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豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告 0 平成 18 年度 豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告 水害対策に対するランドスケープデザインとしての 環境水田の維持管理に対する地区住民の意識 -自然と人が無事に生きつづけられる地域環境づくり調査 その2- 日本大学大学院 生物環境科学専攻 博士前期課程1年 建築・地域共生デザイン研究室 小林 智哉

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豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告

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平成 18 年度 豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告

水害対策に対するランドスケープデザインとしての

環境水田の維持管理に対する地区住民の意識

-自然と人が無事に生きつづけられる地域環境づくり調査 その2-

日本大学大学院 生物環境科学専攻 博士前期課程1年

建築・地域共生デザイン研究室

小林 智哉

豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告

1

目 次

目 次 ・・・・・・・・・p01

はじめに ・・・・・・・・・p02

1.序 章 ・・・・・・・・・p03

(1)研究の目的

(2)調査研究の方法

2.水田の公益的機能とその維持管理をめぐる行政施策 ・・・・・・・・・p06

(1)水田の公益機能

(2)水田が抱える課題と維持管理をめぐる施策

4.研究対象地の選定と概要 ・・・・・・・・・p07

(1)豊岡市における自治組織の範域

(2)研究対象地域の選定

(3)対象地域の概要

1)五荘地区:福田区

2)中筋地区:沖加陽区

5.五荘地区福田区・中筋地区沖加陽区での環境水田の維持管理に対する住民意識・p13

(1)地区におけるまちづくりでの自治組織のかかわり

1)五荘地区における自治的組織

2)中筋地区における自治的組織

(2)環境水田の維持管理に対する活動実態とその意識

1)五荘地区:福田区における管理運営形態と意識

2)中筋地区:沖加陽区における管理運営形態と意識

(3)水害常襲地域としての暮らしの工夫と防災機能としての水田に対する意識

1)五荘地区:福田区における暮らしの工夫

2)五荘地区:福田区防災機能としての水田に対する意識

3)中筋地区:沖加陽区における暮らしの工夫

4)中筋地区:沖加陽区における防災機能としての水田に対する意識

豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告

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終 章 ・・・・・・・・・・p34

(1)考 察

(2)今後の課題と展開

資 料 ・・・・・・添付資料 1-19

ヒアリングノート

豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告

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はじめに

本研究は,豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助を受け,その副題に-自然と人

が無事に生きつづけられる地域環境調査-を冠した継続研究である。

近年の農山村において地域固有の生きものや貴重植物を資源ととらえ,その生息環境や

動植物自体を核としたツーリズムの展開やブランド化による地域活性化が取組まれている。

しかしながら一方で,動植物にとっての適正な空間は,必ずしもそこに暮らす住民にとっ

ての快適・利便性を一致するとはいえず,また自然災害においては,その被害の誘引や時

には安全を脅かす要因になるなど,しばしばその共存関係に課題を投げかけている。以上

から,今後の地域環境計画の分野では,生物多様性を資源として地域活性化を展開するう

えで,自然環境保全と自然災害対策を考慮したランドスケープデザイン及び政策的視点か

らの地域活性化のあり方が求められ,その基礎的研究として上記の副題を設定した。

平成 17 年度の「水災害前後での“コウノトリ野生復帰”を核とする地域環境形成に対

する意識」と題して研究奨励補助を得た調査研究では,豊岡市において立場を違いながら

も「コウノトリ野生復帰」の視点から地区づくりにかかわってきた,住民 (農家 ),NPO 法

人,行政などを対象に,水害対策と野生復帰の二者両立の自然共生型環境づくりに対する

意識を明らかとすることを目的に,現地視察・ヒアリングにより現状を把握した上で,ア

ンケート調査,ワークショップ方式を用いて取組んだ。その結果対象とした4組織は,コ

ウノトリの野性復帰活動を前提としながらも,ビジョンとしての地区づくりの位置づけや,

荒廃農地・耕作放棄地の対応,環境教育・啓発を目的とするなどの多様な目標に応じた体

制での地区活性化に取組んでいることを明らかにした。また,各組織の目標・体制の違い

から,環境水田の管理・運営に対する意識の違いが明らかとなり,ここから行政施策とし

ての組織間連携や環境水田管理の仕様等の不備が明らかとした。さらに,コウノトリ野性

復帰事業での環境水田にとりくむ地区住民は,その取組みを農業振興や生態系の復元の面

から地区活性化の要因と捉えているが,環境水田が遊水地に代表される水害に対する多面

的な機能に繋がることを充分には意識していないことを明らかとした。現在の豊岡市では,

コウノトリ野性復帰に取組む一方で,餌場となる円山川中州の掘削など,自然保護と水害

対策が行政や専門家の縦割り的意図で進められている傾向が伺えた。また,住民には安全

と生活維持の中での環境水田の継続,コウノトリ保護との葛藤意識が潜在化されていると

考察した。

以上から,平成 18 年度は,コウノトリ野生復帰事業における環境水田の位置づけのみな

らず水田の遊水地機能に代表される水害対策や荒廃農地の再生・利用を含めた複合的な視

点からの地域住民による維持管理のあり方を考察すべく「水害対策に対するランドスケー

豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告

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プとしての環境水田の維持管理に対する地区住民の意識」をテーマに調査研究に取組んだ。

