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J2S2-0311-01Z2(A) PRIMECLUSTER™ Global File Services 説明書 4.2 (Solaris™ 10 オペレーティングシステム版) 2006 年 12 月版

PRIMECLUSTER Global File Services 説明書 4software.fujitsu.com/jp/manual/manualfiles/M060091/J2S...Sun プラットフォーム Solaris 10 OS Sun プラットフォーム Solaris

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  • J2S2-0311-01Z2(A)

    PRIMECLUSTER™

    Global File Services

    説明書 4.2

    (Solaris™ 10 オペレーティングシステム版)

    2006 年 12 月版

  • まえがき

    本書では、Global File Services の本体とオプション製品を総称して「GFS 製品」または単

    に「GFS」と呼びます。

    本書は、GFS 製品の機能と設定および運用の方法を、GFS 製品全体について一括して説明しま

    す。

    本書では、以下の環境で動作する GFS 製品について説明します。

    プラットフォーム

    (処理装置)

    Solaris(TM) オペレーティングシステムのバージョン

    PRIMEPOWER Solaris 10 OS

    Sun プラットフォーム Solaris 10 OS

    Sun プラットフォーム Solaris 9 OS

    ◆ 本書の読者 本書は GFS 共用ファイルシステムを使用する方々を対象にしています。

    本書を読むためには、UNIX および Solaris(TM) オペレーティングシステム (以降、Solaris

    OS) の一般的な知識が必要です。

    また、GFS 共用ファイルシステムは PRIMECLUSTER の機能を使用するので、PRIMECLUSTER シ

    ステムによるクラスタ制御の知識も必要です。

    そして、GFS 共用ファイルシステムは PRIMECLUSTER Global Disk Services の機能を使用す

    るので、PRIMECLUSTER Global Disk Services の提供する共用ボリュームの知識も必要です。

    ◆ 本書の構成 本書は以下のように構成されています。

    第1章 ファイルシステムの機能

    GFS 共用ファイルシステムの機能と特徴について説明します。

    第2章 ファイルシステムの構造

    GFS 共用ファイルシステムの構造について説明します。

    第3章 ダウンリカバリ

    GFS 共用ファイルシステムのダウンリカバリ機能について説明します。

    第4章 ファイルシステム設計

    GFS 共用ファイルシステムの運用設計のポイントを説明します。

    第5章 管理パーティション

    管理パーティションについて説明します。

    第6章 運用管理ビューの起動と終了

    GFS 運用管理ビューを使用するための運用形態と準備方法、および操作方法について説

    明します。

    第7章 運用管理ビューの画面要素

    GFS 運用管理ビューの画面要素について説明します。

    i

  • 第8章 管理パーティションの操作 (GUI編)

    GFS 運用管理ビューによる管理パーティションの操作方法について説明します。

    第9章 管理パーティションの操作 (コマンド編)

    コマンドによる管理パーティションの操作方法について説明します。

    第10章 ファイルシステムの操作 (GUI編)

    GFS 運用管理ビューによるファイルシステムの操作方法について説明します。

    第11章 ファイルシステムの操作 (コマンド編)

    コマンドによる GFS 共用ファイルシステムの操作方法について説明します。

    第12章 ファイルシステムの運用

    GFS 共用ファイルシステムを管理するための作業手順を基本的なコマンドをもとに説

    明します。

    第13章 ファイルシステムのバックアップとリストア

    GFS 共用ファイルシステムのバックアップとリストアについて説明します。

    第14章 チューニング

    種々のユーティリティを利用して GFS 共用ファイルシステムを最適化し、効率的に使

    用する方法について説明します。

    第15章 GFS 共用ファイルシステムへの移行

    導入済みシステムから移行する場合の方法について説明します。

    付録A メッセージ一覧

    GFS 共用ファイルシステムのエラーメッセージについて説明します。

    付録B リファレンスマニュアル

    GFS 共用ファイルシステムに関連するリファレンスマニュアルです。

    付録C トラブルシューティング

    メッセージで緊急対処が必要なものについて記載します。

    付録D バージョンごとの非互換

    GFS 共用ファイルシステムのバージョンごとの非互換について説明します。

    用語集

    GFS 共用ファイルシステムに関連する用語と定義のリストです。

    ◆ 関連マニュアル 以下のマニュアルには GFS 共用ファイルシステムに関する情報が記載されています。

    ● PRIMECLUSTER コンセプトガイド (Solaris(TM) オペレーティング環境版/Linux版)

    ● PRIMECLUSTER 導入運用手引書 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)

    ● PRIMECLUSTER Web-Based Admin View 操作手引書

    ● PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書 (Solaris(TM) オペレーティングシス

    テム版)

    ● PRIMECLUSTER RMS 導入運用手引書 (Solaris(TM) オペレーティング環境版/Linux版)

    ● PRIMECLUSTER RMS 導入運用手引書(トラブルシューティング編) (Solaris(TM) オペレー

    ティング環境版/Linux版)

    ● PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 (Solaris(TM) オペレーティングシステム

    版)

    ● PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 (伝送路二重化機能編) (Solaris (TM) オペ

    レーティングシステム版)

    ● PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 (マルチパス機能編) (Solaris(TM) オペレ

    ーティングシステム版)

    ● PRIMECLUSTER RC2000 ユーザーズガイド

    ii

  • PRIMECLUSTER の関連ドキュメントには上記マニュアル以外に以下のドキュメントがあ

    ります。

    ― PRIMECLUSTER インストールガイド

    PRIMECLUSTER の各製品に添付されるインストールガイド (テキストデータ) です。

    データは各製品の“CD3”に格納されています。また、ファイル名については、各

    製品に添付される紙 (「製品のご案内」) を参照してください。

    参照する Solaris OS のマニュアル名称で "Solaris X" と書かれている部分は、Solaris(TM)

    9 オペレーティングシステム (以降、Solaris 9 OS)、または Solaris(TM) 10 オペレーティン

    グシステム (以降、Solaris 10 OS) と読み替えてマニュアルを参照してください。

    ◆ マニュアルの印刷について マニュアルの印刷をする場合には、PDF ファイルを利用してください。

    PDF ファイルの参照・印刷には、Adobe Acrobat Reader が必要です。Adobe Acrobat

    Reader v4.0 以降をお使いください。

    ◆ オンラインマニュアルについて オンラインマニュアルを参照するためには、クラスタ管理サーバでユーザ名を wvroot, clroot,

    cladmin, clmon のいずれかのユーザグループに登録してください。

    ユーザグループの登録の方法、ユーザグループの意味については、“PRIMECLUSTER

    Web-Based Admin View 操作手引書”を参照してください。

    ◆ 本書の表記について

    表記

    プロンプト

    実行にシステム管理者 (ルート) 権限が必要なコマンドラインの例の場合、先頭にシステム管

    理者プロンプトを示すハッシュ記号 (#) が付いています。システム管理者権限を必要としない

    コマンドラインの例の場合、先頭にパーセント (%) が付いています。

    マニュアルページのセクション番号

    UNIX オペレーティングシステムおよび PRIMECLUSTER のコマンドの後ろにマニュアルページ

    のセクション番号が括弧付きで示されています。―例: cp(1)

    iii

  • キーボード

    印字されない文字のキーストローク <Enter> や <F1> などのキーアイコンで表示されま

    す。たとえば、<Enter> は Enter というラベルの付いたキーを押すことを意味し、<Ctrl> +

    <B> は、Ctrl または Control というラベルの付いたキーを押しながら <B> キーを押すこ

    とを意味します。

    記号

    特に注意すべき事項の前には以下の記号が付いています。

    ● ポイントとなる内容について説明します。

    注意する項目について説明します。 ●

    ● 参考となる内容を説明します。

    ● 参照するマニュアル名などを説明します。

    略称

    ● Microsoft(R) Windows(R) 98 operating system および Microsoft(R) Windows(R) 98

    Second Edition operating system を Windows(R) 98 と略しています。

    ● Microsoft(R) Windows NT(R) Server operating System Version4.0 および Microsoft(R)

