ALCAChapter 02 CO2 を回収・利用する LITHIUM-SULFER BATTERY...

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2020

ALCA

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Change the game with technologies!

ALCA先端的低炭素化技術開発 成果集

5NO.

Change the game with technologies!

ALCA

01

JSTの取り組みはP.14へ

橋 本   和 仁   物質・材料研究機構 理事長

魚 崎   浩 平

物質・材料研究機構 フェロー担当技術領域 

次世代蓄電池

土 肥   義 治

東京工業大学 名誉教授担当技術領域 

ホワイトバイオテクノロジー

大 須 賀 篤 弘

京都大学 教授担当技術領域 

太陽電池および太陽エネルギー利用システム

谷 口   研 二

大阪大学 特任教授担当技術領域 

革新的省・創エネルギーシステム・デバイス

出 来   成 人

神戸大学 名誉教授担当技術領域 

自律分散型次世代スマートコミュニティ

原 田   幸 明

物質・材料研究機構 名誉研究員担当技術領域 

耐熱材料・鉄鋼リサイクル高性能材料

辰 巳     敬

製品評価技術基盤機構 理事長担当技術領域 

革新的省・創エネルギー化学プロセス

大 崎   博 之

東京大学 教授担当技術領域 

超伝導システム

近 藤   昭 彦

神戸大学 教授担当技術領域 

バイオテクノロジー

事業統括(PD)

運営総括(PO)

 地球温暖化問題の解決には大別して適応策と緩和策の二つのアプローチがあります。前者は、自然や社会の在り方を調整して温

暖化による影響を軽減しようというものです。一方、後者は温室効果ガスの排出自体を抑制しようというもので、科学技術の貢献

が大いに期待されます。

 緩和策としての技術オプションは様々な分野や技術が考えられますが、ALCAでは以下の技術領域と体制でゲームチェンジングテ

クノロジーによる低炭素社会実現を目指します。

Technology Areas

 ALCAでは、温室効果ガスの排出削減を目指した技術開発を通じて、環境・エネ

ルギー分野に関する目標に貢献していきます。

SDGs Sustainable Development Goals

 地球温暖化問題の原因である温室効果ガスの中でも最も大きな

割合を占める二酸化炭素の排出を抑制する「低炭素社会」を構

築することが、世界的な課題となっています。こうした国際動

向の中、日本国内も温室効果ガス排出の低減に向けた取り組み

が始まり、2010年、温室効果ガス排出の低減を目指した低炭素

技術開発に特化した研究プログラムとして先端的低炭素化技術

開発(Advanced Low Carbon Technology Research and

Development Program; ALCA)を発足しました。

ALCA Outline Management

 A L C A で は 事 業 統 括 ( プ ロ グ ラ ム デ ィ レ ク

タ ー ; P D ) がALCA運営全般を統括し、運営総括

(プログラムオフィサー;PO)が各技術領域の全

般的なマネジメントを行います。研究開発期間中

に、研究開発の継続/中止について厳格な評価が

行われます。このようなステージゲート評価によ

る選択と集中によって、2030年の社会実装に向け

た研究開発を推進します。

Change the game with technologies!