1.序 章

(1)研究の目的

今日的な地域環境計画分野では,生物多様性を資源として地域活性化を展開するうえで,

自然環境保全と自然災害対策を考慮したランドスケープデザイン及び政策的視点からの地

域活性化の手法開発が求められる。

農山村地域においては,その景観を特徴づけ更に自然環境保全と自然災害対策の両面で

の公益的機能を有する水田のデザイン及び持続的な維持管理の方向を見出すことが重要で

あると考えた。そのうえでは,自然環境保全と災害との直接的な関係者であり,一方での

管理者である地域住民の合意を得ていくことは必須である。

そこで本研究では,コウノトリ野生復帰事業の一環としての環境水田を土地利用計画に

位置づけている豊岡市での施策に注目し,同市がおかれている水害常襲地域としての自然

災害対策を考慮したランドスケープデザインとしての環境水田の維持管理に対する地域住

民の意識の一端を明らかとすることを目的している。

本稿では,地域におけるまちづくり及び土地利用としての環境水田の位置づけ,その管

理運営体制の実態を明らかにする。また,環境水田の持続的な維持管理を視野にいれ,地

域運営にかかわる自治的組織の体制及び活動を把握し,多様な主体の参加による持続的な

維持管理の可能性について考察していく。

(2)調査研究の方法

本稿での調査研究は以下に展開する。

1)文献資料調査による水田の維持管理と自然災害に関わる行政施策の整理

ここでは主に以下の2つの点からの整理をおこなう。①我が国における水田を取り

巻く緒課題について整理し,特に維持管理に関わる行政施策の現状について整理する。

一方で自然災害対応での視点から,②自然災害の視点からの水田を取り巻く緒課題を

整理するとともに,地域における自主防災組織に関わる行政施策の現状について整理

する。

2)研究対象地の選定と地勢の把握

ここでは,行政(豊岡市役所)に対するヒアリング調査及び文献資料収集により,

地域に環境水田を展開しており,尚且つ水害常襲地である対象地を選定する。

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3)対象地域における環境水田の維持管理と住民意識の把握

ここでは対象地域住民へのヒアリング調査(一部ワークショップ形式を用いて)に

より,主に以下の3点についての把握をおこなう。①多様な主体による環境水田の維

持管理への参加の可能性を視野に入れつつ,地域内に存在する自治的組織のそれぞれ

の役割や構成について整理する。②現状での環境水田の維持管理体制と抱える課題を

明らかにする。③水害常襲地域としての個々・集団での暮らしの工夫,また,環境水

田への防災機能に対する意識の有無の把握。

なお,調査により得た情報データは,GIS(地理情報システム)により独自のデ

ジタルデータとして整備していく。

以上から,考察をおこなっていく。

図1―1 調査研究の構成フロー

【住民ヒアリング調査】

3)環境水田の維持管理と住民意識の把握

①地域内に存在する自治的組織の役割と構成整理

②環境水田の維持管理体制の把握

③水害に対する暮らしの工夫,環境水田への防災

機能に対する意識の把握

【文献・資料調査】 1)水田の維持管理と自然災害に関わる行政施策の整理 ①公共公益機能と「維持管理」上での課題と行政施策 ②自然災害対応の視点での維持管理主体の整理

【行政ヒアリング・資料調査】 2)研究対象地の選定と地勢の把握

GIS(地理情報システム)

を 用 いた 独 自デ ジ タ ル

情報ベースの整備

考 察

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2.水田の公益的機能とその維持管理をめぐる行政施策

(1)水田の公益的機能

水田の持つ公益的機能は一般に以下が指摘されている。

①洪 水 防 止 機 能:水田は雨水を貯留し急激な流出を抑制する洪水防止機能を有する。

②水 資 源 涵 養 機 能:水田はかんがい用水や雨水を地下に浸透させ,地下水を涵養する

機能を有する。

③水 質 浄 化 機 能:窒素等は富栄養化や地下水汚染の原因をなすものであるが,水田

湛水条件下で土壌粒子がかんがい水中の窒素等を吸着固定するこ

とから,水質を浄化する機能を有する。

④土 壌 浸 食 防 止 機 能:畦畔を有する水田は,土壌浸食を防止する機能を有する。

⑤生物多様性保全機能:農林地は多くの生物の生息地ともなっており,生物の多様性を保

全する機能を有する。

豊岡市においては以上5つの公益機能のうち,特にコウノトリ復帰事業における環境水

田により⑤の生物多様性保全機能,による水田保全が位置づけられるように伺える。本稿

では,水害常襲地域である本市の特性から,①の洪水防止機能,に対して住民の評価を得

て,更には水田・環境水田の持続的な維持管理のための市民によるディカップリング制度

や人的支援制度の可能性を検討していくこととする。

(2)水田の抱える課題と維持管理をめぐる行政施策

平成 16 年度から始まった米政策改革は,平成 19 年度から次のステップとして平成 22

年度の「米つくりの本来あるべき姿」の実現に向けて,農業者・農業者団体が主体的に需

給調整を行うシステムへの移行,明確化された担い手の育成,などが推進される。なかで

も「地域水田農業ビジョン」の見直しでは,農業者のみならず多くの集落住民の意見を反

映し地域一体となって取組むことが重要となってくる。

これらは,生産調整や多様な作物の産地づくり等による農業展開を図っていくなかで,

水田の持つ公益機能等を位置づけながら集落住民とともに水田の保全維持管理を実施して

いく一方での機会であるとも考えられ,このことからも本稿においては住民意識を把握し

ていくこととする。

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3.研究対象地の選定と概要

(1)豊岡市における自治組織の範域

現在の豊岡市は平成 17 年 4 月に兵庫県の北東部に位置する6市町村(旧豊岡市・城崎町・

竹野町・日高町・出石町・但東町)が合併して誕生した。現在,新豊岡市の中で合併前の

6 市町村のそれぞれの統率範域は「地域」という呼称で扱われている。

豊岡市の市役所が範囲・責任者を把握し,日常的な連絡等を行う地域単位は面積の大き

い順に「市」「地域」「地区」「行政区」が存在している(図3-1)。

「地区」は旧市町村になる前(昭和の大合併以前)の町村の単位であり,「行政区」は郵

便等の配布時に利用される単位で住宅の集まりごとに設定された範域と考えられる。平成

19 年 2 月現在豊岡市は 6 地域,29 地区,358 行政区という自治的な範域の集合体として成

り立っている。

また,その他の自治的な組織を有する範域として,旧集落の範域である「大字」や「土

地改良区」,行政区内での数軒の家の集まりである「隣圃」の存在が確認できた。「大字」

の範域は「行政区」に近いが必ずしも一致するものでなく,幾つかの行政区を内包する「大

字」も存在する。「土地改良区」は基盤整備を行う範域であり,土地改良区の管理組織は地

権者で構成されているため,行政区・大字等の範域をまたいで存在することもある。

豊岡市

地域(6地域)

行政区

行政区

行政区

行政区

行政区

行政区

行政区

行政区

行政区行政区

行政区行政区

行政区行政区

行政区行政区

地区

行政区行政区

行政区行政区

隣圃

隣圃

隣圃

隣圃

隣圃隣圃隣圃

隣圃隣圃隣圃

隣圃隣圃隣圃

隣圃隣圃隣圃

土地改良区(例)

大字(例)

