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平成 29 年度
臭素系ダイオキシン類の排出源情報の
収集・整理調査業務報告書
平成 30 年 3 月
日鉄住金テクノロジー株式会社
目 次
1. 調査目的 ······················································································ 1
2. 排出実態調査結果に関する知見の収集整理 ··········································· 1
3. 国際的な規制や調査研究の動向に関する調査 ····································· 1
3.1 国内外の文献等による情報収集 ··················································· 2
3.2 現状の難燃剤需要状況 ····························································· 11
3.3 臭素系難燃剤の排出・移動量の推移(PRTR データ) ··················· 13
4. 臭素系ダイオキシン類の排出実態調査 ············································· 14
4.1 対象施設 ················································································ 14
4.2 調査媒体 ················································································ 14
4.3 分析項目 ················································································ 14
4.4 施設概要等 ············································································· 15
4.5 試料概要 ················································································ 16
4.6 分析方法 ················································································ 17
4.7 HRGC/HRMS 分析条件 ····························································· 21
4.8 検出下限値 ············································································· 27
4.9 調査結果(総括表) ································································ 30
4.10 まとめ考察 ··········································································· 32
別表-1 分析結果一覧表 ···························································· 37
別図-1 調査施設概要 ······························································· 45
別図-2 媒体別同族体組成 ························································· 47
別図-3 媒体別異性体組成 ························································· 51
5. 次年度以降の臭素系ダイオキシン類排出実態調査計画(案)について 54
5.1 調査対象業種 ·········································································· 54
5.2 試料採取調査対象媒体、調査項目 ·············································· 56
6. 検討会の開催 ·············································································· 58
6.1 第 1 回検討会 ·········································································· 58
6.2 第 2 回検討会 ·········································································· 59
別添-1 臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(要約版)
別添-2 臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題
別添-3 難燃剤の需要量推移及び世界の臭素生産量
別添-4 臭素系難燃剤の排出・移動量の推移(PRTR データ)
別添-5 検討会討会(第 1 回)議事録概要及び)検討会(第 2 回)議事録概要(案)
1. 調査目的
ダイオキシン類の類縁化合物である臭素系ダイオキシン類については、ダイオキシン
類対策特別措置法(平成 11 年法律第 105 号)附則第2条において、「臭素系ダイオキシ
ンにつき、人の健康に対する影響の程度、その発生過程等に関する調査研究を推進し、
その結果に基づき必要な措置を講ずる」と規定されている。
本業務は、環境省がこれまで実施してきた臭素系ダイオキシンの排出実態調査結果か
ら得られた知見や残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)等にお
ける国際的な規制や調査研究の動向を包括的に収集整理するとともに、臭素系ダイオキ
シン類の排出源と想定される施設の排出実態調査を行うことにより、臭素系ダイオキシ
ン類対策に係る基礎資料とするものである。
2. 排出実態調査結果に関する知見の収集整理
臭素系ダイオキシン類の排出実態を概観するため、環境省が実施してきた臭素系ダイ
オキシン類の排出実態調査から得られた知見を包括的に収集整理し、昨年度の本業務に
おいて作成した報告書案について、検討会でさらに精査が必要とされた課題を抽出し、
修正を加え取りまとめを行った。
主な修正点について
・報告書タイトルの変更
・要約版及び要旨(Abstract)の作成
・塩素化ダイオキシン類のインベントリーデータを 2015 年度に更新
・DBDPE(デカブロモジフェニルエタン)関連情報の追記
・平成 29 年度臭素系ダイオキシン類排出実態調査結果の追記
・POPs 条約、生成機構等を追記
・排出実態調査結果(発生源)、環境調査結果に同族体組成を追記
・排水処理過程における臭素系ダイオキシンの挙動について調査結果を追記
・難燃繊維加工施設における懸濁態と溶存態の比較を追記
・PBDD/Fs 暫定排出インベントリー概念図のタイトル変更
・臭素系ダイオキシン類の排出実態の特徴で改善傾向について追記
取りまとめ報告書を、別添-1 に臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(要約版)
及び別添-2 に臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題を示す。
3. 国際的な規制や調査研究の動向に関する調査
発生源・発生メカニズムの特定、毒性評価等の情報、塩素系ダイオキシン類との比較、
測定技術・対策技術情報、臭素系難燃剤に係る POPs 条約の作業プログラムに係る検討状
況、同条約のツールキット専門家会合や WHO、ダイオキシン類国際会議等における臭素
化ダイオキシン類関係の検討動向や代替物質開発状況、臭素系ダイオキシン類の実態把
握、など今後の取組の検討に必要な情報を文献等により収集・整理した。各種情報は、
検討会資料とした。
1
3.1 国内外の文献等による情報収集
国内外の文献等により下記の項目について収集及び整理を行う。 各種情報について
は、Web、JDreamⅢ(日本科学技術情報センターが開発したオ ンライン情報検索シス
テム)等により情報収集を行った。
(1) PBDD/Fs 等関連文献
JDreamⅢ(科学技術文献情報データベース)にて PBDDs,PBDFs 等の情報について検
索を行った。(2015 年以降)
著者名
ALTARAWNEH Mohammednoor, DLUGOGORSKI Bogdan Z., School of Engineering
and Information Technol., Murdoch Univ., Perth, AUS
文献名 Chemosphere Vol.119 Page.1048-1053 (2015.01)
論文名 ポリブロモビフェニルからポリ臭素化ジベンゾフランの生成
QFormation of polybrominated dibenzofurans from polybrominated biphenyls
(抄録) 特に,臭素系難燃剤(BFRs)の生産と使用の段階的停止の数十年後でも,ポリブロモ
ビフェニル(PBBs)は依然として,深刻な環境と健康問題をもたらしている。PBB の酸化は,
環境中の悪評高いポリ臭素化ジベンゾフラン(PBDFs)の形成とこれらの分散の経路とし
て仮定されてきた。しかし,正確な反応経路は誤解のままで,C‐C 結合の切断に関与する
高エネルギープロセス(〜118.0kcalmol−1)よって開始する反応と,続くブロモフェノール
分子の生成を予見する既存の機構を伴い,ここで,後者は PBDFs の生成(〜40.0〜
60.0kcalmol−1)のプレカーサとして作用すると想定された。本報で筆者等は,PBBs が一連
の高い発熱反応による簡易な機構で PBDFs を生産することを示した(即ち,総合的障壁は
8.2〜10.0kcalmol−1 以下の入口経路に存在する)。すべての芳香族体の酸化の ROO タイプ
中間体の動態は,CO 又は CO2 を放出する一方,PBDFs は,PBBs の酸化からの主な生成物を
占めていた。最初に形成した R‐OO 付加物は,PBDFs を生じるまさに発熱機構で展開し
た。PBDFs への PBBs の容易な酸化変換を考慮して,筆者等は,酸化プロセスで BFRs を処
理することは,これが毒性 PBDFs を高い収率で発生するために安全でないとの結論を示
した。
著者名
ORGANTINI Kari L., DORMAN Frank L. (Pennsylvania State Univ., Pennsylvania,
USA), MYERS Anne L., JOBST Karl J., REINER Eric J. (Ontario Ministry of the
Environment and Climate Change, Ontario, CAN), JOBST Karl J. (McMaster Univ.,
Ontario, CAN), REINER Eric J. (Univ. Toronto, Ontario, CAN), ROSS Brian (Fire and
Emergency Serv. Training Inst., Ontario, CAN), LADAK Adam, MULLIN Lauren,
STEVENS Douglas (Waters Corp., Massachusetts, USA)
文献名 Anal Chem Vol.87 No.20 Page.10368-10377 (2015.10.20)
論文名 大気圧イオン化ガスクロマトグラフィー‐トリプル四重極質量分析を利用した
火災の破片における混合ハロゲンダイオキシンおよびフランの定量分析
Quantitative Analysis of Mixed Halogen Dioxins and Furans in Fire Debris Utilizing
Atmospheric Pressure Ionization Gas Chromatography-Triple Quadrupole Mass
Spectrometry
(抄録) 消防の職業は,多くの点で危険な職業と考えられている。いくつかの疫学的研究
は,消防士の集団で経験した癌リスクについて報告している。本論文で,より優れた消防士
の被爆リスクを理解するため,火災の破片の半/非揮発性成分に着目し,分析した。ガスク
ロマトグラフィー結合‐大気圧イオン化タンデム質量分析(APGC‐MS/MS)の感度向上
を利用し,シミュレーション火災から収集した複雑な火災破片試料について,潜在的毒性
ポリハロゲン化ジベンゾ‐p‐ダイオキシンおよびジベンゾフラン(PXDD/Fs および
PBDD/Fs)の有無について分析した。家庭シミュレーション破片の濃度範囲は 0.01〜
5.32ppb(PXDFs)および 0.18〜82.11ppb(PBDFs)であり,電子機器シミュレーション破片の
濃度範囲は 0.01〜175.26ppb(PXDFs)および 0.33〜9254.41]ppb(PBDFs)であった。
2
著者名
Tue Nguyen Minh, Goto Akitoshi, Takahashi Shin, Itai Takaaki, Asante Kwadwo
Ansong, Kunisue Tatsuya, Tanabe Shinsuke (Center for Marine Environmental Studies
(CMES), Ehime University, 2-5 Bunkyo-cho, Matsuyama 790-8577, Japan), Takahashi
Shin (Center of Advanced Technology for the Environment, Faculty of Agriculture, Ehime
University, 3-5-7 Tarumi, Matsuyama 790-8566, Japan), Asante Kwadwo Ansong (CSIR
Water Research Institute, P.O. AH 38, Achimota, Accra, Ghana)
文献名 Journal of Hazardous Materials Vol.302 Page.151-157 (2016.01.25)
論文名 Agbogbloshie(Accra,ガーナ)の電気/電子系廃棄物野焼きにより土壌に移行する塩
素化,臭素化及び混合ハロゲン化ダイオキシン関連化合物の放出
Release of chlorinated, brominated and mixed halogenated dioxin-related compounds to
soils from open burning of e-waste in Agbogbloshie (Accra, Ghana)
(抄録) ダイオキシン関連化合物(DRCs)の複合混合物が,私的な電気/電子系廃棄物リサイ
クルから排出される可能性があるが,アフリカの本廃棄物リサイクル施設における DRC
汚染の状況は調査されてこなかった。本研究では,ガーナの Agbogbloshie 電気/電子系廃棄
物リサイクル施設で得た表土試料中の塩素化,臭素化及び混合ハロゲン化ジベンゾ‐p‐
ダイオキシン/ジベンゾフラン(PCDD/Fs,PBDD/Fs,PXDD/Fs)並びにダイオキシン様ポリ塩
化ビフェニル(DL‐PCBs)を含む DRCs の濃度を調査した。野焼き地域の PCDD/F 及び
PBDD/F 濃度(それぞれ,18~520 及び 83~3800ng/g‐dry)は,既報土壌の中では最高であっ
た。PCDFs 及び PBDFs の濃度は,それぞれのジベンゾ‐p‐ダイオキシンの濃度より高く,
主発生源として PBDE 含有プラスチックの燃焼を示唆した。PXDFs の存在度は PCDFs
よりも大で,高濃度の高度臭素化同族体が出現した。野焼き地点土壌の全 WHO‐TEQ 濃
度中央値は,米国限界値(1000pg/g)の 7 倍で,TEQ への寄与順序
は,PBDFs>>PCDD/Fs>PXDFs の如くであった。Agbogbloshie 住民は,高濃度の塩素化 DRCs
のみならず臭素化 DRCs にも潜在的に曝露しており,今後の健康影響評価が待たれる。
著者名
Gallistl Christoph, Vetter Walter (University of Hohenheim, Institute of Food Chemistry
(170b), Garbenstr. 28, D-70599 Stuttgart, Germany)
文献名 Journal of Chromatography A Vol.1442 Page.62-72 (2016.04.15)
論文名 ポリブロモジベンゾフラン同類物の合成,液体クロマトグラフィーによる分画,及
び部分的特性化
Synthesis, liquid chromatographic fractionation and partial characterization of
polybrominated dibenzofuran congeners
(抄録) ポリブロモジベンゾフラン(PBDFs)は,高毒性の環境汚染物であり,135 個の構造的
に異なる同類物からなる。多くのポリクロロジベンゾフラン(PCDFs)のガスクロマトグラ
フィーによる分離と分析が,よく報告されている一方で,PBDFs の場合,利用できるデータ
は,現在,ほとんどない。本研究で,ジベンゾフランが臭素化され,1 つから 7 つまでの臭素原
子を持つ~40 個の PBDFs の混合物を与えた。この合成混合物は,n‐ヘキサン/トルエン/
アセトニトリルを利用する向流クロマトグラフィー(CCC)と移動相としてアセトニトリ
ルを利用する非水系逆相高速液体クロマトグラフィー(RP‐HPLC)の両方によって分画
された。全部で 80 の連続 CCC 画分と 40 の HPLC 画分が採取され,ガスクロマトグラフ
ィー‐質量分析(GC/MS)によって分析された。CCC と RP‐HPLC は,PBDF 混合物の直交
分離を与えた。結果として,特定の CCC 画分が,RP‐HPLC によってさらに分画された。
この方法で,8 種の PBDFs が単離され,12 種の PBDFs の構造がプロトン磁気共鳴スペクト
ル測定法(1H NMR)によって解明された。
著者名 Pan Yanheng, Yang Xin , Tsang Daniel C.W., Wang Yingying, Li Yao
文献名 Chemical Engineering Journal Vol.297 Page.74-96 (2016.08.01)
論文名 種々環境マトリックス中のポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)の光分解:速度論
と機構
The photodegradation of polybrominated diphenyl ethers (PBDEs) in various
3
environmental matrices: Kinetics and mechanisms
(抄録) ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)の経路及び輸送は,その持続性,生体内蓄積
性質と悪影響による懸念の大きな関心を高めた。光分解は環境中の有機汚染物に対する
重要な変換プロセスの一つである。PBDEs の光化学的挙動を理解するために,本研究は,
種々のマトリックス中の PBDEs の光分解の速度論と機構を批判的にレビューする(i)有機
溶媒相(ii)水相(iii)ガス相(iv)固相,および(v)TiO_2~‐媒介相。固相と気相中の PBDEs の半
減期は液体のそれよりも有意に長かった。分解速度は,PBDEs,溶媒効果,固体マトリックス
の組成,フミン物質,金属カチオンとハロゲン化物アニオンのような一般的な環境種の存
在または非存在下で臭素の数と位置の影響を受けた。光分解機構は,HBr の還元的脱臭素
化及び分子間脱離は低臭素化BDEsとポリブロモジベンゾフラン(PBDFs)を生成するため
に直接光分解における二つの主要な分解経路であった。種々誘導体が培地に依存して形
成することができる。ヒドロキシル化 PBDEs(OH PBDEs)およびブロモフェノールは水溶
液及び大気系における~OH ラジカルと PBDEs の反応により生成した。塩素化 BDEs は,
水中の塩化物の存在下で形成し,ヒドロキシル化 PBDFs(OH PBDFs)とメトキシル化
PBDFs(MeO PBDFs)はメタノール中で形成する。環境健全性監視における実地関連条件下
で PBDEsの光分解生成物と光化学反応機構を調べると汚染サイトを浄化することが重要
である。
著者名 Redin L., Niinipuu M., Jansson S., Niinipuu M.
文献名 Waste Management (Kidlington) Vol.61, Page.300-306 (2017)
論文名 1985 年から 2012 年までの廃カーシートの発泡材料における臭素化ジフェニルエ
ーテル,ジベンゾ‐p‐ジオキシンおよびジベンゾフランの発生
Occurrence of brominated diphenyl ethers, dibenzo-p-dioxins and dibenzofurans in foam
materials in scrapped car seats from 1985 to 2012
(抄録) 本研究の目的は,使用済み自動車(ELV)の自動車座席からのポリウレタンフォーム
(PUF)中のポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs),ジベンゾ‐p‐ジオキシン(PBDDs),ポリ
ブロモジベンゾフラン(PBDFs)の発生を評価し,POP 指令で規定されている規制による
PBDEs の濃度を比較することであった。分析法は X 線蛍光(XRF)および GG MS 分析によ
るスクリーニングを含んでいた。ELV から試験した 59 試料のうち,XRF によるスクリー
ニング 17 試料は検出限界(LOD)レベル限界以上の線を示した。試料は GC‐MS による更
なる分析のために選択した。調べた試料の大部分は PBDE と PBDD/F の低いか検出でき
ない濃度を示したが, 2 試料は,廃棄物中の Te HpBDEs の規制レベルに近いΣTe HpBDEs
の濃度を示した(1000mg~);1 つでに低いわずかに高かった(1390mg~( 1))と他の(570mg
~( 1))。臭素系難燃剤を使用した場合,Te HpBDEs など臭素化汚染物質は年に生産された
廃自動車における自動車応用における低レベルで起こると結論した。しかし,試験した 59
試料の 2 試料は,廃棄物中の POPs に関する規制で規定されたものに近いレベルを示した。
著者名 Ren Man, Zeng Hao, Peng Ping-An, Li Hui-Ru, Tang Cai-Ming, Hu Jian-Fang, Zeng
Hao, Peng Ping-An
文献名 Environmental Pollution Vol.226, Page.394-403 (2017)
論文名 臭素化ダイオキシン類/フラン類およびヒドロキシル化ポリ臭化ジフェニルエー
テル:BTBPE の合成中の市販 1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン(BTBPE)
と 2,4,6 トリブロモフェノール,形成における発生
Brominated dioxins/furans and hydroxylated polybrominated diphenyl ethers:
Occurrences in commercial 1,2-bis(2,4,6-tribromophenoxy)ethane (BTBPE) and
2,4,6-tribromophenol, and formation during synthesis of BTBPE
(抄録) ポリブロモジベンゾ‐p‐ジオキシン(PBDDs)およびヒドロキシル化ポリ臭化ジ
フェニルエーテル(OH PBDEs)は熱分解,生合成または光変換によるブロモフェノール
(BPs)から形成される。しかし,PBDDs,OH‐PBDEs は原料として BP を利用する化学生産
プロセス時に形成されることができるかどうかは不明である。2,4,6 トリブロモフェノー
ル(2,4,6 TBP)は 1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン(BTBPE),新規臭素化難燃剤
4
の合成のための重要な原料である。本研究では,PBDDs,ポリ臭化ジベンゾフラン(PBDF)
と OH‐PBDEs は市販 BTBPE と 2,4,6‐TBP で同定し,定量化した。さらに,炭酸ナトリウ
ムの存在下での 2,4,6‐TBP と 1,2 ジブロモエタンから BTBPE の実験室合成中の意図的
でない副産物としてそれらの形成も調べた。2,3,7,8 スブスチツテド PBDDs と
PBDFs(2,3,7,8 PBDD/Fs)、BTBPE の市販試料において検知されず,その低レベル(ng/g)中に
存在する 2,4,6‐TBP。二テトラブロモ‐p‐ジオキシン(TeBDDs),すなわち 1,3,6,8
and1,3,7,9 テブッドおよび三ヒドロキシル化ペンタブロモジフェニルエーテル(OH
pentaBDEs),すなわち 4'‐OH BDE121,2'‐OH BDE121,および 6'‐OH BDE100 を同定ある
いは暫定的に同定され,市販 BTBPE と 2,4,6‐TBP のいくつかの千 g 当たりナノグラムの
検出の範囲の濃度であることを定量的に評価した。TeBDDs と OH pentaBDEs は BTBPE
合成中の 2,4,6‐TBP からの副産物として形成された。PBDD/Fs と OH‐PBDEs も原料ま
たは中間体として BP を利用する他の化学化合物の工業的合成中に形成されるかどうか
を決定するために実施する必要がある。
著者名 Mei Jun (School of Pharmacy,, Wang Xiuji, Xiao Xiao, Cai Ying, Tang Yuhui, Chen Pei
文献名 Waste Management (Kidlington) Vol.62, Page.84-90 (2017)
論文名 熱分解過程における decaBDE,ポリエチレン(PE)と金属混合物からのPBDD/F排出
の特性化およびインベントリ
Characterization and inventory of PBDD/F emissions from deca-BDE, polyethylene (PE)
and metal blends during the pyrolysis process
(抄録) 廃電気・電子機器(WEEE)の熱処理はポリ臭化ジベンゾ‐p‐ジオキシン/ジベン
ゾフラン(PBDD/Fs)の環境放出への最大の寄与可能性と考えられている。デカブロモジフ
ェニルエーテル(デカ BDE),ポリエチレン(PE)および金属混合物の熱分解を種々の熱処理
条件での PBDD/Fs の放出特性を調べるために行われた。ポリブロモジベンゾ‐p‐ジオ
キシン(PBDDs)の全収率は PE マトリックスと金属混合物の熱分解中のポリ臭化ジベンゾ
フラン(PBDF)のそれよりも小さかった。2,3,7,8-TBDF と 1,2,3,7,8-PBDF は熱分解から放
出された支配的な同族体であった。温度,酸素の存在と添加した金属のタイプは,PBDD/F
生成速度の重要な影響因子と熱分解プロセスにおける種分化した。
著者名 Bjurlid Filip, Kaerrman Anna, Hagberg Jessika, Ricklund Niklas, Hagberg Jessika
文献名 Science of the Total Environment Vol.599-600 Page.1213-1221 (2017)
論文名 各種消火法を用いた研究における臭素化ダイオキシン類の発生
Occurrence of brominated dioxins in a study using various firefighting methods
(抄録) 異なる消火法の使用は,火災が消火速度と温度は火災の影響を受けた地域におけ
る低下し如何に速く影響する。これらの違いもまた,事故火災の消火活動中有害汚染物質
の生成に影響するかもしれない。目的は五種類の火災シナリオ小アパート火災に似た,異
なる消防法を使用した時のガスと煤中の臭素化ジベンゾ‐p‐ジオキシンおよびフラン
(PBDD/Fs)の発生を調べることであった。ガスと煤の試料は火災のビルドアップ中および
火災の消火中に採取した異なる消防法(ノズル,圧縮空気発泡システム,切削器)と消火添加
剤を用いた。同一セット可燃性材料を備えた新しい容器は五試験に用いた。異なる消防
法と消火添加物の使用は検出され PBDD/Fs の濃度と同族体プロファイルの変化を誘導し
た。ガスにおけるΣPBDD/Fs の濃度範囲は 4020 18 1700pg~3 であり,煤中の 75 4092pg/m
~2。PBDFs が主要な同族体であって,1,2,3,4,6,7,8 HpBDF は最も多い同族体であった。塩
素化ジベンゾ‐p‐ジオキシンとフラン類(PCDD/Fs)も,またモニターした。PBDD/Fs は総
(PCDD/Fs と PBDD/Fs)毒性当量に平均 97%寄与。消火中,温度は約 300℃で時間は短
く,PBDD/Fs の発生は低かった。研究では消防法は焼入中の火災ゾーンにおける 300°C
以下の温度減少を誘起するかを効果的に差を示し,添加物と圧縮空気発泡システムを用い
た切削消火は温度の最速降下を示した。
著者名 Xu Pengjun, Zhou Zhiguang, Fan Shuang, Zhang Ting, Liu Aimin, Dong Shuping,
Huang Yeru, Xu Pengjun, Chen Jiping, Xu Pengjun, Xu Pengjun, Yuan Jingli, Tao Bu, Li
5
Hong
文献名 Environmental Pollution Vol.228 Page.61-71 (2017)
論文名 Guiyu,中国の土壌中のハロゲン化難燃剤とポリ臭化ジベンゾ p dioxin/dibenzofuran
の発生,組成と起源,広域的な分布
Occurrence, composition, source, and regional distribution of halogenated flame
retardants and polybrominated dibenzo-p-dioxin/dibenzofuran in the soils of Guiyu, China
(抄録) 中国,Guiyuの電子廃棄物(EW)と重篤な難分解性有機汚染物質(POPs)の粗処分のた
め良く知られている。それ故,本研究では Guiyu をカバーする農地土壌中のポリ臭化ジフ
ェニルエーテル(PBDEs),2,2',4,4',5,5'-ヘキサブロモビフェニル(BB153),いくつかの新しい
臭素系難燃剤(NBFRs),デクロランプラス(DP)とポリ臭化ジベンゾ‐p‐ジオキシン/ジベ
ンゾフラン(PBDD/Fs)の発生源および組成を検討した。EW 処分地域の土壌では,PBDEs
は,最も豊富な FR,13 1014ngg 1~( 1)の濃度であった。一次 PBDE 源であったのは,北部と
南部の Guiyu における Deca‐BDE 混合物であった。BB153 のレベルは相対的に低く,こ
れはおそらく 1970 年代に禁止されているからである。ヘキサブロモベンゼン(HBB)の濃
度は 0.048 3.3ngg 1~( 1)であったが,ペンタブロモエチルベンゼン(PBEB)は,土壌中で検出
されなかった。市販 PBDEs への二つの代替案,デカブロモジフェニルエタン(DBDPE)と
1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン(BTBPE),一次 NBFRs,1.8 153ngg 1~( 1)と
0.43 15ngg 1~( 1)の濃度であった。DP は他の一次 FR,0.57 146ngg 1~( 1)の濃度であった。
さらに,syn‐DPおよび anti‐DP異性体は,EW処理プロセス中に分解立体選択的ではなく,
従っては土壌におけるそれらの元の画分に存在した。EW 処分地域の土壌における
PBDD/Fs のレベルは 2.5 17pg TEQ g~( 1).1,2,3,4,6,7,8‐HpBDF,OBDF が支配的な同族体,
主に BFRs の処理,熱分解と燃焼に由来した。汚染物質の地域分布は EW の処分方法に関
連することを示し,それらの開放熱処分BDE209,DBDPE,1,2,3,4,6,7,8 HpBDF のようなより
高度に臭素化化合物を放出する傾向であった。さらに,いくつかの河岸サイトであった点
汚染源近傍のために激しく汚染され,EW 処理活性のない Simapu(SMP)町は,これらの汚染
物質で汚染された。
著者名 Chen Jing, Xu Xinxin, Pan Xiaoxue, Yao Jiayi, Li
文献名 Chemical Engineering Journal Vol.332 Page.267-276 (2018)
論文名 酸性条件での過マンガン酸カリウムによるデカブロモジフェニルエタンの酸化
的分解への機構洞察
Mechanism insights into the oxidative degradation of decabromodiphenyl ethane by
potassium permanganate in acidic conditions
(抄録) 臭素化難燃剤(BFRs)中の添加剤,デカブロモジフェニルエタン(DBDPE)の KMnO4
分解は硫酸系で調べた。分解試験は,DBDPE は硫酸中で KMnO4 と完全に反応して,99.71%
の除去速度は現実的と思われることを示した。多くの生成物を液体クロマトグラフィー
四重極時間飛行質量分析(LC Q TOF MS)分析とガスクロマトグラフィー‐電子イオン化
質量分析(GC EI MS)分析により検出した。分解は最初に 1,2-ビス(perbromophenyl)エタン
-1,2-ジオン(P_1),ペンタブロモフェノール(P_2),2 (ペルブロモフェニル)エタノール(P_3)
と pentabromobenzoic 酸(P_28)を形成し,これらの一次中間体の変換は,時間の経過ととも
に開環,5 員環および六員複素環生成物を生成する。エチル基の C‐C 結合とエチル炭素
と隣接炭素との間の C‐C 結合の開裂の直接酸化を含む二つの主要な反応経路を提案し,
さらに点電荷解析と Wiberg 結合次数計算により確認した。さらに,DBDPE とその分解生
成物の毒性を ECOSAR プログラムを用いて評価した。DBDPE は種々の栄養水準におけ
る生物の三種類に甚大な被害を引き起こす可能性がある毒性物質であることが分かった
が,一方すべての変態生成物が親化合物より毒性が低かった。
著者名 Kuang Jiangmeng, Abdallah Mohamed Abou-Elwafa, Harrad Stuart
文献名 Science of the Total Environment Vol.610-611 Page.1138-1146 (2018)
論文名 ブラックプラスチック台所用具中の臭素化難燃剤:濃度とヒト曝露意義
Brominated flame retardants in black plastic kitchen utensils: Concentrations and human
6
exposure implications
(抄録) 高分子廃棄物中に存在する制限された臭素化難燃剤(BFRs)は,リサイクルの結
果として,難燃性規制(例えばプラスチック厨房器具)を満たすために必要なない不注意に
汚染された項目を持っているかもしれないという疑いが存在する。台所器具は BFRs と得
られたヒト曝露の可能性で汚染されている程度を調べるために,96 種のプラスチック厨
房器具を収集し,携帯型 X 線蛍光(XRF)分光計を使って Br 含有量をスクリーニングした。
2011 後購入した 27 の器具のうち 3 のみが検出可能な濃度の Br(≧3μg/g)を含んでいた。
とは対照的に,Br は 2011 年以前に購入した 69 の器具のうち 31 で検出された。Br 含有量
を有する十八器具は 100μg/g より高く,12 種の新しい器具は,BFRs の GC‐MS 分析のた
めに選択した。標的 BFRs は,ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)BDE‐28,‐4799、100、
153、154、183 および 209,および新規 BFRs(NBFRs)ペンタブロモエチルベンゼン(PBEB),2-
エチルヘキシル-2,3,4,5-テトラブロモベンゾアート(EH TBB),1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフ
ェノキシ)エタン(BTBPE),ビス(2-エチルヘキシル)-3,4,5,6-テトラブロモ-フタラート(BEH
TEBP)とデカブロモジフェニルエタン(DBDPE)であった。BFR 濃度の代理計量として作
用する XRF の能力は,Br とΣBFR 濃度間に有意な(Spearman 係数=0.493;P=0.006)正の関係
により示唆された。ΣBFRs の測定は常に Br のそれを超えた。は部分的に本研究でター
ゲットとされないBFRs の存在と器具からのBFRsの還元抽出効率にも起因する可能性が
ある。目標 BFRs の中で,BDE‐209 はほとんどの試料において最も豊富に存在した
が,BTBPE の非常に高い濃度(1000μg/g)は 1 つの器具であった。模擬調理実験は高温調理
油に選択した什器(n=10)からの BFR 移動を検討し,観測されるかなりの移動(平均 20%)で
あった。BFR 汚染器具による調理による推定中央値曝露は全 BFRs の 60ng/day。とは対
照的に,BFR を含む台所用品と皮膚接触を介した推定曝露は最小であった。
(2) DeBDE に関する情報
① ストックホルム条約第8回締約国会議(COP8)の結果
残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約(POPs 条約)の第 8 回締約国
会議(COP8:2017 年 4 月 24 日~5 月 5 日、ジュネーブ開催)により新たにデカブロモジフ
ェニルエーテル(デカ BDE)及び短鎖塩素化パラフィン(SCCP)が同条約の附属書 A(廃
絶)に、ヘキサクロロブタジエン(HCBD)が附属書 C(非意図的放出の削減)に追加す
ることが決定された。
DeBDE について
・製造・使用等の禁止
(以下の用途を除外する規定あり)
— 自動車用部品(動力伝達系、燃料系等)
— 2022 年 12 月より前に型式承認を受けた航空機用交換部品
— 難燃性を有する繊維製品
— 家電製品に用いられるプラスチックケース及び部品の添加剤
— 断熱性建材用ポリウレタンフォーム
② 条約附属書 A(廃絶)又は附属書 B(制限)の適用除外の評価について
附属書A掲載物質である 4 種類のブロモジフェニルエーテル(BDE)(主な用途:難燃剤)
に関し、条約上で 2030 年まで適用除外が認められているリサイクル用途について、2021
年の第 10 回締約国会議(COP10)において、これらの適用除外が引き続き必要であるかを
評価するための作業を行うことが合意されるとともに、これらの作業を進めるに当たって
の具体的な作業計画が決定された。
③ 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の附属書改正に係る化学物質の審査
7
及び製造等の規制に関する法律に基づく追加措置について (H29.8.1)
ストックホルム条約第8回締約国会議(COP8)の結果により 2 物質群について、製造、
使用等の廃絶に係る条約上の義務を履行するため、国内担保措置を講ずる必要がある。化
学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和 48 年法律第 117 号。以下「法」とい
う。)に基づく措置について平成 29 年 6 月 8 日付けで中央環境審議会への諮問がなされ
たところ、審議の結果を取りまとめられ、第一種特定化学物質に指定することが適当であ
るとされた。(平成 30 年4月1日施行)
④ REACH 規則附属書 XVII の改正(DeBDE 追加)(COMMISSION REGULATION (EU)
2017/227 of 9 February 2017)
欧州委員会(EC)は 2017 年 2 月 10 日、REACH 規則の制限対象物質リスト(附属書
XVII)に DeBDE を追加した。これにより 2019 年 3 月 2 日以降、DeBDE の製造・上市を
禁止するとともに、同物質を成分とする調剤及び同物質を 0.1wt%以上含有する成形品の
製造や上市が原則禁止される。
DeBDE を含む他物質または混合物の適用除外用途
・ 2027 年 3 月 2 日以前の航空機製造時の使用
・ 2027 年 3 月 2 日以前に製造された航空機用予備品の製造時の使用
・ 2019 年 3 月 2 日以前に製造された自動車や農林業用車両、機械のスペアパーツの製
造時の使用
DeBDE を 0.1wt%以上含有する成形品の適用除外用途
・ 2019 年 3 月 2 日以前に上市された成形品
・ 2027 年 3 月 2 日以前に製造された航空機
・ 2027 年 3 月 2 日までに製造された航空機用予備品
・ RoHS 指令(2011/65/EU)の適用範囲である電気電子製品
⑤ 国内製造関連情報
国内で DeBDE を製造していた東ソーでは、以下の期日で生産、販売を終了している。
商品名:フレームカット®110R(デカブロモジフェニルエーテル)
・ 生産停止設備 : DeBDE 製造設備(生産能力 1,200 トン/年)
・ 生産停止時期 : 2016 年 12 月末
・ 販売終了時期 : 2017 年 3 月末
⑥ DeBDE の製造、輸入、使用禁止の場合の防炎物品、防炎製品への影響
2016 年 4 月 1 日現在の deca-BDE 使用の登録・認定有効品数は、防炎物品で 169 件、防
炎製品で 377 件、合計 546 件であり、防炎製品「テント類・シート類・幕類」に最も多く
使用されている。
8
表 3.1 DeBDE 使用の登録・認定有効品数(防炎物品・防炎製品)
防炎物品 使用品数 防炎物品 使用品数
防炎物
品
布製ブラインド 73 じゅうたん等 12
カーテン等 66 合板 1
工事用シート 17
防炎製品
テント類・シート類・幕類 293 防護用ネット 7
ローパーティションパネ
ル
35 自動車等ボディーカバー 6
布張家具等・側地 15 寝具類側地 1
防災頭巾等・側地・詰物 10 毛布類 1
非常持出袋 9
出典:(公財)日本防炎協会:防炎ニュースNo.206
今後、日本防炎協会としては、代替品として DBDPE(別名、デカブロモジフェニルエ
タン、エチレンビスペンタブロモジフェニール)の使用登録を働きかける予定。
(3) DBDPE に関する情報
DBDPE は、DeBDE の代替品として使用されており、日本防炎協会でも、代替品とし
て DBDPE の使用登録を推進している。国内需要量は、1993 年に約 1000t/y であったが、
2016 年には、約 6,500t/y となっている。主な製品としては、アルべマール(SAYTEX8010)
とケムチュラ(FM2100R)などがある。
2016 年 10 月には、Environment Canada Health Canada よりリスクアセスメント結果が
公表された。以下に概要を示す。
DBDPE は自然界には存在せず、DBDPE への暴露源は、主に、DBDPE を添加剤の難
燃剤として使用している廃棄物流出物や製造プラントの廃水だけでなく、消費者製品ま
たは商用製品の使用によるものでもある。 DBDPE は、1990 年代初頭から難燃剤として
商業的に重要になり、最近では市販のデカブロモジフェニルエーテル(DecaBDE)の代
替物として商業的に重要になっている。
一般に、DBDPE は、非常に低い水溶性、低い蒸気圧、および非常に高い有機炭素 - 水
分配係数およびオクタノール - 水分配係数を特徴とする。環境に放出されると、DBDPE
は主に土壌および/または堆積物に存在すると予想される。粒子に拘束された輸送は、遠
隔地における長距離輸送および堆積に寄与する可能性がある。実験的およびモデル化さ
れたデータは、DBDPE の好気性および嫌気性生物分解が限られており、DBDPE が水、
土壌および底質に持続すると予想されることを示している。研究は、DBDPE の光分解
が溶媒中で迅速に進行するが、他のマトリックス/基質ではよりゆっくり進行し、大気分
解のモデル化された予測は、DBDPE が空気中で持続することを示唆している。DBDPE
の分解は遅いか限定的であると予想されるが、環境中の最終的な変換生成物に関しては
不確実性がある。DBDPE の脱臭素化は、ノナとオクタ BDPE から、ヘプタ、ヘキサ、
およびペンタ BDPE(デカ BDE に類似)の形成を通じて、またはヒドロキシル化された
nonaBDPE 経路へと続くことから継続すると予想されている。実験データがないので、
これらの潜在的な DBDPE 変換生成物の特性を評価するために QSAR モデリングを行っ
た。予備モデリングは、DBDPE 変換生成物がポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)
9
を低下させる類似体とみなされ、持続性であり、場合によっては生物蓄積性であり、潜
在的に水生生物に非常に有毒であることを示している。 PBDE の生態学的スクリーニン
グ評価(2006 年 6 月)は、低臭素化 PBDE、すなわち tetraBDE、pentaBDE および hexaBDE
が、CEPA 1999(カナダ環境保護法)の持続性および生物蓄積性規制で概説された基準
を満たすと結論付けた。データは、DBDPE が生物型の組織にある程度蓄積する可能性
があることを示している(低〜中等度の生物蓄積性)。しかし、現時点では、その物質
が高い生物濃縮性を有する可能性があることを示す十分な証拠はない。
土壌慢性毒性試験に基づいて、DBDPE は、ミミズに高濃度で生殖作用を引き起こす可
能性があり、植物の生存と成長に及ぼす影響もある。慢性毒性試験では、試験された最
高用量(5000 mg / kg)までは影響はなかった。不確実な水生試験結果に基づいて、この
評価では DBDPE について水(胸部)の重大な毒性値(CTV)は測定されない。 DBDPE
の野生生物への毒性に関する情報格差、および長期間(例えば、生涯および異種間の)
暴露による湖沼、堆積物および陸生種への影響、ならびに最近の水生および堆積物類似
のデカ BDE 研究による低濃度での報告効果は、将来 DBDPE 毒性試験は、低濃度で同様
の影響を判定することがある。この不確実性は、評価の予防措置の適用において考慮さ
れた。
DBDPE は産業処理活動の結果としてカナダの環境に放出されることが予想される。製
品に DBDPE を添加することで、消費者製品や商業製品から拡散した排出が発生する可
能性があることが示唆されているが、不確実性はあるが、製品への取り込み中の工業的
な点源に比べて低いと見なされいる。 DBDPE を水に放出し、堆積物への予測された分
配および土壌への放出を伴う産業シナリオ(利用可能なサイト情報を考慮した)を用い
て暴露を推定した。土壌および野生生物(土壌および野生生物)について、毒性情報に
よる暴露の控えめな推定値を統合したリスク指数分析を実施した。これらの分析は、
DBDPE によってもたらされる現在のリスクが低いことを示した。カナダにおける変換
製品の量に関する情報が不足しているため、DBDPE 変換製品のリスク指数分析は実施
されなかった。変換製品は、親 DBDPE と比較してマイナーな割合を示すと予想される。
しかし、それらはアナログデカ BDE 異性化生成物の予測/測定画分に類似しており、環
境中の DBDPE レベルが(例えば置換難燃剤としての使用のために)増加し続ける場合、
潜在的な臭素化変換生成物のプールが重要になり得る。
DBDPE のスクリーニング評価の草案で提示された証拠と、持続性、生物蓄積性、およ
びある種の形質転換産物の固有の毒性の可能性を考慮すると、生物に害を及ぼす危険性
があるが、DBDPE からの環境の完全性はない。 DBDPE が、CEPA 1999 のパラグラフ
64(a)に基づく基準を満たしていると結論付けることが提案されている。これは、量
的または集中的に環境に入るか、または環境に入り込む可能性があるか、または直ちに
または長期的に有害な影響を及ぼす環境またはその生物多様性に影響を与える。しかし、
DBDPE は、量的または集中的な環境に入らない環境、または環境に危険を及ぼす環境
下にあるため、CEPA 1999 のパラグラフ 64(b)に基づく基準を満たしていないと結論
することが提案されている。
国内または国際規制機関による DBDPE の健康影響の分類は特定されなかった。
DBDPE を用いた慢性または発がん性試験は特定されなかった。遺伝毒性に関する利用
10
可能な情報に基づいて、DBDPE は遺伝毒性とはみなされない。亜慢性動物試験では有
害作用は認められなかった。 2 つの別個の発達毒性試験において、経口経路を介して
DBDPE に曝露された実験動物では、治療に関連する母体または発生の影響は観察され
なかった。ヒトにおけるバイオモニタリングのデータは限られている。
実験的動物実験で試験された最も高い用量は、治療に関連する効果がなく、カナダ一
般の人口に対する環境媒体からの DBDPE への暴露の推定値よりも 7 桁高い。このマー
ジンは、健康影響および暴露データベースの不確実性を説明するのに十分と考えられる。
これを踏まえて、DBDPE は CEPA 1999 のパラグラフ 64(c)の基準を満たさないと提案
されている。
全体として提案された結論として DBDPE は、CEPA 1999 のセクション 64 に記載され
ている基準の 1つ以上を満たすと結論することが提案されている。DBDPEは、CEPA 1999
の持続性および生物蓄積性規制に示されているように、 DBDPE は、環境中の低臭素化
BDPE などの持続性の、生物蓄積性の本質的に毒性の変換生成物の形成に寄与する可能
性がある。
3.2 現状の難燃剤需要状況
(1) 現状の難燃剤需要状況
現状の難燃剤需要状況について示す。(※化学工業日報 2017 年 4 月 17 日より抜粋)
難燃剤の国内需要は、ここ数年大きな落ち込み見られず、安定して推移。世界では、
アジアを中心に拡大しており、難燃剤メーカーも海外展開を積極化している。
臭素系、塩素系、リン系、無機系の主な難燃剤の需要量推移 (1998 年~2016 年;化学工業
日報より) を別添-3 に示す。
① 臭素系難燃剤
臭素系難燃剤の国内需要は、低位ながら安定した基調を継いでいる。臭素系難燃剤は、
添加量が少ないため、樹脂本来の機能性を損なわないメリットがあり、コストパフォー
マンスから根強い需要がある。
TBBPA :電気・電子機器のエポキシ積層板が最大の用途で需要量は、昨年度より減
少し 11,000t。
DeBDE :POPs規制対象物質に挙がっていることから国内需要量も年々減少し、昨
年度より減少して 500t と推定。主要サプライヤーである東ソーやマナックも今年 3 月
で国内販売を終了することをアナウンスしており、17年の需要量は、ゼロに近づくこ
とが予想される。
現状、エチレンビスペンタブロモジフェニール(デカブロモジフェニルエタン)など
が DeBDE に代わる受け皿となっている。16 年の需要量は、昨年度より増加し、6500 t
と推定。
HBCD :POPs条約の廃絶対象物質に追加されたことを受け、14 年度は完全に国内
市場から消えている。 代替品については、第一工業製薬が早くから開発した「ピロガ
ード SR130」
を展開。マナックも繊維用として「EB-70」を展開。ケムチュラ、アルベマール、ICL
11
も(臭素化ブタジエンスチレン共重合体)の販売を開始し、16 年の国内需要量は、1500
tと推定。
② リン系難燃剤
リン系難燃剤で量的に多いのが、リン酸エステル系で PVC(塩化ビニル樹脂)に広く使
用されるモノマー型と高分子量で揮発性が低い縮合型がある。モノマー型は、塩化ビニ
ル樹脂向けが中心で合成皮革や防水シート、電線ケーブルなどに使用され、縮合型は、
PC(ポリカーボネート)、PC/ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、変性 PPE(ポ
リフェニレンエーテル)などのエンジニアリングプラスチックが主用途。
リン酸エステル系の国内需要量は、2 万 t 弱レベルで量的に多いビスフェノールAビ
ス-ジフェニルホスフェート(BDP)は 3000 tと推定。
(主要メーカーの動向)
・大八化学 : 耐加水分解性や耐熱性に優れる製品のほか、ノンハロゲンであるが現
行の含ハロゲン系難燃剤と同等以上の効果を有するポリウレタン用フォームとして高
含リン酸縮合型「DAIGUARD-880」を開発。
・ADEKA : 難燃剤を樹脂添加剤事業の中の重要製品として位置づけ、グローバルに
戦略的な拡販を行っている。リン酸エステル系難燃剤のトップサプライヤーとして毎年
シェアを伸ばしている。
・三光 : ホスファフェナントレン系難燃剤(HCA)及びその誘導体を国内外で展開。
熱安定性に優れ、比重も軽いメリットからエポキシ樹脂用の反応型難燃剤として採用が
広がっている。
・日産化学工業 : 窒素系難燃剤「メラミンシアヌレート」を展開。ナイロン向けを
中心に市場に浸透。主原料であるメラミンとシアヌール酸から一貫製造しているメーカ
ーは、世界でも同社だけで高い評価を受けている。
窒素・リン系難燃剤で大きな市場になると期待されているのが、木質建材の難燃化用
途。3 階以上の公共住宅やホテル、劇場などでは内装材に防炎材料を用いなければなら
ないが、改正建築法で性能を満たせば木質材でも不燃・準不燃材の大臣認定を受けるこ
とが可能になり、難燃薬剤を含浸させて内装材が開発、一部で実用化されている。
③ 無機系難燃剤
無機系難燃剤は、三酸化アンチモンや水酸化マグネシウムが広く用いられている。三
酸化アンチモンは、臭素系難燃剤に少量添加することで難燃効果を高める助剤として用
いられるほか、塩化ビニルなどハロゲン構造を持つ樹脂では、三酸化アンチモン単独で
難燃剤として利用される。国内のメーカーは、日本精鉱、山中産業、東湖産業の 3 社。
国内需要は、臭素系難燃剤と比例する形でここ数年は 9000 t 前後で推移しているが、
2016 年に比べるとわずかに増加。国内においては、三酸化アンチモンの取扱いに関す
る規制が 6 月から始まり、厚生労働省では、特定化学物質障害予防規則に追加。
水酸化マグネシウムは、各種の電線被覆用の素材として需要が伸びており、ここ数年
は、10,000t 強レベルで推移。
12
(2) 世界の臭素生産量
世界の臭素生産量は、U.S. Geological Survey では 2016 年、390,700 t で 2015 年とほぼ同程
度の水準であった。
世界の臭素生産量(推定)(1998 年~2016 年;USGS(Mineral Commodity Summaries))に
ついて別添-3 に示す。
3.3 臭素系難燃剤の排出・移動量の推移(PRTR データ)
PRTR 制度の対象となる化学物質は、「第一種指定化学物質」として定義されている。具
体的には、人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、環境中に広く存在する(暴
露可能性がある)と認められる物質として、計 462 物質が指定されています。そのうち、発が
ん性、生殖細胞変異原性及び生殖発生毒性が認められる「特定第一種指定化学物質」として
15 物質が指定されている。臭素系難燃物質は、DeBDE と 2,4,6,-TrBPh の 2 物質がある。
DeBDE 排出・移動量の推移では、排出・移動量の届出事業者については、2003 年度(81
事業者)より減少しており、2015 年度では、32 事業者となっている。排出・移動量では、
2001 年度は、91,000 kg で、2007 年度は、220,000 kg で毎年増加傾向であったが、2008 年度
以降は、減少傾向で 2015 年度は、100,000 kg で 2007 年度よりも半減している。
2,4,6-TrBPh 排出・移動量の推移では、排出・移動量の届出事業者については、2001 年度
(9 事業者)であったが、徐々に減少し、2015 年度は、4 事業者になっている。排出・移動
量では、2001 年度は、7,100 kg であったが、毎年増加傾向で 2015 年度は、25,000 kg となっ
ているが、各年度 1 事業者よりの届出が 90%以上を占めている。
別添-3 に、DeBDE(2001 年~2015 年)と 2,4,6-TrBPh(2001 年~2015 年の排出・移動量
の推移を示す。
13
4. 臭素系ダイオキシン類排出実態調査結果について
4.1 対象施設
対象施設は、難燃繊維加工施設について調査を行った。難燃繊維加工施設については、
過去に PBDD/Fs が高濃度で検出されており、排水処理対策が急務であることから、本調
査では、過去の調査で排水処理により削減効果が高い処理設備を有する施設で、排水処
理工程における臭素系ダイオキシン類の削減状況について調査を行った。
※平成 27 年度調査施設(B)と同一施設。
4.2 調査媒体
調査対象施設関連項目
調査対象施設からの排出の可能性が高いと考えられる水系への排出を把握するととも
に各排水工程における処理状況を把握するため、以下の媒体について調査した。別図-1
に調査施設概要(製造工程フロー・排水処理フロー・試料採取箇所)を示す。
・ 排出水
(工程水・総合排水)
・ 汚泥
4.3 分析項目
臭素系ダイオキシン類とは, PCDD/Fs の塩素が 1 つ以上臭素に置換したものであり,
PCDD/Fs の全ての塩素が臭素に置換した PBDD/Fs, 塩素が 1 つだけ臭素に置換したモノ
臭素化塩素化ダイオキシン類(MoBPCDD/Fs), 塩素が 2 つ臭素に置換したジ臭素化塩素
化ダイオキシン類(DiBPCDD/Fs)等の総称であるが、本調査では、臭素系ダイオキシン
類の中の臭素化ダイオキシン類(PBDD/Fs)について分析項目とする。
(1) 臭素化ダイオキシン類(PBDD/Fs)
a. 2,3,7,8-位臭素置換異性体
2,3,7,8-TeBDD、1,2,3,7,8-PeBDD、1,2,3,4,7,8-HxBDD、
1,2,3,6,7,8-HxBDD、1,2,3,7,8,9-HxBDD、1,2,3,4,6,7,8-HpBDD、OBDD、
2,3,7,8-TeBDF、1,2,3,7,8-PeBDF、2,3,4,7,8-PeBDF、
1,2,3,4,7,8-HxBDF、1,2,3,4,6,7,8-HpBDF、OBDF
b. 同族体
TeBDDs、PeBDDs、HxBDDs、HpBDDs、OBDD、
TeBDFs、PeBDFs、HxBDFs、HpBDFs、OBDF
(2) ポリブロモジフェニルエーテル(PBDEs)
a. PBDEs の異性体
4,4’-DiBDE(#15)、2,4,4’-TrBDE(#28)、2,2’,4,4’-TeBDE(#47)、
2,2’,4,4’,5-PeBDE(#99)、2,2’,4,4’,6-PeBDE(#100)、
2,2’,4,4’,5,5’-HxBDE(#153)、2,2’,4,4’,5,6’-HxBDE(#154)、
2,2’,3,4,4’,5’,6-HpBDE(#183)、DeBDE(#209)
b. PBDEs の同族体
MoBDEs、DiBDEs、TrBDEs、TeBDEs、PeBDEs、HxBDEs、HpBDEs、
OBDEs、NoBDEs、DeBDE
(3) テトラブロモビスフェノール A (TBBPA)
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(4) ブロモフェノール(BPhs)
a. BPhs の異性体
2-MoBPh、3/4-MoBPh、2,6-DiBPh、2,5/3,5-DiBPh、
2,4-DiBPh、3,4-DiBPh、2,3-DiBPh、2,4,6-TrBPh、
2,3,6-TrBPh、2,4,5-TrBPh、2,3,5-TrBPh、3,4,5-TrBPh、2,3,4-TrBPh、
2,3,4,5-TeBPh、2,3,4,6-TeBPh、2,3,5,6-TeBPh
b. PBPhs の同族体
MoBPhs、DiBPhs、TrBPhs、TeBPhs、PeBPh
(5) ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)
α-HBCD、β-HBCD、γ-HBCD
(6) デカブロモジフェニルエタン(DBDPE)
4.4 施設概要等
施設情報一覧を表 4.1 に、採取媒体一覧を表 4.2 に示す。
表 4.1 施設概要等 (排水)
施設名 A 施設
概要 輸送機器用内装材の製造、加工、販売
使用難燃剤
DeBDE(使用量は少ない)
DBDPE
リン系難燃剤
主な水処理方法 凝集沈殿法+生物活性炭吸着法
排水放流先 河川
表 4.2 採取試料一覧表
媒体 採取場所
排出水(工程水)-1 流量調整槽
排出水(工程水)-2 原水ピット出口
排出水(工程水)-3 沈殿槽出口
排出水(工程水)-4 中和槽出口
総合排水 最終放流口
汚泥 撹拌槽(乾燥炉前)、乾燥炉出口
15
4.5 試料概要
(1) 排出水
表 4.3 排出水試料の概況(1)
※排出水は、排水処理工程の時間を考慮して各4回採取した試料をコンポジットして、1つの
試料とした。(流量調整槽を除く)
表 4.4 排出水試料の概況(2)
(2) 汚泥
汚泥については、乾燥前の汚泥と乾燥後(160~180℃:1h)の汚泥を採取した。
採取場所 採取回数 pH 水温(℃) 気温(℃) 透視度(cm)
流量調整槽 1 回目 7.24 28.2 16.0 1.5
原水ピット出口 1 回目 7.58 18.4 20.5 7.0
2 回目 9.51 19.9 21.0 6.5
3 回目 9.56 20.0 22.5 6.5
4 回目 9.38 20.8 22.5 7.5
沈殿槽出口 1 回目 8.44 19.6 23.5 >30
2 回目 8.75 19.8 23.0 >30
3 回目 8.62 19.8 21.5 >30
4 回目 8.86 19.7 18.5 >30
中和槽出口 1 回目 7.99 20.0 22.5 >30
2 回目 6.98 19.4 18.5 >30
3 回目 7.17 19.3 16.0 >30
4 回目 7.27 19.7 14.5 >30
1 回目 7.12 23.9 18.0 >30
最終放流口 2 回目 7.21 28.1 16.0 >30
3 回目 7.20 22.5 14.5 >30
4 回目 7.23 21.2 14.5 >30
採取場所 臭化物イオン
(mg/L)
電気伝導度
(mS/m)
SS
(mg/L) 外観
流量調整槽 11 230 96 濃緑黒色
原水ピット出口 0.6 93 49 濃褐色
沈殿槽出口 0.8 170 11 淡黄色
中和槽出口 0.7 170 6.7 淡黄色
最終放流口 0.6 130 2.9 無色
16
4.6 分析方法
(1) 分析方法
a. PBDD/Fs
「ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方
法」(平成 19 年 3 月 環境省水・大気環境局総務課ダイオキシン対策室)により測定を
行った。各媒体別の試料抽出フロー図 4.1~4.2 により抽出後、各媒体共通分析フロー図
4.3 により測定を行った。
b. PBDEs
各媒体別の試料抽出フロー図 4.1~4.2 により抽出後、各媒体共通分析フロー図 4.4 に
より測定を行った。
c. TBBPA
各媒体別の試料抽出フロー図 4.1~4.2 により抽出後、各媒体共通分析フロー図 4.4 に
より測定を行った。
d. PBPhs
各媒体別の試料抽出フロー図 4.1~4.2 により抽出後、各媒体共通分析フロー図 4.4 に
より測定を行った。
e. HBCDs
各媒体別の試料抽出フロー図 4.1~4.2 により抽出後、各媒体共通分析フロー図 4.4 に
より測定を行った。
f. DBDPE
各媒体別の試料抽出フロー図 4.1~4.2 により抽出後、各媒体共通分析フロー図 4.4 に
より測定を行った。
(2) 試料採取の概要
a. 排出水
採水場所において、ステンレス製バケツ類、杓により水をくみ取り、褐色ガラス瓶の
10%の空間が残る程度まで採取場所の水を採水した。
b. 汚泥
採取場所において、乾燥前汚泥は、ステンレス製杓で採取、乾燥後の汚泥は、ステ
ンレス製スコップにより褐色ガラス瓶に採取した。
(3) 分析フロー
各媒体別の試料抽出フローを図 4.1~図 4.2 に示す。また、各媒体共通の分析フローを
図 4.3 及び図 4.4 に示す。
17
a. 排出水
b. 汚泥
定容 粗抽出液
分析用試料
トルエン
16 時間以上
ジクロロメタン
3 回
ろ 過
風 乾
ろ過残留物
ソックスレー抽出
液/液振とう抽出
ろ 液
図 4.1 排出水抽出分析フロー
トルエンソックスレー 24 時間
分析用試料
ソックスレー抽出
粗抽出液 定容
図 4.2 汚泥抽出分析フロー
塩酸処理
18
c. 各媒体共通分析フロー
① PBDD/Fs
図 4.3 各媒体共通分析フロー(1)
・ PBDD/Fs
測定用
・ 20%ジクロロメタン含有
n-ヘキサン 100mL
内標準物質添加
(クリーンアップスパイク)
濃縮
抽出液(定容)
分取
・ ジクロロメタン 200mL
・ トルエン 100mL
濃縮
内標準物質添加
(シリンジスパイク)
測定用試料
GC/HRMS
定性・定量
多層シリカゲルカラム
クロマトグラフ
リバース型カーボンカラム
クロマトグラフ
19
② PBDEs、TBBPA、PBPhs、HBCDs、DBDPE
図 4.4 各媒体共通分析フロー(2)
・ TBBPA
・ HBCDs
測定用
・ PBDEs
・ DBDPE
測定用
抽出液(定容)
・5%ジクロロメタン含有
n-ヘキサン 100mL
濃縮
測定用試料
HRGC/HRMS
定性・定量
多層シリカゲルカラム
クロマトグラフ
内標準物質添加
(シリンジスパイク)
測定用試料
LC/MS/MS
定性・定量
濃縮 濃縮
分取
・ PBPhs
測定用
エチル誘導体化
フロリジルカラム
クロマトグラフ
濃縮
濃縮
測定用試料
HRGC/HRMS
定性・定量
・4%エーテル含有
n-ヘキサン 8mL
内標準物質添加
(クリーンアップスパイク)
20
4.7 HRGC/HRMS 分析条件
(1) PBDD/Fs
a. 分析装置
GC: HP-6890(Agilent 社製)
MS: JMS-700 MStation(日本電子社製)
b. GC 部条件
① 4~6 臭素化体
・ 分離カラム:DB-17HT(J&W 社製)
fused silica capillary column 30m×0.25mm(id)×0.15μm
・ カラム温度:150℃(2min hold)→10℃/min→220℃→5℃/min→
280℃(20min hold)→20℃/min→310℃(14min hold)
・ 注入方法 :スプリットレス法
② 7~8 臭素化体
・ 分離カラム:DB-5MS(J&W 社製)
fused silica capillary column 15m×0.25mm(id)×0.10μm
・ カラム温度:170℃(1min hold)→15℃/min→260℃→10℃/min→
310℃(8min hold)
・ 注入方法 :スプリットレス法
c. MS 部条件
MS 設定条件及び設定質量数を表 4.5~表 4.8 に示す。
① 4~6 臭素化体
・MS 設定条件
表 4.5 MS 設定条件
イオン化方法 EI
イオン化電圧 38eV
イオン化電流 600μA
加速電圧 10kV
インターフェース温度 280℃
イオン源温度 280℃
分解能 10,000 以上
② 7~8 臭素化体
・MS 設定条件
表 4.6 MS 設定条件
イオン化方法 EI
イオン化電圧 38eV
イオン化電流 600μA
加速電圧 9kV
インターフェース温度 280℃
イオン源温度 280℃
分解能 10,000 以上
21
表 4.7 設定質量数
(M+2)+ (M+4)+
(M+6)+ (M+8)+
TeBDDs 497.6924 499.6904
PeBDDs 577.6009 579.5989
HxBDDs 655.5114 657.5094
HpBDDs 735.4199 737.4179
OBDD 813.3304 815.3284
TeBDFs 481.6975 483.6955
PeBDFs 561.6060 563.6039
HxBDFs 639.5165 641.5145
HpBDFs 719.4250 721.4230
OBDF 797.3355 799.3335
表 4.8 設定質量数(内標準物質)
(M+2)+ (M+4)+
(M+6)+ (M+8)+
13C12-TeBDDs 509.7327 511.7307
13C12-PeBDDs 589.6412 591.6391
13C12-HxBDDs 667.5517 669.5496
13C12-HpBDDs
747.4601 749.4581
13C12-OBDD 825.3706 827.3686
13C12-TeBDFs 493.7378 495.7357
13C12-PeBDFs 573.6462 575.6442
13C12-HxBDFs 651.5568 653.5547
13C12-HpBDFs 731.4653 733.4632
13C12-OBDF
809.3757 811.3737
(2) PBDEs
a. 分析装置
GC: HP-6890(Agilent 社製)
MS: JMS-700 MStation(日本電子社製)
b. GC 部条件
① 1~7 臭素化体
・ 分離カラム:HP-5MS(Agilent 社製)
fused silica capillary column 30m×0.25mm(id)×0.25μm
・ カラム温度:90℃(2min hold)→10℃/min→190℃→5℃/min→280℃(13min hold)
→15℃/min→310℃(20min hold)
・ 注入方法 :スプリットレス法
② 8~10 臭素化体
・ 分離カラム:DB-5MS(J&W 社製)
fused silica capillary column 15m×0.25mm(id)×0.10μm
22
・ カラム温度:170℃(1min hold)→15℃/min→260℃→10℃/min→310℃(8min hold)
・ 注入方法 :スプリットレス法
c. MS 部条件
MS 設定条件及び設定質量数を表 4.9~表 4.12 に示す。
① 1~7 臭素化体
・MS 設定条件
表 4.9 MS 設定条件
イオン化方法 EI
イオン化電圧 38eV
イオン化電流 600μA
加速電圧 10kV
インターフェース温度 280℃
イオン源温度 280℃
分解能 10,000 以上
② 8~10 臭素化体
・MS 設定条件
表 4.10 MS 設定条件
イオン化方法 EI
イオン化電圧 38eV
イオン化電流 600μA
加速電圧 9kV
インターフェース温度 280℃
イオン源温度 280℃
分解能 10,000 以上
表 4.11 設定質量数
M+ (M+2)+
(M+4)+ (M+6)+
(M+8)+ (M+10)+
MoBDEs 247.9837 249.9816
DiBDEs 325.8942 327.8921
TrBDEs 405.8027 407.8006
TeBDEs 483.7132 485.7111
PeBDEs 563.6216 565.6196
HxBDEs 641.5321 643.5301
HpBDEs 721.4406 723.4386
OBDEs ※[(M+6)-2Br] +
641.5145 ※[(M+8)-2Br]+643.5125 801.3491 803.3471
NoBDEs ※[(M+8)-2Br] +
719.4250 ※[(M+10)-2Br]+721.4230 879.2596 881.2576
DeBDE ※[(M+8)-2Br] +
797.3355 ※[(M+10)-2Br]+799.3335 957.1701 959.1681