ALCA

INDEX

02

04尾崎 純一 群馬大学

カーボンで動く燃料電池

-低炭素社会への第一歩

クリーンな蓄エネルギー・創エネルギー技術である燃料電池は、高価な白金触媒の低減が課題の一つです。

燃 料電 池

06森 勇介 大阪大学

電力変換時に電流が漏れない

半導体GaN結晶を実現

電力変換を行う半導体素子であるパワーデバイスは、電力損失の低減により省エネルギー化に大きく貢献します。

パワーデバイス

08西嶋 茂宏 福井工業大学

酸化鉄スケールを給水配管から

除去する装置の開発

電気抵抗がほぼゼロになる超伝導の性質を利用し、エネルギー機器の電力損失を大きく低減します。

超 伝 導

11安藤 晃規 京都大学

土壌の硝化微生物群を再構築し、

人工的な土壌の創出を実現

デザインした微生物群を活用し、化学肥料から有機質肥料への転換と植物のCO2固定化能の最大化により大幅なCO2削減に貢献します。

微 生物

03渡邉 正義 横浜国立大学

イオン液体系電解質が可能にする

次世代リチウム硫黄電池

CO2排出削減に貢献する再生可能エネルギーや電気自動車の普及には蓄電技術が欠かせません。

蓄 電 池

05若宮 淳志 京都大学

環境にやさしい「どこでも電源」

鉛フリーペロブスカイト太陽電池の開発

次世代の高効率な太陽電池として、有害物質を含まないペロブスカイト太陽電池が期待されています。

太 陽電 池

07岩熊 成卓 九州大学

高効率・小型・軽量

全超伝導回転機の開発

電気抵抗がほぼゼロになる超伝導の性質を利用し、エネルギー機器の電力損失を大きく低減します。

超 伝 導

09乾 晴行 京都大学

ガスタービンの超高温化実現に向けて

-新規超耐熱材料の開発

発電や運輸の分野からCO2排出を削減するには、耐熱材料を用いたタービンを高温で効率よく運転する必要があります。

タービン材 料

10小山内 崇 明治大学

ラン藻の発酵で、

バイオプラスチック原料を生産

微生物の力でCO2を固定し有用物質に変換することで、CO2の循環を形成します。

微 生物

12園木 和典 弘前大学

木材主成分のリグニンからポリマー原料を

生産する微生物株を開発

微生物の力でバイオマスを有用物質に変換することで、固定されたCO2の活用を促進します。

微 生物

C h a p t e r01 CO2の排出を減らす

C h a p t e r02 CO2を回収・利用する

● 

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安価で資源制約が無く、さらに高性能な蓄電池の実現は、低炭素社会のためのキーテクノロ

ジーです。リチウム硫黄電池は、これらを満足する次世代蓄電池の有力候補であり、ALCA

特別重点技術領域「次世代蓄電池」(ALCA-SPRING)では、この開発に取り組んでいます。

イオン液体系電解質の利用により、負極に金属リチウム、あるいはシリコンやグラファイ

ト、正極に硫黄あるいは硫化リチウムが使用できるため、多様なリチウム硫黄電池の構築が

可能になりました。イオン液体系電解質の正極不溶性、特異なイオン輸送性や電極反応を利

用、さらに正負極のナノ構造の最適化によって充放電に伴う体積変化や絶縁性の問題を解決

し、革新的なリチウム硫黄電池の開発を進めています。

CH

A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

S

横浜国立大学大学院工学研究院 教授

渡邉 正義

1 電気炉で正極材料を焼成 2 正極(リチウムポリスルフィド)

  が不溶(左) 3 ラミネートセルの組立 4 充放電性能を評価

[右上から]ケッチェンブラック(KB)、硫黄(S8)、バインダーポリマー(正極材料)

[中央]イオン液体(電解質)

正極材料と電解質

イオン液体の不揮発性・難燃性・異常溶解性を利用し、硫黄正極の活性物質溶出の問題を解決

イオン液体

1

3

2

4

イオン液体系電解質が

可能にする

次世代リチウム硫黄電池

ALCA-SPRINGとNEDOのSOLiD-EV事業との連携活動の一環として、LIBTECが10Ah級電池を試作

リチウム硫黄電池

03

● 

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本研究開発では、高価な貴金属触媒である白金に肉薄する燃料電池用カーボンア