図3-1 自治的組織を有する範域の概略

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(2)研究対象地域の選定

研究対象地の選定条件としては以下の二点が挙げられる。

①水害の常襲地であり,水害に対する伝統的な対策・自治的組織の存在が期待できる

②コウノトリ野生復帰事業の一環として環境水田(ビオトープ水田・冬期湛水田)を実施・

管理している

以上の条件から豊岡市役所コウノトリ共生課の協力の下に,福田区と沖加陽区を研究対象

地に選定し,それぞれの区から協力を得ることができた。福田区と沖加陽区はそれぞれ「行

政区」の範域にあたる。

福田区は昨年度から,ヒアリング調・アンケート調査・ワークショップ等への協力をし

て頂いており,今年度も引き続き研究対象地として調査を行った。

沖加陽区は今年度新たに研究対象地に選定したため,地域の概要を把握するため沖加陽

が所属する地区である「中筋地区」を対象とした調査も平行して行っている。

福田区

加陽区

旧豊岡市

図3-2 福田区・沖加陽区の位置概略

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(3)対象地域の概要

1)五荘地区:福田区

①地理概要

福田区は五荘地区を形成する 15 行政区の内の 1 つである。区の中心を奈佐川が通り,奈

佐川は 2km ほど下流で円山川に合流している。過去の区内の水害の大部分はこの奈佐川の

氾濫によるものであり,奈佐川の沿線は水田として利用されている。集落は山に沿って小

高い場所に形成されている。

②世帯数

福田区は,総戸数 286 戸の行政区である。農家の戸数は 44 戸であり,行政区内における

農家の割合は約 15%である。都市計画区域用途地域内に位置する。

1980 年から 2000 年の 20 年間で地区の人口は 2 倍以上になっている。農家の戸数は緩や

かな減少傾向にあるが大きな推移は見られないのに対し,非農家数は 20 年前の 70 戸の 3

倍以上である 242 戸に増加している。このように,区の人口の増加は区外からの移住者に

よるものである。

③農業

農業上の特徴として,区の水田総面積 3057a に対して借入水田面積(よそから借りてい

る水田)が 1019a であり,全水田の内 1/3 は所有者が区外の人であるということが上げら

れる。また,1995 年から 2000 年にかけて減少した水田面積 399a の内 30%は耕作放棄地と

して利用がされないでいる。

(2000 年農業センサスより)

1980 1985 1990 1995 2000

総戸数 129 214 286総農家数 59 63 52 48 44非農家数 70 162 242農家 人口 285 321 233 192 132

農家男性 人口 139 152 116 97 62農家女性 人口 146 169 117 95 70

農業従事者 人口 159 191 146 131 83農業専従者男女計 22 14 17 9 10

経営耕地合計面積(a) 4631 4091 3927 3907 3492経営水田所有  農家数 59 61 52 40 30(経営)稲を作った農家数 56 61 52 40 30

水田面積 4133 3668 3419 3456 3057(経営)畑のある農家数 59 49 50 41 39

(経営)畑の面積(a) 289 238 278 293 288稲を作った面積 3625 3542 3107 3382 2487

借入耕地 農家数 13 6 8 6 8借入耕地 面積(a) 416 72 383 738 1022借入水田 農家数 11 5 8 5 7借入水田 面積 412 71 383 735 1019

貸付耕地 農家数(a) 11 11 6 5 4貸付耕地 面積(a) 289 350 169 139 77貸付水田 農家数 10 11 5 5 2貸付水田 面積(a) 276 348 167 139 71耕作放棄地 農家数 23 6 15 8 18耕作放棄地 面積(a) 172 70 181 98 177稲作放棄地 面積(a) 66 57 123

福田

福田の農地・集落

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2)中筋地区:加陽区

①地理概要

沖加陽は中筋地区を構成する9行政区の内の 1 つである。

沖加陽地区は円山川と出石川に挟まれた地域である。水害は円山川・出石川どちらの氾濫

でも影響があり,両河川は水害対策の高い堤防が設けられている。また 2 つの河川の合流

部で堤防に囲まれているため,中筋地区上流部に降った雨水が集まってしまうことにより

水害に至ることもある。集落は平坦で耕地に近いレベルの場所に構成されている。区の南

東部には小高い山があり,昔はそこが避難場所になっていた。

②世帯数

総戸数は 52 戸であり,そのうち 35 戸が農家で地区の 70%近くの世帯が農業に関係して

いる。都市計画区域外,農業振興地域に位置している

総戸数は 1980 年から 2000 年までの 20 年間でほとんど変化が見られない。そして,総農

家数の緩やかな減少に伴い,非農家の増加が見られることから,沖加陽では区外からの人

口の流入は少なく,昔ながらに区内に土地を持つ人々が多いと推測される。

③農業

総農家数 35 戸に対し,水田所有農家数・畑所有農家数両方が 35 戸であることから,沖

加陽の農家はほぼ全戸が水田と畑の両方を所有している。

1995 年から 2000 年の間で減少した水田面積 505a の内 84a(約 17%)が稲作放棄地として活

用されないでいる。

(2000 年農業センサスより)

1980 1985 1990 1995 2000

総戸数 51 51 52総農家数 48 46 43 41 35非農家数 3 8 17農家 人口 224 216 197 189 165

農家男性 人口 107 91 78農家女性 人口 117 106 87

農業従事者 人口      ? 136 118 108 96農業専従者男女計 64 62 52 52 42

経営耕地合計面積(a) 5099 5273 5067 4886 4189経営水田所有  農家数 48 46 43 41 34(経営)稲を作った農家数 48 46 43 41 34

水田面積 4340 4529 4355 4012 3507(経営)畑のある農家数 44 42 40 39 34

(経営)畑の面積(a) 752 743 712 874 682稲を作った面積 2820 3581 3206 3078 2164

借入耕地 農家数 9 12 12 13 13借入耕地 面積(a) 294 372 332 577 694借入水田 農家数 5 8 8 10 11借入水田 面積(a) 223 242 233 345 497貸付耕地 農家数 9 7 8 11 12貸付耕地 面積(a) 146 147 99 301 430

貸付水田 農家数(a) 8 3 6 10 11貸付水田 面積(a) 111 116 81 245 409耕作放棄地 農家数 2 3 6 8 7耕作放棄地 面積(a) 22 16 34 81 111稲作放棄地 面積(a) 51 84

沖加陽

玄武岩で底上げがされた 加陽の住宅

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福田・加陽 戸数変動

0

50

100

150

200

250

300

350

1980 1990 2000

年代

戸数

福田区 総戸数福田区 非農家数福田区 総農家数系列4加陽区 総戸数

加陽区 非農家数加陽区 総農家数

福田

加陽

表3-1 福田区・沖加陽区の戸数情報年代比較

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5.五荘地区福田区・中筋地区沖加陽区での環境水田の維持管理に対する住民意識