※フラグメントイオン
23
表 4.12 設定質量数(内標準物質)
M+ (M+2)+
(M+4)+ (M+6)+
(M+8)+ (M+10)
+ 13
C12-MoBDEs
MoMoBDEs
260.0239 262.0219
13C12-DiBDEs 337.9344 339.9324
13C12-TrBDEs 417.8429 419.8409
13C12-TeBDEs 495.7534 497.7514
13C12-PeBDEs 575.6619 577.6599
13C12-HxBDEs 653.5724 655.5704
13C12-HpBDEs 733.4809 735.4789
13C12-OBDEs ※[(M+4)-2Br]+651.5568 ※[(M+6)-2Br]+653.5547 813.3894 815.3874
13C12-NoBDEs ※[(M+8)-2Br]+731.4652 ※[(M+10)-2Br]+733.4632 891.2999 893.2979
13C12-DeBDE ※[(M+8)-2Br]+809.3757 ※[(M+10)-2Br]+811.3737 969.2104 971.2084
※フラグメントイオン
(3) TBBPA 及び HBCDs
a. 分析装置
LC: 1200 シリーズ (Agilent 製)
MS/MS: Triple Quad 5500 (AB SCIEX 社製)
b. LC 部条件
分離カラム:Develosil C30-UG-5 2.1mm×150mm (野村化学製)
移動相: A:10mM 酢酸アンモニウム溶液 B:CH3CN
A:B=65:35 (1min)→(15min)→0:100 (5min)
・流速:0.2mL/min
・カラム温度:40℃
・注入量:10μL
c. MS/MS 部条件
MS/MS 設定条件及び設定質量数を表 4.13~表 4.15 に示す。
・MS/MS 設定条件
表 4.13 MS 設定条件
インターフェース エレクトロスプレー(ESI)
モード negative
カーテンガス(CUR) 40psi
イオンスプレー電圧(IS) -4500V
プローブ温度(TEM) 600℃
コリジョンガス(CAD) 5psi
イオンソースガス 1 50psi
イオンソースガス 2 40psi
24
表 4.14 設定質量数
プレカーサーイオン プロダクトイオン
TBBPA 542.5 78.8
HBCDs 640.3 81.0
表 4.15 設定質量数(内標準物質)
プレカーサーイオン プロダクトイオン
13C12-TBBPA 554.6 80.7
13C12-HBCDs 652.5 78.9
d16-BPA(ビスフェノール A) 241.0 141.9
(4) PBPhs
a. 分析装置
GC: HP-6890(Agilent 社製)
MS: JMS-700 MStation(日本電子社製)
b. LC 部条件
分離カラム:HP-5MS(Agilent 社製)
fused silica capillary column 30m×0.25mm(id)×0.15μm
カラム温度:60℃(1min hold)→15℃/min→220℃→25℃/min→320℃(5min hold)
・注入方法 :スプリットレス法
c. MS 部条件
MS 設定条件及び設定質量数を表 4.16~表 4.18 に示す。
・MS 設定条件
表 4.16 MS 設定条件
イオン化方法 EI
イオン化電圧 38eV
イオン化電流 600μA
加速電圧 10kV
インターフェース温度 250℃
イオン源温度 250℃
分解能 10,000 以上
表 4.17 設定質量数
M+ (M+2)+
(M+4)+ (M+6)+
MoBPhs 171.9524 173.9504
DiBPhs 249.8629 251.8609
TrBPhs 329.7714 331.7693
TeBPhs 407.6819 409.6798
PeBPh 487.5903 489.5883
25
表 4.18 設定質量数(内標準物質)
M+ (M+2)+
(M+4)+ (M+6)+
13C6-MoBPhs 177.9725 179.9705
13C6-DiBPhs 255.8830 257.8810
13C6-TrBPhs 335.7915 337.7894
13C6-TeBPhs 413.7020 415.6999
13C6-PeBPh 493.6104 495.6084
(5) DBDPE
a. 分析装置
GC: HP-6890(Agilent 社製)
MS: JMS-700 MStation(日本電子社製)
b. GC 部条件
分離カラム:DB-5MS(J&W 社製)
fused silica capillary column 15m×0.25mm(id)×0.10μm
カラム温度:170℃(1min hold)→15℃/min→260℃→10℃/min→310℃(8min hold)
・注入方法 :スプリットレス法
c. MS 部条件
MS 設定条件及び設定質量数を表 4.19~表 4.21 に示す。
・MS 設定条件
表 4.19 MS 設定条件
イオン化方法 EI
イオン化電圧 38eV
イオン化電流 600μA
加速電圧 9kV
インターフェース温度 280℃
イオン源温度 280℃
分解能 10,000 以上
表 4.20 設定質量数
[(M+4)-C7H2Br5]+ [(M+6)-C7H2Br5]
+
DBDPE 484.6032 486.6012
※フラグメントイオン
表 4.21 設定質量数(内標準物質)
[(M+4)-C7H2Br5]+ [(M+6)-C7H2Br5]
+
13C14- DBDPE 491.6267 493.6246
※フラグメントイオン
26
4.8 検出下限値
検出下限算出方法
CDL :試料における検出下限(pg (ng) /試料単位)
DL :測定方法の検出下限(pg (ng))
ⅴi :HRGC/HRMS(LC/MS/MS)への注入量(μL) v:測定試料の液量(μL)
VE :抽出液量(mL) V′E:抽出液の分取量(mL)
V :試料量
検出下限算出に用いた試料量
排水:25L, 汚泥:20g
※排水(1):工程水、排水(2):最終放流水
※ 検出下限値は、分取量により異なる場合がある。
表 4.22 PBDD/Fs 検出下限値一覧表
試料の種類 排水(1) 排水(2) 汚泥
単位 pg/L pg/L ng/g-dry
2,3,7,8-TeBDD 0.2 0.03 0.002
1,2,3,7,8-PeBDD 0.5 0.09 0.006
1,2,3,4,7,8-HxBDD 2 0.5 0.03
1,2,3,6,7,8-HxBDD 3 0.6 0.04
1,2,3,7,8,9-HxBDD 2 0.4 0.03
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD 2 0.4 0.02
OBDD 5 0.9 0.06
2,3,7,8-TeBDF 0.2 0.03 0.002
1,2,3,7,8-PeBDF 0.7 0.1 0.009
2,3,4,7,8-PeBDF 1 0.2 0.01
1,2,3,4,7,8-HxBDF 2 0.4 0.03
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 2 0.4 0.02
OBDF 5 1 0.06
CDL = × × ×
vi
DL
vi
v VE
V’E V
1
27
表 4.23 PBDEs、TBBPA 検出下限値一覧表
試料の種類 排水(1) 排水(2) 汚泥
単位 ng/L ng/L ng/g-dry
MoBDEs 0.02 0.02 0.03
4,4'-DiBDE(#15) 0.02 0.02 0.03
DiBDEs 0.02 0.02 0.03
2,4,4'-TrBDE(#28) 0.04 0.04 0.04
TrBDEs 0.04 0.04 0.05
2,2',4,4'-TeBDE(#47) 0.03 0.03 0.04
TeBDEs 0.06 0.06 0.08
2,2',4,4',6-PeBDE(#100) 0.03 0.03 0.04
2,2',4,4',5-PeBDE(#99) 0.05 0.05 0.06
PeBDEs 0.05 0.05 0.06
2,2',4,4',5,6'-HxBDE(#154) 0.04 0.04 0.05
2,2',4,4',5,5'-HxBDE(#153) 0.06 0.06 0.08
HxBDEs 0.1 0.1 0.1
2,2',3,4,4',5',6-
HpBDE(#183) 0.09 0.09 0.1
HpBDEs 0.09 0.09 0.1
OBDEs 0.05 0.05 0.07
NBDEs 0.1 0.1 0.2
2,2',3,3',4,4',5,5',6,6'
-DeBDE(#209) 0.2 0.2 0.2
TBBPA 0.1 0.1 0.8
※排水(1):工程水、排水(2):最終放流水
※ 検出下限値は、分取量により異なる場合がある。
28
表 4.24 PBPhs 及び HBCDs 検出下限値一覧表
試料の種類 排水(1) 排水(2) 汚泥
単位 ng/L ng/L ng/g-dry
2-bromophenol 0.5 0.2 0.6
3-bromophenol 0.5 0.2 0.6
4-bromophenol 0.5 0.2 0.6
2,3-dibromophenol 0.5 0.2 0.6
2,4-dibromophenol 0.5 0.2 0.6
2,5-dibromophenol 0.5 0.2 0.6
2,6-dibromophenol 0.5 0.2 0.6
3,4-dibromophenol 0.5 0.3 0.6
3,5-dibromophenol 0.5 0.3 0.6
2,3,4-tribromophenol 0.4 0.2 0.5
2,3,5-tribromophenol 0.4 0.2 0.5
2,3,6-tribromophenol 0.4 0.2 0.5
3,4,5-tribromophenol 0.4 0.2 0.5
2,4,5-tribromophenol 0.4 0.2 0.5
2,4,6-tribromophenol 0.4 0.2 0.5
2,3,4,5-tetrabromophenol 0.4 0.2 0.5
2,3,4,6-tetrabromophenol 0.4 0.2 0.5
2,3,5,6-tetrabromophenol 0.4 0.2 0.5
2,3,4,5,6-pentabromophenol 0.4 0.2 0.5
α-HBCD 0.1 0.1 0.9
β-HBCD 0.05 0.05 0.3
γ-HBCD 0.2 0.2 1
DBDPE 1 0.5 1
※排水(1):工程水、排水(2):最終放流水
※ 検出下限値は、分取量により異なる場合がある。
29
4.9 調査結果(総括表)
(1) 臭素系ダイオキシン類(PBDD/Fs)
a. 排出水
表 4.25 排出水の分析結果(実測濃度)(pg/L)
物質名 流量調整槽 原水ピット
出口
沈殿槽
出口
中和槽
出口 最終放流口
PBDDs ND 39 ND ND ND
PBDFs 7 9,100 0.6 ND 10
PBDD/Fs 7 9,100 0.6 ND 10
表 4.26 排出水の分析結果(毒性等量相当値)(pg-TEQ/L)
物質名 流量調整槽 原水ピット
出口
沈殿槽
出口
中和槽
出口 最終放流口
PBDDs 1.4 2.7 0.66 0.71 0.13
0 0.012 0 0 0
PBDFs 0.60 17 0.27 0.27 0.072
0.07 17 0 0 0.019
PBDD/Fs 2.0 20 0.93 0.98 0.20
0.07 17 0 0 0.019
注 1)PBDD/Fs(TEQ)は、WHO-TEF(2006)による PCDDs/DFs の TEF に準じて算出した参考値である。
注 2)毒性等量相当値の表中の上段は、検出下限値未満を検出下限値の 1/2 として算出したものである。
下段の数値は、検出下限値未満を「0」として算出したものである。
b. 汚泥
表 4.27 汚泥の分析結果(実測濃度)(ng/g-dry)
表 4.28 汚泥の分析結果(毒性等量相当値)(ng-TEQ/g-dry)
注 1)PBDD/Fs(TEQ)は、WHO-TEF(2006)による PCDDs/DFs の TEF に準じて算出した参考値である。
注 2)毒性等量相当値の表中の上段は、検出下限値未満を検出下限値の 1/2 として算出したものである。
下段の数値は、検出下限値未満を「0」として算出したものである。
物質名 汚泥
乾燥前 乾燥後
PBDDs ND 1.3
PBDFs 7.0 63
PBDD/Fs 7.0 65
物質名 汚泥
乾燥前 乾燥後
PBDDs 0.0091 0.0094
0 0.00034
PBDFs 0.053 0.28
0.053 0.28
PBDD/Fs 0.062 0.29
0.053 0.28
30
(2) 臭素系難燃物質(PBDEs、TBBPA、PBPhs、HBCDs 及び DBPDE)
a. 排出水
表 4.29 排出水における PBDEs、TBBPA、PBPhs、HBCDs 及び DBDPE の
分析結果(ng/L)
物質名 流量調整槽 原水ピット
出口
沈殿槽
出口
中和槽
出口 最終放流口
PBDEs 30 4,200 76 53 9.3
DeBDE 29 4,100 76 53 9.2
TBBPA 34 5.4 2.8 3.4 3.7
PBPhs 94 160 870 600 290
HBCDs 0.3 25 ND 0.2 3.2
DBDPE 3.5 13,000 410 270 33
注)表中の「ND」は、検出下限値未満であることを示す。
b. 汚泥
表 4.30 汚泥における PBDEs、TBBPA、PBPhs、HBCDs 及び DBDPE の
分析結果(ng/g-dry)
物質名 汚泥
乾燥前 乾燥後
PBDEs 36,000 36,000
DeBDE 36,000 35,000
TBBPA ND ND
PBPhs 140 83
HBCDs 27 22
DBDPE 18,000 22,000
注)表中の「ND」は、検出下限値未満であることを示す。
31
4.10 まとめ考察
難燃繊維加工施設における排水処理工程での臭素系ダイオキシン類の削減状況等に
ついて、調査結果のまとめを以下に示す。
なお、臭素系ダイオキシン類については、国際的に合意された毒性等価係数(TEF)
はないが、2011 年に WHO と国連環境計画(UNEP)が合同専門家会議を開催し、臭
素化ダイオキシン類の毒性等価係数設定に関する論議が行われ、ヒトのリスク評価に
おいて臭素化ダイオキシン類と塩素化ダイオキシン類には、同様のTEF値を使用す
ることが推奨されている。※1 ここでは、臭素化ダイオキシン類については、実測濃
度とともに、塩素化ダイオキシン類の WHO-TEF(2006)に準じて算出した毒性等量相
当値※2 についても、参考値として併せて示している。
(※1) van den Berg et al. (2013) Polybrominated dibenzo-p-dioxins, dibenzofurans, andbiphenyls: inclusion in the
toxicity equivalency factor concept for dioxin-like compounds.Toxicological Sciences, 133(2), 197–208.
(※2)まとめで用いた毒性等量相当値は、検出下限値未満の検出値に対しては、下限値の「1/2」として算出した
値を用いた。
本調査では、流量調整槽、原水ピットから最終放流口の 5 ヵ所及び汚泥(乾燥前・乾
燥後)について試料採取を行ったが、流量調整槽では、染色排水が中和された水が流
入するが、本調査時には臭素系難燃剤の使用が少ない排水のため、流量調整槽より後
工程であるが、他の工程時の排水や汚泥がある原水ピット(流量調整槽より排水処理
をされた排水が流入)からの削減効果を確認した。
(1) 排水
a. PBDD/Fs
PBDD/Fs については、過去に調査を行った 2015 年度原水ピットにおける実測濃度
(29,000 pg/L)と最終放流口における実測濃度(270 pg/L)よりも本調査の方が原水ピ
ットにおける実測濃度(9,100 pg/L)及び最終放流口おける実測濃度(10 pg/L)と低く、
最終放流口では、低濃度に管理されていた。各工程における濃度推移では、原水ピッ
ト~沈殿槽を出たところで低濃度になっており、約 99.9%の PBDD/Fs が削減されてい
た。2015 年度の分析結果と本調査の分析結果を図 4.5 に示す。また、原水ピットを基
準とした各工程での PBDD/Fs の削減率(%)を図 4.6 に示す。
同族体組成では、原水ピットは OBDF(80%)の比率が高く、最終放流口でも、OBDF
(30%)の比率が最も高いが、HxBDFs(23%), HpBDFs(19%), TeBDFs (17%), PeBDFs,
(12%)の比率が高かった。(別図-2 媒体別同族体組成 図-1)。
異性体組成では、原水ピットは OBDF(91%)の比率が高く、最終放流口では、OBDF
(61%)及び 1,2,3,4,6,7,8-HpBDF(39%)の比率が高かった。(別図-3 媒体別異性体組
成 図-1)。
図 4.5 2015 年度の分析結果と 2017 年度調査の分析結果(PBDD/Fs)
29000
270
9100
0.6
10
48
0.59
20
0.93 0.98
0.2
0.1
1
10
100
0.1
1
10
100
1000
10000
100000
2015原水ピット
2015
最終放流口
2017原水ピット
2017
沈殿槽出口
2017
中和槽出口
2017
最終放流口
PBD
D/F
s 毒性
等量相当値
(pg-
TE
Q/L
)
PBD
D/F
s 実測濃度
(pg/
L)
調査年度及び試料採取場所
PBDD/Fs実測濃度(pg/L) PBDD/Fs TEQ(pg-TEQ/L)
32
図 4.6 排水工程における PBDD/Fs 削減率(%)
b. PBDEs
PBDEs については、PBDD/Fs の発生源として影響が大きい物質であるが、2015 年度
調査では、原水ピットで実測濃度(330,000ng/L)であったが、2017 年度では、実測濃
度(4,200ng/L)と濃度が 2 桁程度低くなっている。また、最終放流口でも 2015 年度調
査では、実測濃度(1,000ng/L)、2017 年度では、実測濃度(9.3ng/L)と 2 桁程度低い
値となっている。PBDD/Fs と同様に 2015 年度の分析結果と本調査の分析結果を図 4.7
に示す。また、排水処理工程別に見ると PBDD/Fs と同様に沈殿槽の出口で約 98%の
PBDEs が削減されていた。原水ピットを基準とした各工程での PBDE 削減率(%)を
図 4.8 に示す。
同族体組成は、2015 年度と同様に DeBDE(98%以上)が大部分を占めていた。別図
-2 参照。(別図-2 媒体別同族体組成 図-2)
異性体組成は、DeBDE の比率が高いが、DeBDE を除く異性体については、濃度が低
いが、原水ピットでは、2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE(52%)、2,2’,4,4’,5,5’-HxBDE
(23%)、2,2’,4,4’,5,6’-HxBDE(18%)の比率が高かった。(別図-3 媒体別異性体組成
図-2)。
図 4.7 2015 年度の分析結果と 2017 年度調査の分析結果(PBDEs)
99.07 99.99 100.00 99.89
98.77
95.35 95.10
99.00
99.29 100.00 100.00 99.89
90.0
95.0
100.0
2015
最終放流口
2017
沈殿槽出口
2017
中和槽出口
2017
最終放流口P
BD
D/F
s 削
減率
(%)
調査年度・採取場所
PBDD/Fs(pg/L) PBDD/Fs (pg-TEQ/L)(下限:1/2) PBDD/Fs (pg-TEQ/L)(下限:0)
330000
10004200
76 53
9.3
1
10
100
1000
10000
100000
1000000
2015原水ピット
2015
最終放流口
2017原水ピット
2017
沈殿槽出口
2017
中和槽出口
2017
最終放流口
PBD
Es実測濃度
(ng/
L)
調査年度及び試料採取場所
33
図 4.8 排水工程における PBDEs 削減率(%)
c. TBBPA
TBBPA については、実測濃度(2.8~34ng/L)で 2015 年度調査時、実測濃度(4.6・
18ng/L)と同レベルの濃度であった。
d. HBCDs
HBCDs については、POPs 規制や化審法により第一種特定化学物質に指定などで工程
では使用していないため、原水ピットでは実測濃度(25ng/L)で、2015 年度調査時、
実測濃度(890ng/L)より非常に低い濃度であった。
異性体組成は、原水ピット及び最終放流口ではα-HBCD(84%, 72%)の比率が高か
った。(別図-3 媒体別異性体組成 図-3)。
e. PBPhs
PBPhsについては、実測濃度(94~870ng/L)で2015年度調査時、実測濃度(11・54ng/L)
よりも高い濃度であった。特に沈殿槽では、実測濃度(870ng/L)で最も濃度が高かっ
た。
同族体組成は、流量調整槽、原水ピットでは DiBPhs(55%, 54%)の比率が最も高く、
次いで MoBPhs(27%, 36%)が高かった。沈殿槽以降の排水工程では、MoBPhs の比率
が高く、沈殿槽 (85%), 中和槽出口(77%), 最終放流口(76%)で流量調整槽、原
水ピットとは異なっていた。別図-2 参照。(別図-2 媒体別同族体組成 図-3)
異性体組成は、流量調整槽では 2,5/3,5-DiBPh(50%)の比率が高く、原水ピットで
は 2,4-DiBPh(40%)及び 2-MoBPh(31%)の比率が高かった。沈殿槽以降の排水工程
では、2-MoBPh の比率が高く、沈殿槽 (66%), 中和槽出口(66%), 最終放流口(59%)
であった。(別図-3 媒体別異性体組成 図-4)。
f. DBDPE
DBDPE については、DeBDE の代替品として使用されており、原水ピットでは、
13,000ng/L で高濃度で検出されているが、PBDD/Fs と同様に最終放流口では、33ng/L
と非常に低濃度になっている。PBDD/Fs, PBDEs と同様に原水ピットを基準とした排水
工程における DBDPE 削減率(%)を図 4.9 に示す。
99.70
98.19 98.74
99.78
90.0
95.0
100.0
2015
最終放流口
2017
沈殿槽出口
2017
中和槽出口
2017
最終放流口
PB
DE
s 削
減率
(%)
調査年度・試料採取場所
34
図 4.9 排水工程における DBDPE 削減率(%)
(2) 汚泥
a. PBDD/Fs
汚泥は、乾燥前と乾燥(160~180℃)1時間乾燥後の試料を分析した結果、PBDD/Fs
実測値の実測値は、乾燥前は、実測濃度(7.0 ng/g-dry)で乾燥後は、実測濃度(65ng/g-dry)
で約 1 桁程度濃度が高くなっている。
同族体組成では、乾燥前と乾燥後とも OBDF(37%, 55%)の比率が高く、次いで
HpBDFs(30%, 25%)及び HxBDFs(19%, 13%)の比率も高いが、乾燥前の方がやや
HpBDFs より低臭素の同族体の比率が高かった。 (別図-2 媒体別同族体組成 図-1)。
異性体組成では、乾燥前と乾燥後とも OBDF(55%, 66%)の比率が高く、次いで
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF(45%, 30%)の比率が高かった。(別図-3 媒体別異性体組成 図
-1)。
b. PBDEs
PBDEs については、乾燥前、実測濃度(36,000ng/g-dry)と乾燥後、実測濃度
(36,000ng/g-dry)で同じ濃度であった。
同族体組成は、排水と同様に DeBDE(99%)が大部分を占めていた。別図-2 参照。
(別図-2 媒体別同族体組成 図-2)
異性体組成は、DeBDE の比率が高いが、DeBDE を除く異性体については、乾燥前及
び乾燥後で 2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE ( 57%, 53% )が最も比率が高く、
2,2’,4,4’,5,5’-HxBDE(23%, 21%)、2,2’,4,4’,5,6’-HxBDE(13%, 15%)の比率が高く、原
水ピットと同様であった。(別図-3 媒体別異性体組成 図-2)。
c. TBBPA
TBBPA については、乾燥前及び乾燥後とも ND であった。
d. HBCDs
HBCDs については、HBCDs については、乾燥前、実測濃度(27ng/g-dry)及び乾燥
後、実測濃度(22ng/g-dry)であった。
異性体組成は、乾燥前では、α-HBCD(67%)の比率が最も高かったが、γ-HBCD(33%)
の比率が排水よりも高かった。また、乾燥後では、α-HBCD(507%)及びγ-HBCD(50%)
であった。(別図-3 媒体別異性体組成 図-3)。
e. PBPhs
PBPhs については、乾燥前、実測濃度(140ng/g-dry)及び乾燥後、実測濃度(83ng/g-dry)
96.85
97.92
99.75
90.0
95.0
100.0
2017
沈殿槽出口
2017
中和槽出口
2017
最終放流口
DB
DP
E 削
減率
(%)
調査年度・試料採取場所
35
であった。
同族体組成は、乾燥前及び乾燥後とも MoBPhs(87%, 79%)が高かった。別図-2 参照。
(別図-2 媒体別同族体組成 図-3)
異性体組成は、乾燥前及び乾燥後とも 3/4-MoBPh(79%, 75%)の比率が高かった。(別
図-3 媒体別異性体組成 図-4)。
f. DBDPE
DBDPE については、乾燥前が実測濃度(18,000ng/g-dry)で、乾燥後が実測濃度
(22,000ng/g-dry)で、乾燥前及び乾燥後とも高濃度であった。
(3) まとめ
難燃繊維加工施設は、過年度でも調査を行い、工程水及び総合排水で高濃度の PBDD/Fs
が検出されていることから、今年度は、排水処理における PBDD/Fs 削減の実態を把握す
るために調査を行った。
調査では、5 ヵ所の排水工程で採水した結果、反応槽、沈殿槽の段階で大きく削減して
いることが判った。また、PBDD/Fs の吸着が考えられる汚泥についても調査した結果、
PBDD/Fs が検出され、乾燥により更に高濃度になっていた。乾燥された汚泥については、
セメント工場(リサイクル原料)にて高温で処理されているが、熱分解時の副生成等に
ついては、確認が必要であると考えられる。
繊維加工工程は、加工条件などにより排水成分が大きく異なり、時間的変動も大きく、
排水量の大部分は染色工程が占めており、未吸着の染料を大量に含む着色排水であるた
め、より高度な排水処理を必要としている。今年度調査施設では、特別に染色排水の処
理設備を増設し、低濃度に管理されていた。排水処理方法により低濃度に管理できるこ
とが判ったが、日常の管理や設備、薬剤等のコストなど課題も多くある。今後、過去に
高濃度の検出があった施設については、使用難燃剤の変更など加工条件が変わることも
予想されるが、継続調査等が必要であると考えられる。
36
別 表 - 1
分析結果一覧表
100 % 10 m/s 80 8 6 40 4 2 0 0 E S W (calm = 0% )
100 % 10 m/s 80 8 60 6 40 4 20 2 0 N E S W 100 % 10 m/s 80 8 6 40 4 2 0 0 E S W (calm = 0% )
100 % 10 m/s 80 8 60 6 40 4 20 2 0 N E S W
37
①排出水
表-1 排出水中のPBDD/Fs分析結果(実測濃度) (pg/L)
流入調整槽 原水ピット 沈殿槽 中和槽
2,3,7,8-TeBDD ND ND ND ND
TeBDDs ND ND ND ND
1,2,3,7,8-PeBDD ND ND ND ND
PeBDDs ND ND ND ND
1,2,3,4,7,8-HxBDD ND ND ND ND
1,2,3,6,7,8-HxBDD ND ND ND ND
1,2,3,7,8,9-HxBDD ND ND ND ND
HxBDDs ND ND ND ND
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD ND ND ND ND
HpBDDs ND ND ND ND
OBDD ND 39 ND ND
Total PBDDs ND 39 ND ND
2,3,7,8-TeBDF ND 5.3 ND ND
TeBDFs ND 230 0.6 ND
1,2,3,7,8-PeBDF ND 7.2 ND ND
2,3,4,7,8-PeBDF ND 6.5 ND ND
PeBDFs ND 310 ND ND
1,2,3,4,7,8-HxBDF ND 54 ND ND
HxBDFs ND 580 ND ND
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 7 650 ND ND
HpBDFs 7 650 ND ND
OBDF ND 7300 ND ND
Total PBDFs 7 9100 0.6 ND
Total (PBDDs+PBDFs) 7 9100 0.6 ND
表-2 排出水中のPBDD/Fs分析結果(毒性等量相当値) (pg-TEQ/L)
流入調整槽 原水ピット 沈殿槽 中和槽
2,3,7,8-TeBDD 0.15 0.30 0.10 0.10
1,2,3,7,8-PeBDD 0.45 1.0 0.20 0.25
1,2,3,4,7,8-HxBDD 0.25 0.45 0.10 0.10
1,2,3,6,7,8-HxBDD 0.30 0.50 0.15 0.15
1,2,3,7,8,9-HxBDD 0.20 0.40 0.10 0.10
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD 0.020 0.035 0.010 0.010
OBDD 0.0014 0.012 0.00060 0.00060
2,3,7,8-TeBDF 0.015 0.53 0.010 0.010
1,2,3,7,8-PeBDF 0.015 0.22 0.010 0.010
2,3,4,7,8-PeBDF 0.30 2.0 0.14 0.14
1,2,3,4,7,8-HxBDF 0.20 5.4 0.10 0.10
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 0.069 6.5 0.010 0.010
OBDF 0.0015 2.2 0.00075 0.00075
2.0 20 0.93 0.98
0.07 17 0 0
*毒性等量相当値は、WHO-TEF(2006)によるPCDDs/DFsのTEFに準じて算出した参考値である。
*毒性等量相当値は、検出下限未満を検出下限の1/2として算出した値である。
Total TEQ(ND=0)
物質名
A 施設
物質名
A 施設
Total TEQ(下限×1/2)
38
表-3 排出水中のPBDD/Fs分析結果(実測濃度) (pg/L)
A 施設
最終放流口
2,3,7,8-TeBDD ND
TeBDDs ND
1,2,3,7,8-PeBDD ND
PeBDDs ND
1,2,3,4,7,8-HxBDD ND
1,2,3,6,7,8-HxBDD ND
1,2,3,7,8,9-HxBDD ND
HxBDDs ND
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD ND
HpBDDs ND
OBDD ND
Total PBDDs ND
2,3,7,8-TeBDF ND
TeBDFs 1.7
1,2,3,7,8-PeBDF ND
2,3,4,7,8-PeBDF ND
PeBDFs 1.2
1,2,3,4,7,8-HxBDF ND
HxBDFs 2.3
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 1.9
HpBDFs 1.9
OBDF 3
Total PBDFs 10
Total (PBDDs+PBDFs) 10
表-4 排出水中のPBDD/Fs分析結果(毒性等量相当値) (pg-TEQ/L)
A 施設
最終放流口
2,3,7,8-TeBDD 0.015
1,2,3,7,8-PeBDD 0.045
1,2,3,4,7,8-HxBDD 0.020
1,2,3,6,7,8-HxBDD 0.025
1,2,3,7,8,9-HxBDD 0.020
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD 0.0015
OBDD 0.00014
2,3,7,8-TeBDF 0.0015
1,2,3,7,8-PeBDF 0.0015
2,3,4,7,8-PeBDF 0.030
1,2,3,4,7,8-HxBDF 0.020
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 0.019
OBDF 0.00087
0.20
0.019
*毒性等量相当値は、WHO-TEF(2006)によるPCDDs/DFsのTEFに準じて算出した参考値である。
*毒性等量相当値は、検出下限未満を検出下限の1/2として算出した値である。
物質名
物質名
Total TEQ(下限×1/2)
Total TEQ(ND=0)
39
表-5 排出水中のPBDEs分析結果(実測濃度) (ng/L)
流入調整槽 原水ピット 沈殿槽 中和槽
MoBDEs ND ND ND ND
4,4'-DiBDE(#15) 0.08 ND ND ND
DiBDEs 0.08 ND ND ND
2',3,4/2,4,4'/2,2',3-TrBDE(#33/#28/#16) ND ND ND ND
TrBDEs ND ND ND ND
2,2',4,4'-TeBDE(#47) ND 0.07 ND ND
TeBDEs ND 0.07 ND ND
2,2',4,4',5-PeBDE(#99) ND 0.06 ND ND
2,2',4,4',6-PeBDE(#100) ND ND ND ND
PeBDEs ND 0.17 ND ND
2,2',4,4',5,5'-HxBDE(#153) ND 0.43 ND ND
2,2',4,4',5,6'-HxBDE(#154) ND 0.34 ND ND
HxBDEs ND 0.98 ND ND
2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE(#175/#183) ND 0.98 ND ND
HpBDEs ND 2.4 ND ND
OBDEs ND 9.3 ND ND
NoBDEs 0.5 42 0.5 0.8
DeBDE 29 4100 76 53
Total PBDEs 30 4200 76 53
表-6 排出水中のHBCDs,TBBPA,PBPhs及びDBDPE分析結果(実測濃度) (ng/L)
流入調整槽 原水ピット 沈殿槽 中和槽
α-HBCD ND 21 ND 0.2
β-HBCD 0.3 0.83 ND ND
γ-HBCD ND 3.2 ND ND
Total HBCDs 0.3 25 ND 0.2
TBBPA 34 5.4 2.8 3.4
2-MoBPh 9 49 580 390
3/4-MoBPh 16 8.4 170 65
MoBPhs 25 57 740 460
2,6-DiBPh ND 12 21 21
2,5/3,5-DiBPh 47 9.6 15 15
2,4-DiBPh 4.5 63 81 87
3,4-DiBPh ND ND ND ND
2,3-DiBPh ND ND ND ND
DiBPhs 52 84 120 120
2,4,6-TrBPh 6.5 12 10 13
2,3,6-TrBPh ND ND ND ND
2,4,5-TrBPh 1.9 1.5 0.9 1.2
2,3,5-TrBPh 1.1 0.4 0.3 0.4
3,4,5-TrBPh 1.4 0.4 0.2 0.3
2,3,4-TrBPh ND 0.4 ND 0.2
TrBPhs 11 15 11 15
2,3,4,5-TeBPh ND ND ND ND
2,3,4,6-TeBPh 3.1 0.3 ND 0.3
2,3,5,6-TeBPh ND 0.2 ND ND
TeBPhs 3.1 0.5 ND 0.3
2,3,4,5,6-PeBPh 3.2 ND 0.7 ND
Total PBPhs 94 160 870 600
DBDPE 3.5 13000 410 270
物質名
A 施設
物質名
A 施設
40
表-7 排出水中のPBDEs分析結果(実測濃度) (ng/L)
A 施設
最終放流口
MoBDEs ND
4,4'-DiBDE(#15) ND
DiBDEs ND
2',3,4/2,4,4'/2,2',3-TrBDE(#33/#28/#16) ND
TrBDEs ND
2,2',4,4'-TeBDE(#47) ND
TeBDEs ND
2,2',4,4',5-PeBDE(#99) ND
2,2',4,4',6-PeBDE(#100) ND
PeBDEs ND
2,2',4,4',5,5'-HxBDE(#153) ND
2,2',4,4',5,6'-HxBDE(#154) ND
HxBDEs ND
2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE(#175/#183) ND
HpBDEs ND
OBDEs ND
NoBDEs 0.1
DeBDE 9.2
Total PBDEs 9.3
表-8 排出水中のHBCDs,TBBPA,PBPhs及びDBDPE分析結果(実測濃度) (ng/L)
A 施設
最終放流口
α-HBCD 2.3
β-HBCD 0.14
γ-HBCD 0.7
Total HBCDs 3.2
TBBPA 3.7
2-MoBPh 170
3/4-MoBPh 53
MoBPhs 220
2,6-DiBPh 14
2,5/3,5-DiBPh 7.3
2,4-DiBPh 40
3,4-DiBPh ND
2,3-DiBPh ND
DiBPhs 62
2,4,6-TrBPh 5.6
2,3,6-TrBPh ND
2,4,5-TrBPh 0.3
2,3,5-TrBPh ND
3,4,5-TrBPh ND
2,3,4-TrBPh ND
TrBPhs 5.8
2,3,4,5-TeBPh ND
2,3,4,6-TeBPh ND
2,3,5,6-TeBPh ND
TeBPhs ND
2,3,4,5,6-PeBPh ND
Total PBPhs 290
DBDPE 33
物質名
物質名
41
②汚泥
表-9 汚泥中のPBDD/Fs分析結果(実測濃度) (ng/g-dry)
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
2,3,7,8-TeBDD ND ND
TeBDDs ND 0.011
1,2,3,7,8-PeBDD ND ND
PeBDDs ND 0.024
1,2,3,4,7,8-HxBDD ND ND
1,2,3,6,7,8-HxBDD ND ND
1,2,3,7,8,9-HxBDD ND ND
HxBDDs ND 0.15
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD ND ND
HpBDDs ND ND
OBDD ND 1.1
Total PBDDs ND 1.3
2,3,7,8-TeBDF 0.016 0.028
TeBDFs 0.42 1.2
1,2,3,7,8-PeBDF 0.016 0.046
2,3,4,7,8-PeBDF 0.03 0.06
PeBDFs 0.81 2.3
1,2,3,4,7,8-HxBDF 0.23 0.90
HxBDFs 1.8 8.4
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 1.8 16
HpBDFs 1.8 16
OBDF 2.2 35
Total PBDFs 7.0 63
Total (PBDDs+PBDFs) 7.0 65
表-10 汚泥中のPBDD/Fs分析結果(毒性等量相当値) (ng-TEQ/g-dry)
乾燥前
汚泥
乾燥後
汚泥
2,3,7,8-TeBDD 0.0010 0.0010
1,2,3,7,8-PeBDD 0.0030 0.0030
1,2,3,4,7,8-HxBDD 0.0015 0.0015
1,2,3,6,7,8-HxBDD 0.0020 0.0020
1,2,3,7,8,9-HxBDD 0.0015 0.0015
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD 0.00010 0.00010
OBDD 0.0000090 0.00034
2,3,7,8-TeBDF 0.0016 0.0028
1,2,3,7,8-PeBDF 0.00048 0.0014
2,3,4,7,8-PeBDF 0.0096 0.017
1,2,3,4,7,8-HxBDF 0.023 0.090
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 0.018 0.16
OBDF 0.00066 0.011
0.062 0.29
0.053 0.28
*毒性等量相当値は、WHO-TEF(2006)によるPCDDs/DFsのTEFに準じて算出した参考値である。
*毒性等量相当値は、検出下限未満を検出下限の1/2として算出した値である。
Total TEQ(ND=0)
物質名
A 施設
物質名
A 施設
Total TEQ(下限×1/2)
42
表-11 汚泥中のPBDEs分析結果(実測濃度) (ng/g-dry)
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
MoBDEs ND ND
4,4'-DiBDE(#15) ND 0.12
DiBDEs ND 0.72
2',3,4/2,4,4'/2,2',3-TrBDE(#33/#28/#16) 0.04 0.10
TrBDEs 0.04 0.58
2,2',4,4'-TeBDE(#47) 0.07 0.33
TeBDEs 0.15 1.6
2,2',4,4',5-PeBDE(#99) 0.18 0.28
2,2',4,4',6-PeBDE(#100) ND 0.06
PeBDEs 0.59 1.9
2,2',4,4',5,5'-HxBDE(#153) 0.97 1.8
2,2',4,4',5,6'-HxBDE(#154) 0.55 1.3
HxBDEs 2.4 5.6
2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE(#175/#183) 2.4 4.6
HpBDEs 6.2 11
OBDEs 30 57
NoBDEs 310 420
DeBDE 36000 35000
Total PBDEs 36000 36000
表-12 汚泥中のHBCDs,TBBPA,PBPhs及びDBDPE分析結果(実測濃度) (ng/g-dry)
乾燥前
汚泥
乾燥後
汚泥
α-HBCD 18 11
β-HBCD ND ND
γ-HBCD 8.7 11
Total HBCDs 27 22
TBBPA ND ND
2-MoBPh 12 3
3/4-MoBPh 110 62
MoBPhs 120 66
2,6-DiBPh ND ND
2,5/3,5-DiBPh 2.6 1.7
2,4-DiBPh 9.4 6.5
3,4-DiBPh ND ND
2,3-DiBPh ND ND
DiBPhs 12 8.1
2,4,6-TrBPh 1.0 1.2
2,3,6-TrBPh ND ND
2,4,5-TrBPh 1.1 1.2
2,3,5-TrBPh ND ND
3,4,5-TrBPh ND ND
2,3,4-TrBPh ND 0.6
TrBPhs 2.1 3.0
2,3,4,5-TeBPh 0.5 1.1
2,3,4,6-TeBPh 1.0 0.8
2,3,5,6-TeBPh ND 0.7
TeBPhs 1.6 2.6
2,3,4,5,6-PeBPh 2.2 3.4
Total PBPhs 140 83
DBDPE 18000 22000
物質名
A 施設
物質名
A 施設
43
44
別 図 - 1
調査施設概要
(製造工程フロー・排水処理フロー・試料採取箇所)
100 % 10 m/s 80 8 6 40 4 2 0 0 E S W (calm = 0% )
100 % 10 m/s 80 8 60 6 40 4 20 2 0 N E S W 100 % 10 m/s 80 8 6 40 4 2 0 0 E S W (calm = 0% )
100 % 10 m/s 80 8 60 6 40 4 20 2 0 N E S W
45
調査施設概要
排水処理工程フロー
その他排水
反応槽 沈殿槽 砂ろ過槽 中和槽 生物活性炭
吸着槽
沈殿槽
PBDD/Fs: 0.6 (0.93, 0)
PBDEs:76
最終放流口
PBDD/Fs: 10 (0.20, 0.019)
PBDEs:9.3
放流(河川)
単位: 排水: PBDD/Fs 実測濃度(pg/L) ,括弧内の値は、(毒性等量相当値(検出下限値未満を検出下限値の1/2として算出, 検出下限値未満を検出下限値を0として算出)))(pg-TEQ/L)
PBDEs :実測濃度(ng/L)
汚泥: PBDD/Fs 実測濃度(ng/g-dry) ,括弧内の値は、(毒性等量相当値検出下限値未満を検出下限値の1/2として算出, 検出下限値未満を検出下限値を0として算出)))(ng-TEQ/g-dry)
PBDEs :実測濃度(ng/g-dry)
最終放流
染色加工 各種繊維 乾燥 表面加工 コーティング
樹脂加工
難燃加工
捺染
検査 製品
のり抜き
洗浄
製造工程フロー
染色排水
各機械洗浄水
樹脂・難燃剤等
乾燥
原水ピット
PBDD/Fs: 9,100 (20, 17)
PBDEs:4,200
流量調整槽
PBDD/Fs:7 (2.0), 0.07
PBDEs:30
染色排水 中和槽 流量調整槽 反応槽 沈殿槽
中和槽
PBDD/Fs: ND (0.98, 0)
PBDEs:53
原水ピット
汚泥濃縮槽 脱水機 乾燥炉
廃棄
セメント工場
(リサイクル)
染料・難燃剤等
試料採取箇所
乾燥前汚泥
PBDD/Fs: 7.0 (0.062, 0.053)
PBDEs:36,000
乾燥汚泥
PBDD/Fs: 65 (0.29, 0.28)
PBDEs:36,000
2015年度調査時より増設された排水設備
洗浄水
図-1 製造工程フロー
図-2 排水処理工程フロー
46
別 図 - 2
媒体別同族体組成
100 % 10 m/s 80 8 6 40 4 2 0 0 E S W (calm = 0% )
100 % 10 m/s 80 8 60 6 40 4 20 2 0 N E S W 100 % 10 m/s 80 8 6 40 4 2 0 0 E S W (calm = 0% )
100 % 10 m/s 80 8 60 6 40 4 20 2 0 N E S W
47
図-1 排水及び汚泥 PBDDs/DFs同族体組成(%)
図-2 排水及び汚泥 PBDEs同族体組成(%)
TeBDFs
TeBDFs PeBDFs
PeBDFs
HxBDFs
HxBDFs
HxBDFs
HpBDFs
HpBDFs
HpBDFs
HpBDFs
HpBDFs
HpBDFs
OBDF
OBDF
OBDF
OBDF
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
TeBDDs PeBDDs HxBDDs HpBDDs OBDD TeBDFs PeBDFs HxBDFs HpBDFs OBDF
DeBDE
DeBDE
DeBDE
DeBDE
DeBDE
DeBDE
DeBDE
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
MoBDEs DiBDEs TrBDEs TeBDEs PeBDEs HxBDEs HpBDEs OBDEs NoBDEs DeBDE
図-3 排水及び汚泥 PBDEs同族体組成(DeBDE除く)(%)
DiBDEs
OBDEs
OBDEs
OBDEs
NoBDEs
NoBDEs
NoBDEs
NoBDEs
NoBDEs
NoBDEs
NoBDEs
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
MoBDEs DiBDEs TrBDEs TeBDEs PeBDEs HxBDEs HpBDEs OBDEs NoBDEs
48
図-4 排水及び汚泥 PBPhs同族体組成 (%)
図-5 排水及び汚泥 PBPhs同族体組成(MoBPhs除く)(%)
MoBPhs
MoBPhs
MoBPhs
MoBPhs
MoBPhs
MoBPhs
MoBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
TrBPhs
TrBPhs
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
MoBPhs DiBPhs TrBPhs TeBPhs PeBPh
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
DiBPhs
TrBPhs
TrBPhs
TrBPhs
TrBPhs
TrBPhs
TrBPhs
TrBPhs
TeBPhs
TeBPhs
PeBPh
PeBPh
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
DiBPhs TrBPhs TeBPhs PeBPh
49
50
別 図 - 3
媒体別異性体組成
100 % 10 m/s 80 8 6 40 4 2 0 0 E S W (calm = 0% )
100 % 10 m/s 80 8 60 6 40 4 20 2 0 N E S W 100 % 10 m/s 80 8 6 40 4 2 0 0 E S W (calm = 0% )
100 % 10 m/s 80 8 60 6 40 4 20 2 0 N E S W
51
別 図 - 2
図-1 排水及び汚泥 PBDDs/DFs異性体組成(%)
図-2 排水及び汚泥 PBDEs異性体組成(DeBDE除く)(%)
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF
OBDF
OBDF
OBDF
OBDF
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
2,3,7,8-TeBDD 1,2,3,7,8-PeBDD 1,2,3,6,7,8-HxBDD 1,2,3,4,7,8-HxBDD1,2,3,7,8,9-HxBDD 1,2,3,4,6,7,8-HpBDD OBDD 2,3,7,8-TeBDF1,2,3,7,8-PeBDF 2,3,4,7,8-PeBDF 1,2,3,4,7,8-HxBDF 1,2,3,4,6,7,8-HpBDFOBDF
図-3 排水及び汚泥 HBCDs異性体組成 (%)
4,4'-DiBDE
2,2',4,4',5,5'-HxBDE
2,2',4,4',5,5'-HxBDE
2,2',4,4',5,5'-HxBDE
2,2',4,4',5,6'-HxBDE
2,2',4,4',5,6'-HxBDE
2,2',4,4',5,6'-HxBDE
2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE
2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE
2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
4,4'-DiBDE 2',3,4/2,4,4'/2,2',3-TrBDE
2,2',4,4'-TeBDE 2,2',4,4',5-PeBDE
2,2',4,4',6-PeBDE 2,2',4,4',5,5'-HxBDE
2,2',4,4',5,6'-HxBDE 2,2',3,3',4,5',6/2,2',3,4,4',5',6-HpBDE
α-HBCD
α-HBCD
α-HBCD
α-HBCD
α-HBCD
β-HBCD
β-HBCD
β-HBCD
γ-HBCD
γ-HBCD
γ-HBCD
γ-HBCD
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
α-HBCD β-HBCD γ-HBCD
52
別 図 - 2
図-4 排水及び汚泥 PBPhs異性体組成 (%)
2-MoBPh
2-MoBPh
2-MoBPh
2-MoBPh
2-MoBPh
2-MoBPh
3/4-MoBPh
3/4-MoBPh
3/4-MoBPh
3/4-MoBPh
3/4-MoBPh
3/4-MoBPh
2,6-DiBPh
2,5/3,5-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4,6-TrBPh
2,4,6-TrBPh
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
2-MoBPh 3/4-MoBPh 2,6-DiBPh 2,5/3,5-DiBPh 2,4-DiBPh3,4-DiBPh 2,3-DiBPh 2,4,6-TrBPh 2,3,6-TrBPh 2,4,5-TrBPh2,3,5-TrBPh 3,4,5-TrBPh 2,3,4-TrBPh 2,3,4,5-TeBPh 2,3,4,6-TeBPh2,3,5,6-TeBPh 2,3,4,5,6-PeBPh
2,6-DiBPh
2,6-DiBPh
2,6-DiBPh
2,6-DiBPh
2,5/3,5-DiBPh
2,5/3,5-DiBPh
2,5/3,5-DiBPh
2,5/3,5-DiBPh
2,5/3,5-DiBPh
2,5/3,5-DiBPh
2,5/3,5-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4-DiBPh
2,4,6-TrBPh
2,4,6-TrBPh
2,4,6-TrBPh
2,4,6-TrBPh
2,4,6-TrBPh
2,4,6-TrBPh
2,3,4,5,6-PeBPh
2,3,4,5,6-PeBPh
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流量調整槽
原水ピット
沈殿槽出口
中和槽出口
最終放流口
乾燥前汚泥
乾燥後汚泥
2,6-DiBPh 2,5/3,5-DiBPh 2,4-DiBPh 3,4-DiBPh 2,3-DiBPh
2,4,6-TrBPh 2,3,6-TrBPh 2,4,5-TrBPh 2,3,5-TrBPh 3,4,5-TrBPh
2,3,4-TrBPh 2,3,4,5-TeBPh 2,3,4,6-TeBPh 2,3,5,6-TeBPh 2,3,4,5,6-PeBPh
図-5 排水及び汚泥 PBPhs異性体組成(2-MoBPh・3/4MoBPh除く)
53
5. 次年度以降の臭素系ダイオキシン類排出実態調査計画(案)について
臭素系ダイオキシン類排出実態調査について、今後優先的に調査を行う必要がある施設
として、検討会で頂いたご意見を基に排出実態調査計画(案)を以下に示す。
5.1 調査対象業種
【業種選定の考え方】
業種選定の考え方として、臭素系ダイオキシン類の発生源となりうる可能性がある業
種で未測定の業種、排出暫定インベントリーにおける精度向上のために調査が必要な業
種(排出量の多い業種、全国の活動量指標に対して調査施設及び活動量の捕捉率が低い
業種、製造製品等の変化、設備更新や改造など原単位の変更がある業種)及び効果的な
対策を把握する観点から調査する業種等について下記に示す。また、POPs 条約による
国内の化審法規制の効果の確認等にも留意する必要がある。
(1)臭素系ダイオキシン類の発生源としての可能性がある業種で未測定の業種
a. 最終処分場:管理型(浸出水、放流水、地下水)
金属等を含む産業廃棄物の埋立処分に係る判定基準により、遮断型最終処分場でし
か処分できない産業廃棄物以外のものが埋立処分される施設。
b. 製鋼用電気炉
鉄スクラップと同時に熱源として自動車破砕残さ(以下「ASR」という。) や廃プ
ラスチックなどの廃棄物処理を行っている施設。
c. ASR リサイクル施設
自動車に使用されている難燃製品を含む ASR をリサイクル等をしている施設。
d. 電子基板製造・加工施設
臭素系難燃剤の使用により難燃性の高い基板を製造している施設。
e. 精練施設
基板、電炉ダストなどを受け入れしている精練施設。
f. 難燃プラスチック成形加工施設
難燃製品(調査を行っていない臭素系難燃剤使用:ブロモポリスチレン【4,000t/y】、
トリブロモフェノール【2,000t/y】等)の加工等を行っているプラスチック製品製造施設。
※【数字は、2016 年推定需要量】
(2)排出暫定インベントリーにおいて排出量の多い業種、また、全国の活動量指標に対
して調査施設及び活動量の捕捉率が低い業種、製造製品等の変化、設備更新や改造
など原単位の変更がある業種等。表 5.1 及び表 5.2 参照。
a. 難燃繊維加工施設(排水関係)
DeBDE の使用は無くなるが、残留している又は代替の臭素系難燃剤を使用している。
b. 下水道処理施設(排水関係)
難燃繊維加工施設の排水が下水道施設に流入している施設があること、また、暫定イ
ンベントリーの算出で活動量指標(全国処理水量)が非常に大きい。
c. 家電リサイクル施設(建屋内空気、排水)
54
DeBDE の使用が多いブラウン管テレビは減少し、薄型テレビに置き換わっているが、
建屋内空気の濃度が高く、排水においても排水量は少ないが、濃度が高い。図 5.1 及び
図 5.2 参照。
また、プラスチックのリサイクル品を使用している使用施設なども調査が必要。
d. セメント製造施設(大気関係)
下水道等と同様に活動量指標(年間生産量)が非常に大きい。
表 5.1 PBDD/Fs の大気への年間排出量
施設等 大気
(mg/年)
大気
(mg-TEQ/年)
難燃剤製造・
取扱施設
TBBPA 10.6 1.08
TBBPA ポリカーボネートオリ
ゴマー
9.89 1.87
DeBDE 504 2.07
難燃樹脂製造施設 TBBPA エポキシ樹脂 0.0250 0.00163
TrBPhs 末端処理 TBBPA 型エ
ポキシ樹脂
3,260 0.760
難燃プラスチック
製造加工施設
DeBDE 使用 135,000 1,030
発泡ポリスチレン 42.1 3.95
難燃繊維加工施設 244 0.766
家電リサイクル施設 175 1.14
アルミニウム二次精錬・精製施設 8,430 55.9
セメント製造施設 20,500 510
廃棄物焼却施設 一般廃棄物焼却施設 1,650 179
産業廃棄物焼却施設 6,490 166
下水道終末処理施設 192 19.7
表 5.2 PBDD/Fs の水への年間排出量
施設等 水
(mg/年)
水
(mg-TEQ/年)
難燃剤製造・取扱施設 TBBPA - -
TBBPA ポリカーボネートオリ
ゴマー
- -
DeBDE 36,300 588
難燃樹脂製造施設 TBBPA エポキシ樹脂 - 6.69
TrBPhs 末端処理 TBBPA 型エ
ポキシ樹脂
58.1 7.06
難燃プラスチック製造加
工施設
DeBDE 使用 2,860 44.5
発泡ポリスチレン - 0.234
難燃繊維加工施設 231,000 1,370
家電リサイクル施設 546 2.17
アルミニウム二次精錬・精製施設 159 1.10
セメント製造施設 795 29.4
廃棄物焼却施設 一般廃棄物焼却施設 10.2 0.948
産業廃棄物焼却施設 220 4.32
下水道終末処理施設 211,000 1,110
55
図 5.1 家電リサイクル施設におけるテレビ手解体場及び
薄型テレビ手解体場の建屋内濃度(毒性等量相当値)
図 5.2 家電リサイクル施設における排水(一部工程水有)濃度(毒性等量相当値)
5.2 試料採取調査対象媒体、調査項目
(1) 調査対象媒体
a. 排水の発生がある場合
・工程水(各工程)~総合排水(処理後)の排水を採水
・工程で発生する汚泥を採取
・施設周辺の公共用水域水質・底質
b. 排ガスの発生がある場合
・工程ガス
・最終排出ガス
・施設周辺の環境大気
(2) 分析項目
a. PBDD/Fs
b. PBDEs
ダイオキシン類作業環境基準(2.5pg-TEQ/m3)
ダイオキシン類排水排出基準(10pg-TEQ/L)
56
c. TBBPA
d. HBCDs
e. PBPhs
f. DBDPE
※PBDD/Fs の発生に関連する物質
57
6. 検討会の開催
本業務を進めるに当たり、臭素系ダイオキシン類に係る各有識者からなる検討会を開
催した。
検討会委員を表 6.1 に示す。
表 6.1 検討会委員
氏 名 所 属
太田 壮一 摂南大学薬学部疾病予防学研究室 教授
梶原 夏子
国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター基盤
技術・物質管理研究室 主任研究員
◎酒井 伸一 京都大学環境安全保健機構附属環境科学センター長
鈴木 剛
国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター基盤
技術・物質管理研究室 主任研究員
鈴木 茂 中部大学応用生物学 環境生物科学科 教授
高橋 真 愛媛大学大学院農学研究学科 教授
田辺 信介 愛媛大学沿岸環境科学研究センター長
遠山 千春 筑波大学医学医療系 客員教授
益永 茂樹 横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授
◎:座長
6.1 検討会(第 1 回)
日時:平成 29 年 9 月 28 日(水) 10 時 00 分~12 時 00 分
場所:トラストシティカンファレンス丸の内
出席者:【委 員】酒井座長、田辺委員、太田委員、益永委員、鈴木(茂)委員、
高橋委員、梶原委員、鈴木(剛)委員
【環境省】伊藤課長補佐、舟木氏
【事務局】日鉄住金テクノロジー㈱広畑事業所(宮崎、橋本、古元、光田)
(議事内容)
・平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理に関する調査業務につ
いて
・臭素系ダイオキシン類排出実態調査について
・臭素系ダイオキシン類排出実態調査報告書について
(資料)
・議事次第
・平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理調査検討会(第 1 回)
座席表
・平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理調査業務の検討会委員
名簿
・資料-1 平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理に関する調
査業務について
58
・資料-2 臭素系ダイオキシン類排出実態調査(案)について
・資料-3 臭素系ダイオキシン類排出実態調査報告書について
・参考資料-1 平成 28 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理に関する
調査検討会(第 2 回)議事録概要
・参考資料-2 難燃繊維加工施設について
・参考資料-3 最終処分場について
・参考資料-4 DeBDE 等に関する情報
・参考資料-5 国内の主な難燃剤需要量等推移 (推定)
・参考資料-6 業種別 DeBDE 排出・移動量の推移について PRTR データ
6.2 検討会(第 2 回)
日時:平成 30 年 3 月 2 日(金) 13 時 30 分~15 時 30 分
場所:トラストシティカンファレンス丸の内
出席者:【委 員】酒井座長、田辺委員、益永委員、太田委員、遠山委員、
鈴木(茂)委員、鈴木(剛)委員
【環境省】青竹課長補佐、舟木氏
【事務局】日鉄住金テクノロジー㈱広畑事業所(宮崎、橋本、古元、光田)
(議事内容)
・平成 29 年度臭素系ダイオキシン類排出実態調査結果について
・臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(仮題)について
・次年度以降の排出実態調査計画(案)について
(資料)
・平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理調査検討会(第 2 回)
座席表
・平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理調査業務の検討会委
員名簿
・資料-1 平成 29 年度臭素系ダイオキシン類排出実態調査結果
・資料-2.1 臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(仮題)主な修正、追記箇
所について
・資料-2.2 臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(仮題)
・資料-2.3 臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(仮題) -要約版-
・資料-2.4 臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(仮題) 要旨(Abstract)
・資料-3 次年度以降の臭素系ダイオキシン類排出実態調査計画(案)について
・参考資料-1 平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理に関する
調査検討会(第 1 回)議事録概要
・参考資料-2 臭素系ダイオキシン類排出実態調査施設工程概要及び分析結果
・参考資料-3 その他情報について(2,4,6-TrBPh 排出・移動量の推移、PBDD/Fs 等関
連文献検索、DBDPE 関する情報)
検討会(第 1 回)議事録概要及び検討会(第 2 回)議事録概要(案)を別添-5 に示す。
59
60
別添-1
臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題
- 要約版 -
1. はじめに
ダイオキシン類には, 塩素が置換した塩素化ダイオキシン類(PCDD/Fs)の他, 臭素が置換し
た臭素化ダイオキシン類(PBDD/Fs)や塩素と臭素が置換した臭素化塩素化ダイオキシン類
(PXDD/Fs)などがある。
PBDD/Fs及び PXDD/Fsを含む‘臭素系ダイオキシン類’については, ダイオキシン類特別措
置法附則第2条において, 「人の健康に対する影響の程度, その発生過程等に関する調査研究
を推進し, その結果に基づき必要な措置を講ずる」との検討規定が設けられており, 環境省では
この特措法附則第 2条に基づき, 2002年から各施設における臭素系ダイオキシン類排出実態を
調査してきた。
これまでの臭素系ダイオキシン類排出実態調査結果をもとに, PBDD/Fs暫定排出インベントリ
ーを算出し, 臭素系ダイオキシン類の発生源や排出実態に関する特徴をまとめ, さらなる実態
解明や詳細なインベントリーの把握などに向けた今後の課題を検討・整理した。
2. 臭素系ダイオキシン類に関する排出実態調査
2.1 調査対象施設
環境省では, 2002年から 2017年にかけて臭素系ダイオキシン類の排出実態調査を実施した。
調査対象施設一覧を表 1に示す。
表 1 臭素系ダイオキシン類の排出実態等調査対象施設
調査年 調査対象施設 調査対象施設使用 BFRs 調査施設数
2002(H14) 家電リサイクル施設 - 7
難燃樹脂製造施設(PS, ABS, エポキシ樹脂) - 8
2003(H15) 難燃剤製造施設 ( TBBPA, TBBPA polycarbonate
oligomer)
TBBPA,
TBBPA polycarbonate
oligomer
2
難燃繊維加工施設 DeBDE, HBCDs 3
2004(H16) 難燃プラスチック製造加工施設 DeBDE 6
下水道終末処理施設 - 3
2005(H17) 難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理 TBBPA型エポキ
シ樹脂) TBBPA, 2,4,6-TrBPh 3
難燃繊維加工施設 DeBDE, HBCDs 3
2006(H18) 難燃剤製造施設(DeBDE) DeBDE 2
難燃繊維加工施設 DeBDE, HBCDs 3
2007(H19) 難燃繊維加工施設 DeBDE, HBCDs 3
2008(H20) 難燃樹脂製造施設(TBBPAエポキシ樹脂) TBBPA 1
難燃プラスチック製造加工施設(発泡ポリスチレン) HBCDs 1
2009(H21) アルミニウム第二次精練・精製施設 - 3
2010(H22) セメント製造施設 - 2
2011(H23) 家電リサイクル施設 - 10
2012(H24) 廃棄物焼却施設 - 6
2013(H25) 難燃繊維加工施設 DeBDE 4
2014(H26) 下水道終末処理施設 - 5
2015(H27) 難燃繊維加工施設 DeBDE 2
2017(H29) 難燃繊維加工施設 DeBDE, DBDPE 1
1
2.2 試料採取方法及び測定方法
臭素系ダイオキシン類の試料採取方法及び測定方法は,「ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシ
ン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法」(平成 19年 3月環境省)やダイオキシン類の
JIS等に準じて実施した。
2.3 測定対象物質
測定対象物質は,塩素化ダイオキシン類(PCDD/Fs,DL-PCBs)を含めて、臭素系ダイオキシ
ン類(PBDD/Fs,MoBPCDD/Fs,DiBPCDD/Fs)と関連する臭素系難燃剤(PBDEs,TBBPA,
HBCDs,PBPhs(TrBPhs), DBDPE)である。
2.4 実測濃度と毒性等量相当値について
(1) 実測濃度
実測濃度の算出及び表示は, 各化合物の検出下限値以上の値を算出して表示している。検
出下限以下の値については, ND(Not detected)で表示している。
(2) 毒性等量相当値
PBDD/Fsについては,2007年までは PCDD/FsのWHO-TEF(1998)を使用し,2008年以降は,
WHO-TEF(2006)を使用して, 毒性等量相当値として算出している。
3. 排出実態の調査結果と暫定排出インベントリー
3.1 排出実態調査結果(発生源)
(1) 排ガス
排ガス中における PBDD/Fs検出状況を表 2に示す。
PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 71, 平均値 420 ng/m3
N, 検出範囲 ND~7,100
ng/m3
N)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 難燃樹脂製造施設(2002年), 難燃樹脂
製造(TrBPhs末端処理 TBBPA型エポキシ樹脂)施設(2005年)であった。また, PBDD/Fs毒性
等量相当値では, DeBDE を使用した製品を加工, 製造している難燃プラスチック製造加工施設
(2004年)が調査施設の中で最も高い値であった。実測濃度で高い値が検出されている難燃樹
脂製造施設(TrBPhs末端処理TBBPA型エポキシ樹脂)(2005年)及び難燃樹脂製造施設(2002
年)では, TeBDDの非2,3,7,8位置換異性体の検出濃度が高く, 毒性等量相当値は, 低い値であ
った。
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 排出基準はない。
表 2 排ガス中における PBDD/Fs検出状況
調査対象施設
(工程排ガスは除く)
調査
年度
実測濃度(ng/m3N) 毒性等量相当値(ng-TEQ/m3
N)
検出頻度
(検出数/
調査数)
平均値 濃度範囲 平均値 濃度範囲
難燃樹脂製造 2002 5/5 980 0.011~4,900 0.0036 0~0.018
難燃剤製造 2003 5/5 0.12 0.012~0.18 0.0002 0~0.0006
難燃繊維加工 2003 6/7 3.4 ND~13 0.046 0~0.21
難燃プラスチック製造加工 2004 3/4 160 ND~430 0.51 0~1.4
下水終末処理(焼却炉) 2004 1/3 0.013※ ND~0.039※ 0※ 0※
難燃樹脂製造 ( TrBPh 末端処理
TBBPA型エポキシ樹脂) 2005 3/3 8,100 1.5~24,000 0.0013 0~0.0039
難燃剤製造(DeBDE) 2006 6/6 6.5 0.16~13 0.0061 0.00033~0.011
難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂) 2008 1/1 - 0.10 - 0.00016
難燃プラスチック製造加工
(発泡ポリスチレン) 2008 1/1 - 0.079 - 0.00024
アルミニウム第二次精錬・精製 2009 4/4 0.44 0.085~1.3 0.0015 0~0.0056