ロイ触媒を開発しました。カーボンアロイ触媒とは、構造・組成制御により触媒

機能をもたせたカーボン材料です。この触媒の作動原理解明を中心とする研究を

展開し、カーボン触媒の設計指針を得ました。この指針が、日清紡ホールディン

グス株式会社で商品化した世界初の燃料電池用非白金カソード触媒に対しても有

用であることを確認しました。今後、バックアップ用電源等の高出力密度定置用

燃料電池を狙い、家庭用さらには車載用へと用途展開を進めていきます。

CH

A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

S

群馬大学大学院理工学府 教授

尾崎 純一

カーボンで動く燃料電池

低炭素社会への第一歩

仕事関数評価装置

カーボンアロイ触媒の透過型電子顕微鏡像 ZO

OM

日清紡ホールディングス株式会社の研究員が群馬大学に

常駐し共同研究を実施。

昇温脱離装置

2000℃まで昇温可能炭素中の官能基を計測

04

カーボンアロイ触媒

電極性能を評価酸素還元性能評価装置

電気炉 触媒を焼成

● 

Pb

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EE

PE

RO

VS

KIT

E

独自の材料の高純度化技術と高品質半導体膜の作製技術開発により、鉛フ

リーペロブスカイト材料を用いた太陽電池の高性能化に成功しました。本

太陽電池は屋外だけでなく屋内環境でも高い発電効率を示し、フィルム基

板を用いることで軽量かつ薄く曲がる形状をもつ「どこでも電源」として

利用できます。各種IoTセンサーやウェアラブルデバイス用の電源として

のほか、車や災害時の非常用テント電源など幅広く利用することで、低炭

素社会および電力の不安のない社会の実現に貢献します。

CH

A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

S

京都大学化学研究所 教授

若宮 淳志

環境にやさしい

「どこでも電源」

鉛フリーペロブスカイト

太陽電池の開発

高速度カメラで撮影しながら独自のスピンコート成膜法を最適化

し、高品質なPbフリー半導体膜と太陽電池セルを作製

(右上から)フィルム基板を用いた曲がるSnペロブスカイトモジュール、セル、ガラス基板を用いたモジュール、高純度化材料

創立したベンチャーを介して

ALCAの成果をスケールアップし社会実装を目指す

05

光を照射しセルの性能を評価

開発したSnペロブスカイトモジュール、セルでLEDを点灯

結晶欠陥の大幅な低減および大口径化に成功。

作製したGaNウエハ

結晶育成装置

● 

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A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

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大阪大学大学院工学研究科 教授

森 勇介

GaNは電力変換用パワーデバイスとして期

待されていますが、結晶品質とサイズにお

いて十分ではなく、実用化できませんでし

た。本研究で、ポイントシードを用いたNa

フラックス法によりGaN結晶を育成したと

ころ、従来の問題を解決し、電力変換時に電

流が漏れない理想的な特性を示し、実用化で

求められる6インチ化を可能にしました。こ

のGaN結晶を基に様々なパワーデバイスが

実現しますが、その応用例として、電気自動

車などのモーター駆動に関係するもの、パワ

コンや変圧器などの電力インフラに関するも

の、マイクロ波加熱装置や通信機などのマイ

クロ波発生に関するものが挙げられ、それら

の装置の省エネ化や高効率化に大きく寄与し

ます。

結晶成長に伴い欠陥同士がぶつかると、欠陥そのものが消滅する現象を発見。

対消滅(ついしょうめつ)

企業が大学に常駐し共同研究を実施

パナソニック株式会社 大阪大学

ALCA開始当初(左)から、ウエハの透明度は劇的に向上(右)

ポイントシード

結晶欠陥低減と大口径化に貢献。ポイントシード上でGaN結晶を成長させると、結晶を綺麗に剥がすことができる。

電力変換時に

電流が漏れない

半導体GaN結晶を実現

06

研磨剤を滴下結晶表面研磨装置

本研究開発では、REBCO高温超伝導線材を用い

て、液体窒素温度で動作する高効率な全超伝導回

転機の実現を目指しています。すでに、REBCO

線材で構成する電機子巻線の低交流損失化に成功

し、これを格納するための真空断熱構造を有する

ケーシングの試作、および、同期モータ・発電機

としての試運転にも成功しました。この全超伝導

同期機では、超伝導化に伴う高効率化のみなら

ず、鉄を使用しないことによる回転機の小型・

軽量化を実現しうることを検証しました。全超伝

導回転機は、一般産業用のみならず、軽量化が必

須となる航空機の電気推進化にも適用できます。

CH

A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

S

九州大学大学院システム情報科学研究院

教授

岩熊 成卓

REBCO線材

● 

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高効率・小型・軽量

全超伝導回転機の

開発

ステータ

ロータ

07

4分割REBCO線材

REBCO全超伝導モータ

液体ヘリウムの冷熱を用いた冷却

REBCO全超伝導モータ(全体)