(1)行政区におけるまちづくりでの自治的組織のかかわり

1)五荘地区福田区における自治的組織

ヒアリング・資料調査より福田区に似存在する組織(単

位)の抽出を行った。結果として左表に示した 10 の組織が

抽出できた。

この抽出した 10 の組織のうち「消防団」は市管轄の防災

組織,「民生員」は市の社会福祉協議会の管轄組織である。

また,育遊会・区長会の範域は「地区」でる。

以上より,福田区内の生活において何らかの役割を担っ

ている組織は,福田区を範域とする自治組織 6 つ,五荘地区を範域とする2組織,行

政との繋がりの強い 2 組織であると把握ができた。

2)行政区内の諸活動を担う組織(単位)の把握

福田区内の生活で発生すると思われる活動項目6つを上げ,それぞれの項目に関連

する諸活動をどの組織が担っているのかを表 5-1から表 5-5 にまとめた。

必要な活動項目 関連する諸活動(役割) 表番号

地域運営・情報伝達 8 表5-1

農業関連 6 表5-2

伝統的慣習・行事 5 表5-3

教育・文化活動 8 表5-4

自然災害時(H16 台風 23 号)の避難・避難生活 8 表5-5

自然災害時(H16 台風 23 号)での復旧活動 7 表5-6

○「地域運営・情報伝達」の 8 つの役割のうち 5 つを「区(区長)」単位で担っている。

○「農業関連」の 6 つの役割全てにおいて「農会」が関わっていることから福田区内の

農業関係者の統率組織は「農会」であるといえる。

○「伝統的週間・行事」の 5 つの役割については 5 つ中 3 つの役割が存在しておらず,

単純に「神社の管理」「お祭りの企画・実行」を「隣圃」の単位で担っているというこ

としかいえない。

○「教育・文化活動」の 8 つの役割のうち,年齢・性別等の属性別での集まり・活動が

消滅してしまっていた。教育活動としては五荘地区に一つの小学校が存在しているた

め,福田区という行政区の範域を超えた「地区」を範域とする組織が役割を担ってい

ることが理解できる

○自然災害時においては計 15 の役割の内,7 つに「区」単位での活動がみられる。

区に存在する組織(単位)

1 区

2 隣圃

3 自警団

4 農会

5 土地改良区

6 育成会

7 消防団

8 民生員

9 育遊会(地区組織)

10 区長会(地区組織)

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上図に福田区住民に記してもらった赤線は大字の範域である。この大字の範域は行政区

としての福田区と類似しているが完全には一致していない。福田で土地改良区が管理を行

っている範域は上図で黄色く記した場のみである。ビオトープ水田がある圃場も基盤整備

が行われているが,これは昭和 8 年の河川改修のついでに整備を行ったため,この範域で

土地改良区が立ち上げられることはなく,現在,福田区農会が管轄を行っている。

福田の大字・ビオトープ水田・土地改良区の位置

大字福田の範域

土地改良区の範域

ビオトープ水田

改修前の河川位置

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14

福田区は区の範域の1/3ほどが都市計画区域の「第一種中高層住宅専用地域」に指定

されており,一戸建て以外にマンション等の共同住宅・学校・病院等の建築が許可されて

いる。そのため,新しくアパートが建設され区外から多くの人が流入している(福田区の

総戸数の変化参照)。このことは農業地域だった福田にとって,土地利用形態が変化すると

いう問題だけでなく,各組織範域内の住民層の変化に伴い,それぞれの自治的組織の活動,

統率意識の変化が懸念されている。

福田区内の都市計画区域 大字福田の範域

第一種住居地域

準工業地域

第一種中高層住居専用地域

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表5-1 福田区における地域運営・情報伝達を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

①住民の意見をまとめ,行

政と交渉や陳情を行う組

織(単位)

「区(区長)」

・行政への陳情は区での対

応が基本であり,地区と

してはほとんどない。

②住民の意見をまとめる組

織(単位)

「区総会」

・代議員制で年 2 回開催。

・代議員 60 名を各隣圃から

選出。

③行政からの配布物を各世

帯に配布する組織(単位)

④回覧板や連絡を各世帯に

伝達する組織(単位)

「隣圃」

区長⇔隣圃長⇔各世帯

・福田区には 13 の隣圃があ

り,各隣圃は 14~20 世帯

で構成される。

⑤町内会費等を集める組織

(単位)

「区」 ・五荘地区費も区費に含め

て一括で収める形式。

⑥地域振興を行う組織

(単位)

「区」 ・五荘地区としては地域内

の条件が異なるため地域

振興を行うことは無い。

⑦地域での防犯活動を行う

組織(単位)

「自警団」

区を単位として組織

・隣圃単位から人員を選出。

⑧地域での消防活動を行う

組織(単位)

「消防団」

五荘地区で2分団がある

・人口増加により豊岡駅周

辺地域から福田区を担当

する1分団がある。

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16

表5-2 福田区における農業関連を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

①農地基盤整備実施や行政

と交渉を行う組織(単位)

「農会」

・昭和初期の基盤整備では

村(区)民全てが農業受

益者であった。

② 農 家 間 の 意 志 決 定 ( 企

画・将来構想の決定等)

を行う組織(単位)

「農会」

+「区」

・福田区に関わる大きな範

囲に及ぶ場合は区と農会

での合同での検討。

③農業に関する回覧・連絡

事 項 の 伝 達 を 行 う 組 織

(単位)

「隣圃」

副農会長⇔隣圃(世話係)⇔

農業者

④水路の管理(堰普請)を

行う組織(単位)

⑤農道の管理(道普請)を

行う組織(単位)

「農会」

「土地改良組合」

・樋堰の管理を農会が実施。

・部分的な箇所は各土地改

良組合が実施。

⑥環境水田(ビオトープ水

田・冬季潅水田)の管理

を行う組織(単位)

「農会」

表5-3 福田区における伝統的慣習・行事を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

①講(金銭や労働のうえで

組織した相互扶助組織)

の組織(単位)

現在はない。

②檀家 統一した組織はない。

③ 神 社 の 管 理 を 行 う 組 織

(単位)

④お祭を企画し,実行する

組織(単位)

「隣圃」 ・管理は 1 年交代での隣圃

が待ちまわり(祭・どん

ど焼き)などを実施。

⑤縁(血縁関係)での組織

(単位)

現在はない。

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17

表5-4 福田区における教育・文化活動を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

① P T A 活 動 を 行 う 組 織

(単位)

福田区「育成会」

五荘地区「育遊会」

・五荘地区で「育遊会」が

存在し,支部組織として

福田区「育成化」が存在。

②小・中学校への後援活動

を行う組織(単位)

五荘地区「育遊会」

五荘地区「区長会」

・後援活動は五荘地区「育

遊会」が実施。式典等特

別時に区長会が関与。

③運動会や球技大会などの

対抗戦を行う組織(単位)

④青年の集まり組織(単位)

⑤婦人の集まり組織(単位)

⑥高齢者の集まり(その場

を企画・設置する)組織

(単位)

・青年会はない。

・老人会や中年会,福寿会

など,年齢層での任意の

会合を存在。

⑦社会福祉活動(高齢者等

への支援)を行う組織

(単位)

「民生委員」 ・福田区と栃江区で3人の

民生委員の他,3名の補

助者が在任。

⑧コウノトリ野生復帰活動

への協力を行う組織

(単位)

「農会」

「区(?)」

・H17 に実施した「コウノト

リ祭り」は,区と農会の

共同企画開催。

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表5-5 福田区における自然災害時(H16 台風 23 号)に避難・避難生活を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

① 非難 の呼 びかけを

行う組織(単位)

②非難誘導を行う組織

(単位)