    Windows NT(R) Server workstation System Version4.0 を Windows NT(R) と略していま

    す。

    ● Microsoft(R) Windows(R) 2000 operating system を Windows(R) 2000 と略しています。

    ● Microsoft(R) Windows(R) Millennium Edition を Windows(R) Me と略しています。

    ● Microsoft(R) Windows(R) XP operating system を Windows(R) XP と略しています。

    ● Windows(R) 98, Windows NT(R), Windows(R) 2000, Windows(R) Me, Windows(R) XP を総

    称して Microsoft(R) Windows と表記しています。

    ● Solaris(TM) オペレーティングシステムを Solaris OS と略しています。

    ● Solaris(TM) 9 オペレーティングシステムを Solaris 9 OS と略しています。

    ● Solaris(TM) 10 オペレーティングシステムを Solaris 10 OS と略しています。

    2006年 12月

    ◆ 商標について ● UNIX は、米国およびその他の国におけるオープン・グループの登録商標です。

    ● Sun、Sun Microsystems、Sun ロゴ、Solaris およびすべての Solaris に関連する商標及

    びロゴは、米国およびその他の国におけるNFS、NFS Client は、米国 Sun Microsystems,

    Inc. の商標または 登録商標であり、同社のライセンスを受けて使用しています。

    ● NFS、NFS Client は、米国 Sun Microsystems, Inc. の商標です。

    ● Java およびすべての Java 関連の商標およびロゴは、米国およびその他の国における米

    国 Sun Microsystems, Inc. の商標または登録商標です。

    ● Netscape, Netscape Navigator は、米国 Netscape Communications Corporation 社の商

    標です。

    iv

  • ● Microsoft Internet Explorer は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の

    国における登録商標です。

    ● Microsoft, Windows, MS は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国にお

    ける登録商標です。

    ● PRIMECLUSTER は、富士通株式会社の商標です。

    ● その他各種製品名は、各社の製品名称、商標または登録商標です。

    Copyright (c) 1986-1997 Sun Microsystems Inc.

    Copyright (c) 1983-1989 Portions may be derived from Berkeley BSD system, licensed from

    the U. of CA.

    お願い

    ● 本書を無断でほかに転載しないようお願いします。

    ● 本書は予告なしに変更されることがあります。

    All Rights Reserved, Copyright (C) 富士通株式会社 2006

    All Rights Reserved, Copyright (C) Fujitsu Siemens Computers GmbH. 2006

    v

  • 目 次

    第 1章 ファイルシステムの機能 ........................................................... 1

    1.1 ファイルシステムの概要............................................................... 2

    1.1.1 ファイルシステムを利用する上での基本的なハード構成................................. 2

    1.1.2 PRIMEPOWER 800/900/1000/1500/2000/2500 でのファイルシステム共用.................... 3

    1.2 一貫性を維持した同時共用アクセス..................................................... 5

    1.3 高可用性............................................................................. 6

    1.3.1 ノードダウン時の運用継続性......................................................... 6

    1.3.2 高速ファイルシステムリカバリ....................................................... 6

    1.3.3 ディスクブロック故障時の領域再割当て............................................... 7

    1.4 性能................................................................................. 8

    1.4.1 データアクセス性能................................................................. 8

    1.4.2 連続ブロック割当て................................................................. 8

    1.4.3 マルチパーティション構成........................................................... 9

    1.4.4 独自のメタキャッシュ管理........................................................... 9

    1.5 拡張性.............................................................................. 10

    1.5.1 ファイルシステムの拡張............................................................ 10

    1.6 操作性.............................................................................. 11

    1.6.1 GUI............................................................................... 11

    1.7 ファイルシステムの上限値............................................................ 12

    1.8 注意事項............................................................................ 13

    1.8.1 PRIMECLUSTER の他のコンポーネントとの関係 ......................................... 13

    1.8.2 利用できない機能.................................................................. 13

    1.8.3 GFS 共用ファイルシステムが利用するサービスポート.................................. 15

    1.8.4 GDS の論理ボリュームを使う上での注意事項.......................................... 15

    1.8.5 システム時刻の変更に対する注意事項................................................ 16

    1.8.6 ループバック仮想ファイルシステムとして使用する場合の注意事項...................... 16

    1.8.7 ノード停止時の注意事項............................................................ 16

    1.8.8 ファイルロックによるシステム性能への影響.......................................... 17

    1.8.9 Solaris 10 OS で GFS を使用する場合の注意事項..................................... 17

    1.8.10 GFS 共用ファイルシステム上のファイルをオープンする場合の注意事項.................. 17

    1.8.11 GFS 共用ファイルシステム上のファイルに書き込む場合の注意事項...................... 17

    第 2 章 ファイルシステムの構造 .......................................................... 19

    2.1 ファイルシステムのディスク上の構造.................................................. 20

    2.1.1 スーパブロック.................................................................... 20

    2.1.2 パーティション構成情報............................................................ 21

    2.1.3 メタデータ領域.................................................................... 21

    2.1.4 アップデートログ領域.............................................................. 21

    2.1.5 ファイルデータ領域................................................................ 22

    vii

  • 2.1.6 パーティション構成................................................................ 22

    2.2 コンポーネント構成.................................................................. 24

    2.2.1 MDS (Meta Data Server)............................................................ 25

    2.2.2 AC (Access Client)................................................................ 25

    2.2.3 監視デーモン...................................................................... 25

    2.3 ファイルアクセスとトークン管理...................................................... 27

    第 3 章 ダウンリカバリ .................................................................. 29

    3.1 MDS ダウンリカバリ.................................................................. 30

    3.1.1 プライマリ MDS ダウン時の自動リカバリ............................................. 30

    3.1.2 セカンダリ MDS ダウン時の自動リカバリ............................................. 31

    3.1.3 プライマリ MDS だけで運用中かつ、プライマリ MDS ダウン時の自動リカバリ............ 31

    3.2 AC 縮退............................................................................. 33

    第 4 章 ファイルシステム設計 ............................................................ 35

    4.1 システム起動/終了時のファイルシステムのマウント/アンマウント契機.................... 36

    4.2 システム設計........................................................................ 37

    4.2.1 ファイルシステムオペレーションとシステム負荷の影響................................ 37

    4.2.2 ノードレイアウト.................................................................. 37

    4.2.3 ディスクレイアウト................................................................ 38

    4.2.4 LAN の選択........................................................................ 39

    4.2.5 将来の拡張に備えて................................................................ 39

    4.3 バックアップ設計.................................................................... 41

    第 5 章 管理パーティション .............................................................. 43

    5.1 管理パーティション.................................................................. 44

    5.2 管理パーティションに必要な資源...................................................... 46

    5.3 運用上の注意点...................................................................... 47

    第 6 章 運用管理ビューの起動と終了 ...................................................... 49

    6.1 Web-Based Admin View の起動......................................................... 50

    6.2 Web-Based Admin View のトップメニュー............................................... 51

    6.2.1 Web-Based Admin View 操作メニューの機能........................................... 51

    6.2.2 Web-Based Admin View ツールメニューの機能......................................... 51

    6.3 GFS 運用管理ビューの起動............................................................ 52

    6.4 GFS 運用管理ビューの終了............................................................ 54

    6.5 Web-Based Admin View の終了......................................................... 55

    第 7 章 運用管理ビューの画面要素 ........................................................ 57

    7.1 画面の構成.......................................................................... 58

    viii

  • 7.2 メニューの構成と機能................................................................ 61

    7.2.1 基本.............................................................................. 61

    7.2.2 操作.............................................................................. 62

    7.2.3 表示.............................................................................. 69

    7.2.4 ヘルプ............................................................................ 69

    7.3 アイコンの種類とオブジェクト状態.................................................... 70

    第 8 章 管理パーティションの操作 (GUI 編) ............................................... 73

    8.1 操作の流れ.......................................................................... 74

    8.1.1 管理パーティション作成............................................................ 74

    8.1.2 管理パーティションへの構成ノード情報追加.......................................... 74

    8.2 管理パーティション作成.............................................................. 76

    8.2.1 共用ディスク設定.................................................................. 76

    8.2.2 管理パーティションの作成、構成ノード情報の登録、および、sfcfrmd デーモンの起動.... 77

    8.3 管理パーティションへの構成ノード情報追加............................................ 82

    8.3.1 共用ディスク設定.................................................................. 82