温調器

スケールアップ(実際の火力発電所でデモ)

開発した装置では超伝導磁石が発生する強い磁場を使って給水配管からスケール(水あか)を除

去します。給水量が大量でも、高温・高圧の環境でも、発生したスケール量が多くても性能を発

揮することができます。本装置をヒーターボイラーに設置し性能を確認しました。また火力発電

所給水配管の化学洗浄工程に適用できることを確認しました。火力発電所では給水配管に生じた

スケールによる性能低下を防ぐため一定期間ごとに化学洗浄を実施していますが、この洗浄工程

に適用したのです。さらに火力発電所給水配管に直接設置すれば、スケールの発生による性能の

低下を防ぐことができ、発電効率が低下しにくくなることで、二酸化炭素発生量の増大を防ぐこ

とができると期待されています。

フィルターの前後でサンプリング 、スケール 除去の効果を確認

上:フィルター入口側下:管内フィルター 排出水

磁石中心部にフィルターを設置

FILTER

捕捉後フィルター

スケールを補足

08

大学の実験用装置

超伝導磁石本体

発電所の給水がフィルターを通過

福井工業大学 工学部原子力技術応用工学科

教授

西嶋 茂宏

CH

A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

S

酸化鉄スケールを

給水配管から

除去する装置の開発

側面のレッジ-テラス構造は機械的性質(破壊靱性、高温強度)を向上

CH

A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

S

京都大学 大学院工学研究科 教授

乾 晴行

ガスタービンの超高温化

実現に向けて

新規超耐熱材料の開発

原子分解能走査透過電子顕微鏡を用いたラビリンス界面の構造解析

積層造形を想定し、ラビリンス単結晶合金表面のレーザー溶融凝固試験を実施。単結晶基板よりもはるかに微細なラビリンス組織の形成、単結晶基板の結晶方位の維持を確認。種結晶をもちいた単結晶構造体の作製とさらなる力学特性の向上が可能。

高融点、高温強度に優れた遷移金属シリ

サイドを組み合わせたBrittle/Brittle複

相材料という全く新規な概念のもと、

異相界面の原子構造、元素分配、界面元

素偏析の制御から、組織の熱安定性の向

上、高強度化、高靭性化を図ることによ

り、従来材よりはるかに優れた力学特性

を有するMoSi2基超耐熱高温材料を開発

しました。また、開発合金の部材作製法

として積層造形(3Dプリンター)法に着

目し、その実現に向けた粉体作製プロセ

スおよび積層造形プロセスの開発にも取

り組んでいます。従来材をはるかに上回

る耐用温度を有する開発合金を用いて火

力発電用ガスタービン燃焼温度の超高温

化による高効率化を実現することで、温

室効果ガス放出量削減に大いに寄与する

ことが期待できます。

● 

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2 -BA

SE

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アトマイズ装置

新規開発した超高融点材料用アトマイズ装置(右)でMoSi2合金インゴットを加熱溶解し噴霧、積層造形(3Dプリンター)法に用いるラビリンス合金粉末(→)を作製。

ラビリンス合金粉末

一 方 向 凝 固 により、2 つ の 相 からなる 単 結 晶 組 織

( ラ ビ リ ン ス 構造 )を形 成 。界 面の高機能化(熱安定性向上、高靱性化、高クリープ 強度化)を実現。

レッジ-テラス構造をとることで界面ミスフィットが部分的に緩和されること、巨視的には成長方向から傾いた界面が安定となることを解明。原子尺度での解析結果に基づいた界面構造設計を行い機械的性質(破壊靱性)向上を達成。