2
セメント製造 2010 2/2 0.076※ 0.0021※, 0.15※ 0.000037※ 0, 0.000074※
家電リサイクル(TV破砕機集塵) 2011 5/6 1.4 ND~7.7 0.0048 0~0.027
家電リサイクル(TV手解体集塵) 2011 5/5 0.028 0.019~0.039 0.000063 0~0.00010
家電リサイクル(TV建屋内集合) 2011 0/1 - ND - 0
家電リサイクル(その他) 2011 3/4 0.044 ND~0.11 0.00014 0~0.00032
廃棄物焼却炉 2012 6/6 0.028※ 0.0009~0.13※ 0.00036※ 0~0.021※
難燃繊維加工 2013 4/4 2.1 0.44~4.3 0.0079 0.0027~0.019
下水道処理 2014 2/2 0.076※ 0.15※, 0.0011※ 0.0018※ 0※, 0.0036※
※12%酸素換算濃度(ダイオキシン類対策特別措置法施行規則による施設について, JIS K 0311の酸素濃度による補正を行った)
(2) 排水
排水中における PBDD/Fs検出状況を表 3に示す。
PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 73, 平均値 24,000 pg/L, 検出範囲 ND~420,000
pg/L)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 難燃樹脂製造施設(2002年), 難燃繊維加
工施設(2003年, 2005年,2007年, 2013年, 2015年), 家電リサイクル施設(2002年, 2011年)
であった。また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダイオキシン類の排水排出基準値(10
pg-TEQ/L)と比較すると, 家電リサイクル施設(2002年, 2011年), 難燃繊維加工施設(2003年,
2005年, 2007年, 2013年, 2015年), 難燃プラスチック製造加工施設(2004年), 難燃剤製造施
設(DeBDE)(2006年)において排出基準値を超過している施設があった。
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 排出基準はない。
表 3 排水中における PBDD/Fs検出状況
調査対象施設
(工程排水は除く)
調査
年度
実測濃度(pg/L) 毒性等量相当値(pg-TEQ/L)
検出頻度
(検出数/
調査数)
平均値 濃度範囲 平均値 濃度範囲
家電リサイクル 2002 6/6 5,600 790~14,000 31 2.5~65
難燃樹脂製造 2002 6/6 32,000 2.0~190,000 1.5 0~8.5
難燃剤製造 2003 2/2 460 280, 630 0.92 0.54, 1.3
難燃繊維加工 2003 3/3 80,000 320~170,000 77 3.6~130
難燃プラスチック製造加工 2004 5/6 600 ND~3,000 2.8 0~14
下水道終末処理 2004 1/3 470 ND~1,400 0.73 0~2.2
難燃樹脂製造 ( TrBPh 末端処理
TBBPA型エポキシ樹脂) 2005 3/3 30 14~55 0.062 0.022~0.096
難燃繊維加工 2005 4/4 89,000 10,000~250,000 390 26~1,200
難燃剤製造(DeBDE) 2006 2/2 2,600 340, 4,900 14 0.69, 27
難燃繊維加工 2006 4/4 2,500 95~4,700 9.3 0.37~19
難燃繊維加工 2007 8/8 12,000 18~37,000 20 0.15~62
難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂) 2008 0/1 - ND - 0
難燃プラスチック製造加工
(発泡ポリスチレン) 2008 0/1 - ND - 0
アルミニウム第二次精錬・精製 2009 3/3 140 3.3~320 0.44 0~1.1
セメント製造 2010 2/3 31 ND~85 0.18 0~0.50
家電リサイクル 2011 10/10 33,000 320~230,000 88 1.4~530
廃棄物焼却炉 2012 3/3 20 1.4~50 0.067 0.002~0.18
難燃繊維加工 2013 5/5 86,000 1,400~420,000 510 2.0~2,500
下水道終末処理 2014 6/6 200 1.1~1,200 0.56 0.0043~3.2
難燃繊維加工 2015 2/2 6,100 270, 12,000 18 0.34, 36
難燃繊維加工 2017 1/1 - 10 - 0.019
3
(3) 建屋内空気
建屋内空気中における PBDD/Fs検出状況を表 4に示す。
PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 61, 平均値 3,500 pg/m3, 検出範囲 0.49~75,000
pg/m3)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 家電リサイクル施設(2002年, 2011年), 難
燃剤製造施設(DeBDE)(2006年)であった。また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダイオキシン
類の作業環境管理濃度基準(2.5 pg-TEQ/m3)と比較すると, 家電リサイクル施設(2002年, 2011
年), 難燃剤製造施設(2003年), 難燃プラスチック製造加工施設(2004年), 難燃剤製造施設
(DeBDE)(2006年), 難燃繊維加工施設(2005年, 2013年)において管理濃度基準を超過した施
設があった。※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 作業環境管理濃度基準はない。
表 4 建屋内空気中における PBDD/Fs検出状況
調査対象施設 調査
年度
実測濃度(pg/m3) 毒性等量相当値(pg-TEQ/m3)
検出頻度
(検出数/
調査数)
平均値 濃度範囲 平均値 濃度範囲
家電リサイクル 2002 10/10 13,000 930~75,000 37 3.2~180
難燃剤製造 2003 2/2 2,000 17, 4,000 11 0.052, 21
難燃繊維加工 2003 7/7 160 1.3~950 0.86 0~5.6
難燃プラスチック製造加工 2004 9/9 580 0.49~2,200 3.1 0~13
難燃剤製造(DeBDE) 2006 2/2 27,000 16,000, 38,000 47 16, 78
難燃プラスチック製造加工
(発泡ポリスチレン) 2008 1/1 - 5.3 - 0.0081
アルミニウム第二次精錬・精製 2009 3/3 64 16~160 0.29 0.072~0.69
家電リサイクル(TV手解体) 2011 9/9 880 130~2,400 3.4 0.50~9.8
家電リサイクル(TV破砕機) 2011 3/3 1,100 520, 2,500 4.1 0.78~9.8
家電リサイクル(薄型 TV解体) 2011 2/2 610 330, 880 2.2 1.1, 3.3
家電リサイクル(その他) 2011 2/2 330 100, 560 1.0 0.34, 1.7
廃棄物焼却炉 2012 8/8 27 0.5~140 0.080 0.0011~0.45
難燃繊維加工 2013 3/3 850 83~2,300 8.6 0.32~25
3.2 環境調査結果
3.2.1発生源周辺
(1) 環境大気
環境大気中における PBDD/Fs検出状況を表 5に示す。
PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 107, 平均値 22 pg/m3, 検出範囲 0.10~990 pg/m
3)
のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 難燃樹脂製造施設周辺(2002年), 難燃剤製造
施設周辺(2003年), 難燃剤製造施設(DeBDE)周辺(2006年)であった。また, PBDD/Fs毒性等
量相当値では, ダイオキシン類の環境基準値(年平均値 0.6 pg-TEQ/m3)と比較すると, 難燃樹
脂製造周辺(2002年), 難燃剤製造施設(DeBDE)周辺(2006年)において環境基準を超過して
いる地点があった。
※環境大気の測定場所は, 各施設の敷地境界付近で測定
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 環境基準はない。
表 5 環境大気中における PBDD/Fs検出状況
調査対象施設 調査
年度
実測濃度(pg/m3) 毒性等量相当値(pg-TEQ/m3)
検出頻度
(検出数/
調査数)
平均値 濃度範囲 平均値 濃度範囲
家電リサイクル 2002 7/7 10 3.6~26 0.058 0.011~0.15
難燃樹脂製造 2002 8/8 140 0.88~990 0.11 0.0028~0.65
4
難燃剤製造 2003 4/4 23 0.10~88 0.095 0~0.37
難燃繊維加工 2003 6/6 4.1 0.56~8.8 0.011 0~0.042
難燃プラスチック製造加工 2004 12/12 8.9 0.12~47 0.010 0~0.10
下水道終末処理 2004 6/6 4.5 1.3~7.9 0.0064 0~0.022
難燃樹脂製造 ( TrBPh 末端処理
TBBPA型エポキシ樹脂) 2005 5/5 3.3 0.87~7.6 0.0028 0.0015~0.0044
難燃剤製造(DeBDE) 2006 4/4 110 8.2~390 0.37 0.010~1.4
難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂) 2008 2/2 5.6 5.5, 5.8 0.024 0.0045, 0.044
難燃プラスチック製造加工
(発泡ポリスチレン) 2008 2/2 4.4 4.1, 4.8 0.019 0.016, 0.022
アルミニウム第二次精錬・精製 2009 6/6 5.8 2.1~12 0.022 0.0050~0.044
セメント製造 2010 4/4 1.6 0.73~2.2 0.0020 0.00095~0.0040
家電リサイクル 2011 18/18 20 0.94~110 0.073 0.0015~0.45
廃棄物焼却炉 2012 11/11 2.6 0.38~12 0.0096 0.00074~0.046
難燃繊維加工 2013 8/8 8.7 4.2~18 0.031 0.011~0.066
下水道汚泥焼却処理 2014 4/4 0.43 0.25~0.62 0.00062 0.00043~0.00089
(2) 降下ばいじん
降下ばいじん中における PBDD/Fs検出状況を表 6に示す。PBDD/Fs実測濃度では, 全デー
タ(検体数40, 平均値16,000 pg/m2/day, 検出範囲140~180,000 pg/m
2/day)のうち平均値より高
い濃度で検出されたのは, 家電リサイクル施設(2002年), 難燃樹脂製造施設(2002年)であっ
た。また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, 特にダイオキシン類の基準はないが, 全データ(検体
数 40, 平均値 74 pg-TEQ/m2/day, 検出範囲 0~960 pg-TEQ/m
2/day)の平均値より高い値であっ
たのは, 家電リサイクル施設, 難燃樹脂製造施設の周辺地点であった。
※降下ばいじんの測定場所は, 各施設の敷地境界付近で測定
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 環境基準はない。
表 6 降下ばいじん中における PBDD/Fs検出状況
調査対象施設 調査
年度
実測濃度(pg/m2/day) 毒性等量相当値(pg-TEQ/m2/day)
検出頻度
(検出数/
調査数)
平均値 濃度範囲 平均値 濃度範囲
家電リサイクル 2002 7/7 47,000 2,000~180,000 250 3.5~960
難燃樹脂製造 2002 7/7 34,000 1,100~120,000 150 2.8~660
難燃剤製造 2003 2/2 3,000 500, 5,400 19 1.7, 36
難燃繊維加工 2003 3/3 2,300 900, 3,300 14 2.6, 20
難燃プラスチック製造加工 2004 6/6 670 140~1,600 1.3 0~3.2
下水道終末処理 2004 3/3 410 240~680 0.3 0~0.5
難燃樹脂製造 ( TrBPh 末端処理
TBBPA型エポキシ樹脂) 2005 3/3 1,300 460~2,500 2.0 0.67~3.2
難燃剤製造(DeBDE) 2006 2/2 13,000 8,500, 17,000 41 33, 49
難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂) 2008 1/1 - 4,900 - 23
難燃プラスチック製造加工
(発泡ポリスチレン) 2008 1/1 - 610 - 1.9
アルミニウム第二次精錬・精製 2009 3/3 1,500 430~2,400 5.3 1.2~7.9
セメント製造 2010 2/2 660 380, 930 2.0 0.82, 3.2
(3) 公共用水域水質
公共用水域水質中における PBDD/Fs検出状況を表 7に示す。PBDD/Fs実測濃度では, 全デ
ータ(検体数 101, 平均値 330 pg/L, 検出範囲 ND~7,400 pg/L)のうち平均値より高い濃度で検
出されたのは, 難燃繊維加工施設周辺, 下水道終末処理施設周辺であった。また, PBDD/Fs毒
性等量相当値では, ダイオキシン類の環境基準値(年平均値 1 pg-TEQ/L)と比較すると, 難燃
5
繊維加工施設周辺, 下水道終末処理施設周辺において環境基準値を超過している地点があっ
た。
※公共用水域水質の採取場所は, 施設の排水が流入する河川下流または海域(排水口付近)で試料採取した。また, 施
設の影響を確認するため河川では, 河川上流または海域(排水口より離れた)で試料採取した。
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 環境基準はない。
表 7 公共用水域水質中における PBDD/Fs検出状況
調査対象施設 調査
年度
実測濃度(pg/L) 毒性等量相当値(pg-TEQ/L)
検出頻度
(検出数/
調査数)
平均値 濃度範囲 平均値 濃度範囲
家電リサイクル① 2002 1/2 14 ND, 28 0.055 0~0.11
家電リサイクル② 2002 2/3 29 ND~87 0.057 0~0.17
難燃樹脂製造① 2002 3/5 5.1 ND~20 0.014 0~0.028
難燃樹脂製造② 2002 4/6 5.8 ND~31 0.010 0~0.037
難燃剤製造① 2003 2/2 13 0.5, 25 0.025 0, 0.050
難燃剤製造② 2003 2/2 95 20, 170 0.23 0.050, 0.41
難燃繊維加工① 2003 3/3 2,200 16~6,600 6.0 0.065~18
難燃繊維加工② 2003 3/3 6,800 5,900~7,400 23 18~29
難燃プラスチック製造加工① 2004 1/6 1.2 ND~7.1 0.0067 0~0.04
難燃プラスチック製造加工② 2004 3/6 10 ND~49 0.023 0~0.10
下水道終末処理① 2004 3/3 2.4 0.5~5.1 0.013 0~0.04
下水道終末処理② 2004 2/3 330 330, 1,000 0.50 0~1.5
難燃樹脂製造(TrBPh 末端処理 TBBPA
型エポキシ樹脂)① 2005 1/3 50 ND~50 0.0012 0~0.0036
難燃樹脂製造(TrBPh 末端処理 TBBPA
型エポキシ樹脂)② 2005 1/3 120 ND~120 0.083 0~0.25
難燃剤製造(DeBDE)① 2006 2/2 27 22, 32 0.055 0.051, 0.059
難燃剤製造(DeBDE)② 2006 2/2 85 73, 97 0.10 0.073, 0.13
難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂)① 2008 1/1 - 3.3 - 0.010
難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂)② 2008 1/1 - 32 - 0.020
難燃プラスチック製造加工
(発泡ポリスチレン)① 2008 1/1 - 7.3 - 0.010
アルミニウム第二次精錬・精製① 2009 3/3 27 1.0~78 0.072 0~0.21
アルミニウム第二次精錬・精製② 2009 3/3 12 0.42~34 0.049 0~0.14
セメント製造① 2010 1/3 1.7 ND~5.0 0 0
セメント製造② 2010 1/2 4.0 ND, 7.9 0 0
家電リサイクル① 2011 3/5 20 ND~72 0.082 0~0.34
家電リサイクル② 2011 5/5 59 1.1~170 0.20 0.004~0.59
廃棄物焼却炉① 2012 2/2 12 0.05, 24 0.030 0, 0.060
廃棄物焼却炉② 2012 2/2 19 0.12, 37 0.070 0, 0.14
難燃繊維加工① 2013 1/1 - 8.5 - 0.0099
難燃繊維加工② 2013 1/1 - 1,400 - 4.0
下水道終末処理① 2014 6/6 8.9 1.2~20 0.022 0.003~0.062
下水道終末処理② 2014 6/6 260 3.4~1,500 0.96 0.008~5.6
難燃繊維加工① 2015 2/2 77 14, 140 0.28 0.027, 0.53
難燃繊維加工② 2015 2/2 140 130, 140 0.46 0.44, 0.47
※①:河川上流又は排水口から離れた海域, ②:河川下流又は排水口付近の海域
(4) 公共用水域底質
公共用水域底質中における PBDD/Fs検出状況を表 8に示す。PBDD/Fs実測濃度では, 全デ
ータ(検体数 95, 平均値 630 pg/g-dry, 検出範囲 ND~13,000 pg/g-dry)のうち平均値より高い濃
度で検出されたのは, 難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理TBBPA型エポキシ樹脂)周辺, 難燃
樹脂製造施設(TBBPAエポキシ樹脂)周辺, 家電リサイクル施設周辺, 難燃繊維加工周辺であっ
6
た。また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダイオキシン類の環境基準値(150 pg-TEQ/g-dry)と比
較すると, 難燃繊維加工施設周辺において環境基準値を超過している地点があった。
※公共用水域底質の採取場所は, 原則, 公共用水域水質と同一場所で試料採取した。
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 環境基準はない。
表 8 公共用水域底質中における PBDD/Fs検出状況
調査対象施設 調査
年度
実測濃度(pg/ g-dry) 毒性等量相当値(pg-TEQ/ g-dry)
検出頻度
(検出数/
調査数)
平均値 濃度範囲 平均値 濃度範囲
家電リサイクル① 2002 1/2 75 ND, 150 0.055 0~0.11
家電リサイクル② 2002 2/3 150 ND~410 0.057 0~0.17
難燃樹脂製造① 2002 4/5 130 ND~280 0.014 0~0.028
難燃樹脂製造② 2002 5/6 520 ND~1,400 0.010 0~0.037
難燃剤製造① 2003 2/2 720 30, 1,400 0.025 0, 0.050
難燃剤製造② 2003 2/2 1,800 84, 3,600 0.23 0.050, 0.41
難燃繊維加工① 2003 3/3 440 1.3~1,300 6.0 0.065~18
難燃繊維加工② 2003 3/3 680 16~2,000 23 18~29
難燃プラスチック製造加工① 2004 3/6 5.4 ND~27 0.040 0~0.22
難燃プラスチック製造加工② 2004 5/6 21 ND~27 0.063 0~0.22
下水道終末処理① 2004 2/3 110 ND~190 0.52 0~0.93
下水道終末処理② 2004 3/3 570 16~1,000 2.5 0.05~4.2
難燃樹脂製造(TrBPh 末端処理 TBBPA
型エポキシ樹脂)① 2005 3/3 570 50~1,500 11 0.31~30
難燃樹脂製造(TrBPh 末端処理 TBBPA
型エポキシ樹脂)② 2005 3/3 1,300 1,300~1,300 10 7.1~14
難燃剤製造(DeBDE)① 2006 2/2 370 88, 660 2.5 1.7, 3.3
難燃剤製造(DeBDE)② 2006 2/2 2,200 32, 4,300 10 1.8, 20
難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂)① 2008 1/1 - 640 - 11
難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂)② 2008 1/1 - 1,100 - 7.7
難燃プラスチック製造加工
(発泡ポリスチレン)① 2008 1/1 - 8.5 - 0.0078
難燃プラスチック製造加工
(発泡ポリスチレン)② 2008 1/1 - 120 - 0.50
アルミニウム第二次精錬・精製① 2009 2/2 31 1.4, 60 0.09 0, 0.18
アルミニウム第二次精錬・精製② 2009 2/2 100 1.9, 200 0.45 0.0086, 0.9
セメント製造① 2010 2/2 16 1.2, 42 0.094 0, 0.28
セメント製造② 2010 1/2 4.0 ND, 7.9 0 0
家電リサイクル① 2011 4/4 710 0.40~2,600 2.9 0.0033~11
家電リサイクル② 2011 4/4 1,300 0.51~4,700 4.2 0.0031~16
廃棄物焼却炉① 2012 1/1 - 0.31 - 0.001
廃棄物焼却炉② 2012 1/1 - 12 - 0.045
難燃繊維加工① 2013 1/1 - 180 - 0.26
難燃繊維加工② 2013 1/1 - 13,000 - 170
下水道終末処理① 2014 6/6 91 13~260 0.35 0.036~1.0
下水道終末処理② 2014 6/6 190 7.0~860 0.82 0.019~3.9
難燃繊維加工① 2015 2/2 950 2.6, 1,900 2.9 0.00082, 5.8
難燃繊維加工② 2015 2/2 3,500 150, 6,900 17 0.39, 33
※①:河川上流又は排水口から離れた海域, ②:河川下流又は排水口付近の海域
3.3 臭素化ダイオキシン類の暫定排出インベントリー
3.3.1 PBDD/Fsの年間排出量の試算結果 これまでの排出実態調査等で得られたデータを用いて, 施設の種類毎の年間 PBDD/Fs排出
量を算出し, これに調査を行った施設の活動量指標の合計で除することにより, 施設種類毎の
7
排出量原単位を算出した。年間排出量は, 施設種類毎の排出量原単位に全国の活動量指標を
乗じることにより全国の排出量を求めた。
日本における PBDD/Fs暫定排出インベントリーを試算した結果を表 9および表 10に示す。
表 9 PBDD/Fsの大気への年間排出量【大気への排出】※1
施設等 大気(mg/年) 大気 (mg-TEQ/年)※2
難燃剤製造・
取扱施設
TBBPA 10.6 1.08
TBBPAポリカーボネートオリゴマー 9.89 1.87
DeBDE 504 2.07
難燃樹脂製造施設 TBBPAエポキシ樹脂 0.0250 0.00163
TrBPhs末端処理 TBBPA型エポキシ樹脂 3,260 0.760
難燃プラスチック
製造加工施設
DeBDE使用 135,000 1,030
発泡ポリスチレン 42.1 3.95
難燃繊維加工施設 244 0.766
家電リサイクル施設 175 1.14
アルミニウム二次精錬・精製施設 8,430 55.9
セメント製造施設 20,500 510
廃棄物焼却施設 一般廃棄物焼却施設 1,650 179
産業廃棄物焼却施設 6,490 166
下水道終末処理施設 192 19.7
※1:2003年~2013年度調査データより試算。
※2:TEQは, 検出下限未満を検出下限の 1/2 として算出したデータ。
表 10 PBDD/Fsの水への年間排出量【水への排出】※1
施設等 水(mg/年) 水(mg-TEQ/年)※2
難燃剤製造・取扱施
設
TBBPA※3 - -
TBBPAポリカーボネートオリゴマー※4 - -
DeBDE※3 36,300 588
難燃樹脂製造施設 TBBPAエポキシ樹脂※5 - 6.69
TrBPhs末端処理 TBBPA型エポキシ樹脂 58.1 7.06
難燃プラスチック製造
加工施設
DeBDE使用 2,860 44.5
発泡ポリスチレン※5 - 0.234
難燃繊維加工施設 231,000 1,370
家電リサイクル施設 546 2.17
アルミニウム二次精錬・精製施設 159 1.10
セメント製造施設 795 29.4
廃棄物焼却施設 一般廃棄物焼却施設 10.2 0.948
産業廃棄物焼却施設 220 4.32
下水道終末処理施設 211,000 1,110
※1:2003年~2015年度調査データより試算。※2:TEQは, 検出下限未満を検出下限の 1/2として算出したデータ。 ※3:同一施設
※4:情報量不足のため推計不可 ※5:実測値 ND
8
3.3.2 塩素化ダイオキシン類の年間排出量との比較
推定された PBDD/Fsの年間排出量と塩素化ダイオキシン類の年間排出量の比較を表 11に
示す。
表 11 年間排出量の比較
臭素化ダイオキシン類※1,2 g-TEQ/年 塩素化ダイオキシン類※3, 4 g-TEQ/年
年間排出量 5.14 118-120
大気への排出源
※排出量の多い施設
難燃プラスチック製造加工施設 1.03 製鋼用電気炉 25.2
セメント製造施設 0.51 一般廃棄物焼却施設 24
一般廃棄物焼却施設 0.18 産業廃棄物焼却施設 19
産業廃棄物焼却施設 0.17 小型廃棄物焼却施設
(法規制対象) 12
アルミニウム第二次精練・
精製施設 0.056 鉄鋼業焼結工程 7.1
下水道終末処理施設 0.020 小型廃棄物焼却施設
(法規制対象外) 9.5
- - アルミニウム第二次精練・
精製施設 6.66
大気への排出 1.97 118-120
水への排出源
※排出量の多い施設
難燃繊維加工施設 1.37 産業廃棄物焼却施設 0.32
下水道終末処理施設 1.11 下水道終末処理施設 0.20
難燃剤製造・取扱施設(DeBDE) 0.59 塩ビモノマー製造施設 0.12
難燃プラスチック製造加工施設 0.045 パルプ製造漂白施設 0.09
セメント製造施設 0.029 共同排水処理施設 0.057
難燃剤製造・取扱施設(TrBPhs 末端
処理 TBBPA型エポキシ樹脂) 0.0071 アルミニウム合金製造 0.008
水への排出 3.17 0.8
※1:2004年~2015年度調査データより試算。
※2:検出下限未満を「1/2」として算出したデータ。
※3:塩素化ダイオキシン類の排出量(2015年)の目録(2017年 3月 環境省)
※4:塩素化ダイオキシン類(PCDD/Fs+DL-PCBs)
4. 臭素系ダイオキシン類の排出実態の特徴と今後の課題
4.1. 臭素系ダイオキシン類の排出実態の特徴
・ PBDD/Fsの年間排出量(g-TEQ/年)は, 塩素化ダイオキシン類(2015年度)の約 1/25であると
推計された。
・ PBDD/Fsの年間排出量(g-TEQ/年)の内訳は, 大気への排出が 38 %程度, 水への排出が
62 %程度であるのに対して, 塩素化ダイオキシン類の年間排出量の内訳は, 大気への排出が
99 %程度, 水への排出が 1 %程度であった。
・ PBDD/Fsの重要な排出源となっている施設は, 難燃プラスチック製造加工施設, 難燃繊維加
工施設, 下水道終末処理施設であった。
・ 難燃繊維加工施設については, PBDD/Fsの水への排出が高濃度で検出されており, 2003年
から 2015年にかけて計 6回調査を実施しているが, 継続して塩素化ダイオキシン類の排出基準
を上回る濃度で PBDD/Fsが検出されている。難燃繊維加工施設における染色工程は染色仕上
げ処理が排水量の大部分を占めており、また、未吸着の染料や各種薬剤等を大量に含む着色
排水であるため、より高度な排水処理を必要としている。2017年調査では, 各排水処理工程にお
9
ける PBDD/Fs削減効果を確認した結果, 排水処理方法により PBDD/Fsの低減が十分可能であ
ることが確認されている。
・ 2002年度の家電リサイクル施設については, 建屋内空気でPBDD/Fsの高濃度検出事例がみ
られ, 塩素化ダイオキシン類の作業環境基準を上回る濃度で PBDD/Fsが検出されている例があ
ったが, 2011年度の調査では, 家電品に蓄積されたダ、解体前にダストを集塵する設備導入など
により 2011年度調査では、改善傾向も確認されている。
調査の結果, BFRsを取扱う一部の難燃繊維加工施設や BFRs含有製品のリサイクル工場か
ら, 塩素化ダイオキシン類の排出基準に相当する値を大幅に超過する PBDD/Fsの排出が確認
された。また, これまでの調査から PBDD/Fsの発生源や排出動態は, PCDD/Fs とは異なってお
り, 特に水系への排出が相対的に多い傾向が認められている。
4.2 今後の課題
PBDD/Fsの暫定排出インベントリーについては, データも少なく, 推計における仮定の要素
も大きいことから暫定的な試算であり, 今後更なるデータの蓄積及び情報収集を行う必要があ
るが, 暫定排出インベントリーによって, 国内における PBDD/Fsの排出実態の一端が明らかに
され, 現状の PBDD/Fsの重要な排出源が特定されつつある。
一方, POPs条約で HBCDs(2012年 10月追加)や DeBDE(2017年追加)の使用や製造が抑
制される方向にあるため, 臭素系ダイオキシン類の主要排出源が変化することも考えられる。従
って, 臭素系ダイオキシン類の排出実態調査を継続して, PBDD/Fsの暫定排出インベントリーの
整備を進め, 排出実態の変化を注視していくことが重要と考えられる。特に, これまでの調査を
通じて明らかにされた排出負荷の大きな水系排出源については, 塩素化ダイオキシン類の規制
値を上回る例が多くみられており, 規制措置の必要性の検討が重要な課題である。また, 発生
源となり得る BFRsのライフサイクルにおける臭素系ダイオキシン類の排出実態調査は, 継続し
て重要度の高い課題と考えられる。
今後の施設調査においては, 施設内における臭素系ダイオキシン類の挙動や消長を調査す
ることで, 排出削減に向けた対策技術の把握を目指す必要がある。本調査の中においても, 家
電リサイクル施設における粒子状物質制御による削減事例など, 対策技術に繋がる知見も得ら
れているが, 本格的な対策技術の検討も進められねばならない。
10
Abstract
In Japan, knowledge of brominated dioxins about a generation source, environmental behavior,
environmental dynamics, the disclosure reality, toxic influence and a control measure was much
small compared to that of chlorinated dioxins. In accordance with a requirement under Article 2 of
the supplementary provisions of the Law Concerning Special Measures against Dioxins, the
Ministry of the Environment has investigated the discharge reality of brominated dioxins in various
facilities since 2002 for the purpose of understanding the discharge current state of brominated
dioxins in the country, maintaining an inventory and collecting the basic information which
contributes to consideration of emission reduction technology and policy.
Brominated dioxins were measured in accordance with polybrominated dibenzo-p-dioxins and
furans (PBDD/Fs) standard of temporary investigation method of PBDD/Fs (March, 2007, Ministry
of the Environment), measured by an internal standard method using labeled 13
C12 internal standard
substance, with a high resolution gas chromatography / high resolution mass spectrometry
(HRGC/HRMS) and a liquid chromatography / tandem mass spectrometry( LC/MS/MS) . Toxicity
Equivalency Quantity (TEQ) of brominated dioxins was calculated with Toxicity Equivalency
Factor (TEF) of the chlorinated dioxins in World Health Organization(WHO, 2006).
The temporary amount of emission of PBDD/Fs in our country was calculated as a test with
discharge actual condition survey result, and then the temporary discharge inventory of PBDD/Fs
was estimated. The annual amount of emission of PBDD/Fs was about 1/25 of chlorinated dioxins
as TEQ (fiscal year 2015). The ratio of the annual amount of emission of PBDD/Fs is that
discharging to atmosphere is about 38 % and to water is about 62 %. These facilities, such as
flame-retardant plastic manufacturing, processing facility and flame-retardant fiber processing
facility and sewerage sewage treatment facility, are important as generation sources of PBDD/Fs. In
particular, PBDD/Fs concentration from discharge water in flame-retardant fiber processing facility
exceeded the emission standard value of the chlorinated dioxins (10 pg-TEQ/L) from 2003 to 2015.
It has been reported that PBDD/Fs concentration in working environment about recycling facilities
of home electronics and flame resisting textile processing facilities also exceeded work
environment measurement standards of chlorinated dioxins (2.5 pg-TEQ/m3). However, the
improvement against the trend is confirmed in recent years.
From the former investigation, the generation source of PBDD/Fs and the discharge dynamics are
different from that of polychlorinated dibenzo-p-dioxins and furans (PCDD/Fs). In particular, the
tendency which has a lot of discharge to a basin system relatively is confirmed. On the other hand,
because the information on discharge dynamics of brominated dioxins is still a little, it's also
necessary to continue to investigate discharge actual condition of PBDD/Fs from now on and
collect the knowledge which contributes to details of a discharge inventory from various generation
sources and future's control measure.
11
別添-2
臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題
目 次
略語一覧
1.はじめに ··················································································· 1
2.臭素系ダイオキシン類に関する基本事項 ·············································· 2
2.1 構造情報 ············································································· 2
2.2 物理化学的性状 ·································································· 6
2.3 毒性 ················································································· 8
2.4 臭素系難燃剤の製造等に関する情報 ······································ 14
2.5 生成機構 ········································································· 16
3.臭素系ダイオキシン類に関する排出実態調査 ·································· 18
3.1 調査目的 ········································································· 18
3.2 調査対象施設 ··································································· 18
3.3 施設工程概要 ··································································· 19
3.4 試料採取方法 ··································································· 33
3.5 測定対象物質 ··································································· 34
3.6 測定方法 ········································································· 35
3.7 検出下限と精度管理 ··························································· 48
4.排出実態の調査結果の要点と暫定排出インベントリー ······················· 54
4.1 排出実態調査結果(発生源) ·················································· 54
4.2 環境調査結果 ··································································· 62
4.3 臭素化ダイオキシン類の暫定排出インベントリー ························ 75
5.臭素系ダイオキシン類の排出実態の特徴と今後の課題 ······················ 84
5.1 臭素系ダイオキシン類の排出実態の特徴 ································· 84
5.2 今後の課題 ······································································ 85
引用文献 ··················································································· 86
参考資料 ··················································································· 89
略語一覧
本報告書に使用した主な略語の説明を以下に示す。
DiBPCDD/Fs (dibromopolychlororinated
dibenzo-p-dioxins/furans)
DiBPCDDs (dibromopolychlororinated
dibenzo-p-dioxins)
DiBPCDFs (dibromopolychlororinated
dibenzofurans)
HBCDs (hexabromocyclododecanes)
MoBPCDD/Fs ( monobromopolychlororinated
dibenzo-p-dioxins/furans)
MoBPCDDs (monobromopolychlororinated
dibenzo-dioxins)
MoBPCDFs (monobromopolychlororinated
dibenzofurans)
PBBs (polybrominated biphenyls)
: ジブロモポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン
: ジブロモポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン
/ジベンゾフラン
: ジブロモポリクロロジベンゾフラン
: ヘキサブロモシクロドデカン
: モノブロモポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシ
ン/ジベンゾフラン
: モノブロモポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシ
ン
: モノブロモポリクロロジベンゾフラン
: ポリブロモビフェニル
(ジ臭素化塩素化ジオキシン類)
(ジ臭素化塩素化ダイオキシン類)
(ジ臭素化塩素化ジベンゾフラン類)
(六臭素化シクロドデカン類)
(モノ臭素化塩素化ダイオキシン類)
(モノ臭素化塩素化ジオキシン類)
(モノ臭素化塩素化ジベンゾフラン類)
(臭素化ビフェニル類)
PBDD/Fs (polybrominated
dibenzo-p-dioxins/furans)
: ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン/ジベン
ゾフラン
(臭素化ダイオキシン類)
PBDDs (polybrominated dibenzo-p-dioxins) : ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン (臭素化ジオキシン類)
TeBDDs (tetrabromo dibenzo-p-dioxins) : テトラブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン (四臭素化ジオキシン類)
PeBDDs (pentabromo dibenzo-p-dioxins) : ペンタブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン (五臭素化ジオキシン類)
HxBDDs (hexabromo dibenzo-p-dioxins) : ヘキサブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン (六臭素化ジオキシン類)
HpBDDs (heptabromo dibenzo-p-dioxins) : ヘプタブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン (七臭素化ジオキシン類)
OBDD (octabromo dibenzo-p-dioxin) : オクタブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン (八臭素化ジオキシン)
PBDFs (polybrominated dibenzofurans) : ポリブロモジベンゾフラン (臭素化ジベンゾフラン類)
TeBDFs (tetrabromo dibenzofurans) : テトラブロモジベンゾフラン (四臭素化ジベンゾフラン類)
PeBDFs (pentabromo dibenzofurans) : ペンタブロモジベンゾフラン (五臭素化ジベンゾフラン類)
HxBDFs (hexabromo dibenzofurans) : ヘキサブロモジベンゾフラン (六臭素化ジベンゾフラン類)
HpBDFs (heptabromo dibenzofurans) : ヘプタブロモジベンゾフラン (七臭素化ジベンゾフラン類)
OBDF (octabromo dibenzofuran) : オクタブロモジベンゾフラン (八臭素化ジベンゾフラン)
PBDEs (polybrominated diphenyl ethers) : ポリブロモジフェニルエーテル (臭素化ジフェニールエーテル類)
MoBDEs (monobromo diphenyl ethers) : モノブロモジフェニルエーテル (一臭素化ジフェニールエーテル類)
DiBDEs (dibromo diphenyl ethers) : ジブロモジフェニルエーテル (二臭素化ジフェニールエーテル類)
TrBDEs (tribromo diphenyl ethers) : トリブロモジフェニルエーテル (三臭素化ジフェニールエーテル類)
TeBDEs (tetrabromo diphenyl ethers) : テトラブロモジフェニルエーテル (四臭素化ジフェニールエーテル類)
PeBDEs(pentabromo diphenyl ethers) : ペンタブロモジフェニルエーテル (五臭素化ジフェニールエーテル類)
HxBDEs (hexabromo diphenyl ethers) : ヘキサブロモジフェニルエーテル (六臭素化ジフェニールエーテル類)
HpBDEs (heptabromo diphenyl ethers) : ヘプタブロモジフェニルエーテル (七臭素化ジフェニールエーテル類)
OBDEs (octabromo diphenyl ethers) : オクタブロモジフェニルエーテル (八臭素化ジフェニールエーテル類)
NoBDEs(nonabromo diphenyl ethers) : ノナブロモジフェニルエーテル (九臭素化ジフェニールエーテル類)
DeBDE (decabromo diphenyl ether) : デカブロモジフェニルエーテル (十臭素化ジフェニールエーテル)
PBPhs (polybrominated phenols) : ポリブロモフェノール (臭素化フェノール類)
MoBPhs (monobromophenols) : モノブロモフェノール (一臭素化フェノール類)
DiBPhs (dibromophenols) : ジブロモフェノール (二臭素化フェノール類)
TrBPhs (tribromophenols) : トリブロモフェノール (三臭素化フェノール類)
TeBPhs (tetrabromophenols) : テトラブロモフェノール (四臭素化フェノール類)
PeBPh (pentabromophenol) : ペンタブロモフェノール (五臭素化フェノール)
PCBs (polychlorinated biphenyls)
DL-PCBs (dioxin-like polychlorinated
biphenyls)
: ポリクロロビフェニル
:
(塩素化ビフェニル類)
(ダイオキシン様塩素化ビフェニル
類)
TeCBs (tetrachloro biphenyls) : テトラクロロビフェニル (四塩素化ビフェニル類)
PeCBs (pentachloro biphenyls) : ペンタクロロビフェニル (五塩素化ビフェニル類)
HxCBs (hexachloro biphenyls) : ヘキサクロロビフェニル (六塩素化ビフェニル類)
HpCBs (heptachloro biphenyls) : ヘプタクロロビフェニル (七塩素化ビフェニル類)
PCDD/Fs (polychlorinated
dibenzo-p-dioxins/furans)
: ポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン/ジベン
ゾフラン
(塩素化ダイオキシン類)
PCDDs (polychlorinated dibenzo-p-dioxins) : ポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (塩素化ジオキシン類)
TeCDDs (tetrachloro dibenzo-p-dioxins) : テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (四塩素化ジオキシン類)
PeCDDs (pentachloro dibenzo-p-dioxins) : ペンタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (五塩素化ジオキシン類)
HxCDDs (hexachloro dibenzo-p-dioxins) : ヘキサクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (六塩素化ジオキシン類)
HpCDDs (heptachloro dibenzo-p-dioxins) : ヘプタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (七塩素化ジオキシン類)
OCDD (octachloro dibenzo-p-dioxin) : オクタクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (八塩素化ジオキシン)
PCDFs (polychlorinated dibenzofurans) : ポリクロロジベンゾフラン (塩素化ジベンゾフラン類)
TeCDFs (tetrachloro dibenzofurans) : テトラクロロジベンゾフラン (四塩素化ジベンゾフラン類)
PeCDFs (pentachloro dibenzofurans) : ペンタクロロジベンゾフラン (五塩素化ジベンゾフラン類)
HxCDFs (hexachloro dibenzofurans) : ヘキサクロロジベンゾフラン (六塩素化ジベンゾフラン類)
HpCDFs (heptachloro dibenzofurans) : ヘプタクロロジベンゾフラン (七塩素化ジベンゾフラン類)
OCDF (octachloro dibenzofuran) : オクタクロロジベンゾフラン (八塩素化ジベンゾフラン)
PXDD/Fs (X=Br, Cl)(polyhalogenated
dibenzo-p-dioxins/furans)
: ポリハロゲンジベンゾ-パラ-ジオキシン/ジベ
ンゾフラン
(臭素化塩素化ダイオキシン類)
TBBPA (tetrabromo bisphenol A) : テトラブロモビスフェノール A (四臭素化ビスフェノール A)
DBDPE(decabromo diphenylethane) : デカブロモジフェニルエタン
ABS (acrylonitrile butadiene styrene)
: アクリロニトリル, ブタジエン, スチレンの共
重合体
BFRs (brominated flame retardants)
CCP (conference of the parties)
: 臭素系難燃剤
: 締約国会議
EI (electron impact) : 電子衝撃イオン化
ESI (electrospray ionization) : エレクトロスプレーイオン化
GC/MS (gas chromatography / mass
spectrometry)
: ガスクロマトグラフ質量分析計
HRGC/HRMS (high resolution gas
chromatography / high resolution mass
spectrometry)
: 高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計
IUPAC ( International Union of Pure and
Applied Chemistry)
: 国際純正・応用化学連合
LC/MS/MS (liquid chromatography / tandem
mass spectrometry)
: 高速液体クロマトグラフタンデム型質量
分析計
LD50 (Lethal dose 50%)
LOEL (Lowest observed effect level)
: 50%[半数]致死量
: 無毒性量
NOAEL (No observed adverse effect level)
POPs (Persistent Organic Pollutants)
PS (polyester)
REPs (relative effect potencies)
POPRC (Persistent Organic Pollutant review
committee)
RRF (Relative Response Factor)
RSD (relative standard deviation)
SARs (structure activity relationships)
SIM (selected ion monitoring)
: 最小作用量
: 残留性有機汚染物質
: ポリスチレン樹脂
: 相対毒性強度
: 残留性有機汚染物質委員会
: 相対感度係数
: 相対標準偏差
: 構造活性相関
: 選択イオン検出
TEF (Toxicity Equivalency Factor) : 毒性等価係数
TEQ (Toxicity Equivalency Quantity) : 毒性等量(又は毒性当量)
UNEP (United Nations Environment
Programme)
: 国連環境計画
WHO (World Health Organization) : 世界保健機構
1. はじめに
ダイオキシン類には, 塩素が置換した塩素化ダイオキシン類(PCDD/Fs)の他, 臭素が置換し
た臭素化ダイオキシン類(PBDD/Fs)や塩素と臭素が置換した臭素化塩素化ダイオキシン類
(PXDD/Fs)などがある。1999年に制定されたダイオキシン類対策特別措置法(以下, 特措法)1)
では, PCDD/Fs及びダイオキシン様塩素化ビフェニル(DL-PCBs)が法的規制の対象物質となっ
ている。このうち, PCDD/FsやDL-PCBsに関しては, 1990年代の廃棄物処理法改正や大気汚染
防止法改正から, その発生源や環境動態, 暴露実態, 毒性影響, 制御対策などに関する知見
が集積されており, 上記特措法によって発生源からの大気や水への排出や環境媒体について
基準が設定され, さまざまな排出削減方策が講じられてきた。特措法により 1999年から実施さ
れた全国の排出インベントリーの調査結果に基づくと, 2015年のダイオキシン類(PCDD/Fs+
DL-PCBs)の排出量は, 毒性当量(TEQ)換算で 118~120 g/年 2)となっており, 約 98%の低減が
認められている。
一方, PBDD/Fs及び PXDD/Fsを含む‘臭素系ダイオキシン類’については, 特措法の附則第
2条において, 「人の健康に対する影響の程度, その発生過程等に関する調査研究を推進し,
その結果に基づき必要な措置を講ずる」との検討規定が設けられている。PBDD/Fsは, 1980年
代後半に臭素系難燃剤(BFRs)などの製造・加工時の加熱やそれらを含む廃棄物の焼却処理
等において発生することが明らかにされた。その毒性は, 類似の化学構造を示す PCDD/Fs と同
程度であると考えられたことから, 臭素系ダイオキシン類の問題は国際的にも重要な検討課題
と認識され, 世界保健機構(WHO)などの国際機関を中心に情報収集やリスク削減の調査研究
が進められてきた。2011年3月には, WHOと国連環境計画(UNEP)により, 毒性等価係数(TEF)
によるリスク管理の必要性が指摘され, PBDD/Fsや PXDD/Fsなどの臭素系ダイオキシン類も従
来のダイオキシン類(PCDD/Fs, DL-PCBs)と同等の扱いで国際的に管理すべきことが提案され
ている 3)。
国内では, 塩素化ダイオキシン類と比較して, 臭素系ダイオキシン類の発生源, 環境挙動や
動態, 暴露実態, 毒性影響, 制御対策などに関する知見が非常に少ない状況であった。このよ
うな背景のもと, 環境省では, 上記の特措法の附則第 2条に基づき, 2002年から各施設におけ
る臭素系ダイオキシン類排出実態を調査してきた。
環境省では, 「臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理調査検討会」を設置し, 臭
素系ダイオキシン類の物理化学性状や毒性, 生成機構などに関する既存の情報を収集・整理
するとともに, 上記の臭素系ダイオキシン類排出実態調査結果をもとに, 暫定排出インベントリ
ーを算出した。また, 臭素系ダイオキシン類の発生源や排出実態に関する特徴をまとめ, さらな
る実態解明や詳細なインベントリーの把握などに向けた今後の課題を検討・整理した。本報告
書は, これらの検討結果を同検討会において取りまとめたものである。
1
2. 臭素系ダイオキシン類に関する基本的事項
2.1 構造情報
臭素系ダイオキシン類とは, PCDD/Fsの塩素が 1つ以上臭素に置換したものであり, PCDD/Fs
の全ての塩素が臭素に置換した PBDD/Fs, 塩素が 1つだけ臭素に置換したモノ臭素化塩素化
ダイオキシン類(MoBPCDD/Fs), 塩素が 2つ臭素に置換したジ臭素化塩素化ダイオキシン類
(DiBPCDD/Fs)等の総称である。
PBDD/Fsには, PCDD/Fs と同様に計 8種の同族体が存在し, 異性体は理論的に PBDDsで
75種, PBDFsで 135種が存在する。また, 2,3,7,8-位置換異性体は, PBDDsで 7種, PBDFsで 10
種が存在する。表 2.1 に PBDD/Fsの同族体, 異性体数及び平均分子量を示す。
表 2.1 PBDD/Fsの同族体, 異性体数及び平均分子量
臭素(Br)数 PBDDs PBDFs
同族体名 異性体数 平均分子量 同族体名 異性体数 平均分子量
1 (mono) MoBDDs 2 263.1 MoBDFs 4 247.1
2 (di) DiBDDs 10 342.0 DiBDFs 16 326.0
3 (tri) TrBDDs 14 420.9 TrBDFs 28 404.9
4 (tetra) TeBDDs 22 499.8 TeBDFs 38 483.8
5 (penta) PeBDDs 14 578.7 PeBDFs 28 562.7
6 (hexa) HxBDDs 10 657.6 HxBDFs 16 641.6
7 (hepta) HpBDDs 2 736.5 HpBDFs 4 720.5
8 (octa) OBDD 1 815.4 OBDF 1 799.4
臭素化塩素化ダイオキシン類(PXDD/Fs)(X=Br, Cl(Br=0 を除く))は, MoBPCDD/Fs及び
DiBPCDD/Fsを含む全ての臭素化塩素化異性体の総称である。PXDD/Fsには, 計 36種の同族
体が存在し, 異性体は理論的に PXDDsで 1,625種, PXDFsで 3,185種が存在する。2,3,7,8-位
置換異性体は, PXDDsで 347種, PXDFsで 657種が存在する。PBDD/Fs及び PXDD/Fsの化学
構造を図 2.1に示す。
次に, PBDD/Fsの発生源として関連のある BFRsの物質群として, 臭素化ジフェニルエーテル
類(PBDEs), 臭素化ビフェニル類(PBBs), テトラブロモビスフェノール A(TBBPA), ヘキサブロ
モシクロドデカン(HBCDs), トリブロモフェノール(TrBPhs), デカブロモジフェニルエタン(DBDPE)
などがある。
主なBFRsの化学構造を図 2.2に示す。また, PBDEs, PBBs, HBCDs PBPhsの同族体, 異性体
数及び平均分子量を表 2.2, 2.3, 2.5及び 2.6に示す。, TBBPA, DBDPEの同族体, 分子量を表
2.4及び 2.7に示す。
2
図 2.1 臭素系ダイオキシン類(PBDD/Fs及び PXDD/Fs)の化学構造
図 2.2 主な BFRsの化学構造
Br1-10
O
CH
CH
CHO OH
Br
Br
Br
Br
Br
Br
Br
Br
Br
BrPBDEs
Br1-10
PBBs
TBBPA
HBCDs
Br 1-5r
OHr
r
PBPhs
Br 1-8r
O
O
PBDDs
O
O
BrxClyr
PXDDs
X+Y=2-8, X≥1,Y≥1r
BrxClyr
O
PXDFs
X+Y=2-8, X≥1,Y≥1r
Br 1-8r
O
PBDFs (PBDD/Fs)
(PXDD/Fs)
Br
Br
r
r
Br
r
r
Br
r
r
Br
r
r Br
r
r
Br
r
r
Br
r
r
Br
r
r Br
r
r
DBDPE
3
表 2.2 PBDEsの同族体, 異性体数及び平均分子量
表 2.3 PBBsの同族体, 異性体数及び平均分子量
表 2.4 TBBPAの平均分子量
臭素(Br)数 TBBPA
平均分子量
4 (tetra) 543.9
表 2.5 HBCDsの異性体数及び平均分子量
臭素(Br)数 HBCDs
異性体数 平均分子量
6 (hexa) 16 641.7
臭素(Br)数 PBDEs
同族体名 異性体数 平均分子量
1 (mono) MoBDEs 3 249.1
2 (di) DiBDEs 12 328.0
3 (tri) TrBDEs 24 406.9
4 (tetra) TeBDEs 42 485.8
5 (penta) PeBDEs 46 564.7
6 (hexa) HxBDEs 42 643.6
7 (hepta) HpBDEs 24 722.5
8 (octa) OBDEs 12 801.4
9 (nona) NoBDEs 3 880.3
10 (deca) DeBDE 1 959.2
臭素(Br)数 PBBs
同族体名 異性体数 平均分子量
1 (mono) MoBBs 3 233.1
2 (di) DiBBs 12 312.0
3 (tri) TrBBs 24 390.9
4 (tetra) TeBBs 42 469.8
5 (penta) PeBBs 46 548.7
6 (hexa) HxBBs 42 627.6
7 (hepta) HpBBs 24 706.5
8 (octa) OBBs 12 785.4
9 (nona) NoBBs 3 864.3
10 (deca) DeBB 1 943.2
4
表 2.6 PBPhsの同族体, 異性体数及び平均分子量
臭素(Br)数 PBPhs
同族体名 異性体数 平均分子量
1 (mono) MoBPhs 3 173.0
2 (di) DiBPhs 6 251.9
3 (tri) TrBPhs 6 330.8
4 (tetra) TeBPhs 3 408.7
5 (penta) PeBPh 1 488.6
表 2.7 DBDPE の平均分子量
臭素(Br)数 DBDPE
平均分子量
10 (deca) 971.2
図 2.2の化学構造をみると, 芳香族炭化水素骨格に水酸基, 臭素原子, エーテル結合などを
有しており, これらの化学構造から臭素系ダイオキシン類の生成に関する前駆体として考えられ
ている。これらの BFRs の製造やそれらを使用した製品製造工程, それらを処分する工程では,
臭素系ダイオキシン類の生成に深く関与していることが予測され, 我が国では臭素系ダイオキシ
ン類の排出実態調査において BFRs も測定している。
5
2.2 物理化学的性状
臭素系ダイオキシン類は, 一般的に PCDD/Fs と同様に水溶性が低く, 脂肪, 油, 有機溶剤に
は溶けやすい。一方で, 同じハロゲン化数のPCDD/Fsと比較して, 分子量が大きく, 融点は高く,
蒸気圧は低く, 粒子吸着性が高くなる性質をもつ。PBDD/Fsの主な物理化学的性状を表 2.8に
示す。
表 2.8 PBDD/Fsの物理化学的性状 4), 5)
化合物名 融点
(℃)
沸点
(℃)
水溶解度
[log S](mol/L)
飽和蒸気圧
Pa(25℃)
オクタノール/分
配係数[log Kow]
吸着係数
[log Koc]
(mol/L)
1-MoBDD 104-106 4) 338.2
4) 3.5×10-3 4) 3.73
5)
2-MoBDD 93-94.5 4) 338.2
4) -6.12 4) 4.0×10
-3 4) 5.62 4) 4.39
4)
1,6-DiBDD 207 4) 375
4) 1.5×10-4 4) 3.79-6.12
5)
2,3-DiBDD 157.2-158 4) 375
4) -6.90 4) 1.6×10
-4 4) 6.25 4) 4.74
4)
2,7-DiBDD 174-176 4)
193-194 4)
375 4) 1.5×10
-4 4) 5.18 4)
2,8-DiBDD 149.5-151 4) 375
4) 1.7×10-4 4) 5.03
5)
3,7-DiBDD -7.24 , -7.99
4) 6.53, 7.14 4) 4.89, 5.22
4)
1,2,3,4-TeBDD 227(179-255)5) 406(386-427)5) 6×10-7 4) 6.00
5)
2,3,7,8-TeBDD 334-336 4) 438.3
4) -8.72, -9.45 4) 6.4×10
-7 4) 7.74, 6.50, 7.73 4) 5.54
4)
1,2,3,7,8-PeBDD 263(193-331)5) 425(398-458)5) -10.89 4) 1.4×10
-8 5) 8.32 4) 5.87
4)
1,2,3,6,7,8-HxBDD 285(207-350)5) 465(446-489)5) 7.8×10-10 5) 7.55
5)
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD 305(222-371)5) 477(446-519)5) 3.9×10-11 5) 9.50
4),8.385) 6.50
4)
OBDD 376 4) 523.2
4) -11.69 4) 4.1×10
-11 4)
9.3×10-16 4)
10.08 4),8.52
5) 6.82 4)
MoBDF 4.08 4)
2-MoBDF 103(82.5-120)5) 316(285-333)5) -5.42 4) 8.5×10
-3 5) 5.05 4)
DiBDF 5.58-6.09 4)
2,7-DiBDF 123(69.6-164)5) 343(321-370)5) -6.25 4) 2.0×10
-4 5) 5.95 4) 4.47
4)
3,7-DiBDF 123(69.5-167)5) 343(321-370)5) 2.1×10-4 5) 4.35
5)
TriBDF 6.49-6.79
1,2,8/2,3,8-TrBDF 144-148 4) -7.26
4) 6.55 4) 4.90
4)
TeBDF 7.72-8.72 4)
1,2,3,4-TrBDF 193(182-204)5) 368(367-370)5) 4.0×10-6 5) 5.13
5)
1,2,7,8-TrBDF 240.5-242 4) 392(372-425)5) 2.4×10
-6 5) 6.20 4)
2,3,7,8-TeBDF 301-302 4) 397(374-431)5) -7.99
4) 1.2×10-6 5) 7.14, 5.98
4) 5.22 4)
2,3,4,6-TeBDF 203(200-207)5) 375(372-378)5) -7.99 4) 1.0×10
-6 5) 7.14 4) 5.22
4)
1,2,3,7,8-PeBDF 7.04, 7.56 4)
2,3,4,7,8-PeBDF 219(195-249)5) 420(397-462)5) -8.71 4) 2.0×10
-7 5) 7.73 4) 5.54
4)
2,3,4,6,7,8-HxBDF 255(225-285)5) 456(422-491)5) -9.43 4) 8.31
4) 5.86 4)
1,2,3,4,6,7-HxBDF 232(209-262)5) 470(428-492)5) 5.6×10-8 5) 7.12
5)
1,2,3,4,6,8-HxBDF 255(225-285)5) 456(422-491)5) 1.3×10-8 5) 7.13
5)
1,2,3,4,7,8-HxBDF 237(209-277)5) 463(405-492)5) 3.3×10-8 5) 7.10
5)
1,2,3,6,7,8-HxBDF 234(209-267)5) 467(417-492)5) 3.3×10-8 5) 7.08
5)
1,2,3,4,6,7,8- HpBDF 250(222-306)5) 497(453-523)5) 9×10-11 4) 7.88
5)
1,2,3,4,6,7,9- HpBDF 257(222-293)5) 489(462-516)5) 5.2×10-10 5) 7.36
5)
1,2,3,4,6,8,9- HpBDF 270(222-318)5) 479(442-516)5) 2.2×10-10 5) 7.36
5)
OBDF 298(238-349)5) 517(497-554)5) 5.3×10-11 5) 8.52
5)
6
次に, PBDEs, TBBPA, HBCDs PBPhs及び DBDPEの物理化学的性状を表 2.9~2.13に示す。
表 2.9 PBDEsの物理化学的性状 5), 6), 7)
化合物名
(#:IUPAC No.)
