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救急業務について 1 消防庁作成

救急業務について - kaigai-shobo.jpkaigai-shobo.jp/pdf/4Ambulance_Services_jpn.pdf · ・応急手当の範囲:救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和. 53年消防庁告示第2号)の範囲

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救急業務について

1

消防庁作成

・ 消防本部数:752本部(単独456本部、組合427本部)・ 救急業務実施市町村数:1,686市町村・ 救急隊数5,028隊・ 救急隊員数: 60,634人・ 救急救命士資格者数: 31,012人・ 運用救急救命士数: 23,5602,870人

・ 救急業務は昭和38年に法制化され、昭和61年には、救急業務の対象として、従前の

災害により生じた事故等による傷病者の搬送に疾病等による傷病者の搬送が加えられるとともに、救急隊員による応急処置が法律上明記された。

・ 平成3年には救急救命士法が制定され、医師の指示のもとに高度な救急救命処置

(気管挿管、薬剤投与等)を行うことが出来る救急救命士制度が創設された。

・ 平成21年には、消防の目的・任務に、従前の災害による被害を軽減すること等に加

え、傷病者の搬送を適切に行うことが追加された。

○ 救急業務の位置づけ

○ 救急業務実施体制(平成26年4月1日現在)

救急業務について

救急業務の位置づけと実施体制

2

・災害等による傷病者のうち医療機関等へ緊急に搬送する必要があるものを搬送すること(傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間、緊急やむを得ず応急手当を行うことを含む)。

(消防法2条9項)※医師法17条で医業は医師以外行ってはならないことを規定。

・応急手当の範囲 : 救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)の範囲・基準6条3項 : 救急救命士の有資格救急隊員は基準に定める範囲以外にも、救急救命士法の

定めるところにより応急処置を行うものとする・救急救命士法には第2条に基づく医師の包括的指示による救急救命処置と、第44条による医師の具体的指示が必要な救急救命処置(特定行為)がある。

・救急救命士法に定める救急救命処置は、平成26年までに6回にわたり拡大された。

・救急隊 : ・救急自動車一台及び救急隊員三人以上

(転院搬送の場合は救急隊員二人と医師or看護師or准看護師or救急救命士から一人でも可)

・航空機一機及び救急隊二人以上 (消防法施行令44条)・救急隊員 : ・省令で定める救急業務の講習課程(135時間以上)を終了した消防職員

・救急救命士の免許を受けている消防職員・消防庁長官が同等以上の学識経験があると認める消防職員

(消防法施行規則50条~51条の2)

○ 救急隊と救急隊員

○ 救急業務の定義と応急処置等

救急業務について

救急隊の定義と救急業務の定義

3

483 541 1,369 2,232 3,338

4,556 5,846

6,757 8,016

9,461 10,823

12,152

13,505

15,317

16,468

17,218

18,336

19,368

20,383 21,268

22,118

22,870 23,560

168 221 499

730

1,057 1,333

1,678

2,040 2,345

2,592 2,884

3,142 3,439

3,722 3,939

4,181 4,310

4,453 4,573 4,648

4,763 4,842 4,897

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

運用救急救命士数

救急救命士運用隊数

○ 救急隊は、救急業務に関する講習を修了した救急隊員3人以上をもって編成しており、平成26年4月1日現在、全国で救急隊は5,028隊設置されており、6万634人(このうち救急救命士は23,560人)が救急隊員として活動している。

○ 消防庁では、全ての救急隊に救急救命士が少なくとも1人配置される体制を目標に救急救命士の養成を進めて

おり、平成26年4月現在、4,897隊(97.4%)で救急救命士が配置され運用している。

○ 救急救命士は、医師の具体的指示を受け、心肺停止状態の傷病者に高度な応急処置を行う。

○ 救急救命士の運用状況

救急業務について

救急隊数及び救急救命士運用状況

4

特定行為の内容

除細動の包括的指示化(平成15年)

•気管内チューブの追加(平成16年)•ビデオ喉頭鏡の追加(平成23年)

追加(平成18年)

追加(平成26年)

○心肺機能停止状態の患者に対する、

半自動式除細動器による除細動

厚生労働大臣の指定する薬剤を用いた静脈路確保のための輸液

厚生労働大臣の指定する器具による気道確保

■エピネフリンを用いた薬剤投与

○心肺機能停止前の患者に対する、

■低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与

■厚生労働大臣の指定する薬剤を用いた静脈路確保及び輸液

医師が具体的な指示を救急救命士に与えるのに必要な情報が、医師に伝えられていること。

(参考) 必要な情報とは、全身状態(血圧、体温を含む)、心電図、聴診器による呼吸の状況など。

医師と救急救命士が常に連携を保っていること。

特定行為の前提条件

〔特定行為の制限〕

第四十四条 救急救命士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生労働省令で定める救急救命処置を行ってはならない。

救急救命士法

詳解「救急救命士法」(第一法規)