白とグレーの境界の拡大図

STEM像

09

本研究では、光合成をする細菌であるラン藻(シアノバク

テリア)を用いて、コハク酸や乳酸などの新しい生産法を

開発しました。コハク酸や乳酸は、バイオプラスチックの

原料となる物質です。研究グループは、ラン藻を発酵させ

ることで、コハク酸や乳酸が細胞外に放出されることを発

見しました。また、代謝酵素、転写制御因子、時計タンパ

ク質など、コハク酸や乳酸の生産量を増やす様々な遺伝子

を発見しました。これらの新しいバイオプラの生産法は、

石油を使わないプラスチック原料の生産へとつながること

が期待されるとともに、二酸化炭素を炭素資源とする新し

い化学産業の創出へとつながる可能性があります。

TAKASHI OSANAI

● 

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A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

S

明治大学農学部 准教授

小山内 崇

ラン藻の発酵で、

バイオプラスチック原料

を生産

ラン藻の培養

窒素分が不足し始めると緑色から黄色に変わり糖を蓄積し始める。

ラン藻の発酵による生成物(コハク酸や乳酸)の分析

副生物として植物では作れない青い色素フィコシアニンを精製(食品に利用可能)。

ユーグレナによる有用成 分 生 産にも着手

10

土壌では、有機物は微生物群の協調的な働きにより

分解され、植物が生育していますが、これまでは非

土壌環境下で有機物の無機養分化を再現することは

困難でした。まず、土壌微生物を接種源とした非土

壌環境下での無機養分化技術を確立し、現在は、わ

ずか3菌種で有機物の分解が可能な人工硝化微生物

群の構築を実現しています。また、人工的な土壌の

創出、作物の栽培にも成功しています。

今後、植物生育促進や病害抑制に関与する微生物な

どを硝化微生物群のデザインに活用し、化学肥料か

ら有機質肥料への転換、耕作不適地の改質、大規模

土壌創生などに応用し、低炭素社会構築に貢献しま

す。

● 

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A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

S

京都大学大学院農学研究科 助教

安藤 晃規

土壌の硝化微生物群を

再構築し、人工的な

土壌の創出を実現

構築した微生物群により有機態窒素の無機化(硝化)に成功、植物が生育。有機質肥料栽培では根にバイオフィルムが形成(左)。

デザインした微生物剤を用いた人工土壌(籾殻くん炭)でイチゴを栽培。

植物(コマツナ)はデザインした微生物剤(5種)のみを用いた人工土壌でも(右)、通常の土壌由来の多様な菌を用いたもの(左)と同等の生育を示す。

硝化微生物群を活用し、魚の飼育時のエサや糞の硝化と植物栽培による硝酸イオンの除去を実現するアクアポニックスの構築。

無機肥料栽培

養液栽培

有機質肥料栽培

籾殻くん炭を用いた場合

デザインした微生物剤

微生物群を固定化した人工土壌で植物(コマツナ)が生育

11

本研究では、木材など非可食バイオマスの主成分であるリグニンから、

ナイロンやポリエステルなど石油から作られている様々なポリマーの

原料となるムコン酸を効率よく生産できる微生物株を開発しました。リ

グニンの利用にはその不均一な構造が主な障壁でした。本研究で実証し

た微生物の代謝を利用して多様な構造を1種類の化合物へと収束すると

いうコンセプトは、脂肪族・芳香族化合物を生産する微生物反応へ応

用することができます。そして石油化学由来のポリマーを代替するバイ

オマス由来のポリマーや高機

能性ポリマーを、リグニンか

ら作り出すことが期待できま

す [本研究は長岡技術科学大

学・政井英司教授らの研究グ

ループと共同で実施したもの

です]。

分子育種した微生物株

精製したムコン酸

CH

A N G E T H E G A ME

WI T H T E C H N O L O G I E

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弘前大学 農学生命科学部 准教授

園木 和典

木材主成分のリグニンから

ポリマー原料を生産する

微生物株を開発

微生物を培養し、リグニン由来の不均一なフェノール類からムコン酸を生産

ミニジャーファーメンター

培養液中の代謝産物を分析

分析風景

木片

リグニン分解物(不均一なフェノール類)