    8.3.2 sfcfrmd デーモンの停止............................................................ 82

    8.3.3 管理パーティションへの構成ノード情報追加.......................................... 85

    8.3.4 sfcfrmd デーモンの起動............................................................ 88

    第 9 章 管理パーティションの操作 (コマンド編)............................................ 93

    9.1 操作の流れ.......................................................................... 94

    9.1.1 管理パーティションの作成.......................................................... 94

    9.1.2 管理パーティションへの構成ノード情報追加.......................................... 94

    9.1.3 管理パーティションからの構成ノード情報削除........................................ 95

    9.1.4 管理パーティションに登録されている sfcfrmd デーモンの起動方法の変更............... 96

    9.1.5 管理パーティション情報のバックアップ.............................................. 96

    9.1.6 管理パーティション情報のリストア.................................................. 97

    9.2 管理パーティションの作成............................................................ 98

    9.2.1 共用ディスク設定.................................................................. 98

    9.2.2 管理パーティションの初期化........................................................ 98

    9.2.3 管理パーティションへの構成ノード情報登録.......................................... 99

    9.2.4 sfcfrmd デーモンの起動........................................................... 100

    9.3 管理パーティションへの構成ノード情報追加........................................... 101

    9.3.1 共用ディスク設定................................................................. 101

    9.3.2 sfcfrmd デーモンの停止........................................................... 101

    9.3.3 管理パーティションへの構成ノード情報追加......................................... 102

    9.3.4 sfcfrmd デーモンの起動........................................................... 102

    9.4 管理パーティションからの構成ノード情報削除......................................... 103

    9.4.1 sfcfrmd デーモンの停止........................................................... 103

    9.4.2 管理パーティションからの構成ノード情報削除....................................... 103

    9.4.3 sfcfrmd デーモンの起動........................................................... 103

    ix

  • 9.5 管理パーティションに登録されている sfcfrmd デーモンの起動方法の変更................ 104

    9.5.1 sfcfrmd デーモンの起動方法の選択................................................. 104

    9.5.2 sfcfrmd デーモンの停止........................................................... 105

    9.5.3 sfcfrmd デーモンの起動方法の変更................................................. 105

    9.5.4 sfcfrmd デーモンの起動........................................................... 105

    9.6 管理パーティション情報のバックアップ............................................... 107

    9.6.1 管理パーティション情報のバックアップ............................................. 107

    9.7 管理パーティション情報のリストア................................................... 108

    9.7.1 管理パーティションの再初期化..................................................... 108

    9.7.2 管理パーティションへの構成ノード情報再登録....................................... 108

    9.7.3 管理パーティションへの sfcfrmd デーモンの起動方法の再設定........................ 108

    9.7.4 sfcfrmd デーモンの起動........................................................... 109

    9.7.5 管理パーティション情報のリストア................................................. 109

    第 10 章 ファイルシステムの操作 (GUI 編) ................................................ 111

    10.1 操作の流れ......................................................................... 112

    10.1.1 作成............................................................................. 112

    10.1.2 変更 (ファイルシステム属性変更).................................................. 112

    10.1.3 変更 (パーティション追加)........................................................ 113

    10.1.4 変更 (共用ノード情報変更)........................................................ 114

    10.1.5 削除............................................................................. 115

    10.2 作成............................................................................... 117

    10.2.1 ファイルシステム作成............................................................. 117

    10.3 変更............................................................................... 126

    10.3.1 ファイルシステム属性変更......................................................... 126

    10.3.2 ファイルシステム構成変更 (パーティション追加).................................... 128

    10.3.3 共用ノード情報変更............................................................... 131

    10.4 削除............................................................................... 134

    10.4.1 ファイルシステムの削除........................................................... 134

    第 11 章 ファイルシステムの操作 (コマンド編) ............................................ 137

    11.1 操作の流れ......................................................................... 138

    11.1.1 作成............................................................................. 138

    11.1.2 変更 (ファイルシステム属性変更).................................................. 138

    11.1.3 変更 (パーティション追加)........................................................ 139

    11.1.4 変更 (共用ノード情報変更)........................................................ 140

    11.1.5 変更 (ファイルシステム再作成).................................................... 141

    11.1.6 変更 (MDS 運用情報変更).......................................................... 142

    11.1.7 削除............................................................................. 143

    11.2 作成............................................................................... 144

    11.2.1 共用ディスク設定................................................................. 144

    11.2.2 ファイルシステム作成............................................................. 144

    x

  • 11.2.3 vfstab の設定 .................................................................... 149

    11.2.4 マウント......................................................................... 150

    11.2.5 ファイルシステム状態確認......................................................... 152

    11.2.6 作成済みのファイルシステムのパーティションを使用する場合の注意................... 153

    11.3 変更 (ファイルシステム属性変更).................................................... 154

    11.3.1 アンマウント..................................................................... 154

    11.3.2 ファイルシステム属性変更......................................................... 155

    11.3.3 マウント......................................................................... 156

    11.4 変更 (パーティション追加).......................................................... 157

    11.4.1 アンマウント..................................................................... 157

    11.4.2 共用ディスク設定................................................................. 157

    11.4.3 パーティション追加............................................................... 158

    11.4.4 マウント......................................................................... 159

    11.5 変更 (共用ノード情報変更).......................................................... 160

    11.5.1 アンマウント..................................................................... 160

    11.5.2 共用ディスク設定 (追加時)........................................................ 160

    11.5.3 共用ノード情報の変更............................................................. 161

    11.5.4 vfstab の設定.................................................................... 163

    11.5.5 マウント......................................................................... 163

    11.6 変更 (ファイルシステム再作成)...................................................... 164

    11.6.1 アンマウント..................................................................... 164

    11.6.2 ファイルシステム再作成........................................................... 164

    11.6.3 マウント......................................................................... 165

    11.7 変更 (MDS 運用情報変更)............................................................ 166

    11.7.1 アンマウント..................................................................... 166

    11.7.2 MDS 運用情報変更................................................................. 166

    11.7.3 マウント......................................................................... 167

    11.8 削除............................................................................... 168

    11.8.1 アンマウント..................................................................... 168

    11.8.2 vfstab からのエントリの削除...................................................... 168

    11.8.3 ファイルシステム削除............................................................. 168

    第 12 章 ファイルシステムの運用 ......................................................... 171

    12.1 ファイルシステム管理コマンド....................................................... 172

    12.2 ファイルシステムの整合性確認/修復................................................. 174

    12.2.1 fsck 異常終了時の対処方法について ................................................ 174

    12.3 ファイルシステムの拡張............................................................. 178

    12.4 ファイルシステム情報の表示......................................................... 179

    12.4.1 ファイルシステムの各種情報取得................................................... 179

    12.4.2 パーティション情報/ノード情報の表示............................................. 179

    12.4.3 ファイルシステム運用状態の表示................................................... 180

    12.5 GFS 共用ファイルシステムを利用するアプリケーションをクラスタアプリケーションとして

    設定する手順 ............................................................................. 182

    xi

  • 12.5.1 GFS 共用ファイルシステムを利用するアプリケーションをクラスタアプリケーションとし

    て設定するにあたって ................................................................... 182

    12.5.2 GFS 共用ファイルシステムを利用するアプリケーションをクラスタアプリケーションとし

    て設定する場合の注意事項 ............................................................... 182

    12.5.3 GFS 共用ファイルシステムを利用するアプリケーションをクラスタアプリケーションとし

    て設定する場合の設定フロー ............................................................. 183

    12.5.4 GFS 共用ファイルシステムを利用するアプリケーションをクラスタアプリケーションとし

    て設定する場合の設定手順 ............................................................... 184

    12.5.5 クラスタアプリケーションが利用する GFS 共用ファイルシステムにファイルデータパー

    ティションを追加する場合の設定フロー ................................................... 187

    12.5.6 クラスタアプリケーションが利用する GFS 共用ファイルシステムにファイルデータパー

    ティションを追加する場合の設定手順 ..................................................... 187

    12.6 GFS 共用ファイルシステムを利用している環境で GUI から CF を起動する手順............ 189

    第 13 章 ファイルシステムのバックアップとリストア........................................ 193

    13.1 バックアップ・リストアの種類....................................................... 194

    13.2 Solaris OS 標準コマンドによるバックアップ.......................................... 195

    13.2.1 ファイル単位のバックアップ....................................................... 195

    13.2.2 ファイルシステム単位のバックアップ............................................... 195

    13.3 Solaris OS 標準コマンドによるリストア.............................................. 198

    13.3.1 ファイル単位のリストア........................................................... 198

