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パソナグループ フルラインサービスのご案内はこちらから www.pasonagroup.co.jp 「HR VISION」へのご意見・ご要望はこちらへ [email protected] HR VISION vol.6 エキスパートサービス(人材派遣)、アウトソーシング・インソーシング(請負・委託)、 HRコンサルティング、プレース&サーチ(人材紹介) パソナ …………………… あらゆる業界の専門職種に対応した派遣/請負、 紹介予定派遣 パソナ岡山 ………………地域に密着した派遣/請負、人材紹介 パソナテック …………… IT分野に特化した派遣/請負、人材紹介 パソナソーシング ……… 育成型および長期就労を中心とした派遣/請負、人材紹介、 地域に密着した福祉介護 パソナエンパワー ……… 家電・流通関連の派遣/請負、人材紹介 パソナロジコム ………… 運送事業機能を含む物流請負 パソナマーケティング … 営業・販売に特化した派遣/請負、人材紹介 ケーアイエス …………… JA三井リース・全農の各グループを中心とした派遣/請負、 人材紹介 パソナエンジニアリング…機電系エンジニアの特定派遣 国際交流センター ……… 翻訳・通訳を中心に、外国語資料作成、 外国語に精通した派遣など外国語総合サービス 日本雇用創出機構……… 中小企業支援、特許関連、人材ブリッジバンク等、 シニア人材の経験を活かした各種事業展開 パソナキャリア ………… キャリア人材の紹介 パソナフォーチュン …… エグゼクティブとプロフェッショナル人材の紹介 パソナドゥタンク ……… HRコンサルティング グローバルソーシング(海外人材サービス) パソナグローバル ……… グローバル人材の紹介 アメリカ、カナダ、中国、香港、台湾、シンガポール、インド、ベトナム、韓国 アウトプレースメント(再就職支援) パソナキャリア ………… 再就職支援、人事コンサルティング、教育/研修 アウトソーシング ベネフィット・ワン ……… 福利厚生のアウトソーシングサービス 全国試験運営センター … 各種試験運営のアウトソーシングサービス ライフソリューション パソナフォスター ……… 企業内保育所の運営、ベビーシッター、 保育コンサルティング パブリックソリューション パソナハートフル ……… 総務業務の受託、 障害者雇用に関するコンサルティング等 2012年1月 発行人:南部靖之 発行:株式会社パソナグループ 〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-4 TEL:03-6734-0215 HR VISION vol.6 今号の視点 人をつくる・人をいかす HR Development & Strategy ■特別インタビュー 新しい“出会い”で人は変わる デザイナー コシノジュンコ ■Case Study|日本アイ・ビー・エム株式会社 次の100年に向けて変革と進化を続ける ■CHOセミナー誌上レポート 採用ルール変更の影響と フェイスブック活用のポイント 株式会社キャリアマート コンサルタント 米田 卓也

HR VISION vol - パソナ · また、2011年春卒業の大学までの全年齢層の中で最悪の数字で 63%、就職も進学もし れています。なかった人は約9万人に上ると見ら

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Page 1: HR VISION vol - パソナ · また、2011年春卒業の大学までの全年齢層の中で最悪の数字で 63%、就職も進学もし れています。なかった人は約9万人に上ると見ら

パソナグループ フルラインサービスのご案内はこちらからwww.pasonagroup.co.jp「HR VISION」へのご意見・ご要望はこちらへ

[email protected]

HR VISION vol.6

■ エキスパートサービス(人材派遣)、アウトソーシング・インソーシング(請負・委託)、HRコンサルティング、プレース&サーチ(人材紹介)

パソナ …………………… あらゆる業界の専門職種に対応した派遣/請負、紹介予定派遣

パソナ岡山 ………………地域に密着した派遣/請負、人材紹介パソナテック ……………IT分野に特化した派遣/請負、人材紹介パソナソーシング ……… 育成型および長期就労を中心とした派遣/請負、人材紹介、

地域に密着した福祉介護パソナエンパワー ………家電・流通関連の派遣/請負、人材紹介パソナロジコム …………運送事業機能を含む物流請負パソナマーケティング …営業・販売に特化した派遣/請負、人材紹介ケーアイエス …………… JA三井リース・全農の各グループを中心とした派遣/請負、

人材紹介パソナエンジニアリング …機電系エンジニアの特定派遣国際交流センター ………翻訳・通訳を中心に、外国語資料作成、           外国語に精通した派遣など外国語総合サービス日本雇用創出機構 ……… 中小企業支援、特許関連、人材ブリッジバンク等、           シニア人材の経験を活かした各種事業展開パソナキャリア …………キャリア人材の紹介パソナフォーチュン ……エグゼクティブとプロフェッショナル人材の紹介パソナドゥタンク ………HRコンサルティング

■ グローバルソーシング(海外人材サービス)パソナグローバル ………グローバル人材の紹介アメリカ、カナダ、中国、香港、台湾、シンガポール、インド、ベトナム、韓国

■ アウトプレースメント(再就職支援)パソナキャリア ………… 再就職支援、人事コンサルティング、教育/研修

■ アウトソーシングベネフィット・ワン ……… 福利厚生のアウトソーシングサービス全国試験運営センター … 各種試験運営のアウトソーシングサービス

■ ライフソリューションパソナフォスター ……… 企業内保育所の運営、ベビーシッター、

保育コンサルティング

■ パブリックソリューションパソナハートフル ……… 総務業務の受託、

障害者雇用に関するコンサルティング等

2012年1月 発行人:南部靖之 発行:株式会社パソナグループ〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-4 TEL:03-6734-0215HR VISION|vol.6

■今号の視点

人をつくる・人をいかすHR Development & Strategy

■特別インタビュー

新しい“出会い”で人は変わるデザイナー コシノジュンコ 氏

■Case Study|日本アイ・ビー・エム株式会社

次の100年に向けて変革と進化を続ける

■CHOセミナー誌上レポート

採用ルール変更の影響とフェイスブック活用のポイント株式会社キャリアマート コンサルタント 米田 卓也 氏

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HR VISION Vol.603 HR VISION Vol.6 02

2011年12月17、18日の両日、

兵庫県・淡路市立アソンブレホール

において、150名の若者の手によ

る一大ミュージカル、「O

NE ST

EP

ここから村から始まる最初の一歩〜」

が上演されました。

『ここから村』は、農業と芸術活動

を通じて地域活性化を促す人財を育

成することを目的にパソナグループ

が2011年4月に淡路島でスター

トした、新たな人財育成の試み。そ

して今回のショーに参加し、一流の

指導陣のもと、舞台に立つこと、舞

台を支えること、舞台を動かすこ

と、すべてを自分たちの手で行った

のは、『ここから村』で学ぶ、音楽、演

劇、美術、舞踊などの芸術を志す若

きアーティストと、東日本大震災か

らの復興を誓う、東北出身の若者た

ちです。『O

NE ST

EP

』というタイト

ルには、このミュージカルを、それぞ

れの夢・目標を実現していくための

「大きな第一歩」にしようという、若

者たち一人ひとりの思いが込められ

ています。

今、私の最大の関心事は、「若者

の雇用」と、「東北の復興」です̶

2011年10月現在、15〜24歳の若

者の完全失業率は7・8%と、64歳

までの全年齢層の中で最悪の数字で

す。また、2011年春卒業の大学

生の就職率は63%、就職も進学もし

なかった人は約9万人に上ると見ら

れています。

東日本大震災以降、企業が成長市

場を求めて海外に進出する動きも加

速しており、このままでは、職に就

けない若者が年々増えていく恐れが

あると考えます。被災地においても、

復旧が進み、地場産業が復興しても、

地域の将来を担う若者の雇用の受け

皿は決して十分とは言えません。

このような状況を鑑みれば、これ

までの「卒業=就職」という考え方

を見直し、新たな働き方を認め、新

たな人財を育成し、ミスマッチを解

消すること、志ある個人が起業しや

すいインフラを創造すること、ある

いは地域と地域を結びつけることで

新たな雇用を創出していくことが必

要だと私は考えます。

人口が減少し、産業構造や市場の

あり方が変われば、企業の求める人

材像は変わり、社会で活躍するため

に必要となるスキルも変わります。

経済や企業活動のグローバル化への

対応も欠かせません。

そこで私が推進したいと考えてい

るもののひとつが、欧米では一般的な

「ギャップイヤー」制度です̶

。例え

ば、午前中はオフィスワークをして、

午後からは専門職教育を受ける。あ

るいは、午前中は農業をして、午後か

らはグローバル人財教育を受ける̶

そうした働き方が可能になれば、2

倍の若者の雇用を創出し、2倍の若

者を教育することができます。また、

多様な働き方を認めることで、様々な

価値観の人材が集まれば、会社を、こ

れまで以上に楽しく、創造性に富ん

だ場所にすることができるはずです。

パソナグループの仕事は、「人を活

かす」ことであると私は考えていま

す。人を活かすとは、それぞれが自

分らしく生きることをお手伝いする

ことでもあります。様々な夢・志を

抱く若者のための新たな雇用インフ

ラを整え、次代を担う人財を育み、一

人でも多く社会に送り出していく̶

そのために、今年も一年、パソナグ

ループは全力を尽くしていきたいと

思います。

人を創る・人を活かす

株式会社パソナグループ

代表取締役グループ代表

南部

靖之

第6回

「富士山(日の出)」岩本 悠介この絵は、パソナハートフルで活躍する障害を持ったアーティスト社員の作品です。

東北の被災地からの16名の若者も迎えて、10月1日に行われた『ここから村』3期生の入社式

C o l u m n

●Yasuyuki Nambu|兵庫県出身。株式会社パソナグループ代表取締役グループ代表。「家庭の主婦の再就職を応援したい」という思いから大学卒業の1ヶ月月前に起業。現在のパソナグループを設立する。