「区長」⇔「隣圃」

区長不在時は「自警団」⇔

「隣圃」

・河川が氾濫しても集団非

難は例が少ない。

・非常時の左の体制で避難。

・自警団は幾つかの燐圃が

集まって1つの「ブロッ

ク」を形成。

③避難所運営や避難所

間の連絡を行う組織

(単位)

「学校区」

・指定避難場所は「北中」。

・「北中」の他,公民館の避

難所の経緯もある。この

時の責任者は区長。

④地域の人々の安否確

認を行う組織(単位)

⑤地域内の被害状況の

把握を行う組織

(単位)

⑥被災下での情報伝達

を担う組織(単位)

「区長」⇔「自警団」 ・安否確認及び被害状況の

把握の実働は自警団。

・本部を公民館に設置し,

自警団が収集した被害状

況を区長に伝え,行政へ

の連絡網とした。

⑦炊き出しなどを行う

組織(単位)

・区の女性達が率先した取

り組み。

被災直後

⑧ボランティア等受け

入れ窓口を担う組織

(単位)

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表5-6 福田区における自然災害下(H16 台風 23 号)での復旧活動を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

①行政交渉・対話(補

助交付金等情報)を

担う組織(単位)

「区(長)」

②被災下での補助交付

金等の申請作業を担

う組織(単位)

・公民館や共有施設等の小

規模な被害は,区費の積

立金で対応する場合もあ

る。

③住宅再建の申請作業

等を担う組織(単位)

「区(長)」 ・区(長)で被害状況をま

とめて申請した方が行政

も対応しやすい。

④農地の修繕(共同施

設)の申請作業等を

担う組織(単位)

⑤農道の修繕(共同施

設)の申請作業等を

担う組織(単位)

「農会(長)」 ・小規模な被害は,農会の

積立金で対応する場合も

ある。

⑥金銭的な補償等に関

わる申請作業等を担

う組織(単位)

復旧活動時

⑦協働による復旧作業

を行う組織(単位)

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20

2)中筋地区沖加陽区における自治的組織

ヒアリング・資料調査より沖加陽区に存在する組織(単

位)の抽出を行った。結果として左表に示した 11 の組織

が抽出できた。

この抽出した 11 の組織のうち「消防団」は市管轄の防

災組織,「民生員」は市の社会福祉協議会の管轄組織であ

る。また,「新川管理組合」・「住み良い中筋を作る会」・「区

長会」の範域は「地区」でる。環境水田の管理を行うグ

ループは圃場の中の一部の場所のみでの活動である。

以上より沖加陽区内の生活において何らかの役割を担

っている組織は,自治的な 5 つ,中筋地区を範域とする 3 組織,行政との繋がりの強

い 2 組織,局地的な1組織であると把握ができた。

2)行政区内の諸活動を担う組織(単位)の把握

沖加陽区内の生活で発生すると思われる活動項目6つを上げ,それぞれの項目に関

連する諸活動をどの組織が担っているのかを表 5-7 から表 5-12 にまとめた。

必要な活動項目 関連する諸活動(役割) 表番号

地域運営・情報伝達 8 表5-7

農業関連 6 表5-8

伝統的慣習・行事 5 表5-9

教育・文化活動 8 表5-10

自然災害時(H16 台風 23 号)の避難・避難生活 8 表5-11

自然災害時(H16 台風 23 号)での復旧活動 7 表5-12

○「地域運営・情報伝達」の 8 つの役割の内 5 つの役割に「区」単位での活動がみられ

る。

○「農業関連」の 6 つの役割の内,3 つで「土地改良区」が関わっている。一方,福田

区では多くの役割を担っていた「農会」は沖加陽区においては行政との連絡関係の 2

つの役割を担うに留まっている。

○「伝統的慣習・行動」における活動は福田区と同様「神社の管理」「お祭りの企画・運

営」しか活動が見られなかった。そして,それぞれの役割は「区」単位で担っている。

○「教育・文化活動」の役割は,やはり中筋地区が一つの小学校区であるため,「地区」

が範域である「区長会」の活動が見られる。

○自然災害時の役割は,沖加陽は H16年台風 23号による被害が軽微であったこともあり,

組織が役割を担ったという意識が低かった。ただし,ほとんどの役割の担い手として

「区長」が上げられており,緊急時の「区長」の担う役割の多さが目立つ。

区に存在する組織(単位)

1 区

2 隣圃

3 自警団

4 農会

5 土地改良区

6 新川水利組合

7 住み良い中筋を作る会

8 環境水田の管理グループ

9 消防団

10 民生員

11 区長会(地区組織)

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上図で赤く囲ったところが大字の加陽の範域である。研究対象地である行政区としての