融点
(℃)
沸点
(℃)
水溶解度[mg/L]
(25℃)
飽和蒸気圧
Pa(25℃)
オクタノール/分配
係数[log Kow]
4-MoBDE(#3) 53.35) 302 5) 4.16 5)
4,4'-DiBDE(#15) 566) 328 5) 0.13 6) 8.59×10-3 6)
4.88×10-3 6)
5.86 6)
5.74 6)
5.55 6)
2,4,4'-TrBDE(#28) 64 6) 346 5) 0.07 6) 9.07×10-4 6)
6.51×10-4 6)
5.94 6)
5.98 6)
2,2′,4,4′-TeBDE(#47) 80.5 6) 373 5) 0.001-0.002 6) 7.42×10-5 6)
5.52×10-5 6)
6.01-6.77 6)
2,2′,4,4′,5-PeBDE(#99) 92.3 6) 391 5) 9×10-7-8×10-5 6)
0.006 6)
1.49×10-5 6)
3.85×10-6 6)
7.94×10-6 6)
6.53-7.66 6)
7.32 6)
7.21 6)
7.13 6)
7.66 6)
2,2',4,4',6-PeBDE(#100) 98 6) 3985) 0.009 6) 5.00×10-6 6)
7.07×10-6 6)
7.24 6)
6.86 6)
2,2',4,4',5,5'-HxBDE(#153) 183 6) 422 5) 0.001 6)
0.0009 6)
1.03×10-7 6)
5.80×10-7 6)
7.9 6)
7.83 6)
7.62 6)
2,2',4,4',5,6'-HxBDE(#154) 143 6) 424 5) 0.001 6)
0.0009 6)
2.64×10-7 6) 7.82 6)
7.39 6)
2,2',3,4,4',5',6-HpBDE(#183) 211-238 5) 461 5) 0.002 6)
0.0015 6)
8.27 6)
DeBDE(#209) 300-310 6) >320 分解 6)
290-3067)(製品)
<0.0001 6) 9.28×10-9 6) 6.27 6)
表 2.10 TBBPAの物理化学的性状 8)
化合物名 融点
(℃)
沸点
(℃)
水溶解度[mg/L]
(25℃)
飽和蒸気圧
Pa(25℃)
オクタノール/分配
係数[log Kow]
TBBPA 178 8)
181-182 8)
200-300 8)
分解
pH5 0.148 8)
pH7 1.268)
pH9 2.34 8)
pure water 0.24 8)
6.24×10-6 8) 5.908)
表 2.11 HBCDsの物理化学的性状 9)
化合物名 融点
(℃)
沸点
(℃)
水溶解度[mg/L](20℃) 飽和蒸気圧
Pa(21℃)
オクタノール/分配
係数[log Kow]
HBCDs >190 分解 9) 0.066(α, β, γ の総和)9) 6.3×10-5 9) 5.62 9)
α-HBCDs 179-181 9) 0.0488 9) 5.07±0.09 9)
β-HBCDs 170-172 9) 0.0147 9) 5.12±0.09 9)
γ-HBCDs 207-209 9) 0.0021 9) 5.47±0.10 9)
7
表 2.12 PBPhsの物理化学的性状 5),10)
化合物名 融点
(℃)
沸点
(℃)
水溶解度
(mg/L)(25℃)
蒸気圧
[mmHg](25℃)
オクタノール/分配
係数[log Kow]
2-MoBPh 5.610) 194.5 10) 2230 10) 3.7×10-2 10) 2.35 10)
3-MoBPh 33 10) 236.5 10) 23000 10) 3.7×10-2 10) 2.63 10)
4-MoBPh 66.4 10) 238 10) 14000 10) 1.17×10-2 10) 2.59 10)
2,3-DiBPh 135 10) 1.34×10-3 10) 3.29 10)
2,4-DiBPh 38 10) 238.5 10) 1900 10) 1.34×10-3 10) 3.22 10)
2,5-DiBPh 68.1(53.8-79.0)5) 265(254-273)5) 135 10) 1.34×10-3 10) 3.29 10)
2,6-DiBPh 56.5 10) 255 10) 119 10) 1.34×10-3 10) 3.36 10)
3,4-DiBPh 74.8(71.3-81.4)5) 270(255-285)5) 135 10) 1.34×10-3 10) 3.29 10)
3,5-DiBPh 81 10) 274 10) 135 10) 1.34×10-3 10) 3.29 10)
2,3,6-TrBPh 1045) 286 5) 3.22 5)
2,4,5-TrBPh 103 5) 294 5) 3.575)
2,4,6-TrBPh 95.5 10) 286 10) 70 10) 3.03×10-4 10) 4.13 10)
2,3,4,6-TeBPh 113.5 10) 323(275-349)5) 1.98 10) 6.70×10-6 10) 5.07 10)
PeBPh 229.5 10) 3525) 0.0261 10) 3.85×10-7 10) 5.96 10)
表 2.13 DBDPE の物理化学的性状 5)
化合物名 融点
(℃)
沸点
(℃)
水溶解度
(mg/L)(25℃)
蒸気圧
[mmHg](25℃)
オクタノール/分配
係数[log Kow]
DBDPE 3095) 515 5) 0.00035) 6.29×10-6 5) 7.51 5)
2.3 毒性
2.3.1 WHO 環境保健クライテリアに整理された一般毒性 4)
1998年にWHOより出版された環境保健クライテリア 205(PBDD/Fs)による毒性について, 以
下に概要を示す。
(1) 急性毒性
Wistar系ラットに, 2,3,7,8-TeBDDを単回経口投与すると, LD50(28日の観察期間)は, 雌では約
100 μg/kg-体重, 雄では約 300 μg/kg-体重であった。
Sprague-Dawley系ラットに, 2,3,7,8-TeBDD及び 2,3,7,8-TeBDFを単回経口投与すると, LD50(28
日の観察期間)は, >500 μg/kg-体重であった。
モルモットにおいて, 等モル用量の 2,3,7,8-TeBDF及び 2,3,7,8-TeCDFを投与すると, 同程度の
死亡率を示した。
2,3,7,8-TeCDDと 2,3,7,8-TeCDFと同様に, 2,3,7,8-TeBDDと 2,3,7,8-TeBDFも, 種や系統によっ
て大きな感受性の差があり, モルモットはラットと比較して感受性が極めて高い。
(2) 生殖毒性
雄のWistar系ラットに, 2,3,7,8-TeBDD を単回経口投与すると, 28日後, 精巣/体重比に対する用
量依存性の増大が 300 μg/kg-体重以上で認めらる一方で, 体重増は用量依存的に抑制されたが,
投与したラット全てにおいて体重減少は見られなかった。
Wistar系ラットに, 2,3,7,8-TeBDDを 13週間, 毎日経口投与すると, 精巣における造精機能の低
下及び精巣上体における欠陥あるいは壊死した精母細胞が, 3又は 10 μg/kg-体重で認められた。
8
10 μg/kg-体重/日を投与した場合には重度の作用が観察され, 1 μg/kg-体重/日を投与した場合には
中程度の作用が観察され, 最小無毒性量(NOAEL)は, 0.1 μg/kg-体重/日であった。
(3) 発生毒性
妊娠 9日目のNMRIマウスに, 2,3,7,8-TeBDD又は 2,3,7,8-TeCDDを 5~90 μg/kg-体重, 単回
皮下投与し, 母体毒性と胎仔毒性について妊娠 18日目に評価すると, 投与量に依存して, 口蓋
裂の発生数及び口蓋裂の生じた腹数が有意に増加した。等モル量で比較すると, 口蓋裂を誘発
する 2,3,7,8-TeBDDの効力は, 2,3,7,8-TeCDD の 0.6であった。
妊娠 10日目の C57BL/6N マウスに, 2,3,7,8-TeBDDを 0~192 μg/kg-体重, 2,3,7,8-TeBDF,
1,2,3,7,8-PeBDF及び 2,3,4,7,8-PeBDFを 0~4,000 μg/kg-体重, 単回経口投与し, 妊娠 18日目に
屠殺して催奇形性作用を観察すると, 水腎症及び口蓋裂の最小影響量(LOELs)は,
2,3,7,8-TeBDDは 3及び 48, 2,3,7,8-TeBDFは 2及びと 200, 2,3,4,7,8-PeBDFは 400及び 2,400,
1,2,3,7,8-PeBDFは 500及び 3,000~4,000 μg/kg-体重であった。母親への投与が行われた仔にお
いて, 等モル量で比較すると 2,3,7,8-TeBDDと 2,3,7,8-TeCDDは水腎症の誘発において, ほぼ同
じ程度であった。
(4) 免疫毒性
ラットに, 2,3,7,8-TeBDD, いくつかの PBDDs及び PXDDsを 10 μg/kg-体重以上で単回暴露,
2,3,7,8-TeBDDを3ヵ月間, 毎日1 μg/kg-体重以上で亜慢性暴露すると, 用量依存性の胸腺重量低
下, 胸腺の委縮及びリンパ組織の委縮が観察された。胸腺萎縮能における効力の強い順は,
2,3-Br-7,8-DiCDD > 2,3,7,8-TeCDD / 2,3,7,8-TeBDD / 2-Br-3,7,8-TrCDD > 1,2,3,7,8-PeBDD >
1,2,4,7,8-PeBDD > 1,3,7,8-TeBDD の順であった。
マーモセットサルに, 2,3,7,8-TeBDD を 30 ng/kg-体重, 単回皮下投与すると, 静脈中の T ヘルパ
ー誘導因子サブグループの比率及び絶対数が有意に低下し, B 細胞数の低下も観察された。
2,3,7,8-TeCDDの場合は, 10 ng/kg-体重以上の投与量になると明らかな用量依存性が認められ
た。
等モル数で比較すると, ラットとサルにおける 2,3,7,8-TeBDDの作用は, 2,3,7,8-TeCDDの効力に
似ていると結論された。
(5) 半減期
数種の PBDD/Fsと PXDDsについてラットの諸組織と糞便における半減期が算出され, それら
の値は, 1日(全身からの 1,2,7,8-TeBDF)と 99日(肝臓からの 2,3,4,7,8-PeCDF)の範囲であった。
肝臓, 糞便及び脂肪組織における 2,3,7,8-TeBDD の推定半減期は, それぞれ 17, 18及び 58日
であり, 肝臓と糞便は, 2,3,7,8-TeCDDの報告されている値と同じであったが, 脂肪組織は 2倍以
上高かった。
ヒトについて算出された半減期は, ラットについての半減期よりかなり長く, 2,3,7,8-TeBDDは, 3
~11年(平均 5.9年), 2,3,7,8-TeBDFは, 1~2年(平均 1.5年)と推定されている。
2.3.2 WHO-UNEP専門家会合の総説 3)
次に, 2013年に発表されたWHO-UNEP専門家会合の総説「TOXICOLOGICAL SCIENCES,
133(2), 197-208(2013)」により, PBDD/Fs及び DL-PBBsにおけるダイオキシン様毒性に関する
知見を紹介する。
9
(1) 哺乳類及び魚類における毒性影響
PBDD/Fs及び PBBs のヒトの健康リスク評価及び生態毒性リスク評価を行うに際して, 哺乳類
のTEF値と鳥類及び魚類のTEF値を区別したWHO-TEF(1998)と同様の手法を用いた。大部分
のデータは哺乳類の個体及び試験管内試験を用いた研究である。魚類に関するデータは数少な
いが利用できる。しかし, 鳥類を用いた実験モデルデータは不十分と結論されている。
1) 哺乳類モデルにおける構造-活性相関
PCDD/Fs との構造活性相関(SARs)は, 環境汚染物質の中で最もよく調べられたもので, ヒト
の組織を含む広範な生体内外システムの毒性影響指標(エンドポイント)に対して SARsがまとめ
られている。2,3,7,8-臭素置換体にもこの SARsが適合できると考えられている。
2) 哺乳類モデルにおける毒性発現と強度
2,3,7,8-臭素置換体の毒性発現は, 2,3,7,8-TeCDD と同様に Ahレセプターに依存して引き起こ
される。WHO-UNEP 評価において, 文献を再調査して PBDD/Fs及び DL-PBBs の REPs(REPs
とは, 2,3,7,8-TeCDDに対する相対毒性強度)を求め, それらの塩素化異性体と比較した。 図 2.3
は, 生体内外の研究データから集積した臭素化化合物の REPs範囲を示す。また, ニジマスの胚
発達異常をエンドポイントとした研究で測定された塩素化化合物と比較した REPsの数値範囲を
表 2.14(モル基準で計算)に示す。一般に, 塩素化及び臭素化異性体の REPs範囲には, わずか
な差異があるが, 毒性の高い異性体では範囲に重なりがある。最も差があったのは, PBB(#77)
と PCB(#77)であり, 前者は後者より毒性が著しく高かった。モノオルソDL-PBBsのデータは少な
く, 塩素化異性体と比較してその REPs範囲の定量的評価はできないが, SARsがその塩素化類
似体と同等である可能性を示唆していた。
図 2.3 個体及び試験管内試験を用いた研究により蓄積された PXDD/Fs及び DL-PXBsの REPs
(塩素化合物を緑色棒, 臭素化化合物を褐色棒で示す。)
PCDDs vs PBDDs
PCDFs vs PBDFs
DL-PCBs vs DL-PBBs
10
表 2.14 異なる系統のニジマス a, bの幼生死亡の原因としての PXDD/Fs
及び DL-PXB の REPs比較
異性体 REPs
塩素化異性体
REPs
臭素化異性体 マスの系統
PXDD
2,3,7 0.017c Erwin
0.018c McConoughy
1,3,7,8 0.013c Erwin
2,3,7,8 1d Shasta
1e 2.54c Arlee
1d 2.22c Erwin
1d 1.90c Eagle Lake
1.14c Eagle Lake
1,2,3,7,8 0.730e 0.082c Arlee
0.140c Eagle Lake
1,2,3,4,7,8 0.319e 0.009c Arlee
1,2,3,6,7,8 0.024d Shasta
1,2,3,4,6,7,8 0.002d Shasta
PXDF
2,3,7,8 0.028e 0.250c Erwin
1,2,3,7,8 0.034e 0.041c Erwin
2,3,4,7,8 0.359e 0.071c Erwin
1,2,3,4,7,8 0.280e 0.002c Erwin
DL-PXB
3,3’,4,4’(77) 0.0002e 0.002c Erwin
0.001c Eagle Lake
0.001c Shasta
0.002c Arlee
3,4,4’,5(81) 0.001d Eagle Lake
3,3’,4,4’,5(126) 0.005e,f Arlee
3,3’,4,4’,5,5’(169) 0.00004d Erwin
0.0001c Arlee
a. ブルーサック症候群に酷似し, 卵黄嚢浮腫, 心膜浮腫, 多発性出血, 頭蓋顔面奇形, 及び死亡前成長遅延に特徴付けられる初期生活段階の 2,3,7,8-TeCDD類似評価項目が, 本表に示す全ての異性体について成長の幼生段階を通じて観察された。
b. PBDD/Fs, DL-PBBs, PCDD/Fs又は DL-PCBs異性体の LD50に対する 2,3,7,8-TeCDDの LD50 (pmol/g egg)の比として計算した。
c. Hornung et al. (1996a).
d. Zabel et al. (1995a). e. Walker and Peterson (1991).
f. レイクトラウトにおける幼生死亡原因の PCB126の REPs は 0.0030 (Zabel et al., 1995c)
3) 哺乳類モデルにおける毒性
PBDD/Fsの個体を用いた毒性は, げっ歯類において, 胸腺, 体重及び肝臓に対して,
2,3,7,8-TeBDDは 2,3,7,8-TeCDDと比較して明らかに大きな毒性影響が観察される一方, 水腎症
や口蓋裂などの催奇性影響は, 2,3,7,8-TeCDD と同一である。
経口, 腹腔内及び皮下投与では, げっ歯類における 2,3,7,8-TeBDDの毒性強度は,
2,3,7,8-TeCDD と同じ用量範囲にある。体重増加の減少及び胸腺萎縮における PBDDsの REPs
は, 2,3,7,8-TeBDD > 1,2,3,7,8-PeBDD > 1,2,4,7,8-PeBDD > 1,3,7,8-TeBDDの順で塩素化異性体
に類似していた。
11
マウスでは, 2,3,7,8-TeBDD / 2,3,7,8-TeBDF / 1,2,3,7,8-PeBDF及び 2,3,4,7,8-PeBDFの催奇性
の REPs は同族体グループ間で異なっていたが, 臭素化及び塩素化異性体間では類似していた。
肝臓, 肺及び皮膚における 2,3,7,8-TeBDDの CYP1A1誘導の REPsは, 2,3,7,8-TeCDD と比較し
て 0.03~0.15の範囲にあった。
2,3,7,8-TeCDD又は 2,3,7,8-TeBDDは, 免疫学的エンドポイント(胸腺重量, 膵臓重量など)に
ついて, ほぼ同一の毒性強度であった。子宮内及び授乳により TeCDDs又は TeBDDs に暴露し
たマウスは, 恐怖記憶試験にほぼ等しい対応を示し, TeCDDs及び TeBDDsの両者が記憶及び
情動を阻害することを示す。
これらの広範囲な実験から, 32の異なる個体及び試験管内試験を用いた 2,3,7,8-TeBDD の
REPsの平均値は 1.02(中央値: 0.64, 最小: 0.02, 最大: 8.45)であった。2,3,7,8-TeCDD と比較し
て, 大きい差異が 2,3,7,8-TeBDD の研究データにおいて観察されたが, 2,3,7,8-TeBDDの REPs
の平均及び中央値は, 2,3,7,8-TeCDDに類似していることから, 暫定手法として, 両異性体に同
様の(TEF = 1)を用いることが妥当とされた。
4) 魚類モデルにおける毒性
異なる系統のニジマスの幼生を用いた試験管内試験により, PBDD/Fs及びDL-PBBs異性体の
REPsが検討されている。観察された毒性エンドポイントは, 卵黄嚢浮腫, 心膜浮腫, 出血, 頭蓋
顔面奇形及び死亡前の成長遅延であった。表 2.12は, ニジマスにおける幼生死亡に基づいた
PCDD/Fs及び DL-PCBs と PBDD/Fs及び DL-PBBsの魚類特定な REPsを示す。表 2.12に示す
REPsは哺乳類でみられた傾向と明らかに異なっている。また, PBDD/Fs及び DL-PBBsの SARs
は塩素化異性体と異なる可能性があることから, 一般的な魚類毒性について塩素化異性体の
TEFの臭素化異性体への適用は推奨されていない。
5) PBDDs, PBDFs, DL-PBBs及びそれらの塩素化異性体の混合物の複合作用
PBDD/Fs及び DL-PBBsの混合物の複合作用の魚類の胚の致死影響に関して, 4つの混合物
の組み合わせの試験が行われた(2,3,7,8-TeBDD / 1,2,3,7,8-PeBDD, 2,3,7,8-TeBDD /
1,2,3,7,8-PeBDF, 1,2,3,7,8-PeBDD / 2,3,4,7,8-PeBDF及び 3,3′,4,4′-TeBB / 2,3,4,7,8-PeBDF)。結
果は, 全ての場合, 複合作用は加算的で, 同じ稚魚のバイオアッセイにおける塩素化異性体の
組について行われた観察と同等であった。
(2) 反応速度論及び代謝
1) 吸収
2,3,7,8-TeBDD及び 2,3,7,8-TeBDFの胃腸, 肺及び皮膚からの摂取は, 塩素化及び臭素化異
性体間で大きな違いがない。
2) 組織分布
PBDD/Fsは, 主に肝臓及び脂肪組織内に保持され, 2,3,7,8-TeBDD及び 2,3,7,8-TeCDD と同
様に, 組織間分布は用量に依存している。また, 皮膚吸収後の差異では, 2,3,7,8-TeBDDの方が
脂肪親和性及び分子の大きさの両方により起因している。
3) 代謝
2,3,7,8-TeCDDと同様に, げっ歯類において 2,3,7,8-TeBDDの消失は比較的遅い。モノ-及びジ
-ヒドロキシ代謝物への代謝的変換は両異性体で起こっているが, 酸素架橋開裂は 2,3,7,8-
TeCDDの方が優先的に現れる。
4) 消失と排泄
ラットの肝臓, 脂肪及び全身における 2,3,7,8-TeBDDの消失半減期は, それぞれ 15~25日,
40~55日及び 15~20日であった。消失速度は, げっ歯類中 2,3,7,8-TeCDDについて報告されて
いる速度と同等であった。
12
ヒトの血液における 2,3,7,8-TeBDD及び 2,3,7,8-TeBDFの消失半減期は, それぞれ 2.9~10
(平均値 5.9)年及び 1.1~1.9(平均値 1.5)年と報告されている。したがって, ヒトにおいて
2,3,7,8-TeBDDの消失半減期は, 2,3,7,8-TeCDD(5~11年)と同等と推定されている。
(3) TEF
WHOは, 臭素化及び塩素化 2,3,7,8-置換異性体が同様な影響があると結論付けた。
PCDD/Fs及び幾つかのノンオルソ DL-PCBs と同様に臭素化異性体は, 免疫抑制, 酵素誘導,
甲状腺ホルモン, ビタミン A 摂動, 抗エストロゲン性, 催奇性及び神経行動障害などで同等の毒
性影響を示し, これらの影響は, 2,3,7,8-塩素置換異性体と同様の低用量で見られており,
2,3,7,8-臭素置換異性体の同等な効力を示している。塩素化及び臭素化異性体間の REPs範囲
には差異があり, DL-PBBsは DL-PCBs と著しく異なるものの, 2,3,7,8-臭素置換異性体の REPs
は哺乳類において対応する塩素化異性体とほぼ同等であることから, PBDD/Fs及びノンオルソ
DL-PBBsに関する哺乳類からの REPsに関する実験データを用いて, ヒトの健康リスク評価に関
する暫定値として塩素化体と同様の TEFsを用いることが適当と考えられている。
また, 専門家会議は, PBDD/Fs及びDL-PBBsのヒトのバックグラウンド暴露の総 TEQsに顕著
に寄与する可能性があり, その結果, WHO-UNEP の TEF概念に PBDD/Fsの 2,3,7,8-臭素置換
体を含めることは, ダイオキシン類縁化合物に対するヒトのリスク評価の改良に欠くことができな
いとしている。DL-PBBs については情報が極めて少ないが, 予防原則として, ノンオルソ
DL-PBBs(#77, #81, #126及び#169)もダイオキシン類縁化合物としてWHO-UNEPの TEF概念
に含めることを推奨している。対照的に, モノオルソDL-PBBsに関する暴露及び毒性情報は不足
しており, モノオルソPBBsにモノオルソPCBsのTEF値を与えるのは時期尚早であるとしている。
ヒトの食物, 組織及び母乳中のPBDD/Fsの 2,3,7,8-臭素置換異性体及びいくつかのノンオルソ
DL-PBBsの濃度が総 TEQ量に著しく寄与する。哺乳類において, PBDD/Fs及びノンオルソ
DL-PBBsの毒性のエンドポイントと作用メカニズムは, 塩素化異性体と類似し, 個体及び試験管
内毒性試験から得られた PBDD/Fsの REPsの値は塩素化異性体と類似, 又は少なくとも一桁以
内の範囲であった。したがって, ヒトの健康リスク評価のための臭素化異性体及び塩素化異性体
に同様の暫定 TEF値の使用が推奨されている。
(4) 存在及び暴露
PBDFsは, PBDEsの主要な不純物である。市販混合物の製造中に, PBDFsの世界の排出量
(2001年)は数千 kg と推定されたが, PBDDsは検出されていない。性能が低い廃棄物焼却炉な
どにおける燃焼過程や廃棄物の屋外燃焼及び火災などによりPBDD/Fsが発生し, 熱分解, 光化
学的分解, 日光照射のほか TBBPAなどの他のBFRsのリサイクル過程での PBDFsの生成が報
告されている。また、自然過程による海洋環境中の TrBDDs及び TeBDDsの生成も報告されてお
り, 反応性の BPhs及び水酸化 PBDEsが天然に存在する PBDDsの前駆体であると推定されて
いる。
ヒトの暴露経路は, 粉じんからと食事からの暴露がある。粉じんからの暴露は, 一般家庭用品
などのさまざまな由来の粉じん, たとえば PBDEsなどの BFRsを含む電子機器や電気機器の使
用中に起こる。日本において, その暴露量は, PCDD/Fs と同様の TEF値を PBDD/Fsの 2,3,7,8-
臭素置換異性体に適用すると, 室内粉じんの総 TEQ量の 17 %に達する 11)。食事からの暴露量
は, 海産食物, 乳製品及び肉製品の中において, PCDD/Fsよりも PBDFsの寄与が高い。
PBDD/Fsの 2,3,7,8-置換異性体がその人体中の総 TEQ 量への寄与する濃度で検出された例
がある 12), 13)。
13
2.4臭素系難燃剤の製造等に関する情報 4), 7)
PBDD/Fsの関連物質としてBFRsがあるが, BFRsは, プラスチック製品, 電気機器・電子基板,
自動車・電車・航空機などの輸送機, カーテンなどの繊維製品, 住宅の壁紙などの多様な製品
のに火災防止の安全対策のために使用されているハロゲン系難燃剤の一つである。
主要なBFRs(TBBPA, PBDEs, TrBPhs, HBCDs)の主な用途を表 2.13に示す。PBBsの国内の
製造, 輸入, 使用の実態はない。
汎用されている BFRs のうち, PBDEsの 4~7臭素化物, PBBsの 6臭素化物及び HBCDsは,
近年ストックホルム条約 14)で規制された物質群に含まれる。スットクホルム条約とは, 環境中で
の残留性, 生物蓄積性, ヒトや生物への毒性が高く, 長距離移動性が懸念されるダイオキシン
類, PCBsなどの残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の
廃絶・制限, 排出の削減, これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している国際条約
である。対象物質については、POPs検討委員会(POPRC)において議論されたのち、締約国会
議(COP)において決定される。ストックホルム条約で規制された物質は, 国内では「化学物質の
審査及び製造等の規制に関する法律(以下, 化審法)」においても第一種特定化学物質に指定
され, 原則, 製造・使用が禁止されている。
日本国内における主要な BFRsの需要量推移を図 2.4に示す。
2016年の化学工業日報 16)によると, BFRsの中で使用量が最も多いのは TBBPAであり, 電
気・電子機器のエポキシ積層板が最大の用途であるが, 2004年をピークに需要は減っており,
その理由は, 家電製品・部品メーカーが生産の海外シフトを進めているためと考えられ, TrBPhs
も同様な傾向が認められる。
主に建築用の難燃性発泡ポリスチレンに使用されるHBCDsは, ストックホルム条約で廃絶対
象物質に指定されており, 国内においても化審法により第一種特定化学物質に指定され, 2014
年には製造・使用が禁止された。
さらに, ストックホルム条約で規制対象候補にあがっているPBDEsの中のDeBDEは, 自動車
及び航空機の特定交換部品の適用を除いて, 2015年 POPRC11で廃絶対象候補物質に指定さ
れ, 2017年 COP8で廃絶が決定された。国内においても化審法で第一種特定化学物質に指定さ
れ, 全ての用途について使用が禁止される。また, DeBDEに代わる難燃剤としてDBDPEなどが
使用されている。
BFRsに関するストックホルム条約及び国内の化審法の規制経緯を表 2.16に示す。
表 2.15 主要な BFRsの主な用途 4), 15), 16), 17)
TBBPA PBDEs TrBPh HBCDs
主な用途
・ プリント基板及び積
層板
・ ABS樹脂, エポキシ
樹脂, ポリカーボネ
ート樹脂, フェノール
樹脂などの原料
・ 添加型用途(ABS樹
脂の筐体)
・ 電気, 電子機器
用のプラスチック
・ 運輸機器(自動
車, 航空機)
・ 建設資材(電線,
ケーブル, 管)
・ 繊維
・ 樹脂用の添加剤
・ 防腐剤
・ 殺菌剤
・ 難燃剤の中間体
・ エポキシ樹脂の
末端封止剤
・ EPS(発泡スチロール)
・ XPS(押出法ポリスチレ
ン)
・ 電気, 電子機器使用の
HIPS(耐衝撃性ポリス
チレン)
・ 繊維
・ 家具
14
表 2.16 BFRsに関するストックホルム条約及び国内の化審法の規制経緯
年月日 ストックホルム条約 年月日 化審法(国内)
2009.5.4
~5.8
COP4
・TeBDEs,PeBDEs,HxBDEs,
HpBDEs,HxBBsの製造・使用等の禁止
(適用除外:当該物質(HxBBsを除く)を含
有する製品のリサイクル。)
2010.4.1 化審法改正
・TeBDEs,PeBDEs,
HxBDEs,HpBDEs,HxBBs
の第一種特定化学物質指定
(※適用除外なし)
2011.4.25
~4.29
COP5
・廃棄過程からの PBDEs(Te~HpBDEs)
の廃絶するための措置
2013.4.30
~5.2
COP6
・HBCDs 製造・使用等の禁止(適用除外:
建築用のビーズ法発泡ポリスチレン及び押
出発泡ポリスチレンに用いる当該物質の製
造及び使用。ただし,発効から 5 年を経過
すると失効。)
2014.5.1 化審法改正
・HBCDs の第一種特定化学
物質指定(適用除外なし)
2017.4.24
~5.5
COP8
・DeBDE 製造・使用等の禁止
(適用除外:自動車用部品(動力伝達系,
燃料系等),2022年 12月より前に承認を受
けた航空機及びその交換部品,難燃性を
有する繊維製品,家電製品に用いられるプ
ラスチックケース及び部品の添加剤。)
・廃棄過程からの PBDEs(Te~HpBDEs)
の廃絶するための措置(適用除外の評価)
2018.4
(予定)
化審法改正
・DeBDE の第一種特定化学
物質指定(適用除外なし)
※日本の化審法では、廃棄物工程の化学物質は規制対象外である。
※PBDEs は, DeBDE, OBDEs, TeBDEs の合計値
TeBDEs は, 1991 年以降, OBDEs は, 2000 年以降需要量は 0 となっている。
図 2.4 日本国内における主要な BFRsの需要量推移(化学工業日報 16)より作成)
15
2.5生成機構 4)
PBDD/Fsは, 1998 年にWHO により出版された環境保健クライテリア 205:PBDD/Fsによると,
意図的に生産されるものではなく, 種々の反応過程での副産物として, 又は化学反応, 光化学
反応及び熱反応やデノボ゙合成により非意図的に生成されると報告されている。特に, BFRsの一
つである PBDEsの熱分解は, PBDD/Fsの重要な発生源となっていると考えられている。
主な発生源を以下に示す。
(1) 難燃剤及び難燃剤含有工業における製品製造時の副生成
1) BFRsは, プラスチック製品, 防炎カーテン, 電子基板などの様々な身の回りの製品に, 難
燃効果を高めて火災を防止するために使用されている。BFRs中の PBDD/Fs濃度は, PBDEs中
に PBDFsが最大濃度(〜8,000 μg/kg)で検出されており, 1,2-ビス(三臭素化フェノキシ)エタン
中に PBDDsが最大濃度(〜8,500 μg/kg)で検出されている。また, BFRsを含む難燃化製品を製
造する際に, 副生成物としてPBDD/Fsが生成する。BFRsからの生成例として, 2,4,6-TrBPhの縮
合反応による PBDDsの生成例を図 2.5に示す。
2) 難燃繊維を製造するために, 繊維製品を防炎加工するが, BFRsを使用した防炎加工工程
において PBDD/Fsが生成する。18)
3) プラスチック材料(難燃剤添加樹脂, 鋳型整形部品, 市販の電気製品)について, PBDEsで
難燃処理したものにおいて PBDD/Fsが最も高濃度に検出され, 数千μg/kg のレベルで他の難
燃剤/ポリマーの組み合わせのレベルを数桁高かった。
図 2.5 2,4,6-TrBPhの縮合反応による 1,3,6,8-TeBDD の生成例
(2) 熱反応による生成
1) PBDEsや TBBPA 等の代表的な BFRsからの PBDD/Fsの生成については, 様々な熱分解
試験によって実証されている。熱分解条件に依存するものの, 一般的に PBDDsの生成量は少
なく, PBDFsの生成量の方が多い。一方, ブロモフェノール骨格を有する BFRsからは, PBDFsよ
り PBDDsの生成量が多い。
BFRsの熱分解による PBDD/Fsの生成例として, PBDEsの熱分解による PBDFsの生成例を
図 2.6に示す。
2) 難燃製品の製造における加熱工程では, 難燃ポリマーの押出及び射出成形等において
PBDD/Fsが生成する。OBDEs及びDeBDEを含むポリマーより最も多く生成し, 大部分がPBDFs
である。
3) BFRsを含有する難燃化製品の燃焼試験では, 燃焼残渣物やガス中に PBDD/Fsが生成す
る。また, BFRsを含有している難燃化製品などが廃棄物として最終的に廃棄物焼却炉に投入さ
れると, 燃焼条件によって PBDD/Fsが生成する。
OH
r
r
Br
r
r
Br
r
r
Br
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r
r
Br
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r O
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r
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Br
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r
Br
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r
+ 2HBrr
r
16
焼却施設からの排ガスの臭素系ダイオキシン類の排出実態調査 19)では, 排ガス(75施設の
内 26施設で検出)で PBDD/Fs(4臭素化体~6臭素化体)が検出され, PBDFsの方が PBDDs
よりも濃度は高かった。
4) 金属(錫, 鉄, 亜鉛, 銅)及び金属酸化物(亜鉛, 銅, 鉄, アンチモンの酸化物;シリカ, 二
酸化チタンが, ポリマー基材中における熱分解による影響試験では, PBT(ポリブチレンテレフタ
レート)における DeBDE の熱分解(500℃)で, 全ての金属, 及び銅(Ⅰ), 鉄(Ⅲ), アンチモン
(Ⅲ)の酸化物は PBDDs濃度が上昇した。PBDF濃度は, 鉄及びアンチモン酸化物により増加し
た。
図 2.6 DeBDEの熱分解による OBDFの生成例
(3) 光反応による生成
これまでにPBDEs又はPBPhsの光照射に伴うPBDD/Fsの生成が報告されている。例えば, ヘ
キサン溶媒中のDeBDEは, UV及び太陽光照射により脱臭素され, 低臭素化PBDE異性体及び
PBDFsを生成することが明らかとなっている。同様の現象は DeBDE含有プラスチックを対象とし
た太陽光照射試験でも確認されている。20) また, PBPhsへのUV照射によるPBDD/Fs(1〜5臭素
化体)の生成も認められている。
Br
r
r
O Br
r
r
Br
r
r
Br
r
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Br
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r
Br
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+ Br2
rr
17
3. 臭素系ダイオキシン類に関する排出実態調査
3.1 調査目的
環境省による臭素系ダイオキシン類の排出実態等調査は, 国内における臭素系ダイオキシン
類の排出の現状やインベントリーの整備及び排出削減に向けた技術・政策の検討に資する基礎
的情報の収集を目的として, 2002年から 2017年にかけて潜在的な発生源を対象として実施され
てきた。2章で述べた通り, 臭素系ダイオキシン類については, BFRsの製造と使用に関連したプ
ロセスが重要な発生源になることが分かってきた。そのため, 排出実態等調査では, BFRsが使
用されている製品のライフサイクル(製造, 使用, 廃棄, 再資源化)に着目して関連施設を選定し
た。
3.2 調査対象施設
2002年から 2017年にかけて実施した環境省による臭素系ダイオキシン類の排出実態等調査21)~34)で対象とした施設を表 3.1に示す。
表 3.1 臭素系ダイオキシン類の排出実態等調査の調査年, 対象施設及び関連 BFRs
調査年 調査対象施設※ 調査対象施設使用 BFRs 調査施設数
2002(H14) 家電リサイクル施設⑨ - 7
難燃樹脂製造施設(PS, ABS, エポキシ樹脂)③ - 8
2003(H15) 難燃剤製造施設(TBBPA, TBBPA polycarbonate
oligomer)①
TBBPA,
TBBPA polycarbonate
oligomer
2
難燃繊維加工施設⑧ DeBDE, HBCDs 3
2004(H16) 難燃プラスチック製造加工施設⑥ DeBDE 6
下水道終末処理施設⑭ - 3
2005(H17) 難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理 TBBPA型
エポキシ樹脂)⑤ TBBPA, 2,4,6-TrBPh 3
難燃繊維加工施設⑧ DeBDE, HBCDs 3
2006(H18) 難燃剤製造施設(DeBDE)② DeBDE 2
難燃繊維加工施設⑧ DeBDE, HBCDs 3
2007(H19) 難燃繊維加工施設⑧ DeBDE, HBCDs 3
2008(H20) 難燃樹脂製造施設(TBBPAエポキシ樹脂)④ TBBPA 1
難燃プラスチック製造加工施設(発泡ポリスチレ
ン)⑦ HBCDs 1
2009(H21) アルミニウム第二次精練・精製施設⑩ - 3
2010(H22) セメント製造施設⑪ - 2
2011(H23) 家電リサイクル施設⑨ - 10
2012(H24) 廃棄物焼却施設⑫, ⑬ - 6
2013(H25) 難燃繊維加工施設⑧ DeBDE 4
2014(H26) 下水道終末処理施設⑭ - 5
2015(H27) 難燃繊維加工施設⑧ DeBDE 2
2017(H29) 難燃繊維加工施設⑧ DeBDE, DBDPE 1
※丸付き数字は, 3.3施設工程概要及び図 4.40 PBDD/Fs の排出・移動イメージの施設に対応した番号
18
3.3 施設工程概要
排出実態調査を実施した各施設の製造及び処理等の工程概要例を以下に示す(図 3.1〜
3.14)。
なお, 各工程例は, 調査対象施設を中心に述べており, この代表例が一般的とするものでは
ない。
(1) 難燃剤製造施設(テトラブロモビスフェノール A(TBBPA))①
(工程概要)
メタノール溶媒中でビスフェノール A と臭素を連続で反応させ, BFRs(TBBPA)溶液を生成する。
TBBPA溶液は, 晶析することで固液分離し, 固体を乾燥機で乾燥した後, フレコンに充填して出
荷する。
(排気処理)
排ガスは, バグフィルター, 電気集塵機などで除塵して大気へ放出する。
(排水処理)
施設内排水(蒸気凝縮水及びポンプシール水を除く)は, 沈殿池で排水中浮遊物質を自然沈
降した後, 上澄みを施設外に放流する。沈殿池での滞留時間は 2~3時間程度である。
(原料)
主にメタノール, ビスフェノール A, 臭素。
(熱工程)
乾燥工程で温度は 110~120 ℃。
図 3.1 難燃剤製造(TBBPA)工程例
排ガス採取箇所
排水採取箇所
建屋内空気採取箇所
試料採取箇所
水の流れ
工程の流れ
ガスの流れ
※以下工程例も同様
19
(2) 難燃剤製造施設(デカブロモジフェニルエーテル(DeBDE))②
(工程概要)
ジフェニルエーテルに臭素を付加反応させ, BFRs(DeBDE)を合成する。合成した DeBDE 結晶
物を固液分離し, 水洗した後, 粉砕して, 乾燥する。DeBDE乾燥粉末を分級し, フレコンに充填
して出荷する。
(排気処理)
排ガスは, バグフィルター, 電気集塵機などで除塵して大気へ放出する。
(排水処理)
排水は, ポンプシール水以外に, 施設内排水があり, 沈殿池で排水中浮遊物質を自然沈降し
た後, 上澄みを施設外に放流する。沈殿池の滞留時間は 2~3時間程度である。
(原料)
主にジフェニルエーテル, 臭素。
(熱工程)
乾燥工程で約 100 ℃。
図 3.2 難燃剤製造(DeBDE)工程例
20
(3) 難燃樹脂製造施設(ポリスチレン樹脂(PS))③
(工程概要)
様々なプラスチック樹脂原料に添加剤及び BFRsを混ぜ, 熱をかけて溶かし押出機で押出成
形※加工し, 冷却後, ペレット状に切断し, 出荷する。 ※押出成形・・・押出機の注入口からプラスチック樹脂をシリンダーに入れ, 加熱しながらスクリューを回して
樹脂を前方に送り, 樹脂は送られながら練られ, 溶けて口金から押し出される加工方法。(日本工業プラス
チック連盟 http://www.jpif.gr.jp/2hello/conts/dekiru2_c.htm)より引用
(排気処理)
排ガスは, 排気ダクトから大気へ放出する。
(排水処理)
施設内排水(真空ポンプ出口排水及び冷却槽排水を除く)は, 活性汚泥法による処理後に施
設外に放流する。
(原料)
主にプラスチック樹脂原料, 添加剤, BFRs(DeBDE)。
(熱工程)
押出成形工程で約 100~120 ℃。
図 3.3 難燃樹脂製造(PS樹脂)工程例
21
(4) 難燃樹脂製造施設(TBBPAエポキシ樹脂)④
(工程概要)
TBBPAにエピクロロヒドリンを反応させ, TBBPA型エポキシ樹脂を製造している。
(排気処理)
排ガスは, 反応器出口から大気へ放出する。
(排水処理)
工程排水(10 m3/日以下)及び施設内のその他の工程等の排水がある。
(原料)
TBBPA, エピクロロヒドリン。
(熱工程)
反応器の温度約 60 ℃。
図 3.4 難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂)工程例
22
(5) 難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理 TBBPA型エポキシ樹脂)⑤
(工程概要)
BFRs(TBBPA)とエピクロロヒドリンをアルカリ条件下で混合反応させ TBBPA型エポキシ樹脂
を作り, そこに末端付止剤として TrBPhsを入れて反応器で反応させ, 難燃樹脂(TrBPhs末端処
理 TBBPA型エポキシ樹脂)を製造する。
(排気処理)
排ガスは, 反応器出口から大気へ放出する。
(排水処理)
工程排水及び施設内のその他の工程等の排水がある。
(原料)
主に TBBPA, 2,4,6-TrBPh, エピクロロヒドリン。
(熱工程)
反応器の温度は, 約 150~200 ℃。
図 3.5 難燃樹脂製造(TrBPhs末端処理 TBBPA 型エポキシ樹脂)工程例
23
(6) 難燃プラスチック製造加工施設(折板屋根用断熱シート)⑥
(工程概要)
オレフィン樹脂に BFRs(DeBDE)を混ぜて押出機でシートに加工後, 熱風乾燥炉で加熱・発泡
して製品を製造する。
(排気処理)
排ガスは, バグフィルター, 電気集塵機などで除塵して大気へ放出する。
(排水処理)
難燃樹脂成形加工における工程排水はないが, 施設内のその他の工程を含む排水がある。
(原料)
主にオレフィン樹脂, 三酸化アンチモン(Sb2O3), BFRs(DeBDE)。
(熱工程)
押出工程で温度は不明。
発泡工程で温度は約 230 ℃。
図 3.6 難燃プラスチック製造加工(折板屋根用断熱シート)工程例
※EP(Electrical dust precipitator:電気集じん機)
24
(7) 難燃プラスチック製造加工施設(発泡ポリスチレン樹脂)⑦
(工程概要)
ポリスチレン樹脂, 添加剤及び BFRs(HBCDs)を混ぜ, 発泡剤を入れて, 押出成形する。冷却
後にカッターで定尺切断し, 難燃樹脂製品として出荷する。
(排気処理)
排ガス及び建屋内空気は, 排気ダクトから大気へ放出する。
(排水処理)
難燃樹脂成形加工における工程排水はないが, 施設内のその他の工程等の排水がある。
(原料)
主にポリスチレン(PS)樹脂, 発泡剤, 添加剤, BFRs(HBCDs)。
(熱工程)
押出機の温度約 100 ℃。
図 3.7 難燃樹脂製造加工(発泡ポリスチレン樹脂)工程例
25
(8) 難燃繊維加工施設⑧
(工程概要)
繊維表面の夾雑物を取り除き, 水となじませ, 染料及び難燃剤(HBCDs又は DeBDE)を分散
させた水に繊維を含浸させて染色及び防炎加工を施す。その後, 繊維を乾燥炉で乾燥させ, 外
観美化及び形態保持のための仕上処理を行い, 出荷する。染色及び防炎加工工程で大量に水
を使用する。
(排気処理)
排ガス及び建屋内空気は, 排気ダクトから大気へ放出する。
(排水処理)
施設内排水は, 活性汚泥法による処理後に施設外に放流する。活性汚泥処理における滞留
時間は約 1日である。汚泥の返送率は約 70~100 %である。
(原料)
主に合成繊維(ポリエステル繊維など), 染料, 助剤, 分散剤, 柔軟剤, BFRs(DeBDE,
HBCDs)。
(熱工程)
染色工程で約 80~130 ℃。
乾燥炉で約 180 ℃前後。
図 3.8 難燃繊維加工工程例
26
(9) 家電リサイクル施設⑨
(工程概要)
家電リサイクル法で対象となっている廃家電製品(テレビ, エアコン, 洗濯機, 冷蔵庫)を解体
して, 各部品に分別した後, 再利用できないものは焼却・埋立処分し, 再利用できる金属くずやプ
ラスチックなどは粉砕してペレット状にする。廃家電の中でもテレビについては, バックキャビネッ
トに BFRs(DeBDE)が使用されているものがあり, 臭素系ダイオキシン類の発生に関与してい
る。
(排気処理)
排ガス及び建屋内空気は, バグフィルター, 電気集塵機などで除塵して大気へ放出する。
(排水処理)
家電リサイクル過程における工程排水はないが, 施設内の粉じん等がその他排水や雨水とと
もに施設外へ排出する。
(解体対象)
主にテレビ(ブラウン管式, 液晶プラズマ式), エアコン, 洗濯機, 冷蔵庫・冷凍庫などの廃家
電 4品目。
(熱工程)
なし。
図 3.9 家電リサイクル工程例
※廃テレビを中心に調査
27
(10) アルミニウム第ニ次精練・精製施設⑩
(工程概要)
スクラップ, インゴット, アルミ屑などのアルミの原料を約 900 ℃で溶解し, 脱ガス, 非金属介
在物の除去をして精製した後, 鋳造したものを製品として出荷する。
(排気処理)
排ガスは, バグフィルター, 電気集塵機などで除塵して大気へ放出する。
(排水処理)
当該精錬・精製過程における工程排水はないが, 施設内のその他の工程等の排水がある。
(原料)
アルミ屑, 産業廃棄物など。
(熱工程)
溶解時に, 約 650~800 ℃。
図 3.10 アルミニウム第二精練・精製工程例
※スタッキング:積み重ねること
28
(11) セメント製造施設⑪
(工程概要)
主な原料である石灰石, 産業廃棄物(焼却灰など)を乾燥・粉砕した後, サイロに送り均斉化す
る。粉体原料は, ロータリーキルンに投入し, 約 1,450 ℃で焼成する。その後, クーラーで一気に
冷却してセメントの中間原料であるクリンカを製造する。そのクリンカに, セメントの硬化温度を調
整する役割を果たす石こうを加え, 微粉砕したものをセメントとして出荷する。
(排気処理)
排ガスは, バグフィルター, 電気集塵機などで除塵して大気へ放出する。
(排水処理)
セメント製造工程における工程排水はないが, 施設内のその他の工程等の排水がある。
(原料)
主に石灰石, 産業廃棄物。
(熱工程)
ロータリーキルンでの焼成時に, 約 1,450 ℃。
図 3.11 セメント製造工程例
29
(12) 廃棄物焼却施設(一般廃棄物焼却炉(スト-カ式))⑫
(工程概要)
ごみピットに投入された一般廃棄物をストーカ式焼却炉※で燃焼して, 排ガスを急速冷却した後,
集塵機で重金属類やダイオキシン類を含むばいじんを, ガス洗浄塔で水銀等を, 脱硝反応器で
窒素酸化物をそれぞれ除去した後, 煙突から大気にガスを放出する。
※ストーカ式焼却炉・・・ストーカとは火格子を階段状に並べた燃焼装置であり, 階段状の火格
子が前後に動くことで, ごみと空気が効率的に接触でき, ごみという不均質な性状なものでも
安定して燃焼可能な焼却炉。
(排気処理)
工程概要に記述した通り。
(排水処理)
関連排水は, 凝集沈殿した後, 砂ろ過を行って, 循環利用する。
(原料)
生ごみなどの一般廃棄物。
(熱工程)
焼却工程で, 約 800~950 ℃。
図 3.12 廃棄物焼却施設(一般廃棄物焼却炉(スト-カ式))工程例
30
(13) 廃棄物焼却施設(産業廃棄物焼却炉(ロータリーキルン式))⑬
(工程概要)
産業廃棄物をロータリーキルン式焼却炉※で燃焼し, 排ガスを急速冷却した後, 集塵機で重金
属類やダイオキシン類を含むばいじんを, ガス洗浄塔で水銀等を, 脱硝反応器で窒素酸化物を
それぞれ除去した後, 煙突から大気にガスを放出する。
※ロータリーキルン式焼却炉・・・燃焼室であるロータリーキルンの回転により, 流動性のある油
泥や廃プラスチックなどの産業廃棄物を効率良くガス化させ燃焼可能な焼却炉。
(排気処理)
工程概要に記述した通り。
(排水処理)
工程排水はないが, 施設内のその他の工程等の排水がある。また, 排水処理はない。
(原料)
主に廃油, 汚泥, 廃プラスチックなどの産業廃棄物。
(熱工程)
焼却工程で, 約 800~950 ℃。
図 3.13 廃棄物焼却施設(産業廃棄物焼却(ロータリーキルン式))工程例
31
(14) 下水道終末処理施設⑭
(工程概要)
一般的な下水終末処理施設では, 沈殿池に流入後, 最初沈殿池に入り, その後, 反応槽に入
り微生物による活性汚泥処理後, 最終沈殿池で上澄みと汚泥に分離し, その上澄みを塩素処理
して放流する。最終沈殿池の汚泥は, 返送率約 70~80 %で, 返送汚泥として再び反応槽に戻さ
れる。残りの汚泥は, 最終的に脱水し, 施設内焼却炉において焼却処理される。
(排気処理)
最初沈殿池周辺の空気は, 脱臭装置により脱臭後, 大気に放出されている。また, 施設内の
汚泥を焼却処理する焼却炉は, バグフィルター, 電気集塵機などで排ガスを処理して大気へ放
出される。
(排水処理)
工程概要に記述した通り。
(原料)
主に塩素。
(熱工程)
汚泥を焼却処理する流動焼却炉の熱処理工程で約 850 ℃。
図 3.14 下水道終末処理工程例
32
3.4 試料採取方法
試料採取は, 次に示す環境省調査マニュアル及び JIS等の方法に準じて実施した。試料採取,
運搬及び保管等の各工程においては, 光分解を防ぐため, 茶褐色瓶やアルミホイル等を用いて
極力遮光した。
① 排ガス, 水質(排水・環境水), 環境大気, 底質: 「ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン
及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法」35)
② 排ガス:「排ガス中のダイオキシン類測定方法」(JIS K 0311:2008)36)
③ 排水:「工業用水・工場排水中のダイオキシン類の測定方法」(JIS K 0312:2008)37)
④ 建屋内空気:「廃棄物焼却施設関連作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」38)
⑤ 環境大気:「ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル」39)
⑥ 降下ばいじん:「大気降下物中のダイオキシン類測定分析指針」40)
⑦ 公共用水域底質:「ダイオキシン類に係る底質調査測定マニュアル」41)
(1) 排ガス
排ガスは, ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法
及び JIS K 0311に準じて採取管部, フィルタ捕集部, 液体捕集部, 吸着捕集部, 吸引ポンプ及び
流量測定部からなる採取装置を用いて採取した。
(2) 排水
排水は, ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法
及び JIS K 0312に準じてステンレス製バケツ類及び杓により水をくみ取り, 褐色ガラス瓶に 10 %
の空間が残る程度まで採水した。
また, 大量採水による検出下限値の改善が必要な場合は, ポンプで水を毎分 0.5~0.7 L程
度で 200 L以上吸引して, 懸濁態をガラス繊維ろ紙(捕捉粒子:0.5 μm, ろ紙直径:約 150 mm)
により捕捉した後, 溶存態をポリウレタンフォーム4個(直径90 mmφ, 高さ50 mm)に吸着した。
(3) 建屋内空気
建屋内空気は, 廃棄物焼却施設関連作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱に準
じてハイボリウムエアサンプラーに石英ろ紙 1枚とポリウレタンフォーム 2個(直径 90 mmφ, 高
さ 50 mm)を装着し, 毎分 500 L程度の一定流量で 6時間連続吸引し, 採取空気量として約 180
m3を採取した。
(4) 環境大気
環境大気は, ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査
方法及びダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアルに準じてハイボリウムエアサンプラー
に石英ろ紙 1枚とポリウレタンフォーム 2個(直径 90 mmφ, 高さ 50 mm)を装着し, 毎分 100 L
程度の一定流量で 7日間連続吸引し, 採取空気量として約 1,000 m3を採取した。
(5) 降下ばいじん
降下ばいじんは, 大気降下物中のダイオキシン類測定分析指針に準じて降下物採取装置
(高さ:200 mm, 直径:460 mmφ)にガラス繊維ろ紙 1枚(捕捉粒子:0.5 μm, ろ紙直径:約 150
mm)とポリウレタンフォーム 2個(直径 90 mmφ, 高さ 50 mm)装着し, 約 1 ヶ月間採取した。な
お, 装置には, 純水約 5 Lを入れ, 循環速度約 2 L/minで運転した。
33
(6) 公共用水域水質
公共用水域水質は, ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫
定調査方法及び JIS K 0312に準じて河川及び海域の各採水地点にて, ステンレス製バケツによ
り採取場所の水をくみ取り, 褐色ガラス瓶に 10 %の空間が残る程度まで採水した。
(7) 公共用水域底質
公共用水域底質は, ポリブロモジベンゾ-パラ-ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫
定調査方法及びダイオキシン類に係る底質調査測定マニュアルに準じて採泥地点にて, エクマ
ンバージ型採泥器又はステンレス製スコップにより, 底質表面から10 cm程度の泥を3回以上採
取した。採泥作業が終了後, 採泥試料から小石, 貝殻, 動植物片などの異物を除いた後, 均一
に混合した。
(8) その他
原材料などは, 調査施設の提供物を試料とした。また, 必要に応じて粗破砕及び凍結粉砕に
より微粉砕を行い, 試料を調製した。
廃棄物試料については, JIS K 0060「産業廃棄物のサンプリング方法」42)に準じて試料を採取
して, 粗破砕及び凍結粉砕機にて微粉砕を行い, 試料調製を行った。
3.5 測定対象物質
2002年から 2015 年に実施した臭素系ダイオキシン類の排出実態等調査では, ダイオキシン
類として PBDD/Fs, MoBPCDD/Fs, DiBPCDD/Fs 及び PCDD/Fs, DL-PCBs を, 臭素系難燃物質
として PBDEs, TBBPA, HBCDs及び PBPhsを測定対象とした。各調査年における測定対象物質
を表 3.2に示す。2017 年度より DeBDEの代替品として使用されている DBDPEを追加した。
表 3.2 臭素系ダイオキシン類の排出実態等調査における測定対象物質
調査年
ダイオキシン類 臭素系難燃物質
PBDD/Fs MoB
PCDD/Fs
DiB
PCDD/Fs
PCDD/Fs
DL-PCBs
PBDEs TBBPA HBCDs PBPhs
(TrBPhs)
DBDPE
2002(H14) ○ ○ ○ ○ ○
2003(H15) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
2004(H16) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
2005(H17) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
2006(H18) ○ ○ ○ ○ ○
2007(H19) ○ ○ ○
2008(H20) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
2009(H21) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
2010(H22) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
2011(H23) ○ ○ ○ ○ ○
2012(H24) ○ ○ ○ ○ ○
2013(H25) ○ ○ ○ ○ ○ ○
2014(H26) ○ ○ ○ ○ ○
2015(H27) ○ ○ ○ ○ ○
2017(H29) ○ ○ ○ ○ ○ ○
※○印が測定対象物質
34
3.6 測定方法
3.6.1 前処理方法
採取した試料は, 対象媒体毎に抽出し, 多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作, 活性炭カ
ラムクロマトグラフ操作などにより精製分画した。図 3.15~3.18に主な媒体の抽出フローの一例
を示し, 図 3.19及び 3.20にクリーンアップの基本フローを示す。
図 3.15 排ガス試料基本抽出分析フロー
・脱水 ・脱水
樹脂
ソックスレー抽出
(トルエン, 16時間以上)
抽出液
水層 水層
円筒ろ紙 吸引プローブ゙洗液
HCl(2 moL/L)処理
残さ
ろ過
ろ過
残さ ろ液
液-液振とう抽出
ジクロロメタン(3回)
ろ液
洗液, ドレイン, ジエチレングリコール溶液
ジクロロメタン層 ジクロロメタン層
液-液振とう抽出
ジクロロメタン(3回)
・適量の水を加える
ダスト 1 gに対して
20 mmoL以上の塩酸
・風乾
35
1000 m3以上, 7日間吸引
石英繊維濾紙
ポリウレタンフォーム(PUFP)
石英繊維濾紙
トルエン 16時間以上
ポリウレタンフォーム(PUFP)
アセトン 24時間以上
ソックスレー抽出
粗抽出液
図 3.18 環境大気試料基本抽出分析フロー
ハイボリウム
エアサンプラー 内部標準物質添加
サンプリングスパイク
分析用試料
抽出液
分析用試料
トルエン
16時間以上
ジクロロメタン
3回
ろ 過
風 乾
ろ過残留物
ソックスレー抽出
液/液振とう抽出
ろ 液
図 3.16 排水試料基本抽出分析フロー(1)
大量試料量(約 200 L)の場合
ガラス繊維濾紙
ポリウレタンフォーム(PUFP)
ガラス繊維濾紙
トルエン 16時間以上
ポリウレタンフォーム(PUFP)
アセトン 24時間以上
分析用試料
ソックスレー抽出
抽出液
図 3.17 排水試料基本抽出分析フロー(2)
36
PBDD/Fs, MoBPCDD/Fs, DiBPCDD/Fs, PCDD/Fs, DL-PCBs
HRGC/HRMS
定性・定量
・ PCDD/Fs
・ DL-PCBs
測定用
・ PBDD/Fs
・ MoBPCDD/Fs
・ DiBPCDD/Fs
測定用
・20 %ジクロロメタン含有
n-ヘキサン 100 mL
内部標準物質添加
(クリーンアップスパイク)
濃縮
抽出液(定容)
分取
内部標準物質添加
(クリーンアップスパイク)
濃縮
・ ジクロロメタン 200 mL
・ トルエン 100 mL
濃縮 濃縮
内部標準物質添加
(シリンジスパイク)
内部標準物質添加
(シリンジスパイク)
測定用試料 測定用試料
HRGC/HRMS
定性・定量
多層シリカゲルカラム
クロマトグラフ
リバース型カーボンカラム
クロマトグラフ
多層シリカゲルカラム
クロマトグラフ
リバース型カーボンカラム
クロマトグラフ
・ n-ヘキサン 100 mL
・ 25 %ジクロロメタン含有
ジクロロメタン 40 mL
・ トルエン 100 mL
図 3.19 クリーンアップの基本フロー(1)
37
PBDEs, PBPhs, HBCDs, TBBPA, TrBPhs, DBDPE
・ HBCDs
・ TBBPA
・ TrBPhs 測定用
・ PBDEs
・ DBDPE
測定用
抽出液(定容)
分取
・ PBPhs
測定用
・ 5 %ジクロロメタン含有
n-ヘキサン 100 mL
内部標準物質添加
(クリーンアップスパイク)
濃縮
内部標準物質添加
(シリンジスパイク)
測定用試料
HRGC/HRMS
定性・定量
多層シリカゲルカラム
クロマトグラフ
・ 4 %ジエチルエーテル含有
n-ヘキサン 8 mL
内部標準物質添加
(クリーンアップスパイク)
濃縮
濃縮
内部標準物質添加
(シリンジスパイク)
測定用試料
HRGC/HRMS
定性・定量
内部標準物質添加
(クリーンアップスパイク)
濃縮
濃縮
内部標準物質添加
(シリンジスパイク)
測定用試料
LC/MS/MS
定性・定量
フロリジルカラム
カートリッジ
エチル誘導体化 硫酸処理
濃縮
図 3.20 クリーンアップの基本フロー(2)
38
3.6.2 定性定量
ダイオキシン類, BFRsのPBDEs,PBPhs及びDBDPEの定性定量は, HRGC/HRMSを用いて実
施した。また, BFRsのTBBPA, HBCDs, TrBPhsの定性定量は, LC/MS/MSを用いて実施した。
現在入手可能な標準物質及び内部標準物質を, 表3.3〜表3.8に示す。
PBDDs/DFs, MoBPCDDs/DFs, DiBPCDDs/DFs, PCDDs/DFs, DL-PCBs, PBDEs, PBPhs及び
DBDPEのHRGC/HRMS測定条件を表3.9〜表3.14及び表3.16に示す。TBBPA, HBCDs及び
TrBPhsのLC/MS/MS測定条件例を表3.15に示す。また, 測定の設定質量/電荷数(モニターイオ
ン)例を表3.17〜表3.24に示す。
表 3.3 PBDD/Fs標準物質一覧
PBDDs PBDFs
TeBDDs 2,3,7,8-TeBDD
1,3,6,9-TeBDD
1,3,7,8-TeBDD
1,3,7,9-TeBDD
TeBDFs 1,2,7,8-TeBDF
2,3,7,8-TeBDF
2,4,6,8-TeBDF
PeBDDs 1,2,3,7,8-PeBDD PeBDFs 1,2,3,7,8-PeBDF
2,3,4,7,8-PeBDF
HxBDDs 1,2,3,4,7,8-HxBDD
1,2,3,6,7,8-HxBDD
1,2,3,7,8,9-HxBDD
HxBDFs 1,2,3,4,7,8-HxBDF
HpBDDs 1,2,3,4,6,7,8-HpBDD HpBDFs 1,2,3,4,6,7,8-HpBDF
OBDD OBDD OBDF OBDF
表 3.4 PBDD/Fs内部標準物質一覧
PBDDs PBDFs
TeBDDs 13C12-2,3,7,8-TeBDD TeBDFs 13C12-2,3,7,8-TeBDF
13C12-2,4,6,8-TeBDF
PeBDDs 13C12-1,2,3,7,8-PeBDD PeBDFs 13C12-1,2,3,7,8-PeBDF
13C12-2,3,4,7,8-PeBDF
HxBDDs 13C12-1,2,3,4,7,8-HxBDD 13C12-1,2,3,6,7,8-HxBDD 13C12-1,2,3,7,8,9-HxBDD
HxBDFs 13C12-1,2,3,4,7,8-HxBDF
HpBDDs 13C12-1,2,3,4,6,7,8-HpBDD HpBDFs 13C12-1,2,3,4,6,7,8-HpBDF
OBDD 13C12-OBDD OBDF 13C12-OBDF
表 3.5 MoBPCDD/Fs標準物質一覧
MoBPCDDs MoBPCDFs
MoBDiCDDs 2-Br-7,8-DiCDD MoBDiCDFs 2-Br-7,8-DiCDF
8-Br-2,3-DiCDF
MoBTrCDDs 2-Br-3,7,8-TrCDD MoBTrCDFs 3-Br-2,7,8-TrCDF
2-Br-6,7,8-TrCDF
MoBTeCDDs 2-Br-1,3,7,8-TeCDD
1-Br-2,3,7,8-TeCDD
MoBTeCDFs 1-Br-2,3,7,8-TeCDF
4-Br-2,3,7,8-TeCDF
MoBPeCDDs 2-Br-3,6,7,8,9-PeCDD
MoBHxCDDs 1-Br-2,3,6,7,8-HxCDD
MoBHpCDDs 1-Br-2,3,4,6,7,8,9-HpCDD
39
表 3.6 MoBPCDD/Fs内部標準物質一覧
MoBPCDDs MoBPCDFs
MoBDiCDDs 13C12-8-Br-2,3-DiCDD MoBDiCDFs 13C12-8-Br-2,3-DiCDF
MoBTrCDDs MoBTrCDFs 13C12-3-Br-2,7,8-TriCDF
MoBTeCDDs MoBTeCDFs 13C12-4-Br-2,3,7,8-TeCDF
表 3.7 DiBPCDD/Fs標準物質一覧
DiBPCDDs DiBPCDFs
DiBDiCDDs 2,3-DiB-7,8-DiCDD DiBDiCDFs
DiBTriCDFs
1,2-DiB-7,8-DiCDF
2,3-DiB-7,8-DiCDF
1,3-DiB-2,7,8-TriCDF
表 3.8 DiBPCDD/Fs内部標準物質一覧
DiBPCDDs DiBPCDFs
DiBDiCDDs 13C12-2,3-DiB-7,8-DiCDD DiBDiCDFs
DiBTriCDFs
13C12-2,3-DiB-7,8-DiCDF 13C12-1,3-DiB-2,7,8-TriCDF
表 3.9 PBDD/Fsの HRGC/HRMS測定条件(例)
ガスクロマトグラフ条件
① 測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
② 測定対象物質:
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
TeBDDs, PeBDDs, HxBDDs, TeBDFs, PeBDFs, HxBDFs