    13.3.2 ファイルシステム単位のリストア................................................... 198

    13.3.3 リストア後の設定方法............................................................. 199

    第 14 章 チューニング ................................................................... 203

    14.1 チューニングパラメタ............................................................... 204

    14.1.1 キャッシュ量..................................................................... 204

    14.1.2 通信タイムアウト時間............................................................. 204

    第 15 章 GFS 共用ファイルシステムへの移行 ............................................... 207

    15.1 既存ファイルの移行................................................................. 208

    付録 A メッセージ一覧 ................................................................. 211

    A.1 GFS 共用ファイルシステムの AC のメッセージ......................................... 212

    A.1.1 パニックメッセージ............................................................... 212

    A.1.2 警告メッセージ................................................................... 212

    A.1.3 情報メッセージ................................................................... 214

    A.2 GFS 共用ファイルシステムのデーモンメッセージ....................................... 216

    A.2.1 パニックメッセージ MDS (sfcfsmg デーモン)........................................ 216

    A.2.2 パニックメッセージ sfcprmd デーモン.............................................. 216

    A.2.3 エラーメッセージ sfcfrmd デーモン................................................ 217

    xii

  • A.2.4 エラーメッセージ MDS (sfcfsmg デーモン).......................................... 221

    A.2.5 エラーメッセージ sfcfsd デーモン................................................. 223

    A.2.6 エラーメッセージ sfcfs_mount コマンド............................................ 225

    A.2.7 エラーメッセージ sfcpncd デーモン ................................................ 228

    A.2.8 エラーメッセージ sfcprmd デーモン ................................................ 229

    A.2.9 警告メッセージ MDS (sfcfsmg デーモン)............................................ 230

    A.2.10 警告メッセージ sfcfsd デーモン................................................... 239

    A.2.11 警告メッセージ sfchnsd デーモン.................................................. 239

    A.2.12 情報メッセージ sfcfrmd デーモン.................................................. 239

    A.2.13 情報メッセージ MDS (sfcfsmg デーモン)............................................ 240

    A.2.14 情報メッセージ sfcprmd デーモン.................................................. 244

    A.2.15 情報メッセージ sfchnsd デーモン.................................................. 244

    A.3 GFS 共用ファイルシステムのスクリプトメッセージ..................................... 246

    A.3.1 sfcfsrm スクリプトのメッセージ................................................... 246

    A.4 ファイルシステム共通管理コマンドメッセージ......................................... 250

    A.4.1 df_sfcfs コマンドのメッセージ.................................................... 250

    A.4.2 fsck_sfcfs コマンドのメッセージ.................................................. 254

    A.4.3 fstyp_sfcfs コマンドのメッセージ................................................. 254

    A.4.4 mkfs_sfcfs コマンドのメッセージ.................................................. 256

    A.4.5 mount_sfcfs コマンドのメッセージ................................................. 270

    A.4.6 umount_sfcfs コマンドのメッセージ................................................ 276

    A.5 GFS 共用ファイルシステム独自管理コマンドメッセージ................................. 282

    A.5.1 sfcadd コマンドのメッセージ...................................................... 282

    A.5.2 sfcadm コマンド、sfcnode コマンドのメッセージ.................................... 290

    A.5.3 sfcfrmstart コマンドのメッセージ................................................. 301

    A.5.4 sfcfrmstop コマンドのメッセージ.................................................. 305

    A.5.5 sfcgetconf コマンドのメッセージ.................................................. 307

    A.5.6 sfcinfo コマンドのメッセージ..................................................... 311

    A.5.7 sfcmntgl コマンドのメッセージ.................................................... 314

    A.5.8 sfcsetup コマンドのメッセージ.................................................... 320

    A.5.9 sfcstat コマンドのメッセージ..................................................... 329

    A.5.10 sfcumntgl コマンドのメッセージ................................................... 331

    A.5.11 sfcrscinfo コマンドのメッセージ.................................................. 336

    A.6 GFS 運用管理ビューのメッセージ..................................................... 339

    A.6.1 エラーメッセージ................................................................. 339

    A.6.2 警告メッセージ................................................................... 340

    A.6.3 情報メッセージ................................................................... 342

    A.7 Web-Based Admin View のメッセージ.................................................. 346

    A.8 GFS が使用している機能についてのメッセージ......................................... 347

    A.9 インストール時のエラーメッセージ................................................... 348

    付録 B リファレンスマニュアル ......................................................... 349

    B.1 ファイルシステム共通管理コマンド................................................... 350

    xiii

  • B.1.1 df_sfcfs(1M) 使用状況および構成情報の表示........................................ 350

    B.1.2 fsck_sfcfs(1M) 整合性チェックと修復.............................................. 352

    B.1.3 fstyp_sfcfs(1M) ファイルシステムのタイプの決定................................... 355

    B.1.4 mkfs_sfcfs(1M) GFS 共用ファイルシステムの作成.................................... 356

    B.1.5 mount_sfcfs(1M) 自ノードへの GFS 共用ファイルシステムのマウント.................. 359

    B.1.6 umount_sfcfs(1M) 自ノードでの GFS 共用ファイルシステムのアンマウント............. 360

    B.2 GFS 共用ファイルシステム独自管理コマンド........................................... 362

    B.2.1 sfcadd(1M) ファイルシステムの拡張................................................ 362

    B.2.2 sfcadm(1M) パーティション情報の設定変更.......................................... 363

    B.2.3 sfcfrmstart(1M) 自ノードでの sfcfrmd デーモンの起動.............................. 367

    B.2.4 sfcfrmstop(1M) 自ノードでの sfcfrmd デーモンの停止............................... 368

    B.2.5 sfcgetconf(1M) 管理パーティションのバックアップ.................................. 368

    B.2.6 sfcinfo(1M) パーティション情報の表示............................................. 370

    B.2.7 sfcmntgl(1M) 全ノードでの GFS 共用ファイルシステムのマウント..................... 373

    B.2.8 sfcnode(1M) ノード構成情報の追加、削除、変更..................................... 374

    B.2.9 sfcrscinfo(1M) ファイルシステム情報の表示........................................ 376

    B.2.10 sfcsetup(1M) 管理パーティションの初期化、構成ノード情報の登録、削除、表示、管理パ

    ーティションパスの表示、および sfcfrmd デーモン起動方法の登録、表示 .................... 377

    B.2.11 sfcstat(1M) GFS 共用ファイルシステムの統計情報の報告............................. 379

    B.2.12 sfcumntgl(1M) 全ノードでの GFS 共用ファイルシステムのアンマウント................ 383

    付録 C トラブルシューティング ......................................................... 385

    C.1 メッセージの対処方法............................................................... 386

    C.2 トラブル調査情報の採取方法......................................................... 387

    C.2.1 クラッシュダンプの採取........................................................... 387

    C.2.2 デーモンのコアイメージの採取..................................................... 388

    C.3 代表的なトラブル対処方法........................................................... 389

    C.3.1 I/O エラー発生時の対処方法 ....................................................... 389

    C.3.2 媒体上に不整合が発生した場合の対処............................................... 390

    C.3.3 sfcfrmd デーモンが起動しない場合の対処........................................... 392

    付録 D バージョンごとの非互換 ......................................................... 395

    D.1 4.1A40 からの非互換項目............................................................ 396

    用語集 397

    索引 405

    xiv

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    本章では、GFS 共用ファイルシステムの機能と特徴について説明します。

    1

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    1.1 ファイルシステムの概要 GFS 共用ファイルシステムは、共用ディスク装置を接続した複数の Solaris OS から同時アク

    セス可能なファイルシステムです。(このようなファイルシステムを共用ファイルシステムと呼

    びます。UFS や GFS ローカルファイルシステムなど、1ノード内で使用するファイルシステムを

    ローカルファイルシステムと呼びます。)