● BIOLOGICAL FUNNELING FOR LIGNIN VALORIZATION

12

先端的低炭素化技術開発(ALCA)は、未来社会創造事業

『地球規模課題である低炭素社会の実現』

領域と一体的に推進しています。

 未来社会創造事業『地球規模課題である低炭素社会の実現』領域では、

これまでの先端的低炭素化技術開発(ALCA)において、

学術に根ざして行ってきた基礎基盤研究を活かした形で、

トップダウンによるマネジメント、スモールスタート、ステージゲート評価など

を踏襲し、将来の低炭素社会実現に資する革新的研究開発を推進します。

特に、低炭素社会実現に必要となる技術的課題であるボトルネック課題については、

政府が掲げる「エネルギー・環境イノベーション戦略」において特定された技術分野を

中心として、2050年度の温室効果ガス大幅削減に必要不可欠な技術開発を行います。

 また、社会実装に向けては必要に応じて他府省のプログラムと連携し、

成果の橋渡しを実施します。

これらの取り組みを通じて、2050年に想定されるサービス需要にCO2を

抜本的に削減する“ゲームチェンジングテクノロジー”を創出し、

社会実装につなげることで、低炭素社会の実現に貢献することを目指します。

13

領域概要及び採択課題は右記ホームページをご参照ください。 https://www.jst.go.jp/mirai/jp/program/lowcarbon/index.html

制作協力(敬称略)

横浜国立大学

 渡邉 正義

 芳賀 翔平

LIBTEC

 外部連携室

群馬大学

 尾崎 純一

京都大学

 若宮 淳志

 中村 智也

 岩崎 保子

 松重 優子

大阪大学

 森 勇介

 今西 正幸

九州大学

 岩熊 成卓

福井工業大学

 西嶋 茂宏

京都大学

 乾 晴行

 岸田 恭輔

明治大学

 小山内 崇

京都大学

 安藤 晃規

農業・食品産業技術総合研究機構

 篠原 信

弘前大学

 園木 和典

 応用微生物学研究分野の

 皆さん

 2015年9月の国連総会において「我々の世界を変

革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」

が全会一致で採択されました。「持続可能な開発目

標(Sustainable Development Goals: SDGs)

」の17の目標と169のターゲットは、わが国を含む

地球的・人類的課題を包摂して掲げた国際的な目標

です。SDGsは、我が国を含む地球的・人類的課題

を包摂して掲げた目標です。SDGsで掲げられている課題の達成は、国内的

には我が国の成長戦略の軸の1つである第5期科学技術基本計画に掲げる

「Society5.0」や「第四次産業革命」の実現にも密接に関係し、また国際的

には途上国をはじめとした国際社会への貢献への基本理念でもあります。

 国連では、SDGsの達成に向けて科学技術イノベーション(Science,

Technology and Innovation: STI)がどのように貢献できるかをテーマと

するフォーラムが2016年6月に初めて開催されました。SDGsの達成におい

て、科学技術イノベーションは、私たち人類が直面している持続可能性に関

する諸課題の解決や、より良い政策決定に資する科学的根拠を提供すること

に、強い期待が寄せられています。

SDGsの達成に科学技術イノベーションが貢献(STI for SDGs)していくため

には、政府はもとより、大学、研究開発機関、NGOや企業等を含めた様々な

マルチステークホルダーが連携していくことが重要です。JSTでは、シンクタ

ンク機能、研究開発、産学連携、次世代人材育成、科学コミュニケーション

等多岐に亘る機能を活かしつつ、日本におけるSDGsの活動に積極的に貢献し

ていきます。

持続可能な

開発目標

(SDGs)への

JSTの取り組み

14

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