DB-17HT(J&W社製)
長さ 30 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 0.15 μm
150 ℃(2 min)→10 ℃/ min→220 ℃→5 ℃/ min→
280 ℃(20 min)→20 ℃/ min→310 ℃(14 min)
スプリットレス法
240 ℃
HpBDDs, OBDD, HpBDFs, OBDF
DB-5MS(J&W社製) 長さ 15 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 0.10 μm
170 ℃(1 min)→15 ℃/ min→260 ℃→10 ℃/ min→310 ℃(8 min)
スプリットレス法
240℃
質量分析条件
イオン化方法
イオン化電圧
イオン化電流
加速電圧
イオン源温度
分解能
検出方法
電子衝撃イオン化(EI)
38 eV
600 μA
9 kV, 10 kV
280 ℃
10,000 以上
ロックマス方式による選択イオン検出(SIM)法
40
表 3.10 MoBPCDD/Fsの HRGC/HRMS 測定条件(例)
ガスクロマトグラフ条件
① 測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
② 測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
MoBTrCDDs, MoBTeCDDs, MoBPeCDDs
MoBTrCDFs, MoBTeCDFs, MoBPeCDFs
SP-2331(Supelco 社製)
長さ 60 m × 内径 0.32 mm × 膜厚 0.20 μm
150 ℃(1 min)→20 ℃/ min→200 ℃→5 ℃/ min→260 ℃(50 min)
スプリットレス法
250℃
MoBHxCDDs, MoBHpCDD, MoBHxCDFs, MoBHpCDF
DB-17HT(J&W社製)
長さ 30 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 0.15 μm
130 ℃(1 min)→15 ℃/ min→280 ℃→1 ℃/ min→290 ℃(2 min)
スプリットレス法
250℃
質量分析条件
イオン化方法
イオン化電圧
イオン化電流
加速電圧
イオン源温度
分解能
検出方法
電子衝撃イオン化(EI)
35 eV, 38 eV
600 μA
8 kV, 10 kV
250 ℃, 250 ℃
10,000 以上
ロックマス方式による選択イオン検出(SIM)法
表 3.11 DiBPCDD/Fsの HRGC/HRMS 測定条件(例)
ガスクロマトグラフ条件
測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
DiBDiCDDs, DiBTrCDDs, DiBTeCDDs, DiBPeCDDs, DiBHxCDDs,
DiBDiCDFs, DiBTrCDFs, DiBTeCDFs, MoBPeCDFs, MoBHxCDFs
DB-17HT(J&W社製)
長さ 30 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 0.15 μm
130 ℃(1 min)→20 ℃/ min→200 ℃→5 ℃/ min→250 ℃(10 min)→310 ℃
(13.5 min)
スプリットレス法
250 ℃
質量分析条件
イオン化方法
イオン化電圧
イオン化電流
加速電圧
イオン源温度
分解能
検出方法
電子衝撃イオン化(EI)
35 eV
600 μA
8 kV
280 ℃
10,000 以上
ロックマス方式による選択イオン検出(SIM)法
41
表 3.12 PCDD/Fs, DL-PCBsの HRGC/HRMS測定条件(例)
ガスクロマトグラフ条件
① 測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
② 測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
TeCDDs, PeCDDs, HxCDDs, TeCDFs, HxCDFs, HxCBs
BPX-DXN(SGE 社製)
長さ 60 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 不明
130 ℃(1 min)→15 ℃/ min→210 ℃→3 ℃/ min→310 ℃
→5 ℃/ min→320 ℃(8 min)
スプリットレス法
300 ℃
PeCDFs, HxCDFs, HpCDFs, OCDF, HpCDDs, OCDD,
TeCBs, PeCBs, HxCBs, HpCBs
RH-12MS(Inventx社製)
長さ 60 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 不明
130 ℃(1 min)→15 ℃/ min→210 ℃→3 ℃/ min→310 ℃
→5 ℃/ min→320 ℃(8 min)
スプリットレス法
300 ℃
質量分析条件
イオン化方法
イオン化電圧
イオン化電流
加速電圧
イオン源温度
分解能
検出方法
電子衝撃イオン化(EI)
35 eV, 38 eV
600 μA
8 kV, 10 kV
250 ℃, 280 ℃
10,000 以上
ロックマス方式による選択イオン検出(SIM)法
表 3.13 PBDEsの HRGC/HRMS測定条件(例)
ガスクロマトグラフ条件
① 測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
② 測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
MoBDEs, DiBDEs, TrBDEs, TeBDEs, PeBDEs, HxBDEs, HpBDEs
HP-5MS(Agilent 社製)
長さ 30 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 0.25 μm
90 ℃(2 min)→10 ℃/ min→190 ℃→5 ℃/ min→
280 ℃(13 min)→15 ℃/ min→310 ℃(20 min)
スプリットレス法
240℃
HpBDEs, OBDEs, NoBDEs, DeBDE
DB-5MS(J&W社製) 長さ 15 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 0.10 μm
170 ℃(1 min)→15 ℃/ min→260 ℃→10 ℃/ min→310 ℃(8 min)
スプリットレス法
240 ℃
質量分析条件
イオン化方法
イオン化電圧
イオン化電流
加速電圧
イオン源温度
分解能
検出方法
電子衝撃イオン化(EI)
38 eV
600 μA
10 kV, 9 kV
280 ℃
10,000 以上
ロックマス方式による選択イオン検出(SIM)法
42
表 3.14 PBPhsの HRGC/HRMS測定条件(例)
ガスクロマトグラ
フ条件
測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
MoBPhs, DiBPhs, TrBPhs, TeBPhs, PeBPh
HP-5MS(Agilent 社製)
長さ 30 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 0.15 μm
60 ℃(1 min)→15 ℃/ min→220 ℃→25 ℃/ min→320 ℃(5 min)
スプリットレス法
250℃
質量分析条件
イオン化方法
イオン化電圧
イオン化電流
加速電圧
イオン源温度
分解能
検出方法
電子衝撃イオン化(EI)
38 eV
600 μA
10 kV
250 ℃
10,000 以上
ロックマス方式による選択イオン検出(SIM)法
表 3.15 TBBPA, HBCDs及び TrBPhsの LC/MS/MS測定条件(例)
液体クロマトグラフ
条件
測定対象物質
LC カラム
カラム温度
移動相
流速
TBBPA, HBCDs, TrBPhs
C30-UG-5(野村化学社製)長さ 15 0mm × 内径 2.1 mm
40 ℃
A:10 mM 酢酸アンモニウム溶液
B:アセトニトリル
A:B=65:35(1 min)→(15 min)→0:100(5 min)
0.2 mL / min
質量分析条件
イオン化方法
モード
カーテンガス
イオンスプレー電圧
プローブ温度
コリジョンガス
エレクトロスプレー(ESI)
Negative
40 psi
-4,500 V
600 ℃
5 psi
表 3.16 DBDPE の HRGC/HRMS測定条件(例)
ガスクロマトグ
ラフ条件
測定対象物質
GC カラム
カラム温度
注入方法
注入口温度
DBDPE
DB-5MS(J&W社製) 長さ 15 m × 内径 0.25 mm × 膜厚 0.10 μm
170 ℃(1 min)→15 ℃/ min→260 ℃→10 ℃/ min→310 ℃(8 min)
スプリットレス法
240 ℃
質量分析条件
イオン化方法
イオン化電圧
イオン化電流
加速電圧
イオン源温度
分解能
検出方法
電子衝撃イオン化(EI)
38 eV
600 μA
10 kV, 9 kV
280 ℃
10,000 以上
ロックマス方式による選択イオン検出(SIM)法
43
表 3.17 PBDD/Fs測定の設定質量/電荷数 (モニターイオン)(例)
(M+2)+ (M+4)+ (M+6)+ (M+8)+
分析対象物質
TeBDDs
PeBDDs
HxBDDs
HpBDDs
OBDD
497.6924
499.6904
577.6009
655.5114
579.5989
657.5094
735.4199
813.3304
737.4179
815.3284
TeBDFs
PeBDFs
HxBDFs
HpBDFs
OBDF
481.6975
483.6955
561.6060
639.5165
563.6039
641.5145
719.4250
797.3355
721.4230
799.3335
内部標準物質
13C12-TeBDDs 13C12-PeBDDs 13C12-HxBDDs 13C12-HpBDDs 13C12-OBDD
509.7327
511.7307
589.6412
667.5517
591.6391
669.5496
747.4601
825.3706
749.4581
827.3686 13C12-TeBDFs 13C12-PeBDFs 13C12-HxBDFs 13C12-HpBDFs 13C12-OBDF
493.7378
495.7357
573.6462
651.5568
575.6442
653.5547
731.4651
809.3756
733.4631
811.3736
表 3.18 MoBPCDD/Fs測定の設定質量/電荷数 (モニターイオン)(例)
(M+2)+ (M+4)+ (M+6)+
分析対象物質
MoBTrCDDs
MoBTeCDDs
MoBPeCDDs
MoBHxCDDs
MoBHpCDD
365.8435
399.8045
433.7655
467.7265
367.8408
401.8018
435.7628
469.7237
503.6847
505.6819
MoBTrCDFs
MoBTeCDFs
MoBPeCDFs
MoBHxCDFs
MoBHpCDF
349.8486
383.8096
417.7706
451.7316
351.8459
385.8069
419.7678
453.7678
487.6898
489.6870
内部
標準
物質
13C12-PeCDDs 13C12-MoBTeCDDs 13C12-HpCDDs 13C12-OCDD
411.8448
367.8949
413.8420
435.8169
469.7783
369.8949
437.8140
471.7753 13C12-PeCDFs
13C12-HxCDFs 13C12-HpCDFs 13C12-OCDF
351.9000
385.8612
419.8220
453.7830
353.8970
387.8582
421.8191
455.7801
44
表 3.19 DiBPCDD/Fs測定の設定質量/電荷数 (モニターイオン)(例)
(M+2)+ (M+4)+ (M+6)+
分析対象物質
DiBDiCDDs
DiBTrCDDs
DiBTeCDDs
DiBPeCDDs
DiBHxCDD
409.7933
443.7542
477.7152
411.7910
445.7518
479.7127
513.6736
547.6346
515.6711
549.6320
DiBDiCDFs
DiBTrCDFs
DiBTeCDFs
DiBPeCDFs
DiBHxCDF
393.7984
427.7593
461.7203
395.7960
429.7569
463.7178
497.6787
531.6396
499.6761
533.6370
内部
標準
物質
13C12-DiBDiCDDs 13C12-DiBDiCDFs
421.8334
405.8885
423.8311
407.8361
表 3.20 PCDD/Fs及び DL-PCBs測定の設定質量/電荷数 (モニターイオン)(例)
M+ (M+2)+ (M+4)+
分析対象物質
TeCDDs
PeCDDs
HxCDDs
HpCDDs
OCDD
319.8965
353.8576
321.8936
355.8546
389.8156
423.7767
457.7377
391.8127
425.7737
459.7348
TeCDFs
PeCDFs
HxCDFs
HpCDFs
OCDF
303.9016 305.8986
339.8597
373.8207
407.7818
441.7428
341.8568
375.8178
409.7788
443.7398
TeCBs
PeCBs
HxCBs
HpCBs
289.9224 291.9194
325.8804
359.8415
393.8025
327.8775
361.8367
395.7995
内部標準物質
13C12-TeCDDs 13C12-PeCDDs 13C12-HxCDDs 13C12-HpCDDs 13C12-OCDD
331.9368
365.8978
399.8589
333.9339
367.8949
401.8559
435.8169
469.7780
369.8919
403.8530
437.8140
471.7750 13C12-TeCDFs 13C12-PeCDFs 13C12-HxCDFs 13C12-HpCDFs 13C12-OCDF
315.9419 317.9389
351.9000
385.8610
419.8220
453.7830
353.8970
387.8580
421.8191
455.7801 13C12-TeCBs 13C12-PeCBs 13C12-HxCBs 13C12-HpCBs
301.9626 303.9597
337.9207
371.8817
405.8428
339.9178
373.8788
407.8398
45
表 3.21 PBDEs測定の設定質量/電荷数 (モニターイオン)(例)
M+ (M+2)+ (M+4)+ (M+6)+ (M+8)+ (M+10)+
分析対象物質
MoBDEs
DiBDEs
TrBDEs
TeBDEs
PeBDEs
HxBDEs
HpBDEs
247.9837
325.8942
249.9816
327.8921
405.8027
483.7132
407.8006
485.7111
563.6216
641.5321
565.6196
643.5301
721.4406
723.4386
OBDEs
NoBDEs
DeBDE
※[(M+6)-2Br] +641.5145
※[(M+8)-2Br] +719.4250
※[(M+8)-2Br] +797.3355
※[(M+8)-2Br]+643.5125
※[(M+10)-2Br]+721.4230
※[(M+10)-2Br]+799.3335
801.3491
879.2596
957.1701
803.3471
881.2576
959.1681
内部標準物質
13C12-MoBDEs 13C12-DiBDEs 13C12-TrBDEs 13C12-TeBDEs 13C12-PeBDEs 13C12-HxBDEs 13C12-HpBDEs
260.0239
337.9344
262.0219
339.9324
417.8429
495.7534
419.8409
497.7514
575.6619
653.5724
577.6599
655.5704
733.4809
735.4789
13C12-OBDEs 13C12-NoBDEs 13C12-DeBDE
※[(M+4)-2Br]+651.5568
※[(M+8)-2Br]+731.4652
※[(M+8)-2Br]+809.3757
※[(M+6)-2Br]+653.5547
※[(M+10)-2Br]+733.4632
※[(M+10)-2Br]+811.3737
813.3894
891.2999
969.2104
815.3874
893.2979
971.2084
※フラグメントイオン
表 3.22 PBPhs測定の設定質量/電荷数 (モニターイオン)(例)
M+ (M+2)+ (M+4)+ (M+6)+
分析対象物質
MoBPhs
DiBPhs
TrBPhs
TeBPhs
PeBPh
171.9524
249.8629
173.9504
251.8609
329.7714
407.6819
331.7693
409.6798
487.5903
489.5883
内部標準物質
13C6-MoBPhs 13C6-DiBPhs 13C6-TrBPhs 13C6-TeBPhs 13C6-PeBPh
177.9725
255.8830
179.9705
257.8810
335.7915
413.7020
337.7894
415.6999
493.6104
495.6084
表 3.23 TBBPA, HBCDs及び TrBPhs測定の設定質量/電荷数 (モニターイオン)(例)
プレカーサーイオン プロダクトイオン
分析
対象
物質
TBBPA 542.5 78.8
HBCDs 640.3 81.0
TrBPhs 330.5 80.8
内部
標準
物質
13C12-TBBPA 554.6 80.7
13C12-HBCDs 652.5 78.9
13C6-TrBPhs 334.6 78.9
d16-BPA(ビスフェノール A) 241.0 141.9
46
表 3.24 DBDPE 測定の設定質量/電荷数 (モニターイオン)(例)
[(M+4)-C7H2Br5]+ [(M+6)-C7H2Br5]+
分析対象物質 DBDPE 484.6032 486.6012
内部標準物質 13C14-DBDPE 491.6267 493.6246
3.6.3 実測濃度と毒性等量相当値について
(1) 実測濃度
実測濃度の算出及び表示は, 各化合物の検出下限値以上の値を算出して表示している。検
出下限以下の値については, ND(Not detected)で表示している。
(2) 毒性等量相当値
ダイオキシン類として全体の毒性を評価するためには, 合計した影響を考えるための手段が
必要であり, 多くのダイオキシン類の量や濃度のデータは, 最も毒性が強い2,3,7,8-TeCDDの毒
性を 1 として, 他の同族体の毒性の強さを換算した係数である毒性等価係数(TEF:Toxic
Equivalency Factor)を用いてダイオキシン類の毒性を足しあわせた値である毒性等量(TEQ:
Toxic Equivalent)により表されている。
塩素化ダイオキシン類の毒性等価係数は, 1998年にWHOから公表された TEFがあったが,
新たな科学的知見を基に見直しされ, 2005年にWHOにより提案, 2006年に正式に決定されたも
のである。表 3.25に示すとおり, PCDDs7種, PCDFs10種について設定されており, PBDD/Fsに
ついては, 2007年までは PCDD/FsのWHO-TEF(1998)を使用し, 2008年以降は, WHO-TEF
(2006)を使用して, 毒性等量相当値を算出している。
また, 毒性等量相当値の算出は, 実測濃度の検出下限値未満を「0」として算出したものと検
出下限未満を検出下限の 1/2 として算出する場合がある。なお, 4.1 排出実態調査結果(発生源)
及び4.2 環境調査結果については, 実測濃度の検出下限値未満を「0」として算出した値を使用
し, 4.3暫定排出インベントリーについては, 検出下限未満を検出下限の 1/2として算出した値を
使用している。
表 3.25 PCDD/Fsの毒性等価係数(TEF)
化合物 WHO-TEF(1998) WHO-TEF(2006)
PCDDs
2,3,7,8-TeCDD
1,2,3,7,8-PeCDD
1,2,3,4,7,8-HxCDD
1,2,3,6,7,8-HxCDD
1,2,3,7,8,9-HxCDD
1,2,3,4,6,7,8-HpCDD
OCDD
1
1
0.1
0.1
0.1
0.01
0.0001
1
1
0.1
0.1
0.1
0.01
0.0003
PCDFs
2,3,7,8-TeCDF
1,2,3,7,8-PeCDF
2,3,4,7,8-PeCDF
1,2,3,4,7,8-HxCDF
1,2,3,6,7,8-HxCDF
1,2,3,7,8,9-HxCDF
2,3,4,6,7,8-HxCDF
1,2,3,4,6,7,8-HpCDF
1,2,3,4,7,8,9-HpCDF
OCDF
0.1
0.05
0.5
0.1
0.1
0.1
0.1
0.01
0.01
0.0001
0.1
0.03
0.3
0.1
0.1
0.1
0.1
0.01
0.01
0.0003
47
3.7 検出下限と精度管理
3.7.1 精度管理の項目及び留意点と相互検定等に基づく評価
臭素系ダイオキシン類の測定にあたっては, ダイオキシン類の測定方法に係る既存の JIS K
0311及び JIS K 0312 に準じて, 以下の 5項目に関する精度管理を実施した。
1) 内部標準物質の回収率
2) 操作ブランク試験
3) トラベルブランク試験
4) 二重測定
5) 検出下限及び定量下限
調査全体を通して, 項目1)~4)について, 測定方法が上記 JISにおける精度管理の基準を満
たすことを確認した。一方, 項目 5)については, 初期の調査では排水試料に関して, PBDD/Fs
異性体の検出下限値(及び定量下限値)が高くなる傾向がみられた。検出下限値が高い場合,
試料によっては, 検出されない PBDD/Fs 異性体が増加するため, 後述する暫定排出インベント
リーの毒性等量相当値算出などにおいて, 不確実性が大きくなる。よって, 平成 26 年度の調査
において, 排水試料の採水・抽出量を増やすなどの測定方法の改善を行い, 検出下限値を低減
させた(詳細は次節 3.7.2を参照)。
さらに, 臭素系ダイオキシン類に関するこれまでの調査・研究から, その測定の精度管理にお
いて, いくつかの課題や留意点が指摘されている 43, 44)。すなわち, 臭素系ダイオキシン類, 特に
高臭素化の PBDD/Fs は, PCDD/Fs に比べ, 光や熱に対して不安定であり, 試料前処理や機器
測定において分解・吸着等が生じやすく, また利用できる標準物質が少ないため, 測定条件の
違いによって結果に大きなばらつきが生じる可能性がある。
PBDEs を高濃度に含む試料の分析に関しては, 高分解能質量分析計においても, PBDFs の
測定イオンに PBDEs のフラグメントイオンの一部が干渉する可能性がある。そこで本調査では,
測定法全体を通して以下の5項目に留意して, 臭素系ダイオキシン類の測定精度の確保に努め
た。
1) 試料採取・保管及び前処理時における光分解を避けるために, 褐色ビンの利用や冷暗所で
の保管, カラム等のアルミホイルによる遮光, 実験室内の紫外線カットフィルム・紫外線吸収膜
付蛍光灯の利用などを徹底した。
2) 環境省による暫定調査法 35)の発表以降に市販された標準物質(1,2,3,4,6,7,8-HpBDD, 13
C12-1,2,3,4,6,7,8-HpBDD, 13
C12-OBDF等)を追加した。標準物質の追加により, 相対感度係数
(RRF)の変動が抑えられ, 検出感度が向上することを確認した。さらに, 新たに市販された検
量線用作成用混合標準溶液を利用することで, 希釈操作による誤差を回避した。
3) GC/MS の測定においては, 事前に注入口の温度やライナーの最適化を行うとともに, キャ
ピラリーカラムの選定を行って, できる限り高臭素化 PBDD/Fs の熱分解が生じない条件を設定
した 43), 44)。
4) PBDFs の測定における PBDEs の干渉を避けるため, 使用する GC カラムにおける主要
PBDFs 及び PBDEs 異性体の溶出順位を事前に確認した。PBDEs による妨害の可能性がある
試料については, 試料前処理において活性炭カラムクロマトなどによる分離・精製操作を追加
した。
5) GC/MSの測定チャンネルの設定で, PBDEsのM+イオンをモニタリングし, PBDFsの測定イオ
ンに対する PBDEs フラグメントイオン[(M-2Br)+イオン]による干渉の有無を確認した。さらに測
定チャンネルのグルーピングを複数グループ(3グループなど)とすることで, グループ内の測定
48
イオンのチャンネル数を抑え, 各測定イオンに対するサンプリング時間を最適化し, 検出感度
の向上を図った。
また, 精度管理による成果を検証するために, 排ガス及び排水について異なる分析担当 2 機
関により, 同一試料の測定によるデータ比較(クロスチェック)を行った 22)。評価基準は, 検出下
限以上の測定項目について, 2 つの機関の測定値が, それらの平均値の±30 %以内となるこ
とを目標とした。その結果, 排ガスでは PBDD/Fs, MoBPCDD/Fs, PCDD/Fs及び DL-PCBsの各
測定項目とも, 検出された異性体については, 全て評価基準の±30 %以内であった。排水につ
いても, PBDD/Fs及びMoBPCDD/Fsの各測定項目は, 全て評価基準の±30 %以内であった。
PCDD/Fs 及び DL-PCBs も, 検出された異性体は全て評価基準の±30 %以内であった。但し,
同族体又は異性体の合計値は検出下限未満の値があるため, 評価基準の±30 %を超えた試
料があった。また, 同時に検討した BFRsの PBDEs, TBBPA及び TrBPhsの測定値についても,
全て±30 %以内であったが, HBCDsのみ排水 1試料について 30 %を超過していた。
加えて, 臭素系ダイオキシン類の分析機関は, 本調査と平行して実施された相互検定プログ
ラム 43), 44)に参加し, 分析法の改善や測定精度の評価を行った。相互検定では, 共通試料とし
て①混合標準溶液, ②風乾底質, ③廃テレビケーシング, ④動物脂肪の分析を複数機関で実
施し, PBDD/Fs, MoBPCDD/Fs, PBDEsの測定値を比較し, 機関間のばらつきを評価した(風乾
底質と動物脂肪については PCDD/Fs及び DL-PCBsも測定した)。また, 本プログラムでは,1度
目の検定結果を各機関に公表した後, 分析法改善に関する検討を行って, 各機関で試料の再
測定を実施し, 改善前と改善後の 2 回の検定結果を取りまとめた。その結果, 改善前には
PBDFs など一部の測定項目において各機関の測定値のばらつきが相対標準偏差(RSD)で
50 %を超える項目もあったが, 改善後にはほとんどの項目においてRSDは 40 %以内となった。
臭素系ダイオキシン類やBFRsに関する上記のクロスチェックや相互検定研究の結果(すなわ
ち, RSD等で示される測定値のばらつき)は, 既報のダイオキシン類や POPsに関する国内外の
検定結果などとして比較して, 概ね同等の範囲内にあった 43), 44)。したがって, 臭素系ダイオキ
シン類の測定に関して, 国内の分析機関の能力は概ね既存のダイオキシン類の測定と同等レ
ベルの精度を担保し得る状況にあると考えられる。本調査で得られた測定結果や暫定排出イン
ベントリーの算出における誤差や不確実性も, 上記の測定精度の範囲内にあるものとして解釈
するのが妥当である。
3.7.2 検出下限の算出及び改善点と TEQ 算出における取扱
各試料媒体における検出下限の算出には以下の式を用いた。PBDD/Fs, PBDEs, TBBPA,
HBCDs, PBPhsの媒体別検出下限値を表 3.26~表 3.33に示す。
CDL : 試料における検出下限(pg/試料単位)
DL : 測定方法の検出下限(pg)
Vi : HRGC/HRMS(LC/MS/MS)への注入量(μL)
v : 測定試料の液量(μL)
VE : 抽出液量(mL)
V’E : 抽出液の分取量(mL)
V : 試料量(媒体毎の単位:m3N, L, m
3, g-dry)
各媒体の試料量 V は以下の①~⑧を用いた。
CDL = × × ×
DL Vi
v VE
V’E V
1
49
①排ガス:4 m3
N
②排水:40 L~200 L
③建屋内空気:180 m3
④環境大気:1,000 m3
⑤公共用水域水質:40 L
⑥公共用水域底質:100 g-dry
⑦降下ばいじん:5 m2/day
⑧汚泥・焼却灰・飛灰など:20 g-dry
また, 排水試料の検出下限値を低減させるため, 2014 年の調査時では, 排水試料の採水量
を従来の 40 Lから 200 Lに増やし, 抽出液の分取量や測定試料の最終液量についても最適化
し, 濃縮倍率を向上させた。その結果, 検出下限値を従来の約 1/10 とすることが可能となった。
一例として 2004 年調査時と 2014 年調査時の排水の検出下限値の比較を図 3.21 に示す。排ガ
ス試料においても捕集インピンジャーの数を増やすなどの改善を行い, 検出下限値を可能な限
り低減させた。
このような検出下限値の改善により, 本調査では検出下限未満となる測定項目が減り, より
低濃度の PBDD/Fsを検出することが可能となった。また, 暫定排出インベントリーの毒性等量相
当値の算出においては, 測定異性体の検出下限値の 1/2を採用した。
表 3.26 PBDD/Fs検出下限値一覧表(1)
試料の種類 排ガス 排水 排水* 建屋内空気 環境大気
単位 ng/m3N pg/L pg/L pg/m3 pg/m3
2,3,7,8-TeBDD 0.0002 0.04 0.004 0.004 0.0008
1,2,3,7,8-PeBDD 0.0005 0.1 0.01 0.01 0.002
1,2,3,4,7,8-HxBDD 0.002 0.6 0.06 0.07 0.01
1,2,3,6,7,8-HxBDD 0.003 0.7 0.07 0.08 0.01
1,2,3,7,8,9-HxBDD 0.002 0.5 0.05 0.06 0.01
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD 0.002 0.4 0.04 0.05 0.009
OBDD 0.005 1 0.1 0.1 0.02
2,3,7,8-TeBDF 0.0002 0.04 0.004 0.005 0.0008
1,2,3,7,8-PeBDF 0.0007 0.2 0.02 0.02 0.004
2,3,4,7,8-PeBDF 0.001 0.2 0.02 0.03 0.005
1,2,3,4,7,8-HxBDF 0.002 0.5 0.05 0.06 0.01
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 0.002 0.5 0.04 0.05 0.009
OBDF 0.005 1 0.1 0.1 0.03
*平成 26 年度以降の検出下限値
50
表 3.27 PBDD/Fs検出下限値一覧表(2)
試料の種類 公共用
水域水質
公共用
水域底質
降下
ばいじん
汚泥・焼却灰・飛
灰
単位 pg/L pg/g-dry pg/m2/day ng/g-dry
2,3,7,8-TeBDD 0.02 0.008 0.2 0.00004
1,2,3,7,8-PeBDD 0.06 0.02 0.5 0.0001
1,2,3,4,7,8-HxBDD 0.3 0.1 2 0.0006
1,2,3,6,7,8-HxBDD 0.4 0.1 3 0.0007
1,2,3,7,8,9-HxBDD 0.3 0.1 2 0.0005
1,2,3,4,6,7,8-HpBDD 0.2 0.09 2 0.00004
OBDD 0.6 0.2 5 0.001
2,3,7,8-TeBDF 0.02 0.008 0.2 0.00004
1,2,3,7,8-PeBDF 0.09 0.04 0.7 0.0002
2,3,4,7,8-PeBDF 0.1 0.05 1 0.0002
1,2,3,4,7,8-HxBDF 0.3 0.1 2 0.0005
1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 0.2 0.09 2 0.0005
OBDF 0.6 0.3 5 0.001
表 3.28 PBDEs検出下限値一覧表(1)
試料の種類 排ガス 排水 排水* 建屋内空気 環境大気
単位 ng/m3N ng/L ng/L ng/m3 ng/m3
MoBDEs 0.006 0.001 0.0001 0.0002 0.00003
4,4'-DiBDE(#15) 0.006 0.001 0.0001 0.0002 0.00003
DiBDEs 0.006 0.001 0.0001 0.0002 0.00003
2,4 4'-TrBDE(#28) 0.009 0.002 0.0002 0.0002 0.00004
TrBDEs 0.009 0.002 0.0002 0.0003 0.00005
2,2',4,4'-TeBDE(#47) 0.008 0.002 0.0002 0.0002 0.00004
TeBDEs 0.02 0.004 0.0004 0.0004 0.00008
2,2',4,4',6-PeBDE(#100) 0.009 0.002 0.0002 0.0002 0.00004
2,2',4,4',5-PeBDE(#99) 0.01 0.003 0.0003 0.0003 0.00006
PeBDEs 0.01 0.003 0.0003 0.0003 0.00006
2,2',4,4',5,6'-HxBDE(#154) 0.01 0.003 0.0002 0.0003 0.00005
2,2',4,4',5,5'-HxBDE(#153) 0.02 0.004 0.0004 0.0004 0.00008
HxBDEs 0.03 0.007 0.0006 0.0007 0.0001
2,2',3,4,4',5',6-HpBDE(#183) 0.02 0.005 0.0005 0.0006 0.0001
HpBDEs 0.02 0.005 0.0005 0.0006 0.0001
OBDEs 0.01 0.003 0.0003 0.0004 0.00007
NoBDEs 0.03 0.008 0.0007 0.0008 0.0001
DeBDE(#209) 0.05 0.01 0.001 0.001 0.0002
*平成 26 年度以降の検出下限値
51
表 3.29 PBDEs検出下限値一覧表(2)
試料の種類 公共用
水域水質
公共用
水域底質
降下
ばいじん
汚泥・焼却灰・
飛灰
単位 ng/L ng/g-dry ng/m2/day ng/g-dry
MoBDEs 0.0007 0.0003 0.006 0.001
4,4'-DiBDE(#15) 0.0007 0.0003 0.006 0.001
DiBDEs 0.0007 0.0003 0.006 0.001
2,4,4'-TrBDE(#28) 0.001 0.0004 0.009 0.002
TrBDEs 0.001 0.0005 0.009 0.002
2,2',4,4'-TeBDE(#47) 0.001 0.0004 0.008 0.002
TeBDEs 0.002 0.0008 0.02 0.004
2,2',4,4',6-PeBDE(#100) 0.001 0.0004 0.009 0.002
2,2',4,4',5-PeBDE(#99) 0.002 0.0006 0.009 0.003
PeBDEs 0.002 0.0006 0.01 0.003
2,2',4,4',5,6'-HxBDE(#154) 0.001 0.0005 0.01 0.003
2,2',4,4',5,5'-HxBDE(#153) 0.002 0.0008 0.02 0.004
HxBDEs 0.003 0.001 0.03 0.007
2,2',3,4,4',5',6-HpBDE(#183) 0.003 0.001 0.02 0.005
HpBDEs 0.003 0.001 0.02 0.005
OBDEs 0.002 0.0007 0.01 0.003
NoBDEs 0.004 0.002 0.03 0.008
DeBDE(#209) 0.006 0.002 0.05 0.01
表 3.30 TBBPA及び HBCDs検出下限値一覧表(1)
試料の種類 排ガス 排水 排水* 建屋内空気 環境大気
単位 ng/m3N ng/L ng/L ng/m3 ng/m3
TBBPA 0.2 0.1 0.005 0.003 0.001
α-HBCD 0.3 0.2 0.008 0.004 0.002
β-HBCD 0.2 0.1 0.004 0.002 0.0009
γ-HBCD 0.2 0.2 0.006 0.003 0.001
*平成 26 年度以降の検出下限値
表 3.31 TBBPA及び HBCDs検出下限値一覧表(2)
試料の種類 公共用
水域水質
公共用
水域底質
降下
ばいじん
汚泥・焼却灰・飛
灰
単位 ng/L ng/g-dry ng/m2/day ng/g-dry
TBBPA 0.02 0.05 0.1 0.2
α-HBCD 0.04 0.08 0.2 0.4
β-HBCD 0.02 0.04 0.09 0.2
γ-HBCD 0.03 0.06 0.1 0.3
52
表 3.32 PBPhs検出下限値一覧表(1)
試料の種類 排ガス 排水 排水* 建屋内空気 環境大気
単位 ng/m3N ng/L ng/L ng/m3 ng/m3
2-MoBPh 1 0.8 0.03 0.03 0.006
3-MoBPh 1 0.8 0.03 0.03 0.006
4-MoBPh 1 0.8 0.03 0.03 0.006
2,3-DiBPh 1 0.8 0.03 0.03 0.006
2,4-DiBPh 1 0.7 0.03 0.03 0.006
2,5-DiBPh 1 0.8 0.03 0.03 0.006
2,6-DiBPh 1 0.7 0.03 0.03 0.006
3,4-DiBPh 1 0.7 0.03 0.03 0.006
3,5-DiBPh 1 0.8 0.03 0.03 0.006
2,3,4-TrBPh 0.9 0.6 0.02 0.03 0.005
2,3,5-TrBPh 1 0.6 0.02 0.03 0.005
2,3,6-TrBPh 0.9 0.6 0.02 0.03 0.005
2,4,5-TrBPh 1 0.6 0.02 0.03 0.005
2,4,6-TrBPh 0.9 0.6 0.02 0.03 0.005
3,4,5-TrBPh 0.9 0.6 0.02 0.03 0.005
2,3,4,5-TeBPh 0.9 0.6 0.02 0.03 0.005
2,3,4,6-TeBPh 0.9 0.6 0.02 0.03 0.005
2,3,5,6-TeBPh 0.9 0.6 0.02 0.03 0.005
PeBPh 0.9 0.6 0.02 0.03 0.004
*平成 26 年度以降の検出下限値
表 3.33 PBPhs検出下限値一覧表(2)
試料の種類 公共用水域水質 公共用水域底質 降下ばいじん 汚泥・焼却灰・飛灰
単位 ng/L ng/g-dry ng/m2/day ng/g-dry
2-MoBPh 0.2 0.3 1 2
3-MoBPh 0.2 0.3 1 2
4-MoBPh 0.2 0.3 1 2
2,3-DiBPh 0.2 0.3 1 2
2,4-DiBPh 0.1 0.3 1 1
2,5-DiBPh 0.2 0.3 1 2
2,6-DiBPh 0.1 0.3 1 1
3,4-DiBPh 0.1 0.3 1 1
3,5-DiBPh 0.2 0.3 1 2
2,3,4-TrBPh 0.1 0.2 0.9 1
2,3,5-TrBPh 0.1 0.2 1 1
2,3,6-TrBPh 0.1 0.2 0.9 1
2,4,5-TrBPh 0.1 0.2 0.9 1
2,4,6-TrBPh 0.1 0.2 0.9 1
3,4,5-TrBPh 0.1 0.2 1 1
2,3,4,5-TeBPh 0.1 0.2 0.9 1
2,3,4,6-TeBPh 0.1 0.2 0.9 1
2,3,5,6- TeBPh 0.1 0.2 0.9 1
PeBPh 0.1 0.2 0.9 1
53
4. 排出実態の調査結果と暫定排出インベントリー
※以下に示す排出実態調査結果は、主に臭素系ダイオキシン類(PBDD/Fs 及び PXDD/Fs)の
PBDD/Fsのデータについて記載する。(図 2.1参照)
4.1 排出実態調査結果(発生源)21~34)
(1) 排ガス
排ガス中のPBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 71, 平均値 420 ng/m3N, 検出範囲ND
~7,100 ng/m3
N)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 難燃樹脂製造施設(2002年;平
均 980 ng/m3N, 検出範囲 0.011~4,900 ng/m
3N), 難燃樹脂製造(TrBPhs末端処理 TBBPA型エ
ポキシ樹脂)施設(2005年;平均 8,100 ng/m3
N, 検出範囲 1.5~24,000 ng/m3
N)であった。また,
PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダイオキシン類の排ガス排出基準値(0.1~10 ng - TEQ/m3
N)と
比較すると, 排出基準値の 10 ng-TEQ/m3
Nを超過する施設はなかったが, 難燃プラスチック製
造加工施設(2004年;平均 0.51 ng-TEQ/m3N, 範囲 0~1.4 ng-TEQ/m
3N)が調査施設の中で最も
高い値であった。検出状況を図 4.1に示す。
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 排出基準はない。
実測濃度で高い値が検出されている難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理 TBBPA 型エポキ
シ樹脂)(2005年)及び難燃樹脂製造施設(2002年)では, TeBDDsの非 2,3,7,8位置換異性体の
検出濃度が高く, 毒性等量相当値は, 低い値であった。一方, 毒性等量相当値が高い難燃プラ
スチック製造加工施設(2004年)では, DeBDE を使用した製品を加工, 製造しており, PBDFsの
毒性等量相当値が高かった。
同族体組成については, 難燃樹脂製造施設(2002年), 難燃剤製造施設(2003年), 難燃繊
維加工施設(2003年), 難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理TBBPA型エポキシ樹脂)(2005年)
や下水道終末処理施設(2014年)などで TeBDDsの比率が高く, 難燃剤製造施設(DeBDE)
(2006年), 家電リサイクル施設(2011年)では, OBDFの比率が高い。難燃繊維加工施設(2003
年, 2013年)では, OBDF, HpBDFs, PeBDFs, TeBDFsなど PBDFsの比率が高い。アルミニウム
二次精錬・精製(2009年)では, TeBDFs, PeBDFsなどの比率が高い。図 4.2に排ガス中における
PBDD/Fs同族体組成(一例)を示す。
図 3.21 排水の検出下限値の比較(2004年と 2014年度)
54
また, BFRs(PBDEs, TBBPA, HBCDs, TrBPhs)についても同時に測定を行っているが, PBDFs
実測濃度と PBDEs実測濃度, PBDDs実測濃度と TrBPhs実測濃度, PBDDs実測濃度と TBBPA
実測濃度は, 強い相関があった。これらの結果は, BFRsに不純物として含まれる PBDD/Fsの関
与, あるいは, BFRsの使用時におけるPBDD/Fsの非意図的生成の関与を示唆する。図4.2~図
4.4に PBDDs濃度及び PBDFs実測濃度と BFRs実測濃度との相関を示す。
図 4.2 排ガス中における PBDD/Fs同族体組成(一例)
図 4.1 排ガス中における PBDD/Fs検出状況
55
(2) 排水
排水中の PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 82, 平均値 21,000 pg/L, 検出範囲 ND
~420,000 pg/L)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 難燃樹脂製造施設(2002年;平
均 32,000 pg/L, 検出範囲 2.0~190,000 pg/L), 難燃繊維加工施設(2003年;平均 80,000 pg/L,
検出範囲 320~170,000 pg/L, 2005年;平均 89,000 pg/L, 検出範囲 10,000~250,000 pg/L, 2013
年;平均 86,000 pg/L, 検出範囲 1,400~420,000 pg/L, 2015年;平均 6,100 pg/L, 検出範囲 270・
12,000 pg/L), 家電リサイクル施設(2011年;平均 33,000 pg/L, 検出範囲 320~230,000 pg/L)で
あった。
また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダイオキシン類の排水排出基準値(10 pg-TEQ/L)と比
較すると, 家電リサイクル施設(2002年;平均 31 pg-TEQ/L, 範囲 2.5~65 pg-TEQ/L, 2011年;
平均 88 pg-TEQ/L, 範囲 1.4~530 pg-TEQ/L), 難燃繊維加工施設(2003年;平均 77 pg-TEQ/L,
範囲 3.6~130 pg-TEQ/L, 2005 年;平均 390 pg-TEQ/L, 範囲 26~1,200 pg-TEQ/L, 2007年;平
均 20 pg-TEQ/L, 範囲 0.15~62 pg-TEQ/L, 2013 年;平均 510 pg-TEQ/L, 範囲 2.0~2,500 pg-
TEQ/L, 2015年;平均 18 pg-TEQ/L, 範囲 0.59~36 pg-TEQ/L), 難燃プラスチック製造加工施設
(2004年;平均 2.8 pg-TEQ/L, 範囲 0~14 pg-TEQ/L), 難燃剤製造施設(DeBDE)(2006年;平
均 14 pg -TEQ/L, 範囲 0.69・27 pg-TEQ/L)において排出基準値を超過している施設があった。
検出状況を図 4.6に示す。※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 排出基準はない。
図 4.3 排ガス中における PBDFs と PBDEs の相関
R=0.78414(P<0.05)
図 4.4 排ガス中における PBDDs と TBBPAの相関
図 4.5 排ガス中における PBDDs と TrBPhs の相関
R=0.99996(P<0.05)
R=0.90912(P<0.05)
56
実測濃度で高い値が検出されている難燃樹脂製造施設(2002年)では, 排ガスと同様に非
2,3,7,8位置換異性体の検出濃度が高く, 毒性等量相当値は低い値であった。
家電リサイクル施設の高濃度検出事例については, 家電品(特にブラウン管テレビ)に付着し
た高濃度の PBDFsを含むダストが雨水とともに排出されていることに起因すると考えられた。
難燃繊維加工施設(2006年, 2007年)では, 1つの排水試料について懸濁態と溶存態に分け
て測定を行った結果, 全ての試料において懸濁態の方が高い値であった。図 4.7に難燃繊維加
工施設における懸濁態と溶存態の濃度比較を示す。
複数年の調査を行っている難燃繊維加工施設では, DeBDEや HBCDs等の臭素系難燃剤を
使用して難燃繊維加工や製造を行っており, 調査年度及び施設により濃度差はあるが, 高い濃
度の値が検出されている施設がある。また, 工程水の中で高い濃度が検出されている施設があ
るが, 活性汚泥処理と高分子凝集法により排水処理を行い, 施設外への排水については, 低濃
度に管理されている施設もある。一方, 排水処理がなく, 直接下水道に排水している施設もあり,
下水道施設の放流水にも影響している。2017年度調査では、2015年度に難燃繊維加工施設に
おいて排水処理過程における臭素系ダイオキシン類の挙動について調査を行った。調査は、原
水から総合排水までの4ヵ所について排水を採取し、各工程における削減効果を確認した結果、
排水処理工程の初期段階である反応槽(鉄系凝集, 消石灰, 高分子凝集)、沈殿槽において削
減効果が大きかった。各工程毎の分析結果及び PBDD/Fs削減率を図 4.8 に示す。
同族体組成については、難燃樹脂製造施設(2002年), 難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理
TBBPA型エポキシ樹脂)(2005年)などで TeBDDsの比率が高い。難燃剤製造(2003年), 難燃
プラスチック製造加工施設(2004年), 下水道終末処理施設(2004年), 難燃繊維加工施設
(2005年, 2006年, 2015年), 難燃剤製造施設(DeBDE)(2006年)などでOBDFの比率が高い。
他の施設では, OBDF, HpBDFs, HxBDFs, PeBDFs などの PBDFsの比率が高い。図 4.9に排水
中における PBDD/Fs同族体組成(一例)を示す。
また, 排ガスと同様に BFRs(PBDEs, TBBPA, HBCDs, TrBPhs)についても同時に測定を行っ
ているが, PBDFs実測濃度及び PBDDs実測濃度と PBDEs濃度については, 中程度の相関が
あったが, 他の物質については, 相関はなかった。図 4.9~図 4.10に PBDDs及び PBDFs実測
濃度と BFRs実測濃度との相関を示す。
図 4.6 排水中における PBDD/Fs検出状況
57
図 4.8 排水処理過程における臭素系ダイオキシンの挙動
図 4.7 難燃繊維加工施設における懸濁態と溶存態の濃度比較
図 4.9 排水中における PBDD/Fs同族体組成(一例)
58
(3) 建屋内空気
建屋内空気中のPBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数61, 平均値3,500 pg/m3, 検出範囲
0.49~75,000 pg/m3)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 家電リサイクル施設(2002年;
平均 13,000pg/m3, 検出範囲 930~75,000 pg/m
3), 難燃剤製造施設(DeBDE)(2006年;平均
27,000 pg/m3, 検出範囲 16,000・38,000 pg/m
3)であった。また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダ
イオキシン類の作業環境管理濃度基準(2.5 pg-TEQ/m3)と比較すると, 家電リサイクル施設(2002
年;平均 37 pg-TEQ/m3, 検出範囲 3.2~180 pg-TEQ/m
3, 2011年;平均 3.1 pg-TEQ/m
3, 検出範囲
0.34~9.8 pg-TEQ/m3), 難燃剤製造施設(2003年;平均 11 pg-TEQ/m
3, 検出範囲 0.052・21 pg-
TEQ/m3), 難燃プラスチック製造加工施設(2004年;平均 3.1 pg-TEQ/m
3, 検出範囲 0~13 pg-
TEQ/m3), 難燃剤製造施設(DeBDE)(2006年;47 pg-TEQ/m
3, 範囲 16・78 pg-TEQ/m
3), 難燃繊
維加工施設(2003年;平均 0.86 pg-TEQ/m3, 検出範囲 0~5.6 pg-TEQ/m
3, 2013 年;平均 8.6 pg-
TEQ/m3, 検出範囲 0.32~25 pg-TEQ/m
3)において管理濃度基準を超過した施設があった。検出
状況を図 4.12に示す。※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 作業環境管理濃度基準はない。
同族体組成については、難燃剤製造施設(DeBDE)(2006年)では, OBDFの比率が高い。家電
リサイクル施設(2002年, 2011年)では, OBDFが最も比率が高いが、HpBDFs, HxBDFsの比率も
高い。難燃樹脂製造施設(発泡ポリスチレン)(2008年), アルミニウム二次精錬・精製(2009年),
廃棄物焼却施設(2012年), 難燃繊維加工施設(2013年)では、TeBDFsの比率が高かった。他の
施設でも OBDF, HpBDFs, HxBDFs, PeBDFs, TeBDFs などの PBDFsの比率が高い。図 4.13に建
屋内空気中における PBDD/Fs同族体組成(一例)を示す。
PBDFsが高い濃度で検出された家電リサイクル施設(2002年, 2011年), 難燃剤製造施設
(DeBDE)(2006年), 難燃繊維加工施設などでは, DeBDEやDeBDEを含む製品及び廃棄物を取
扱っている。これらの結果は, DeBDE 中に不純物として含まれる PBDFsの関連, あるいは,
DeBDEの使用やDeBDEを含む製品廃棄物の資源化処理時における PBDD/Fsの非意図的生成
の可能性を示唆する。
また, PBDD/Fs と BFRs(PBDEs, TBBPA, HBCDs, TrBPhs)との相関では, PBDFs実測濃度と
PBDEs実測濃度については, 強い相関があったが, 他の物質については, 相関はなかった。図
4.14に PBDFs実測濃度と PBDEs実測濃度との相関を示す。
実測濃度で高い値が検出された家電リサイクル施設では, 2002年及び 2011年に調査を実施し
ている。DeBDEがキャビネットに使用されているケースが散見されるブラウン管テレビの国内総処
理台数 45)は, 2002年度で3,515,000台(2001年度;2,981,000台), 2011年度で10,622,000台(2010
図 4.10 排水中における PBDDs と PBDEs の相関
R=0.41094(P<0.05)
図 4.11 排水中における PBDFs と PBDEs の相関
R=0.50798(P<0.05)
59
年度;15,607,000台)となっている。アナログ放送が 2013年 12月で停止になっていることを考慮す
ると, ブラウン管テレビからデジタル放送対応の薄型テレビへの移行が進んでいる時期に当該調
査が実施されている。図 4.15に家電リサイクル施設における建屋内空気中の PBDD/Fs検出状況
及び図 4.16に家電リサイクル施設における PBDD/Fs実測濃度と総粉じん量を示す。2002年調査
時よりも 2011年調査時の方が PBDD/Fs毒性等量相当値度は, 全体的に低くなっている。また,
同一施設での測定でも PBDD/Fs実測濃度及び粉塵量も低くなっている。PBDD/Fs濃度と総粉じ
ん量には, 相関が見られ, 2011年調査時の PBDD/Fs の濃度が低くなった要因としては, ブラウン
管テレビに長年使用中に付着したダストを解体前, 又は解体時に集塵機により集塵する対策によ
るものと推察される。
図 4.13 建屋内空気中における PBDD/Fs同族体組成(一例)
図 4.12 建屋内空気中における PBDD/Fs検出状況
60
R=0.86897(P<0.05)
図 4.14 建屋内空気中における PBDFs と PBDEs の相関
の同一色は同じ施設
図 4.15 家電リサイクル施設における建屋内空気中の PBDD/Fs 検出状況
図 4.16 家電リサイクル施設における PBDD/Fs実測濃度と総粉じん量
2002年調査 2011年調査
R=0.66097(P<0.05)
61
4.2 環境調査結果
4.2.1発生源周辺 21)~25), 27)~34)
(1) 環境大気
環境大気中の PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 107, 平均値 22 pg/m3, 検出範囲
0.10~990 pg/m3)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 難燃樹脂製造施設周辺(2002
年;平均 140 pg/m3, 検出範囲 0.88~990 pg/m
3), 難燃剤製造施設周辺(2003 年;平均 23 pg/m3,
検出範囲 0.10~88 pg/m3), 難燃剤製造施設(DeBDE)周辺(2006年;平均 110 pg/m
3, 検出範囲
8.2~390 pg/m3)であった。また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダイオキシン類の環境基準値
(年平均値 0.6 pg-TEQ/m3)と比較すると難燃樹脂製造周辺(2002年;平均 0.11 pg-TEQ/m
3, 検出
範囲 0.0028~0.65 pg-TEQ/m3), 難燃剤製造施設(DeBDE)周辺(2006年;平均 0.37 pg- TEQ/m
3,
検出範囲 0.010~1.4 pg-TEQ/m3)において環境基準を超過している地点があった。検出状況を図
4.17に示す。※環境大気の測定場所は, 各施設の敷地境界付近で測定。
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 環境基準はない。
実測濃度で非常に高い濃度が検出されていた難燃樹脂製造施設周辺では, 排ガスと同様に
TeBDDの非 2,3,7,8 位置換異性体を主体とした検出濃度が高かった。
同族体組成については, 難燃樹脂製造施設周辺(2002年), 難燃剤製造施設周辺(2003年),
難燃プラスチック製造加工施設周辺(2004年), 難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理 TBBPA型
エポキシ樹脂)周辺(2005年), 難燃樹脂製造施設(TBBPAエポキシ樹脂)周辺(2008年)などで
TeBDDsの比率が高い箇所がある。家電リサイクル施設周辺(2002年, 2011年), 難燃剤製造施
設(DeBDE)周辺(2006年)では、OBDFの比率が高かった。その他の施設周辺では, HxBDFs,
PeBDFs, TeBDFsなどの PBDFsの比率が高い。図 4.18に環境大気中における PBDD/Fs同族体
組成(一例)を示す。また, 排ガス等と同様に BFRs(PBDEs, TBBPA, HBCDs, TrBPhs)についても
同時に測定を行っており, PBDFs実測濃度と PBDEs実測濃度については, 強い相関があり,
PBDDs実測濃度と PBDEs及び TrBPhs実測濃度についても, 中程度の相関があったが, 他の物
質については, 相関はなかった。図 4.19~図 4.21に PBDDs及び PBDFs実測濃度と PBDEs,
TrBPhs実測濃度との相関を示す。
図 4.17 環境大気中における PBDD/Fs検出状況
62
図 4.19 環境大気中における PBDFs と PBDEs の相関
R=0.95212(P<0.05)
図 4.20 環境大気中における PBDDs と PBDEs の相関
R=0.79292(P<0.05)
図 4.18 環境大気中における PBDD/Fs同族体組成(一例)
63
(2) 降下ばいじん
降下ばいじん中の PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 40, 平均値 16,000 pg/m2/day, 検
出範囲 140~180,000 pg/m2/day)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 家電リサイクル施
設(2002年;平均 47,000 pg/m2/day, 検出範囲 2,000~180,000 pg/m
2/day), 難燃樹脂製造施設
(2002年;平均 34,000 pg/m2/day, 検出範囲 1,100~120,000 pg/m
2/day)であった。また, PBDD/Fs
毒性等量相当値では, 特にダイオキシン類の基準はないが, 全データ(検体数 40, 平均値 74
pg-TEQ/m2/day, 検出範囲 0~960 pg-TEQ/m
2/day)の平均値より高い値であったのは, 家電リサ
イクル施設(2002年;平均 250 pg-TEQ/m2/day, 検出範囲 3.5~960 pg/m
2/day), 難燃樹脂製造施
設(2002年;平均150 pg-TEQ/m2/day, 検出範囲2.8~660 pg/m
2/day)で高い値になっている。検出
状況を図 4.22に示す。※降下ばいじんの測定場所は, 各施設の敷地境界付近で測定。
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 環境基準はない。
同族体組成については, 難燃プラスチック製造加工施設周辺(2004年), 難燃樹脂製造施設
(TrBPhs末端処理 TBBPA型エポキシ樹脂)周辺(2005年), 難燃樹脂製造施設(TBBPAエポキ
シ樹脂)周辺(2008 年)などで TBDDsの比率が高い箇所がある。難燃プラスチック製造加工施設
周辺(2004年), 下水道終末処理施設周辺(2004年)で PeBDFs, TeBDFsなどの低臭素化体の比
率が高い箇所がある。また、他の施設周辺では, OBDF, HpBDFs, HxBDFs, PeBDFs, TeBDFs など
のPBDFsの比率が高い。図4.23に降下ばいじん中におけるPBDD/Fs同族体組成(一例)を示す。
BFRs(PBDEs, TBBPA, HBCDs, TrBPhs)との相関は, PBDDs実測濃度と TrBPhs実測濃度,
PBDFs実測濃度と PBDEs実測濃度については, 強い相関があり, PBDDs実測濃度と TBBPA
実測濃度についても中程度の相関があった。図 4.24~図 4.26に PBDDs実測濃度と TrBPhs,
TBBPA実測濃度, PBDFs実測濃度と PBDEs実測濃度との相関を示す。
図 4.21 環境大気中における PBDDs と TrBPhs の相関
R=0.63158(P<0.05)
64
図 4.22 降下ばいじん中における PBDD/Fs検出状況
図 4.23 降下ばいじん中における PBDD/Fs同族体組成(一例)
65
(3) 公共用水域水質
公共用水域水質中の PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 101, 平均値 330 pg/L, 検出
範囲 ND~7,400 pg/L)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 難燃繊維加工施設周辺
(2003年;①平均 2,200 pg/L, 検出範囲 16~6,600 pg/L, ②平均 6,800 pg/L, 検出範囲 5,900~
7,300 pg/L, 2013年;②1,400 pg/L), 下水道終末処理施設周辺(2004年;②平均 330 pg/L, 検出
範囲 ND~1,000 pg/L)であった。また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダイオキシン類の環境基
準値(年平均値 1 pg-TEQ/L)と比較すると, 難燃繊維加工施設周辺(2003年;①平均 6.0 pg-
TEQ/L, 範囲 0.065~18 pg-TEQ/L, ②平均 23 pg-TEQ/L, 範囲 18~29 pg-TEQ/L), 下水道終末
処理施設周辺(2004年;②平均 0.50 pg-TEQ/L, 範囲 0~1.5 pg-TEQ/L)において環境基準値を超
過している地点があった。検出状況を図 4.27に示す。
※①:河川上流又は排水口から離れた海域, ②:河川下流又は排水口付近の海域
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 環境基準はない。
同族体組成については, 難燃プラスチック製造加工施設周辺(2004年), セメント製造施設周
辺(2010年)などで TBDDsの比率が高い。難燃樹脂製造施設周辺(2002年), 難燃剤製造
図 4.25 降下ばいじん中における PBDDs と TBBPAの相関 図 4.24 降下ばいじん中における PBDDs と TrBPhs の相関
図 4.26 降下ばいじん中における PBDFs と PBDEs の相関
R=0.91921(P<0.05)
R=0.50227(P<0.05)
R=0.77322(P<0.05)
66
(2003年), 難燃繊維加工施設周辺(2003年, 2013年), 下水道終末処理施設周辺(2004年,
2014年), 難燃剤製造施設(DeBDE)周辺(2006年), 家電リサイクル施設周辺(2011年)などで
OBDFsの比率が高い。難燃樹脂製造施設(TBBPAエポキシ樹脂)周辺(2008年), 家電リサイク
ル施設周辺(2011年), 廃棄物焼却施設周辺(2012年)などで TBDFsの比率が高い箇所がある。
また、他の施設周辺では, OBDF, HpBDFs, HxBDFs, PeBDFs, TeBDFs などの PBDFsの比率が
高い。図 4.28に公共用水域水質中における PBDD/Fs同族体組成(一例)を示す。
公共用水域水質については, 施設からの放流水が周辺環境に影響しているかどうかを調査し
た。具体的には, 調査施設の排水の影響を受ける可能性がある調査施設の排水が流入する河
川の下流又は排水口付近の海域と, 調査施設の排水の影響を受けにくいと考えられる河川の
上流又は排水口より離れた海域から, それぞれ試料を採取した。一部地点を除き, 統計での有
意な差は認められないが, 調査施設の排水が流入する河川下流又は排水口付近の海域の方
が河川上流又は排水口より離れた海域より高値であり, 施設からの排水の影響を受けていると
考えられる。一方で調査地点の河川上流でも高い値が検出されている地点もある。これは, 河
川上流側に, 当該調査で対象となっていない発生源施設が存在する可能性があると考えられた。
