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統計物理学研究室 物性理論Ⅰ

昨今の計算機性能の向上により、人工知能が現実味のある技術として確立されつつあります。深層学習はAIの解析手法の一つで、大量のデータの中から隠された法則や特徴を見つける事に長けており、その汎化性能

機械学習

複雑ネットワークは何らかの要素 ( ノード) とその要素間の相互作用 ( リンク) を抽象化する分野である。このようなネットワークはインターネット、電力網など現実にあふれており、複雑だがスケー

複雑ネットワーク

統計物理学に関する理論研究を解析的、数値的に行っている研究室です。最近では主に複雑ネットワーク上の相転移現象、

結合振動子系などの非線形動力学、非平衡熱力学に関する研究を行っています。

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教授 根本幸児助教 奥田浩司

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自然界にはリズムやパターンなど秩序だったものが観察できます。その中にはエネルギーの流れがあることで自発的に生まれるものも多く、生物の体表模様、発振回路、心臓の収縮など、身近なものにもみられます。こう

散逸構造

https://www.youtube.com/watch?v=2sab6fA_oGQ

称性をもたせた箱の内外に粒子を置いた系です。この時、先行研究では系を非平衡状態にすることで箱の動きに指向性がかかることが報告されています。このブラウニアンモーターは内外の粒子の衝突を利用して動いていますが、箱の中の粒子をなくし、箱を熱源とした場合動くのかどうかを確認し、どのような構造で動いているのか調べています。(文責:比嘉)keyword マクスウェルの悪魔、ブラウン運動、熱力学第二法則

ブラウニアンモーター

[1] 日経サイエンス、日米のマクスウェルの悪魔http://www.nikkei-cience.com/?p=14457[2] arXiv:1804.05240

皆さんはマクスウェルの悪魔をご存知ですか?マクスウェルの悪魔とは2つの系の粒子を交換し温度差を生じさせる悪魔です。この悪魔は熱力学第二法則を破るのではと考えられていましたが、後に破っていないことが証明されました。この悪魔からヒントを得てファインマンラチェット、ブラウニアンモーターなどのゆらぎを利用して仕事を行う装置が考案されました。我々が研究しているブラウニアンモーターは空間的な非対

ルフリー性やスモールワールド性などの普遍的な性質を持つことが知られている。具体的に、コンピュータをノード、回線をリンクとするとインターネットを複雑ネットワークとして考えることができる。インターネットの場合、ハッカーの攻撃をうけて一部のサーバーがダウンしても全体の機能の低下が最小限に抑えられるもの(頑強なネットワーク)の構築が一つの課題である。この課題に対して、重要なノードから順に除去したときの最大連結ノード数の変化の様子を調べることで、その頑強性が調べられている。頑強な複雑ネットワークを探しに行く旅にいざゆかん。(文責:疋田)keyword 複雑ネットワーク、グラフ理論、パーコレーション

した開放系で現れる定常的な構造は、散逸構造とよばれます。例としてメトロノームを考えてみましょう。メトロノームは、ぜんまいを巻くと一定のリズムで振動します。この振動は調和振動子とは異なり、摂動によって変化せずに一定に保たれます。また、メトロノームが集まると自然と針が揃っていき、同期現象という集団運動をみせます。系によっては多体系となることでより複雑な秩序を生み出すことが知られています。散逸構造の魅力は、こうした複雑な現象を物理学を用いて考えられることです。この分野を一緒に学ぶ仲間を募集中です!(文責:口町)keyword 非線形力学系、散逸構造、同期現象

間でCarnot効率は達成可能なのだろうか?この当然の疑問に答えるためには非平衡系の熱力学が必要になるのだ!!今現在この分野で分かっていることはほとんどないが、だからこそ活発に研究が進められている。最近も前述の疑問に答える熱効率と仕事率のトレード・オフ関係(熱効率が上がれば仕事率が下がる、またはその逆)が発見されるなど、大きな進歩があったばかりである。わからないことだらけのこの世界に一緒に飛び込んでくれる有志を募集する‼(文責:三浦)keyword 熱機関、非平衡系、確率論的熱力学

熱力学×時間 = ???

熱力学の応用先として熱機関があり、その性能を記述する物理量として熱効率がある。学部ではCarnot効率が熱効率の上限であり、準静的過程ならばCarnot効率が達成できると学んだ。しかし、仕事率に着目すると、準静的過程では仕事率がゼロになってしまうではないか⁉では、有限時

http://web2.uwindsor.ca/courses/physics/high_schools/2013/SteamEngine/Physics%20Carnot%20Efficiency.html

監修:須田

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の高さから幅広い分野で深層学習を使った解析と開発がなされています。物理学においても、領域を問わず深層学習を研究に導入する流れがあります。そのような中、我々はスピン配位のサンプルデータから系の温度を推定する深層学習マシンの研究をしています。従来の温度推定にはモンテカルロ法が用いられてきましたが、一度学習を済ませたAIを用いれば計算時間が短縮できます。また、既存のモデルで学習したマシンをハミルトニアンのわかっていない未知のモデルへ転移学習することで、応用範囲の広い温度推定マシンを作成できるかもしれません。(文責:円谷)keyword 深層学習、ニューラルネットワーク、ボルツマンマシン

日本物理学会秋季大会における発表

「非局所結合位相振動子系におけるキメラ状態の非定常性II」須田裕介、 奥田浩司

「有限パワーブラウン粒子カルノーサイクルにおけるカルノー効率の実現可能性」

三浦孝祐、泉田勇輝*(名大院情報)、奥田浩司

「複雑な接触伝播モデルの初期状態依存」長谷川雄央*(茨城大理), 根本幸児

*:ともに本研究室のOB

研究編

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