03 HR VISION Vol.6

人をつくる・人をいかすHR Development & Strategy

02-03 Column「人財開国」 人を創る・人を活かす 株式会社パソナグループ 代表取締役グループ代表 南部 靖之

04-05 特別インタビュー

新しい“出会い”で人は変わる デザイナー コシノジュンコ 氏

06 音楽による子供たちの“心のケア”       『パソナ・東北こどもオーケストラ』

07 今号の視点

08-11 Column「YOU CAN DO IT」

2012年、世界はどうなる日本はどうする 株式会社パソナグループ 取締役会長 竹中 平蔵

12-14 Case Study

次の100年に向けて変革と進化を続ける 日本アイ・ビー・エム株式会社

15 職場のコミュニケーション講座 会話はキャッチボールで 株式会社セーフティネット 相談部 マネージャー 産業カウンセラー 藤掛 弘美さん

16-17 CHOセミナー誌上レポート

採用ルール変更の影響と フェイスブック活用のポイント 株式会社キャリアマート コンサルタント 米田 卓也 氏

18-19 GLOBAL HR REPORT

アジアにおける 人材獲得と定着のための課題 株式会社パソナ グローバル事業部 事業部長 市川 知之

20-21 雇用と労働の法律Q&A

中国社会保険法と駐在員給与の課題 株式会社パソナ グローバル事業部 HRサービスチーム 担当部長 西本 浩

22-23 Social Activist Report

淡路島における若者の雇用創造と 地域活性の取り組み

C O N T E N T S

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04HR VISION Vol.605 HR VISION Vol.6

ファッションを通して

「広がり」を伝えたい

私にとってのファッション観、あるい

は私がこの世界で長い間、仕事をして

いる理由と言ってもいいかもしれませ

んが、「ファッションで広がりを見せたい」

と考えています。「広がり」とは、「出会

いと人とのつながりの面白さ」です。

人であれ、国であれ、いつ出会うか

によって出会いの意味は異なります。

例えば私が若い頃の「外国」は遠かっ

た。モノもなかった。そういう時代

は何をやっても新しい。実際に外国へ

行ってみると、思い描いたほど遠い世

界ではなかったけれど、それは、行って、

出会って、初めて実感できたこと。「見

ベトナム、97年にはポーランド、そし

て3年前にはミャンマーでも初めての

ショーを開いています。

新しい経験をして

食わず嫌いをなくす

新しい経験は「食べず嫌い」をなく

します。味わってみると意外と美味し

い、と気付くのです。

私は40歳で子供に恵まれました。

いざ、自分が母親になったら、世界中

の子供がかわいい。

家族を持ったことで、子供服や家具

など、新しいジャンルの仕事も始めま

した。結婚や出産で生活が変わるの

て、出会って、判断」したことで、私の

ファッションと私自身の人生が広がった

と思います。

今は格安航空券等でも、気軽に外

国へ行けるのですから、ますます「見

ないで判断する」時代ではありません。

好奇心を持って飛び出せば、たくさん

の「出会い」に恵まれるご時世です。

新しい体験をすると人は変わるもの。

出会いから何を得て、どんな夢を持つ

かが大切だろうと思います。

私は1978年に初めてパリ・コレ

クションで発表するにあたり、「日本ら

しさ」「オリジナル」とは何かを模索

しました。日本人デザイナーである

以上、「日本」は私ひとりのオリジナル

のモチーフやルーツではないからです。

は実際大変だけれども、新しい経験

は、やはり世界を広げてくれるのです。

もちろん、仕事をしながらの子育て

でしたから、つらいこともありました。

車で仕事に出かける私を息子が走っ

て追ってくる時は心苦しかったですが、

息子は「仕事が丸見えだったから母と

の距離は気にならなかった」と言って

くれました。真面目に働いていると、

子供はちゃんと見て、感じ取ってくれ

るものです。

新しい経験が人生を広げると私は

考えていますから、学校のお休みに合

わせて息子をどこへでも連れていった

のは良かったかもしれません。私が感

動するものを一緒に観て、何かを感じ

それで、古来より日本が大きな影響

を受けてきた中国にルーツを求め、イ

メージを探しに訪れました。これが私

と中国の「出会い」です。

初めて訪れたのは1978年。75

年に終わった文化大革命の爪痕が未だ

色濃く残っていました。人々が身にま

とっている服は文革の規制の影響から

暗い色彩で、「ファッション」という文化

は中国にはなかったのです。けれども

気運は少しずつ変化し始めていました。

中国との出会いが

私の世界を広げてくれた

後に総書記になった胡耀邦さんの

夫人、李昭さんとの出会いが私と中

てほしかったのです。息子が小さい頃、

ミロの展覧会に連れていったことがあ

りますが、家に帰ったら、息子が夢中

でミロに似た絵を次から次へと描いて

いました。絵の意味なんてわからなかっ

たでしょう。だけど、「本物」が持つパ

ワーは子供にもしっかり伝わるのです。

我が家ではできる限り、息子を「子

供扱い」しないように育てました。お

子様ランチは食べさせたことがあり

ませんし、子供用の食器も使いません

でした。大人と同じ食器で食べられ

るようにきちんと躾ければいいのだ

と思います。今は空間・グラフィック

デザインの仕事をしている息子はず

いぶん頼もしくなって、以前は自分で

国の関係をより強くしたと思います。

1985年に私が中国・北京で初めて

「ファッションショー」を開催できたのは

彼女の強力な後押しがあったから。未

来を見据えていた彼女のチャレンジで

もありました。ですから私もショーの

コンセプトを「プリミティブ・オリエン

タル」に設定して、自由な発想でスペ

クタルのようなショーをつくり上げた

んです̶

。北京では京劇の劇団員に

参加してもらったり、モデルを新聞公

募から集めました。現地の人と一緒

に舞台を創ることにも心を砕きまし

た。未来的でドラマティックな舞台で

始まったショーは、今振り返っても、す

ごいショーだったと思います。これを

機に「ファッションショー」を表す「時装

表演会」という言葉とモデルという職

業が中国で誕生したほどの大成功で

した。以来、中国とのかかわりは特別

なものとなりました。

先日は、キューバから勲章を頂戴し

ました。キューバでファッションショー

を手掛けたきっかけは、ファッション雑

誌に勤めていたフィデル・カストロ議

長のお嬢さんにパリで出会ったことで

した。「文化人」を国の宝として扱う

キューバに出会ったことで、やはり、私

の世界観は広がりました。94年には

選んでいたショーの音楽も息子が選ん

でくれるようになりました。

たくさんの夢と

自分ならではの使命を持つ

たくさんの出会いは、たくさんの夢

の引出しをつくります。夢はひとつ

でなくていい。いっぱい持てばいいと

思います。たくさんの夢を可能な限り、

叶えていけばいい。

ただし、人間には使命もあると思い

ます。夢とはちょっと違います。自分

の「欲」を抜いてもやるべきこと、そ

の人にしかできないこと、それが使命

です。使命とは率先して動き、道を

造るなど、人の役に立つ行動をとるこ

とだろうと思います。

NHKの朝の連続テレビ小説「カー

ネーション」のモデルとなった、私の母・

綾子が「向こう岸 

見ているだけでは

渡れない」と言っていました。向こう

岸に行きたいと思うなら、行くため

の準備を整え、タイミングを待つこと

が大切です。その準備のなかに、努力

と人やモノとの出会いが含まれます。

準備しているからこそ、いざという時、

使命を果たせるのだと思います。

●Junko Koshino|大阪府岸和田市出身。文化服装学院デザイン科で学ぶ。在学中に「装苑賞」を最年少の19歳で受賞。78年のパリ・コレクション初参加以来、85年北京、90年ニューヨーク、94年ベトナム、96年キューバなど、世界各地にてショーを開催。東日本大震災を受けてチャリティーコンサートの開催など復興支援にも精力的に取り組んでいる。

特別インタビュー

新しい〝出会い〞で

人は変わる

デザイナー

コシノジュンコ

1985年に開催した中国北京時装表演会より

着物をモチーフにした最新コレクション

1978年、初めて参加したパリ・コレクションの招待状にはドラゴンをデザイン

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HR VISION Vol.6

パソナ・東北こどもオーケストラ

音楽による子供たちの“心のケア”

子供たちに“心の復興”をパソナグループはこれまで、東日本大震災で被害にあわれた方 を々支援するため、「雇用」「住居」「医療」「メンタル」面から被災者の方 を々サポートする相談窓口を開設し、お仕事はもちろんのこと、心身両面からの健康支援にも取り組んでまいりました。また社会貢献室が中心になって、被災地でボランティア活動を行う「復興支援バスツアー」を実施する等、全社を挙げて被災者支援活動に積極的に取り組んでいます。その活動の一環として、震災で被災した子供たちや避難して暮らす子供たちの心を癒すため、音楽活動を通じて心のケアを行う『パソナ・東北こどもオーケストラ』を福島県郡山市に設立、2011年10月より活動を開始しました。参加者を募集したところ、最終的に郡山市内に避難・在住している小学1年生から中学2年生までの子供たち約70名が集まり、現在、2012年3月11日に郡山市でのコンサート開催を目指し、毎月1回練習を行っています。

皆でひとつの音を創り上げるオーケストラの音楽指導にあたっているのは、音楽家の仕事と音楽活動の両立を支援する「パソナ・ミュージックメイト」で活躍する若手音楽家や、若手プロの女子弦楽アンサンブル「ブルームクァルテット&アンサンブル」、地元の「郡山ジュニアフィルハーモニーオーケストラ」の皆さん。練習では、初めての環境に緊張が隠せなかった子供たちも、ワークショップを通じてたくさんの新しい友達をつくり、楽器を手に嬉しそうに練習に励んでいます。保護者の方からは、「今まではひとりで漫然と練習するだけでしたが、みんなと何かひとつの作品を創り上げるのが良い経験になっています」といった声をいただいています。パソナグループでは今回の活動を通じて、音楽による子供たちの“心のケア”のほか、郡山市に避難して暮らす子供たちと地元の方 と々のコミュニケーションをはかることで、安心して暮らせる“コミュニティの再生”のお手伝いができればと願っております。

避難区域から避難してきた子供たちも、「久しぶりに楽器に触れられて本当に楽しい」「目標になるものができて嬉しい」と笑顔を見せてくれました

 ~東北の子供たちを一緒に応援しませんか?~

ご協力のお願い

楽器の提供・貸与

 『こどもオーケストラ』にはたくさんの子供たちからお申し込みをいただいていますが、楽器を持っていない等の事情で、全員を受け入れられていません。また、避難している子供の中には、楽器は持っていても自宅に取りに帰れない子供もいます。そこで、皆様のご自宅に眠っている楽器がありましたら、子供たちにご提供をいただきたく、ぜひ、ご協力をお願いいたします。

■支援形態(①または②) ①無償譲渡 ②レンタル(2012年3月まで)

■募集楽器 バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、トランペット、チューバ、ホルン、トロンボーン、フルート、ピッコロ、クラリネット、ファゴット、オーボエ、サックス、木琴、鉄琴、ピアニカ、リコーダー、アコーディオン等