表 4.1及び図 4.29に河川上流又は排水口より離れた海域と河川下流又は排水口付近の海域の
PBDD/Fs実測濃度の比較を示す。
BFRs(PBDEs, TBBPA, HBCDs, TrBPhs)との相関は, PBDDs実測濃度と PBDEs実測濃度に
ついては, 強い相関があり, PBDFs実測濃度と PBDEs実測濃度は中程度の相関があった。図
4.30及び図 4.31に PBDDs実測濃度と PBDEs実測濃度, PBDFs実測濃度と PBDEs実測濃度
との相関を示す。
図 4.27 公共用水域水質中における PBDD/Fs検出状況
①:河川上流又は排水口から離れた海域
②:河川下流又は排水口付近の海域
67
表 4.1 河川上流又は海域と河川下流又は排水口付近の海域の PBDD/Fs実測濃度の比較
(単位:pg/L) 河川上流 河川下流 排水口から離れ
た海域
排水口付近の
海域
n 25 25 11 11
最小値 0.31 0.42 0.12 0.050
最大値 6,600 7,400 5,900 50
平均値 280 770 580 15
(NDデータを除く)
図 4.28 公共用水域水質中における PBDD/Fs同族体組成(一例)
図 4.29 河川上流又は排水口より離れた海域と河川下流又は排水口付近の海域の PBDD/Fs 実測濃度の比較
68
(4) 公共用水域底質
公共用水域底質中の PBDD/Fs実測濃度では, 全データ(検体数 95, 平均値 630 pg/g-dry, 検
出範囲 ND~13,000 pg/g-dry)のうち平均値より高い濃度で検出されたのは, 難燃樹脂製造施設
(TrBPhs末端処理TBBPA型エポキシ樹脂)周辺(2005年;②平均 1,300 pg/g-dry, 検出範囲1,300
~1,300 pg/g-dry), 難燃樹脂製造施設(TBBPAエポキシ樹脂)周辺(2008 年;①640 pg/g-dry, ②
1,100 pg/g-dry), 家電リサイクル施設周辺(①2011年;平均 710 pg/g-dry, 検出範囲 0.40~2,600
pg/g- dry, 2011年;②平均 1,300 pg/g-dry, 検出範囲 0.51~4,700 pg/g-dry), 難燃繊維加工周辺
(2013年;②13,000 pg/g-dry, 2015年;②平均3,500 pg/g-dry, 検出範囲150, 6,900 pg/g-dry)であっ
た。また, PBDD/Fs毒性等量相当値では, ダイオキシン類の環境基準値(150 pg-TEQ/g-dry)と比
較すると, 難燃繊維加工施設周辺(2013年②170 pg-TEQ/g-dry)において環境基準値を超過して
いる地点があった。検出状況を図 4.32に示す。
※①:河川上流又は排水口から離れた海域, ②:河川下流又は排水口付近の海域
※現在, 臭素系ダイオキシン類には, 環境基準はない。
同族体組成については, 難燃樹脂製造施設周辺(2002年), 難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端
処理 TBBPA型エポキシ樹脂)周辺(2005年), 難燃樹脂製造施設(TBBPAエポキシ樹脂)周辺
(2008年), 難燃繊維加工周辺(2015年)で HxBDFs の比率が高い。家電リサイクル施設周辺
(2002年), 難燃プラスチック製造加工施設周辺(2004年), セメント製造施設周辺(2010年)で
TeBDDsの比率が高い。難燃剤製造施設周辺(2003年), 難燃繊維加工周辺(2003年), 下水道
終末処理施設周辺(2004年), 難燃剤製造施設周辺(DeBDE)(2006年), 家電リサイクル施設周
辺(2011年)などで OBDFの比率が高い箇所がある。難燃樹脂製造施設(TrBPhs末端処理
TBBPA型エポキシ樹脂)周辺(2005年)で, OBDD, HxBDDsの比率が高い箇所がある。その他の
施設周辺では, OBDF, HpBDFs, HxBDFs, PeBDFs, TeBDFsなどの PBDFsの比率が高い。図 4.33
公共用水域底質中における PBDD/Fs同族体組成(一例)を示す。
公共用水域底質についても, 公共用水域水質と同様に施設からの放流水が周辺環境に影響し
ているかどうかを調査するために, 同一場所において試料採取を行っており, 公共用水域水質と
同様に統計での有意な差は認められないが, 河川下流又は排水口付近の海域の方が河川上流
又は排水口より離れた海域より高値であることから, 施設からの排水の影響があるものと考えら
れる。表 4.2及び図 4.34に河川上流又は排水口より離れた海域と河川下流又は排水口付近の海
域の実測濃度の比較を示す。BFRs(PBDEs, TBBPA, HBCDs, TrBPhs)との相関は, PBDFs実測
図 4.31 公共用水域水質中における PBDFs と PBDEs の相関 図 4.30 公共用水域水質中における PBDDs と PBDEs の相関
R=0.82284(P<0.05)
R=0.66829(P<0.05)
69
濃度と PBDEs実測濃度について, 強い相関があった。図 4.35に PBDFs実測濃度と PBDEs実測
濃度との相関を示す。
①:河川上流又は排水口から離れた海域
②:河川下流又は排水口付近の海域
図 4.32 公共用水域底質中における PBDD/Fs検出状況
図 4.33 公共用水域底質中における PBDD/Fs同族体組成(一例)
70
表 4.2 河川上流また海域と河川下流又は排水口付近の海域の PBDD/Fs実測濃度の比較
(単位:pg/g-dry) 河川上流 河川下流 海域 排水口付近の
海域
n 22 22 16 16
最小値 0.40 0.51 0.31 12
最大値 2,600 13,000 1,900 6,900
平均値 240 1,100 450 1,500
図 4.35 公共用水域底質中における PBDFs と PBDEs の相関
R=0.78699(P<0.05)
図 4.34 河川上流又は排水口より離れた海域と河川下流又は排水口付近の海域の PBDD/Fs 実測濃度の比較
71
4.2.2一般環境 46)~51)
PBDD/Fsの一般環境挙動については, 2001年度より 2007年度まで環境省環境総合政策局
環境保健部環境安全課環境リスク評価室において, 環境大気, 室内空気, 降下ばいじん, 水質,
底質, 水生生物などの媒体について調査が行われている。以下に 4.2.1発生源周辺の媒体との
比較として同一の媒体の分析方法及び検出結果の概要について示す。
(1) 分析方法
1) 試料採取
(大気・降下ばいじん)
試料採取:大気-24時間採取を 7日間連続, 降下ばいじん-1 ヵ月
採取したろ紙及びポリウレタンフォームをソックスレー抽出。
(公共用水域水質)
試料採取:固相抽出装置に試料 200 L通水
ディスク型固相及びガラス繊維ろ紙をソックスレー抽出。
(公共用水域底質)
試料採取:採取量等不明
風乾した試料を 2 mmでふるった後, 円筒ろ紙に 50g採取し, 銅粉 20 gを加え, ソックスレー
抽出。必要に応じてさらに還元銅による処理。
2) クリーンアップ
シリカゲルカラム, フロリジルカラム及び活性炭分散シリカゲルカラムにより処理。
3) 測定
HRGC/HRMS 測定
※調査地域は, 市街地, 山間部, 住宅地, 工業地域, 焼却施設周辺を選定。
(2) 検出状況
調査結果の概要は, 図 4.36~図 4.39に示す。
1) 環境大気
図 4.36 環境大気中における PBDD/Fs検出状況
72
2) 降下ばいじん
3) 公共用水域水質
図 4.37 降下ばいじん中における PBDD/Fs検出状況
図 4.38 公共用水域水質中における PBDD/Fs検出状況
73
4) 公共用水域底質
臭素系ダイオキシン類排出実態調査(ダイオキシン対策室)①とダイオキシン類の蓄積・暴露
状況及び臭素系ダイオキシン類の調査(環境リスク評価室)②の結果では, 全ての媒体で臭素
系ダイオキシン類排出実態調査結果の方が高い値が検出されている。臭素系ダイオキシン類
排出実態調査では, 臭素系ダイオキシン類の発生源として可能性の高い施設周辺での調査結
果であり, 非常に高濃度で検出されている地点もあり, 汚染源としては, 特定地域の汚染が考
えられる。表 4.3に臭素系ダイオキシン類排出実態調査(ダイオキシン対策室)と②ダイオキシン
類の蓄積・暴露状況及び臭素系ダイオキシン類の調査(環境リスク評価室)結果の比較を示す。
表 4.3 臭素系ダイオキシン類排出実態調査(ダイオキシン対策室)と②ダイオキシン類の
蓄積・暴露状況及び臭素系ダイオキシン類の調査(環境リスク評価室)結果の比較
調査媒体 調査結果 単位 n Min Max Ave
環境大気 ① pg/m3 107 0.10 990 22
② 64 0.22 7.0 3.1
降下ばいじん ① pg/m2/day 40 140 180,000 16,000
② 64 18 810 220
公共用水域水質 ① pg/L 101
(50)
0
(0)
7,400
(6,600)
320
(150)
② 62 0.046 750 15
公共用水域底質 ① pg/g 95
(49)
0
(0)
13,000
(2,600)
630
(260)
② 62 0 4,100 160
※( )内は, 河川上流又は排水口より離れた海域のデータ
図 4.39 公共用水域底質中における PBDD/Fs検出状況
74
4.3 臭素化ダイオキシン類の暫定排出インベントリー
4.3.1 暫定排出インベントリー算出方法
暫定排出インベントリーの算出は, 基本的に排出実態調査結果のデータに基づいて, 施設の
種類毎の年間 PBDD/Fs排出量を算出し, これに調査を行った施設の活動量指標の合計で除す
ることにより, 施設種類毎の排出量原単位を算出した。年間排出量は, 施設種類毎の排出量原
単位に全国の活動量指標を乗じることにより全国の排出量を求めた。
(1) 発生源別の原単位の作成
1) 測定値:測定された施設のデータ(排ガスは炉毎及び最終排出のデータで, 排水は最終出
口のデータを使用)
2) 施設数:統計データ等
3) 年間稼働日数:測定された施設のデータ等
4) 排水量及び排ガス量:測定された施設のデータ等
5) 年間製品生産量等:施設情報, 統計データ等(使用難燃剤量)
(2) 年間排出量の推計方法
1) 排出量原単位の算出
排出量原単位
=Σ調査対象施設{対象排ガス(水)濃度×年間排ガス(水)量}÷Σ調査対象施設{活動
量指標}
2) 年間排出量の算出
年間排出量 = 排出量原単位×全国の活動量指標
4.3.2 PBDD/Fs の年間排出量の試算結果
臭素系ダイオキシン類実態調査(2002年度〜2015年度)結果による PBDD/Fsの暫定排出量
は, 大気への排出では, 難燃プラスチック製造加工施設(DeBDE 使用)が最も多く 1,030 mg-
TEQ/年, セメント製造施設が 510 mg-TEQ/年及び廃棄物焼却施設(179 mg-TEQ/年・166 mg-
TEQ/年)などが多い。一方, 水への排出では, 難燃繊維加工施設が最も多く 1,370 mg-TEQ/年,
下水道終末処理施設が 1,110 mg-TEQ/年及び難燃剤製造・取扱施設(DeBDE)588 mg-TEQ/年
などが多い。
【大気への排出】
PBDD/Fs年間排出量の試算より大気への年間排出量を表 4.4に示す。
75
表 4.4 PBDD/Fsの大気への年間排出量※1
施設等 大気(mg/年) 大気 (mg-TEQ/年)※2
難燃剤製造・
取扱施設
TBBPA 10.6 1.08
TBBPAポリカーボネートオリゴマー 9.89 1.87
DeBDE 504 2.07
難燃樹脂製造施
設
TBBPAエポキシ樹脂 0.0250 0.00163
TrBPhs 末端処理 TBBPA型エポキシ樹脂 3,260 0.760
難燃プラスチック
製造加工施設
DeBDE 使用 135,000 1,030
発泡ポリスチレン 42.1 3.95
難燃繊維加工施設 244 0.766
家電リサイクル施設 175 1.14
アルミニウム二次精錬・精製施設 8,430 55.9
セメント製造施設 20,500 510
廃棄物焼却施設 一般廃棄物焼却施設 1,650 179
産業廃棄物焼却施設 6,490 166
下水道終末処理施設 192 19.7
※1:2003 年~2013年度調査データより試算。
※2:TEQは, 検出下限未満を検出下限の 1/2 として算出したデータ。
(1) 難燃剤製造・取扱施設
1) TBBPA 製造施設
2003年度に調査した TBBPA を製造している 1施設について, 製品輸送排ガスと充填作業場
排ガスの 2データ(0.015, 0.016 ng-TEQ/m3
N)を用いて, 年間排出量(0.337 mg-TEQ/年)を算出
した。また, 年間排出量を推定生産能力(10,000 ton)で除することで TBBPA製造 1 ton当たりの
排出量原単位(33.7 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2003年度の国内需要量(32,000 ton/年)52)
を乗じて年間排出量(1.08 mg-TEQ/年)を推計した。
2) TBBPA ポリカーボネートオリゴマー製造施設
2003年度に調査した TBBPAポリカーボネートオリゴマーを製造している 1施設について, 溶
剤回収装置排ガス 1データ(0.034 ng-TEQ/m3N)を用いて, 年間排出量(1.12 mg-TEQ/年)を算
出した。また, 年間排出量を生産能力(1,800 ton)で除することで TBBPA 製造 1 ton当たりの排
出量原単位(623 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2003年度の国内需要量(3,000 ton/年)52)を乗
じて年間排出量(1.87 mg-TEQ/年)を推計した。
3) DeBDE 取扱製造・取扱施設
DeBDEは, 1990年度の需要量が最も多く 10,000 ton/年であったが, 近年は, 1,000 ton/年を下
回る程度になってきている。現在国内では, 主に 7社が取扱いを行っていると考えられる。また,
主な用途については, 電子機器関連が約 60 %, 繊維関連が 30 %, 輸送関連と建築関連が
10 %と推定されている。53)
2006年度に調査したDeBDEを製造及び取り扱っている 2施設について, 乾燥バグフィルター
排ガス, 分級バグフィルター排ガス, 充填バグフィルター排ガス, 粉砕集塵機出口排ガス, 分級
集塵機出口排ガス, 充填集塵機出口排ガスの 6データ(0.0034~0.038 ng-TEQ/m3
N)を用いて,
76
年間排出量(1.50 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量を推定取扱量(1,420 ton)で除する
ことで DeBDE取扱 1 ton当たりの排出量原単位(1,060 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2006年
度の DeBDEの国内製造+輸入量(2,000 ton/年)56)を乗じて年間排出量(2.07 mg-TEQ/年)を推
計した。
(2) 難燃樹脂製造施設
1) TBBPA 型エポキシ樹脂製造施設
2008年度に調査した難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂)を製造している 1施設について,
反応槽出口排ガス 1データ(0.0065 ng-TEQ/m3
N)を用いて, 年間排出量(0.000309 mg-TEQ/年)
を算出した。また, 年間排出量をTBBPA使用量(5,700 ton/年)で除することでTBBPA製造 1 ton
当たりの排出量原単位(0.0542 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2007年度の国内需要量※
(30,000 ton/年)を乗じて年間排出量(0.00163 mg-TEQ/年)を推計した。
※施設ヒヤリング情報より
2) TrBPhs末端処理 TBBPA 型エポキシ樹脂製造施設
2005年度に調査した TrBPhsを取扱い TBBPAエポキシ樹脂を製造している 1施設について,
集塵ファン出口排ガス 1データ(0.077 ng-TEQ/m3
N)を用いて, 年間排出量(0.0732 mg-TEQ/年)
を算出した。また, 年間排出量を TrBPhs使用量(400 ton)で除することで TBBPAエポキシ樹脂
製品 1 ton当たりの排出量原単位(183 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2005 年度の TrBPhs国
内需要量(4,150 ton/年)55)を乗じて年間排出量(0.760 mg-TEQ/年)を推計した。
(3) 難燃プラスチック製造加工施設
1) DeBDE 使用施設
2004年度に調査した DeBDE を使用して製品類を成形加工している 4施設について, 湿式集
塵機出口排ガス, 脱臭装置出口排ガス, 成形加工前工程排ガス, 成形加工後工程排ガス 5デ
ータ(0.034~1.5 ng-TEQ/m3
N)を用いて, 年間排出量(126 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間
排出量を製品加工に必要な DeBDE量(213 ton/年)で除することで, DeBDE 使用 1 ton当たりの
排出量原単位(592,000 ng-TEQ/ton)を算出した。これに, 2004年度のDeBDEの国内製造+輸入
量(2,500 ton/年)54)の内, 電子機器関連が約 60 %, 輸送関連と建築関連が 10 %(合計 1,740
ton/年)であることから, 2004年度の DeBDEの国内製造+輸入量(電子機器関連及び輸送関連
1,740 ton/年)の全てを難燃プラスチック製造加工品と仮定して乗じ, 年間排出量(1,030 mg-
TEQ/年)として推計した。
2) 発泡ポリスチレン製造施設
2008年度に調査した発泡ポリスチレンを製造している 1施設について, 冷却槽出口排ガス,
総合排出口排ガス 2データ(0.0064, 0.0038 ng-TEQ/m3
N)を用いて, 年間排出量(0.911 mg-
TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量を推定生産能力(15,000 ton/年)で除することで発泡ポリ
スチレン製造 1ton当たりの排出量原単位(60.7 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2007年度押出
発泡ポリスチレン国内出荷量(65,000 ton/年)57)を乗じて年間排出量(3.95 mg-TEQ/年)を推計し
た。
(4) 難燃繊維加工施設
2013年度に調査したBFRs(DeBDE)等を使用して難燃繊維加工を行っている 3施設について,
排ガス3データ(0.0033~0.0071 ng-TEQ/m3N)を用いて, 施設の年間排出量(0.173 mg-TEQ/年)
を算出した。また, 年間排出量を難燃繊維加工に使用した DeBDE量(67 ton)で除することで,
DeBDE 1 ton当たりの排出量原単位(2,580 ng-TEQ/ton)を算出した。これに, 2012年度の
DeBDEの需要量(990 ton/年)58)の内, 繊維関連が約 30 %53)(297 ton/年)であることから, 排出
77
量原単位に DeBDE の国内製造+輸入量(繊維関連 297 ton/年)を乗じて年間排出量(0.766 mg
-TEQ/年)を推計した。
(5) 家電リサイクル施設
2011年度に調査した家電リサイクル法に基づくリサイクル施設でテレビの解体, 破砕等を行っ
ている 8施設について, 排ガス 14データ(0.0010~0.029 ng-TEQ/m3
N)を用いて, 年間排出量
(0.483 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量を 2010年度の調査施設のテレビの処理量
(185,000 ton/年)で除することで, 1 ton当たりの排出量原単位(2.61 ng-TEQ/ton)を算出した。こ
れに, 2010年度全国のリサイクル施設におけるテレビのリサイクル量(435,000 ton/年)45)を乗じ
て年間排出量(1.14 mg-TEQ/年)を推計した。
(6) アルミニウム第二次精錬・精製施設
2009年度に調査したアルミニウム二次合金地金製造を行っている 3施設について, 集塵機出
口排ガス 3データ(0.0021~0.0072 ng-TEQ/m3
N)を用いて, 年間排出量(10.7 mg-TEQ/年)を算
出した。また, 年間排出量を年間生産量(130,000 ton/年)で除することで, 製品 1 ton当たりの排
出量原単位(82.4 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2009年度全国生産量(678,000 ton/年)59)を乗
じて年間排出量(55.9 mg-TEQ/年)を推計した。
(7) セメント製造施設
2010年度に調査したセメント製造を行っている 2施設について, バグフィルター出口及び電気
集塵機出口排ガス 2データ(0.0029, 0.0027 ng-TEQ/m3
N)を用いて, 年間排出量(17.3 mg- TEQ/
年)を算出した。また, 年間排出量を年間生産量(1,700,000 ton/年)で除することで, 製品1ton当
たりの排出量原単位(10.2 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2010年度全国生産量 60)(50,100,000
ton/年)を乗じて年間排出量(510 mg-TEQ/年)を推計した。
(8) 廃棄物焼却施設
1) 一般廃棄物焼却施設
2012年度に調査した一般廃棄物の焼却を行っている 2施設について, 排ガス 2データ
(0.00056, 0.00057 ng-TEQ/m3N)を用いて, 年間排出量(1.12 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年
間排出量を年間焼却量(219,000 ton/年)で除することで, 焼却物 1 ton当たりの排出量原単位
(5.12 ng-TEQ/ton)を算出した。これに2010年度全国の一般廃棄物焼却量(34,900,000 ton/年)61)
を乗じて年間排出量(179 mg-TEQ/年)を推計した。
2) 産業廃棄物焼却施設
2012年度に調査した産業廃棄物の焼却を行っている 4施設について, 排ガス 4データ
(0.00054~0.0024 ng-TEQ/m3N)を用いて, 年間排出量(1.95 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年
間排出量を年間焼却量(260,000 ton/年)で除することで, 焼却物 1 ton当たりの排出量原単位
(7.49 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2010年度全国の産業廃棄物焼却量(22,200,000 ton/年)62)を乗じて年間排出量(166 mg-TEQ/年)を推計した。
(9) 下水道終末処理施設
2014年度に調査した下水道終末処理を行っている 2施設の汚泥の焼却炉について, 焼却炉
排ガス 2データ(0.0043, 0.00098 ng-TEQ/m3N)を用いて, 年間排出量(0.518 mg-TEQ/年)を算出
した。また, 年間排出量を年間汚泥量(126,000 ton/年)で除することで, 汚泥焼却炉 1 ton当たり
の排出量原単位(4.12 ng-TEQ/ton)を算出した。これに 2012年度全国下水汚泥量(4,800,000
ton/年)63)を乗じて年間排出量(19.7 mg-TEQ/年)を推計した。
78
【水への排出】
PBDD/Fs年間排出量の試算より水への年間排出量を表 4.5に示す。
表 4.5 PBDD/Fsの水への年間排出量※1
施設等 水(mg/年) 水(mg-TEQ/年)※2
難燃剤製造・取扱
施設 TBBPA※3 - -
TBBPAポリカーボネートオリゴマー※4 - -
DeBDE※3 36,300 588
難燃樹脂製造施設 TBBPAエポキシ樹脂※5 - 6.69
TrBPhs 末端処理 TBBPA型エポキシ樹脂 58.1 7.06
難燃プラスチック製
造加工施設 DeBDE 使用 2,860 44.5
発泡ポリスチレン※4 - 0.234
難燃繊維加工施設 231,000 1,370
家電リサイクル施設 546 2.17
アルミニウム二次精錬・精製施設 159 1.10
セメント製造施設 795 29.4
廃棄物焼却施設 一般廃棄物焼却施設 10.2 0.948
産業廃棄物焼却施設 220 4.32
下水道終末処理施設 211,000 1,110
※1:2003 年~2015年度調査データより試算。
※2:TEQは, 検出下限未満を検出下限の 1/2 として算出したデータ。
※3:同一施設 ※4:情報量不足のため推計不可 ※5:実測値 ND
(1) 難燃剤製造・取扱施設
2006年度に調査した DeBDE を取り扱っている 2施設について, 施設からの総合排水 2デー
タ(5.6, 31 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(428 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量を
DeBDE推定取扱量(1,420 ton/年)で除することで DeBDE製造施設 1 ton当たりの排出量原単
位(0.301 μg-TEQ/ton)を算出した。これに 2006年度の国内製造+輸入量(2,000 ton/年)56)を乗じ
て年間排出量(588 mg-TEQ/年)を推計した。
(2) 難燃樹脂製造施設
1) TBBPAエポキシ製造施設
2008年度に調査した難燃樹脂製造(TBBPAエポキシ樹脂)を製造している 1施設について,
総合排水 1データ(0.77 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(1.27 mg-TEQ/年)を算出した。また,
年間排出量を TBBPA 使用量(5,700 ton/年)で除することで TBBPA製造 1 ton当たりの排出量
原単位(0.223 μg-TEQ/ton)を算出した。これに 2007年度の国内需要量※)(30,000 ton/年)を乗じ
て年間排出量(6.69 mg-TEQ/年)を推計した。
※施設ヒヤリング情報より
79
2) TrBPhs末端処理 TBBPA 型エポキシ樹脂製造施設
2005年度に調査した TrBPhsを取扱い TBBPAエポキシ樹脂を製造している 2施設について,
施設からの総合排水 2データ(1.7, 1.7 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(2.80 mg-TEQ/年)を算
出した。また, 年間排出量を TrBPhs使用量(1,650 ton/年)で除することで TBBPAエポキシ樹脂
製品 1 ton当たりの排出量原単位(1.70 μg-TEQ/ton)を算出した。これに 2005年度のTrBhs国内
需要量(4,150 ton/年)55)を乗じて年間排出量(7.05 mg-TEQ/年)を推計した。
(3) 難燃プラスチック製造加工施設
1) DeBDE 使用施設
2004年度に調査した DeBDE を使用して製品類を成形加工している 6施設について, 施設か
らの総合排水 6データ(3.9~17 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(5.74 mg-TEQ/年)を算出した。
また, 年間排出量に製品加工に必要な DeBDE量(224 ton/年)を除することで, DeBDE使用 1
ton当たりの排出量原単位(25.7 μg-TEQ/ton)を算出した。これに, 2004年度DeBDEの国内需要
量(2,500 ton/年)54)の内, 電子機器関連が約 60%, 輸送関連と建築関連 10%(合計 1,740 ton/
年)であることから, 電子機器関連及び輸送関連と建築関連全てを難燃プラスチック製造加工品
と仮定して, DeBDE (1,740 ton/年)を乗じて年間排出量(44.5mg-TEQ/年)を推計した。
2) 発泡ポリスチレン製造施設
2008年度に調査した発泡ポリスチレンを製造している 1施設について, 総合排水 1データ
(0.77 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(0.0739 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量を
推定生産能力(15,000 ton/年)で除することで発泡ポリスチレン製造 1ton当たりの排出量原単位
(0.00360 μg-TEQ/ton)を算出した。これに 2007年度押出発泡ポリスチレン国内出荷量 57)
(65,000 ton/年)を乗じて年間排出量(0.234 mg-TEQ/年)を推計した。
(4) 難燃繊維加工施設
2013年度に調査した 3施設及び 2015年度に調査された 2施設について, 施設からの総合排
水 5データ(0.50~2,500 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(786 mg-TEQ/年)を算出した。また,
年間排出量を施設のDeBDE使用量(138 ton/年)で除することでDeBDE1 ton当たりの排出量原
単位(5,700 μg-TEQ/ton)を算出した。これに, DeBDEの 2014年度需要量 64) (800 ton/年)の内,
繊維用 DeBDE 量(240 ton/年)を乗じて年間排出量(1,370 mg-TEQ/年)を推計した。
(5) 家電リサイクル施設
2011年度に調査した家電リサイクル法に基づくリサイクル施設でテレビ等の破砕を行っている
3施設について, 施設からの排水 3データ(0.096~230 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(0.275
mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量をテレビの処理量(55,600 ton/年)で除することで,
家電品の破砕量 1 ton当たりの排出量原単位(0.00495 μg-TEQ/ton)を算出した。これに, 2010年
度全国家電リサイクル施設のテレビの処理量 45)(435,000 ton/年)を乗じて年間排出量(2.17 mg
-TEQ/年)を推計した。
(6) アルミニウム第二次精錬・精製施設
2009年度に調査したアルミニウム二次合金地金製造を行っている 3施設について, 施設から
の総合排水 3データ(0.45~1.5 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(0.211 mg-TEQ/年)を算出し
た。また, 年間排出量を年間生産量(130,000 ton/年)で除することで, 製品 1 ton当たりの排出量
原単位(0.00162 μg-TEQ/ton)を算出した。これに 2009年度全国生産量 59)(678,000 ton/年)を乗
じて年間排出量(1.10 mg-TEQ/年)を推計した。
80
(7) セメント製造施設
2010年度に調査したセメント製造を行っている 2施設について, 施設からの総合排水 3データ
(0.45~0.92 pg-TEQ/L)を用いて, 年間排出量(0.998 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出
量を年間生産量(1,700,000 ton/年)で除することで, 製品 1 ton当たりの排出量原単位(0.000586
μg-TEQ/ton)を算出した。これに 2010年度全国生産量 60)(50,100,000 ton/年)を乗じて年間排出
量(29.4 mg-TEQ/年)を推計した。
(8) 廃棄物焼却施設
1) 一般廃棄物焼却施設
2012年度に調査した一般廃棄物焼却施設の総合排水 1データ(0.13 pg-TEQ/L)を用いて, 年
間排出量を(0.0218 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量を年間処理水量(125,000 ton/年)
で除することで, 放流水量 1 t当たりの排出量原単位(0.000174 μg-TEQ/ton)を算出した。これに
2010年度全国一般廃棄物焼却施設の焼却量(放流水のある施設)焼却量 65)(5,450,000 ton/年)
を乗じて年間排出量(0.948 mg-TEQ/年)を推計した。
2) 産業廃棄物焼却施設
2012年度に調査した産業廃棄物焼却施設の総合排水 2データ(0.27, 0.14 pg-TEQ/L)を用い
て, 年間排出量を(0.0473 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量を年間処理水量(66,400
ton/年)で除することで, 放流水量 1 t当たりの排出量原単位(0.000712 μg-TEQ/ton)を算出した。
これに 2010年度全国産業廃棄物焼却施設(排水処理設備のある施設)の焼却量 65)(6,070,000
ton/年)を乗じて年間排出量(4.32 mg-TEQ/年)を推計した。
(9) 下水道終末処理施設
2014年度に調査した 6施設について, 放流水 6データ(0.028~3.3 pg-TEQ/L)を用いて, 年間
排出量(73.2 mg-TEQ/年)を算出した。また, 年間排出量を年間放流水量(951,000,000 ton/年)
で除することで, 放流水量 1 t当たりの排出量原単位(0.0000770 μg-TEQ/ton)を算出した。これ
に 2010年度全国の下水より公共用水域に排出される放流水量 63)(14,500,000,000 ton/年)を乗
じて年間排出量(1,110 mg-TEQ/年)を推計した。
図 4.40に PBDD/FsPBDD/Fsの排出・移動イメージを示す。
81
暫定インベントリー調査対象施設
・2010:セメント製造施設⑪
・2004,2014:
下水道終末処理施設⑭
・2012:一般廃棄物焼却施設⑫産業廃棄物焼却施設⑬
・2009:アルミニウム二次精錬・精製施設⑩
・2002:【PS,ABS,エポキシ樹脂】③・2008:【TBBPAエポキシ樹脂】④
【TBBPA】・2005:【TBBPAエポキシ樹脂】⑤
【TBBPA, TrBPhs】
廃棄
難燃剤輸入
・2003: 【TBBPA】①【TBBPAポリカーボネートオリゴマー】
・2006: 【DeBDE】②
難燃剤製造
難燃剤取扱
難燃樹脂製造関連 難燃繊維製造 輸送関連 建築関連
難燃樹脂製造
製品
製品使用 製品使用
製品
使用済製品 使用済製品
・2003,2005,2006,2007,2013,2015,2017【HBCDs・DeBDE】⑧
難燃繊維加工
・2004:【DeBDE使用※】⑥・2008: 【発泡ポリスチレン】⑦
【HBCDs】
難燃プラスチック製造加工
自動車リサイクル その他リサイクル
焼却 その他埋立
・2002:家電リサイクル施設⑨・2011:家電リサイクル施設⑨
家電リサイクル
・調査年度【製造又は使用難燃剤】
製品 製品
製品使用 製品使用
使用済製品使用済製品
内装加工
その他
ハウスダスト
火災
容器包装リサイクル
ASR一般ゴミ等
各種製品
各種製品
リサイクル(サーマル・マテリアル)
図 4.40 PBDD/Fsの排出・移動イメージ
82
4.3.3 塩素化ダイオキシン類の年間排出量との比較
塩素化ダイオキシン類との年間排出量の比較を表 4.6に示す。大気への排出量は, 塩素化
ダイオキシン類に比べ, PBDD/Fsは, 約 1/60程度であるが, 水への排出量は, 約 4倍と水へ
の排出量が多い。ただし, 塩素化ダイオキシン類については, 毎年ダイオキシン類の排出量
の目録が更新されており, 調査施設データも多くあるが, PBDD/Fsについては, 限れた調査
データであり, 暫定的な排出量である。
表 4.6 年間排出量の比較
臭素化ダイオキシン類※1, 2 g-TEQ/年 塩素化ダイオキシン類※3, 4
g-TEQ/年
年間排出量 5.14 118-120
大気への排出源
※排出量の多い
施設
難燃プラスチック
製造加工施設 1.03
製鋼用電気炉
25.2
セメント製造施設 0.51 一般廃棄物焼却施設
24
一般廃棄物焼却施設 0.18 産業廃棄物焼却施設 19
産業廃棄物焼却施設 0.17 小型廃棄物焼却施設
(法規制対象) 12
アルミニウム第二次精練・
精製施設 0.056 鉄鋼業焼結工程 7.1
下水道終末処理施設 0.020 小型廃棄物焼却施設
(法規制対象外) 9.5
- - アルミニウム第二次精練・
精製施設 6.66
大気への排出 1.97 118-120
水への排出源
※排出量の多い
施設
難燃繊維加工施設 1.37 産業廃棄物焼却施設 0.32
下水道終末処理施設 1.11 下水道終末処理施設 0.20
難燃剤製造・取扱施設
[DeBDE] 0.59 塩ビモノマー製造施設 0.12
難燃プラスチック
製造加工施設 0.045 パルプ製造漂白施設 0.09
セメント製造施設 0.029 共同排水処理施設 0.057
難燃剤製造・取扱施設
[TrBPhs 末端処理 TBBPA 型
エポキシ樹脂]
0.0071 アルミニウム合金製造 0.008
水への排出 3.17 0.8
備考 ※1:2003 年~2015 年度調査データより試算。
※2:検出下限未満を「1/2」として算出したデータ。
※3:ダイオキシン類の排出量の目録(2017 年 3 月 環境
省)2015 年結果
※4:塩素化ダイオキシン類(PCDD/Fs+DL-PCBs)
83
大気への排出は, DeBDEを使用した難燃プラスチックの製造加工が最も多く, PBDD/Fs特有
の発生源であるが, 廃棄物を利用, 処理を行っているセメント製造施設, 廃棄物焼却施設, アル
ミニウム第二次精練・精製施設については, 塩素化ダイオキシン類と同様に排出量が多い業種
であった。
水への排出は, 大気と同様にDeBDEを使用した業種の1つである難燃繊維加工施設の排出
量が多く, 下水道終末処理施設については, 難燃繊維加工施設からの排水が流入した施設で
高値に検出された例があることと, 低濃度であっても全国の活動量が多いことから, 一定の排出
量となっている。
5. 臭素系ダイオキシン類の排出実態の特徴と今後の課題
5.1. 臭素系ダイオキシン類の排出実態の特徴
2002年度から環境省が実施してきた臭素系ダイオキシン類排出実態調査において, 主に
BFRsのライフサイクルを念頭において, PBDD/Fsの暫定排出インベントリーの推計を試みた。
その中で, 得られた知見は以下の通りである。
・ PBDD/Fsの年間排出量(g-TEQ/年)は, 塩素化ダイオキシン類(2015年度)の約1/25である
と推計された。
・ PBDD/Fsの年間排出量(g-TEQ/年)の内訳は, 大気への排出が 38 %程度, 水への排出が
62 %程度であるのに対して, 塩素化ダイオキシン類の年間排出量の内訳は, 大気への排出
が 99 %程度, 水への排出が 1 %程度であった。
・ PBDD/Fsの重要な排出源となっている施設は, 難燃プラスチック製造加工施設, 難燃繊維
加工施設, 下水道終末処理施設であった。
・ 難燃繊維加工施設については, PBDD/Fsの水への排出が高濃度で検出されており, 2003
年から 2015年にかけて計 6回調査を実施しているが, 継続して塩素化ダイオキシン類の排出
基準を上回る濃度で PBDD/Fsが検出されている。難燃繊維加工施設における染色工程は染
色仕上げ処理が排水量の大部分を占めており、また、未吸着の染料や各種薬剤等を大量に
含む着色排水であるため、より高度な排水処理を必要としている。2017年調査では, 各排水
処理工程におけるPBDD/Fs削減効果を確認した結果, 排水処理方法によりPBDD/Fsの低減
が十分可能であることが確認されている。一方、排水処理による PBDD/Fs の吸着が考えられ
る汚泥については、乾燥前より乾燥後の方が高濃度になっていた。乾燥後の汚泥については、
セメント工場(リサイクル原料)にて高温で処理されているが、熱分解時の副生成等について
は、確認が必要であると考えられる。
・ 2002年度の家電リサイクル施設については, 建屋内空気で PBDD/Fsの高濃度検出事例
がみられ, 塩素化ダイオキシン類の作業環境基準を上回る濃度で PBDD/Fsが検出されてい
る例があったが, 2011年度の調査では, 家電品に蓄積されたダストを手解体前に集塵等を行
う設備の導入や作業工程により改善傾向も確認されている。
調査の結果, BFRs を取扱う一部の難燃繊維加工施設や BFRs含有製品のリサイクル工場か
ら, 塩素化ダイオキシン類の排出基準に相当する値を大幅に超過する PBDD/Fs の排出が確認
された。今後は、ストックホルム条約などの規制により PBDD/Fsの発生源と考えられている
DeBDE等の臭素系難燃物質の使用は少なくなるが, 過去に使用された製品等の廃棄やリサイ
クル時及び代替品として使用されている DBDPEなどの臭素系難燃物質の使用による PBDD/Fs
の発生などは, 注視していくことが必要と考えられる。
また, これまでの調査から PBDD/Fsの発生源や排出動態は, PCDD/Fs とは異なっており, 特
に水系への排出が相対的に多い傾向が認められている。一方, 臭素系ダイオキシン類の排出
84
動態に関する情報は未だ限定的であることから, 今後も調査を継続し, 各種発生源からの排出
インベントリーの詳細や今後の制御対策に資する知見収集及び効果的な制御技術の検討も推
進する必要がある。
5.2 今後の課題
排出インベントリーの推計における主な課題は, 測定濃度や活動量の代表性がある。測定濃
度の代表性を保つため, 各調査年度に同一業種内での複数の調査を行っているが, 当然のこ
とながら施設により測定濃度に差がある。特に測定データが少ない場合, 推計精度が低く, 今
後更にデータ集積が必要である。国内活動量が大きく, 全体の排出量に大きく影響する場合に
は, 試料量の増加や測定方法の高感度化により検出下限値を低くする必要がある。また, 生産
量などの情報が推定である場合があり, より正確な情報が必要である。
PBDD/Fsの暫定排出インベントリーについては, データも少なく, 推計における仮定の要素も
大きいことから暫定的な試算であり, 今後更なるデータの蓄積及び情報収集を行う必要がある
が, 暫定排出インベントリーによって, 国内における PBDD/Fsの排出実態の一端が明らかにさ
れ, 現状の PBDD/Fsの重要な排出源が特定されつつある。一方, POPs条約でHBCDs(2012年
10月追加)やDeBDE(2017年追加)の使用や製造が抑制される方向にあるため, 臭素系ダイオ
キシン類の主要排出源が変化することも考えられる。従って, 臭素系ダイオキシン類の排出実
態調査を継続して, PBDD/Fsの暫定排出インベントリーの整備を進め, 排出実態の変化を注視
していくことが重要と考えられる。特に, これまでの調査を通じて明らかにされた排出負荷の大き
な水系排出源については, 塩素化ダイオキシン類の規制値を上回る例が多くみられており, 規
制措置の必要性の検討が重要な課題である。また, 発生源となり得る BFRs のライフサイクルに
おける臭素系ダイオキシン類の排出実態調査は, 継続して重要度の高い課題と考えられる。
今後の施設調査においては, 施設内における臭素系ダイオキシン類の挙動や消長を調査す
ることで, 排出削減に向けた対策技術の把握を目指す必要がある。本調査の中においても, 難
燃繊維加工施設における排水処理による削減や家電リサイクル施設における粒子状物質制御
による削減事例など, 対策技術に繋がる知見も得られているが, 本格的な対策技術の検討も進
められねばならない。
85
引用文献
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21) 平成 14年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省環境管理局 総務
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22) 平成 15年度 臭素系ダイオキシン等排出実態調査結果報告書(環境省環境管理局 総務課
ダイオキシン対策室)(2003)
86
23) 平成 16年度 臭素系ダイオキシン等排出実態調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総務
課ダイオキシン対策室)(2004)
24) 平成 17年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2005)
25) 平成 18年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2006)
26) 平成 19年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2007)
27) 平成 20年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2008)
28) 平成 21年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2009)
29) 平成 22年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2010)
30) 平成 23年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2011)
31) 平成 24年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2012)
32) 平成 25年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2013)
33) 平成 26年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2014)
34) 平成 27年度 臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書(環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン対策室)(2015)
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年 3月 環境省水・大気環境局総務課ダイオキシン対策室)
36) 排ガス中のダイオキシン類測定方法(JIS K 0311: 2008)
37) 工業用水・工場排水中のダイオキシン類の測定方法(JIS K 0312: 2008)
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働省 基発 0110第 1号)
39) ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル(平成 20年 4月 環境省水・大気環境局 総
務課ダイオキシン類対策室 大気環境課)
40) 大気降下物中のダイオキシン類測定分析指針(平成 10年 8月 環境庁)
41) ダイオキシン類に係る底質調査測定マニュアル(平成 21年 3月 環境省水・大気環境局 水
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42) 産業廃棄物のサンプリング方法(JIS K 0060: 1992)
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48) ダイオキシン類の蓄積・暴露状況及び臭素系ダイオキシン類の調査結果について(平成 17年
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49) ダイオキシン類の蓄積・暴露状況及び臭素系ダイオキシン類の調査結果について(平成 18年
3月)(2006)
50) ダイオキシン類の蓄積・ばく露状況及び臭素系ダイオキシン類の調査結果について(平成 19
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の調査結果について(平成 20年 6月)(2008)
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54) 経済産業省告示第 288号化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年
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法律第百十七号)第二十三条第二項の規定に基づき, 同条第一項の届出に係る平成十八年度
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88
参考資料
臭素系ダイオキシン類の排出源の収集・整理調査検討会 委員名簿
(五十音順, 敬称略)
氏 名 所 属
太田 壮一
梶原 夏子
(座長)
酒井 伸一
鈴木 剛
鈴木 茂
高橋 真
田辺 信介
遠山 千春
益永 茂樹
摂南大学薬学部疾病予防学研究室 教授
国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター基盤
技術・物質管理研究室 主任研究員
京都大学環境安全保健機構附属環境科学センター長
国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター基盤
技術・物質管理研究室 主任研究員
中部大学応用生物学 環境生物科学科 教授
愛媛大学大学院農学研究科 教授
愛媛大学沿岸環境科学研究センター長
筑波大学医学医療系 客員教授
横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授
(所属は平成 30年 3月現在)
89
1. PBDD/Fs 及び BFRs(PBDEs, TBBPA, HBCDs, PBPhs, DBDPE) の主な CAS登録番号
表 1 主な PBDDsの CAS登録番号
PBDDs CAS 登録番号 PBDDs CAS 登録番号
MoBDDs 103456-34-4 PeBDDs 103456-36-6
1-MoBDD 105908-71-2 1,2,3,4,6-PeBDD 284050-09-5
2-MoBDD 105906-36-3 1,2,3,4,7-PeBDD 284050-05-1
DiBDDs 103456-37-7 1,2,3,6,7-PeBDD 284050-10-8
1,3-DiBDD 132602-68-7 1,2,3,6,8-PeBDD 284050-03-9
1,6-DiBDD 91371-14-1 1,2,3,6,9-PeBDD 284050-06-2
2,3-DiBDD 50585-37-0 1,2,3,7,8-PeBDD 109333-34-8
2,7-DiBDD 39073-07-9 1,2,3,7,9-PeBDD 143106-17-6
2,8-DiBDD 105836-96-2 1,2,3,8,9-PeBDD 136471-65-3
TrBDDs 103456-38-8 1,2,4,6,7-PeBDD 284050-07-3
1,2,3-TrBDD 103456-38-8 1,2,4,6,8-PeBDD 136471-59-5
1,3,8-TrBDD 80246-33-9 1,2,4,6,9-PeBDD 284050-04-0
TeBDDs 103456-39-9 1,2,4,7,8-PeBDD 109333-35-9
1,2,3,4-TeBDD 104549-41-9 1,2,4,7,9-PeBDD 136471-62-0
1,2,3,6-TeBDD 284049-99-6 1,2,4,8,9-PeBDD 284050-08-4
1,2,3,7-TeBDD 284049-97-4 HxBDDs 103456-42-4
1,2,3,8-TeBDD 284049-98-5 1,2,3,4,6,7-HxBDD 136471-66-4
1,2,3,9-TeBDD 284050-01-7 1,2,3,4,6,8-HxBDD 116490-11-0
1,2,4,6-TeBDD 284049-95-2 1,2,3,4,6,9-HxBDD 284050-13-1
1,2,4,7-TeBDD 284049-91-8 1,2,3,4,7,8-HxBDD 110999-44-5
1,2,4,8-TeBDD 284049-92-9 1,2,3,6,7,8-HxBDD 110999-45-6
1,2,4,9-TeBDD 284049-96-3 1,2,3,6,7,9-HxBDD 156300-42-4
1,2,6,7-TeBDD 284050-02-8 1,2,3,6,8,9-HxBDD 156300-45-7
1,2,6,8-TeBDD 284049-93-0 1,2,3,7,8,9-HxBDD 110999-46-7
1,2,6,9-TeBDD 136471-34-6 1,2,4,6,7,9-HxBDD 136471-60-8
1,2,7,8-TeBDD 110999-48-9 1,2,4,6,8,9-HxBDD 156300-44-6
1,2,7,9-TeBDD 146091-34-1 HpBDDs 103456-43-5
1,2,8,9-TeBDD 136471-64-2 1,2,3,4,6,7,8-HpBDD 110999-47-8
1,3,6,8-TeBDD 76584-71-9 1,2,3,4,6,7,9-HpBDD 136471-61-9
1,3,6,9-TeBDD 113203-20-6 OBDD 2170-45-8
1,3,7,8-TeBDD 109333-31-5
1,3,7,9-TeBDD 109333-30-4
1,4,6,9-TeBDD 284050-00-6
1,4,7,8-TeBDD 284049-94-1
2,3,7,8-TeBDD 50585-41-6
90
表 2 主な PBDFsの CAS登録番号
PBDFs CAS 登録番号 PBDFs CAS 登録番号 PBDFs CAS 登録番号
MoBDFs 103456-35-5 TeBDFs 106340-44-7 PeBDFs 68795-14-2
1-MoBDF 50548-45-3 1,2,3,4-TeBDF 617707-58-1 1,2,3,4,6-PeBDF 617707-93-4
2-MoBDF 86-76-0 1,2,3,6-TeBDF 617707-59-2 1,2,3,4,7-PeBDF 617707-94-5
3-MoBDF 26608-06-0 1,2,3,7-TeBDF 617707-60-5 1,2,3,4,8-PeBDF 617707-95-6
4-MoBDF 89827-45-2 1,2,3,8-TeBDF 617707-61-6 1,2,3,4,9-PeBDF 617707-96-7
DiBDFs 103456-40-2 1,2,3,9-TeBDF 617707-62-7 1,2,3,6,7-PeBDF 617707-97-8
1,2-DiBDF 103456-40-2 1,2,4,6-TeBDF 617707-63-8 1,2,3,6,8-PeBDF 617707-98-9
1,3-DiBDF 617707-24-1 1,2,4,7-TeBDF 617707-64-9 1,2,3,6,9-PeBDF 617707-99-0
1,4-DiBDF 617707-25-2 1,2,4,8-TeBDF 617707-65-0 1,2,3,7,8-PeBDF 107555-93-1
1,6-DiBDF 617707-26-3 1,2,4,9-TeBDF 617707-66-1 1,2,3,8,9-PeBDF 617708-01-7
1,7-DiBDF 617707-27-4 1,2,6,7-TeBDF 617707-67-2 1,2,4,6,7-PeBDF 617708-02-8
1,8-DiBDF 617707-28-5 1,2,6,8-TeBDF 617707-68-3 1,2,4,6,8-PeBDF 617708-03-9
1,9-DiBDF 617707-29-6 1,2,6,9-TeBDF 617707-69-4 1,2,4,6,9-PeBDF 617708-04-0
2,3-DiBDF 617707-30-9 1,2,7,8-TeBDF 84761-80-8 1,2,4,7,8-PeBDF 617708-05-1
2,4-DiBDF 133953-36-3 1,2,7,9-TeBDF 617707-70-7 1,2,4,7,9-PeBDF 617708-06-2
2,6-DiBDF 617707-31-0 1,2,8,9-TeBDF 617707-71-8 1,2,4,8,9-PeBDF 617708-07-3
2,7-DiBDF 65489-80-7 1,3,4,6-TeBDF 617707-72-9 1,3,4,6,7-PeBDF 617708-10-8
2,8-DiBDF 10016-52-1 1,3,4,7-TeBDF 617707-73-0 1,3,4,6,8-PeBDF 617708-11-9
3,4-DiBDF 617707-32-1 1,3,4,8-TeBDF 617707-74-1 1,3,4,6,9-PeBDF 617708-12-0
3,6-DiBDF 617707-33-2 1,3,4,9-TeBDF 617707-75-2 1,3,4,7,8-PeBDF 617708-13-1
3,7-DiBDF 67019-91-4 1,3,6,7-TeBDF 617707-76-3 1,3,4,7,9-PeBDF 617708-14-2
4,6-DiBDF 201138-91-2 1,3,6,8-TeBDF 617707-77-4 1,3,4,8,9-PeBDF 617708-09-5
TrBDFs 103456-41-3 1,3,6,9-TeBDF 617707-78-5 2,3,4,6,7-PeBDF 124388-77-8
1,2,3-TrBDF 617707-34-3 1,3,7,8-TeBDF 617707-79-6 2,3,4,6,8-PeBDF 617708-17-5
1,2,4-TrBDF 617707-35-4 1,3,7,9-TeBDF 617707-80-9 2,3,4,6,9-PeBDF 617708-16-4
1,2,6-TrBDF 617707-36-5 1,4,6,7-TeBDF 617707-81-0 2,3,4,7,8-PeBDF 131166-92-2
1,2,7-TrBDF 617707-37-6 1,4,6,8-TeBDF 617707-82-1 2,3,4,7,9-PeBDF 617708-15-3
1,2,8-TrBDF 84761-81-9 1,4,6,9-TeBDF 617707-83-2 2,3,4,8,9-PeBDF 617708-08-4
1,2,9-TrBDF 617707-38-7 1,4,7,8-TeBDF 617708-57-3 HxBDFs 103456-33-3
1,3,4-TrBDF 617707-39-8 2,3,4,6-TeBDF 131166-91-1 1,2,3,4,6,7-HxBDF 124388-78-9
1,3,6-TrBDF 617707-40-1 2,3,4,7-TeBDF 617707-86-5 1,2,3,4,6,8-HxBDF 617708-18-6
1,3,7-TrBDF 617707-41-2 2,3,4,8-TeBDF 617707-87-6 1,2,3,4,6,9-HxBDF 617708-19-7
1,3,8-TrBDF 142408-19-3 2,3,4,9-TeBDF 617707-85-4 1,2,3,4,7,8-HxBDF 129880-08-6
1,3,9-TrBDF 617707-42-3 2,3,6,7-TeBDF 617707-88-7 1,2,3,4,7,9-HxBDF 617708-20-0
1,4,6-TrBDF 617707-43-4 2,3,6,8-TeBDF 617707-89-8 1,2,3,4,8,9-HxBDF 617708-21-1
1,4,7-TrBDF 617707-44-5 2,3,7,8-TeBDF 67733-57-7 1,2,3,6,7,8-HxBDF 107555-94-2
1,4,8-TrBDF 617707-45-6 2,4,6,7-TeBDF 617707-90-1 1,2,3,6,7,9-HxBDF 617708-22-2
1,4,9-TrBDF 617707-46-7 2,4,6,8-TeBDF 617707-91-2 1,2,3,6,8,9-HxBDF 617708-23-3
1,6,7-TrBDF 617707-47-8 3,4,6,7-TeBDF 617707-92-3 1,2,3,7,8,9-HxBDF 161880-49-5
1,6,8-TrBDF 617707-48-9 1,2,4,6,7,8-HxBDF 617708-24-4
1,7,8-TrBDF 617707-49-0 1,2,4,6,7,9-HxBDF 617708-25-5
2,3,6-TrBDF 617707-51-4 1,2,4,6,8,9-HxBDF 617708-26-6
2,3,7-TrBDF 131166-84-2 1,3,4,6,7,8-HxBDF 617708-27-7
2,3,8-TrBDF 84761-82-0 1,3,4,6,7,9-HxBDF 617708-28-8
2,4,6-TrBDF 617707-52-5 2,3,4,6,7,8-HxBDF 161880-50-8
2,4,7-TrBDF 617707-53-6 HpBDFs 62994-32-5
2,3,6-TrBDF 617707-51-4 1,2,3,4,6,7,8-HpBDF 107555-95-3
2,4,8-TrBDF 617707-54-7 1,2,3,4,6,7,9-HpBDF 617708-29-9
2,6,7-TrBDF 617707-55-8 1,2,3,4,6,8,9-HpBDF 617708-30-2
3,4,6-TrBDF 617707-56-9 1,2,3,4,7,8,9-HpBDF 161880-51-9
3,4,7-TrBDF 617707-57-0 OBDF 103582-29-2
91
表 3 主な PBDEsの CAS登録番号
化合物名(#:IUPAC No.) CAS 登録番号
2-MoBDE(#1) 7025-06-1
4-MoBDE(#3) 101-55-3
4,4'-DiBDE(#15) 2050-47-7
2,4,4'-TrBDE(#28) 41318-75-6
2,2′,4,4′-TeBDE(#47) 5436-43-1
2,2′,4,4′,5-PeBDE(#99) 60348-60-9
2,2',4,4',6-PeBDE(#100) 189084-64-8
2,2',4,4',5,5'-HxBDE(#153) 68631-49-2
2,2',4,4',5,6'-HxBDE(#154) 207122-15-4
2,2',3,4,4',5',6-HpBDE(#183) 207122-16-5
DeBDE(#209) 1163-19-5
表 4 主な TBBPAの CAS登録番号
化合物名 CAS 登録番号
TBBPA 79-94-7
表 5主な HBCDsの CAS登録番号
化合物名 CAS 登録番号
HBCDs 25637-99-4
α-HBCD 134237-50-6
β-HBCD 134237-51-7
γ-HBCD 134237-52-8
表 6 主な PBPhsの CAS登録番号
化合物名 CAS 登録番号
2-MoBPh 95-56-7
3-MoBPh 591-20-8
4-MoBPh 106-41-2
2,3-DiBPh 57383-80-9, 28514-45-6
2,4-DiBPh 615-58-7
2,5-DiBPh 28165-52-8
2,6-DiBPh 608-33-3
3,4-DiBPh 615-56-5
3,5-DiBPh 626-41-5
2,3,6-TrBPh 28165-57-3
2,4,5-TrBPh 14401-61-7
2,4,6-TrBPh 118-79-6
2,3,4,6-TeBPh 14400-94-3
PeBPh 608-71-9
表 7 DBDPEの CAS 登録番号
化合物名 CAS 登録番号
DBDPE 84852-53-9
92
2. 臭素系ダイオキシン類排出実態調査概要一覧
(1) 発生源
表 8 臭素系ダイオキシン類排出実態調査概要一覧(発生源) 調査
年
調査
施設
調査対象施設 使用・関連
物質等
試料数(測定点等)
排出ガス 排出水 建屋内空気
2002 P-1 難燃樹脂製造 ポリスチレン樹脂
製造
2(押出機出口, 総
合排出口)
3(冷却槽出口, 真空ポンプ
出口, 総合排水出口)
P-2 難燃樹脂製造 ポリスチレン樹脂
製造 2(押出機出口, 総
合排出口)
3(冷却槽出口, 冷却塔出
口, ブランク水)
P-3 難燃樹脂製造 ポリスチレン樹脂
製造 2(押出機出口, 総
合排出口)
5(冷却槽出口, 真空ポンプ゚
出口, 装置集合, 総合排水
出口, ブランク水)
A-1
(=P-1) 難燃樹脂製造 ABS 樹脂製造 1(押出機出口) 2(冷却槽出口, 真空ポンプ
出口)
A-2 難燃樹脂製造 ABS 樹脂製造 2(押出機出口, 総
合排出口)
3(冷却槽出口, 雑排水, ブ
ランク水)
A-3 難燃樹脂製造 ABS 樹脂製造 2(押出機出口, 総
合排出口)
4(冷却槽出口, 真空ポンプ
出口, 総合排水出口, ブラ
ンク水)
E-1 難燃樹脂製造 エポキシ樹脂製造 2(総合排水出口, ブランク
水)
E-2 難燃樹脂製造 エポキシ樹脂製造 2(総合排水出口, ブランク
水)
E-3 難燃樹脂製造 エポキシ樹脂製造 2(オイルセパレータ出口,
ブランク水)
R-1 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕機出口) 1(工程水) 1(テレビ手解体場)
R-2 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕機出口) 1(雑排水) 2(テレビ手解体場, テ
レビ破砕集塵機周辺)
R-3 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕機出口) 1(雑排水)
R-4 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕機出口) 1(雑排水) 2(テレビ手解体場, テ
レビ破砕集塵機周辺)
