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最近日本では、「家族離れ」が顕著になった。
同じ家で暮らしていても、それぞれの仕事や用事で生活時間が異なり、顔を合わせる機会が減っている。
また子どもが大きくなると、個室で1人で過ごす時間が増え、家族が集まって会話をする機会が少なくなっ
ている。そのため家族のお互いの行動も把握できにくくなっている。
また、大学生の子は母親と程よい距離にいると感じているが、母親はもっと話をしたいなど、親子で認
識のずれがあると思われる。
しかし、いざという時に支えになったり、安心を与えてくれる存在として、家族は大切だと考えている
人は多い。
本プロジェクトでは、家族離れを食い止め、家族と一緒にいるという感覚や、家族との対話の楽しさに
気づき、家族のコミュニケーションを向上させることを目標とする。
今日こんなことがあったんだー。
日出春来 高橋祐平 森山梓 金子航 加藤辰弥 内山咲 高久彩
小川翔也 福原勝彦 佐々木翔 鈴木朗規 小野村佳南 西森剛
山下 清美
日常を記憶するノートから、家族の会話を促進するツール
現在の達成状況と今後の活動の見通し
・ 8 月 リフレクション、企画の詳細を確定、実装準備・ 9 月 写真を撮るアプリの実装開始・10月 タンジブルデバイスの実装・11月 一通りの実装を完了、並行して最終発表の準備・12月 ユーザテスト・コウサ展などに出展を予定
今後の活動
全体
3 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
先行研究調査 コンセプト決め 一次調査 ターゲット決め
二次調査
企画立案
ポスターハンドアウト作成
アプリ実装
中間発表の振り返り
サーベイチーム
プロジェクトコアチーム
プレゼンチーム
デザインチーム
システムアーキテクチャチーム
中間発表準備
実装準備 タンジブルデバイス実装
最終発表準備
ポスターハンドアウト作成
ホームページ作成
ユーザーテスト
家族の日常を記憶するノートを作り、それぞれの写真を共有する。それを話のきっかけとして、家族内でコミュニケーションを生みだすデバイス
企画考案
ターゲットユーザーの確定後、「ゴールをどこに設定するのか?」というところから、メンバー全員で話し合いを開始した。会話ではなく実感を得るものが良い、何かをしたら何かが返ってくるようにしつつ痕跡を残す、相互作用を生み出したい等の議論がなされ、今まで挙がった問題定義・ターゲット・解決方法を探った。そして家族としての実感を用解決することを軸にしたデバイスを作成することになり、最終的に「家族の日常を記憶するノートを作り、それぞれの写真を共有する。それを話のきっかけとして、家庭内でコミュニケーションを生み出すデバイス」と決定した。
コンセプトの決定
ちょっとした発見や気づきを「おみやげ」として持ち帰り、机の上で共有することで『何これ?』から始まる家族のコミュニケーションを生みだす
ターゲットユーザー確定までのプロセス
同居をしているが生活スタイルがバラバラな家族いろいろな家族があり最初は、大家族・小さい子供がいる家族・中学生など不安定な時期の子どもがいる家族・離れて暮らす祖父母がいる家族など、プロジェクトメンバーの関心もばらばらだった。しかし一人 3案でアイディア出しをしたら、結局のところ、自分たちにもっとも身近な、大学生が一人暮らしをしている家族・大学生が同居している家族の2つが大半を占めた。どちらをターゲットにするか、という話し合いの過程で、一人暮らしを経験すると、家族のありがたみや会話の楽しさに気付くが、同居しているとそれに気づきにくい、という点にプロジェクトメンバー全員が納得した。それならば同居している家族が、家族と一緒にいるという感覚や、家族との対話の楽しさに気づきやすくなるためにはどうしたらいいか、それに役立つデバイスを提供できないかという話になった。
4月、プロジェクトのスタートとともにコンセプトの考案を開始。コンセプトはこれからの企画を決めるにあたり基礎となる部分であるため、「家族のコミュニケーションとは」という議題を中心に、議論を繰り返した。その結果として「ちょっとした発見や気づきを『おみやげ』として持ち帰ったら家族での団らんが楽しくなるのではないだろうか。本プロジェクトでは机の上で共有する『何これ?』から始まる家族のコミュニケーションを生みだす」というコンセプトに決定した。
調査・分析
とれている
44%
どちらかといえば
とれている43%
どちらかといえば
とれていない10%
とれていない
3%
あなたの家族は、コミュニケーションがよく取れていると思いますか
あなたの家族が全員揃う頻度はどのくらいですか
家で食卓を囲んだとき ( ご飯を食べるとき )
病気・体調を崩した時
自分のことを心配したり気にかけてくれたとき
家で一緒に過ごしているとき
家族の過去の思い出話をしたとき
「ただいま」「おかえり」などの挨拶をしたとき