■お申し込み・問い合わせ先 パソナグループ 東北こどもオーケストラ事務局 TEL:03-6734-0231 E-mail:[email protected] ご連絡いただき次第、お申込フォームを お送りいたします。

HR VISION Vol.6

HR

Developm

ent &Strategy 海

外でのビジネスを成功させていくためにも、国内雇用の新たな受け皿とな

る内需産業をさらに成長させていくためにも、海外で活躍できる人材の育成

やイノベーションを生み出すことのできる人材の育成が急務となっています。

パソナグループがクライアント企業を対象に実施したグローバル人材に関す

るアンケート調査では、「日本本社のグローバル化をはかるため」、あるいは「社

内の意識改革をはかるため」、「外国人新卒者を日本で採用したい」という声

も多く寄せられました。

そこで、今回の『H

R VISIO

N

』では、「人をつくる・人をいかす」をテーマに、

これからの人材育成と人材戦略について考えます。

人をつくる・人をいかす

東日本大震災以降、日本企業の海外展開が加速しています。上場企業の連結

利益に占めるアジアなど新興国の比率は2011年3月期で約4割。製造拠

点としてだけでなく、消費国としての長期的成長が期待されるアジアが、日

本企業の新たなフロンティアとなっています。

アジア開発銀行は、中国やインドが順調に成長を続けた場合、2050年ま

でに世界総生産に占めるアジアの割合は現在の27%から52%までに拡大する

と予測。日本の割合は9%から3%程度に低下するものの、旺盛なアジアの

需要を取り込み、ひとり当たりのGDPは3万ドルから8万ドルに増えると

予測しています。

 

今号の視点

06

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08HR VISION Vol.609 HR VISION Vol.6

2012年は、

「大きな分かれ目」の

年になる

2012年は、米国、ロシア、フ

ランスといった世界の大国で大統領

選挙が行われる「エレクション・イ

ヤー(選挙年)」であることは、皆さ

んご存知の通りだと思います。この

エレクション・イヤー【図表1】で、

世界経済がどちらの方向に向くの

か̶

。そのことが相当に問われるこ

とになります。もちろん、ヨーロッ

パにはヨーロッパの問題があり、ア

メリカにはアメリカの問題があり、

日本には日本の問題があります。し

かしその根底には、ある種共通した

病理があります。それは、「ポピュリ

震災で明らかになった

「日本の強みと弱み」

まず、東日本大震災が日本の経済

にもたらした当面の影響は予想以

上に大きかった、ということをきち

んと認識しておかなくてはなりま

せん̶

。2011年の第一四半期の

成長率はマイナス3・7%。第二四

半期はマイナス2・1%でした。こ

れには2つ要因があって、ひとつに

は「消費者心理」が決定的に落ち込

んだということ。二番目がサプライ

チェーンが崩壊したことによって日

本の自動車という「主力輸出産業」

が落ち込んだということです。それ

が直接のインパクトですけれども、

震災によって私たちが経験したこと

は、一言で言えば、日本の「強み」と

ズムの悪循環」というものだと思い

ます。日米欧とも、経済があまり良

くないわけです。経済が良くないと、

「社会不安」=「ソーシャル・アンレス

ト」が起こります。「失業」がその典

型ですけれども、「格差」、「将来に対

する希望の低下」、そういったものに

対する不安が起こるわけです。そう

すると、「あなたたちを救ってあげる」

と、政治がポピュリズムに走ります。

日本もまさにそういう動きの中にあ

るわけですが、政策には「ポリシー・

トゥ・ヘルプ」と「ポリシー・トゥ・

ソルブ」の2つがあります。

ソルブ(Solve

)は根本的な解決策。

ヘルプ(H

elp

)は今困っている人た

ちを助けること̶

。例えば、失業手

当や補助金といったものです。しか

「弱み」が、極限状況になって非常に

はっきりと、従来以上のコントラス

トをもって示されたということだと

思います。強みといいますか、評価

できる点は、サプライチェーンの復

活が予想以上に早かったということ

ですね。これはやはり、日本の企業

が持っている「現場力の強さ」です。

毎日2千人も3千人もの人が被災地

の部品工場に行って、力を合わせて

瓦礫を片付けて、あっという間に立

ち直った̶

。予想よりはるかに早く、

サプライチェーンが復活した。これ

が今回の非常に大きな特徴だと思い

ます。

ところがその一方で、予想以上に

政府の対応が遅い̶

。阪神淡路大

震災の時は、震災から4ヶ月後にメ

インの予算が決まっているんですけ

れども、今回は7ヶ月経ってもまだ

予算が審議されていない状況です

(2011年10月現在)。まさに民

間、「現場」は強い。しかし政治、そ

して「中枢管理機能」が弱い。従来

から言われていた日本の強みと弱み

のコントラストが強く出てきている

わけです。

日本復興のための

「3つのポイント」

過去の大震災の教訓から、日本は

し「ヘルプ」だけでは、失業問題は絶

対に解決できません。根本的な解決

には、経済を成長させること。それ

によって「労働需要」、すなわち「雇

用」を増やしていくことが重要です。

最大の〝安全網〞は経済を成長させ

ることです。にもかかわらず、ポリ

シー・トゥ・ヘルプに偏ってしまうと、

財政赤字だけが膨らんでいきます。

そして、ますますソーシャル・アンレ

ストが高まる。するとさらにポピュ

リズムに走る̶

。その悪循環を断ち

切ることができるのが、「リーダーシッ

プ」なのだと思います。このエレク

ション・イヤーで、そういう強いリー

ダーが現れるかどうか。それとも、

ますますポピュリズム合戦に陥って

いくのか。そこが問われるわけです。

3つのことに注意してやっていかな

ければならないと思います̶

ひとつは、「原理原則」に反した政

策をやってはいけないということで

す。過去の教訓を見ると、基本を踏

みはずした時に失敗しているのです。

例えば、関東大震災の後、政府は復

興手形を出させて、それを日銀が引

き受けます。これは特効薬としては

一時的に金融を安定させる効果はあ

るわけですけれど、そんなことをし

たらモラル・ハザードが起こること

は目に見えているわけです。関東大

震災の直後はしのいだけれど、何年

後かに昭和金融恐慌が引き起こされ

た。やはり、原理原則に反してはダ

メです。そういう意味では、日本が

マイナス成長のときに復興増税を行

うというのは、原理原則に反してい

るのではないでしょうか。大震災後

に増税を実施した例は、世界に一例

もありません。そのことが大変懸念

されます。

二番目の教訓としては、「ビッグ・

ピクチャー」=「大きな絵」が必要だ

ということだと思います。関東大震

災後の復興に携わった後藤新平は、

なぜあれほどの短期間で東京の復興

を成し遂げることができたのか̶

後藤新平は、台湾総督府の民政長官

そういう意味で、2012年は非常

に大きな分かれ目の年になるのだろ

うと思います。

昨年ニューヨークに行った時にも、

タイムズスクエアで、「反ウォール街

デモ隊がここまで来たんです」とい

う話になりました̶

。そういう中に

もかかわらず、日本はソーシャル・ア

ンレストが比較的小さい国です。世

界中で反格差のデモ行進が行われて

いるわけですが、日本ではそういう

ことが、若干行われはしたけれども、

大きな運動にはなっていない。日本

という国は、社会そのものが非常に

安定しているんですね。日米欧を比

べると、日本の経済が一番悪い【図

表2】。にもかかわらず、ソーシャル・

アンレストは一番低い。それが日本

の特徴であり、そうした状況下だか

らこそ、かえって、きちんとしたリー

ダーが現れにくいのかもしれません。

として台湾で経験を積み、南満州鉄

道初代総裁としてマネジメントの経

験を積んでから東京市長になりまし

た。その時代に早くも8億円の「東

京改造計画」をつくっています。江

戸時代から残る古い町並みを、近代

的な、災害に強い街に変えるための

具体策をつくっていたのです。そし

て関東大震災が起きた時に、それを

さらにつり上げて40億円の復興予算

を要求する̶

。当時の国家予算が

14億円で、およそ3倍の規模ですか

ら、「大風呂敷」と呼ばれて、最終的

には5億円まで減額されるのですが、

ここで重要なのは、震災以前にすで

に、災害に強い街に変えるためのソ

リューションを考えていたという点

です。震災というのは一種の極限状

態ですから、すぐに良いアイデアが

浮かぶわけがありません。常に考え、

きちんとしたトータルプランを持っ

ていて初めて、いざという時に実現

可能なアイデアが出てくるのです。

今も東京には、後藤新平がつくった

昭和通りがあるし、隅田川には立派

な橋が残っている̶

。そういう意味

で今は、「大きな絵」が見えません。

ここは今一度、大きな絵を描き直す

必要があると思います。

三番目の教訓は、「復興政策は早

く」なければいけないということで

●Heizo Takenaka|和歌山県出身。第6代総務大臣。慶應義塾大学教授、グローバルセキュリティ研究所所長。2007年2月より株式会社パソナグループ特別顧問、2009年8月より取締役会長。

│YOU

CAN

DO

IT│

2012年、世界はどうなる

日本はどうする

株式会社パソナグループ 取締役会長 竹中

平蔵

第6回

図表1 2012年に世界各国で行われる選挙

アメリカ

フランス

ロシア

中国共産党

台湾

韓国

大統領選挙

大統領選挙

大統領選挙

第18次全国代表大会

総統選挙

大統領選挙

図表2 主要国・地域のGDP経済成長率見通し

OECD(経済協力開発機構)発表データより

-2 0 2 4 6 8 10

2011年2012年2013年

アメリカ

ユーロ圏

中国

日本

1.7%1.8%2.5%

-0.5%2.1%

1.5%

9.3%

9.5%

1.6%0.3%1.5%

(%)

8.6%

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10HR VISION Vol.611 HR VISION Vol.6