R-5 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕機出口) 1(雑排水) 2(テレビ手解体場, テ
レビ破砕集塵機周辺)
R-6 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕機出口) 1(雑排水) 2(テレビ手解体場, テ
レビ破砕集塵機周辺)
R-7 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕機出口) 1(雑排水) 1(テレビ手解体場)
2003 A-1 難燃剤製造 TBBPA 3(ベントライン, 製
品輸送, 充填作業
場)
3(蒸留凝縮水・ポンプシー
ル水, 処理後総合排水, 工
業用水)
1(充填場周辺)
A-2 難燃剤製造 TBBPA ポリカーボ
ネートオリゴマー
2(溶剤回収装置,
パウダー空気輸送
ブロワー)
3(蒸留塔, 処理後総合排
水, 工業用水)
1(収袋作業場周辺)
B-1 難燃繊維加工 HBCDs 2(仕上セット, 予備
セット)
4(染色工程排水, 処理前総
合排水, 処理後総合排水,
工業用水)
2(仕上工程周辺, 検査
工程周辺)
B-2 難燃繊維加工 HBCDs,DeBDE 4(仕上セット, 予備
セット, バッキング,
融着)
3(染色工程排水, 処理後総
合排水, 工業用水)
3(仕上工程周辺, 検査
工程周辺, 融着工程周
辺)
B-3 難燃繊維加工 HBCDs 1(仕上セット) 4(染色工程排水, 染色工程
排水(非難燃), 処理後総合
排水, 工業用水)
2(仕上工程周辺, 検査
工程周辺)
2004 A-1 難燃プラスチック
製造加工
DeBDE 2(発泡炉上部, 湿
式集塵機出口)
2(総合排水, 工業用水(地
下水))
2(樹脂混練作業場周
辺, 発泡炉周辺)
A-2 難燃プラスチック
製造加工
DeBDE 1(押出ライン) 2(総合排水, 工業用水(地
下水))
1(作業場周辺)
A-3 難燃プラスチック
製造加工
DeBDE 1(集塵機出口) 4(コンパウンド゙冷却水, 電
線冷却水, 総合排水, 工業
用水(地下水))
1(電線製造場周辺)
A-4 難燃プラスチック
製造加工
DeBDE 1(電線接着部上
部)
2(総合排水, 工業用水) 1(製造加工作業場周
辺)
A-5 難燃プラスチック
製造加工
DeBDE 2(脱臭装置入口,
出口)
2(総合排水, 工業用水(地
下水))
1(製品巻き取り作業場
周辺)
93
A-6 難燃プラスチック
製造加工
DeBDE 2(成型加工前工程,
加工後工程)
4(真空ポンプ水・シール水,
冷却槽水, 総合排水, 工業
用水)
3(押出工程周辺, 成型
加工前工程周辺, 加工
後工程周辺)
B-1 下水道終末処理 3(脱臭装置入口,
出口, 焼却炉)
4(流入水, 最初沈殿池流出
水, 最終沈殿池流出水, 放
流水)
B-2 下水道終末処理 3(脱臭装置入口,
出口, 焼却炉)
4(流入水, 最初沈殿池流出
水, 最終沈殿池流出水, 放
流水)
B-3 下水道終末処理 3(脱臭装置入口,
出口, 焼却炉)
4(流入水, 最初沈殿池流出
水, 最終沈殿池流出水, 放
流水)
2005 A-1 難燃樹脂製造 TBBPA 型エポキシ
樹脂 ・TrBPhs
2(総合排水, 工業用水)
A-2 難燃樹脂製造 TBBPA 型エポキシ
樹脂 ・TrBPhs
1(反応槽出口) 3(工程排水(前工程), 総合
排水, 工業用水)
A-3 難燃樹脂製造 TBBPA 型エポキシ
樹脂 ・TrBPhs
2(集塵ファン出口,
真空ポンプ出口)
3(工程排水(真空ポンプ出
口), 総合排水, 工業用水)
B-1 難燃繊維加工 HBCDs 6(工程排水 3, 処理後総合
排水 2, 工業用水)
B-2 難燃繊維加工 HBCDs, DeBDE 6(工程排水 3, 処理前総合
排水, 処理後総合排水, 工
業用水)
B-3 難燃繊維加工 HBCDs 5(工程排水 2, 処理前総合
排水, 処理後総合排水, 工
業用水)
2006 A-1 難燃剤製造 DeBDE 3(乾燥, 分級, 充
填バグフィルター出
口)
3(工程水, 総合排水, 工業
用水(貯水))
1(充填場周辺)
A-2 難燃剤製造 DeBDE 3(粉砕, 分級, 充
填集塵機出口)
2(総合排水, 工業用水(河
川水))
1(充填場周辺)
B-1 難燃繊維加工 HBCDs 10(脱硫前排水, 脱硫後排
水, 曝気槽 4, 原水槽, 処
理前総合排水, 処理後総合
排水 2)
B-2 難燃繊維加工 HBCDs, DeBDE B-3 難燃繊維加工 HBCDs 7(曝気槽 3, 処理前総合排
水 2, 処理後総合排水 2)
2007 B-1 難燃繊維加工 HBCDs 6(処理前総合排水 2, 処理
後総合排水 4)
B-2 難燃繊維加工 HBCDs, DeBDE 4(処理前総合排水 2, 処理
後総合排水 2)
B-3 難燃繊維加工 HBCDs 4(処理前総合排水 2, 処理
後総合排水 2)
2008 A-1 難燃樹脂製造 エポキシ樹脂・
TBBPA
1(反応槽出口) 3(工程排水, 総合排水, 工
業用水)
A-2 難燃プラスチック
製造加工
ポリスチレン樹脂・
HBCDs
2(冷却工程出口,
総合排出出口)
2(総合排水, 地下水) 1(製造場周辺)
2009 A アルミニウム第二
次精練・精製
スクラップ等 2(集塵機出口(1),
集塵機出口(2))
2(総合排水, 地下水) 1(製造場周辺(溶解
炉))
B アルミニウム第二
次精練・精製
スクラップ等 1(集塵機出口) 2(総合排水, 地下水) 1(製造場周辺(溶解
炉))
C アルミニウム第二
次精練・精製
スクラップ等 1(集塵機出口) 2(総合排水, 地下水) 1(製造場周辺(溶解
炉))
2010 A セメント製造 廃棄物利用 1(バグフィルター出
口)
2(総合排水, 工業用水)
B セメント製造 廃棄物利用 1(電気集塵機出
口)
3(総合排水-1, 総合排水-2
工業用水)
2011 A 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕集塵機排出
ガス)
1(総合排水) 2(テレビ手解体場, 破
砕物搬送集塵機出口)
B 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(建屋内集合排出
ガス)
2(総合排水, 工程排水) 1(テレビ手解体場)
C 家電リサイクル テレビ等廃家電品 3(破砕集塵機排出
ガス, ブラッシング
集塵機排出ガス,
手解体集塵機排出
1(総合排水) 1(テレビ手解体場)
94
ガス
D 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕集塵機排出
ガス)
1(総合排水) 2(テレビ手解体場, テ
レビ破砕機周辺)
E 家電リサイクル テレビ等廃家電品 2(建屋内集合排出
ガス, 破砕集塵機
排出ガス)
1(総合排水) 1(テレビ手解体場)
F 家電リサイクル テレビ等廃家電品 3(建屋内集合排出
ガス, 手解体集塵
機排出ガス, 破砕
集塵機排出ガス)
1(総合排水, 工程排水) 1(テレビ手解体場)
G 家電リサイクル テレビ等廃家電品 2(手解体集塵機排
出ガス, 破砕集塵
機排出ガス)
1(総合排水) 3(テレビ手解体場, テ
レビ破砕機周辺, 薄型
テレビ手解体場)
H 家電リサイクル テレビ等廃家電品 1(破砕集塵機排出
ガス)
I 家電リサイクル テレビ等廃家電品 2(手解体集塵機排
出ガス, 破砕集塵
機排出ガス)
1(総合排水) 1(テレビ手解体場)
J 家電リサイクル 廃家電品 2(総合排水, 廃棄物用処理
排水)
3(テレビ手解体場, テ
レビ破砕機周辺, 薄型
テレビ手解体場)
2012 A 廃棄物焼却 一般廃棄物 1(最終排出口(煙
突)(3 号炉))
3(灰コンベア室, バグ
集塵機周辺, 炉室)
B 廃棄物焼却 一般廃棄物 1(最終排出口(煙
突))
1(総合排水) 1(炉室)
C 廃棄物焼却 産業廃棄物 1(最終排出口(煙
突))
1(総合排水) 1(灰出し作業場)
D 廃棄物焼却 産業廃棄物 1(最終排出口(煙
突))
1(ゴミピット周辺)
E 廃棄物焼却 産業廃棄物 1(最終排出口(煙
突)1 号炉)
2(灰出し作業場, ゴミ
ピット周辺)
F 廃棄物焼却 産業廃棄物 1(最終排出口(煙
突))
1(総合排水)
2013 A 難燃繊維加工 DeBDE 1(バッキング工程) 2(総合排水(処理前), 総合
排水(処理後))
B 難燃繊維加工 BFRs 1(繊維含浸工程) 2(総合排水-1), 総合排水
-2)
1(繊維含浸工程周辺)
C 難燃繊維加工 DeBDE 1(バッキング工程) 1(総合排水) 1(バッキング工程周
辺)
D 難燃繊維加工 DeBDE 1(繊維含浸工程) 2(総合排水(処理前), 総合
排水(処理後))
1(繊維含浸工程周辺)
2014 A 下水道終末処理 2(流入水, 放流水) B 下水道終末処理 2(流入水, 放流水) C 下水道終末処理 2(流入水, 放流水) D 下水道終末処理 1(焼却炉) 2(流入水, 放流水) E 下水道終末処理 1(焼却炉) 2(流入水, 放流水) F 下水道終末処理 2(流入水, 放流水)
2015 A 難燃繊維加工 BFRs 2(工程水・総合排水) B 難燃繊維加工 DeBDE 2(工程水・総合排水)
2017 A 難燃繊維加工 DeBDE, DBDPE 5(工程水・総合排水)
95
(2) 周辺環境等
表 9 臭素系ダイオキシン類排出実態調査概要一覧(周辺環境等)
調査年
調査
施設 調査対象施設 環境大気
降下
ばいじん 公共用水域水質
公共用水域底質
2002 P-1 難燃樹脂製造 1(施設南 1(施設南) 2(河川(上流 0.5, 下流 0.2)) 2
P-2 難燃樹脂製造 1(施設南) 1(施設南)
P-3 難燃樹脂製造 1(施設東) 1(施設東) 1(海域(排水口付近 1.0)) 1
A-1
(=P-1) 難燃樹脂製造
1(施設南(=P-1)) 1(施設南
(=P-1))
A-2 難燃樹脂製造 1(施設北東) 1(施設北東)
A-3 難燃樹脂製造 1(施設東) 1(施設東) 2(海域 1.5, 海域(排水口付近 0.1)) 2
E-1 難燃樹脂製造 1(施設北西) 2(海域 1.0, 海域(排水口付近 0.05)) 2
E-2 難燃樹脂製造 1(施設北東) 1(施設北東) 2(海域 2.0, 海域(排水口付近 0.05)) 2
E-3 難燃樹脂製造 1(施設南東) 1(施設南東) 2(海域 2.5, 海域(排水口付近 3.0)) 2
R-1 家電リサイクル 1(施設北) 1(施設北) 2(海域 2.5, 海域(排水口付近 0.05)) 2
R-2 家電リサイクル 1(施設南) 1(施設南)
R-3 家電リサイクル 1(施設北東) 1(施設北東) 2(河川(上流 1.0, 下流 0.5)) 2
R-4 家電リサイクル 1(施設南) 1(施設南)
R-5 家電リサイクル 1(施設北西) 1(施設北西) 1(河川(下流 0.5)) 1
R-6 家電リサイクル 1(施設南東) 1(施設南東)
R-7 家電リサイクル 1(施設南) 1(施設南) 2(河川(上流 1.0, 下流 0.5)) 2
2003 A-1
TBBPA 製造 2(施設南西, 施設
北東) 1(施設北東) 2(海域 3.0, 海域(排水口付近 0.01)) 2
A-2 TBBPAポリカーボネー
トオリゴマー製造 2(施設西, 施設東) 1(施設東) 2(海域 0.8, 海域(排水口付近 0.1)) 2
B-1 難燃繊維加工 2(施設東北東, 施
設南西) 1(施設南西) 2(海域 1.0, 海域(排水口付近 0.05)) 2
B-2 難燃繊維加工 2(施設北, 施設東) 1(施設東) 2(河川(上流 0.55, 下流 0.05)) 2
B-3 難燃繊維加工 2(施設南, 施設北) 1(施設北) 2(河川(上流 0.17, 下流 0.01)) 2
2004 A-1
難燃プラスチック製造
加工 2(施設東, 施設西) 1(施設西) 2(河川(上流 2.5, 下流 2.5)) 2
A-2 難燃プラスチック製造
加工 2(施設南, 施設北) 1(施設北) 2(河川(上流 0.2, 下流 0.01)) 2
A-3 難燃プラスチック製造
加工 2(施設東北東, 施
設南西) 1(施設南西) 2(海域 1.5, 海域(排水口付近 0.05)) 2
A-4 難燃プラスチック製造
加工 2(施設南西, 施設
東) 1(施設東) 2(河川(上流 2.5, 下流 2.5)) 2
A-5 難燃プラスチック製造
加工 2(施設南西, 施設
北) 1(施設北) 2(河川(上流 0.25, 下流 0.05)) 2
A-6 難燃プラスチック製造
加工 2(施設北西, 施設
東) 1(施設東) 2(河川(上流 0.65, 下流 0.5)) 2
B-1 下水道終末処理 2(施設北, 施設南) 1(施設南) 2(河川(上流 1.0, 下流 1.5)) 2
B-2 下水道終末処理 2(施設北, 施設南) 1(施設南) 2(河川(上流 1.5, 下流 0.7)) 2
B-3 下水道終末処理 2(施設南西, 施設
南東) 1(施設南東) 2(河川(上流 0.2, 下流 0.02)) 2
2005 A-1 難燃樹脂製造 2(施設北, 施設南) 1(施設南) 2(海域 1.0, 海域(排水口付近 0.02) 2
A-2 難燃樹脂製造 2(施設西, 施設東) 1(施設東) 2(海域 4.0, 海域(排水口付近 0.03)) 2
A-3 難燃樹脂製造 1(施設南西) 1(施設南西) 2(海域 5.0, 海域(排水口付近 0.05)) 2
2006 A-1
難燃剤製造 2(施設北東, 施設
南) 1(施設北東) 2(海域 2.5, 海域(排水口付近 0.05)) 2
A-2 難燃剤製造 2(施設北西, 施設
東) 1(施設東) 2(河川(上流 0.2, 下流 0.05)) 2
2008 A-1 難燃樹脂製造 2(施設西, 施設東) 1(施設東) 2(海域 1.0, 海域(排水口付近 0.02)) 2
A-2 難燃プラスチック製造 2(施設西, 施設東) 1(施設東) 2(河川(上流 4.0, 下流 4.0)) 2
96
加工
2009 A
アルミニウム第二次製
錬・精製 2(施設北, 施設南) 1(施設南) 2(河川(上流 1.0, 下流 0.1)) 2
B アルミニウム第二次製
錬・精製 2(施設北, 施設南) 1(施設南) 2(河川(上流 0.02, 下流 0.01))
C アルミニウム第二次製
錬・精製 2(施設北, 施設南) 1(施設南) 2(河川(上流 0.1, 下流 1.5)) 2
2010 A セメント製造 2(施設北, 施設南) 1(施設南) 2(河川(上流 1.5, 下流 0.05)) 2
B セメント製造
2(施設北, 施設南) 1(施設南) 2(河川上流-1 0.2, 上流-2 0.1, 下流
0.2) 2
2011 A 家電リサイクル 2(施設北, 施設南)
B 家電リサイクル 2(施設北西, 施設
南東)
C 家電リサイクル 2(施設北, 施設南) 2(河川(上流 1.5, 下流 0.7)) 2
D 家電リサイクル 2(施設北, 施設南) 2(河川(上流 2.5, 下流 0.6)) 2
E 家電リサイクル 2(施設北, 施設南) 2(河川(上流 0.1, 下流 0.2)) 2
F 家電リサイクル 2(施設北西, 施設
南東)
2(河川(上流 0.6, 下流 0.2)) 2
G 家電リサイクル 2(施設南東, 施設
北西)
2(河川(上流 0.2, 下流 0.5))
I 家電リサイクル 2(施設北東, 施設
南西)
J 家電リサイクル 2(施設東, 施設西)
2012 A 廃棄物焼却 2(施設南, 施設北)
B 廃棄物焼却 2(施設南東, 施設
北東)
C 廃棄物焼却 2(施設北, 施設東) 2(河川(上流 0.05, 下流 0.8))
D 廃棄物焼却 2(施設北, 施設南)
E 廃棄物焼却 2(施設東, 施設西)
F 廃棄物焼却 1(施設南) 2(海域 0.02, 海域(排水口付近 1.0)) 2
2013 A 難燃繊維加工 2(施設北, 施設南) 2(河川(上流 0.5, 下流 0.05)) 2
B 難燃繊維加工 2(施設北西, 施設
南東)
C 難燃繊維加工 2(施設東, 施設西)
D 難燃繊維加工 2(施設東, 施設西)
2014 A 下水道終末処理 2(海域 2.5, 海域(排水口付近 0.02)) 2
B 下水道終末処理 2(河川(上流 0.5, 下流 1.0)) 2
C 下水道終末処理 2(河川(上流 0.2, 下流 0.7)) 2
D 下水道終末処理 2(施設北, 施設南) 2(河川(上流 2.0, 下流 0.05)) 2
E 下水道終末処理 2(施設北, 施設南) 2(河川(上流 0.1, 下流 2.0)) 2
F 下水道終末処理 2(海域 2.0, 海域(排水口付近 0.01)) 2
2015 A 難燃繊維加工 2(河川(上流 1.2, 下流 1.8)) 2
B 難燃繊維加工 2(河川(上流 0.83, 下流 0.15)) 2
※公共用水域水質の( )内数字は, 排水口よりの距離(km)
※公共用水域底質は, 公共用水域水質と同じ地点で試料採取
97
(3) その他(難燃剤, 製品等)
表 10 臭素系ダイオキシン類排出実態調査概要一覧(その他(難燃剤, 製品等)等) 調査年 調査施設 調査対象施設 BFRs 製品等
2002 R-1 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
R-2 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
R-4 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
R-5 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
R-6 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
R-7 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
2003 B-1 難燃繊維加工 1(HBCDs) 1(HBCDs 加工繊維)
B-2 難燃繊維加工 2(HBCDs, DeBDE) 2(HBCDs, DeBDE 加工繊維)
B-3 難燃繊維加工 1(HBCDs) 1(HBCDs 加工繊維)
2004 A-1 難燃プラスチック製造加工 1(DeBDE) 1(DeBDE 含有シート)
A-2 難燃プラスチック製造加工 1(DeBDE 含有シート)
A-3 難燃プラスチック製造加工 3(DeBDE, BFRs) 3(中間原料(DeBDE 含有, BFRs 含有 2))
A-5 難燃プラスチック製造加工 2(DeBDE, BFRs) 1(DeBDE 含有フィルム)
B-1 下水道終末処理 2(汚泥, 焼却灰)
B-2 下水道終末処理 2(汚泥, 焼却灰)
B-3 下水道終末処理 2(汚泥, 焼却灰)
2006 B-1 難燃繊維加工 4(汚泥)
B-2 難燃繊維加工 1(DeBDE) 5(洗浄液 2, バッキング剤 3)
B-3 難燃繊維加工 1(HBCDs) 11(汚泥, 廃液 8, 染料 2)
2007 B-1 難燃繊維加工 1(HBCDs) 7(廃液 4, 染料 3)
B-2 難燃繊維加工 2(HBCDs, DeBDE) 3(バッキング゙剤)
B-3 難燃繊維加工 1(HBCDs)
2008 A-1 難燃樹脂製造 1(TBBPA) 1(TBBPAエポキシ樹脂)
A-2 難燃プラスチック製造加工 1(HBCDs) 1(発泡,ポリスチレン樹脂)
2010 A セメント製造 3(調製原料, 混合廃棄物, 製品)
B セメント製造 3(調製原料, 混合廃棄物, 製品)
2011 A 家電リサイクル 1(冷蔵庫トレー破砕プラスチック)
B 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
C 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
D 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
E 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
F 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
G 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
H 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
I 家電リサイクル 1(テレビ破砕プラスチック)
J 家電リサイクル 1(冷蔵庫トレー破砕プラスチック)
2012 B 廃棄物焼却 1(廃棄物(一般廃棄物))
C 廃棄物焼却 1(廃棄物(産業廃棄物))
E 廃棄物焼却 2(廃棄物(産業廃棄物:固体, 液体))
F 廃棄物焼却 1(廃棄物(産業廃棄物))
2013 A 難燃繊維加工
3(臭素系染料(キノリン系, アントラキノン系,
モノアゾ系)
2014 D 下水道終末処理 2(飛灰, 汚泥)
E 下水道終末処理 3(飛灰, 焼却灰, 汚泥)
2017 A 難燃繊維加工 2(汚泥)
98
別添 –3
国内の主な難燃剤需要量推移 (推定)
及び世界の臭素生産量(推定)
国 内
の 主
な臭
素 系
難 燃
剤 の
需 要
推 移
(推定
)
(単
位:t
/年
)
19
86
19
87
19
88
19
89
19
90
19
91
19
92
19
93
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
20
16
12
,00
01
4,0
00
18
,00
02
0,0
00
23
,00
02
4,5
00
23
,00
02
2,0
00
24
,00
03
0,0
00
29
,00
03
1,0
00
29
,50
03
1,0
00
32
,30
02
7,3
00
31
,00
03
2,0
00
35
,00
03
0,0
00
29
,00
02
5,0
00
22
,50
01
7,0
00
18
,00
01
6,2
00
15
,00
01
4,0
00
14
,00
01
4,0
00
11
,00
0
3,0
00
4,0
00
5,0
00
6,0
00
10
,00
09
,80
06
,30
05
,80
05
,50
04
,90
04
,20
04
,45
04
,00
03
,80
02
,80
02
,50
02
,20
02
,20
02
,00
01
,80
01
,70
01
,70
01
,60
01
,30
01
,10
09
90
99
09
00
80
07
00
50
0
50
01
,00
01
,10
01
,10
01
,10
01
,50
01
,10
09
00
50
03
00
28
02
50
75
75
──
──
──
──
──
──
──
──
─
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
60
06
00
70
07
00
70
01
,00
01
,40
01
,60
01
,60
01
,80
02
,00
02
,00
01
,85
01
,95
02
,00
02
,20
02
,40
02
,40
02
,60
02
,60
02
,60
03
,00
03
,00
02
,30
02
,80
02
,80
02
,60
01
,50
00
00
40
06
00
60
01
,00
01
,20
01
,30
01
,30
02
,50
02
,50
02
,50
02
,50
02
,00
02
,00
02
,00
01
,75
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,30
01
,00
01
,00
01
,00
09
00
90
09
00
90
09
00
10
02
50
45
04
50
45
01
,50
02
,00
02
,70
03
,50
04
,00
04
,10
04
,30
04
,30
04
,30
04
,30
03
,60
03
,80
04
,15
04
,15
04
,15
04
,00
03
,50
03
,15
02
,60
02
,70
02
,40
02
,00
02
,00
02
,00
02
,00
02
,00
0
40
04
00
40
04
00
40
01
,00
01
,00
09
00
90
07
50
50
04
00
10
02
50
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
─2
,50
02
,50
02
,50
02
,50
02
,75
03
,00
03
,00
03
,00
02
,80
02
,90
01
,80
02
,50
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
02
,50
02
,50
02
,50
02
,50
02
,00
0
1,3
00
1,3
00
1,3
00
1,3
00
1,5
00
1,6
00
2,0
00
2,0
00
3,5
00
3,3
00
2,5
00
2,8
00
3,0
00
5,1
00
6,0
00
7,5
00
7,5
00
7,0
00
5,0
00
7,0
00
7,0
00
6,0
00
6,0
00
6,5
00
4,0
00
4,0
00
──
─1
,00
03
,00
04
,70
06
,00
06
,50
07
,00
07
,45
09
,00
08
,50
08
,50
08
,50
08
,50
08
,50
08
,50
09
,00
01
2,0
00
12
,00
01
2,0
00
10
,00
09
,00
06
,00
07
,00
06
,20
05
,40
05
,00
05
,00
05
,00
04
,00
0
──
──
──
─1
,00
01
,60
02
,60
03
,00
04
,60
04
,60
05
,00
05
,00
04
,50
05
,00
05
,00
05
,00
05
,00
06
,00
06
,00
05
,50
06
,00
07
,00
06
,70
05
,50
05
,90
06
,00
06
,00
06
,50
0
──
──
──
──
──
─7
00
1,7
50
1,7
50
2,0
00
1,0
00
1,3
50
1,2
00
1,0
00
90
08
00
80
07
00
49
04
90
49
01
,00
01
,50
01
,50
01
,50
01
,20
0
10
01
70
20
0─
──
──
20
02
00
40
04
00
80
0─
──
──
──
──
──
──
──
──
─
──
──
──
──
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
03
50
35
0
─1
60
16
0─
──
──
──
──
──
1,0
00
55
08
00
1,0
00
1,2
00
1,2
00
1,4
00
1,4
00
1,4
00
98
01
,00
01
,20
01
,08
01
,08
01
,10
01
,10
01
,10
0
──
──
──
──
──
──
──
80
01
,00
01
,10
09
00
1,0
00
1,0
00
1,8
00
2,0
00
2,0
00
2,5
00
2,2
50
1,5
00
1,0
00
1,2
00
1,2
00
1,2
00
1,2
00
臭素
化ブ
タジ
エン
-スチ
レン
共重
合─
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
2,0
00
1,5
00
2,3
00
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
20
,00
02
1,9
80
27
,61
03
1,2
50
40
,65
04
9,0
00
45
,90
04
6,5
00
51
,45
05
9,1
00
59
,93
06
4,4
50
62
,82
56
5,2
75
67
,25
05
7,5
50
63
,30
06
5,7
00
73
,90
06
9,5
00
71
,65
06
5,7
50
60
,50
04
8,5
20
53
,69
04
9,8
30
44
,32
04
2,8
30
41
,85
04
1,2
50
36
,25
0
出
典:化
学工
業日
報社
調査
資料
より
作成
DeB
DE
の製
造・輸
入数
量(単
位:t/
年)
HB
CD
の製
造・輸
入数
量(単
位:t/
年)
年度
製造
・輸
入数
量
20
01
23
23
樹脂
用繊
維用
その
他輸
出合
計
20
02
29
86
20
04
10
06
24
38
26
61
56
20
18
13
40
4
20
03
23
30
20
05
23
47
18
49
23
39
46
05
03
62
32
11
20
04
24
80
20
06
11
88
27
49
29
00
59
65
21
72
37
20
20
05
22
50
20
07
11
54
20
53
25
18
76
04
11
83
40
0
20
06
19
54
20
08
92
01
92
42
36
54
46
66
82
88
5
20
07
19
65
20
09
10
18
15
94
21
71
39
90
72
57
7
20
08
18
16
20
10
93
62
08
32
83
02
85
10
31
16
20
09
13
98
20
11
55
52
09
02
50
81
33
00
26
41
20
10
20
00
20
12
02
09
42
09
70
00
20
97
20
11
10
00
出典
:経
済産
業省
H
P資
料よ
り作
成
出典
:経
済産
業省
H
P資
料よ
り作
成
年度
製造
数量
輸入
数量
用途
別出
荷数
量
TB
BP
Aエ
ポキ
シオ
リゴ
マー
ビス
(ペン
タブ
ロモ
フェ
ニル
)エタ
ン
TB
BP
A-ビ
ス(ジ
ブロ
モプ
ロピ
ルエ
ーテ
ル)
ポリ
ジブ
ロモ
フェ
ニル
エー
テル
ヘキ
サブ
ロモ
ベン
ゼン
ペン
タブ
ロモ
ベン
ジル
ポリ
アク
リレ
ート
臭素
化芳
香族
トリ
アジ
ン
その
他
合
計
(注
)T
BB
PA
は他
のT
BB
PA
系難
燃剤
(TB
BP
Aポ
リカ
ーボ
ネー
トオ
リゴ
マー
、T
BB
PA
エポ
キシ
オリ
ゴマ
ー、
TB
BP
A-ビ
ス(ジ
ブロ
モプ
ロピ
ルエ
ーテ
ル))
の
原
料と
して
も使
用さ
れる
ため
、T
BB
PA
の需
要量
には
、T
BB
PA
系難
燃剤
の原
料分
が含
まれ
、合
計の
需要
量は
その
分ダ
ブル
カウ
ント
され
てい
る。
ブロ
モポ
リス
チレ
ン
化
合
物
テト
ラブ
ロモ
ビス
フェ
ノー
ルA
(TB
BP
A)
デカ
ブロ
モジ
フェ
ニル
エー
テル
(DeB
DE
)
オク
タブ
ロモ
ジフ
ェニ
ルエ
ーテ
ル(O
BD
E)
テト
ラブ
ロモ
ジフ
ェニ
ルエ
ーテ
ル(
TeB
DE)
ヘキ
サブ
ロモ
シク
ロド
デカ
ン(H
BC
D)
エチ
レン
ビス
(テト
ラブ
ロモ
フタ
ルイ
ミド
)
トリ
ブロ
モフ
ェノ
ール
ビス
(トリ
ブロ
モフ
ェノ
キシ
エタ
ン)
TB
BP
Aポ
リカ
ーボ
ネー
トオ
リゴ
マー
1
国 内
の 主
な塩
素系
・リン
系・無
機系
難 燃
剤 の
需 要
推 移
(推定
) (単
位:
t/年
)
19
86
19
87
19
88
19
89
19
90
19
91
19
92
19
93
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
20
16
4,0
00
4,0
00
4,5
00
4,5
00
4,5
00
4,5
00
4,5
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,3
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
3,5
00
30
04
00
40
04
00
40
06
00
60
06
00
60
06
00
66
06
00
60
06
00
60
06
00
60
06
00
60
06
00
60
06
00
60
06
00
60
06
00
60
06
00
60
06
00
60
0
15
01
50
15
0─
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
─
30
03
00
30
03
00
30
03
00
30
03
00
30
03
00
30
03
00
39
03
00
30
03
00
30
03
00
──
──
──
──
──
──
─
4,7
50
4,8
50
5,3
50
5,2
00
5,2
00
5,4
00
5,4
00
5,2
00
5,2
00
5,2
00
5,2
60
5,2
00
5,2
90
5,2
00
5,2
00
5,2
00
5,2
00
5,2
00
4,9
00
4,9
00
4,9
00
4,9
00
4,9
00
4,6
00
4,6
00
4,6
00
4,6
00
4,6
00
4,6
00
4,6
00
4,1
00
4,0
00
4,0
00
4,2
00
4,4
00
4,4
00
4,4
00
4,4
00
4,4
00
4,4
00
4,0
00
4,4
00
4,6
00
22
,00
02
2,0
00
22
,00
02
0,0
00
20
,00
02
0,0
00
24
,00
02
4,0
00
24
,00
02
5,0
00
20
,00
01
9,0
00
20
,00
02
0,0
00
20
,00
02
0,0
00
20
,00
01
9,0
00
19
,00
0
2,9
00
2,9
00
3,0
00
3,0
00
3,0
00
3,1
00
3,1
00
3,1
00
3,1
00
3,1
00
3,3
00
3,1
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
2,5
00
2,5
00
2,5
00
2,5
00
2,5
00
2,5
00
2,5
00
2,5
00
1,5
00
1,5
00
1,5
00
1,5
00
1,5
00
1,5
00
1,5
00
1,5
00
3,0
00
3,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
1,5
00
1,5
00
1,0
00
1,0
00
1,0
00
AP
P以
外の
イン
トメ
ッセ
ント
系─
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
50
02
00
22
52
25
25
02
50
25
03
10
31
03
10
31
03
10
40
05
00
50
05
00
50
05
00
50
05
00
50
05
00
50
05
00
50
05
00
50
05
00
50
05
00
50
05
00
50
0
──
──
──
──
──
──
50
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,50
01
,50
03
,00
03
,00
04
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
0
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
─1
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
0
8,6
25
8,6
25
8,9
50
9,1
50
9,1
50
9,3
10
9,3
10
9,3
10
10
,81
01
0,4
10
9,1
00
9,2
00
28
,00
02
8,5
00
28
,50
02
6,5
00
26
,50
02
6,5
00
30
,50
03
0,5
00
30
,50
03
3,5
00
28
,50
02
7,5
00
28
,50
02
9,5
00
29
,00
02
9,0
00
28
,50
02
8,0
00
27
,70
0
8,3
00
13
,00
01
5,0
00
15
,00
01
6,0
00
18
,50
01
8,5
00
17
,00
01
7,0
00
17
,00
01
8,0
00
19
,10
01
7,0
00
16
,00
01
6,0
00
14
,00
01
4,0
00
14
,00
01
7,0
00
15
,00
01
5,0
00
14
,70
01
1,0
00
7,9
00
9,5
00
9,5
40
8,8
30
8,3
80
9,1
37
8,4
00
8,5
00
48
,00
03
0,0
00
33
,00
03
5,0
00
37
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
04
2,0
00
42
,00
0※
40
04
00
40
0─
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
─
4,0
00
4,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
5,0
00
数1
00
数1
00
数1
00
30
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
01
,00
07
00
70
01
,00
07
00
70
07
00
70
07
00
2,0
00
2,0
00
2,2
00
2,4
00
2,4
00
3,0
00
3,0
00
3,0
00
3,0
00
3,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
4,0
00
5,0
00
7,0
00
8,0
00
14
,00
01
4,0
00
14
,00
01
4,0
00
12
,50
01
0,0
00
10
,00
01
0,0
00
11
,00
01
1,0
00
11
,00
01
1,0
00
11
,00
0
20
02
00
14
0─
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
──
─
62
,90
04
9,6
00
55
,74
05
7,7
00
61
,40
06
9,5
00
69
,50
06
8,0
00
68
,00
06
8,0
00
70
,00
07
1,1
00
69
,00
06
8,0
00
68
,00
06
7,0
00
69
,00
07
0,0
00
79
,00
07
7,0
00
77
,00
07
6,7
00
71
,50
06
5,6
00
67
,20
06
7,5
40
67
,53
06
7,0
80
67
,83
76
7,1
00
67
,20
0
出
典:化
学工
業日
報社
調査
資料
より
作成
(注
)塩
素化
パラ
フィ
ンは
、可
塑剤
用も
含む
数量
(注
)リ
ン酸
エス
テル
系は
、可
塑剤
向け
含ま
ず(注
)ポ
リリ
ン酸
アン
モニ
ウム
は、
非難
燃剤
を含
む。
※2
01
6年
度の
推定
需要
量の
記載
がな
かっ
たた
め、
前年
度と
同じ
量を
記載
して
いる
。
無 機 系
三酸
化ア
ンチ
モン
水酸
化ア
ルミ
ニウ
ム
ホウ
酸亜
鉛
窒素
化グ
アニ
ジン
五酸
化ア
ンチ
モン
水酸
化マ
グネ
シウ
ム
ジル
コニ
ウム
系
合 計
リ ン 系
リン
酸エ
スエ
ル系
含ハ
ロゲ
ンリ
ン酸
エス
テル
系
ポリ
リン
酸塩
系(ア
ンモ
ニウ
ム)(A
PP
)
赤リ
ン系
ホス
ファ
フェ
ナン
トレ
ン系
ホス
ファ
ゼン
系
合 計
化
合
物
塩 素 系
塩素
化パ
ラフ
ィン
パー
クロ
ロシ
クロ
ペン
タデ
カン
テト
ラク
ロロ
酸無
水フ
タル
酸
クロ
レン
ド酸
合 計
2
世界
の臭
素生
産量
(推定
)
国名
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
20
16
中国
40
,00
04
2,0
00
42
,00
04
0,0
00
42
,00
07
5,0
00
80
,00
01
05
,00
01
24
,00
01
30
,00
01
35
,00
09
3,0
00
10
0,0
00
10
0,0
00
10
0,0
00
11
0,0
00
11
0,0
00
10
0,0
00
95
,00
0
イス
ラエ
ル1
85
,20
01
81
,00
02
10
,00
02
06
,00
02
06
,00
01
76
,00
02
02
,00
02
07
,00
01
79
,50
01
59
,40
01
64
,00
01
28
,00
01
85
,00
02
02
,50
01
74
,00
01
72
,00
01
90
,00
01
50
,00
01
70
,00
0
ヨル
ダン
──
──
80
00
─3
40
00
66
,00
09
4,5
00
85
,00
08
5,0
00
69
,00
08
5,0
00
15
0,0
00
20
0,0
00
80
,00
01
00
,00
01
00
,00
01
00
,00
0
日本
20
,00
02
0,0
00
20
,00
02
0,0
00
20
,00
02
0,0
00
20
,00
02
0,0
00
20
,00
02
0,0
00
20
,00
02
0,0
00
20
,00
02
0,0
00
20
,00
03
0,0
00
30
,00
03
0,0
00
20
,00
0
アゼ
ルバ
イジ
ャン
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
3,5
00
3,5
00
3,5
00
3,5
00
3,5
00
3,5
00
3,5
00
──
イン
ド1
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
01
,70
02
,10
02
,10
01
,70
0
ドイ
ツ6
00
50
05
00
50
05
00
50
05
00
50
04
30
16
00
10
00
99
01
,50
01
,90
01
,50
01
,50
01
,50
01
,50
0─
ウク
ライ
ナ3
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
03
,00
04
,40
04
,10
04
,10
04
,10
04
,10
04
,10
03
,50
03
,50
03
,50
0
トル
クメ
ニス
タン
15
01
50
15
01
50
15
01
50
15
01
50
15
01
50
15
01
50
15
01
50
15
05
00
50
05
00
50
0
スペ
イン
10
01
00
10
01
00
10
01
00
10
01
00
10
01
00
10
01
00
10
01
00
──
──
─
アメ
リカ
23
0,0
00
23
9,0
00
22
8,0
00
21
2,0
00
22
2,0
00
21
6,0
00
22
2,0
00
22
6,0
00
24
3,0
00
──
──
──
──
──
フラ
ンス
1,9
50
1,9
50
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
2,0
00
──
──
──
──
──
─
イタ
リア
30
03
00
30
03
00
30
03
00
30
03
00
──
──
──
──
──
─
合計
48
4,8
00
49
1,5
00
50
9,5
50
48
7,5
50
50
7,5
50
49
6,5
50
56
7,5
50
63
3,5
50
66
8,1
80
40
2,7
50
41
4,6
50
32
0,3
40
40
0,8
50
48
3,7
50
50
4,7
50
40
3,3
00
44
1,1
00
38
7,6
00
39
0,7
00
(出典
) U
SG
S「M
iner
al C
om
modit
y S
um
mar
ies(
鉱物
商品
概要
)」
(単
位:
t/年
)
3
別添 –4
臭素系難燃剤の排出・移動量の推移
(PRTRデータ)
業種別
DeB
DE排出・移動量の推移について
PR
TRデータ(
20
01~
20
15年度)
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
コーテック株式会社
コーテック株式会社岐阜県
大垣市
2,8
04
2,5
04
2,0
35
1,8
15
1,8
36
1,9
57
2,3
36
2,3
38
2,6
06
1,4
06
1,7
07
1,3
00
13
00
12
00
64
0
サカイオーベックス株式会社合繊工場
福井県
福井市
580
24
760
1,5
40
750
334
225
10
11
61
28
11
74
59
39
12
サンケミカル株式会社
サンケミカル株式会社岐阜県
海津郡南濃町
6,7
00
9,1
00
15,0
00
14,0
00
11,0
00
7,6
00
4,0
00
3,0
00
2,8
00
2,5
00
1,5
00
1,2
00
10
00
セーレン株式会社
二日市事業所
福井県
福井市
258
244
27,2
80
30,3
00
61,6
20
95,9
60
82,8
30
3,8
80
5,8
00
3,8
50
3,8
50
2,6
00
10
00
65
02
80
セーレン株式会社
新田事業所
福井県
福井市
3,2
32
5,6
57
5,3
53
3,3
34
3,3
33
51
08
10
72
04
10
22
0
ダイニック株式会社
埼玉工場
埼玉県
深谷市
1,4
00
910
1,2
00
1,5
00
820
780
490
78
08
80
65
08
40
10
00
ツヤトモ株式会社
ツヤトモ株式会社
愛知県
一宮市
1,0
69
パリゼンヌ株式会社
パリゼンヌ株式会社 木の本工場大阪府
八尾市
350
460
パリゼンヌ株式会社
パリゼンヌ株式会社 木の本工場大阪府
八尾市
19
0
ユニセル株式会社
岩国工場
山口県
岩国市
0180
540
9,6
00
2,6
00
2,5
00
2,6
00
92
0
株式会社ケイズテック
本社
石川県
白山市
00
00
0
株式会社ミツヤ
株式会社ミツヤ
福井県
福井市
1,6
16
1,7
18
2,6
26
2,8
29
2,3
24
28
11
0
TBカワシマ株式会社
愛知川工場
滋賀県
愛知郡愛知川町
64
226
211
263
35
84
42
26
36
52
50
26
03
5
住江織物株式会社
大阪工場
大阪府
松原市
870
570
620
450
450
44
0
小松精練株式会社
根上工場
石川県
能美市
416
193
265
369
286
300
280
18
01
90
18
01
60
30
33
23
西川ローズ株式会社
甲南事業所
滋賀県
甲賀郡甲南町
3,6
00
3,7
00
3,5
00
3,3
00
2,0
00
1,6
00
1,6
00
1,1
00
1,3
00
1,3
00
1,4
00
96
03
30
12
05
6
倉庫精練株式会社
米丸工場
石川県
金沢市
320
162
227
189
320
260
156
63
73
14
58
58
94
2
倉敷繊維加工株式会社
静岡工場
静岡県
掛川市
540
2,9
00
5,4
00
7,1
00
2,4
00
2,3
00
2,6
00
3,9
00
3,7
00
倉敷繊維加工株式会社
早島工場
岡山県
都窪郡早島町
4,4
00
4,6
00
4,1
00
4,0
00
4,7
00
8,8
00
9,3
00
7,5
00
14
,00
08
,80
06
,90
05
,10
01
30
0
朝日加工株式会社
阪和工場
大阪府
泉北郡忠岡町
350
390
430
390
380
34
03
70
40
04
30
39
03
30
29
03
00
帝人テクロス株式会社
帝人テクロス株式会社愛知県
中島郡祖父江町
390
580
帝人テクロス株式会社
帝人テクロス株式会社愛知県
稲沢市
300
200
170
東レコーテックス株式会社本社工場
京都府
京都市南区
70
100
170
93
110
12
08
41
40
20
01
10
93
13
06
2
東京ネオプリント株式会社水海道工場
茨城県
常総市
39,0
00
53
,00
07
3,0
00
71
,00
07
8,0
00
71
,00
07
20
00
71
00
07
30
00
東洋クロス株式会社
樽井事業所
大阪府
泉南市
1,1
01
1,2
36
1,1
36
1,1
37
1,4
98
2,2
40
3,4
90
3,5
00
2,8
00
4,5
00
3,0
00
1,9
00
93
0
東洋クロス株式会社
岩国事業所
山口県
岩国市
2,8
00
2,9
00
2,9
00
4,0
00
3,7
00
2,9
00
2,6
00
1,9
00
1,1
00
64
04
60
35
0
日本バイリーン株式会社東京工場
茨城県
猿島郡総和町
6,0
78
1,8
94
1,4
78
1,7
91
320
尾張整染株式会社
本社
愛知県
一宮市
10,3
00
18,7
00
11,8
00
2,0
00
12,9
00
2,7
00
2,3
00
2,5
00
3,3
00
3,6
00
2,2
00
67
03
60
36
01
30
繊維工業
(単位
Kg)
事業者名
所在地
1
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
BASFジャパン株式会社六呂見工場
三重県
四日市市
00
00
アキレス株式会社
足利第一工場
栃木県
足利市
81
01
,20
09
00
47
03
40
43
02
30
ウィンテックポリマー株式会社岩国工場
山口県
岩国市
82
55
オカモト株式会社
静岡工場
静岡県
榛原郡吉田町
75
75
14
50
28
73
33
42
50
2.2
2.1
タイガースポリマー株式会社静岡工場
静岡県
掛川市
00
00
00
00
00
ハイテックケミ株式会社
ハイテックケミ株式会社千葉県
成田市
31
50
949
150
14
36
37
46
33
73
.12
11
74
リケンテクノス株式会社
リケンテクノス株式会社三重工場三重県
亀山市
36
永興物産株式会社
静岡工場
静岡県
袋井市
72
10
00
00
0
永興物産株式会社
本社工場
愛知県
一宮市
29
21
21
27
永大化工株式会社
奈良事業本部
奈良県
香芝市
9
40
72
04
70
00
00
株式会社イノアック住環境大野事業所
岐阜県
揖斐郡大野町
18
120
690
890
40
02
00
0
株式会社ジェイウィング
株式会社ジェイウィング茨城県
常総市
92
58
20
39
41
51
75
15
三井化学ファブロ株式会社安城工場
愛知県
安城市
0
三元化成株式会社
名張工場
三重県
名張市
28
住友電工ファインポリマー株式会社本社
大阪府
泉南郡熊取町
1,1
00
1,3
00
770
230
15
新日化ポリマー株式会社君津工場
千葉県
木更津市
00
千葉ポリファイン株式会社東工場
千葉県
市原市
00
0
大東電材株式会社
彦根事業所
滋賀県
彦根市
39
03
20
18
0
東レ株式会社
滋賀事業場
滋賀県
大津市
2,6
00
2,1
00
2,8
00
2,8
00
2,3
00
1,2
00
東拓工業株式会社
静岡工場
静岡県
掛川市
150
210
290
330
250
320
330
50
21
9
東拓工業株式会社
泉南プラント
大阪府
泉南市
760
500
440
東拓工業株式会社
九州工場
佐賀県
武雄市
200
12
31
23
32
21
東拓工業株式会社
関西りんくう工場
大阪府
泉南郡田尻町
380
400
430
520
31
04
00
00
東邦樹着工業株式会社
東邦樹着工業株式会社神奈川県綾瀬市
00
00
00
00
東洋スチレン株式会社
コンパウンド工場
千葉県
木更津市
00
日化テクノサービス株式会社茨城事業所
茨城県
筑西市
1,2
00
1,6
00
1,1
00
日東シンコー株式会社
日東シンコー株式会社本社事業所福井県
坂井郡丸岡町
92
日東電工株式会社
豊橋事業所
愛知県
豊橋市
1,4
00
1,1
00
730
450
370
130
日本カラリング株式会社
本社工場
三重県
四日市市
97
32
0
日立化成テクノサービス株式会社下館事業所(五所)茨城県
筑西市
580
560
710
790
99
04
90
59
06
70
92
01
40
01
60
01
40
0
萩原工業株式会社
水島事業所
岡山県
倉敷市
450
680
2,2
00
和興産業株式会社
静岡第二工場
静岡県
小笠郡小笠町
1
プラスチック製品製造
(単位
Kg)
事業者名
所在地
2
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
DICグラフィックス株式会社九州支店
福岡県
福岡市博多区
50
DIC株式会社
吹田工場
大阪府
吹田市
3,7
01
1,8
00
1,8
00
2,9
00
3,1
00
2,5
00
2,8
00
3,3
00
3,3
00
2,0
00
2,0
00
0
ガンツ化成株式会社
丹波事業所
兵庫県
丹波市
210
390
52
45
39
13
12
74
55
チッソポリプロ繊維株式会社守山工場
滋賀県
守山市
00
ポリプラスチックス株式会社富士工場
静岡県
富士市
60
00
00
リケンテクノス株式会社
三重工場
三重県
亀山市
65
30
10
株式会社イーテック
四日市工場
三重県
四日市市
790
270
35
018
00
00
00
00
0
株式会社クラレ
倉敷事業所(倉敷)岡山県
倉敷市
1,0
00
株式会社トクヤマ
徳山製造所
山口県
周南市
00
株式会社ヒガシ化学
株式会社ヒガシ化学大阪府
八尾市
520
380
470
370
460
300
320
29
07
01
64
株式会社マルバン
株式会社マルバン
岐阜県
羽島郡笠松町
740
910
丸菱油化工業株式会社
泉北臨海工場
大阪府
泉大津市
11
01
20
00
00
89
00
00
九州大日精化工業株式会社本社
福岡県
福岡市博多区
140
290
220
56
0
21
52
公進ケミカル株式会社
天草工場
熊本県
上天草市
25
02
20
三協化成株式会社
姫路製造所
兵庫県
姫路市
00
00
00
山南合成化学株式会社
本社工場
兵庫県
氷上郡山南町
0
信越化学工業株式会社
群馬事業所郷原分工場群馬県
安中市
00
新中村化学工業株式会社本社工場
和歌山県和歌山市
00
00
00
00
00
00
00
0
積水化学工業株式会社
武蔵工場
埼玉県
蓮田市
2,6
00
7,6
00
8,3
00
11,0
00
12,0
00
12,0
00
8,7
00
8,6
00
3,6
00
69
0
千葉ポリファイン株式会社東工場
千葉県
市原市
0
大京化学株式会社
大京化学株式会社
京都府
京都市中京区
32
29
44
75
47
57
44
32
45
79
97
57
37
50
20
大日精化工業株式会社
大阪製造事業所
大阪府
東大阪市
100
81
110
69
大和化学工業株式会社
大阪工場
大阪府
大阪市東淀川区
11
11
34
10
10
16
36
48
46
36
13
1.3
第一工業製薬株式会社
大潟工場
新潟県
上越市
00
00
01,4
00
560
26
01
50
49
03
80
34
01
10
38
0
中央理化工業株式会社
茨城工場
茨城県
北茨城市
210
68
中部サイデン株式会社
中部サイデン株式会社岐阜県
羽島郡笠松町
650
590
450
410
400
33
06
23
50
38
02
60
26
02
20
15
0
電気化学工業株式会社
電気化学工業株式会社千葉工場千葉県
市原市
0
東ソー株式会社
南陽事業所
山口県
周南市
18,0
00
8,7
50
9,7
30
9,0
60
12,1
63
8,3
40
11,2
25
12
,69
71
0,3
22
36
,11
82
1,0
46
48
,00
03
60
00
77
00
21
00
0
東レ株式会社
名古屋事業場
愛知県
名古屋市港区
00
00
0
東洋インキ製造株式会社川越製造所
埼玉県
川越市
0
日華化学株式会社
鯖江工場
福井県
鯖江市
348
315
1,9
62
494
707
4,0
94
509
1,4
69
1,3
69
25
94
40
46
09
40
52
25
日信化学工業株式会社
日信化学工業株式会社福井県
越前市
420
00
00
0100
1,2
00
00
00
00
0
日宝化学株式会社
千町工場
千葉県
いすみ市
1,4
00
490
70
250
00
00
00
0
日本エイアンドエル株式会社ロトール工場
大阪府
大阪市此花区
130
130
65
75
81
77
39
32
35
11
01
23
52
92
2
日本特殊塗料株式会社
静岡工場
静岡県
小笠郡浜岡町
2,7
00
日立電線MECテック株式会社豊浦工場内事業所
茨城県
日立市
2
味の素ファインテクノ株式会社本社
神奈川県
川崎市川崎区
00
019
80
25
02
5
化学工業
(単位
Kg)
事業者名
所在地
3
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
イーストオーナンバ株式会社東北電線事業所
福島県
福島市
720
750
950
950
710
680
51
0
タツタ電線株式会社
本社・大阪工場
大阪府
東大阪市
23
04
10
25
02
20
16
02
10
42
04
10
株式会社クラベ
浜北工場
静岡県
浜北市
14
210
270
210
古河電気工業株式会社
平塚事業所
神奈川県平塚市
280
72
210
20
01
20
15
01
70
62
00
15
00
00
5.6
古河電工産業電線株式会社平塚工場
神奈川県平塚市
7,2
00
978
10,0
00
1,2
00
14,0
00
16,0
00
16,0
00
16
,00
0
55
11
80
30
02
10
26
0
三菱電線工業株式会社
熊谷製作所
埼玉県
熊谷市
36
17
622
120
19
03
33
22
01
51
90
11
05
1
住友電工電子ワイヤー株式会社
栃木県
鹿沼市
00
00
00
00
21
青森昭和電線株式会社
本社
青森県
青森市
67
39
日立電線株式会社
日高工場
茨城県
日立市
630
960
1,0
00
850
180
70
日立電線株式会社
高砂工場
茨城県
日立市
21
富士電線工業株式会社
大阪府
柏原市
24
矢崎電線株式会社
富士工場
静岡県
御殿場市
740
450
600
40
矢崎部品株式会社
裾野製作所
静岡県
裾野市
310
理研電線株式会社
市島工場
兵庫県
丹波市
16,0
00
17
,00
01
3,0
00
15
,00
01
5,0
00
60
00
40
00
65
00
34
00
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
ダイハツ工業株式会社
滋賀(竜王)工場
滋賀県
蒲生郡竜王町
120
トヨタ紡織株式会社
大口工場
愛知県
丹羽郡大口町
640
150
98
45
38
41
0
トヨタ紡織株式会社
堤北工場
愛知県
豊田市
0800
580
190
日本特殊塗料株式会社
静岡工場
静岡県
1,3
70
300
310
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社鹿沼事業所
栃木県
鹿沼市
504
644
00
00
00
1,2
00
81
03
50
株式会社デンソー
大安製作所
三重県
いなべ市
00
00
00
00
00
松下電工株式会社
茨城工場
茨城県
石岡市
20
矢崎部品株式会社
裾野製作所
静岡県
裾野市
310
350
0680
00
00
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
エスイーシー化成株式会社
山口県
周南市
8
横浜ゴム株式会社
平塚製造所
神奈川県平塚市
20
27
43
50
70
78
94
72
53
株式会社TRIサイタマ
埼玉県
上尾市
2,6
00
1,3
00
950
550
株式会社エラストミックス滋賀工場
滋賀県
長浜市
12
13
11
78
株式会社エラストミックス四日市工場
三重県
四日市市
49
株式会社エラストミックス東京工場
茨城県
常総市
21
15
15
12
2.6
株式会社ツーワン
株式会社ツーワン
三重県
鈴鹿市
1
三福工業株式会社
福島工場
福島県
田村市
500
110
91
15
00
0
倉敷化工株式会社
倉敷化工株式会社
岡山県
倉敷市
55
66
5
4
住友理工株式会社※
小牧製作所
愛知県
小牧市
14
240
08
15
26
14
32
82
.96
.51
07
.8
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
ニチハ株式会社
いわき工場
福島県
いわき市
3
00
01
00
00
30
00
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
91,6
38
82,4
92
128,3
19
128,4
59
166,9
94
189,4
63
223,0
56
15
5,6
11
15
2,6
00
16
0,0
01
14
3,3
33
15
0,9
23
14
1,4
18
10
2,2
53
10
4,2
81
59
61
81
80
77
67
72
71
66
66
54
46
41
37
32
事業者名
所在地
非鉄金属製造
(単位
Kg)
事業者名
所在地
輸送用機械器具製造
事業者名
所在地
電気機械器具製造
事業者名
所在地
ゴム製品製造
(単位
Kg)
窯業・土石製品製造業
※東海ゴム工業から住友理工に社名変更
事業者名
所在地
年度
各事業者よりの
DeB
DE排出・移動量(k
g/y)
DeB
DE排出・移動届出事業者数
4
※需要量は、化学工業日報データ
業種別
DeB
DE排出・移動量と需要量の推移
020
40
60
80
10
0
12
0
14
0
16
0
18
0
0
50
0
10
00
15
00
20
00
25
00
30
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
DeBDEの排出量・移動量(t)
DeBDE需要量(t)
年度
DeBDEの排出・移動量と需要量の推移(繊維工業)
PRTRデータ
需要量
0123456789
0
50
0
10
00
15
00
20
00
25
00
30
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
DeBDEの排出量・移動量(t)
DeBDE需要量(t)
年度
DeBDEの排出・移動量と需要量の推移(プラスチック製品製造)
PRTRデータ
需要量
010
20
30
40
50
60
0
50
0
10
00
15
00
20
00
25
00
30
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
DeBDEの排出量・移動量(t)
DeBDE需要量(t)
年度
DeBDEの排出・移動量と需要量の推移(化学工業)
PRTRデータ
需要量
0510
15
20
25
30
35
40
0
50
0
10
00
15
00
20
00
25
00
30
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
DeBDEの排出量・移動量(t)
DeBDE需要量(t)
年度
DeBDEの排出・移動量と需要量の推移(非鉄金属製造)
PRTRデータ
需要量
5
※需要量は、化学工業日報データ
00.2
0.4
0.6
0.8
11.2
1.4
1.6
0
50
0
10
00
15
00
20
00
25
00
30
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
DeBDEの排出量・移動量(t)
DeBDE需要量(t)
年度
DeBDEの排出・移動量と需要量の推移(輸送用機械器具製
造)
PRTRデータ
需要量
00.2
0.4
0.6
0.8
11.2
1.4
0
50
0
10
00
15
00
20
00
25
00
30
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
DeBDEの排出量・移動量(t)
DeBDE需要量(t)
年度
DeBDEの排出・移動量と需要量の推移(電気機械器具製造)
PRTRデータ
需要量
00.5
11.5
22.5
33.5
4
0
50
0
10
00
15
00
20
00
25
00
30
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
DeBDEの排出量・移動量(t)
DeBDE需要量(t)
年度
DeBDEの排出・移動量と需要量の推移(ゴム製品製造)
PRTRデータ
需要量
6
事業者名
業種
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
日立化成工業株式会社
プラスチック製品製造業
0
ケイ・アイ化成株式会社
化学工業
74
00
0
新日化エポキシ製造株式会社
化学工業
37
03
70
27
02
70
18
02
10
18
06
55
71
00
32
46
四日市合成株式会社
化学工業
00
明成化学工業株式会社
化学工業
00
00
00
三菱瓦斯化学株式会社
プラスチック製品製造業
0
旭化成エポキシ株式会社
化学工業
00
00
00
00
00
00
マナック株式会社
化学工業
6,7
00
8,7
00
14
,00
01
8,0
00
17
,00
01
6,0
00
16
,00
01
3,0
00
11
,00
02
0,0
00
23
,00
02
3,0
00
21
,00
02
5,0
00
25
,00
0
帝人化成株式会社
化学工業
00
00
00
00
00
00
00
0
阪本薬品工業株式会社
化学工業
11
神東塗料株式会社
化学工業
14
錦海化学株式会社
化学工業
00
00
00
DIC株式会社
化学工業
00
00
00
00
00
0
ジャパンエポキシレジン株式会社化学工業
4,5
00
.
