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Page 1: SAP ERP を Azure でクラウド化して運用コストを …download.microsoft.com/download/6/3/6/636CEC7A-369A-442B...SAP ERP と SAP CRM のクラウド化を決断 株式会社いい生活は、不動産市場向けの革新的なクラウド

ソリューション概要

○プロファイル株式会社いい生活は、不動産市場向けのクラウド サービスに特化し、不動産業務を効率的に推進する業務システムを提供しています。2015 年には、同社の「ESいい物件 One」が、優れたクラウド サービスを表彰する「ASPICクラウドアワード2015」において、社会・業界特化系グランプリを獲得。不動産業界はもちろん、クラウド ベンダーの間でも高く評価されています。

○導入製品とサービス・ Microsoft Azure・ SAP on Azure

○パートナー株式会社NTTデータグローバルソリューションズ

○導入メリット・ オンプレミスの SAP ERP を Azure に移行し、 コスト削減とパフォーマンス向上を実現・ 遠隔地バックアップが 1 か月に 1 回 (手動) から 10 分に 1 回 (自動) に・ サーバーの運用、ハードウェアの故障、老朽化 対応などにおける属人性を低減・ SAP CRM も移行して、情報分析環境も Azure 上で活用予定

○ユーザー コメント「オンプレミス だと、購入時に失 敗しても簡単に買い 換 えることはできません。しかし、Microsoft Azure であれば、いろいろと試行錯誤ができます。特に Enterprise Agreement (EA) は当社には適していました。また、NTTデータグローバルソリューションズさんの技術力が高かったことも、移行が成功した大きな要因です」

株式会社いい生活執行役員 CIOWebソリューション開発グループ鈴木 隆喜 氏

株式会社いい生活

導入背景とねらい社内システムの全面的なクラウド化を目指し、SAP ERP と SAP CRM のクラウド化を決断

株式会社いい生活は、不動産市場向けの革新的なクラウド サービスを開発、提供している「不動産情報テクノロジー」企業です。不動産業界には売買仲介、賃貸仲介、賃貸管理といった業態が存在しますが、同社の主力サービスである「ESいい物件 One」は「物件」に関する情報データベースを核にしてすべての業態における業務を実現、1 つのデータベースに集約することで新たな不動産情報流通のしくみを提供しています。同社はこのサービスの展開を通して、5 ~ 6

年後をめどに顧客企業を現在の約 1,300 社から 5,000 社に増やすことを目標としています。

同社は事業の拡大に備えて社内システムについても積極的なクラウド化を推進しており、中期的にはすべての社内システム用のサーバーを廃止することを目指しています。その理由を、株式会社いい生活 Web ソリューション開発グループ 業務システム部 部長 長峯 太郎 氏は次のように説明します。

「当社顧客は日本全国に広がっていることから、東京のデータセンターが使用不能になる規模の災害を想定した BCP を求められています。しかし、オンプレミス環境では現実的なコストと実効性のある形でこれを策定することは困難と考えていました」(長峯氏 )

また、SAP のクラウド化においては運用コストの削減も重要なテーマでした。

「社内システムを担当する業務システム部のスタッフは OA 担当も含めて 6 名です。その人数で

SAP ERP を Azure でクラウド化して運用コストを削減しつつ災害対策を強化、10 分ごとに自動で遠隔地バックアップ

不動産市場に向けたクラウド サービスを提供する株式会社いい生活。同社は、SAP 導入に際して

2009 年に調達したハードウェアが保守期限を迎えるのを契機に、ハードウェアの維持管理、寿命による更新およびその人員確保を含めたコスト ゼロを目指して、すべての社内システムをクラウド化することを決断しました。その第 1 弾として、SAP ERP の Microsoft Azure への移行を実施、大きな成果を上げることに成功しました。

NPO の ASPIC が国内で優秀かつ社会に有益な ASP/SaaS/クラ

ウド サービスを表彰する「ASPICクラウドアワード2015」におい

て、「ESいい物件One」が社会・業界特化系グランプリを獲得

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株式会社いい生活

最新技術をキャッチアップし、SAP などの業務アプリケーションだけでなくサーバー、ネットワークなどのインフラも運用、管理していく必要があります。しかし、情報システム部門としては IT 活用、業務改善を推進して利益に貢献する活動に注力したい。そこで 2014 年 4 月、最大規模の社内システムである SAP システムの OS / サーバー更新時期が迫っていることや、IaaS 環境がこなれてきたことを背景としてオンプレミスのシステムをなくすという方針を決めました」(長峯氏 )

導入の経緯スペックや SAP の認定、東西データセンターなどを総合的に判断して Azure を選択

そこで同社は、SAP のクラウド化の検討を開始。しかし早い段階から、具体的な選択候補は Microsoft Azure と Amazon Web Services (以下

AWS) の 2 つに絞られました。その理由について、同社のオンプレミス版

SAP の保守を担当し、今回のクラウド移行プロジェクトも支援した株式会社NTTデータグローバルソリューションズ (以下、NTTデータグローバルソリューションズ ) の広木 太 氏は次のように説明します。

「テクニカル面では、SAP の認定があることと、クラウドとしての性能と信頼性が十分であること。ガバナンス面では、たとえばクレジット カードの認証である PCIDSS など、第三者機関の各種認証がとれているかどうかをチェックしました。この両面で、初期の段階から Azure と AWS に絞られました」(広木氏)

2 つに絞られた段階で、2014 年 11 月からさまざまな検証を開始。社内のシステムの一部を社員の手で両方のクラウドに構築し稼働させてみて、機能、性能、実際の運用感などを確認し、Azure と AWS はいずれも問題ないと判断されました。しかし、最終的に同社の目的に最適なプラットフォームとして選択されたのは、Azure でした。その理由を、長峯氏は次のように説明します。