す。これを経済学で「履歴効果」と

言うのですが、「将来は、現在と過去

で決まる」ということです。具体的

に言うと、サプライチェーンが崩壊

して、部品工場が閉鎖になりました。

そうするとその間、組立工場は別の

ところから部品を調達して組み立て

る。するとその部品工場が元に戻っ

てきた時には「もういいですよ。別

のところから調達してますよ」とい

うことになる。つまり、「一度逃げた

お客さんは帰って来ない」。これが

履歴効果です。だから復旧・復興を

急ぐ必要がある。実はこの典型例が、

阪神淡路大震災で被災した神戸港で

す。神戸は1990年にはコンテナ

取り扱いで世界第5位の港でした。

ところが95年に大震災が起こって、

23位になるんですね。神戸港が使え

なくなったので、コンテナは韓国の

仁川港や釜山港、台湾の高雄港に行

くわけです。そして逃げたコンテナ

は戻って来ない。今、なんと神戸港

は世界で46位です。その轍を踏んで

はいけないと思います。その意味で

も、メインの予算が遅れているのは

非常に残念なことだと思います。

グローバル競争は

「都市間競争」

日本を考える上で重要なのは、

日本の持つ

「ソフトパワー」を生かすには

もう一点、ソフトパワーの面で言

うと、日本が持っている「ソフトパ

ワー」=「文化」の力をもっと発揮さ

せるようにすることも重要です。そ

ういう観点からすると、日本は今、

文化予算として1千億円しか使って

いません。これはひとり当たりの文

化予算で見ると、フランスの10分の

1。そしてなんと韓国の5分の1で

す。それこそ新しいソフト重視の予

算範囲をうんと増やして、その分単

なるポリシー・トゥ・ヘルプ、一時的

な救済のための補助金とかバラマキ

型の補助金を減らしていくという、

思い切った姿勢が必要になってくる

と思います。

例えば先ほど述べた大阪にはいく

つか、他の都市にはない魅力がある

と思います。最大の魅力は、姫路城、

法隆寺、奈良の社寺群、京都の社寺

群という4つの「世界遺産」に30分

から1時間で行け、少し足を延ばせ

ば、熊野古道にも行けます。この条

件は日本の都市の中でトップであり、

食事は安くてうまい。文化観光都市

としては、東京に匹敵するものにで

きるはずです。集積という面でも大

阪は、世界の都市総合力ランキング

15位と健闘しています。

「ハードパワー」と「ソフトパワー」の

話だと思います。ハードパワーとい

うのは「軍事力」と「経済力」です。

もともと日本は軍事力を建前上は放

棄しています。そこで経済力という

ハードパワーに依存してきたわけで

すけれども、それがだんだん低下し

ている。皮肉なことに今、ハードパ

ワーが低下しているがゆえに、ソフ

トパワーの重要性が感じられてきて、

日本の文化が素晴らしいとか、クー

ル・ジャパンとか、いろいろな議論に

なっているわけです。

そこで重要な点は、世界で今繰り

広げられている「グローバル競争」の

実態は、大都市の「都市間競争」だと

いうことです。それには理由があっ

て、私たちは今、いわゆる「知識集約

産業」に依存しています。知識集約

産業というのは圧倒的に都市に存在

するわけです。なぜかというと、現

代が「イノベーション」の時代だから

です。都市では今日は昨日と違うこ

とが次々と起きます。都市には新し

い組み合わせ、つまりシュンペーター

のいうところの「新結合」を生むダ

イナミズムがあるのです。だから経

済競争が結局、都市間競争になって

いて、東京は近隣のソウル、上海、北

京、香港、シンガポール等々と、激し

い競争を強いられています。

経済活動を行うにあたっては、「ヒ

また、これを機会に東北と東京・

大阪などの大都市圏との人材交流も

積極的に推進すべきと考えています。

東北で生活できない人は、東京や大

阪に行って稼いでもらう。一方、東

北の農業には、東京・大阪の若い人

材が役に立つでしょう。震災復興に

ついては、インフラの復興やモノの

売買の支援だけでなく、人材の交流

までを考えないと、物事は動いてい

かないと思います。そういう意味で

も、最初に述べたように、ポピュリ

ズム型の政策ではダメですよという

ことにつながってくるわけです。

人も企業も徹底した

グローバル化を

日本は人口が減少していきます。

人口が減少する中で経済を発展さ

せる唯一の方法が、グローバリゼー

ションなわけです。震災で日本企業

の持っている現場力の強さと政府の

中枢管理機能の弱さが現れたと言い

ましたが、政治がこれだけ動揺して

も、国民は今のような経済水準を維

持しているわけで、日本経済の底力

は大変強いということです。おそら

く普通の国で今のような政治の混乱

が起きたら、経済はもっと悪くなり

ます。しかし、実は日本企業の現場

力も次第に低下してきています。日

ト・

モノ・カネ」の集積の価値を無視

することはできません。そこで、都

市のランキングとか、都市の役割を

重視した研究をしなければならない

ということで、実は私もここ数年間

ずっとやっています。東京は、この

ところずっと世界で4位で、その意

味では大健闘しています。順位は、

ニューヨーク、ロンドン、パリ、東京

の順番です【図表3】。実はその4都

市が第1グループで、第2グループ

としてヨーロッパの都市とアジアの

新興都市が入ってくるんですが、こ

こ1年くらいの間に、アジアの新興

都市、特にシンガポール、香港から

ものすごく追い上げられています。

日本経済を支える最大のポイントは

東京圏の集積にあります。東京の持

つ圧倒的な強さを伸ばしていくこと

本の企業は今、徹底して「チャレン

ジャー」の立場に徹する必要がある

と思います。

明治の開国以来、日本の若者たち

は競ってフロンティアに出て行きま

した。アメリカの西海岸、南米のブ

ラジルやペルー。戦後、高度成長期

のフロンティアは東京でした。現代

のフロンティアは、間違いなくアジ

アです。特に最近、シンガポール、イ

ンドネシア、タイ、マレーシア、ベト

ナムなどのASEAN諸国が急成長

しています。フロンティアに出て行

くのは、企業としても人間としても、

極めて自然なことです。ところが日

本はグローバル化教育に圧倒的に後

れをとっていて、人材も不十分だし、

グローバル化を支える社会の制度も

不十分、法人税も高いままです。学

校のカリキュラムも、グローバル教

育をきちっとやるような体制にはなっ

ていない。グローバル教育に徹する

べきということは、企業についても

言えることではないでしょうか。

例えばお隣の韓国は1997年

のアジア通貨危機の時に、グロー

バリゼーションの嵐の中で、人口

4900万くらいの韓国は大変なこ

とになると察知したわけですね。も

う、最初から世界を相手にしなけれ

ばダメだと。だからサムソンは最初

から世界を相手にしているわけで

が日本経済復活の大前提です。東京

をもっと強くするという視点が必要

です。にもかかわらず今、政府が東

京の富を地方にばらまくという形を

とっているわけです。それによって

東京が弱くなれば、日本全体が弱く

なるということに気付く必要がある

と思うんですね。

ただし、首都機能のバックアップ

システムを持つ必要はあるでしょう。

それを大阪などの関西圏に持つ。逆

に、大阪のバックアップシステムを東

京に持ってきてもかまいません。お

互いに、大規模災害に備えるような

バックアップシステムを構築すれば

いいのです。ただし、リスク分散と

集積を解くことは全く別の話である

ことを申し添えておきます。

す。ところが日本では、国内のマー

ケットを相手にするだけである程度

の規模の活動が確保できるものだか

ら、グローバル化への対応を怠って

しまった。そして気が付いてみると、

英語教育でも、インターネット、I

T教育でも、日本は韓国よりも後れ

をとってしまっているわけです。グ

ローバリゼーションを非常に熱心に

取り込んだ韓国と、グローバリゼー

ションを軽視して対応を怠った日本

のコントラストが今の時点では非常

にはっきりと出ているように思いま

すね。この点に対する反省が、政府

も企業も個人も必要なのではないで

しょうか。

幸い日本に来たいと思っている人

はまだいっぱいいます。しかし、旅

行で来たいと思っている人はたくさ

んいても、日本に来て働きたいとか、

ビジネスをしたいと思っている人は

減っています。昨年私は『日本経済

今度こそオオカミはやってくる』と

いう本を出したのですが、日本経済

も、もうそんなに余力はなくなって

きていると思います。ですから、今

の時点で日本がウェイクアップする

ということが大変重要なのではない

でしょうか。そうすれば、日本には

底力がまだまだありますから、将来

に向けて新しい日本をつくることは

十分に可能だと思います。(談)

図表3 世界の都市 総合力ランキング(2011)

1位2位3位4位5位6位7位8位9位

15位

18位

23位

28位29位30位31位32位33位34位

順位ニューヨークロンドンパ リ東 京シンガポールベルリンソウル香 港アムステルダム

大 阪

北 京

上 海

福 岡台 北バンコククアラルンプールサンパウロモスクワムンバイ

都市

(財)森記念財団 都市戦略研究所 調べ

……

……

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12HR VISION Vol.613 HR VISION Vol.6