三協化成株式会社
化学工業
00
0
津軽みらい農業協同組合
燃料小売業
0
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
各事業者よりの
2,4
,6-T
rBP
h排出・移動量(
kg/y)
7,1
44
9,0
71
14
,27
11
8,2
84
21
,68
01
6,2
10
16
,18
01
3,0
65
11
,05
72
0,1
00
23
,03
22
3,0
46
21
,00
02
5,0
00
25
,00
0
2,4
,6-T
rBP
h排出・移動届出事業者数
97
78
87
75
56
75
44
4
(単位=
Kg)
1.
2,4
,6-T
rBP
h排出・移動量の推移について
PR
TRデータ(
20
01~
20
15年度)
年度
7
別添 –5
検討会(第 1回)議事録概要
及び検討会(第 2回)議事録概要(案)
1. 第 1 回検討会議事録概要
(1) 開催日時 :平成 29 年 9 月 28 日(水) 10 時 00 分~12 時 00 分
(2) 場所 :トラストシティカンファレンス丸の内
(3) 出席者:【委 員】酒井座長、田辺委員、太田委員、益永委員、鈴木(茂)委員、高橋委員、
梶原委員、鈴木(剛)委員
【環境省】伊藤室課長補佐、舟木氏
【事務局】日鉄住金テクノロジー㈱広畑事業所(宮崎、橋本、古元、光田)
(4) 議事内容
(事務局) 平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理調査検討会の
第 1回検討会を開催させて頂きます。本日はお忙しいところ、検討会にご出席賜りまして誠
に有難うございます。今年度は、本日ともう 1回の計 2回開催予定です。早速ですが、配布
資料の説明をさせて頂きます。
(事務局) 【資料の説明】内容は省略
資料 1:平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収
集・整理に関する調査業務について
資料 2:臭素系ダイオキシン類排出実態調査(案)について
資料-3:臭素系ダイオキシン類排出実態調査報告書について
参考資料-1 平成 28 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理に関する
調査検討会(第 2 回)議事録概要
参考資料 2:難燃繊維加工施設について
参考資料 3:最終処分場について
参考資料 4:DeBDE 等に関する情報
参考資料 5:現状の難燃剤需要状況等
参考資料 6:業種別 DeBDE 排出・移動量の推移について PRTR データ
(酒井座長)それでは本年度の排出実態調査のご意見いただきたいと思います。
(田辺委員)参考資料 2-図1について、同一施設において以前(2005年)よりも排出処理効
率が高い結果が得られていましたが、どのような工程や技術が起因し、処理効率が改善さ
れているのでしょうか。
(事務局) 一般的な活性汚泥処理にプラスして、加圧浮上や高分子凝集剤が主要な要因
だと思います。ただ、量に依る所はあると思います。2005 年 2007 年と多い排出量がありま
すが、そのような箇所で適用できるかは疑問であり、どこまで適用できる範囲までは調査で
きていません。排出量が多い施設では高分子凝集の制御が難しいという話を伺ったことは
あります。
(田辺委員)図 1の 2005年 B2 と 2013年 Aが同一施設ですが、2005年に比べ 2013年で
除去効率が高くなった要因はなんでしょうか。
(事務局) 裏面の図において、2005 年の場合は沈殿槽の後に pH 調整槽が追加されてい
ます。この設備導入により、除去効率の改善につながったと思われます。
1
(太田委員)今の質問に関連しますが、pH 調整槽汚泥脱水機とは、具体的にどのような処
理をしているのでしょうか、除去効率の高さが窺えます。
(事務局) 汚泥処理の詳細まではわかっていません。ただ、これまで検討会で議論されて
いたように、汚泥中に臭素系ダイオキシン類が多く含有されている可能性があるため、汚
泥の処理工程を詳細に調査する必要はあると思います。
(太田委員)汚泥脱水機 pH 調整槽前後で、これ程低減されているということは、汚泥中に
含有されている可能性が高いですね。また、今回のような同じ施設で 2 度分析し、除去効
率が明確に改善されていることが判明した場合は、ヒアリング等を通じ、改善に至った技術
内容を資料にまとめて頂くと、学術的にも企業側にとっても貢献度の高い資料に仕上がる
と思います。
(事務局) 検討会でも資料のまとめで対策がないことを以前指摘されていましたので、今
回ご指摘頂いた事を踏まえ、詳細に調査していきます。
(酒井座長)排水処理に関するご質問がありました。この意見を踏まえますと、2 施設を選
定し工程別に調査を実施していく方針になりますが、具体的な施設は念頭に置いています
か。
(事務局) 参考資料 2-2 頁に記載されている D 施設、A 施設、B 施設の 3 施設に対し協
力を依頼し、協力が得られる箇所で実施したいと思います。また、可能であれば、DeBDE
関連の排水量が多い施設で実施したいと考えています。A 施設では DeBDE を使用してい
るため、DeBDE関連排水が多いです。B施設では DeBDE以外の排水が多いです。このこ
とを踏まえますと、可能であれば A 施設に協力要請したいと考えています。
(梶原委員)現状 DeBDE を使用しているのでしょうか。製造は停止し、在庫を使用している
という状況でしょうか。
(事務局) かなり量が減少しているかもしれないし、切り替えがうまくされているかというこ
とも不明瞭なので、その辺りを含め調査していきます。
(梶原委員)現状でも DeBDE を使用している施設という条件で調査対象を限定し、調査す
る方針なのでしょうか。
(事務局) 限定してしまうと、実際にあるかないかが分かりません。ただ使用されていたこ
とには間違いありません。2015 年 B 施設では、間欠的にしか使用しておらず、A 施設では
常時使用しているということは施設の方から伺っております。
(梶原委員)防炎協会によるとDeBDEからDBDPEに使用を促している話がありましたので、
例えば難燃繊維の施設が DBDPE をメインに使用していた場合、分析項目に DBDPE を新
たに加えた方が良いのではないかと思いました。
(益永委員)排水処理に関しては、臭素系ダイオキシン類が懸濁物に移行しやすいので、
2
SS がとれているから、処理がうまくいっているのか詳しく調べて欲しい。現時点では溶存態
と分けて分析していないということですよね。SS のみで測定しておいた方が良いと思います。
結果をどう解釈するかが難しい所ですが、工場内に残されている DeBDE 由来なのか、処
理工程で残存しているもの由来なのか、使用原料が DBDPEへと変わる移行期で取るべき
なのか疑問に思いました。
(酒井座長)過去に SS 態と溶存態と分画して測定した例があるとおっしゃっていましたね。
(事務局) 参考資料 2 の 3 頁のグラフ中で、褐色と黒色で示しているのが態別で測定した
結果です。ただ、最近のものはありません。
(鈴木茂委員)調査項目についてですが、BrPhsも分解で生成される可能性があるので、分
析した方が良いのではないかなと思います。
(事務局) BrPhs も分析対象にしております。ただ先ほどご指摘されたように、DBDPE 等
追加した方が良いものは新たに取り入れたいと思います。
(鈴木剛委員)情報提供として発言させて頂きます。冒頭伊藤課長補佐の話にもありました
が、私はこの検討会の調査をフォローする研究を進めています。その研究の調査対象の
DeBDE取扱施設としては、2015年度時点の PRTRデータに基づいて可能な限り調査対象
にしようと思います。24 事業所のうち 20 事業所弱はスクリーニングの対象にしております。
現状の排出実態については、スクリーニングレベルですが、データを得ようと思います。ま
た、平成 27年度に調査を実施していた中で、DeBDE未使用の時点で採取した排水におい
て臭素系ダイオキシン類が検出されるという結果が得られていました。恐らく汚泥中の懸濁
物由来だと思われるため、汚泥の処理工程を詳細に追跡することは意義あるものだと思い
ます。
(田辺委員)参考資料 4の適用除外についてです。裏面の 2頁に項目が記載されています
が、ここで使用されている DeBDE は何 t くらいなのでしょうか。今年の使用量は 500tでした
が、その何割がこのような用途に使用されているのでしょうか。既に DeBDE の規制が開始
されており DeBDE を使用していないと思うので、おそらく 500tの大半は適用除外で使用さ
れているものではないかなと思います。可能であれば調査を宜しくお願いします。また、適
用除外の用途とういのは最終的に産廃処理されるのでしょうか。それとも埋立処理なのか
焼却なのでしょうか。その動向についても気になります。
(酒井座長)最終処分に向けた製品の処理フローを考えてみると、その過程は極めて多彩
であり、明確に答えられる人は残念ながらいらっしゃらないと思います。
(鈴木茂委員)塩素滅菌やオゾン滅菌をしている可能性はありますか。
(事務局) なかったと思います。下水道でしたら滅菌処理はありますが、今回はそのような
滅菌処理があることは聞いていないです。
(酒井座長)塩素へ置換する可能性を示唆されましたが、おそらくこのような施設でそこまで
滅菌することはないと思うので、塩素へ置換する懸念はないと思います。
3
(酒井座長)一通り意見が出ましたので、一度整理をします。対象施設は参考資料 2 で○を
付されたところから選定するということでした。相手方のご都合がありますので、この件は
NSST と環境省に調整を任せる方針で異論はないでしょうか。その時のデータの整理の観
点ですが、技術(工程処理)との関係は十分に考えてもらいたいです。過去のデータを踏ま
えて整理し、次の報告書に関係してきますので、是非ともご検討下さい。また、鈴木剛委員
から、DeBDE 未使用施設でも臭素系ダイオキシン類が検出された話がありました。現時点
での基本的な考え方としては、DeBDE 使用に拘泥せず、客観的にデータを取得する方針
でよいのではないかと思います。DeBDEが DBDPEに展開していたとしても、臭素系ダイオ
キシンの DFが産生される可能性はありますので、そのことを含めて、しっかりと調査して頂
ければよいと思います。移行期であるが故に、かえって困難なデータを取らない方がよいと
いう考えも分かりますが。生成メカニズムを考慮すると、我々としても幅広く調査対象をみ
たほうが無難だと思います。2 つ目が、対処物質としてどこまで展開するかということです。
DBDPEをDeBDEの代替として防炎協会が促していることですので、押さえるべきだと思い
ます。あと汚泥について、これまでの下水処理で行くとそれほど油分は濃縮還元していない
のでそんなに問題にはならないと思いますが、熱処理の過程で分解できていることを確認
して頂ければよいと思います。まずは汚泥も対象として測定してみることでよろしいでしょう
か。SS 態と溶存態の分画については進めて頂くことが望ましいです。全体の仕事のボリュ
ームの中で判断してください。可能であれば実施してください。田辺委員がご指摘された点
を頭に入れながら、適用除外を幅広く調べることは難しいと思いますので、周辺情報は皆さ
んで意識しておいて下さい。PRTRに関して、今回DeBDEで構成さていますよね、この調査
対象で、他の物質はどんなデータの整理状況でしょうか。DBDPEは対象物質ではありませ
んが。一度、排出実態調査の対象化学物質と PRTR 情報の突合をつけて下さい。
(酒井座長)参考資料 2 の下の方に、次年度以降の実態調査計画について一覧表を出し
て頂いてますが、今日はここまでは踏み込まない事にします。鈴木剛委員、DeBDE 以外で
ブロモのジベンゾフランの生成可能性を視野に入れて研究を進めていって下さい。それで
は次の議題「臭素系ダイオキシン類排出実態調査報告書について」に移りたいと思います。
次の資料の説明を宜しくお願いします。
(事務局) 【資料の説明】内容は省略
資料 3:臭素系ダイオキシン類排出実態調査報告書について
(酒井座長)ご意見いただく前に、報告書完成に向けた方向性について今の認識のままで
よいか伊藤さんの方から追加で言っておくことがあればおっしゃってください。
(伊藤課長補佐)年度末に各委員の皆様に確認頂きまして、完成型にかなり近づいている
と思います。昨年度の検討会で、もう少し精査した方が良い箇所がありましたので、資料 3
に記載しております。この報告書は論文ではありませんのが、専門的な記述で間違いがあ
ってはいけません。調査経緯や過程、内容、結果、課題が、すべての人にわかりやすくとい
うのは難しいですが、ある程度の知識をもつ方にはわかりやすいように仕上げたいと思って
います。
(酒井座長)今のような趣旨で、今年度の仕事のイメージを掴んで頂けたらなと思います。
15 年間分のデータがある報告書の完成への方針についてこの場ではご審議頂きたいと思
4
います。伊藤さん、このままではこの報告書が 100 頁くらいになります。これはこれとして完
成させていきながら、10 頁程の要約版を準備していくのはどうでしょうか。報告書冒頭に
executive summary をつくる方針はどうでしょうかということです。
(伊藤課長補佐)NSST の業務の中に直接入ってなかったことですが、そのようにできるの
であれば有難いです。
(酒井座長)冒頭で要約、詳細は続きを読んでいただくという 2段構成です。そうしておくと、
公に説明する機会があった時に要約版があると改めて要約する必要がなく役立つと思い
ます。資料 3 の中でご注意や意見がありましたら伺います。
(鈴木茂委員)52頁の図 4.3についてですが、TBBPA と PBDDについて散布図を作成し相
関を見ていますが、どちらかというと PBDFの方が多少生成されやすいと思いますので、DF
で相関を図示する方が良いのではないかと思います。
(事務局) 散布図は PBDD、PBDF 以外にも多く作成したのですが、あまり関係しないもの
は省いています。確認したところのみ抜粋しているため、DF は関係がなかったと思います。
ただ一度確認しておきます。
(高橋委員)組成図が記載されていないので、同族体組成の図があった方が良いと思いま
す。ただ同族体組成は多くありすぎるので、どういう風にまとめるかまた相談したいです。ま
た、同族体組成の記載があれば、考察でその組成が利用しやすいと思います。
(事務局) 確かに、そうですね。取り入れたいと思います。
(鈴木剛委員)今年度の検討課題でもありますが、制御技術のことを報告書に少し盛り込
んで頂ければさらに良いと思います。項目立てて取り入れるかはまた議論が必要かと思い
ますが。
(酒井座長)入れるべき項目として具体的に何かありますか。
(鈴木剛委員)例えば、排水への対策、作業環境では集塵機導入により排出量減少したと
項目立てて論述しても良いのではないかと思いました。
(酒井座長) 集塵機とは、家電リサイクル施設等の局所集塵機のことですね。
(事務局) 家電リサイクル施設の場合の対策としては、家電を分解する時に粉じんが発生
するので、その粉じんを落とす粉じん機を導入している施設が増えてきています。その除塵
方法が一番効果もあると思います。
(酒井座長)これらの制御技術に関しては、貴重な研究蓄積であるため、うまく紹介して下
さい。他にも制御技術はありますが、数字をもって確認されているものがあまりないので。
難燃性環境を意識した排水処理技術と対要素技術の関係、ダスト対策のことです。他に何
かありますでしょうか。もう一つあえて言うとすれば、汚泥の話が出ており、分解できるのか
という懸念があります。そこで、分解技術の議論が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
5
焼却すれば副生成物が生成し、逆に大変かもしれません。このような難燃成分の分解につ
いて、失敗を繰り返しながら国環研も長年研究されてきている訳ですよね、どうでしょうか。
(鈴木剛委員)処理施設によって、採用されている処理方式が違っており、また今回の処理
施設での処理方式も把握できていないため、一概には言えません。
(酒井座長)そこまで言い始めると、関連情報を調査できていないことがネックなんですよ。
本気でやるなら国交省も本気でやってもらわないといけない話にもなってしまいます。従っ
てこれまで実プラントで測定したデータとしてはこの程度ありますよということの紹介として
制御技術を述べるべきだと思います。鈴木剛委員の話まで踏み込もうとすると、完全な情
報がない中で、報告書を書かなければいけなくなります。汚泥の話を持ち出すためには、そ
こを踏まえないといけないと思います。既存情報を収集し、少なくともここまで言えますよと
提言する程度で制御技術を使用し、分解のところを扱ってもらえればいいと思います。また、
抑制対策あるいは制御技術のことが本文にほとんど記載されておらず、今後の課題に全
て記載されていますね。制御技術と抑制対策はこの報告書の弱点であるので頑張って充
実させたいですね。理想的には PCB みたいに熱に依らない技術もあるみたいなところを幅
広に取り入れば見栄えはよくなりますが。
(高橋委員)考察のところですが、SS と溶存態の考察もあった方がよいと思います。
(酒井座長)排水処理技術と合わせて取り扱うとよいと思います。
(梶原委員)結果に関係ない所ですが、14 頁の臭素系難燃剤の製造等に関する情報に、
PBDE や HBCD、DeBDE 等の規制年度を加えてどの物質がいつから規制になっているか
示した方がよいかと思います。また、後半の方に該当部品の使用は適用除外であるという
内容が記載してありますが、それは条約の中で適用除外とうたっているだけであって、実際
に適用除外となるかならないかは、締約国が申請するかしないかで変わります。輸入につ
いてはわかりませんが、日本が適用除外を申請しなければその用途として使用され続ける
ことになります。日本が適用除外を申請しているか申請していないかで規制が変わるので、
文章の書き方を改善した方が良いと思います。
(酒井座長)他に質問がある方はいらっしゃいますか。
(太田委員)臭素系難燃剤の代わりとして有機リン系の使用が増えてきていますが、製品
で使用されている臭素系難燃剤を有機リン系にすんなり変更できるのでしょうか。
(事務局) 業界の情報は、なかなか得られていませんが、施設で個別に調査した中では、
リン系に問題なく変更できたものはあるそうです。ただ一方で、臭素系は少量で効率よく難
燃性を付与でき、コストも低いことから変更できないものもあると聞きました。DeBDE が使
用できないと、臭素系で構造が似ている DBDPE に変更する方がリスクは小さいと思いま
す。
(酒井座長)代替の動向はどうしましょうか。レポートの最後に若干関係はしますが。
(伊藤課長補佐)排出実態を知る目的で調査してきているので、参考情報程度でそのよう
6
な動向があると提言するだけで良いと思います。
(酒井座長)まずは臭素系を中心に整理することにしましょう
(梶原委員)今年度の調査結果も報告書に入るのでしょうか。
(酒井座長)はい、そうです。
(梶原委員)同じ難燃製品加工施設を調査して、リン系に大きく代わっていた場合、臭素系
ダイオキシン類の定量値が下がる可能性がありますね。この場合、考察に書かざるを得な
いですよね。
(酒井座長)リンに置き換わることで生じる問題を認識していないといけませんね。ただ、
我々は書きようがありませんね。当面、代替の DBDPEまでの話でまとめて、最後に要調査
と提言しましょう。
(伊藤課長補佐)その代替されたものが臭素系ダイオキシン類に関係してくるのであれば、
調査の対象に入ると思います。この調査としてはダイオキシン特措法の中で、臭素系ダイ
オキシンも調査対象のため対応が求められますが、有機リン系と物が大きく代わった場合
は別問題になると考えています。
(酒井座長)最後に 2、3 行触れるかどうかまた考えましょう。
(酒井座長)以上までで報告書への指摘はよろしいでしょうか。伊藤さん、完成間近になっ
てきましたら行政向けの報告書名としてはこのままで良いと思います。しかし、要約箇所を
抜粋するならば、臭素系ダイオキシン類の現状と課題や対策に向けて等、一般向けの名
称が必要かと思います。
(梶原委員)英語で要約版は作らないのでしょうか。あれば助かるのですが。
(酒井座長)臭素系ダイオキシンのナショナルレビューで書かれた研究はないので、そうい
う意味では要約版だけでも英語で作成して頂けると、貴重な貢献になります。
他になければこれで閉会としますがよろしいでしょうか。ありがとうございました。
7
2. 第 2 回検討会議事録概要(案)
(1) 開催日時 :平成 30 年 3 月 2 日(金) 13 時 30 分~15 時 30 分
(2) 場所 :トラストシティカンファレンス丸の内
(3) 出席者:【委 員】酒井座長、田辺委員、太田委員、益永委員、鈴木(茂)委員、遠山委員、
鈴木(剛)委員
【環境省】青竹課長補佐、舟木氏
【事務局】日鉄住金テクノロジー㈱広畑事業所(宮崎、橋本、古元、光田)
(4) 議事内容
(事務局)平成 29 年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理調査検討会の第
2 回検討会を開催させて頂きます。本日はお忙しい中、検討会にご出席賜りまして誠に有
難うございます。本日は高橋委員、梶原委員のご都合が悪く、欠席となります。それでは環
境省の青竹課長補佐に挨拶をお願い致します。
(青竹課長補佐) ダイオキシン対策室の青竹です。前回でもご審議されていましたが、これ
までの排出実態調査の取り纏め及び今後の調査の方針についてご意見賜りたいと思いま
す。宜しくお願い致します。
(事務局)それでは配布資料の確認をします。
資料 1:平成 29 年度臭素系ダイオキシン類排出実態調査結果について
資料 2.1:臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(仮題)主な修正、追記箇所に
ついて
資料 2.2:臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(仮題)
資料 2.3:臭素系ダイオキシン類排出実態の現状と課題(仮題)-要約版-
資料 2.4:臭素系ダイオキシン類排出実態調査の現状と課題(仮題)(Abstract)
資料 3:次年度以降の臭素系ダイオキシン類排出実態調査計画(案)について
参考資料 1:平成 29年度臭素系ダイオキシン類の排出源情報の収集・整理検討会(第
2 回)議事録概要(案)
参考資料 2:臭素系ダイオキシン類排出実態調査施設工程概要及び分析結果
参考資料 3:その他情報について
(事務局)過不足等ありましたら事務局に申し付け下さい。それでは議事の司会を酒井座
長にお願い致します。
(酒井座長)早速始めさせて頂きます。議事内容は主に3件あります。【1】本年度の排出実
態調査の結果【2】報告書の取り纏め【3】次年度の調査計画です。それぞれ一区切りごとに
進行していきます。
――排出実態調査の結果――
(酒井座長)平成 29 年度の排出実態調査の結果報告をお願いします。
(事務局)使用する資料は、資料 1、参考資料 2 です。調査の概要を含めパワーポイントで
調査内容と結果を説明致します。【内容省略】
8
(酒井座長)内容に関し、ご指摘や質問等ありましたらお願いします。
(鈴木(茂)委員)排水処理の所で、pH をアルカリにしているのは意図的にしているのでしょ
うか。アルカリ性にしてしまうとダイオキシン類が生成しやすいと思うのですがいかがでしょ
うか。
(事務局)原水ピットの所ですよね。特にそのような意図はないと思います。
(鈴木(茂)委員)汚泥中には多種の塩基が存在するため、熱をかけるとダイオキシン類が
生成します。しかし、酸性では環に結合しているハロゲンが脱離しにくいのでダイオキシン
類は生成され難いと思います。
(酒井座長)議論は以上でよろしいでしょうか、他にご質問はありませんか。
(田辺委員)乾燥の前後で汚泥を採取し、それらを分析した結果、両者の濃度に 10倍以上
差があることが分かりましたが、これは試料の含水率の差なのでしょうか。水分含量は測
定していますか。
(事務局)乾燥前の汚泥も乾燥して風乾して乾燥状態で値を算出しています。
(田辺委員)それでは水分の影響ではないということですね。では乾燥時に熱をかけたこと
で、ダイオキシン類が二次的に生成したのでしょうか。
(事務局)そうですね、試料採取時に若干の時間の差があったにしても、濃度が高かったと
いう結果になります。
(鈴木(茂)委員)アルカリ性で熱をかけるとハロゲンと水素が取れて環化することもあると
思います。
(太田委員)それに伴い、モノ体フェノールが増加しているということですが、どの異性体が
増加しているか確認していますか。
(事務局)別表 1の 2枚目にブロモフェノールの結果を示しています。その中でも 2-モノブロ
モフェノールが最も高くなっています。
(鈴木(茂)委員)環化する時はハロゲンが脱離するので、モノ体が生じていても、おそらくダ
イオキシンの収支を満たさないと思います。生成するとしても 2臭素化物以上が適正ではな
いかと思います。特に 3 個以上で注目した方が良いと思います。
(酒井座長)別図 3 の図 4 のブロモフェノールの異性体の場合、乾燥前汚泥で、色の濃い
のが 2,3,4-トリブロモフェノールですか。トリブロモフェノールが主要の異性体だということで
あれば、160-180℃の温度がかかると合成されるというのはおかしいことではないと思いま
す。
(鈴木(茂)委員)2,4,5-トリブロモフェノールが生成されると 2378 体になりますよね。
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(酒井座長)もう一度確認します。一番多く含有しているのは 2,3,4-トリブロモフェノールです
よね。図に記載されている凡例の色が識別し難いのですので、分析結果の数値と共に確
認して下さい。
(事務局)乾燥前の汚泥と乾燥後の汚泥につきましては、3/4 モノ体です。
(酒井座長)分析結果の表は何頁でしょうか。
(事務局)別表 1-2 枚目です。
(酒井座長)2,3,4-トリブロモフェノールは ND ですね。
(事務局)異性体組成図 4 の汚泥では、3/4 モノ体が多く占めています。
(酒井座長)エクセルで図を作成したままの場合はこのように混乱を招くような色の凡例が
ありますので控えるようお願いします。鈴木茂委員へこれはモノ体のフェノールです。
(鈴木(茂)委員)ハロゲンと一緒に環を生成する際、相手側の水素とハロゲンが一つずつ
取れて生成されます。結局モノの場合は合成してもジベンゾフランにはなるが、臭素化ダイ
オキシンには含まれないことになります。あと、別表 1 の原水ピットと乾燥汚泥を比較して、
主に PBDEから臭素化ダイオキシンが生成されている流れになっていることが分かります。
中でも PBDEから 2個の臭素が減りダイオキシンに移行する傾向が多くなるように思います。
結果を見ると HxBDE の濃度が少ない割に TeBDFが多いことになっています。前から言わ
れていますが、DeBDEに比べて臭素が少ない方が DFへの変換率が多くなるという現象な
のかもしれません。2枚目の 2つ下 HpBDE とそれに対応する PeBDFを見ても同様の傾向
が見られます。また、生成割合でみると少ない臭素の時の方が変換効率が良いように思い
ます。原水ピットを見ただけでも、OBDF 以外は大雑把に見てほぼ同レベルで出ている一
方で、変換前の PBDE の濃度に差があるように思います。
(酒井座長)どこまで厳密な事が言えるかわかりませんが、同族体分布及び異性体分布か
らある程度の考察が出来るということで留めて下さい。意見して頂いた中の各異性体の挙
動につきましてはさらに慎重にデータを精査し考察していくことにしましょう。いずれにしても
DeBDE を一部まだ使用している中で OBDF が相当量検出されていますので、これは間違
いなく DeBDEが OBDFの生成に起因していると言えるでしょう。また、そこから脱臭素化が
起き、低臭素の DFsは生成していると思いますので、同族体分布からその裏付けを調査で
きればと思います。同族体分布も構成比でみるのではなく、濃度全体の分布で精査してい
くのが良いと思います。100%構成比だけでは、合計の濃度の様子が分からないです。それ
では他のご意見どうぞ。
(田辺委員)DeBDE をまだ使用しているということですが、POPs条約の適用除外で使用し
ているのでしょうか。
(事務局) 一応 3 月までは使用可能です。
(田辺委員) 図 1 より乾燥前後で OBDF が増加しているということですが、どのように説明
できますか。加温することで OBDFが生成されたのか、もしくは低臭素化合物が揮発したた
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めに相対的に増加したという原理でしょうか。
(事務局)熱で DeBDE が分解して、低臭素化するというのが通説ですが、現在のデータで
は、深く言及することは出来ません。
(益永委員)参考資料 2 の中和槽の写真で、中和槽が非常に泡立っているように見えます
が、原水ピット等他のサンプリング箇所は泡立っていたのでしょうか。
(事務局)そのような泡立ちは見られませんでした。ただ、原水ピットではエアレーションを発
生させていました。それから反応槽ではフロックが生成されていました。
(益永委員) 中和槽で大量の泡が見られましたので、前の工程でも泡立ちが発生しており、
その後の処理に困るようなことが起こっていそうだと思いました。
(事務局)施設で投下される薬剤により泡立っている可能性があります。
(益永委員)泡立つ原因となる薬剤なのでしょうか。
(事務局)中和処理ですので、硫酸は使用しています。
(益永委員)気体が発生する現象が起きているんでしょうか。そのような現象は想定し難い
ですが、分りました。報告書 17 頁の表 25 で上段が検出下限値未満を 0 にした値、下段が
検出下限値の 1/2 とした時での値を表しています。上段がゼロなのに ND を 1/2 表記にす
ると違った数値が現れるのは何故なんでしょうか。
(事務局)今回は、サンプル量を少なくしないと処理ができない状況でした。前回は比較的
濃度が高く、試料量を少なくし、夾雑物が少ない状態で分析が可能でした。今回は 100 倍
程低かったため、試料量を多くして処理する必要がありました。それでもなかなか夾雑物を
うまく除去しきれない状況であり、分取量を少なくして対応しました。その分 ND になった場
合は、1/2 になりますので下限値があがるという状況です。
(益永委員)個々の試料で検出下限値が違うということですね。
(事務局)そうですね、処理には苦労しました。
(酒井座長)14 頁に今の検出下限値が表 22 で示されておりますが、ここと今の話で説明し
ておくべきことはありませんか。排水 1 排水 2 で下限値が違うのですね。
(事務局)排水 1 は工程水、排水 2 が最終放流水です。
(酒井座長)先ほどの益永委員のご質問の部分は、工程水の方の排水 1 の検出下限で処
理しているのですね。これまでの測定の下限はどちらなんでしょうか。排水 2 の下限で処理
しているのでしょうか。
(事務局)はい、主に排水 2 の下限でしています。今回の染色排水では夾雑物が非常に多
く、精製が困難でした。
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(酒井座長)採水量 25L と記載されていますが、下水の場合、採取量を 200L等上げて、検
出下限をさげるということですね。
(事務局)難燃繊維の場合は、対象物の濃度が高くて、分取量を下げて分析することが出
来たのですが、今回のような濃度が低い場合は難しかったです。
(遠山委員)1つ目、削減率という議論をされていますが、資料 1の 20頁の下から 6行目で、
図 8を引用する形で原水ピットを基準とした PBDE削減率(%)を図 8に示すと書いてありま
すが、図の中の除去率と削減率をどちらかに統一した方が良いと思います。あと、削減率
を濃度で算出していますが量として表した方が分かりやすいのではないでしょうか。2つ目、
別紙の方で媒体別の同族体組成を色分けしていますが、高濃度の場合に色分けすること
に意味があると思うのですが、ほとんど ND近辺のものも細かく色分けしていてその必要性
ないように思います。3 つ目は、実測値と TEQ を両方表していますが、TEQ は生物への影
響を考える際には適用した方がいいと思いますので、今回のような生産工程をで考える場
合は TEQ の表記は不必要に思います。
(事務局)1 つ目の削減率についてなんですが、排水の精製状況を調査する際に基に対し
てどれだけの効果があったかを考察する必要があると思います。今回の算出方法以外で
適切な方法があれば教えて頂きたいです。同族体のグラフは、検出値が低いものもこの表
し方でこれまで示してきたという経緯がありました。しかし、先ほど酒井座長からご指摘あっ
たように、色分けを含め表し方を変更する必要があると思います。実測値と TEQ に関して
は、塩素化ダイオキシンの毒性等価係数を用いて臭素化ダイオキシンの毒性を表し毒性
評価するため、TEQ の表記は必要だと思います。
(酒井座長)1つ目の除去率削減率は流量が同じであれば濃度でも重量で表しても等しくな
りますので問題ありません。しかし、物質の流入流出が複雑な場合は、収支をしっかりと把
握した上で除去率削減率を表す必要があります。濃度のみでの表記では間違える可能性
も否めないので、その場合はご留意下さい。2 つ目の同族体表記に関しては、グラフの表し
方を工夫して下さい。3 つ目の TEQ に関してですが、事実毒性等価量で規制がされており、
塩素の延長線上で臭素を取り扱っていますので、TEQ 表記はあって然るべきものだと判断
します。他の意見はございませんか。
(鈴木(剛)委員) 別表 1 で臭素化ダイオキシンの検出下限値についてですが、高臭素の
OBDF は数 pg が検出下限、TeBDF は1桁低く、主要な臭素に関しては検出されている状
況ですね。ただ粒子吸着性としてはそれほど変わらなく、高分子凝集剤を投入すると、軒
並み臭素のダイオキシンは 4 臭素までは、低下するという理解でよろしいでしょうか。以前
の結果と大差はないという解釈でよろしいでしょうか。
(事務局)高分子凝集剤によって低下する傾向があります。
(鈴木(剛)委員)モノブロモフェノールは沈殿槽に濃度が高くなっているので、粒子吸着性
の低いものは気を付けないといけません。3頁目の透視度と SSで臭素化ダイオキシン類の
削減状況を推測できそうなのでしょうか。
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(事務局)以前に SS と濃度を比較した時に、物によっては吸着している傾向はありました。
(遠山委員)実測値と TEQ なのですが、17 頁の総括表の所で、先に TEQ、次に実測濃度
が示されていますが、先に実測濃度、次に TEQの順に変更した方が良いのではないでしょ
うか。
(酒井座長)そこを注意して解釈しましょうと先ほど申し上げたわけで、全て確認できている
わけではないと思います。
(事務局)確認は、出来ておりません。また、流量は、常に一定ということではありません。
(遠山委員)濃縮して数倍や数分の1になっているというような極端なことではないですか。
(事務局)そのような極端なことはありませんでした。
(太田委員)今回の調査により、このような施設での低減することが出来たということが分
かったという事ですね。中小規模の施設に対しても適用できそうなプランは提言できるので
しょうか。
(鈴木(茂)委員) 鉄系の凝集剤スラリーがアルカリに寄せていると考えられます。高分子
凝集剤はそのような影響はないがコストが高いという認識があります。この反応槽では濃
度は落ちてはいるが、後で乾燥するとまた生成するというときには、スラリーが効いていると
思います。今回の物質を投入することで、下がったという事実は判明しましたが、その方法
がベストな方法かはわかりません。
(事務局)鉄系スラリーは中和を目的に投入するのが多いです。高分子凝集剤は一番最後
の工程で、ある程度できたフロックを更に大きくするという役割があるので、それが効いてき
ていると思います。
(鈴木(茂)委員) そうですね最後の乾燥の所で増加したことがやはり気にかかります。恐ら
くスラリーが効いてるように思います。昔なら鉄系凝集剤は塩化第二鉄を使用していたと思
います。
(酒井座長)若干議論を戻したいと思います。太田委員の発言でありましたが、今回の結果
から得た事は、当該施設の排水処理を実施すれば水をきれいにできるということです。排
水処理効果を有する施設が現に存在するということを証明されたことに価値があるでしょう。
それが低コストかどうかというのは、判断材料が不十分なので明示できません。また中小
規模化ができるかということですが、この 1,2 年間で中小規模化は容易ではないでしょう。
従って報告書としては、施設の適用範囲性に関しては言及しない程度のスタンスにしてお
きましょう。技術がないというかと言えば、技術があるということが今回確認出来ました。生
物処理を使用せず、物理化学処理だけでこれ程低下させることが出来ています。従って、
実践しようと思えば実践できるのです。ただ鈴木茂委員が発言されたように最後の乾燥工
程で生じる副生成は十分に注意しなければいけません。セメントキルンで十分に熱をかけ
て分解すれば、例え副生成していたとしても DF は十分に分解できることは、確認すればわ
かることなのでそこまで恐れる話ではないとは思います。今回は 1 施設のみの調査でした
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が、工程に沿ってしっかり把握し、それに付随して相応のことが分かってきているので、この
調査は貴重なものであると思います。前の 2015 年度の調査でも、最終放流は TEQ で
0.5pg といずれにしても低く、繰り返しになりますが、当該施設がダイオキシンの除去に関し
有用性があるということを今回確認出来たとういうことが今回の結果です。また、実測濃度
と TEQ の 17 頁表 25.26 の順番についてですが、行政の方がつくられるのであれば私はこ
の順番で問題ないと思います。もし環境省が査読して頂けるのであれば今の意見を踏まえ
て、入れ替えるのもあっていいかと思います、どうしましょうか。
(青竹課長補佐)はい、大丈夫です。
(酒井座長)はい、では遠山委員の意見を反映し、実測濃度、TEQ の順番で表すことに致
しましょう。それでは、本年度の調査をここまでとします。
――報告書の取り纏め――
(酒井座長)次の取り纏めに関して事務局ご説明下さい。
(事務局)はい、では昨年から続いている資料 2.3 取り纏め資料の説明をします。【内容省
略】
(酒井座長)はい、ありがとうございます。それではご意見伺いたいと思います。
(鈴木(茂)委員) 4.2.1 の 66 頁図 4.24 で PBDDs を TrBPhs と相関を見ていますが、本来
なら TeBPhs が対応すべきだと思います。もしかして TeBPhs では ND が多く示すことができ
ないために、TrBPhs を採用しているのでしょうか。論理的には TeBPhs で対比すべきだと思
います。プレカーサーとの関係を示す意味であれば、TrBPhs ではなく、TeBPhs だと思いま
す。
(事務局)データを確認致します。
(酒井座長)他にございませんでしょうか。
(遠山委員) 資料 2.2の 83頁 4.3.3塩素化ダイオキシン類の年間排出量との比較で、ここ
では TEQ のみで比較してますが、排出量を比較するのであれば実測値で比較し、参考値
として TEQを記載すればよいのではないでしょうか。それと関連して、要約版の 12頁の 4.1
の 1 行目では年間排出量はと記載しているのに対し実際比較したのは TEQ 換算値である
ので単位を合わせた方が良いと思います。
(酒井座長) 塩素化ダイオキシンは総量を公表していますかね。PCB も含めた塩素化ダイ
オキシン等量というのが政策の基本になっています。そのため、ここの整理としては毒性等
価換算係数を臭素化ダイオキシンにも適用することで良いと思います。塩素化ダイオキシ
ンとの比較も可能になるため、TEQ 比較で通しても問題ないように私は思います。
(青竹課長補佐)そうですね、塩素化ダイオキシンもインベントリーを TEQで作成しています
ので、総量では比較し難いと思います。
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(遠山委員)では先程の箇所をカッコ付で単位を記載するよう願います。
(事務局)承知しました、記載致します。
(舟木氏)臭素化、臭素系等ダイオキシンの呼び名が混在しているが、このままで良いので
しょうか。
(酒井座長)語句の定義が使用者によって曖昧なのが実態です。報告書の中では統一す
るように願います。報告書の冒頭で定義し、それ以外の物質を含めて議論していった時は、
敢えて臭素系として使用したと示す等、整理をして頂ければと思います。他はいかがでしょ
うか。
(鈴木(剛)委員)1 つ目が、55 頁のバーの下の名前がみにくいと思います。2 つ目が資料
2.3 のインベントリーのまとめの図で、0 と書かれているものと ND と書かれているものが混
在していますが、下限値以下はカッコ付きで表記する等、統一できるように表記の仕方を
少し議論された方がよいかと思います。
(酒井座長)検出下限値が統一できていないので、記載すると纏まらないようにも思います。
ND に関しては報告書の中で丁寧に記載されているので、アンダー表記をしなくても良いよ
うに思いますが、皆さんいかがでしょうか。
(事務局) 分かりづらくなるように思います。この指摘内容は事前に青竹課長補佐からも指
摘されたことでもあります。
(酒井座長)政策的には正し、実務的には厳しいということですね。では鈴木剛委員からも
ご指摘いただきましたので一度作業してみて環境省ともう一度相談してみて下さい。行けそ
うとなればそれはそれでやって頂いて構いません。他にご指摘等ございませんか。
(鈴木(茂)委員)資料 2.2 の 2頁 4頁 5頁に分子量が記載してありますが平均分子量の記
載にした方がよいと思います。
(事務局)そうですね、訂正致します。
(酒井座長)それは変更すべきことですね、他に何かございませんか。では私からなんです
が、資料 2.3 の 11 頁等年次表記を追記して頂いていますが、これはどうでしょうか。インベ
ントリーが頻繁に更新出来ているときは、表記している方が良いと思います。しかし古いデ
ータに依存している箇所もあるのが実態ですので、あえて年次は書かない方が良いのでは
ないでしょうか。ただ測定値に関してはいつのデータかが重要なので年次表記は必要だと
思います。この表のインベントリーの評価では記載しない方が良いと思います。
(青竹課長補佐)この箇所の追記は私が申し上げたところです。塩素化ダイオキシンのイン
ベントリーの方には年次の情報が記載されていましたので、両者のバランスを保つために、
今回記載を願いました。ある種対応するデータでもあるので、比較のためには必要である
かなと判断しました。
(酒井座長)厳格に行うので有れば、同様に記載しておくことが望ましいと思います。しかし、
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文章の中で説明すればよいと思います。例えば、臭素のデータに関しては何年から何年の
測定値に基づいて作成した表であるや、あるいは注釈を入れるとか等です。表中でカッコ
書きすることは極めて違和感が生じるように思います。
(青竹課長補佐)そうしましたら、塩素化ダイオキシンの方はアスタリスクを用いていつのデ
ータかを注釈していますので、今回の資料 2.3の 11頁の表は同じようにアスタリスクを用い
て纏めるよう工夫させて頂きます。
(酒井座長)あるいは測定値の表を引用してきて、その表に基づく推測値であるという注釈
しておけばよいと思います。さて他にはいかがでしょうか。
(益永委員)このインベントリーの概念図についてなんですが、火災とダストハウスの矢印
があって、特に説明が見当たりません。この概念図に示すなら何かしらデータを示す必要
があるように思います。
(酒井座長)このフロー図は他にどこにありましたか。
(事務局)資料 2.2 の 82 頁です。
(酒井座長)これは本報告の図に記載するべきで、要約版には必要ないと思います。また、
インベントリー対象施設の概念図というタイトルのため、図中に示す限りは示唆することが
原則だと思います。臭素化ダイオキシンの排出移動イメージ等と示せば問題ないように思
います。要約版からは削除して、本文の中で記載する際は図の名称を変更して下さい。必
要ならば、今後の課題の所で使用する程度でよろしいのではないでしょうか。インベントリー
概念図では物質の収支を示す必要が生じます。他はどうでしょうか。
(舟木委員)資料 2.2の図 4.12、図 4.13の図が分かりづらいのと、縦棒グラフが大量に出て
きますが、一つの図にする意味はあるのでしょうか。5 個もしくは 10 個ずつで区切った方が
良いのではないでしょうか。
(酒井座長)代表的な発生源に対して代表的な組成の説明をするためのグラフを別に用意
する必要があるという意見でしょうか。読み手のことを考えるのであれば変更すべきでしょう
ね。また、凡例も必ず示して下さい。抜けているグラフがあります。
(事務局)確認致します。
(益永委員)資料 2.2 の 19 頁の工程概要の図 3.1 の下、TBBPA 溶液の晶析の晶の字が
間違えているので訂正願います。
(事務局)失礼しました。訂正致します。
(酒井座長)はいそれでは取り纏めの関してはこれまでのご意見を反映させて下さい。
――次年度の調査計画――
(酒井座長)次年度の排出実態調査計画についてご説明願います。
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(事務局)はい、では資料 2.4 の次年度の調査計画について説明致します。【内容省略】
(酒井座長)はい、ありがとうございます。それではご意見伺いたいと思います。
(鈴木(茂)委員)分析項目についてなんですが、PBPhsの中で TrBPhは 2,4,5 と 2,4,6を分
けて測定した方が良いと思います。2,4,5は 2,3,7,8のプレカーサ―であるためです。最初か
ら分離条件を決めておかないといけないので注意して測定して下さい。また 2,4,5は不純物
としてが含有されていることが多いと思うので、インベントリーの中で 2,4,5を取り扱うのであ
れば、確認して下さい。
(事務局)2,4,5 はインベントリーにはありません。
(鈴木(茂)委員)そうでしたら仕方ないですね。測定する所で 2,4,6を 2,4,5をわけて下さい。
(事務局)2,4,5 と 2,4,6 は分けて測定しております。確かに 2,4,5 は不純物に多い傾向が
あるようです。
(酒井座長)それではこれまで通り分けて測定して下さい。他のご質問はありませんか。
(遠山委員)1 頁~2 頁にかけての家電リサイクル施設でブラウン管テレビの事が記載され
ていますが、ブラウン管テレビが多い地域とは実際どの辺りになるんでしょうか。
(事務局)比較的地方に多い状況ではあります。
(鈴木(剛)委員)ブラウン管テレビの排出量は、都市部では漸減していますが、地方では
ほぼ横ばいになっているのが現状です。
(酒井座長)掘り下げる話かは別にして、他にご質問が有ればどうぞ。
(田辺委員) 臭素系ダイオキシンの排出量の実態に対して POPs 条約の効果が現れてい
るかどうかを含めて、今後調査と解析を進めていくべきだと考えています。是非そのことを
念頭に置いて下さい。新たな調査地点を増やすということではなく、一つの解析の視点とし
て意識しておいて下さい。
(事務局)DeBDE 等条約で規制されている項目ですね。
(田辺委員)はい。これから DeBDE も規制されていきます。DeBDE のような物質が臭素系
ダイオキシンのインベントリーにどのように影響してくるかということを意識して調査に取り
組んで頂きたいです。宜しくお願い致します。
(酒井座長)はい、それでは今回用意されていた議事は以上となります。参考資料等で事
務局他に何かありますか。
(事務局)前回の検討会で意見を頂いていた PRTR に関して説明させて下さい。臭素系難
燃剤として何が報告されているかということでしたが、現在 PRTR462物質ある内の DeBDE
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と 2,4,6-TrBPhの 2物質がありました。2,4,6-TrBPhの排出会社を見てみると、マナック株式
会社が挙げられます。加えて 2,4,6-TrBPh は、2005 年度に TBBPA の末端試薬として取り
扱っている 3 施設で調査が実施され、その結果 2,3,7,8 体のダイオキシンが高く検出されて
いました。また、DBDPEに関する規制状況ですが、カナダで 2016年 10月にリスクアセスメ
ントが公表され、有害物質管理基準の 1 項目に該当する物質として挙げられていました。
(酒井座長)それでは、本日用意させて頂いた議事は以上になります。あと 4番その他に関
しては、鈴木剛委員が環境省の推進費で臭素系ダイオキシン類の研究をしていて、若干
口頭でご説明させて頂こうかと思いましたが、資料の配布がないまま説明頂いても、議論し
にくいため、今回は説明を控えて頂きました。次年度以降に機会が有ればその時に説明し
て頂こうと思います。以上をその他ということで発言させて頂きます。全体を通じて何かあり
ますでしょうか。何もないようなので今回はこれにて終了とさせていただきます。有難うござ
いました。
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