「Azure では Enterprise Agreement (EA) という契約を結べるのがポイント

でした。当初から、SAP システムを始めとした全社内システムをクラウド上で稼働させ最適化するには、試行錯誤が必要だと考えていましたので、一定の金額の中でインスタンスを自由に変更できるマイクロソフトの EA は、当社の目的に合っていたのです」(長峯氏)

また広木氏も、最終的に Azure を推した理由を、次のように説明します。

「当社は AWS も大きく扱っておりますので、そのメリットも十分に理解しています。そのうえで、東西にデータセンターがあってディザスタ リカバリ

(DR) システムを容易に構築できることと、マイクロソフトの最新テクノロジを利用できることから、総合的に判断して Azure を選択することになりました」(広木氏)

こうして、2015 年 2 月に Azure に正式決定。3 月にプロジェクトがスタートし、約 4 か月の移行期間を経て、7 月 21 日、SAP ERP が Azure 上で本稼働を迎えることになりました。

導入の成果パフォーマンス向上と業務の効率化、遠隔地バックアップが月に1 回から 10 分に 1 回へ 今回のプロジェクトの主眼は、SAP のプラットフォームをオンプレミスから Azure に移行することでした。このため、SAP の機能そのものには、大きな変更点はありません。ただし、Azure への移行により、パフォーマンスとコストの観点で想定以上の効果が得られました。株式会社いい生活 執行役員 CIO 鈴木 隆喜 氏は、次のように説明します。

「パフォーマンスについては、Azure の EA の下、さまざまなインスタンスで試行錯誤できました。その結果、当初の想定よりもパフォーマンスを向上させ、かつコストを抑えることができています。この柔軟さは、一度購入したら簡単には変更ができないオンプレミスにはもちろん、最初にインスタンスをある程度決め打ちしなければならないタイプのクラウド サービスにはないメリットです」(鈴木氏 )

さらに情報システム部門は、従来のようなハードウェアのトラブル対応、リプレースなどの作業からも解放されました。

「Azure でシステムを構築しているとき、一度サーバーが落ちたことがありました。もちろん落ちるのはよいことではありませんが、すぐさま復旧した点に Azure のメリットを実感しました。もしもオンプレミスで同じことが起きたら、データセンターまで出向いてハードウェアの修理、交換に立ち会うなど、時間も手間もかかります。その意味では、障害時の復旧においても、クラウドのメリットは大きいと改めて肌で感じました。また、サポートが充実している点も助かっています。当社の情報システム部門は、少人数で社内システムの運用、ユーザー サポートなどさまざまな業務をこなさなければなりません。したがって、インフラ面でしっかりとしたサポートを受けられる Azure は、とても安心感があるのです」(鈴木氏 )

株式会社NTTデータグローバルソリューションズCTO Next Generation Platform 推進室長広木 太 氏

株式会社いい生活執行役員 CIOWebソリューション開発グループ鈴木 隆喜 氏

株式会社いい生活Web ソリューション開発グループ業務システム部 部長長峯 太郎 氏

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特に想定以上の効果が得られたのが、バックアップ業務の効率化と

BCP の強化でした。

「以前は毎月 1 回わざわざ担当者がデータセンターまで出向いてテープを交換し、バックアップ後に遠隔地保管する作業を行っていました。しかしこれでは万が一のときに復旧まで数か月を要し、データも最大

1 か月前まで戻ってしまうため実効性には目を背けてきたと言わざるをえません。Azure 移行後は、東日本から西日本のデータセンターに

10 分に 1 回、自動バックアップできるようになりました。東西のデータセンターが非常に安定したバックボーンで結ばれているため、10 分に 1 回でもまったく問題ありません。また、複数部員がオンライン操作のみで西日本データセンターに SAP システムを復旧できるようになり人的リスクも大幅に低減できました」(長峯氏 )

なお、バックアップ機能は SQL Server 2014 の新機能である「SQL

Server Backup to URL 」により実現されました。当初の予定にはなかったものの、プロジェクト進行中にリリースされ、NTTデータグローバルソリューションズ側の提案により実装されたのです。このように、マイクロソフトの最新テクノロジが反映され、標準で利用可能になるのも、Azure を選択したメリットでした。

今後の展開最終的に全システムをクラウド化、情報分析の強化も視野に

SAP 以外の社内システムについても、ハードウェアや OS が古くなったものから順次 Azure に移行し、2017 年には全社内システムをクラウド化する予定です。その際には、今回のプロジェクトで構築したしくみや得られたさまざまなノウハウが活用できるだろうと長峯氏は語ります。

現在は SAP ERP に続いて SAP CRM の Azure への移行プロジェクトが進行中です。SAP ERP と同様にパフォーマンスのチューニングが行われてい

株式会社いい生活

ますが、移行が完了すれば新たな可能性が広がると、鈴木氏は次のように期待を込めます。

「SAP CRM が Azure に移行すると、CRM のデータを分析する BI のプラットフォームも Azure 上で利用できるようになります。Azure のスケーラビリティを活かせば、従来の顧客、契約関連の情報に加えてアクセス ログなどのさまざまな情報を組み合わせて分析可能になります。その先には、Azure Machine Learning の活用といった可能性も広がるかもしれません。システムで管理する情報は事業に活かされてこそ投資した意味があるというものです」(鈴木氏)

株式会社いい生活にとっては、同社のお客様である不動産会社に最良のクラウド サービスを提供することが最も重要なテーマです。社内システムのクラウド化の目的は、堅牢かつ柔軟な業務基盤を現実的なコストで導入し、それによって可能となる情報活用や業務の効率化を通じて広義のサービス向上を実現することにほかなりません。この目的を実現するため、今後も Azure は積極的に活用されることでしょう。

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導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2015年11 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

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