日本アイ・ビー・エム株式会社

2011年、1911年の創業から100周年を迎えたIBM。同社の100年の歴史は、

IBMをコンピュータ産業の巨人へと成長させた2代目社長、トーマス・J・ワトソン・ジュニアの、

「周囲の状況は常に変化している。成功するためには、その変化の一歩先を行く必要がある」

という言葉に象徴されるように、変革と進化の歴史でもあります。

ここでは、日本IBMの人事担当

取締役専務執行役員ロビン・スースさんに、

同社の変革と進化を支える人材戦略についてお話を伺いました。

次の100年に向けて

変革と進化を続ける

取締役専務執行役員人事担当

ロビン・スースさん

Case Study100年の歴史を

支えてきた

先見的人材戦略

一世紀もの長い間、時に社運をも

かけるような大胆な目標を掲げ、イ

ノベーションを起こし、進化を続け

てきたIBM。同社は数あるアメリ

カ企業のなかでも、最も先見的(ビ

ジョナリー)な企業と称される。そ

してその成長と進化を支える最大

の要となったのは、初代社長トーマ

ス・J・ワトソン・シニア以来の、先

見的な人材戦略だろう。トーマス・

J・ワトソン・シニアは、経営者にな

るとすぐに、社員の「行動規範」を定

め、「研修制度」を設け、人種や宗教、

あるいは障害にもこだわらない採用

方針=「ダイバーシティ」に取り組み、

「イコール・オポチュニティー」の原則

も徹底した。今も同社に掲げられる

「THINK=考えよ」という標語

も、その時代からのものだ。

昨年4月から日本IBMで人事部

門を担当する取締役専務執行役員の

ロビン・スースさんはこう語る。

「IBMが100周年を迎えた

2011年は、とても充実した一年

間でした。というのも、100年の

歩みを改めて振り返る機会が多くあ

り、IBMが生み出した革新的なテ

クノロジーが素晴らしい製品・サー

ビスを作り出してきたことを再確認

することができたからです。同時に、

人事戦略においても素晴らしい成果

を出してこれたと自負しています。

100年といえば長い年月ですが、

IBMの根底にある理念と文化は不

変です。最前線の社員がリーダーシッ

プをとって、〝ボトムアップ〞で組織

を動かし、その力を最大限発揮でき

るように、私たち人事部門は腐心し

てきました。そして、次の100年

に向けても、事業戦略とともに人材

戦略もさらに変革と進化を続けてい

かなければならないと考えています」

事業戦略とともに変わる

人材戦略

HDD事業やパソコンなどコモ

ディティ化した事業を中国のレノボ・

グループに売却し、コンサルティン

グやシステム構築など、ビジネスソ

リューションを提供する事業に軸足

を移して世界中を驚かせたIBM。

今また、「GIE(Globally Integrated

Enterprise

=グローバルに統合され

た企業)」をキーワードに、さらなる

成長を目指している。

事業戦略の転換は、当然、人事戦

略を見直す転換点でもある。世界各

地に拠点を持ち、グローバル統合が

進められるなかで、社員に求められ

るコンピテンシーも変わってきている。

同社にとって、ダイバーシティは創業

以来の人事戦略の要諦だが、特に最

近、その「多様性を認める企業文化

(コーポレート・カルチャー)と戦略」

が効力を発揮し始めているという。

「先に進む基盤は整っています。

現在、世界中の社員が共有している

『IBMers Value

』【図1】、すなわち、

お客様の成功、イノベーション、信頼

と責任の3つの価値観に則り、適切

な人材配置と一人ひとりの貢献に見

合う報酬、在宅ワーク(e---

ワーク)

等の多様な働き方の推進とともに、

リーダー育成にさらに注力するつも

りです。

事業戦略の転換に伴い、弊社が

リーダーに求めるコンピテンシーの

定義が若干、変わりました。具体的

には、『異なる文化を受け入れる能

力』をもっと伸ばしていきたいと考

えています̶

。私たちのお客様も、

働く仲間も、世界中にいる時代です。

私たちのサービスに、あらゆる国の

人々がアクセスしやすい環境を提供

するべきですし、お客様もそれを期

待しています。テクノロジーが世界

をフラットにし、めまぐるしく変化

している今、その変化に柔軟に対応

できて、もちろん結果も出し、国家

間を身軽に移動できる人材が必要な

のです。グローバルは変化し続けま

すから、事業モデルを見直し続ける

ことが必要です。だからこそ、イノ

ベーションが重要なのです」

若手リーダーが

次のリーダーを育成する

「私は1983年に入社しました

が、この28年間で様々なことがあり

ました。世界も大きく変化しました。

これまでの私自身の人生や社会の変

化が思いがけないことの連続だった

ように、今後の20年間の変化を私は

予測できません。テクノロジーも人々

の働き方や価値観もさらに変わって

いくでしょう。IBMという会社を

支える基盤は不変ですが、重要視さ

れるポイントやモチベーションのあ

りようが変わっていくとすれば、迅

速に対応していかなければなりませ

ん。そうしたなかで職場の環境に変

化があっても、すべての社員にチャ

ンスを提供する企業であり続けるこ

とが重要だと考えています」

スースさんは最近、世代間ギャッ

プが広がっていると感じているとい

う。ソーシャルメディアに親しんで

いる若者たちと、その上の世代では、

リテラシーや価値観が異なるからだ。

「クロスジェネレーションの課題

を解決するための、社内で好評を

得ている施策のひとつに、『Speed

Networking

』というプログラムがあ

ります。これは入社数年の社員と、

その2〜5歳くらい先輩の社員を集

めて、一対一の対話を15分くらいず

つ行うものです。次々と入れ替わり

ながら、一度に複数の先輩と会話を

することができます。とてもリラッ

クスした雰囲気のなかで、自分に

とって誰が『ロールモデル』になりう

るかを見極め、その後、個人的に『メ

ンター』になってもらう、というもの

です。まるでお見合いのようですね

(笑)。このプログラムの大切な点は、

先輩とはいえ、あまり年齢の離れて

いない社員と出会えること。という

のも、例えば私のように何十年も先

輩では、ロールモデルとして適切で

はないこともあるからです」

また、以前のように数百人単位で

新卒者が採用され、多くの「同期」が

いた時代とは異なり、最近は組織の

なかで若手社員がマイノリティーに

なりがちなのだという。そこで、同

年代の仲間とネットワークを作りや

すくするため、社内SNSを立ち上

図表1 世界中のIBM社員が共有する3つの価値観

 お客様の成功に全力を尽くすDedication to every client's success.

 私たち、そして世界に価値あるイノベーションInnovation that matters for our company and the world.

 あらゆる関係における信頼と一人ひとりの責任Trust and personal responsibility in all relationships.

IBMers Value

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14HR VISION Vol.615 HR VISION Vol.6

Q

前号で、職場の悩みの第一位

は「人間関係」だとお聞きし

ました。どんなご相談が多

いのでしょうか?

「上司」の方からも、「部下」の方か

らも、「相手がわからない」「自分のこ

とをわかってもらえない」というご相

談が多いですね。「部下が言うことを

聞いてくれない」とか、「思いが伝わ

らない」とか、「相手を説得できない」

とか│。私は、もしかしたら、会話

が「キャッチボール」ではなく、「ドッジ

ボール」になってしまっているのでは

ないかなと思っています。「ドッジボー

ル」では、相手に向かって一方的に球

を投げつけます。それに対して「キャッ

チボール」は、相手が球を受け止めて

投げ返せる体勢にあることを確認し

てから、球を投げますよね。会話も、

「キャッチボール」であるべきです。コ

ミュニケーションとは、相互理解・他

者理解・自己理解に基づくものです

から、相手にわかってもらうためには、

まず自分から先に相手をわかろうと

する気持ちが大切だと思います。

Q

若い社員とのコミュニケー

ションに悩まれる方が多いと

いうお話も聞きますが?

今の若い人たちは、パソコンや携

帯電話を使い慣れていて、メールや

Twitter

などのツールを使いこなすこ

とが得意です。これはいわば、「文明

の違い」です。一方、どちらかという

と「生身」の自分をさらけ出すこと

が苦手で、批判に弱い面もあります。

また、ものごとに「理由づけ」が必要

なことも、若い世代の特徴と言える

かもしれません。とはいえ、人間が

変わってしまったというわけではない

と思います。いつの世にも「世代間

ギャップ」はあるものです。

大切なのは、相手を尊重して、苦

労や喜びを分かち合ってあげること。

「理解してくれている」と感じられれ

ば、部下は指示や注意にも納得する

ことができます。それから、「褒める

時は全体で、注意する時は部分で」

というのもポイントです。「あなただ

からできたんだね!」と褒めた上で、

「あとは、ここの部分を頑張ろう」と

いう具合に伝えると、モチベーション

アップにつながります。

Q

上手な人との接し方や、声

のかけ方等についてアドバ

イスをお願いします

コミュニケーションが苦手な人ほど、

「上手くしゃべろう」としてマニュアル

やノウハウを求めがちですが、すべて

の人に当てはまるマニュアルやノウハ

ウはありません。

会話というのは、ただ「話す」だけ

ではなく、「まばたき」や「身振り手振

り」、時には「沈黙」まで含まれます。

会話が苦手な人には、まずは「はい」

「いいえ」で答えられるような「クロー

ズド(閉じた)」な質問によって相手の

様子をみます。つまり、相手にボール

を投げて、興味を示すのです。それ

で嫌そうでなければ、イエス・ノーを

きっかけに、「オープン(開いた)」な会

話に変えていきます。

相手にこびる必要はありませんが、

場面や相手によって、自分を変えるこ

とも必要です。人を好きになれるか、

人をわかろうとする気持ちを持てる

かが、良好なコミュニケーションの入

り口になります。これは職場に限ら

ず、友達や親子の関係等にも当ては

まることだと思います。

職場のコミュニケーション講座

●Hiromi Fujikake|企業からの委託により、カウンセラー、弁護士、税理士、看護師などからなる専門家集団が24時間体制で社員の悩みごとの解決支援など行う株式会社セーフティネットで、労働大臣認定産業カウンセラーとして活躍している。

──第2回──

会話はキャッチボールで

株式会社セーフティネット相談部 マネージャー産業カウンセラー

藤掛 弘美 さん

今後、取り上げてほしいテーマ等がござ

いましたら、ぜひお聞かせください。

[email protected]