0.0% 10.0% 20.0%
家族を意識するときはどんなときですか
30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0%
関東農政局 最近の食生活に関するアンケート調査 2005 結果概要より
http://www.maff.go.jp/kanto/syo_an/seikatsu/shokuiku/enquete/enquete.html
図1
図2
図3
図4
子どもはコミュニケーションが取れている、親はもう少し話したいと感じている
親子の認識のズレについて
本プロジェクトで実施した調査では、大学生の大半は家族とのコミュニケーションがある程度はとれていると感じており、問題があると感じている人は非常に少ない(図4)しかし第一生命の調査 (図2) からは、子どもは年をとるに連れて親と話さなくなっている事が分かった。子どもが小学生の間はよく会話をしているが、中学生以上になると会話が減少している。特に父母とも息子との会話の減少が顕著である。また、本プロジェクトでのインタビューでは以下の回答を得られた。「娘と中学生頃まではよく話していたが、それから話していない。子どもともう少し話をしたい」(50代 父親)「特別なとき以外、連絡を取らない。私から連絡することが基本。それでも連絡が帰ってこない」(50代 母親)「小学生の頃はよく話していたのだが、思春期のせいで高校生になってからは話してくれなくなった」(50代 母親)
写真は家族で共有でき、会話のきっかけにもなる。
野島の研究※1から 「家族は日々の情報を共有しあう、写真や思い出の品は家族のコミュニケーションに役立つ」(1) 一緒に居ない時の情報を共有 例:今日何をした、どこに行った(2) 家族で共有する話題提供 例;子供の学校のこと 家族アルバムや思い出品・荒川の研究※2から写真を撮る欲求には、思い出欲求と戯画化欲求(ネタとして面白い)がある。デジタル化が進み、写真を友人や家族との会話のきっかけに使いやすくなっている。※1 野島久雄・原田悦子(編著) 『<家の中>を認知科学する』 2004 新曜社※2 荒川歩 「人はなぜ写真を撮り、そして見るのか?」 2005 立命館大学人間科学研究 第 25号
なぜ生活スタイルがバラバラな家族に焦点を当てたのか
子どもが大きくなって、家族が一緒に過ごしたり、食事をする機会が減ることにより、家族への意識が薄れる結果につながることが推測される。
関東農政局の調査(図1)よると、子どもが大きくなると、家族が一緒に食事をしたり、家族が揃う機会が減っていることがわかる。プロジェクトの調査(図2)より、家族を意識する(複数選択可)のは、家で食卓を囲んで一緒にご飯を食べるとき(72%)、家で一緒に過ごしているとき(53%)であった。子どもが大きくなり、家族が一緒に過ごしたり、食事をする機会が減ることにより、家族への意識が薄れる結果につながることが推測される。そこから本プロジェクトでは、生活リズムがバラバラな家族をターゲットとして想定した。
子どもが家族と一緒に食事をしていない割合
子どもと「よく対話をする」割合第一生命「親子関係に関するアンケート」2005 よりhttp://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news0504.pdf
図 5
あなたの家族コミュニケーションがよく取れていると思いますか
なぜ成果物を写真にしたのか
ペルソナ
企画具体案
具体的な内容
シナリオ
父親はメーカー勤務で、母親は専業主婦をしつつ、パートをしている。母親は娘と仲が良いが息子とはあまり話さず、息子は息子で好きにやっている様子。母親はよく父親の晩酌をしている。母親は子供のことをいつも気にかけているが、気にかけても子供に面倒臭がられてしまい、一方通行ばかりで寂しい思いをしている。
金森 英二 (53)趣味:ゴルフ、読書性格:あまり話さず、無口ではないが地味。好きなことには熱中するタイプ。
金森 けい子 (52)趣味:一人酒、旅行、韓流性格:天然。喋り出すと止まらない。サバサバした性格。
金森 夏生 (21)趣味:サッカー、パソコン、音楽性格:穏やかだけどアクティブ。とても几帳面。朝が苦手なタイプ。
金森 優子 (17)趣味:SNS、メール性格:明るく運動が好き。年中携帯を触っている。母親と仲がいい。
スマートフォンを使い日常の写真を家族でそれぞれ撮ってきてその写真を机の上で処理。そして何も書かれていない白紙の本 (31 日分のページがある本 )を机の上に出し、スマートフォンを机の上に置くと、プロジェクターが机の上に今日撮った写真を一覧として投影する。家族に見せたい (共有したい )写真を撮った本にスライドして本に保存をする。本にはポケットがついており、そこに思い出の物を入れる。白紙の本は一カ月一冊使うことになり、家族で毎日の写真を保存して話のネタにすることができるという物を予定しており、それを使用し写真を見せあい家族間の会話につなげるということを狙っている。