    GFS 共用ファイルシステム は UFS や GFS ローカルファイルシステム と API 互換を持つ、

    高信頼および高性能なファイルシステムです。

    GFS 共用ファイルシステムでは、複数ノードからのファイルデータ更新に対して、一貫性/整

    合性を保ちます。これにより、複数ノード上で分散アプリケーションを実行する場合に、従来の

    API をそのまま使用して該当アプリケーションのデータの受渡しを実現できます。

    また、ノードがダウンしても他のノード上でのファイルオペレーションが継続できるため、フ

    ァイルシステムへの高可用性が求められる環境に特に適しています。

    GFS 共用ファイルシステムは、以下のシステム上で使用することができます。

    ● 64bit の Solaris 10 OS

    ● 64bit の Solaris 9 OS

    GFS 共用ファイルシステムの主な機能は以下のとおりです。

    ● 複数ノードからのファイル/ファイルシステムの同時共用アクセス

    ● 複数ノードからのファイルのデータ参照/更新での一貫性/整合性の維持

    ● 各ノードのファイルキャッシュを使用したファイルアクセスの実現

    ● ノードダウンが発生した場合に、ファイルシステムの整合性を保ったまま、他のノードで

    のファイルオペレーションの継続が可能

    ● ファイルシステムの高速回復機能

    ● ファイルへの領域の連続ブロック割当てによる入出力処理の高速化を実現

    ● マルチパーティションにより、入出力処理の負荷分散を実現

    ● マルチパーティションにより、ファイルシステムの再構築なしでファイルシステムの拡張

    が可能

    ● Web ブラウザを利用した GUI によるファイルシステム操作

    UFS ファイルシステムと同じく、利用できる主なアプリケーションインタフェースは以下のも

    のです。

    ● 64bitファイルシステムインタフェース

    GFS 共用ファイルシステムで利用できない機能については、本書の“1.8.2 利用できな

    い機能”を参照してください。

    1.1.1 ファイルシステムを利用する上での基本的なハード構成

    GFS 共用ファイルシステムを構築するには、以下の基本的なハード構成が必要です。

    ● ファイルシステムを共用するノード間で同時にアクセス可能な共用ディスク装置

    ● ノード間の生存監視用のクラスタインタコネクト用 NIC 1 本以上

    ● リモートコンソール接続装置

    ● GUI 表示用パソコン、または、ビットマップディスプレイ付き Solaris OS 搭載機

    ● 業務用 LAN 用 NIC

    2

  • 1.1 ファイルシステムの概要

    図 基本的なハード構成

    1.1.2 PRIMEPOWER 800/900/1000/1500/2000/2500 でのファイル

    システム共用

    PRIMEPOWER 800/900/1000/1500/2000/2500 では、1 筐体内を複数のパーティションに分割す

    ることで複数ノードとして動作させることが可能です。このような構成で、GFS 共用ファイルシ

    ステムを使用することで、ノード間でファイルシステムを共用することができます。

    ここでのパーティションは、システム内を論理的に区画化することで複数ノードとして分

    割されたノードのことを指しています。

    図 PRIMEPOWER 800/900/1000/1500/2000/2500 でのファイルシステム共用

    3

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    4

  • 1.2 一貫性を維持した同時共用アクセス

    1.2 一貫性を維持した同時共用アクセス GFS 共用ファイルシステムでは、共用ディスク装置上に存在するファイルシステムへの複数ノ

    ードからの同時参照/更新を実現します。GFS 共用ファイルシステムでは、ファイル、ファイル

    システムへの複数ノードからの更新に対して一貫性/整合性を維持しています。また、ノードを

    またがったファイルロック機能も従来の API で利用できます。

    このことにより、ファイルの参照/更新を行うアプリケーションが複数ノードに存在した場合

    に、相互のファイルデータ更新の排他や、最新データの読み出しなどが実現できます。これらは、

    ファイルロックなど、従来の UNIX ファイルシステム API を使用することで可能となります。

    図 ファイル連携アプリケーションの分散実行

    5

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    1.3 高可用性 GFS 共用ファイルシステムでは、ノードダウン、ディスクのブロック故障が発生した場合でも

    ファイルシステムのアクセス継続を可能としています。

    1.3.1 ノードダウン時の運用継続性

    複数のノードから1つの GFS 共用ファイルシステムを利用している場合に、1つのノードがノ

    ードダウンしても、他のノードからのファイルアクセスは継続できます。ダウンしたノードが保

    持していたファイルシステム情報は、残ったノード上の GFS 共用ファイルシステムの内部で自

    動的に整合性回復します。つまり、残ったノード上で動作しているアプリケーションプログラム

    には他ノードダウンの影響でファイルシステム操作がエラーとなることなく処理が継続できま

    す。

    運用継続機能の詳細については、本書の“第3章 ダウンリカバリ”を参照してください。

    図 ノードダウン時の運用継続性

    1.3.2 高速ファイルシステムリカバリ

    ノードダウンが発生した場合、通常のファイルシステムでは、fsck(1M) によるファイルシス

    テムの整合性回復処理を実行する必要があります。多くのファイルシステムでは、ファイルシス

    6

  • 1.3 高可用性

    テムの整合性回復の際に、ファイルシステムのメタデータ全体を調査する必要があります。また、

    ノードダウン発生時に、ファイルシステムを実際に利用できるまでに多くの時間を必要とするこ

    とがあります。

    GFS 共用ファイルシステムでは、アップデートログと呼ぶ領域に、ファイルシステムの構造を

    変更する操作 (ファイル作成/削除など) を記録します。この領域の情報を利用することによっ

    て、システム障害から、数秒~数十秒で回復することができます。

    システム障害から回復するとき、GFS 共用ファイルシステムの回復処理では、アップデートロ

    グを検索します。そして、システム障害時に行っていたファイルシステム操作を無効にするか、

    完了させるかを判定し、反映します。その後、ファイルシステム構造のフルチェックをすること

    なく、マウントして利用することが可能となります。

    “1.3.1 ノードダウン時の運用継続性”で述べたように、複数ノードで動作している GFS 共

    用ファイルシステムではノードダウン時に自動的に整合性回復処理が動作するので

    fsck_sfcfs(1M) の実行は必要ありません。

    fsck_sfcfs(1M) のフルチェックモードも提供しています。ディスクのハードウェア障

    害などでファイルシステム復旧する場合にフルチェックの fsck_sfcfs(1M) の実行が必

    要な場合があります。

    1.3.3 ディスクブロック故障時の領域再割当て

    GFS 共用ファイルシステムでは、新規に割り当てたメタデータ領域にディスクブロックのハー

    ドウェア障害が発生した場合に、別のディスクブロックを自動的に割り当てます。これにより、

    ディスク上の特定ブロックだけの故障の場合に、ファイルシステム処理を継続することができま

    す。

    本機能は、I/O エラーの発生したブロックの使用を一時的に抑止するだけで、同じブロ

    ックを使用する要求が出た場合に、再度 I/O エラーが発生してしまうことがあります。

    I/O エラーが発生する場合には、該当要求への応答時間が長くなるため、I/O エラーの原

    因を早く取り除くことが必要です。I/O エラーによるブロックの再割当てが発生した場合

    にはまず、ファイルシステムをバックアップします。そして、ディスク交換などによりハ

    ードウェアの不良原因を取り除き、バックアップしたデータをリストアすることでファイ

    ルシステムの復旧を実施してください。

    7

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    1.4 性能 GFS 共用ファイルシステムでは、以下に説明する機能によりファイルシステムアクセスを高速