げたり、メンター制度を強化するな

ど、未来を創造する若者たちのリー

ダーとしてのスキルとキャリア向上

をはかっている。ボトムアップで若

者たち自身の意見を吸い上げ、若手

リーダーが次のリーダーを育成しよう

という仕組みだ。

「会社が最大限の支援を惜しまな

ければ、社員も会社に対してしっか

りコミットして高い業績で応えてく

れるでしょう。e---

ワークの推進や

企業内保育園の開設など、社員の

『ワークライフ・バランス』を支援す

るために様々な工夫をしてきました

が、世代ごとに異なるニーズにさら

に細かく目を向けていかなければな

らないと考えています。また、介護

が、今後早急に対応策を考えるべき

重要な課題だと認識しています」

今年創業75周年を迎えた日本IB

Mは、女性誌『日経ウーマン』が選ぶ

「女性が活躍する会社ベスト100」

で第一位を獲得するなど、先進的な

ダイバーシティでも注目されている。

女性初のCEO誕生は

結果にすぎない

IBMで今年、世界が注目する人

事が行われた。本社CEOに女性と

して初めてバージニア・M・ロメッ

ティさんが就任したのである。しか

し、実力主義が徹底しているIBM

では、ロメッティさんは「たまたま」

女性だっただけで、当然のステップ

にすぎないという。東日本大震災

後、アメリカ本社の幹部で最初に来

日したのは、アジア出張のスケジュー

ルを急遽調整して駆けつけたロメッ

ティさんだった。日本IBMの社員

もロメッティさんの人柄と強いリー

ダーシップに直に触れることができ、

非常に元気づけられたという。

「彼女のキャリアは、教科書のお

手本のようです。お客様の信頼を得

て、M&Aや事業統合のようなリス

クをとる仕事や事業変革を行い、ま

たコーチングなど、リーダーシップで

も結果を出してきました」

グローバル時代のキャリアパスを

考える時、GIEを標榜するIBM

だけでなく、これからは日本企業に

おいても若い社員たちの多くが世界

をクロスボーダーで移動し、キャリ

アを積むといった働き方が普通にな

るだろう。スースさん自身もヨーロッ

パ本社(フランス)勤務を経験し、

現在は二度目の日本赴任中だ。

「リーダーを目指す人は英語の能

力を磨き、海外経験を積んで欲し

い」とスースさんは微笑んだ。

Smarter Planet

IBMのミッション

IBMを世界的企業にしたトーマ

ス・J・ワトソン・ジュニアの「成功

するためには、変化の一歩先を行く

必要がある」という言葉どおり、I

BMの歴史は変革と進化の歴史でも

ある。

IBMでは現在、「地球を、より賢

く、よりスマートに」というメッセー

ジのもと、環境、エネルギー、食の安

全など、地球規模の課題をITの力

で解決していく「Sm

arter Planet

」と

いうコーポレート・ビジョン【図2】

を推進している。

「ITを活用して、無駄や非効率

を改善し、お客様のコスト削減や社

内外の膨大な情報の活用に貢献して

いくためには、ご提案ができる最新

の自社製品はもちろん、戦略や市場

環境の変化に対応できるスキルを

身につけた人材を育成していかな

ければなりません。社内における

リーダーというより、世界の未来を

担うリーダーを育成するために、異

なる世代間、異なる文化の要求に耳

を澄まし、投資を惜しまないことが

大切だと思っています」

図表2 Smarter Planetが実現する価値創造

Smarter Citiesスマートな都市構築

Capabilitiesクラウド・コンピューティング/アナリティクス(BAO)スマート化を支えるテクノロジー/製品・サービス

シティーオペレーションセンター

Smarter Enterpriseグローバル化への対応

エネルギーとユーティリティー

交 通

医 療公共安全

教 育

行政サービス

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16HR VISION Vol.617 HR VISION Vol.6

採用ルールの

変更とその影響

日本経団連の「倫理憲章」の改定に

より、2013年卒採用から、会社

説明会などの「広報活動」が、卒業・

修了学年前年の12月1日からの解禁

に変更されました。これにより、企

業と学生双方に様々な影響が出るこ

とが予想されています。

12月1日から広報活動が一気にス

タートするとなると、次のような事

態が起こり得ます̶

1.

エントリーが認知度の高い企業に

集中する

2.

セミナーの予約数が減少する(セミ

ナーや説明会が短期間に集中する)

3.

企業側のマンパワーが不足する(広

報活動のスピードや量への対応が増す)

4.

学生の理解度が低下する(業界・企

業研究のための時間が不足する)

そこで、これらを回避するために、活

動を禁止されてないインターネットに

よる広報、中でも「フェイスブック」に

注目する企業が増えています。

フェイスブックを

活用する前に

最初に、ぜひ考えていただきたい

のが、昨年の「採用実績」や「求める

人材像」、今後の「採用戦略」を踏ま

えて、本当にソーシャルメディアが必

要なのか、現状の解決策になるのか、

ということです。採用がうまくいっ

ていれば、あえて使う必要はないの

かもしれません。とはいっても経営

者や上司等からフェイスブックの活

用を検討したら?と言われることも

あるかと思います。そこでまず、フェ

イスブックとはどのようなものかを、

確認していきたいと思います。

フェイスブックでは、「ウォール」と

呼ばれる場所に書き込んだ情報を見

て、「いいね!」ボタンを押すと、「い

いね!」を押してくれた人の友達の

ウォールに書き込まれ、情報が広がっ

ていきます。例えば、同じ大学、学

部、ゼミの友達で広がっていく。同

じ志望業界、職種の就活生で広がっ

CHOセミナー誌上レポート

採用ルール変更の影響と

フェイスブック活用のポイント

株式会社キャリアマート

コンサルタント 米田

卓也

2011年10月、パソナグループでは、企業の採用担当者と大学の就職支援担当職員の方々をお招きし、採用ルールの

変更に伴い注目されるソーシャルメディアの効果的な活用をテーマに、『SNS就活本格化!

2013年度の採用活

動・就職活動はどう変わるのか?』と題してセミナーを開催いたしました。

ここでは株式会社キャリアマートの米田卓也氏によるテーマセッション『Facebook

を活用した採用活動!

押さえ

ておくポイントについて』の内容をダイジェストでお届けします。

ていく̶

。つまり、発信した情報に

共感した人がその情報を広げ、さら

に共感した人が広げていく可能性が

高い。共通した価値観を持った人が

広がっていく、「類は友を呼ぶ」マーケ

ティングが特徴です。

フェイスブックを

利用する就活生の特徴

2011年10月現在、12年卒

で約4万8000人、13年卒で約

2万4000人の主に大学生がフェイ

スブックを利用しています。就職情報

サイトへの登録者数が約60万人であ

ることを考えると、全体の10%未満。

これをマーケティング理論から分析す

ると【図表1】【図表2】、フェイスブッ

クの学生利用率は、「アーリーアダプ

ター」の領域にあります。この層は、

「オピニオンリーダー」「インフルエン

サー」とも呼ばれ、流行に敏感で、自

ら情報収集を行い、新しい商品にベ

ネフィットがあればすぐに採用し、他

の消費者への影響力もあります。

また民間の調査では、フェイスブッ

クを利用している学生は、ソーシャル

メディア未使用の学生と比べて、主体

性、創造力、課題発見力、発信力など

の「社会人基礎力」が高い傾向があ

り、さらに、海外留学経験者が多く、

留学先で知り合った友人と連絡を取

るために使用しているという結果が

出ています。

フェイスブックで

できること

以上のような特徴を持つフェイス

ブックを採用活動に活用しようと考

える企業からは次の6点のいずれか

について検討している場合が多いか

と思います̶

①母集団形成の強化

②優秀な人材の採用

③早期化対策

④動機形成

⑤内定者フォロー

⑥コストの低減

②の「優秀な人材の採用」から

⑥の「コストの低減」までについて

は、ある程度は実現できると思いま

す。企業理解を促進し、適材の絞り

込みを行い、辞退防止につなげる。

2012年卒においては、内定者フォ

ローにも盛んに利用されています。

また、「就職サイト」の代わりに「フェ

イスブック」を活用することで、コス

ト削減に成功している会社もありま

すが、やはり、ツイッターやユースト

リーム、スカイプなど、ネット上で活

用できるものはすべて活用できるく

らいのリテラシーをお持ちの企業で

ないと難しいです。

ただし、①の「母集団形成」に関し

ては、過大な期待は禁物です。とい

うのも、「就職サイト」と「ソーシャル

メディア」は、特性が異なるため、こ

れまでと同じ手法、つまり、大きな母

集団を形成して、学歴などのハード

情報でふるい落として、説明会に呼

ぶことを考えているのならば、「就職

サイト」のほうが優れています。フェ

イスブックは「数」を集めるものでな

く、発信した情報に対して「価値観」

の合った人を集めてくる「類友マーケ

ティング」です。つまり、企業も学生

も情報を提供し合って共感性を高め、

仲間を集めるという活動です。「一本

釣りのヘッドハンティング手法」と考

えると、わかりやすいのではないで

しょうか。

●Takuya Yoneda|大手就職情報会社で、約20年間人材採用と就職支援に従事。学生を育成しつつ採用を成功に導く母集団形成や、セミナー・選定フローの企画立案など採用手法の改善コンサルティングに定評がある。

図表1 就活生全体の中でのフェイスブック利用学生の位置づけ

時間の経過

採用者数

イノベーター

アーリーアダプター

アーリーマジョリティ

レイトマジョリティ

ラガード

2.5% 13.5% 34% 34% 16%

■イノベーター(革新的採用者)/冒険的で、最初にイノベーションを採用する■アーリーアダプター(初期採用者)/自ら情報を集め、判断を行う。多数採用者から尊敬を受ける■アーリーマジョリティ(初期多数採用者)/比較的慎重で、初期採用者に相談する等して追随的な採用行動を行う■レイトマジョリティ(後期多数採用者)/疑り深く、世の中の普及状況を見て模倣的に採用する■ラガード(採用遅滞者)/最も保守的・伝統的で、最後に採用する

出典:ロジャーズの採用者分布曲線「イノベーション普及学」

図表2 学生のインターネット利用方法

Q.パソコンでのインターネット利用方法は主に何ですか?(複数回答)

出典:2012年卒マイコミ大学生のライフスタイル調査① 2010年11月22日~12月5日

検索して調べ物をする

サイトの閲覧

動画を見る

ブログやSNSでの書き込みをする

チケットなどの予約手配

買い物をする

音楽などのダウンロード

ゲーム

チャット

その他

利用しない

85.1%81.4%

45.7%

35.3%29.2%

27.7%

19.5%

11.3%

6.8%2.2%1.2%

Page 10: HR VISION vol - パソナ · また、2011年春卒業の大学までの全年齢層の中で最悪の数字で 63%、就職も進学もし れています。なかった人は約9万人に上ると見ら