救急業務について

特定行為

5

平成3年

平成15年平成16年平成18年平成21年

救急救命士法施行1.医師の具体的な指示で行うもの (特定行為)→ 心肺機能停止状態の患者に対してのみ行う・乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液・ラリンゲアルマスク等の器具による気道確保・半自動式除細動器による除細動(→平成15年まで)

2.医師の包括的な指示で行うもの→ 重度傷病者(心肺機能停止状態の患者も含む。)に対して行う・精神科領域の処置・小児科領域の処置・産婦人科領域の処置・聴診器の使用による心音・呼吸音の聴取・血圧計の使用による血圧の測定・心電計の使用による心拍動の観察及び心電図電送・鉗子・吸引器による咽頭・声門上部の異物の除去・経鼻エアウェイによる気道確保・パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度の測定

・ショックパンツの使用による血圧の保持及び下肢の固定

・自動式心マッサージ器の使用による胸骨圧迫心マッサージの施行

・特定在宅療法継続中の傷病者の処置の維持・口腔内の吸引・経口エアウェイによる気道確保・バッグマスクによる人工呼吸・酸素吸入器による酸素投与

「自動体外式除細動器(AED)による除細動」を1.から2.に変更「気管内チューブによる気道確保」(気管挿管)を1.に追加「エピネフリンの投与」を1.に追加「自己注射が可能なエピネフリン製剤によるエピネフリンの投与」を2.に追加

平成23年 「ビデオ硬性挿管用喉頭鏡を用いた気管挿管」を1.に追加平成26年 「心肺機能停止前の乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保及び輸液」と「低血糖発作へのブドウ

糖投与」を1.に追加「血糖測定器を用いた血糖測定」を2.に追加

救急業務について

救急救命士の処置範囲の拡大の経緯

6

医師の包括的な指示(救急救命士のみに該当する)医師の具体的指示

(特定行為)省令で定める救急救命処置

・精神科領域の処置

・小児科領域の処置

・産婦人科領域の処置

・自動体外式除細動器による除細動

・自己注射が可能なエピネフリン製剤によるエピネフリン

投与

・血糖測定器を用いた血糖測定

・聴診器の使用による心音・呼吸音の聴取

・血圧計の使用による血圧の測定

・心電計の使用による心拍動の観察及び心電図伝送

・鉗子・吸引器による咽頭・声門上部の異物の除去

・経鼻エアウェイによる気道確保

・パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度の測定

・ショックパンツの使用による血圧の保持及び下肢の固定

・自動式心マッサージ器の使用による体外式胸骨圧迫心

マッサージの施行

・特定在宅療法継続中の傷病者の処置の維持

・口腔内の吸引

・経口エアウエイによる気道確保

・バッグマスクによる人工呼吸

・酸素吸入器による酸素投与

・気管内チューブを通じた気管吸引

・自動体外式除細動器による除細動

・用手法による気道確保

・胸骨圧迫心マッサージ

・呼気吹き込み法による人工呼吸

・圧迫止血

・骨折の固定

・ハイムリック法及び背部叩打法による異物の除去

・体温・

脈拍・呼吸数・意識状態・顔色の観察

・必要な体位の維持、安静の維持、保温

・乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輪液

・食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク及び気管内

チューブによる気道確保(※

・エピネフリンを用いた薬剤の投与(※

・低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与

・心肺機能停止前の乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保及

び輸液

※は心肺機能停止状態の患者に対してのみ行うもの

救急救命処置(救急救命士)

応急処置(救急隊員)

一般人でも可能

注)赤字の処置は平成26年4月1日から拡大

救急業務について

救急救命士による救急救命処置

7

○ 救急救命処置の質の向上のために、医学的見地から質の確保を図るため、メディカルコントロール体制の充実が

必要であり、平成26年10月1日現在において、各地域単位のメディカルコントロール協議会は248となっている。

○ 消防庁(救急企画室)は、全国メディカルコントロール協議会連絡会の庶務を担当し、メディカルコントロール体制

の充実・強化を目的として連絡会を開催する。

【協議会構成員】・ 消防機関・ 医師会等・ 救急救命センター等の医師・ 都道府県(消防防災部局・ 衛生主幹部局)

メディカルコントロール協議会の概要

医師の指示、指導・助言体制

・特定行為の指示

・処置の指導・助言

・病院選定への助言

事後検証の実施

・救急活動記録表の検討

・救急救命処置の検証

再教育体制の整備

・病院実習の実施

・救急救命士の再教育の実施

プロトコルの策定

・救急救命処置

・緊急度・重症度判断

救急業務について

メディカルコントロール体制

8

救急需要の増大

9

救急需要の増大

救急出動件数及び前年比増減率の推移

6.0%

4.1%

4.9%

-0.8%

1.0%

-3.7%

0.5%

6.7%

4.5%

1.7%

1.8% 1.2%

-7.0%

-6.0%

-5.0%

-4.0%

-3.0%

-2.0%

-1.0%

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

380

430

480

530

580

年間出動件数 年間出動件数前年比増減率年間出動件数(万件)