    化しています。

    1.4.1 データアクセス性能

    GFS 共用ファイルシステムでは、共用ディスク装置上のファイルシステムを複数のノードから

    アクセスすることが可能です。従来の分散ファイルシステムでは、サーバからクライアントへフ

    ァイルデータをネットワークによって転送していました。しかし、GFS 共用ファイルシステムで

    は、要求ノードから直接ディスクにアクセスします。これにより、ネットワーク負荷を軽減する

    だけでなく、読み出し/書き込み要求に対するレスポンス時間を NFS などに比べ短縮していま

    す。

    1.4.2 連続ブロック割当て

    GFS 共用ファイルシステムでは、ファイルデータに対して連続ブロックを割り当てることで、

    一括した I/O で処理できる機会を増やしファイルシステム性能を改善します。GFS 共用ファイ

    ルシステムでは、このような割付管理のために、領域をエクステントベースで管理しています。

    連続獲得可能な範囲については、ファイルオフセット、開始ブロック番号、使用ブロック数の組

    で、領域割当てを管理しています。

    また、ファイルサイズを拡張する場合にも、連続ブロックになるように考慮しています。

    たとえば、下の図では、100メガバイトのファイルシステムを作成した場合に、ディスク上の

    空ファイルデータ領域の状態により、表が示すような形で記憶/管理しています。先頭の 64メ

    ガバイトには、64メガバイトの連続領域、その後ろ 64メガバイト ~ 96メガバイトのオフセッ

    ト位置には 32メガバイトの連続領域、残りの 4メガバイト (96メガバイト ~ 100メガバイト)

    は 4メガバイトの連続領域です。

    図 連続ブロック割当て

    また、空ファイルデータ領域の管理もエクステントベースで行っています。これにより最適な

    空き領域を高速に割り当てることを実現しています。

    8

  • 1.4 性能

    1.4.3 マルチパーティション構成

    GFS 共用ファイルシステムでは、複数のパーティションを 1つのファイルシステムにまとめる

    機能を提供しています。

    GFS 共用ファイルシステムでは、パーティションを追加することによって、領域不足を容易に

    解消することができます。

    また、GFS 共用ファイルシステムでは、マルチパーティション構成の場合、ファイルごとに別々

    のパーティションからファイルデータ領域を使用するラウンドロビンアロケーション方式を採

    用しています。これにより、複数のディスクに I/O 負荷を分散することができファイルシステ

    ム性能を改善します。

    1.4.4 独自のメタキャッシュ管理

    GFS 共用ファイルシステムでは、メタデータのキャッシュ管理を独自に構築しています。従来

    からある多くのファイルシステムではメタデータについては一様にキャッシュ管理していまし

    た。しかし、GFS 共用ファイルシステムでは、ディスク上の iノード、ディレクトリブロック、

    間接ブロックなどの領域を、アクセスの性質を考慮して、別々に管理しています。これにより、

    キャッシュヒット率の向上と、使用資源量の削減を実現しました。

    9

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    1.5 拡張性 GFS 共用ファイルシステムでは、空いているディスクパーティションを指定することで簡単に

    ファイルシステムを拡張することができます。これにより、ファイルシステムの空き領域不足が

    発生した場合に短時間で解決できます。

    1.5.1 ファイルシステムの拡張

    GFS 共用ファイルシステムでは、既存のファイルシステムにパーティションを追加する機能を

    提供しています。この機能を使用することでファイルシステムのバックアップおよび再作成とい

    ったわずらわしい作業をしなくても領域不足を解消できます。

    図 パーティション追加

    10

  • 1.6 操作性

    1.6 操作性

    1.6.1 GUI

    Web ブラウザを利用して、GFS 共用ファイルシステムに対する作成、削除、操作、変更、状態

    監視を GUI で行えます。

    11

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    1.7 ファイルシステムの上限値 以下の表に、GFS 共用ファイルシステムでのファイルシステム単位での上限値を示します。

    1つのクラスタシステム内で利用可能な GFS 共用ファイルシステムの最大値は 10 ファイル

    システムです。

    表 ファイルシステムの上限値

    項目 上限値

    最大ファイルシステム容量 1 テラバイト ‒ 1 キロバイト

    最大ファイルサイズ 1 テラバイト ‒ 8 キロバイト

    最大共用ノード数 2 ノード

    最大ディレクトリサイズ 2 ギガバイト ‒ 1 キロバイト

    最大構成パーティション数 32 個

    最大 iノード数 16 メガ個

    最大ディレクトリ数 1 メガ個

    最大オープンファイル数 5000 ファイル(※1)

    最大ファイルロック設定数 10 万個

    (※1) 1つのノード上で同時にオープンできるファイル数の最大値。

    1つのクラスタシステムで同時に使用する GFS 共用ファイルシステムの数は、で

    きるだけ少なくすることをお勧めします。多数の GFS 共用ファイルシステムを使

    用する必要がある場合は、ノードに十分な数の CPU を搭載し、事前にシステム検

    証を実施してください。

    12

  • 1.8 注意事項

    1.8 注意事項 GFS 共用ファイルシステムを利用していただく上での注意事項を示します。

    1.8.1 PRIMECLUSTERの他のコンポーネントとの関係

    GFS 共用ファイルシステムの sfcfrmd デーモンで CIP (Cluster Internet Provider) を利用

    するため、CIP が設定されている必要があります。

    CIP の設定の詳細については、“PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書

    (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)”を参照してください。

    GFS 共用ファイルシステムでは、GDS を利用します。

    注意事項については、“1.8.4 GDS の論理ボリュームを使う上での注意事項”を参照し

    てください。

    GDS の設定の詳細については、“PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書

    (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)”を参照してください。

    GFS 共用ファイルシステムは、同じクラスタ内にある他ノードと連携して動作し、各ノードが

    正常に動作しているかどうかを認識する必要があります。あるノードがダウンした場合には

    LEFTCLUSTER というノード状態になりますが、この状態のノードが存在する環境のままでは GFS

    共用ファイルシステムの運用状態を変更することができなくなります。ノードのダウンが発生し

    た場合に、GFS 共用ファイルシステムの運用を継続するためには、LEFTCLUSTER 状態を速やかに

    DOWN に自動的に遷移させるシャットダウン機構を設定してください。

    シャットダウン機構と非同期監視の設定手順、および機能の詳細は、以下のマニュアル

    を参照してください。

    ― “PRIMECLUSTER 導入運用手引書 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)”の

    “シャットダウン機構の設定”

    ― “PRIMECLUSTER コンセプトガイド (Solaris(TM) オペレーティング環境版/Linux

    版)”の“PRIMECLUSTER SF”

    ― “PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書 (Solaris(TM) オペレーティ

    ングシステム版)”の“シャットダウン機構(SF)”

    1.8.2 利用できない機能

    1.8.2.1 GFS 共用ファイルシステムで提供していない機能

    本書で説明している GFS 共用ファイルシステムは、以下の機能を提供していません。

    13

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    ● ルートファイルシステム、/usr, /var, /opt としての使用

    ● マウントポイントとしての使用

    ● Solaris 10 OS でのノングローバルゾーンでの利用

    ● quota 機能

    ● ACL 機能

    ● 非同期 I/O 機能

    ● NFS による他ノードとのファイル共有

    ● IPv6 の使用

    ● ディレクトリのハードリンク設定

    ● ダイレクト I/O 機能

    ● lockfs(1M)

    ● Solaris 9 OS で追加された、拡張ファイル属性の設定

    ● Solaris 9 OS で追加された、non-blocking 強制ロック指定のマウント

    ● Solaris 9 OS で追加された、fssnap(1M)

    ● 論理ブロックサイズ(8KB)を超える I/O サイズで write(2), writev(2), pwrite(2) によ

    り書き込みを行っているファイルに対して、他ノードから以下の操作を行った場合の書き

    込みのアトミック性

    ― write(2), writev(2), pwrite(2)

    ― truncate(3C), ftruncate(3C)

    ― creat(2), O_TRUNC 指定の open(2)

    ● MAP_SHARED かつ PROT_WRITE 指定で mmap(2) しているファイルに対する、 他ノードか

    らの open(2)

    ● open(2) しているファイルに対する、他ノードからの MAP_SHARED かつ PROT_WRITE指定

    の mmap(2)

    ● mmap(2) しているファイルに対する、他ノードからの書き込み可能な open(2)

    ● 書き込み可能な open(2) をしているファイルに対する、他ノードからの mmap(2)

    ● 推奨ロック設定のファイルに対してレコードロックを設定し、かつ当該ファイルを

    mmap(2) している状態での、当該ファイルの強制ロック設定への変更

    ● 強制ロック設定のファイルに対して mmap(2) が行われている場合は、fcntl(2) での

    F_UNLCK 要求は EAGAIN を返すが、リカバリ中の場合は正常終了する。

    ● 通常ファイル、ディレクトリ、シンボリック以外のファイルタイプを持つファイルの作成

    および利用

    ● ディレクトリに対する read(2)