「沖加陽」の範囲を訪ねたところ,沖加陽行政区はオレンジで囲った家屋の集りであり明

確な「範域」の認識は見られなかった。大字「加陽」の範域の中には「下加陽」「沖加陽」

の二つの行政区が存在しており,それぞれに自主的な地域運営組織を有して独立した単位

である。しかし,祭は神社が大字の範域に 1 つであることから大字単位で行われ,年一度

は会計を大字「加陽」の単位でまとめるなど大字の範域でのまとまりも強い地域だと考察

する。 大字「加陽」内では,土地改良は昭和 33 年と昭和 55 年に行われ,それぞれに土

地改良区が立ち上げられた。現在前者の土地改良区は土地改良終了に伴い東浦水利組合名

称が変更されている。

加陽の大字・ビオトープ水田・土地改良区の位置

大字加陽の範域

土地改良区の範域

ビオトープ水田

改修前の河川位置

沖加陽行政区

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中筋地区

大字加陽の範域

土地改良区の範域

ビオトープ水田

改修前の河川位置

各大字の範域

中筋地区内の大字・ビオトープ水田・土地改良区の位置

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○中筋地区内の統率組織

中筋地区は研究対象地である沖加陽区以外に,市谷・中郷・引野・土淵・下加陽・清冷

寺・伏・八社宮の 8 行政区,計 9 つの行政区から構成される範域である。9 つの行政区は

それぞれ区長を頂点とした自治的な地区の統率組織を形成しており,行政区内での住民の

結びつきは強い。

中筋地区全体の話し合い,統率を行う組織としては「中筋区長会」がある。これは,9

行政区の各区長の集まりである。

○大字

上図の赤線で囲われた部分は地区住民に聞いたそれぞれの大字の範域を示す。中筋地区

は大字で区切ると,沖加陽・下加陽が 1 つの「加陽」という大字の範域にあたり,市谷が

中郷の大字範囲に内包されるため,中郷・引野・土淵・加陽・清冷寺・伏・八社宮 7 つの

大字から形成されていることになる。

○地区の範域

地図から読み取ると,中筋地区は出石川と円山川によって「中郷・引野・土淵・加陽」

「清冷寺・伏・八社宮」の2つの範囲に分断されている。これは,旧中筋村として自治的

な組織により政治が行われていた一つの範域としては不思議な印象を受ける。現地での聞

き取りによると,地区が分断されたのは,明治の河川改修により円山川・出石川が現在の

場所を流れるようになったためとのことである。それ以前は,川が図に青線で記したよう

に,山に沿って流れていたため中筋地区を構成する 7 つの大字に内包される集落は全て繋

がっており一つの村の範域は分断されていなかった。

○土地改良区

基盤整備は大字の範域内で行われそれぞれの圃場に対して土地改良区が立ち上げられて

いる。そのため,土地改良区は行政区内の住民による結びつきは強い。しかし,整備が行

われる場所の所有者が必ずしも皆同一の区にいるとは限らず,土地改良区は区・字の範域

を基本としても一致せず,地権者による自治組織と考えられる。

○住みよい中筋を作る会

中筋地区で注目すべき自治的組織に「住みよい中筋を作る会」がある。先に記したよう

に中筋地区はそれぞれの行政区が区長を中心としており,地区全体の意思決定組織はその

区長の集まりである「区長会」である。しかし,各区長の任期は 1 年であり,長期的な対

応・行政との対話が必要となる「むらづくり活動」を行なう上で不都合が多い。そこで,

区長経験者などが集まり,活動範域を中筋地区全体に定め,長期的なむらづくり・地域振

興を担う組織として立ち上げたのが「住みよい中筋を作る会」である。活動経費は区長会

から費用をもらっているが,ほとんどがボランティアによる活動である。

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表5-7 沖加陽区における地域運営・情報伝達を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

①住民の意見をまとめ,行

政と交渉や陳情を行う組

織(単位)

「区(区長)」

「区総会」

・総会で区内の問題を集め,

区長が市(行政)に陳情

を行う形式

②住民の意見をまとめる組

織(単位)

「区長」+「隣圃長」

「区総会」

・区長・隣圃長の集まりで

事業計画・予算案を作製

それをもとに総会を決定

③行政からの配布物を各世

帯に配布する組織(単位)

④回覧板や連絡を各世帯に

伝達する組織(単位)

「隣圃」

区長⇔隣圃長⇔各世帯

⑤町内会費等を集める組織

(単位)

「区」:各区費

(各区により金額は異なる)

「地区」:中筋地区費

(地区内全世帯均一徴収)

⑥地域振興を行う組織

(単位)

「住み良い中筋を作る会」 ・活動費 8 万円を区長会よ

り支給されるが,それ以

外はボランティア活動

⑦地域での防犯活動を行う

組織(単位)

「自警団」

区を単位として組織

⑧地域での消防活動を行う

組織(単位)

「消防団」

市の消防組織

中筋地区に 1 分団がある

・消防団員は各区から何人

か選出している。

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表5-8 沖加陽区における農業関連を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

①農地基盤整備実施や行政

と交渉を行う組織(単位)

整備の実施:「土地改良区」

行政への対応:「農会」

※土地改良が行われていな

い農地の管理は農会が担う

・農会は農林水産省の施策

の手伝い末端での認識。

・基盤整備進行時は土地改

良区に力がある。

② 農 家 間 の 意 志 決 定 ( 企

画・将来構想の決定等)

を行う組織(単位)

・現在話し合いの場がない。 ・農業の専業率が低いため,

お互いの干渉が難しく,

基本的には個人所有の土

地の管理で手一杯。

③農業に関する回覧・連絡

事 項 の 伝 達 を 行 う 組 織

(単位)

④水路の管理(堰普請)を

行う組織(単位)

「土地改良区」

「新川水路組合」

※新川:中筋地区の水源とな

る水路。中筋地区全戸加入

・枝分かれ後の水路の管理

は土地改良区。

・新川水路本線の管理は新

川水路組合が専任。(各区

に理事がいる)

⑤農道の管理(道普請)を

行う組織(単位)

「土地改良区」

⑥環境水田(ビオトープ水

田・冬季潅水田)の管理

を行う組織(単位)

「農会」

「実施水田の所有者からな

る実行グループ」

・市からの協力要請等は行

政⇒農会で行われる

・実施面積が小さいため,

管理,以後の行政との連

絡は実施場所の所有者か

らなるグループに委任

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表5-9 沖加陽区における伝統的慣習・行事を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

①講(金銭や労働のうえで

組織した相互扶助組織)

の組織(単位)

・昔はあり,10 世帯ほどの

グループで行っていた。

②檀家

③ 神 社 の 管 理 を 行 う 組 織

(単位)

「区」 ・各集落は神社を持ってお

り,その管理は区で行う。

④お祭を企画し,実行する

組織(単位)

「隣圃」

・神社を中心として祭がある

ため区が関わる。

「区」

・祭の企画・実行は区内の

隣圃が持ち回りで担って

いる。

⑤縁(血縁関係)での組織

(単位)

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表5-10 沖加陽区における教育・文化活動を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

① P T A 活 動 を 行 う 組 織

(単位)

「中筋地区で子どもを持つ

親」

・中筋地区の範域が 1 つの

小学校区であるため

②小・中学校への後援活動

を行う組織(単位)

「区長会」

「中保会」:広域の財団法人

・中保会は小学校の卒業記

念,文庫の本を寄贈した。

③運動会や球技大会などの

対抗戦を行う組織(単位)

「区長会」:公民館活動とし

・9 集落対抗運動会・文化祭

などは区長会が中心とな

って「公民館活動」とし

て行われている。

④青年の集まり組織(単位)

⑤婦人の集まり組織(単位)

⑥高齢者の集まり(その場

を企画・設置する)組織

(単位)

・ほとんどなくなってしま

った。

・区によっては存在してい

る場所もあるかもしれな

い。

⑦社会福祉活動(高齢者等

への支援)を行う組織

(単位)

「民生員」

「民生協力員」

・中筋地区に 3 人。民生員

のいない集落(区)には

民生協力員 がいる。民生

員は個人的に市の社共と

連絡をとる。

⑧コウノトリ野生復帰活動

への協力を行う組織

(単位)

「農会」

「実施水田の所有者からな

る実行グループ」

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表5-11 沖加陽区における自然災害時に避難・避難生活を担う組織 役 割 組織(単位)名 備 考

① 避難 の呼 びかけを行う組織(単位)

②避難誘導を行う組織(単位)

「区長」(いざとなれば) ・現在は防災無線により行われる。

・自主避難が基本(避難場所は各世帯で決定)

③避難所運営や避難所間の連絡を行う組織

(単位)

「区長」 H16 台風 23 号時,中筋は被害は少なかったが,他地区住民が避難所である中筋小学校に避難を行った。そのため,小学校が立地する区の区長が避難所の運営等を主に担った。