0

速報値10

29.4 30.0 31.1 32.0 33.4 35.0 36.1 37.4 38.1 38.7 39.3

6.3 6.4 6.5 6.6 7.0 7.7 7.9 8.1 8.2 8.3 8.5

0.05.0

10.015.020.025.030.035.040.045.0

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

救急隊の搬送時間の推移

病院収容時間 現場到着時間

(分)

(年)

483 503 528 524 529 510 512 546 571 580 591 598

4,649 4,711 4,751 4,779 4,846 4,871 4,892 4,910 4,927 4,965 5,004 5,028

3,500

4,000

4,500

5,000

5,500

6,000

6,500

0

100

200

300

400

500

600

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

救急出動件数と救急隊数の推移

救急出動件数 救急隊数

(万件) (隊)

(年)

H15年比22%増加

H15年比8%増加

H15年比9.9分延伸

H15年比2.2分延伸

速報値

救急需要の増大

11

○ 平成26年中の救急出動件数は速報値で598万件と過去最多を更新確定値の平成15年を10年前と比較すると、10年間で約22%増加する一方、救急隊数は約8%の増加にとどまる。

○ 病院収容までの時間は、全国平均で39.3分(前年38.7分)となっており、過去最長となった。

○ 平成25年中の救急車の現場到着時間は8.5分で、10年間で2.2分延伸している。

軽症

2,667,527人50.0%中等症

2,108,748人39.5%

重症

474,175人8.9%

死亡

78,161人1.5%

その他

11,506人0.2%

搬送人員数

5,340,117人 49.9

○傷病程度別搬送人員の状況

○ 平成25年中における救急自動車により医療機関に搬送された傷病者の状況は、軽症者が半数を占めている。

○ 年齢区分別の搬送人員の状況では、高齢者が増加傾向にある。

(注) ( )内は年齢区分別の構成比(単位:%)を示す。

※傷病程度は、初診時における医師の診断に基づき、分類した。(1) 死亡とは、初診時において死亡が確認されたものをいう。(2) 重症とは、傷病程度が3週間の入院加療を必要とするもの以上を

いう。(3) 中等症とは、傷病程度が重症または軽症以外のものをいう。(4) 軽症とは、傷病程度が入院加療を必要としないものをいう。(5) その他とは、医師の診断がないもの及び傷病程度が判明しないも

の、並びにその他の場所に搬送したものをいう。)

軽症者が全体の約半数

【救急搬送の現状 ①】

○年齢区分別の傷病程度別搬送人員の状況

    年齢区分

程度

77 478 277 14,814 62,515 78,161(0.6) (0.2) (0.1) (0.7) (2.1) (1.5)

2,161 4,298 4,673 119,468 343,575 474,175(15.9) (1.7) (2.3) (6.1) (11.9) (8.9)

9,462 52,826 45,316 625,672 1,375,472 2,108,748(69.6) (21.0) (22.5) (31.8) (47.4) (39.5)

1,802 192,804 150,331 1,207,553 1,115,037 2,667,527(13.2) (76.6) (74.7) (61.2) (38.4) (49.9)

90 1,200 785 4,926 4,505 11,506

(0.7) (0.5) (0.4) (0.2) (0.2) (0.2)

13,592 251,606 201,382 1,972,433 2,901,104 5,340,117

(100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0)

高齢者 合 計

合 計

新生児 乳幼児 少 年 成 人

死 亡

重 症

中等症

軽 症

その他

救急需要の増大

12

【救急搬送の現状 ②】傷病程度別搬送人員構成比の推移

年齢区分別搬送人員構成比率の推移

救急需要の増大

13

3.72%4.05%

1.58%1.29%

2.38%

2.96%2.53%

2.24% 2.12% 2.15% 2.26% 2.47%2.87%

3.36%

4.16%

5.83%

8.36%

11.71%

17.03%

2.26% 2.35%

0.64% 0.47%0.93%

1.50% 1.34% 1.19% 1.15% 1.20% 1.30% 1.46%1.74%

2.11%

2.69%

3.87%

5.64%

7.95%

11.61%

0.46% 0.23% 0.42% 0.34%

0.92% 0.87%0.60% 0.48% 0.45% 0.44% 0.41% 0.40% 0.40% 0.39% 0.40% 0.41% 0.40% 0.36% 0.22%

0.51%1.02%

0.40% 0.24% 0.17% 0.21% 0.20% 0.18% 0.19% 0.21% 0.24% 0.28% 0.34% 0.42% 0.55%0.82%

1.25%

1.90%

3.08%

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

20.00%

平均

0~4歳

5~9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85歳

合計

急病

交通

一般負傷

その他

高齢者ほど搬送率は高い

合計

急病

一般負傷

その他

交通

※2007-2009年の全国における搬送率(平均)を基に作成

救急需要の増大

事故種別・搬送率の年齢階層による変化

14

(件・人) (人口:千人)

2000(年)

202520152005 2011 2020

推計値

人口

出動件数

搬送人員

救急需要の増大

人口・救急出動件数・救急搬送人員の推移とその将来推計(2000年~2025年)

平成24年度 救急業務のあり方に関する検討会報告書より 15