    ● ONC 共有ロック [fcntl(2) における F_SHARE および F_UNSHARE]

    ● Solaris 10 OS で追加された、Dtrace 動的トレース機能による sfcfs モジュールの解析

    1.8.2.2 PRIMEPOWER の Solaris 9 OS で動作する GFS 共用ファイルシステムとの機能差

    本書で説明している GFS 共用ファイルシステムは、PRIMEPOWER の Solaris 9 OS で動作する

    GFS 共用ファイルシステムに特有な機能のうち、以下の機能を提供していません。

    ● AC-MDS 間の通信経路の複数設定 (複数 LAN 設定)

    ● アップデートログ領域の代表パーティションからの分離

    ● MDS プロセスダウン時の運用継続

    ● MDS 切戻し

    ● ファイルシステムへのメタデータパーティション追加

    ● マウント状態のファイルシステムへのファイルデータパーティション追加

    14

  • 1.8 注意事項

    ● マウント状態のファイルシステムへの共用ノード追加

    ● PRIMECLUSTER Global Disk Services Snapshot との連携による、高速バックアップ・リ

    ストア

    ● ファイル拡張属性

    PRIMEPOWER の Solaris 9 OS で動作する GFS 共用ファイルシステムについては、

    “PRIMECLUSTER Global File Services 説明書 (Solaris(TM) オペレーティング環境版)”

    を参照してください。

    1.8.3 GFS 共用ファイルシステムが利用するサービスポート

    GFS 共用ファイルシステムでは、9100 番から 9163 番、9200 番の TCP のサービスポートを

    予約しています。

    本ポート番号が他のアプリケーションと重複する場合には、/etc/services ファイルの

    sfcfs- で始まるエントリのポート番号を変更してください。なお、ポート番号を変更する場合、

    sfcfs- で始まるエントリのポート番号と、sfcfsrm のエントリのポート番号は、全ノードで同

    じになるよう設定してください。

    1.8.4 GDS の論理ボリュームを使う上での注意事項

    GDS とは、SAN (Storage Area Network) のディスク装置に格納された情報の可用性と運用管

    理性を向上させるボリューム管理ソフトウェアです。GDS の論理ボリュームは、不正アクセスに

    よるデータ破壊防止のため多様なアクセス制御が可能です。

    GDS の論理ボリュームを、GFS 共用ファイルシステムで使用する場合は、以下の設定にする必

    要があります。

    ● 論理ボリュームが属するディスククラスのタイプが共用である。

    ● 論理ボリュームが属するディスククラスのスコープに、GFS 共用ファイルシステムを共用

    する全ノードが指定されている。

    ● 論理ボリュームの属性ロックモードが、lock=off で自動起動されるボリュームである。

    ● 論理ボリュームの属性アクセスモードが、読み書き用である。

    GFS 共用ファイルシステムは、GDS 論理ボリュームが ACTIVE の状態だけで使用できます。GDS

    の論理ボリュームが STOP の状態の場合は、すべてのアクセスが禁止されます。

    ストライピング構成の GDS 論理ボリュームの上に GFS 共用ファイルシステムを作成

    する場合には、ストライプグループのストライプ幅を 256 ブロック以上に設定してくだ

    さい。

    GFS 共用ファイルシステムが作成されている GDS 論理ボリュームに対して、オンライ

    15

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    ンボリューム拡張を実施しないでください。オンラインボリューム拡張により GDS 論理

    ボリュームの容量が変わると、GFS 共用ファイルシステムのスーパブロック情報の複製お

    よびパーティション構成情報の複製が読み込めないため、GFS 共用ファイルシステムとし

    て使用できなくなります。

    GFS 共用ファイルシステムの容量を増やしたい場合は、未使用の論理ボリュームをパー

    ティション追加するか、または新規に論理ボリュームを作成し、パーティション追加を行

    ってください。

    GDS の論理ボリュームが属するディスククラスの操作については、“PRIMECLUSTER

    Global Disk Services 説明書 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)”“操作”“運

    用管理ビューでの操作”のクラス操作の説明を参照してください。

    GDS の論理ボリュームの操作については、“PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明

    書 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)”“操作”“運用管理ビューでの操作”の

    ボリューム操作の説明を参照してください。

    1.8.5 システム時刻の変更に対する注意事項

    GFS 共用ファイルシステム運用中には、以下の操作は行わないでください。

    ● date(1), rdate(1M) コマンドなどによるシステム時刻の変更

    システム時刻を date(1) コマンドなどで変更した場合、システム時刻が突然変更されること

    により、GFS 共用ファイルシステムの生存監視機構が正常に動作できず、ファイルシステムが閉

    塞することがあります。

    ファイルシステムが閉塞した場合には、そのファイルシステムをアンマウントした後に、再度

    マウントを行い、運用を再開してください。

    1.8.6 ループバック仮想ファイルシステムとして使用する場合の

    注意事項

    オートマウントなどにより、GFS 共用ファイルシステムをループバック仮想ファイルシステム

    (lofs) として使用する場合、ファイルシステムの停止処理に失敗し、ノードがパニックするこ

    とがあります。ループバック仮想ファイルシステムとして使用する場合、ファイルシステムを停

    止させる前に、関連するループバック仮想ファイルシステムのアンマウントを行ってください。

    1.8.7 ノード停止時の注意事項

    ノードを停止する場合は、shutdown(1M) を使用してください。

    ノードの停止操作に reboot(1M), halt(1M), poweroff(1M), uadmin(1M) を使用した場合、GFS

    が正常に動作しません。

    16

  • 1.8 注意事項

    1.8.8 ファイルロックによるシステム性能への影響

    GFS 共用ファイルシステム上で大量にファイルロックを設定すると、システム性能に、以下の

    ような影響を及ぼすことがあります。

    ● MDS の使用メモリ量の増加に伴い、メモリ負荷が増加します。

    ● ファイルロック処理により、CPU 負荷が増加します。

    ● ファイルロック待ちプロセスが大量に存在する場合に、以下の操作や事象が発生すると、

    一時的にネットワーク負荷が増加します。

    1) ファイルロックを解除する。または、 2) ファイルロック設定プロセスが存在するノードがダウンする。

    ● ファイルロックを大量に設定した状態でダウンリカバリが行なわれると、ファイルロック

    のリカバリに時間がかかり、リカバリが失敗する場合があります。

    1.8.9 Solaris 10 OS で GFS を使用する場合の注意事項

    Solaris 10 OS で GFS を使用する場合、GFS のインストール、コマンドの実行、および、GFS

    共用ファイルシステムの運用ができるのは、グローバルゾーンだけです。ノングローバルゾーン

    では、GFS のインストール、コマンドの実行、および、GFS 共用ファイルシステムの運用はでき

    ません。グローバルゾーンの /usr/sbin ディレクトリにインストールされた GFS のコマンドを、

    ノングローバルゾーンで実行すると、以下のエラーになります。

    cannot be executed in non-global zone

    ノングローバルゾーンで GFS のコマンドを実行すると、ゾーンの作成方法により、

    ld.so.1(1) のエラーメッセージが出力されることがあります。

    1.8.10 GFS 共用ファイルシステム上のファイルをオープンする場

    合の注意事項

    GFS 共用ファイルシステムでは、1つのノード上で同時にオープンできるファイル数に上限が

    あります。上限値は 1つのファイルシステムあたり 5000 ファイルです。この上限値を超えて

    GFS 共用ファイルシステム上のファイルに対して open(2) を実行した場合、open(2) は失敗し、

    エラー番号として ENFILE が返されます。

    1.8.11 GFS 共用ファイルシステム上のファイルに書き込む場合の

    注意事項

    GFS 共用ファイルシステムは、ファイルデータをエクステントベースで管理しています。1つ

    のファイルを構成するエクステントの数が多くなると、一部のエクステントは、Vデータ領域内

    17

  • 第1章 ファイルシステムの機能

    の間接ブロックで管理されます。

    一部のエクステントが既に間接ブロックで管理されている状態で、新たなエクステントの割り

    当て [write(2) による新規書き込みなど] が発生すると、間接ブロックの再構築が必要となり、

    一度に大量の Vデータ領域が消費される可能性があります。このため、Vデータ領域の使用量が

    80% を超えている場合は、エクステントの割り当てを伴うシステムコールは失敗し、エラー番号

    として ENOSPC が返されます。

    Vデータ領域の使用量を減らすためには、不要なファイルやディレクトリを削除するか、ファ

    イルやディレクトリを他のファイルシステムに移動してください。

    Vデータ領域の使用量を確認する方法は、df_sfcfs(1M) を参照してください。

    18

  • 第2章 ファイルシステムの構造

    本章では、GFS 共用ファイルシステムの構造について説明します。

    19

  • 第2章 ファイルシステムの構造

    2.1 ファイルシステムのディスク上の構造 この節では、GFS 共用ファイルシステムのディスク上の構造を説明します。

    GFS 共用ファイルシステムのディスク上の構造は、下図に示すとおり、以下の要素から構成さ

    れています。

    ● スーパブロック

    ● パーティション構成情報

    ● メタデータ領域 (領域管理情報、iノード領域、Vデータ領域)