・山のほうへ逃げるのが原則だった。

・昔は石垣の整備された庄屋さんの家が避難所になり,そこで炊き出しが行われた。

④地域の人々の安否確認を行う組織(単位)

「区長」⇔「隣圃長」 ・お年寄りの確認なども民生員でなくこの「区長」⇔「隣圃長」ラインでおこなわれた。

⑤炊き出しなどを行う組織(単位)

「区長」 「手の空いている集落住民」

・中筋地区自体には大きな被害が無かったため,住民は避難所へ食料の持ち寄りなどを行った。

⑥地域内の被害状況の把握を行う組織

(単位)

「区長」⇔「隣圃長」

⑦被災下での情報伝達を担う組織(単位)

行政⇔「区長」⇔「隣圃長」 ・区長は各区の状況をまとめ,救援物資の受け入れ場となった,公民館に持ち寄り,そこで行政から来たひとに情報を伝えた。

被災直後

⑧ボランティア等受け入れ窓口を担う組織(単位)

行政⇔「区長」 ・被災直後は混乱しており,区長もボランティアの受け入れにまで手がまわらなかった。復旧作業を行う時点で区長を当してボランティア を 受 け 入 れ た 区 も あ った。

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表5-12 沖加陽区における自然災害下での復旧活動を担う組織

役 割 組織(単位)名 備 考

①行政交渉・対話(補

助交付金等情報)を

担う組織(単位)

「区長」 ・水害被害に対する補助金

等の申請は集落単位で区長

がまとめて行政に行った。

②被災下での補助交付

金等の申請作業を担

う組織(単位)

「区」 ・早急な対応を求めるには

区⇔行政の連絡体制が一番

早く有効と感じる

③住宅再建の申請作業

等を担う組織(単位)

「個人」 ・ 個人財産に 対す る対応

は自己責任が原則。

④農地の修繕(共同施

設)の申請作業等を

担う組織(単位)

「土地改良区」

⑤農道の修繕(共同施

設)の申請作業等を

担う組織(単位)

「土地改良区」 ・集落道路や公民館など共

同のものに被害があった場

合は区で対応し区費の使用

もある。

⑥金銭的な補償等に関

わる申請作業等を担

う組織(単位)

復旧活動時

⑦協働による復旧作業

を行う組織(単位)