18HR VISION Vol.619 HR VISION Vol.6

震災後、リスク分散のための

海外進出が急務に

3月11日の震災以降、日本企業が

海外に進出する動きが加速していま

す。震災直後は「様子見」される企業

が多かったようですが、国内の被災対

応が概ね落ち着いた5月の連休明け

から、もともと海外に工場をオープン

予定だった企業が計画を早めたり、今

あるラインを増やしたり、あるいはリ

スク分散のために海外にもライン拠点

をつくる企業が続出しました。震災

の被害を大きく受けた地域は車のパー

ツや半導体メーカーの工場が多かったた

め、そうした業種の動きが早かったで

すね。在庫は6〜7月まであったとは

いえ、サプライチェーンの立て直し、

見直しが急務だったのだと思います。

従来から多くの企業が進出してい

る中国に加えて、ベトナム、インドネ

シア、インドに拠点を設ける傾向が強

まっています。ご存じのように、タイ

では昨年、モンスーンの影響で大洪水

が起こりました。タイに震災後に進

出し、さらにまた被害に遭ってしまっ

た企業も少なくありません。最近の

タイは「アジアの拠点」と位置付けら

れ、大きな工場を有している企業が多

く、生産量も大きかったのですが、タ

イは5年に一度は洪水があります。リ

スクをバランス良く分散することの必

要性を改めて痛感させられました。

中国以外のアジアも

「工場」から「マーケット」へ

こうしたなかで現在、特に注目され

ているのはインドネシアです。海に囲

まれた国という、貿易・物流上の好条

件を備えているのに加え、親日的なお

国柄であることも日系企業にプラスの

条件。「どの国がどの国を好きか」と

いうBBCの調査でも、「インドネシア

↓日本」の数値は非常に高く、例え

ば2007年のデータではインドネシア

から日本への評価は84%と、ダントツ一

位の好評価です【図表1】。インドネ

シア国内では、日本の商社が分譲する

立地の良い工場団地が次々と埋まって

います。

また、「世界の工場」だった中国が

「巨大マーケット」に変貌したように、

中国以外のアジアも、製造拠点である

と同時にマーケットになりつつありま

す。例えばインドネシアはひとり当た

りのGDPが毎年上がっていて、現在、

一日に2万台以上のバイクが売れてい

ます。世界的には平均年収が3000

ドルになると車が売れ始めると言わ

れていますが、昨年、インドネシアは

3000ドルを超えました。それを見

越して、車の部品など周辺産業が進出

しています。製造業以外でも、飲食業

やゲーム関係といったサービス業、エン

ターテインメント業が積極的に進出し

ています。その際キーポイントとなる

のは「日本仕様」を押し付けず、ローカ

ライズさせること。そのためにも、海

外拠点で活躍してくれる人材の確保

が急がれているのです。

「予算ありき」から

「人ありき」の人材採用を

海外拠点の「立ち上げ」の段階では、

ともにプロジェクトを引っ張っていける

日本人や日本語ができる人材が必須

ですが、オペレーションが落ち着いてく

ると、ローカライズを促進するために

も、日本語でコミュニケーションができ、

英語もできる現地の人材が求められる

ようになります。すると当然のことな

がら、人材確保も海外企業との競争に

なります。その際、グローバルスタン

ダードの評価制度で優秀な人材をつな

ぎとめなければ、アグレッシブでフット

ワークの軽い外国人はすぐに他社へ移っ

てしまいます。重要なポジションには、

ある程度思い切った報酬を出したほう

が、結果的に高いパフォーマンスを出す

人材をキープできると思います。ここ2、

3年は、社内バランスによる「予算あり

き」ではなく、このポジションにはいく

らでも出す、といった「人ありき」の採

用に重きを置いている企業も増えてい

て、優秀人材の獲得とリテンションの

ためには、良い傾向だと思っています。

国ごとに異なる

人材ニーズと課題

パソナグループの拠点がある国・地

域で見ると、アメリカ、カナダ、シンガ

ポール、香港はすでに落ち着いたマー

ケットで、業務が安定化しているため、

主に求められるのは「スペシャリスト人

材」や給与計算などの「アウトソーシン

グサービス」です。それに対して、イン

ドやベトナムなどの新興国は、若い人

が多いため、きちんと管理のできる「マ

ネジメント人材」が求められています。

また中国を含め、新たな市場として

の成長が期待されるアジアの国では、

ビジネスマナー研修や日本式サービス

のトレーニングへのニーズも高く、中国

に赴任する日本人社員の方への「赴任

前研修」のご希望もあります。

パソナグループは昨年、韓国に新拠

点をオープンし、インドではグルガオ

ンに5つ目の拠点を、上海市浦東には

ペイロールセンターを立ち上げました。

また年明け早々にはインドネシアに新

拠点をオープンします。これにより、

日本企業のニーズにこれまで以上にお

応えできるよう、サービス体制を整え

ていきます。

特に韓国は、LGやサムソンなどの

財閥企業が積極的に海外進出してお

り、製品の部品の多くは日本製のため、

日本企業も一緒に進出しています。韓

国企業との折衝では、日本人よりも韓

国人のほうがスムーズなため、優秀な

韓国人人材へのニーズが高いのですが、

これまで韓国にはパソナのようなグロー

バル展開をしている人材エージェント

がありませんでした。今回ソウルに拠

点を設けたことで、より細やかな人材

ニーズにお応えしていけるものと思っ

ています。

GLOBAL HR REPORT

大震災後、製造ラインのリスク分散と新たなマーケット開拓のため、

海外進出を進める日本企業の動きが加速しています。

中国に次ぐ新たな進出先として注目されるのがインド、ベトナム、インドネシア等のアジアの新興国。

ここでは、パソナ グローバル事業部

事業部長・市川

知之に、アジアにおける人材獲得と

定着のための課題を聞きました。

アジアにおける人材獲得と

定着のための課題

株式会社パソナ

グローバル事業部

事業部長

市川

知之

●Tomoyuki Ichikawa|法政大学法学部卒業後、広告代理店勤務を経て、2001年よりニューヨークで新聞社に勤務。2003年よりPasona NA, Inc. Vice Presidentとして全米の営業を統括。2009年4月に帰国し、現職。

株式会社パソナ

グローバル事業部

www.pasona-global.com

/

主に肯定的

主に否定的

カナダ

アメリカ

チリ

ブラジル

アルゼンチン

メキシコ

イギリス

ギリシア

ロシア

ポルトガル

フランス

ドイツ

ポーランド

イタリア

ハンガリー

レバノン

トルコ

エジプト

ケニア

インドネシア

フィリピン

オーストラリア

インド

韓国

中国

平均

ナイジェリア

アラブ首長国連邦

74

14

66

15

69

13

64

18

44

17

27

26

63

19

59

15

56

15

55

19

55

31

54

25

52

28

58

19

55

27

37

16

31

58

18

63

54

20

(%)

70

8

56

12

74

8

51

17

65

16

84

9

33

15

47

9

52

6

図表1 日本を世界はどう見ているか 出典:BBC WORLD SERVICE 2007

北米 中南米 ヨーロッパ 中東 アフリカ アジア

Page 11: HR VISION vol - パソナ · また、2011年春卒業の大学までの全年齢層の中で最悪の数字で 63%、就職も進学もし れています。なかった人は約9万人に上ると見ら

20HR VISION Vol.621 HR VISION Vol.6

Q

中国で施行された「社会保

険法」の影響が懸念されて

います。具体的にはどのよ

うな内容なのですか?

2011年7月に施行された「中

華人民共和国社会保険法」は、中国

国内の社会保険制度の改革を目指し

た包括的な法律ですが、外国人にも

適用になります。9月には細かい規

定が盛り込まれた「暫定弁法」が公

布されました。

具体的な内容は、「養老保険(年

金)」、「医療保険(健康保険)」、「失業

保険(雇用保険)」、「住宅積立金(財

形)」、「工傷保険(労災保険)」、「生育

保険(出産・育児手当)」のいわゆる

「5険1金」となります。住宅積立

金に関しては除外されますが、それ

以外の「5険」は日本企業にも負担

が求められ、人的ランニングコスト

が上がることになります。

あるビジネス誌の試算では、会

社負担と個人負担を合わせて、ひ

とり当たり毎月7000元=約

8万7500円のコスト増になるそ

うです。しかも、現地採用の社員と

違って、15年以上中国に在住しない

駐在員の場合、年金は支払われませ

ん。アメリカやベルギーは在住年数

を「通算」で計算しますから、飛び飛

びに在住しても支払い対象になりま

すが、中国では対象になりません。

そのため日本と中国で保険の二重支

払いにならざるを得ず、「払い損」の

かたちになってしまうのです。

ただ、昨年10月に実施通達があっ

たものの、まだ具体的な進展があり

ません。地域によって負担税率が異

なる上、実施地域についてもまだはっ

きりとしたことはわかっていません。

とはいえ、近い将来実施されるのは

確実で、社会保険が加わることで給

与計算はさらに複雑化し、給与業務

を担当する方の負担増も心配されま

す。場合によっては給与水準の低い

地域に拠点を移転したり、中国から

撤退したりする企業も出てくるだろ

うと予測しています。今後、「アジア

の拠点」はタイやインドネシアに移っ

ていくことになるかもしれません。

Q

海外駐在員の給与管理には

どのような課題があります

か?

海外駐在員の給与は現地通貨で支

払われる「海外基本給」と円価で支払

われる「国内払い給与・賞与」・「海外

勤務手当」などの基本給があり、さら

に現地において「家賃」「車関係費」「子

女教育費」などの補助が支払われま

す。補助については現地に裁量を任せ

ているところもあり、本人が実際にい

くら受け取っているか本社が把握して

いない場合もあります。さらに、現地

で発生している社会保障税額・所得税

額を本社が統計だって管理していると

ころは非常に少なく、駐在員にかかる

税金を含めた実コストを把握せずに

海外へ人員を派遣しているというのが

実情です。中長期的な海外派遣の人

員計画には必要不可欠な情報と思わ

れますが、社内で対応するには作業が

煩雑で時間もかかります。海外拠点

との窓口を外部にアウトソースしてそ

ういった情報を収集するのもひとつの

手だと思います。

また、中国においては駐在員の給与

処理を現地社員にさせているケースも

多く、給与格差が露呈してストライキ

などへ発展する潜在的なリスクもか

かえています。駐在員の給与処理を

外部にアウトソースして社内に氾濫す

る駐在員の給与情報をできるだけオー

プンにしないというのは解決策になり

ます。日本人駐在員に担当させてい

るケースでは業務の削減や人員の削減

につながるというメリットもあります。

パソナグループでも上海に給与計

算や労務管理のアウトソースサービス

を提供する「ペイロールセンター」を

2011年11月に開設しましたので、

ぜひご相談いただければと思います。

Q

給与管理以外に、海外駐在

員派遣に必要となる準備、

留意点にはどういったもの

がありますか?

