大会〈昭和50年 6月2日〉のパネノレ・ディスカッションの報告にもとずいている。

2) See John Berryman's 'Introduction' to The Monk, ed. Louis F. Peck (New York, 1959), p. 27.

3) Letter to William Cole, March 9, 1765, in The Letters of Horace WalPole, ed. William Hadley (Everyman's Library), p. 165.

4) Horace Walpole, The Castle of Otranto, A Gothic Story, ed. W. S. Lewis (Oxford English Novels), pp. 16-17.以下同書の引用はとの版に拠る oi

5) Ibid. p. 24.

(800 ) •

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Page 12: ゴシック・ロマンスのdlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DBd...ゴシック・ロマンスの世界一1'7 7ー.._ ~'c'" 1' :11(を悶かせて描いたものであった6)。もともと乙の発想は芝

ゴシック ・ロマンスlの世界一185ー

)白色 th7)Ibid.

rontispiece to 'thi . 2.5.

itionぱ T/ze Cas,t,/ e 01 0付a1zto.

adcliffe, TIl

oorぽ (IOxfordEn I'bid. pp. ,248-4'9

"}'S,t eries ,01 Ud 0'/ρlzo, A ,RωnO,I,1,zce, ed. Bonamy

ish Novels), p,. ,28.以下同自の引用はとの版に拠る'0

O町)J品b,i,ιid.P. ,348・

)お己 EdithBirkhea " Thc Ta/,e 01 T,error, tudy ofihc ,Goth化 ,R,omance,

9

:¥7 York, 192

adcliffe, p. 556・'T,olω 01 Terror, Chanlber'としてIb,id. p,. 556.

Ilbl~d. 'P・Mτv・

~eprint 1963), pp. 48-50.

7ロヴァンスの物語JH:まつわる部分. Peter Haining (P.enguin Books) ~L ,

1て|いる。

Gr,eat Bγit.ish cThe Hau.nted

15)邑eAnn Radcliffe,嘩'Onthe SupeIァaturalin poetry,' qu悦 din Bonamy obree"s 'Intr凶 uction"to The M}'ste,riω of ,Udolρ1z0 (Oxford English

晶 J,ovels)" xi. lq4qqII(nntTod1uiCtio1r7γto Tlze lit,a

晶μ 、ovels),vii. J. 1V1. S,. 'Tompkin

London, 1932;, reprint atthe¥¥1' G. Le¥'lIS. T1z

:385.以下向包のヲ

9) Ibid. p. 396,・

Ibid,. p,. 344・

Tlhte P001ρρlufay ArrloO00↓,v,el jf~'Z E,zg[,and:: 177,0-.1.80,0

969) " pp.. 243-46.

101Z,k, ed,. Louis F. Peck (Ne¥v York, 1959), p. γ 、ー

ー。

Robert Kiely, Tlza Rω1za1zt ic ove,l :u,z E1.z,gl atld (IVIassachusetts, 1972) "

p. 108・"Pr,eface to the Secon

English Novels), p. 7,.

ition" in 'The Cast,l e ~I IO.t ra.nω (Oxfo:rd

(801 )

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