    ● アップデートログ領域

    ● ファイルデータ領域

    図 GFS 共用ファイルシステムのディスク上の構造

    GFS 共用ファイルシステムでは、Vデータ領域は 1024 バイト単位、ファイルデータ領域は

    8192 バイト単位で管理しています。

    従来のファイルシステムでは、メタデータ管理域をディスク上に分散していました。しかし、

    GFS 共用ファイルシステムではメタデータを集中させることにより、メタデータへのアクセス性

    能を高めます。また、ファイルシステムのリカバリ時には、更新箇所が局所化されるため、アッ

    プデートログによるリカバリ時間の短縮効果があります。

    2.1.1 スーパブロック

    スーパブロックは、ファイルシステムタイプ、作成・更新の日付、ラベル情報、ファイルシス

    テムのサイズとレイアウト、空き領域情報の履歴を含んでいます。

    最後部のスーパブロックの複製は、スーパブロックを格納した領域でディスクデバイスのブロ

    ック故障が発生した場合も、処理を継続できるようにするために存在します。

    20

  • 2.1 ファイルシステムのディスク上の構造

    2.1.2 パーティション構成情報

    パーティション構成情報には、以下の情報が含まれています。

    ● あるファイルシステムがどのパーティションから構成されているかを示す情報 (GFS 共

    用ファイルシステムは、複数のパーティションから構成することが可能)

    ● パーティション内の領域の割付情報

    ファイルシステム構成を拡張する場合、そして共用デバイス情報を変更する場合はこの領域が

    変更されます。

    スーパブロックと同じく、ファイルシステムが動作するうえで、重要なパーティション構成情

    報は、パーティションの最後部に複製を持ち、ディスクデバイスのブロック故障に耐えられるよ

    うに工夫しています。

    2.1.3 メタデータ領域

    メタデータ領域は、メタデータを格納する領域です。以降でメタデータの3つについて説明し

    ます。

    2.1.3.1 領域管理情報

    領域管理情報は、iノード、Vデータ、ファイルデータの割付情報を格納しています。

    ファイルデータの割付情報はエクステントベースで管理しており、エクステント情報を格納す

    る部分と、連続の度合いごとに管理するリストとを組み合わせて管理しています。

    iノード、Vデータ、領域管理情報は、mkfs_sfcfs(1M) によるファイルシステム作成時に固定

    量を確保します。

    2.1.3.2 iノード領域

    iノード領域は、ファイルに関する情報を含むデータ構造です。それぞれの iノードは、ファ

    イルの種類、ファイルの長さ、ファイルの所有者とグループの ID、アクセス権、ファイルデー

    タを含むエクステント情報へのポインタなどを格納しています。ファイルごとに1つの iノード

    が存在します。

    2.1.3.3 Vデータ領域

    Vデータ領域は、ディレクトリブロック、シンボリックリンクのパス名、間接ブロックの領域

    をまとめて Vデータ領域と呼び、必要に応じて、ここから領域を獲得して使用します。Vデータ

    領域は 1024 バイト単位で管理しており、ディレクトリブロックに関して、効率的に利用できる

    ようになっています。

    2.1.4 アップデートログ領域

    アップデートログ領域は、ファイルシステム回復を高速に行うため、ファイルシステム構造へ

    の変更履歴情報を格納します。この領域は、循環ログとして使用します。

    アップデートログ領域には、以下に示す処理に関する情報が含まれます。

    21

  • 第2章 ファイルシステムの構造

    ● iノードの獲得、解放

    ● iノード情報の更新

    ● 1つの単位として扱われる連続ファイルシステムデータブロックのグループであるエクス

    テントの割付、解放

    ● Vデータの獲得、解放

    ● Vデータの更新

    GFS 共用ファイルシステムでは、ファイルシステム構造への更新に先立って、Vデータ領域に

    情報を書き出すことを保証しています。システムの障害が起きた場合には、ファイルシステムに

    対して未処理の変更は、fsck_sfcfs(1M) により、無効化するか、再実行するかのどちらかによ

    りファイルシステムの整合性を回復します。また、ダウンリカバリ時の回復処理を行います。ア

    ップデートログでは、ファイルシステム構造に対する変更だけを記録し、ファイルデータについ

    ては記録しません。

    2.1.5 ファイルデータ領域

    ファイルデータ領域は、ファイルデータを格納する領域です。ファイルデータ領域は、8192 バ

    イトを最小ブロックとし、ファイルの領域割付に対して連続的に割り当てるように管理していま

    す。

    2.1.6 パーティション構成

    GFS 共用ファイルシステムでは、1つのパーティションからなるシングルパーティション構成、

    または、複数のパーティションを1つのファイルシステムに割り当てるマルチパーティション構

    成をとることが可能です。

    メタデータ領域、およびアップデートログ領域は、1つのパーティションに集約して配置され

    ます。メタデータ領域が配置されたパーティションを代表パーティションと呼びます。

    シングルパーティション構成では、メタデータ領域、アップデートログ領域、ファイルデータ

    領域を 1つのパーティションにとります。

    図 シングルパーティション構成

    マルチパーティション構成では、ファイルデータ領域を複数のパーティションで持つことがで

    きます。 また、ファイルデータ領域をメタデータ領域から分離してファイルシステムを作成す

    ることができます。

    22

  • 2.1 ファイルシステムのディスク上の構造

    マルチパーティション構成のうち、代表的なパターンを以下に示します。

    1.ファイルデータ領域に新規パーティションを追加する (ファイルデータ領域追加)

    図 ファイルデータ領域追加

    2. ファイルデータ領域を代表パーティションから分離したパーティション構成

    図 ファイルデータ領域分離

    マルチパーティション構成では、すべてのパーティションに、スーパブロック、パーティショ

    ン構成情報を保持しています。

    23

  • 第2章 ファイルシステムの構造

    2.2 コンポーネント構成 下図に、GFS 共用ファイルシステムでのコンポーネント構成を示します。GFS 共用ファイルシ

    ステムは、大きく3つのコンポーネントからなっています。

    1. MDS (メタデータサーバ、sfcfsmg) GFS 共用ファイルシステムのファイルシステムサーバ機能部分

    2. AC (アクセスクライアント、カーネルコンポーネント) GFS 共用ファイルシステムのファイルシステムクライアント機能部分

    3. 監視デーモン(sfcfrmd、sfcprmd、sfcfsd、sfchnsd、sfcpncd) GFS 共用ファイルシステムの MDS、AC、構成コンポーネントの制御機能部分

    図 コンポーネント構成

    24

  • 2.2 コンポーネント構成

    2.2.1 MDS (Meta Data Server)

    MDS とは、GFS 共用ファイルシステムのメタデータを管理するサーバデーモンで、ユーザプロ

    セスとして動作します。ファイルシステムごとに、プライマリ MDS、セカンダリ MDS の2つのプ

    ロセスがあります。ファイルシステムを構成するノードの中から、あらかじめ2つ以上のノード

    が MDS ノードとして定義されており、MDS はこのいずれかのノード上で動作します。特に設定

    していない場合、MDS ノードは、プライマリ MDS ノードとセカンダリ MDS ノードの2つだけで

    す。

    セカンダリ MDS は待機用で、プライマリ MDS とは異なる