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生化学Ⅲ 第11回
転写と翻訳のメカニズム-5
今回のSBOs
リボソームの構造と機能について説明できる
生化学Ⅲ SBO-16
リボソームの構造と機能について説明できる
Ribosome Structure and Function
SBO-16 課題(予習&復習)
リボソームの構造と機能に関連する基本的な用語の意味について確認し、ノートにまとめること。
開始因子、伸長因子、ペプチジルトランスフェ
ラーゼ、転移、遊離因子、リボソーム再生因子、
ポリリボソーム
SBO-16 小テスト-1
リボソームはRNAとタンパク質から構成された粒子で、mRNAの情報をもとにタンパク質を合成する機能をもつ。
Yes No
リボソームの働き
リボソームはmRNAの塩基配列をもとにタンパク質(ポリペプチド)を合成する装置で、全ての生物に存在する。
復習 タンパク質の合成
リボソームはmRNAのコドンを5‘→3’方向に読みとる。
復習
ポリペプチド鎖はN末端側からC末端側に向けて合成される(翻訳)。
翻訳開始コドンのAUGはメチオニン(Met)をコードする(開始コドン以外のAUGもMetをコードする)。
翻訳終止コドンはUAA、UAG、UGAの3種類。
リボソームの働き
リボソームはmRNAの塩基配列を5’末端から3’末端方向に読み取りながら、ペプチド鎖をアミノ末端側からカルボキシ末端側へ伸長する。
翻訳(translation)
真正細菌の翻訳に必要な因子1,mRNA2,リボソーム3,アミノアシルtRNA4,開始因子(IF-1, IF-2, IF-3)5,伸長因子(EF-Tu, EF-G)6,遊離因子(RF-1, RF-3, RRF)7,その他
原核生物の翻訳開始コドンとアミノアシルtRNA
5' 3'AUG
SD配列
UAAUAGUGA
fMet-tRNAfMet
(ホルミルメチオニン-tRNA)
UAC
fMet
mRNA
翻訳終止コドン
翻訳開始コドン
AUG
メチオニン-tRNA
UAC
Met
開始コドンにはホルミルメチオニン-tRNAが結合する。
開始コドン以外のAUGにはMet-tRNAが結合
リボソームの構造
E P A5’ 3’
A: aminoacyl-tRNAP: peptidyl-tRNAE: exit
リボソームに存在するtRNA結合部位は、Eサイト、Pサ
イト(ペプチジルサイト)、Aサイト(アミノアシルサイ
ト)である。
mRNA
30Sサブユニット
原核生物の翻訳開始機構-前段階
IF-3が70Sリボソームを50Sと30Sサブユニットに解離させる。
50Sサブユニット
IF-3開始因子initiation factor (IF)
30Sサブユニット
50Sサブユニット
解離
原核生物の翻訳開始機構-1
30SサブユニットのEサイトにIF-3が、AサイトにIF-1が結合する。
PE A
IF-3 IF-1
30Sサブユニット
原核生物の翻訳開始機構-2
GTP結合型IF-2がfMet-tRNAfMetを30SサブユニットのPサイトに運ぶ。
PE A
IF-3 IF-1
30Sサブユニット
UAC
fMetIF-2
GTP
原核生物の翻訳開始機構-3
mRNAのSD配列(シャイン・ダルガノ配列)と30Sサブユニット中のrRNA(16S rRNA)を介して、mRNAとリボソームが結合する(30S開始複合体)。
PE A
IF-3 IF-1
30S開始複合体
UAC
fMetIF-2
GTP
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
SD配列
16S rRNAの3’末端
SD配列と16S rRNAの結合 原核生物の翻訳開始機構-4
IF-3が解離し、50Sサブユニットが結合する。
30Sサブユニット
PE A
IF-1UAC
fMetIF-2
GTP
IF-3
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
50Sサブユニット
原核生物の翻訳開始機構-5
IF-2によるGTPの分解に伴い、IF-2・GDPとIF-1がリボソームから遊離し、70S開始複合体が完成する。
70S開始複合体
PE A
IF-1
UAC
fMet IF-2GDP
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
原核生物の翻訳伸長機構-1
EF-Tu2・GTP複合体がアミノアシルtRNAをAサイトに運ぶ。
PE A
UAC
fMetEF-Tu2
GTP
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
2
伸長因子(elongation factor)
70S複合体
原核生物の翻訳伸長機構-2
EF-Tu2がGTPを分解してGDP結合型になり、リボソームから遊離する。
PE A
UAC
fMetEF-Tu2
GDP
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
2
70S複合体
原核生物の翻訳伸長機構-3
ペプチジルトランスフェラーゼ活性によりペプチド結合が形成され、ペプチドがPサイトからAサイトに転移する。
PE A
UAC
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
70S複合体
原核生物の翻訳伸長機構-4
EF-G・GTPが結合する。
PE A
UAC
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
70S複合体
EF-GGTP
原核生物の翻訳伸長機構-5
EF-GによるGTPのGDPへの分解に伴い、ペプチジルtRNAがAサイトからPサイトに転移する。
PE A
UAC
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
70S複合体
EF-GGDP
原核生物の翻訳伸長機構-6
EF-G・GDPがリボソームから遊離し、tRNAがEサイトから出ていく。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
70S複合体
EF-GGDP
原核生物の翻訳終結機構-1
リボソームがストップコドンに到達する。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
fMet-2-3-4
70S複合体
lll
原核生物の翻訳終結機構-2
RF-1とGTP結合型RF-3がAサイトに結合する。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
fMet-2-3-4
70S複合体
lll
RF-3GTP
RF-1
遊離因子(release factor)
原核生物の翻訳終結機構-2
ペプチジルトランスフェラーゼ活性(加水分解)によりペプチドが解離する。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
fMet-2-3-4
70S複合体
lll
RF-3GTP
RF-1
加水分解
原核生物の翻訳終結機構-3
RF-3によるGTPの分解に伴って、RF-1とRF-3・GDPがリボソームから解離する。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
70S複合体
lll
RF-3GDP
RF-1
原核生物の翻訳終結機構-4
RRFとGTP結合型EF-GがAサイトに結合する。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
70S複合体
lll
EF-GGTP
RRF
リボソーム再生因子(ribosome recycling factor)
原核生物の翻訳終結機構-5
EF-GによるGTPの分解に伴いRRFがPサイトに転移し、tRNAがリボソームから遊離する。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
lll
70S複合体
lllEF-G
GDPRRF
原核生物の翻訳終結機構-6
EF-G・GDPがリボソームから遊離し、IF-3がEサイトに結合する。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
70S複合体
EF-GGDP
IF-3 RRF
原核生物の翻訳終結機構-7
70Sリボソームが解離し、RRFとmRNAもリボソームから遊離する。
PE A
5' 3'AUGmRNA lll lll lll UAA
30Sサブユニット IF-3
50Sサブユニット
RRF