台風 23号時には見られなか

った

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(2)水田環境の維持管理に対する活動実態とその意識

1)五荘地区:福田区における管理運営形態と意識

福田区では,低湿地帯の荒廃水田(アシ原化)による周辺農地や用水路管理への影響

を考慮し,伝統的な農家の集まりである「福田農会」が取り組んだ(2004 年)。

市街化区域に位置する同区は,他区と比べ,小さな水田の集まった区であり,営農組合

を結成する規模ではない。

また,新住民の流入による農家の減少や,低湿地が影響する河川への潮の流入,またそ

れが引き起こす,水田の芦原化等,土地条件の悪さもあり,近年,営農・ビオトープ水田

の運営・管理にも困難な状況が見られる。他行政区の地権者の理解を得るのも大変だった。

中国からの野生コウノトリ(ハチゴロウ)が飛来・生息した場所であることから,その

時期より,コウノトリに対する意識が高まり,ビオトープ水田に対する意識も若干高まっ

た。ビオトープ水田への取り組みの 3 年を契機に,2005 年 7 月 31 日には,農会と自治会

を主体として「コウノトリ祭り」を開催するなど農業者以外への啓発活動も行ってきた。

また,地元の子ども達を対象とした「田んぼの学校」等を通じてのビオトープ水田に対す

る理解を広げてきた。

しかしながら,今後のビオトープ水田の維持管理については,平成 20 年での事業終了

まで,水田が維持できれば良いということを最優先として継続している状況である。行政

施策としてのビオトープ水田への補助が終了する時点で,福田農会による維持管理を終了

する予定であり,その後は以前のように荒廃(アシ原化)するであろうとの危惧が明らか

になった。

また,一方で何らかの施策によりビオトープ水田の維持管理が継続しても,現在の管理

方法では,福田区の水田は低湿地という土壌的な条件もあり,代掻きのための機械が沈ん

でしまうため,農業生産のための復田が困難になるとの指摘があった。

田んぼの学校風景 福田区地蔵盆の様子

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31

2)中筋地区:加陽区における管理運営形態と意識

加陽区では,堤外地の農地(休耕地)を利用したビオトープ水田が展開されている。

加陽区は,昭和 33 年に現在ポスター等にも使用される有名なコウノトリと人々が共に

暮らす写真が撮影された場であり,その姿を復活させようとの想いがある。

しかしながら行政からの誘いがあった当初はビオトープに対する認識が無かったため

積極的ではなかった。ビオトープの維持管理委託は,加陽区の土地改良組合のひとつで

ある「東浦水利組合」が受けている。この東浦水利組合は,昭和 33 年に桑畑を水田化

した土地改良組合が前身であり当該区において最も歴史の古い組織である。

当該区におけるビオトープ水田は,隣接する出石川を活用した「川と親しむ環境整備」

や中山丘陵の里山環境を活用した「中山丘陵自然公園」つくり計画とあわせ,まちづく

りとしての「コウノトリ憩う 花と野鳥の里づくり(案)」に位置づけられ,地域活性化

の一端を担う活動となっている。

しかしながら一方では,ビオトープ水田をはじめとするコウノトリ野生復帰事業に関

わっているのは加陽区のみで中筋地区全域には波及しておらず,実際に事業参加に踏み

切った背景には,近年の水害による被害増加により水田としての維持困難であり休耕田

化したことから,耕作放棄地となるより助成が得られる事業を選択した背景もある。

ビオトープ水田の管理運営には,NPO や専門家の関与や地域の子どもたちに向けての

環境教育の場としての提供など地域に向けた啓発活動には現状では至っておらず,行政

の指導のもとでの管理活動となっている。

新川用水路 遊水機能が認識されている圃場

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32

(3)水害常襲地域としての暮らしの工夫と防災機能としての水田に対する意識

1)五荘地区:福田区における暮らしの工夫

福田区では,30 年前から新興住宅が急増し,遊水地としての水田が減った。水田がア

シ原となったのは減反政策による結果との指摘がなされた。内水による洪水はたびたび

起こるが,H16 台風 23 号でのような決壊はまれである。

福田区の伝統的な住宅は石垣により底上げがなされ,浸水を逃れる工夫がなされてい

るとともに,いわゆる旧集落は丘陵部の裾野の比較的小高い場所に集落を形成すること

で浸水に備えてきた。

現在の避難場所は,北中学校が指定されているが,被災直下での非難は各戸の近辺で

浸水被害のない慣習的に把握している場所への避難が優先される。また,個々での水害

への備えとして石垣による住宅の底上げなどのハード的な対応はなされてきたが,区組

織として特にソフト面での伝統的な備えは伺えない。しかしながら,農業面では台風に

よる稲掛け等の倒壊被害などに対しては共同による復旧作業などが自然になされてきた。

2)五荘地区:福田区における防災機能としての水田に対する意識

福田区は,円山川と中川の合流地に位置し,低湿地の水田地帯を抱える集落構造であ

るため浸水被害との戦いの歴史を持っているといえる。しかしながら都市計画区域用途

地域指定を選択し新興住宅地が形成され水田が減少するなかで,水田の遊水地としての

洪水防止機能が低下したとことを住民自身が感覚的に捉えていた。このようななか農会

は,当該区で取組むビオトープ水田の持つ水害に対する防災機能の価値を評価している

が,維持管理に関わる金銭及び人員の面での疲弊が伺えた。

福田区の公民館 福田区の農地

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33

3)中筋地区:加陽区における暮らしの工夫

中筋地区には昭和 30 年代まで各集落に円山川の渡し舟があり,川向こうの畑への耕

作等に利用されるなど舟文化を展開した地域であることが伺える。

明治中期には低方の固定堤防(2~3m)が造成され,ついで大正・昭和と大改修が行

われ築堤がなされ水害対策の長い歴史を持つ地域でもある。

江戸時代末期までの集落は,中山丘陵の裾野に形成されていたが,明治期の河川改修

後,現在の位置に移転している。この頃から,石垣による家屋のかさ上げがなされた。

このかさ上げには,畑を水田化するために掘った土砂を使用している。掘下げによって

生じた窪地を熊地といい,かつては集落内に入り乱れていたが,土地改良によってほと

んどが消失している。

輸送用の船着場が存在し,玄武洞から玄武岩を船で輸送するなど,30 名程度が乗船可

能な船も昭和 45 年頃まで利用され通学等にも使用されていた。また,庄屋をはじめ集

落に何件か船を持っている家があり,水害時にはこれらの船が活躍した。豪雨時には浸

水する前に丘陵(中山神社)へ避難し,船は家屋へ戻る際に利用することが多かった。

しかしながら,昭和 30 年代に舟文化はコウノトリとともに消えていった。

4)中筋地区:加陽区における防災機能としての水田に対する意識

東浦水利組合が取組む加陽区のビオトープ水田は,集落が形成される場所に位置して

いないため,特に防災機能としての意識は伺えない。

今後のまちづくり,地域活性化方策の一端としての機能に注目されている。

渡し舟の風景 水がついた中筋地区の様子

豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告

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終 章

(1)考 察

本研究は,コウノトリ野生復帰事業の一環としての環境水田を土地利用計画に位置づけ

ている豊岡市での施策に注目し,同市がおかれている水害常襲地域としての自然災害対策

を考慮したランドスケープデザインとしての環境水田の維持管理に対する地域住民の意識

の一端を明らかとすることを目的している。

そのひとつとして本稿では,地域におけるまちづくり及び土地利用としての環境水田の

位置づけ,その管理運営体制の実態をヒアリング調査によって把握した。五荘地区福田区

と中筋地区加陽区を対象とした調査では,福田区での環境水田は,地域内の水田の荒廃農

地化を防ぐための土地利用の維持管理手法としての位置づけが主であることを明らかとし

た。加陽区での環境水田は,今後のまちづくり・地域活性化のうえでの河川や里山を含め

た土地利用計画での環境教育的機能としての位置づけが主であることを明らかとした。

現在,環境水田の管理は「農会」「担い手グループ」など限られた組織で行われており,環

境水田が位置している地域においても地域住民がその存在を理解しているかどうかあやし

い。

本調査から住民の日常生活における区を単位とするまとまりの強さが伺えた。このこと

から現在環境水田を管理している組織が,環境水田の持続的な維持管理を展開するうえで,

区を単位とした範域での活動啓発や水田の持つ公益機能をアピールすることで,区内の他

の自治的組織と連携し「区の環境水田」という位置付けにまで引き上げるのが望ましいと

考察する。

一方で,環境水田の遊水機能に注目し,区の水害対策の一部へ位置づけ管理・土地利用

を行えれば,農業・生物多様性等自然環境への興味・関係が薄い人からの協力も期待でき

ることから環境水田を核とした「水害に対応したランドスケープデザイン」の可能性が考

察できる。

今回の,地域運営にかかわる自治的組織の体制及び活動の把握からは,現状での農会や

水利・土地改良組合といった管理者と共同管理に至る方向性を持つ組織を見出すことはで

きなかった。しかしながら環境水田が持つ生物多様性の面からの環境教育では,学校教育

やPTAと連携することで潜在的なニーズを満たしつつパートナーシップによる維持管理

の可能性が伺えた。

豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助制度実績報告

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(2)今後の課題と展開

本稿での調査研究はヒアリング形式で実施したため,特定の組織・団体に所属する住民

の意識をまとめたに過ぎず定量的な分析にもとづいた考察ができなかった。今後は,直接

環境水田にかかわることの無い住民にアンケート調査を実施するなど,定量的な分析おこ

なうことが課題である。

また,今回報告で考察が不十分であった環境水田の公益機能(特に洪水調整機能)に対

する評価と,その維持管理に対するディカップリングや人的支援の可能性に関する研究を

展開していきたい。

さらにこれらの研究を展開しながら今回調査研究で得た情報をもとに取組んだ,GIS

(地理情報システム)によるデータ整備を引き続きおこない,行政へ還元していきたい。

謝 辞

本件研究は昨年度から引き続き,豊岡市コウノトリ野生復帰学術研究奨励補助金をうけて

実施したものである。

私は自然災害に対する地域の自治的組織に対し興味を持ち研究を行っております。その

研究の一環として昨年度,豊岡市出身の同研究室所属学生である谷垣君の研究であり,補

助金を受け実施された「水災害前後での“コウノトリ野生復帰”を核とする地域環境形成

に対する意識」へ共同研究者として参加したことから豊岡市と関わりを持ちました。

今年度は谷垣君が卒業したことにより私が主研究者となり,コウノトリ野生復帰に関係

しながらも,「水害」に対する地域計画の基礎的研究の要素を強く含んだ本研究を行う運び

となりました。

本研究を進める上で,豊岡市役所の方々をはじめ多くの方の協力を得られたことに感謝

しております。

特に,昨年度から引き続き研究対象地に定めさせて頂いた「福田区」,今年度からお世話

になっている「中筋地区・沖加陽区」の皆様におきましては,お忙しい最中時間を割いて

頂いたにも関わらず,ヒアリング等の調査に親切・丁寧に対応をして頂きましたことに大

変感謝しております。

この場をお借りして,本研究へ協力を頂いた全ての方々に謝意を表させて頂きます。