会社からのサポートはあるにしても、

海外駐在員には、海外生活を始める

ために発生する様々な細かい手続き

をこなせる事務能力、語学力などが

求められます。そして何より大切な

のは、気候や慣習の違いに柔軟に対

処できる異文化対応力かもしれませ

ん。例えばある企業では、インドへ

進出する前に、若い社員たちを現地

に数週間派遣して研修を行い、適性

を見てから、長期派遣する人材を決

定しています。ミスマッチが起こり

にくい、良い方法だと思います。ア

ジアの新興国への進出が拡大するに

つれ、現地でのOJTの必要性が今

後ますます高まっていくでしょう。

もちろん、日本国内で行う異文化

対応力を高める研修も有効です。一

例ですが、パソナでは、中国赴任が決

まった社員の方向けに「中国赴任前研

修」サービスをご提供しています。語

学特訓だけではなく、生活上の注意

点から現地社員のマネジメント、健

康管理方法まで、仕事と生活の両面

に配慮したプログラムです。

一方、現地法人にも準備が必要で、

優秀な外国人人材を獲得、定着させ

るためには、年功ではなく、職務と

能力によるグローバルスタンダードの

給与規定を整えることが急務です。

パソナでも、自社の待遇の水準が他

社と比較してどの程度なのかを知る

指標をご提供するべく、「日本人海外

勤務者給与サーベイアンケート」を実

施しています。場合によっては、各国

の事情を鑑みながら、海外給与規定

を見直していくことも必要となるで

しょう。

今後は、いい人材をクロスボーダー

で異動し、さらなるグローバル展開を

はかるケースも増えていくと思われ

ますので、評価と人事制度、管理業

務について、現地法人も巻き込んで

制度の整備を行い、グローバル人材も

ローカル人材も、安心・納得して働く

ことができる土台をしっかりと整え

ることが必要になってくるでしょう。

日本企業のグローバル展開が加速し、アジアでの拠点が拡大するなかで、

海外駐在員の給与・人事・労務管理の複雑化も進んでいます。

とりわけ昨年中国で施行された社会保険法では、

中国に進出している約3万の日系企業の大幅な負担増が懸念されています。

ここでは、パソナ

グローバル事業部

西本

浩に、中国社会保険法の内容や、

海外駐在員の給与・労務管理における課題について聞きました。

中国社会保険法と

駐在員給与の課題

Q&A|雇|用|と|労|働|の|法|律|

株式会社パソナ

グローバル事業部

HRサービスチーム

担当部長

西本

中国社会保険法の「5険1金」

年  金

健康保険

雇用保険

財  形

労災保険

出産・育児手当

養 老 保 険

医 療 保 険

失 業 保 険

住宅積立金

工 傷 保 険

生 育 保 険

日本の社会保険に例えると……

会社+個人保険

会社負担のみ

パソナのグローバルHRサービス

Consultingコンサルティングサービス

グローバル展開を行う企業が直面する人材課題に対し、人事戦略の策定と実行支援、現地マーケット情報の提供を行います。

Recruiting人材紹介

パソナグループ海外現地法人29拠点との連携により、スキルの高いバイリンガル・バイカルチュアル人材のご紹介を行います。

Outsourcingアウトソーシングサービス

加速するグローバルビジネスに対応するため、フルアウトソーシングや業務代行を組み合わせて、現地法人の経営を支援します。

Page 12: HR VISION vol - パソナ · また、2011年春卒業の大学までの全年齢層の中で最悪の数字で 63%、就職も進学もし れています。なかった人は約9万人に上ると見ら

22HR VISION Vol.623 HR VISION Vol.6

パソナ

チャレン

ジファー

ム1期生

として北

海道から

淡路島に

移り住

み、バジル栽培に取り組んでいる青木朋

博さん。以前はアパレル会社で営業担

当として活躍していましたが、「細分化

された仕事の一部だけを受け持つのは、

何か物足りない」と思うようになり、生

産から加工、販売全般を手がけられる

〝農業ベンチャー〞に興味を持ち、チャレ

ンジファームに手を挙げました。

こだわりの農作物や美味しい加工品

を作りたいと考えていた時に、バジル商

品の多くは輸入品で熱処理されている

ため、フレッシュな風味を味わえる商品

が少ない点に着目。地元農家からハウ

ス2棟や加工施設を借り、昨年4月よ

り本格的に栽培を始めました。

現在は、4種類のバジルを栽培し、年

間約1トンを収穫。無農薬で栽培した

フレッシュバジルは、葉も肉厚で評判が

高く、食材にこだわるシェフらが島内外

から買い付けに来るそうです。

ています。

2011年12月、パソナグループは、

より多くの農業人材を育成し、それら

の人材を継続的にサポートする体制を

強化するため「株式会社パソナ農援隊」

を設立。現在、青木さんもその一員と

して活躍しています。このパソナ農援

隊の事業を通じて、青木さんのような

農業経営人材を輩出し、第1次産業と

第2次・第3次産業を融合させた〝第

6次産業化〞として推進し、農業振興

と地域活性化にも貢献してまいります。

下村さんは、研修を通じて次第に自分をど

うやってプロデュースするかを模索するよう

になり、「今の時代、ただ踊っているだけでは、

ダンスの世界ではやっていけない。淡路島に

滞在している間に、海外コンペで受賞できる

ような作品をつくり、多方面に自分を売り

込みたい」と意気込んでいます。また、メン

バーと企画したパフォーマンスを地元イベン

トで披露する等、地域活性化にも取り組ん

でいます。

「ここから村」への認知度も徐々に上がり、

現在ではイベント出演依頼が月に十数件単

位で入るまでになりました。2011年12

月には、映像・音楽・ダンスを織り交ぜた「こ

こから村」のオリジナルショー『O

NE ST

EP

の公演を行い、島内外から700名もの観

客が訪れました。

参加者のほとんどが農業未経験者で、地

元農家に畑に「うね」を作るところから教

わっています。野菜作りはもちろん、バイオ

燃料作りのためにヒマワリや菜の花を育て

たり、「農業の第6次産業化」について学び、

実際に地元で実現したい事業企画を練り、

専門家を前にプレゼンも行いました。16名

の被災者の若者たちは皆、それぞれの想い

を胸に、淡路島ファームから未来を切り開く

ため、その歩みを踏み出しています。

ジャンルに

捉われず、自

分の思想や概

念を表現する

「コンテンポ

ラリーダンス」

に取り組むの

が「ここから

村」1期生の下村唯さん。「芸術活動に専念

したい」と、2011年4月から「ここから

村」に参加しています。

大学の授業でコンテンポラリーダンスと出

会い、卒業後は、アルバイトをしながらダン

スの練習に励んだものの生活は苦しく、次

第にダンスに専念できない状況に。打開策

がなかなか見出せなかったある時、「ここから

村」を知ったと言います。

「農業経験はありませんでしたが、身体を

使って何かを生み出す点にダンスとの共通

点があります。『半農半芸』というコンセプ

トは、思い切りダンスに取り組む環境にふ

さわしいと思いました」

月曜から土曜まで開かれる専門家による

研修は、農業や芸術だけでなく、ビジネスも

加わり、経営や企画等多岐にわたります。

震災当時、

東京でコン

ピューター関

係の仕事を

していた高橋

翔太さん。単

身赴任中の

父と、仙台市

で暮らしていた妹は無事でしたが、実家に

いた祖父母、母、姉の4人全員を失ってしま

いました。

祖父と姉はまだ見つかっていませんが、震

災から半年後の8月に葬儀を行い、気持ち

に区切りをつけ、仕事探しを始めました。「故

郷で働くには漁業か農業が有利」と考え、

就農フェアに参加、そこで「東北復興・淡路

島ファーム」の存在を知りました。

震災前から農業に興味は持っていました

が、震災で「農業が東北復興のキーポイント

となる」という思いが強まり、参加を決意。

農業は初めてでしたが、「まずは1年間、学

ぶことに集中し、研修を充実したものにし

たい。そして将来、復興につながる仕事がで

きるようになりたい」と毎日畑で汗を流し

ています。

「商品を通じて、自然や食材に恵まれた淡路島の素晴らしさを知ってほしい」

「パフォーマンスを通じて淡路をもっと元気に

ジャンルにとらわれない表現で、世界を目指す!」

Social Activist Report

淡路島における若者の雇用創造と地域活性の取り組み“人をつくる・人をいかす”パソナグループ

パソナグループは現在、兵庫県淡路島において、若者たちを対象に農業を通じた「新しいキャリアのつくり方」と「新たな地域活性モデル」を提案しています̶。音楽家や芸術家には、あえてオフィスワークではなく、農業を通じて土や自然と触れ合うことで感性を磨き、得意とする芸術活動で地域活性化に取り組みながら芸術家としての自立を目指す『ここから村』。農業分野での独立を目指す人たちにチャレンジの場を提供する農業ベンチャー支援制度『パソナチャレンジファーム』。そして、被災地東北を農業で蘇らせたいという想いを持つ若者たちを支援する『東北復興・淡路島ファーム』。現在、これらの取り組みに全国から200名もの若者が集まり、それぞれの夢・目標を実現すべく、ひたむきにチャンレンジを続けています。ここではその中から、3名の若者をご紹介します。

無農薬で栽培しているフレッシュバジル

新商品のバジルバーニャカウダ

パフォーマンスを披露する「ここから村」メンバーと下村さん(手前中央)

仲間とともに農作業に励む高橋さん(左から2番目)

農業ベンチャー支援制度『パソナチャレンジファーム』

〝芸術〞と〝農業〞による若者の

人材育成事業『ここから村』

バジル加工品ブランド「バジルプリュ

ス」も立ち上げ、バジルペーストや、ド

レッシング、スープ等を商品化し、イン

ターネットで販売しています。売れ行き

は好調で、淡路島内のみならず東京や

京阪神へも出荷するまでになりました。

最近、温めて野菜スティックのディッ

プにする「バジルバーニャカウダ」を新

商品として発売した青木さん。「今後も、

豊かな食材とユニークなソフトを活用

し、淡路島をアジアの〝aw

ajishima

〞に

発展させたい」と、さらなる商品開発

への意欲と淡路島への熱い想いを抱い

農業分野での独立を目指す人たちに〝チャレンジ〞の場を提供する農業ベンチャー支援制度として2008年よりスタート。

参加者は3年間農業に従事しながら、栽培技術だけでなく農業経営や地域活性について学ぶ。

アートを農業や地域産業と結び付けることで、地域活性化とアーティストの自立を促す。

若者の多様な価値観に合わせた働き方や就労を支援する事業として、2011年4月より開始。

ここから村

1期生 

下村

唯さん

パソナチャレンジファームin淡路

1期生 

青木

朋博さん

www.pasonagroup.co.jp/cococala

www.pasonagroup.co.jp/news/ company/2011/p11092802.html

www.pasonagroup.co.jp/ pasona_o2/

「〝ふんばろう、東北!〞東北復興の要となる〝農業〞で、

故郷の復興を支えたい」

被災地域の産業復興を担う人材の育成

『東北復興・淡路島ファーム』

農業を通じて被災地域の産業復興を担う人材を育成する。東日本大震災の被災者が、1年間、

新規就農に必要となる農業知識・技術や、社会人として必要なビジネス基礎知識を習得する。

東北復興・淡路島ファーム

2期生 

高橋

翔太さん